【2026年版】日本大学豊山女子中学校の評判は?「0 to 1」の探究教育と日大付属の安心感が魅力の女子校を徹底解説!

中学受験
  1. 学校の概要|日本大学付属の女子校で、「0 to 1」を育てる6年間
    1. 日本大学が設置する女子の中高一貫校
    2. 校訓は「知性と敬愛」
    3. 「0 to 1」は、大きな発明をすることではない
    4. 日本大学の「自主創造」とつながる教育
    5. 「女子校」であることも、0 to 1の土台になる
    6. 高校創設は1966年、中学校は1986年
    7. 高校募集もあるため、完全中高一貫校ではない
    8. 「安心」と「挑戦」が、同じ学校の中にある
  2. アクセスと立地環境|板橋区中台の高台へ通う、落ち着いた女子校生活
    1. 上板橋駅から徒歩約15分
    2. 志村三丁目駅からも徒歩約15分
    3. 赤羽駅・練馬駅からスクールバスを利用できる
    4. 路線バスという第三の通学方法もある
    5. 通学範囲は東京北部から埼玉方面まで広い
    6. 駅前型ではないからこそ、通学路は実際に歩いておきたい
    7. 住宅地の中に学校生活がある
    8. 通学時間も「自分で動く」6年間の一部になる
  3. 教育方針とカリキュラム|朝学習・ノーチャイム・探究で「自分から動く」を習慣にする
    1. 8時10分からの「朝学習」で一日を始める
    2. 創設以来のノーチャイム制|時間を知らせてもらわず、自分で動く
    3. 英語は「全員が使ってみる」機会をつくる
    4. iPadを使って、英語も数学も「見える形」にする
    5. 中1は「数学探究」|公式を覚える前に、なぜそうなるのかを考える
    6. 中2は「理科探究」|予想して、実験して、結果を考える
    7. 中3の「卒業発表」で、3年間の探究を自分のテーマへ
    8. キャリア教育は「大学名」を決める前に、世の中を知る
    9. 茶道も「自分で動く」教育の一部
    10. 分からないときには、女子大学生の「BJメンター」を使える
    11. 「0 to 1」の前には、基礎学力がある
  4. 学習環境と施設設備|ラーニングコモンズを中心に、考えて学ぶ場所をつくる
    1. ラーニングコモンズは「自分で勉強する」ための場所
    2. 放課後には「BJメンター」という使い方もある
    3. 理科実験室は3室|「見て、触れて、考える」を支える
    4. 作法室では、茶道を「授業」として学ぶ
    5. 一人1台のiPadを、校内のさまざまな場所で使う
    6. 図書室は、探究の「検索だけでは足りない」を補う
    7. 多目的ホールは、「調べた後」を支える場所
    8. 人工芝グラウンドと体育館で、放課後の活動も学校内に
    9. 生徒ラウンジは、授業と部活動の間にある場所
    10. 豊山女子の施設は、「何をするか」で見ると分かりやすい
  5. 学校生活と行事|英語体験・沖縄修学旅行・秋桜祭で学校の外へ踏み出す
    1. 8時10分の朝学習から、放課後の部活動へ
    2. 年間を通して、教室の外へ出る機会が多い
    3. 校外学習は、中1・中2・中3で「任される範囲」が変わる
    4. 中1のEnglish Camp|入学4か月で、英語を使ってみる
    5. 中2のBritish Hills|日本にいながら、生活そのものを英語へ
    6. 中3ではTOKYO GLOBAL GATEWAYへ
    7. さらに海外へ行きたい生徒には、ニュージーランド短期留学
    8. 中3の修学旅行は沖縄へ
    9. 文化祭は「秋桜祭」|クラスと部活動の活動を外へ見せる
    10. 体育祭は秋桜祭とは別に行われる
    11. 1月には英語スピーチと、かるた大会
    12. 行事で問われるのは、「誰かが決めてくれる」外へ出たとき
  6. クラブ活動|新しい部も生まれる、「やってみたい」を形にできる放課後
    1. 現在は26の部活動+かるた同好会
    2. 2025年度に生まれたサッカー部|歴史を「受け継ぐ」のではなく、つくる側へ
    3. かるた同好会は、有志が集まってスタート
    4. 体操部(ダンス)|振付を覚えるだけではなく、作品をつくる
    5. トランポリンは、初心者から大会を目指す生徒まで
    6. 陸上競技部には、中学生としての大会実績がある
    7. 放送部は「校内放送」から全国大会へつながる
    8. サイエンス部では、「かわいい」も研究の入口になる
    9. コンピュータ部は、ゲームから3Dプリンターまで
    10. 演劇部では、日本大学藝術学部との交流も
    11. 茶道・華道・箏曲も、現在の放課後に残っている
    12. 「中高合同」は、6年間の人間関係を広げる
    13. 部活動は「全員やるもの」ではない
    14. 「やりたい」が、まだ学校にない場合もある
  7. 進学実績と卒業後の進路|日本大学60.6%、他大学35.9%という現在の進路
    1. 日本大学157名|文系から理工・医療系まで学部を選べる
    2. 内部進学は「付属校だから自動的」ではない
    3. N進学コース|日本大学を中心にしながら、進路を一つに固定しない
    4. A特進コース|国公立大・難関私大を一般受験で目指す
    5. 理数Sコース|女子校で理系を「特別な進路」にしない
    6. 日本大学への進路を残したまま、他大学へ挑戦できる場合もある
    7. 放課後には、日本大学対策と一般受験対策の両方がある
    8. 「約6割が日大」という数字だけでは、この学校の進路は読めない
  8. 学費や諸経費について|2027年度初年度約138万円、6年間の費用を考える
    1. 2027年度の初年度納入額は138万2,800円
    2. 授業料52万8,000円は3期に分けて納入
    3. 「その他」2万9,100円の内訳
    4. 預り金等40万5,700円には、教材・行事・iPad関連も含まれる
    5. 2年次以降はBritish Hillsや修学旅行の費用も加わる
    6. 制服・指定品など、入学準備の費用も考えておく
    7. 入試には「特待A」「特待B」もある
    8. 入学後にも特待生・奨学生制度がある
    9. 東京都在住なら、中学校の授業料助成も確認したい
    10. 6年間の費用は「中1の138万円×6」では考えない
  9. 入試情報と合格の目安|2科・4科・1科・「0 to 1」プレゼンから選べる入試
    1. 2027年度は2月1日・2日・5日に入試
    2. 午前入試は4科か2科を選択できる
    3. 午後は「国語だけ」「算数だけ」という受け方もできる
    4. 英語1科は、2月1日が4技能・2月2日が2技能
    5. 英検取得者には、一般入試でも加点がある
    6. 「0 to 1」プレゼンは、これまでとこれからを一本の物語にする
    7. 直近2026年度は、方式によって受験者数がかなり違う
    8. 2科なら、まず100点前後を安定して超えられるか
    9. 四谷大塚の2027年80偏差値は37〜40前後
    10. 特待生を狙うなら、午後の2科・英語も重要
    11. 複数回受験は、受験料にも合否判定にも配慮がある
    12. 2月1日の結果を見てから、2日・5日へ動ける
    13. 第一志望なら「方式を増やす」より、最初に得意な入口を決める
  10. 併願校パターン|女子校・大学付属・探究教育のどこを軸に組み合わせるか
    1. まず、「チャレンジ・標準・安全」は本人によって変わる
    2. 十文字中学校|女子校と探究教育を残したい家庭に
    3. 大妻多摩|2027年は豊山女子とほぼ同じ難度帯
    4. 東京家政大学附属女子|板橋区で「大学附属女子校」を比較する
    5. 跡見学園|伝統女子校の環境を残して、一段上へ
    6. 大妻中学校|明確なチャレンジ校を一つ置くなら
    7. 「2月1日午前に豊山女子」を軸にする場合
    8. チャレンジ校を午前、豊山女子を午後にする方法もある
    9. 大妻多摩は「チャレンジ」ではなく、学校内容で比較する
    10. 安全校は、東京家政大附属女子と決めつけない
    11. 最後は、「豊山女子でなくても通いたいか」で決める
  11. 在校生・保護者の声|「自分で決める」が少しずつ増えていく学校生活
    1. 「女子校だから素を出せる」という声
    2. 先生との距離は「質問しやすさ」に表れる
    3. 「入学してから計画的に勉強するようになった」
    4. BJメンターは、先生とは違う相談相手になる
    5. 行事では、普段と違う友人関係ができる
    6. 部活動には「本気でやる子」と「自分のペースでやる子」がいる
    7. 付属校でも、学習への向き合い方には差が出る
    8. 「日大付属だから安心」の受け止め方も家庭によって違う
    9. 校則は「自由放任」ではない
    10. アクセスについては、「スクールバスが便利」と「駅から遠い」の両方がある
    11. 女子校の「穏やかさ」だけを期待すると、少し違うかもしれない
    12. 卒業後の声を見ると、「自分で選んだ経験」が残っている
    13. 評判を読むなら、「娘にとってどうか」まで一段深く見る
  12. この学校に向いている子の特徴|安心できる環境から、一歩外へ出てみたい子へ
    1. 女子だけの環境を「気楽」と感じられる子
    2. 「何が好きか」が、まだ決まっていない子にも合う
    3. 答えを教えてもらうだけでなく、「なぜ?」を楽しめる子
    4. 理科や数学に興味を持つ女子には、先の道が見えやすい
    5. 日本大学を進路の一つとして持っておきたい子
    6. 「日大に行くかどうか」を12歳で決め切りたくない子
    7. 最初は手を借りても、少しずつ自分で勉強したい子
    8. 人前で話すことが苦手でも、「伝える力」を伸ばしたい子
    9. 部活動でも習い事でも、自分の放課後を選びたい子
    10. 一定のルールがある中で、自分で考えたい子
    11. 通学に徒歩やスクールバスがあっても、通いたい理由がある子
    12. 学校から「与えてもらう」ことだけを期待する子には、もったいない
    13. 「0 to 1」に必要なのは、最初からの積極性ではない
  13. まとめ|進路の安心があるから、まだ決まっていない自分を試せる
    1. 「0 to 1」は、何か特別なことを始めるための言葉ではない
    2. 女子校だからこそ、「誰がやるか」を決めつけなくてよい
    3. 日本大学への道は、6年間を急がなくてよい時間に変える
    4. それでも、進路を学校任せにはできない
    5. 「面倒見のよさ」と「自律」は、途中で入れ替わっていく
    6. この学校の価値は、「完成された子」を集めることではない
    7. 学校見学では、「何があるか」より「何をしてみたいか」を考える
    8. 安心できる場所から、最初の一歩をつくる6年間

学校の概要|日本大学付属の女子校で、「0 to 1」を育てる6年間

日本大学豊山女子中学校は、東京都板橋区中台にある私立女子中学校です。日本大学が設置する付属校の一つで、中学校から高校へ進む6年間の一貫教育を行っています。

2026年現在、中学校の在籍者数は375名。一学年はおよそ120〜130名で、全校生徒の顔がすぐ分かるほど小規模ではない一方、一学年200名を超える大規模校でもありません。

現在の学校が教育の中心に置いている言葉が、「0 to 1」です。

何もないところから大きな発明をしなければならない、という意味ではありません。自分で課題を見つける。少し考えてみる。誰かに相談する。そして最初の一歩を踏み出す。そうした経験を、中学・高校の6年間で繰り返していきます。

学校名日本大学豊山女子中学校
所在地東京都板橋区中台3丁目15番1号
学校区分私立・女子中高一貫校(高校募集あり)
中学校在籍者数375名(2026年現在)
設置者学校法人日本大学
校訓「知性と敬愛」
教育理念日本大学「自主創造」/豊山女子「0 to 1」

日本大学が設置する女子の中高一貫校

日大豊山女子は、日本大学の付属中学校・高等学校です。

そのため、高校卒業後には日本大学への内部進学という具体的な選択肢があります。2025年度卒業生でも、日本大学へ進学した生徒は157名にのぼります。

ただし、「日大付属だから、6年間の進路は最初から決まっている」と考えると現在の豊山女子とは少し違います。

高校には、日本大学への進学を中心に考えるN進学コースに加え、国公立大学・難関私立大学などを目指すA特進コース、理数分野を深く学ぶ理数Sコースがあります。

12歳で入学するときには、将来の大学や職業が決まっていなくても構いません。6年間の途中で興味や得意分野を見つけ、高校ではその先に合った道を選んでいきます。

校訓は「知性と敬愛」

日大豊山女子の校訓は、「知性と敬愛」です。

学校がいう「知性」は、知識をたくさん覚えていることだけを指しません。さまざまな情報の中から必要なものを選び、自分で考える力まで含めて捉えています。

一方の「敬愛」は、自分と違う考えや背景を持つ人を尊重することです。

これは、現在掲げる「0 to 1」とも離れていません。

一人で思いついたことだけを押し通すのではなく、自分で考え、周囲の意見も聞き、協力しながら新しいものを形にする。考える力と、人と関わる力を一緒に育てるというのが、この学校の教育の基本にあります。

「0 to 1」は、大きな発明をすることではない

「0 to 1」という言葉だけを見ると、起業やビジネスを学ぶ学校のように感じるかもしれません。

学校が示している定義は、もっと広いものです。

何もない状態から課題を見つけ、新しい価値を生み出す。そのために、自分で考え、判断し、実際に行動してみる力を育てます。

学校生活の中にも、その考え方は表れています。

生徒自身が新しい夏服のデザインに関わった例があり、2025年度にはサッカー部も発足しました。教室の中では探究学習を行い、中3では自分で設定したテーマについて調査・考察し、発表へつなげます。

「誰かが用意した正解を当てる」だけでなく、「自分なら何をしてみるか」を考える。

豊山女子の「0 to 1」は、こうした小さな選択の積み重ねとして学校生活へ入っています。

日本大学の「自主創造」とつながる教育

日大豊山女子が「0 to 1」を掲げる背景には、日本大学の教育理念である「自主創造」があります。

日本大学は、「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」力の育成を掲げています。

豊山女子では、それを中高生の学校生活まで下ろして考えています。

朝学習に取り組む。チャイムが鳴らなくても時間を見て教室へ移動する。探究テーマを自分で決める。海外研修へ参加するか考える。高校では三つのコースから自分の方向を選ぶ。

どれも一回だけ見れば小さな選択です。

しかし、6年間に何度も「自分で決める」経験を置くことで、大学へ進む頃には、誰かから指示されるのを待つだけではない状態を目指しています。

「女子校」であることも、0 to 1の土台になる

日大豊山女子は、現在も女子校として教育を続けています。

女子だけで過ごす環境について、学校は一人ひとりが自分らしく挑戦しやすい場として捉えています。

理数分野へ進みたい。人前で発表してみたい。生徒会で学校を動かしたい。新しい部活動を始めたい。

そうした役割を、「男子がやるもの」「女子がやるもの」と分ける必要はありません。教室にも部活動にも学校行事にも、いるのは女子生徒です。

特に高校には理数Sコースがあり、女子が理工系・医療系を含む理数分野へ進むことを具体的に後押しする環境があります。

女子だけの環境で、自分が何を得意とし、何をやってみたいのかを試せる。この点は、豊山女子の6年間を考えるうえで外せません。

高校創設は1966年、中学校は1986年

日本大学豊山女子高等学校は1966年に開校しました。日本大学が設置した最初の独立した女子高等学校です。

1971年には理数科を設置。1986年に日本大学豊山女子中学校が開校し、中高一貫教育が始まりました。中学校も、日本大学が設置した最初の独立した女子中学校です。

その後も学校は変化を続け、2016年にはラーニングコモンズと人工芝グラウンドを整備。2017年には高校をN進学・A特進・理数Sの3コース体制としました。

「伝統女子校」という言葉だけで捉えると、少し見誤ります。

女子校として積み重ねてきた教育を持ちながら、その時代の生徒に必要な学び方へ学校そのものを更新してきた歴史があります。

高校募集もあるため、完全中高一貫校ではない

中学校から入学した生徒は、基本的に日本大学豊山女子高等学校へ進み、6年間の教育を受けます。

一方、高校では外部からの募集も行っています。

したがって、中学入学時の仲間だけで高3まで過ごす完全中高一貫校ではありません。高校へ進むと、新しく入学した生徒が加わります。

また、高校ではA特進・N進学・理数Sと学びの方向も分かれていきます。

中学校の3年間は、「早く進路を固定する時間」というより、高校でどの方向へ進むのかを考えるための土台をつくる時間と見る方が、豊山女子の6年間には合っています。

「安心」と「挑戦」が、同じ学校の中にある

日大豊山女子には、日本大学付属校という分かりやすい安心があります。

その一方で、学校が現在強く求めているのは、用意された道をそのまま歩くだけの生徒ではありません。

自分で時計を見る。自分で問いをつくる。自分の考えを発表する。興味のある活動へ参加してみる。そして高校では、自分の進路を選ぶ。

すぐに大きな挑戦をする必要はありません。

「やってみようかな」と思ったときに、一歩動いてみる。

日大豊山女子が掲げる「0 to 1」は、その一歩を6年間で何度も経験するための言葉です。

大学付属という進路の安心を持ちながら、まだ決まっていない自分を試していく。そこから、現在の日大豊山女子中学校を見ていくと、この学校の教育が分かりやすくなります。

アクセスと立地環境|板橋区中台の高台へ通う、落ち着いた女子校生活

日本大学豊山女子中学校は、東京都板橋区中台3丁目にあります。

最寄り駅から校門まで数分という学校ではありません。東武東上線の上板橋駅、都営三田線の志村三丁目駅から、それぞれ徒歩約15分です。

一方で、JR赤羽駅と練馬駅からはスクールバスが運行され、路線バスも利用できます。

豊山女子の通学を考えるときは、「最寄り駅から何分か」だけを見るより、自宅から上板橋・志村三丁目へ向かうのか、赤羽・練馬からバスを使うのかまで含めて考える必要があります。

主なアクセス学校まで
東武東上線「上板橋駅」徒歩約15分
都営三田線「志村三丁目駅」徒歩約15分
JR「赤羽駅」西口スクールバス/路線バスを利用可能
西武池袋線・都営大江戸線・東京メトロ「練馬駅」北口スクールバス/路線バスを利用可能

上板橋駅から徒歩約15分

東武東上線を利用する場合は、上板橋駅から徒歩約15分です。

東上線は池袋へ直結しているため、板橋区内だけでなく、豊島区方面や埼玉県南西部からも通学ルートを組みやすくなります。

実際、学校が公表している在校生の居住地を見ると、中学生は板橋区だけでなく、練馬区、北区、豊島区のほか、埼玉県の朝霞市、和光市、川口市、さいたま市などからも通っています。

「板橋区の学校だから近隣の生徒が中心」というより、東武東上線やスクールバスを使って都県境を越えて通う生徒もいる女子校と考えた方が実態に近いでしょう。

志村三丁目駅からも徒歩約15分

もう一つの最寄り駅が、都営三田線の志村三丁目駅です。

こちらも学校まで徒歩約15分。三田線を利用すれば、巣鴨、水道橋、大手町、日比谷方面から一本で志村三丁目まで向かえます。

同じ学校でも、東上線側から通う場合と三田線側から通う場合では通学経路が大きく変わります。

中学受験では、電車の乗車時間だけを比較して学校を選びがちですが、6年間続けることを考えれば、乗り換え回数、駅からの徒歩、朝の混雑まで含めて見ることが大切です。

赤羽駅・練馬駅からスクールバスを利用できる

徒歩以外の選択肢として、豊山女子にはスクールバスがあります。

発着地はJR赤羽駅西口練馬駅北口です。

赤羽駅はJR京浜東北線・埼京線・湘南新宿ラインなどが利用でき、練馬駅は西武池袋線・都営大江戸線・東京メトロへの接続があります。

そのため、最寄りの上板橋駅や志村三丁目駅へ直接向かうより、赤羽・練馬を経由した方が通いやすい地域もあります。

特に毎日15分歩くことを負担に感じる家庭では、スクールバスを使った場合の自宅から学校までの所要時間も一度計算しておきたいところです。

路線バスという第三の通学方法もある

スクールバスだけでなく、一般の路線バスも利用できます。

赤羽駅西口からは国際興業バスの赤56系統を利用し、「中台三丁目」で下車して徒歩約5分です。

練馬駅北口からは赤01系統を利用し、「志村四中」で下車して徒歩約15分となります。

スクールバスは学校生活に合わせて利用しやすい一方、下校時刻が変わった日や学校行事などでは公共交通を使う場面も考えられます。

電車・スクールバス・路線バスの複数の帰宅経路を持てることは、6年間通ううえでは意外に実用的です。

通学範囲は東京北部から埼玉方面まで広い

2025年度の居住地データを見ると、中学生では東京都23区から268名、23区外から15名、埼玉県から81名が通学していました。

東京都内では板橋区70名、練馬区62名が多く、北区25名、豊島区12名、足立区11名などにも広がっています。

埼玉県では川口市、朝霞市、和光市、さいたま市など複数の地域から通学者がいます。

学校の所在地だけを見ると「板橋・練馬周辺の学校」という印象を持ちますが、実際には東京北部と埼玉南部をまたぐ通学圏を形成しています。

駅前型ではないからこそ、通学路は実際に歩いておきたい

豊山女子を見学するときは、校舎だけでなく、最寄り駅から学校まで実際に歩いてみることをおすすめします。

中学生にとって徒歩15分は決して極端に長い距離ではありません。しかし、それを夏の暑い日にも、雨の日にも、部活動で疲れた夕方にも繰り返します。

学校公開の際だけ車で訪れると、この感覚は分かりません。

上板橋駅から歩くのか、志村三丁目駅から歩くのか。スクールバスを使うのか。自宅を朝何時に出れば8時台の学校生活に間に合うのか。

「受験日に行ける」ではなく、「週6日を6年間続けられる」という基準で確認しておきたいところです。

住宅地の中に学校生活がある

校舎は繁華街や大きなターミナル駅の前ではなく、板橋区中台の住宅地にあります。

駅を降りてすぐ校門へ入る都市型の学校とは違い、駅から住宅地を歩いて学校へ向かうことになります。

放課後も、校門を出た瞬間に大きな商業施設が並んでいる環境ではありません。

中学生が毎日通う場所として、この立地をどう感じるかは家庭によって違うでしょう。

駅近を最優先する家庭には15分の徒歩が気になるかもしれません。一方で、学校へ着いたら学習や部活動に腰を据えて過ごしたい家庭には、この立地が合うこともあります。

通学時間も「自分で動く」6年間の一部になる

中学1年生の春は、保護者が電車の時間を調べ、乗り換えを確認する家庭も多いでしょう。

しかし、6年間ずっと保護者が隣で時計を見るわけではありません。

朝の電車に間に合うよう家を出る。駅から学校まで歩く。スクールバスの時間を考える。部活動が終わったら帰宅経路を選ぶ。

豊山女子が学校生活で大切にするノーチャイム制と同じように、通学も少しずつ本人自身が時間を管理するようになります。

板橋区中台まで自分で通い、学校で一日を過ごし、また自分で帰ってくる。

12歳には当たり前ではなかったことが当たり前になっていく。その毎日の往復も、豊山女子で過ごす6年間の一部です。

教育方針とカリキュラム|朝学習・ノーチャイム・探究で「自分から動く」を習慣にする

日本大学豊山女子中学校の「0 to 1」は、探究の授業だけに用意された特別なプログラムではありません。

朝は自分で学習を始める。チャイムが鳴らなくても時計を見て動く。英語では実際に声に出す。数学や理科では、教科書で覚えたことを使ってもう一歩考える。そして中3では、自分で決めたテーマを一年かけて発表まで持っていく。

こうして見ると、豊山女子の中学校3年間は、「指示されたことをきちんとする」段階から、「自分で考えて動く」段階へ少しずつ移っていくように組まれています。

8時10分からの「朝学習」で一日を始める

現在の時間割では、授業前の8時10分から朝学習が設定されています。

中学入学直後は、小学校より授業内容が増え、英語や数学も本格化します。部活動が始まれば、帰宅後に使える時間も生徒によって変わります。

そこで、一日の最初に学習する時間を置き、学校へ来たら机に向かうという流れをつくります。

豊山女子の自律教育というとノーチャイム制が目立ちますが、自律とは「何でも自由にしてよい」ということではありません。

決まった時間に学校へ来て、自分で学習を始める。

まずはこの程度の小さな自己管理から、中学校生活は始まります。

創設以来のノーチャイム制|時間を知らせてもらわず、自分で動く

豊山女子では、授業の始まりと終わりを知らせるチャイムを鳴らしていません。

生徒自身が時計を確認し、次の授業や活動に間に合うよう行動します。

一見すると小さな仕組みですが、毎日となれば意味は変わります。

「チャイムが鳴ったから席に着く」のではなく、「次は何時からだから、そろそろ移動しよう」と自分で判断する。学校が掲げる「自ら学び、自ら考え、自ら道をひらく」という日本大学の「自主創造」を、生活の中で練習する仕組みの一つです。

豊山女子の「0 to 1」は、いきなり大きな企画を立ち上げるところから始まるわけではありません。

自分で時計を見ることも、最初の「0 to 1」です。

英語は「全員が使ってみる」機会をつくる

英語では、日本人教員とネイティブスピーカーによるTeam Teachingを取り入れ、少人数で英語を使う授業を行っています。

授業時間以外にもネイティブスピーカーと話せるEnglish Roomなどがあり、英語を試験科目として学ぶだけでなく、実際のコミュニケーションへつなげます。

また、英検は全員受検です。年間を通して対策を行い、希望者には夏休みの対策講座も用意されています。

さらに英語スピーチコンテストでは、原稿をつくり、暗唱し、人前で発表するところまで全員が経験します。

「英語が得意な数人だけが発表する」のではなく、まず全員が英語で表現してみる。この設計は、豊山女子の教育をよく表しています。

中学校段階では資格の数字を競うことだけを目的にするのではなく、読む・書く・聞く・話すを使いながら、英語への抵抗を減らしていくことが中心になります。

iPadを使って、英語も数学も「見える形」にする

生徒は一人1台のiPadを使用します。

英語では、すらら、ELST、ロイロノート・スクールなどを活用し、リスニングやスピーキングを含む4技能を学習します。

数学でも、図形や数量関係をタブレット上で動かして確かめる授業があります。

ICTを使う目的は、ノートをデジタルに置き換えることだけではありません。

図形を変形したときに何が変わり、何が変わらないのか。英語を実際に発音したとき、どこを直せばよいのか。頭の中だけでは捉えにくいものを、試しながら確認できることに意味があります。

中1は「数学探究」|公式を覚える前に、なぜそうなるのかを考える

豊山女子の探究学習は、学年ごとに段階があります。

中学1年では「数学探究」を行います。

通常の数学でも、正負の数をトランプゲームで扱ったり、空間図形を教具で組み立てたり、幾何学模様や魔方陣を扱ったりと、手を動かしながら試行錯誤する授業を取り入れています。

数学探究では、教科書で学んだ基礎知識をさらに掘り下げ、論理を組み合わせながら定理や法則を見つけていきます。

中学受験までの算数では、「この問題はこの解き方」と方法を覚えてきた子もいるでしょう。

豊山女子ではそこから一歩進み、「なぜそうなるのか」「別の場合でも成り立つのか」と考える時間をつくります。

中2は「理科探究」|予想して、実験して、結果を考える

中学2年では「理科探究」へ進みます。

通常の理科授業でも、年間20回程度の実験・観察を取り入れています。

顕微鏡やガスバーナーなどの基本操作を身につけるだけでなく、まず結果を予想し、実際に確かめ、その違いを考察することを重視します。

理科探究では、この流れをさらに明確にします。

問いを持つ。仮説を立てる。実験する。結果を整理する。そして、そこから何が分かるのかを考える。

「実験をして楽しかった」で終わらず、自分の考えを結果によって修正するところまでが学びになります。

高校の理数Sコースへつながる学校だけに、中学生の段階から「理系が得意な子を選ぶ」のではなく、まず科学的に考える面白さへ触れさせる構成です。

中3の「卒業発表」で、3年間の探究を自分のテーマへ

中学3年では、探究学習の集大成として「卒業発表」に取り組みます。

テーマを決め、調査・探究を進め、内容をまとめ、最後にプレゼンテーションするまでを一年間かけて行います。

中1の数学探究では「考えてみる」。中2の理科探究では「確かめて考える」。そして中3では、問いそのものを自分で決めるところまで進みます。

学年主な探究学習育てる力
中学1年数学探究試行錯誤し、規則や仕組みを考える
中学2年理科探究仮説・実験・考察をつなげる
中学3年卒業発表自分で問いを立て、調べ、発表する

この3年間の流れを見ると、「0 to 1」が単発のイベントではないことが分かります。

最初から自分一人で何かを生み出すのではなく、教科の中で考え方を身につけ、最後に自分の問いへ移していく。

中学校段階では、そのための練習を重ねています。

キャリア教育は「大学名」を決める前に、世の中を知る

進路についても、中1から少しずつ外の世界に触れます。

中1・中2では日本大学の学部体験を行い、中2では卒業生や社会人などによるキャリア講演会、中3では実際の起業家から話を聞く起業家講演会があります。

学年主なキャリア教育
中学1年日本大学学部体験
中学2年日本大学学部体験・キャリア講演会
中学3年起業家講演会

12歳の段階で「将来はこの大学のこの学部」と決めさせる教育ではありません。

大学にはどんな学問があるのか。社会にはどんな仕事があるのか。自分で仕事を生み出した人は、何を考えて動いたのか。

そうした人や世界に触れながら、「自分は何に興味があるのか」を考える材料を増やしていくのが中学校のキャリア教育です。

茶道も「自分で動く」教育の一部

新しい探究教育だけでなく、豊山女子には女子校として続けてきた学びも残っています。

総合的な学習の時間には茶道があり、抹茶の点て方や茶会のマナーを通じて、礼儀作法、気配り、謙虚さなどを学びます。

「0 to 1」と茶道は、一見すると正反対に見えるかもしれません。

しかし、自分が何をしたいかを主張するだけでは、誰かと協力して新しいものをつくることはできません。

相手を見る。場に合わせる。自分の役割を考える。

自分で動くことと、周囲を尊重することを同時に覚えるところに、「知性と敬愛」を掲げる豊山女子らしさがあります。

分からないときには、女子大学生の「BJメンター」を使える

自律を重視していても、「全部自分で何とかしなさい」という学校ではありません。

放課後には、希望者が利用できる学習支援「BJメンター」があります。

女子大学生の学習メンターが自習室に常駐し、分からない問題だけでなく、勉強方法や進路についても相談できます。年間200日の開室が設定され、部活動や習い事に合わせて利用できます。

特徴的なのは、教員とは違う「少し先を歩く女性」が学習を支えることです。

中学生にとって大学生は、先生より年齢が近く、「どうやって勉強していたのか」「大学では何を学んでいるのか」といったことも聞きやすい存在です。

なお、BJメンターは別途費用が必要なプログラムです。全員必須の放課後講習ではありません。

「0 to 1」の前には、基礎学力がある

探究、プレゼン、ICT、キャリア教育。

豊山女子の教育には、いまの中高一貫校らしい言葉が多く並びます。

しかし、実際の時間割の中心にあるのは、国語・数学・英語・理科・社会といった日々の教科学習です。英検や漢検は全員が受検し、英語や数学ではTeam Teachingも取り入れています。

問いを立てるにも、調べるにも、自分の考えを説明するにも、使える知識が必要です。

そのため豊山女子の「0 to 1」は、基礎学力と対立するものではありません。

まず知る。次に考える。そして、自分で一歩動いてみる。

朝学習から中3の卒業発表までをつなげて見ると、豊山女子が中学校3年間で育てようとしている「自律」の意味が見えてきます。

学習環境と施設設備|ラーニングコモンズを中心に、考えて学ぶ場所をつくる

日本大学豊山女子中学校の施設は、「大きな○○がある」という一つの設備で印象づけるタイプではありません。

一人で勉強するときはラーニングコモンズ、実験するときは3つの理科実験室、茶道では作法室、発表では多目的ホール、運動では体育館や人工芝グラウンドと、学び方に応じて場所を使い分けられるようになっています。

§3で見た数学探究・理科探究・卒業発表も、教室の机だけで完結するものではありません。

豊山女子が掲げる「0 to 1」を施設面から見ると、自分で調べる場所、試してみる場所、人に伝える場所が校内にそろっていることが分かります。

主な施設使われ方
ラーニングコモンズ個別学習・調べ学習
PC・LL教室情報・語学学習
理科実験室3室化学・物理地学・生物などの実験・観察
作法室茶道・礼儀作法
図書室読書・調査
多目的ホール発表・集会など
体育館体育・部活動
人工芝グラウンド体育・屋外活動
生徒ラウンジ休憩・交流
進路相談室進路についての相談

ラーニングコモンズは「自分で勉強する」ための場所

学習施設の中心になるのが、ラーニングコモンズです。

パーテーションで区切られた個別学習スペースがあり、Wi-Fiも利用できます。自分のiPadを持ち込み、課題を進めたり、必要な情報を調べたりすることができます。

授業を受ける教室とは違い、「先生が来たから勉強が始まる」という場所ではありません。

試験前だから少し残る。分からなかった単元をやり直す。探究発表の資料を調べる。

自分で必要性を判断して使う場所が校内にあることは、ノーチャイム制や朝学習と同じく、豊山女子が重視する自律とつながっています。

放課後には「BJメンター」という使い方もある

自習環境を用意するだけでは、特に中学1年生は「何を勉強すればよいのか分からない」ということもあります。

そこで希望者は、放課後の学習支援「BJメンター」を利用できます。

女子大学生の学習メンターが自習室に常駐し、問題の質問だけでなく、学習方法や進路についても相談できます。

学校では年間200日の開室を設定しており、部活動や習い事の予定に合わせて利用できます。

また、Classiの生徒カルテを利用して、学習メンターと教員が学習状況を共有します。

すぐ近くで答えを教えてもらうというより、自分で勉強を進められるようになるまで支えてもらうための仕組みです。

なお、BJメンターは希望者向けで、利用には別途費用がかかります。

理科実験室は3室|「見て、触れて、考える」を支える

豊山女子には、化学教室、物理地学教室、生物教室と、分野に応じた3つの理科実験室があります。

中学校の理科では、年間20回程度の実験・観察を取り入れています。

顕微鏡やガスバーナーの扱いから始め、予想を立て、実際に実験し、その結果を考察します。中2ではさらに「理科探究」があるため、実験室は単に設備を見せる場所ではなく、日常の授業で使う学習空間です。

高校には理数Sコースがあり、物理・化学・生物・数学から研究分野を選び、長期間の研究にも取り組みます。

中学の実験で科学に触れ、高校では一つの分野を深く研究する。

理数教育を6年間でつなげられることは、女子校で理系進路を考える家庭にとって確認しておきたい部分です。

作法室では、茶道を「授業」として学ぶ

校内には作法室があります。

中学校では総合的な学習の時間に茶道を学び、抹茶の点て方だけでなく、茶会での振る舞いや礼儀作法にも触れます。

探究やICTのような新しい教育を進めながら、こうした空間を現在も残しているところに豊山女子の特徴があります。

相手が何を必要としているかを考える。順序を意識する。場に応じて振る舞う。

作法室で学ぶことは、知識を増やす授業とは少し違います。

自分のことだけではなく、相手や周囲を見る習慣を身につける時間になっています。

一人1台のiPadを、校内のさまざまな場所で使う

生徒は一人1台のiPadを所有し、Classi、ロイロノート・スクールなどを授業で利用します。

英語では学習アプリを使い、数学では図形や数量関係をシミュレーションする。探究では調査や資料作成にも使います。

校内にはPC・LL教室もありますが、ICT教育を特定の「パソコンの授業」だけに閉じ込めてはいません。

教室でも、ラーニングコモンズでも、その場で必要な情報を調べたり、自分の考えをまとめたりする。

端末を一つの文房具として使うところまで日常化させようとしている学校です。

図書室は、探究の「検索だけでは足りない」を補う

図書室も、現在の施設として設けられています。

豊山女子では国語で読書を推奨し、読んだ本を他者へ紹介する活動も行っています。また、中3の卒業発表では、自分のテーマについて調査し、内容をまとめる必要があります。

タブレットがあれば、情報を検索すること自体は簡単です。

しかし、検索結果の最初に出てきた情報だけで探究が終わるわけではありません。本を読み、異なる資料を比べ、自分が使える情報を選ぶ必要があります。

ICT環境と図書室が両方あることで、紙かデジタルかを決めつけず、目的に合った資料を選ぶことができます。

多目的ホールは、「調べた後」を支える場所

探究教育では、調べてレポートを提出すれば終わりではありません。

豊山女子の中3卒業発表では、探究した内容を最後にプレゼンテーションします。英語でも全員がスピーチコンテストに向けて発表に挑戦します。

校内には多目的ホールや視聴覚教室があり、発表や集会などに利用できる環境があります。

自分の考えを人前へ出すと、質問されることがあります。思ったように伝わらないこともあります。

調べる場所だけでなく、「人に伝える場所」がある。

これは、発信までを探究の一部と考える豊山女子では重要です。

人工芝グラウンドと体育館で、放課後の活動も学校内に

運動施設としては、体育館と人工芝グラウンドがあります。

人工芝グラウンドは2016年に整備されました。

体育の授業に加え、陸上競技や球技、部活動などで使われます。2025年度にはサッカー部も発足し、女子校の中で新しい運動部の選択肢も生まれています。

敷地の広大さを売りにする郊外型の学校とは異なりますが、学校生活の中で必要な運動空間を校内に確保しています。

生徒ラウンジは、授業と部活動の間にある場所

学校には、生徒が利用できる生徒ラウンジもあります。

授業を受ける教室でも、自習専用のラーニングコモンズでもない場所です。

卒業生の声には、テスト前に友人と生徒ラウンジで勉強会を開き、通りかかった先生へ質問したという話もあります。

友人と話す。少し勉強する。先生に聞く。

学校生活では、こうした目的を一つに決めない場所も必要です。

校内購買も設けられており、授業と放課後活動の間を学校内で過ごせる環境があります。

豊山女子の施設は、「何をするか」で見ると分かりやすい

学校見学では、大きな体育館や新しい設備に目が向きます。

しかし豊山女子の場合は、施設名を数えるより、その場所で生徒が何をしているかを見た方が学校の教育を理解しやすいでしょう。

ラーニングコモンズでは一人で考える。理科実験室では予想を試す。作法室では相手を意識する。多目的ホールでは人へ伝える。人工芝グラウンドでは仲間と動く。

一日中、同じ机の前に座っているわけではありません。

考える場所、試す場所、話す場所、発表する場所を行き来しながら、自分の学び方を少しずつ見つけていく。

豊山女子の施設は、「0 to 1」という言葉を、実際の学校生活に置き換えるための背景になっています。

学校生活と行事|英語体験・沖縄修学旅行・秋桜祭で学校の外へ踏み出す

日本大学豊山女子中学校の行事は、「みんなで楽しい思い出をつくる」だけではありません。

入学直後は、先生に導かれながら新しい友人と校外へ出る。中2になると班で計画を立てて動く。中3では自分たちで時間を管理しながら行動する。英語についても、中1のイングリッシュキャンプから始まり、中2のBritish Hills、中3のTOKYO GLOBAL GATEWAYへと、実際に使う場面が少しずつ広がります。

教室で「自律」や「0 to 1」という言葉を学ぶだけではなく、学校の外へ出たときに、自分で判断して動く経験を増やしていくのが豊山女子の学校行事です。

8時10分の朝学習から、放課後の部活動へ

普段の一日は、8時10分からの朝学習で始まります。

8時20分に朝のホームルーム、8時35分から午前授業。12時25分が昼休み、13時05分から午後授業へ入り、15時から清掃活動を行います。

その後、15時30分頃から部活動へ向かう生徒もいます。

時刻学校生活
8:10〜朝学習
8:20朝のHR
8:35〜午前授業
12:25〜昼休み
13:05〜午後授業
15:00〜清掃活動
15:30頃〜部活動など

豊山女子はノーチャイム制なので、この一日の中でも「音が鳴ったから動く」という習慣には頼りません。

次の授業は何時からか。教室移動には何分必要か。部活動までに何を済ませるか。

大きな行事だけでなく、こうした普通の一日にも、自分で時計を見て行動するという学校の考え方が表れています。

年間を通して、教室の外へ出る機会が多い

現在の中学校の年間予定を見ると、校外学習、英語体験、文化祭、体育祭、修学旅行、スピーチコンテストなどが一年の中に配置されています。

時期主な行事
4月入学式・新入生ガイダンス・校外学習①
5月スポーツ大会・授業参観
6月芸術鑑賞教室・中3 TOKYO GLOBAL GATEWAY
7月中1イングリッシュキャンプ・中2 British Hills
9月校外学習②・英検全員受検
10月秋桜祭・体育祭
11月中3沖縄修学旅行・中1・2校外学習③
1月書初め展・英語スピーチコンテスト・かるた大会
2月中3卒業発表
3月卒業式・中1・2希望者ニュージーランド春季短期留学

行事の種類は多いですが、一つひとつが独立しているわけではありません。

英語の授業で学んだことを宿泊研修で使う。社会で調べたことを校外学習で確かめる。探究してきたものを発表する。

授業で得た知識を、別の場所で使ってみるという流れがあります。

校外学習は、中1・中2・中3で「任される範囲」が変わる

2026年度4月の校外学習を見ると、学年による成長の違いが分かりやすく表れています。

中学1年は上野動物園へ出かけ、ワークシートを使いながら動物を観察しました。入学から間もない時期なので、学習そのものに加えて、新しいクラスの友人と話し、関係をつくる機会にもなります。

中学2年は上野・浅草へ。午前は国立科学博物館を見学し、午後は班ごとに事前に作成した行程表を使って浅草を巡りました。

そして中学3年は鎌倉。事前に自分たちで計画を立て、当日は地図を持って選んだルートを歩き、時間を管理しながら行動しました。

学年2026年度4月の校外学習行動の特徴
中学1年上野動物園観察しながら新しい友人との関係をつくる
中学2年上野・浅草班で行程をつくり、計画に沿って動く
中学3年鎌倉自分たちでルートと時間を管理する

中1からいきなり「全部自由に決めなさい」と任せるわけではありません。

最初は一緒に動き、次は班で考え、最後は自分たちで動く。

この段階のつけ方は、豊山女子が考える自律を学校生活から理解しやすい例です。

中1のEnglish Camp|入学4か月で、英語を使ってみる

中学1年では、夏休みにイングリッシュキャンプがあります。

2026年度は7月27日から29日までの3日間、神奈川県葉山で実施されました。

外国人講師への自己紹介から始まり、講師の出身国について学んだり、英会話レッスンを受けたりしながら、英語中心の環境で過ごします。

最終日には、グループ・個人で英語スピーチにも挑戦しました。

入学してまだ4か月ほどですから、流暢な英語を話せることが目的ではありません。

知っている単語を使う。うまく伝わらなければ言い直す。友人の発表を聞く。そして自分も人前に立ってみる。

「英語を勉強してから使う」のではなく、まだ十分ではない段階から使ってみる。

豊山女子の「まず一歩やってみる」という考え方が、宿泊行事にもつながっています。

中2のBritish Hills|日本にいながら、生活そのものを英語へ

中学2年になると、夏休みに福島県のBritish Hillsで宿泊研修を行います。

2026年度は3日間の日程で実施されました。

英国風の施設内で、ネイティブ教員によるレッスンを受けるだけでなく、食事や買い物、施設内でのやり取りにも英語を使います。

体験型のレッスンでは、英語による説明を聞きながらスコーン作りなどにも取り組みました。

中1のEnglish Campより、英語を使う時間も場面も増えます。

学校が報告している2026年度の様子でも、生徒自身が時間を意識して行動したり、施設スタッフへ英語で話しかけたりする姿が見られました。

英語力だけではなく、「分からなくても、自分から話しかけてみる」ことを経験する3日間です。

中3ではTOKYO GLOBAL GATEWAYへ

中学3年では、TOKYO GLOBAL GATEWAYで英語を使う体験があります。

海外に近い環境を再現した施設の中で、ネイティブスピーカーとコミュニケーションを取りながら、英語を「習う」のではなく「使う」側へ移します。

中1のEnglish Camp、中2のBritish Hills、中3のTOKYO GLOBAL GATEWAY。

学年主な英語体験
中学1年English Camp
中学2年British Hills
中学3年TOKYO GLOBAL GATEWAY

英語を使う経験を一度の海外研修に集中させず、3年間に分けて段階的に置いているのが現在の中学校の国際教育です。

さらに海外へ行きたい生徒には、ニュージーランド短期留学

国内での英語体験だけではなく、中学1・2年の希望者にはニュージーランド春季短期留学があります。

春休みに16日間、現地でホームステイをしながら、授業やアクティビティに参加します。現地生徒のバディーとの交流も行われます。

全員参加ではありません。

まず学校の授業やEnglish Campで英語に触れ、「もっと外へ行ってみたい」と思った生徒が次の経験を選べる仕組みです。

海外研修が用意されていること以上に、本人が「行ってみたい」と選択する余地があることに豊山女子らしさがあります。

中3の修学旅行は沖縄へ

中学校3年間の大きな宿泊行事として、中学3年の11月には沖縄修学旅行があります。

日常の教室や東京を離れ、学年の仲間と数日間を過ごす行事です。

中3になるまでには、校外学習、English CampやBritish Hills、体育祭や文化祭など、さまざまな集団行動を経験しています。

そのうえで迎える修学旅行では、先生に一つひとつ動きを指示してもらう中1の頃とは違い、自分たちで時間や周囲を意識して行動する場面も増えていきます。

中学校最後の一年に置かれた宿泊行事として、友人関係だけでなく、3年間で身につけてきた集団の中での動き方も表れやすい行事です。

文化祭は「秋桜祭」|クラスと部活動の活動を外へ見せる

豊山女子の文化祭は、「秋桜祭(しゅうおうさい)」です。

2025年度の第44回秋桜祭は、10月25日・26日の2日間にわたって開催されました。

クラスによる出し物だけでなく、部活動の展示や発表もあり、受験生・保護者・招待された友人など多くの来校者を迎えます。

普段は校内で続けている活動を、外から来た人に見てもらう日でもあります。

展示なら「どうすれば伝わるか」を考え、舞台発表なら本番まで練習し、クラス企画なら役割を分担する。

自分たちだけが楽しいものをつくるのではなく、来場者に届く形まで仕上げるところに文化祭の難しさがあります。

学校見学として訪れる家庭にとっても、普段の説明会とは違う生徒同士の距離感を見やすい機会です。

体育祭は秋桜祭とは別に行われる

10月には、秋桜祭に加えて体育祭も予定されています。

文化祭と体育祭は同じ名称の一つの行事ではなく、それぞれ別の学校行事です。

5月にはスポーツ大会もあり、年間を通じて体を動かしながらクラスや学年で協力する機会があります。

豊山女子は運動部だけが活躍する学校ではありません。こうした全員参加の行事では、普段は文化部で活動する生徒や運動を得意としない生徒も、同じクラスの一員として参加します。

1月には英語スピーチと、かるた大会

3学期に入ると、英語スピーチコンテストとかるた大会があります。

英語では授業の中で原稿をつくり、暗唱し、発表まで全員が経験します。

一方、かるた大会では、日本語や古典文化へ触れながら友人と競います。

夏には英語中心の宿泊研修があり、冬には英語スピーチとかるた。

一方向だけに学校生活を寄せず、海外へ目を向ける経験と、日本の文化に触れる経験が同じ年間行事の中にあるところも女子校としての学校生活を考える材料になります。

行事で問われるのは、「誰かが決めてくれる」外へ出たとき

学校行事は、授業より自由に見えます。

しかし実際には、時間を守る、班で話し合う、役割を引き受ける、知らない人へ声をかける、予定どおりにいかなければ考え直す、といったことが必要になります。

2026年度の校外学習では、中1が友人と一緒に観察するところから始まり、中2は班で行程をつくり、中3は鎌倉で自分たちのルートを管理しました。

英語体験も、最初は用意された活動の中で話し、中2では施設内で自分から英語を使い、希望すればその先にニュージーランド留学があります。

豊山女子の行事を一年分並べてみると、派手なイベントの数よりも、学年が上がるほど「自分でやる部分」が少しずつ増えていくことの方が、この学校らしさをよく表しています。

教室の外へ出たとき、決められた正解は少なくなります。

そこで迷いながら一歩動いてみる経験も、豊山女子が「0 to 1」と呼ぶ6年間の一部です。

クラブ活動|新しい部も生まれる、「やってみたい」を形にできる放課後

日本大学豊山女子中学校の部活動は、運動部の大会実績だけを見ていると少し見えにくい特徴があります。

現在、中学生が参加できる活動として、体育部11、学芸部15に加えて、かるた同好会があります。

ダンスや陸上競技のように大会を目指す部もあれば、サイエンス、コンピュータ、イラスト創作、茶道、華道、箏曲など、興味をそのまま活動へ持ち込める部もあります。

そして、2025年度にはサッカー部が発足。さらに現在は、有志が集まってかるた同好会も活動を始めています。

すでにある選択肢から一つを選ぶだけではなく、「やりたいものがなければ、自分たちで始めてみる」という動きが実際に起きている。

授業で掲げる「0 to 1」が、放課後にも見える学校です。

現在は26の部活動+かるた同好会

中学校の部活動への参加は任意です。

現在、中学生向けに案内されている体育部は11、学芸部は15。これに、かるた同好会が加わっています。

区分部活動
体育部剣道、ソフトテニス、ソフトボール、体操(ダンス)、体操(トランポリン)、卓球、バスケットボール、バドミントン、バレーボール、陸上競技、サッカー
学芸部イラスト創作、英語、演劇、合唱、家庭科、華道、コンピュータ、サイエンス、茶道、写真、書道、箏曲、美術、吹奏楽、放送
同好会かるた同好会

活動日数や大会への参加頻度は部によってかなり違います。

週5日前後しっかり練習する運動部もあれば、週2回程度を基本とする文化部もあります。中学受験時には「部活動が盛んか」だけを見るのではなく、本人が興味を持つ部の活動曜日・終了時刻・中高合同かどうかまで確認しておくと、入学後の生活を想像しやすくなります。

2025年度に生まれたサッカー部|歴史を「受け継ぐ」のではなく、つくる側へ

豊山女子の現在の部活動を象徴する一つが、2025年度に発足したサッカー部です。

中学生と高校生が一緒に活動し、経験者だけでなく初心者も参加できます。月・火・金・土を基本に、週末にはリーグ戦、大会、練習試合などが入ることもあります。

長い伝統を持つ部へ入り、先輩たちのやり方を受け継ぐ経験も学校生活の一つです。

しかし、新しくできた部では事情が違います。

練習の雰囲気も、チームの文化も、後輩へ何を残すかも、今いる生徒たちが少しずつつくっていきます。

「この学校ではサッカーができない」から、「ここでサッカー部を育てていく」へ。

完成された学校生活へ入るだけではないところに、豊山女子の現在の変化が見えます。

かるた同好会は、有志が集まってスタート

もう一つ興味深いのが、かるた同好会です。

豊山女子では中学校の年間行事として百人一首のかるた大会が行われていますが、現在はそこからさらに活動したい生徒たちが集まり、同好会として活動を始めています。

学校は、1年間活動を続け、その先に部活動への昇格を目指していると紹介しています。

これは「0 to 1」を理解するうえで分かりやすい例です。

学校から与えられた行事に参加して終わるのではなく、「もっとやりたい」と思った生徒が集まり、次の活動をつくる。

大きな起業や発明でなくても、こうした小さな始まりも「0から1」です。

体操部(ダンス)|振付を覚えるだけではなく、作品をつくる

大会実績を持つ部の一つが、体操部のダンス部門です。

活動の中心は創作ダンス。用意された振付を正確に踊ることだけではなく、中学生・高校生が作品そのものをつくり、大会で発表します。

全国中学校高等学校ダンスコンクールにも出場し、直近の掲載実績では奨励賞を受賞しています。

創作ダンスでは、テーマをどう身体で表現するかを考え、仲間と意見を合わせ、一つの作品にまとめなければなりません。

舞台上の数分間より、その前にある「何を表現するか」を考える時間の方が長い活動です。

探究学習とは使う道具が違っても、自分たちで考えたものを人前へ出すという点では共通しています。

トランポリンは、初心者から大会を目指す生徒まで

豊山女子には、体操部のトランポリン部門もあります。

週3日の活動を基本とし、「安全第一」「楽しく跳ぶ」を掲げています。

特徴的なのは、初心者から競技大会を目指す生徒まで、それぞれに合わせて取り組めることです。

中学入学後に初めて競技へ触れる子もいれば、より高いレベルを目指す子もいる。同じ部の全員が同じ到達点を求められるわけではありません。

「中学から新しいことを始めたい」という子にとっても、学校見学で一度見ておきたい活動です。

陸上競技部には、中学生としての大会実績がある

陸上競技部も、中学生が大会に出場しています。

2025年度には東京都中学校支部対抗陸上競技選手権大会の女子3年100mで8位に入り、板橋区や豊島区の大会でも100m、200m、800m、1500m、リレー、走幅跳など幅広い種目で結果を残しています。

短距離が得意な子と長距離が得意な子では、練習する種目が違います。

チーム競技のように全員が同じ役割を担うのではなく、自分の記録と向き合いながら、その結果を部全体で支えるという部活動です。

放送部は「校内放送」から全国大会へつながる

文化部の中で全国規模の活動を続けているのが放送部です。

普段は昼の校内放送を担当し、曜日ごとの企画をつくったり、委員会や教員をゲストに迎えたりしています。

その活動は校内だけで終わりません。

2025年度のNHK杯全国中学校放送コンテスト東京都大会では、テレビ番組部門と朗読部門で準優勝。全国大会では朗読部門で入選し、全国11位相当の結果を残しました。

マイクの前で上手に読むことだけが放送部ではありません。

何を伝えるかを考える。原稿をつくる。取材する。音や映像を編集する。聞く人・見る人に届く形まで仕上げる。

「伝えたい」を番組という形に変えるところまで経験できる部活動です。

サイエンス部では、「かわいい」も研究の入口になる

理数教育に力を入れる豊山女子らしさが見えるのが、サイエンス部です。

中学生と高校生が一緒に活動し、身近な「ふしぎ」をテーマに実験へ取り組んでいます。

砂糖の結晶、ハーバリウム、苔テラリウム、グリセリンソープ、色が変化する食品など、扱う題材は必ずしも教科書の実験そのものではありません。

「きれいだから作ってみたい」「食べ物の色が変わるのはなぜだろう」という興味も、科学へ入る入口になります。

高校生になると研究成果をポスターにまとめ、東京都高等学校理科研究発表会にも参加します。

中学の理科探究から、高校の理数Sコース、部活動での研究まで、理科を好きになった生徒がその興味を続けられる道があります。

コンピュータ部は、ゲームから3Dプリンターまで

コンピュータ部では、MinecraftやRPGツクールによる制作、Micro:bitを使ったプログラミング、電子工作、3Dプリンターを使ったものづくりなどに取り組みます。

毎年、日本大学理工学部が主催するロボット大会にも参加しています。

ここでは「パソコンが得意な子」だけが完成品を見せるのではなく、中1から高3までが一緒に活動し、先輩・後輩で教え合います。

日本大学付属校であることが、大学進学の推薦制度だけではなく、大学の学問や設備へ中高生の活動から接続する場面にも表れています。

演劇部では、日本大学藝術学部との交流も

演劇部も中高合同で活動し、文化祭や校内発表に向けて作品をつくります。

演技だけでなく、脚本、音響、照明など舞台制作のさまざまな役割を経験できるのが特徴です。

さらに、日本大学の他付属校や日本大学藝術学部との交流も行っています。

舞台に立つのが好きな子だけではありません。

文章を書くのが好き、音を扱いたい、照明を考えたいという子にも役割があります。

一つの作品をつくるには、表に出る人と裏側を支える人の両方が必要です。

茶道・華道・箏曲も、現在の放課後に残っている

探究、プログラミング、サッカーと新しい活動が増える一方、茶道部、華道部、箏曲部といった活動も続いています。

茶道部は作法室で江戸千家を学び、秋桜祭では茶会を開催します。華道部では草月流を学び、学校行事の際には校内へ花を生けます。箏曲部では古典曲から現代曲まで演奏します。

こうした部活動では、技術と一緒に、所作や季節感、人に見てもらうための準備も覚えます。

学校の授業で茶道を経験し、そこからさらに深く続けたければ茶道部へ進むこともできます。

「中高合同」は、6年間の人間関係を広げる

豊山女子では、サッカー、卓球、英語、演劇、サイエンス、華道、書道、箏曲、吹奏楽など、多くの部で中学生と高校生が一緒に活動しています。

中1から見れば、高校生はかなり年上です。

技術を教えてもらうこともあれば、試合や発表へ向かう姿を見ることもあります。

数年後には、自分がその立場になります。

教えてもらう側から、後輩へ渡す側へ変わっていく。

中高一貫校の部活動では、その変化を6年間の中で経験できます。

部活動は「全員やるもの」ではない

一方で、豊山女子では部活動への参加を必須としていません。

放課後にBJメンターを使って勉強する子もいれば、校外の習い事や活動を続ける子もいます。

「文武両道だから必ず運動部へ入る」という学校ではありません。

大切なのは、放課後を何に使いたいのかを本人が考えることです。

週5日の部で大会を目指すのか。週2日の文化部で作品をつくるのか。学校外の活動を続けるのか。

選択肢があるからこそ、自分の一週間を組み立てる必要があります。

「やりたい」が、まだ学校にない場合もある

部活動一覧には、長い歴史を持つ剣道部もあれば、2025年度に始まったサッカー部もあります。そして、現在は有志によるかるた同好会が次の一歩を進めています。

この並びは、豊山女子の放課後をよく表しています。

学校にあるものから好きな活動を選ぶ。それでも見つからなければ、「こんなことをやってみたい」と周囲へ話してみる。

もちろん、提案すれば何でもすぐ部活動になるわけではありません。仲間を集め、活動を続け、学校生活の中で成立する形にしていく必要があります。

思いつきを、続けられる活動まで育てる。

授業では中3の卒業発表へ向けて問いを形にし、放課後では新しい同好会が形になっていく。豊山女子の「0 to 1」は、教室の外でも生徒が試すことのできる考え方です。

進学実績と卒業後の進路|日本大学60.6%、他大学35.9%という現在の進路

日本大学豊山女子中学校を考えるとき、「日本大学の付属校だから、卒業後はほとんど日大へ進む」と思う家庭もあるかもしれません。

現在の進路実績を見ると、学校の姿はもう少し幅があります。

2025年度卒業生259名のうち、4・6年制大学へ進学したのは250名。大学進学率は96.5%です。

その内訳は、日本大学157名・60.6%、他大学93名・35.9%。つまり、日本大学が最大の進学先であることは間違いありませんが、卒業生の3人に1人以上は日本大学以外の大学へ進んでいます。

2025年度卒業生人数割合
日本大学へ進学157名60.6%
他の4・6年制大学へ進学93名35.9%
専門学校3名1.2%
その他6名2.3%
4・6年制大学進学250名/259名96.5%

日本大学157名|文系から理工・医療系まで学部を選べる

2025年度に日本大学へ進学した157名は、一つの学部へ集中しているわけではありません。

日本大学の主な進学学部人数
文理学部40名
法学部24名
理工学部17名
芸術学部16名
商学部15名
経済学部13名
薬学部9名
危機管理学部8名
生物資源科学部6名
生産工学部4名
スポーツ科学部3名
歯学部1名
松戸歯学部1名

文理学部には英文学、心理、教育、情報科学、化学などがあり、芸術学部にも映画、美術、音楽、文芸、演劇、放送、デザインなどがあります。

理系では理工学部の建築、応用情報、物質応用化学などに加え、薬学、歯学、生物資源科学にも進学者がいます。生物資源科学部では獣医学科への進学者も出ています。

「日本大学へ行く」という一言だけでは、実際の進路はかなり見えません。

何を学びたいかによって、同じ日本大学の中でも進むキャンパスも学問も大きく変わる。多くの学部を持つ総合大学の付属校であることは、豊山女子の進路を考えるうえで大きな特徴です。

内部進学は「付属校だから自動的」ではない

日本大学への内部進学には、付属高校向けの推薦制度があります。

中心になるのが「基礎学力到達度テスト」です。

このテストは日本大学の付属高校で共通して行われ、高1・高2・高3の4月と、高3の9月に実施されます。推薦では、このテストの成績を利用する方式があります。

また、学部から示される成績基準や人数枠をもとに、高校3年間の成績で推薦を受ける仕組みもあります。

つまり、「豊山女子に入学すれば、希望する日大の学部へそのまま進める」という制度ではありません。

人気の学部・学科を希望するなら、高校での成績や基礎学力到達度テストに向けた学習が必要です。

付属校の安心は、勉強をしなくてよい安心ではなく、努力した先に大学への具体的なルートが用意されている安心と考えた方が実態に近いでしょう。

N進学コース|日本大学を中心にしながら、進路を一つに固定しない

高校の3コースの中で、日本大学への進学を中心に組まれているのがN進学コースです。

高1では幅広い教科を学び、高2から文系・理系に分かれます。

文系では国語・数学・英語・地歴公民、理系では国語・数学・英語・理科を中心に、基礎学力到達度テストにも対応するカリキュラムです。

ただし、N進学という名前でも、進路を日本大学だけに限定しているわけではありません。

学校自身も「日大・私大への進学」を想定しており、本人の希望によっては他大学を目指します。

中学校へ入学する12歳の時点では、大学名どころか文系・理系も決まっていない子が多数です。

まず幅広く学び、興味が見えてから文理や学部を選ぶ。N進学は、そうした時間を取りやすいコースです。

A特進コース|国公立大・難関私大を一般受験で目指す

日本大学以外を早くから意識する生徒には、A特進コースがあります。

国公立大学、難関私立大学、難関学部への進学を想定したコースで、高1から大学入試を見据えて学習します。

2025年度の他大学合格実績では、お茶の水女子大学1名をはじめ、青山学院大学6名、立教大学5名、法政大学6名、明治大学3名、中央大学2名、学習院大学1名などの合格者が出ています。

2025年度 主な他大学合格実績人数
お茶の水女子大学1名
青山学院大学6名
立教大学5名
法政大学6名
明治大学3名
中央大学2名
学習院大学1名
成城大学6名
成蹊大学5名
日本女子大学4名
昭和女子大学5名
津田塾大学1名

これは合格者数なので、実際の進学者数とは区別して見る必要があります。

それでも、「日大付属校に入ったら外部大学受験が難しくなる」という学校ではないことは分かります。

理数Sコース|女子校で理系を「特別な進路」にしない

豊山女子の進路を考えるうえで、もう一つ外せないのが理数Sコースです。

物理・化学・生物・数学から研究分野を選び、少人数で長期的な探究に取り組みます。研究テーマを自分たちで設定し、実験や発表を重ね、最終的には日本語と英語で論文をまとめます。

進路も医療・薬学・理工・生命科学などへ広がっています。

2025年度の他大学合格実績には、芝浦工業大学2名、東京電機大学3名、東京薬科大学3名、明治薬科大学3名、日本赤十字看護大学3名、日本歯科大学2名などがあります。

日本大学にも、理工学部17名、薬学部9名、生物資源科学部6名、歯学部・松戸歯学部への進学者がいます。

中1の数学探究、中2の理科探究から始まった学びを、高校で研究へ進めることができる。

「女子だから文系が自然」という空気を学校側がつくらず、理系を普通の選択肢として置いていることは、豊山女子の6年間を考えるうえで意味があります。

日本大学への進路を残したまま、他大学へ挑戦できる場合もある

日本大学の付属推薦制度には、学部によっては、日本大学への進学資格を持ちながら国公立大学や私立大学へ挑戦できる併願方式があります。

すべての学部・学科で自由に利用できる制度ではなく、利用条件や対象は確認が必要です。

それでも、付属校の進路を「日大か、外部受験か」の完全な二者択一にしなくてよい場合があることは、受験生にとって重要です。

中学受験の段階で日本大学を有力な選択肢として持ちながら、高校で学力や興味が伸びたら別の大学にも挑戦する。

12歳の選択で、18歳の進路を完全に閉じない。

豊山女子の付属校としての使い方は、ここにもあります。

放課後には、日本大学対策と一般受験対策の両方がある

進路が複数あるため、学習支援も一種類ではありません。

高校では放課後の「BJタイム」で、日本大学の基礎学力到達度テスト対策、難関私大対策、小論文、英会話など、目的に応じた講座を設けています。

さらにA特進を中心に、希望者は校内予備校を利用できます。

一般受験向けの進学ガイダンスもあり、日本大学の各学部については大学教員や卒業生から説明を聞く機会があります。

日大推薦を考える生徒と一般受験をする生徒が、まったく別の学校生活を送るわけではありません。

同じ校舎の中で、それぞれ違うゴールに向けて準備するのが高校段階の豊山女子です。

「約6割が日大」という数字だけでは、この学校の進路は読めない

日本大学への進学率60.6%という数字だけを見ると、「6割が日大へ行く学校」とまとめることはできます。

しかし、それでは残りの35.9%が他の4・6年制大学へ進んでいることや、高校に3つのコースがある意味が見えなくなります。

日本大学へ進みたい生徒は、付属推薦を使うために学力を積み上げる。

国公立・難関私大を目指したくなればA特進という道がある。理科の研究に夢中になれば理数Sでその興味を深められる。

中学校で行ってきた探究やキャリア教育が、高校では実際の進路選択へ変わっていきます。

豊山女子の「0 to 1」は、何かを発表して終わる教育ではありません。

自分は何を学びたいのか。そのために、どのコースへ進み、どの大学を目指すのか。

日本大学という大きな選択肢を持ちながら、最後は自分で進む先を決める。その18歳の選択まで含めて、豊山女子の6年間は設計されています。

学費や諸経費について|2027年度初年度約138万円、6年間の費用を考える

日本大学豊山女子中学校の2027年度入学者は、入学申込金と1年次の学費等を合わせて、初年度138万2,800円が一つの目安になります。

この金額には授業料だけでなく、施設設備資金、実験実習料、図書費、補助教材・行事等関係費、生徒会費、後援会費などが含まれています。

さらに1年次については、学習メンタープログラムとiPad利用にかかる費用も預り金等に含まれています。

「授業料はいくらか」だけを見るより、学校生活を始めるために一年間でどこまで必要になるのかをまとめて確認した方が、豊山女子の学費は分かりやすくなります。

2027年度の初年度納入額は138万2,800円

項目年額
入学申込金230,000円
授業料528,000円
施設設備資金190,000円
その他29,100円
預り金等405,700円
初年度合計1,382,800円

入学手続時には、まず入学申込金23万円を納入します。

その後、授業料などの学費等115万2,800円を支払うため、両方を合わせた初年度の学校納入額が138万2,800円となります。

中学受験では入学金と年間学費が別々に表示されることも多いため、学校間で比較するときには条件をそろえて見る必要があります。

授業料52万8,000円は3期に分けて納入

授業料は年額52万8,000円で、一括ではなく4月・8月・12月の3期に分けて納入します。

納入時期授業料施設設備資金
4月220,000円80,000円
8月176,000円63,000円
12月132,000円47,000円
年間528,000円190,000円

したがって、138万円余りを入学時にまとめて支払うわけではありません。

ただし、4月には授業料・施設設備資金に加えて、年額費用や預り金等の納入もあります。

年間総額だけでなく、「いつ、どのくらい支払うのか」まで確認しておくと、入学前後の家計を組みやすくなります。

「その他」2万9,100円の内訳

学費等のうち、「その他」とされている2万9,100円は次の内容です。

項目年額
実験実習料6,000円(1年次のみ)
図書費3,100円
厚生費20,000円
合計29,100円

§3・§4で見たように、豊山女子では中学校の理科で実験・観察を多く取り入れています。

実験実習料は1年次のみの設定ですが、こうした費用まで含めて学校納入額を考えます。

預り金等40万5,700円には、教材・行事・iPad関連も含まれる

初年度の金額を見るうえで大きいのが、預り金等40万5,700円です。

項目金額
補助教材・行事等関係費370,000円
生徒会費10,000円
後援会費24,000円
手数料1,700円
合計405,700円

補助教材・行事等関係費には、1年次の学習メンタープログラムとiPad利用にかかる費用も含まれます。

豊山女子では授業だけでなく、1人1台端末や放課後の学習支援も学校生活に組み込まれています。そのため、ICT費や学習支援費を完全に別枠として考えるのではなく、初年度の預り金まで含めて比較する必要があります。

なお、募集要項に示された補助教材・行事等関係費37万円は2026年度の金額を基準としているため、実際の納入額が変更される可能性があります。

2年次以降はBritish Hillsや修学旅行の費用も加わる

初年度138万2,800円を、そのまま中学3年間あるいは6年間に掛け算することはできません。

学校は、2年次以降について、通常の学費等とは別にBritish Hills研修や修学旅行などの費用がかかることを案内しています。

現在の学校行事では、中2でBritish Hills、中3で沖縄修学旅行があります。

さらに、中1・2の希望者が参加できるニュージーランド春季短期留学や、所属する部活動によって必要になる費用など、家庭ごとに差が生まれる部分もあります。

「年間学費」と「本人が選ぶ学校生活の費用」は分けて考えるとよいでしょう。

制服・指定品など、入学準備の費用も考えておく

入学前には、学校へ納める学費等以外にも制服や学校生活に必要な指定品をそろえることになります。

こうした費用は、授業料52万8,000円だけを見ていると抜けやすいところです。

特に中学入学時は、制服、通学用品、学習用品などがまとまって必要になります。

学費を比較するときには、入学申込金+年間学費等+入学準備費という三つに分けて予算を考えておくと安心です。

入試には「特待A」「特待B」もある

2027年度入試では、指定された入試の成績上位者を対象に特待生選抜があります。

区分給付内容
特待A1年次の年間授業料相当額 528,000円
特待B1年次の入学申込金相当額 230,000円

特待Bの場合も、入学手続時にはいったん入学申込金を納入し、入学後に相当額が給付されます。

また、すでに合格している受験生が、その合格の権利を保持したまま後の入試で特待生選抜へ挑戦することもできます。

豊山女子への志望度が高く、複数回受験を考えている家庭では、§9で入試日程を組む際にこの制度も確認しておきたいところです。

入学後にも特待生・奨学生制度がある

入試時だけでなく、入学後にも学費を支援する制度があります。

日本大学付属高等学校・中学校特待生は中2・中3が対象で、学業成績が優秀で品行方正な生徒を選考し、授業料1年分相当額を給付します。

また、日本大学豊山女子高等学校・中学校奨学生では、学業成績や人物面などをもとに選考し、年額10万円を給付します。

保護者の死亡や災害などにより学費の支払いが困難になった場合には、審議のうえ授業料未納額相当分を給付する制度も設けられています。

東京都在住なら、中学校の授業料助成も確認したい

東京都には、私立中学校に通う生徒の授業料負担を軽減する制度があります。

2026年度は所得制限なしで年額12万円を上限に授業料が助成されます。

ただし、学校が東京都内にあるだけで自動的に対象になるわけではありません。生徒と保護者が東京都内に住所を有することなどの要件があります。

豊山女子には埼玉県から通う生徒も多いため、家庭の居住地によって利用できる制度が異なります。

また、この12万円は2026年度の制度です。2027年度以降の助成額や条件については、その年度の制度を改めて確認する必要があります。

6年間の費用は「中1の138万円×6」では考えない

豊山女子は中高6年間を見据えて選ぶ学校ですが、教育費の計算も6年間を一つの固定額として考えない方がよいでしょう。

中1では入学申込金やiPad関連費用があり、中2ではBritish Hills、中3では修学旅行があります。希望制の海外研修や部活動を選べば、その分の費用も変わります。

高校へ進めば、学費体系や利用できる公的な支援制度も中学校とは変わります。

そのため学校選びの段階では、まず2027年度の中学初年度は約138万円と押さえたうえで、2年次以降の行事費、高校進学後の費用、本人が希望する活動まで順番に考えるのが現実的です。

「0 to 1」の探究やiPad、学習メンター、宿泊研修まで含めて豊山女子の教育を選ぶのであれば、授業料だけではなく、その6年間でどんな経験に費用が使われるのかまで見ておきたいところです。

入試情報と合格の目安|2科・4科・1科・「0 to 1」プレゼンから選べる入試

日本大学豊山女子中学校の2027年度入試は、2月1日・2日・5日の3日間に行われます。

ただし、試験方式は一つではありません。4科・2科に加えて、国語1科、算数1科、英語1科、さらに学校の教育方針をそのまま入試にした「0 to 1」プレゼンまで用意されています。

豊山女子の入試で考えたいのは、「何回受けるか」だけではありません。

4科で受けるのか、国算に絞るのか、一番得意な1科を使うのか。それとも、自分の経験を言葉にして伝えるのか。

受験生によって入口を変えられることが、2027年度入試の特徴です。

2027年度は2月1日・2日・5日に入試

日程時間帯入試方式募集人数
2月1日(月)午前4科・2科①45名
2月1日(月)午後2科・国語1科・算数1科①25名
2月1日(月)午後英語1科(4技能)10名
2月2日(火)午前4科・2科②20名
2月2日(火)午後2科・国語1科・算数1科②15名
2月2日(火)午後英語1科(2技能)5名
2月2日(火)午後「0 to 1」プレゼン5名
2月5日(金)午後2科・国語1科・算数1科③5名

帰国子女入試を除く一般入試の募集人数は、合計125名です。

最も募集枠が大きいのは、2月1日午前の4科・2科①で45名。豊山女子への志望度が高い受験生なら、まずここを中心に考えるのが自然です。

一方で午後入試が多いため、午前に別の学校を受験してから豊山女子へ向かう日程も組みやすくなっています。

午前入試は4科か2科を選択できる

2月1日午前と2月2日午前は、4科または2科を出願時に選択します。

方式科目・配点合計
4科国語100点・算数100点・社会60点・理科60点320点
2科国語100点・算数100点200点

国語・算数は各50分、社会・理科は各30分です。

4科入試で特徴的なのが、合格判定の方法です。

4科受験者は、4科320点の得点率と、国語・算数200点だけの得点率を比べ、高い方を判定に使用します。2科受験者は国語・算数200点の得点率を使い、最終的には100点満点へ換算して同じグループで判定します。

つまり、4科を選んだからといって、社会・理科で得点を落としたことがそのまま不利になる仕組みではありません。

社会・理科まで準備してきた受験生は4科で力を出しつつ、国語・算数の得点率が高ければ、そちらで評価される余地があります。

午後は「国語だけ」「算数だけ」という受け方もできる

2月1日午後、2日午後、5日午後には、国語・算数の2科だけでなく、国語1科または算数1科を選択できます。

2科は国語・算数各100点の200点満点。1科入試は、それぞれ100点満点です。

2科、国語1科、算数1科は別々のグループとして合否判定されます。

そのため、「算数だけ得意だから、2科受験をして国語の失点を算数で補う」という考え方とは少し違います。算数1科を選んだ場合は、算数1科を選んだ受験生の中で合否が決まります。

得意教科が明確な子には、その一教科をそのまま入試へ持ち込める。

一方で、募集人数や受験者数は回によって小さいため、「1科だから簡単」と考えることはできません。過去問との相性を見て方式を選ぶ必要があります。

英語1科は、2月1日が4技能・2月2日が2技能

英語を得意とする受験生には、英語1科入試があります。

ただし、2月1日と2月2日では内容が違います。

日程方式試験内容
2月1日午後英語1科・4技能リスニング・リーディング・ライティング70点+スピーキング30点
2月2日午後英語1科・2技能リーディング・ライティング100点

4技能入試のスピーキングは5人程度のグループ面接で、英検3級程度のコミュニケーション力を見る試験です。

音読課題もあり、事前に学校Webサイトへ掲載される文章を使って準備できます。

英語を中学受験の主要科目として勉強してきた帰国生・英語学習経験者だけでなく、英検などを通じて英語を積み重ねてきた子にも選択肢があります。

英検取得者には、一般入試でも加点がある

豊山女子では、英語1科入試だけでなく、4科・2科入試でも英検取得級による加点があります。

対象入試英検4級英検3級以上
午前4科・2科+5点+10点
午後2科+10点+20点

午前入試では100点満点へ換算した後の得点に加点されます。午後2科では200点満点の得点へ加点されます。

英語1科にも別の加点制度があります。

英検取得級英語1科への加点
3級+10点
準2級+20点
準2級プラス+25点
2級以上+30点

資格を持っているだけで合格が決まるわけではありませんが、英語を継続して学んできた受験生には、その積み重ねを評価してもらえる入試です。

英検加点を利用する場合は、試験当日に合格証のコピーを持参します。複数回受験する場合は、それぞれの受験回で提出が必要です。

「0 to 1」プレゼンは、これまでとこれからを一本の物語にする

2027年度入試で、学校の教育方針が最も直接的に表れているのが、2月2日午後の「0 to 1」プレゼンです。

課題は、受験生自身の「これまで頑張ってきたこと」と「これから頑張りたいこと」を一つのストーリーにしてプレゼンテーションすることです。

試験は、次の流れで行われます。

内容時間の目安
エントリーシート記入約15分
プレゼンテーション10分
質疑応答約5分

発表形式は自由です。

話すだけでもよく、ポスターなどを持参して使うこともできます。パソコンやタブレットを使いたい場合は、事前に学校へ相談する必要があります。

ここで求められているのは、小学生が大きな発明や社会課題の解決策を用意することではありません。

できなかったことが、努力してできるようになった。興味を持ったことを調べてみた。何かを続けたことで、次に挑戦したいものが見えてきた。

自分がどんな一歩を踏み出してきたのかを、自分の言葉で説明する。

§1から見てきた豊山女子の「0 to 1」が、入試にもそのままつながっています。

直近2026年度は、方式によって受験者数がかなり違う

2026年度の入試結果を見ると、受験者が最も多かったのは2月1日午後の2科①で91名でした。

2026年度入試受験者数合格者数合格最低点
2月1日午前・4科28名19名152点/320点
2月1日午前・2科50名31名93点/200点
2月1日午後・2科①91名83名90点/200点
2月2日午前・4科13名8名164点/320点
2月2日午前・2科19名6名92点/200点
2月2日午後・2科②27名26名101点/200点
2月5日午後・2科③19名16名93点/200点

国語1科・算数1科・英語1科・プレゼン型にも受験者がいるため、単純に一つの倍率だけで学校全体の難度を表すことはできません。

また、募集人数が少ない方式では、受験者数が数人変わるだけでも倍率や最低点の見え方が大きく変わります。

前年の最低点は重要な材料ですが、「去年はこの点で受かったから、今年も同じ点でよい」とは考えない方が安全です。

2科なら、まず100点前後を安定して超えられるか

2026年度の2科合格最低点は、90点、92点、93点、101点と、おおむね200点満点の半分前後でした。

ただし、これはあくまで一年度の結果です。

受験勉強では最低点そのものを目標にするより、過去問を複数年度解いて、最低点を安定して上回れる状態をつくりたいところです。

豊山女子の2科では、国語と算数が各100点です。

片方だけで大きく稼ぐこともできますが、毎回それを期待する受験は安定しません。

基本問題を取りこぼさず、国語・算数の両方で大崩れしないことが、まず合格を近づけます。

四谷大塚の2027年80偏差値は37〜40前後

四谷大塚の2027年入試向けAライン80偏差値を見ると、4科・2科を中心とした入試は次の水準です。

入試Aライン80偏差値Cライン50偏差値
2月1日 4科・2科3732
2月1日午後 2科特待4035
2月2日 4科・2科3732
2月2日午後 2科特待3934
2月5日午後 2科特待3934

午前の4科・2科はAライン80偏差値37、午後2科は39〜40程度です。

ここでも「午後入試だから簡単」とは限りません。

午後には別の学校の午前入試を受けた層も加わり、2科受験は特待生選抜の対象にもなります。

なお、この偏差値は4科・2科系統の目安です。国語1科、算数1科、英語1科、「0 to 1」プレゼンを同じ偏差値で測ることはできません。

特待生を狙うなら、午後の2科・英語も重要

§8で紹介した通り、2027年度には入試成績による特待生制度があります。

特待Aは1年次の年間授業料相当額52万8,000円、特待Bは入学申込金相当額23万円の給付です。

特待生選抜の対象となるのは、午後の2科入試と、2月1日の英語4技能、2月2日の英語2技能です。

国語1科・算数1科や「0 to 1」プレゼンは、特待生選抜の対象ではありません。

一度合格した受験生も、その合格の権利を保持したまま、後の入試で特待生選抜へ挑戦できます。

豊山女子への入学を決めていても、2月5日まで受ける意味が残る場合があります。

複数回受験は、受験料にも合否判定にも配慮がある

受験料は1回だけなら2万5,000円です。

受験回数受験料
1回25,000円
2回30,000円
3回35,000円
4回以上40,000円

同時にすべて出願する必要はありません。途中で追加出願することもできます。

さらに募集要項には、複数回受験した受験生は合否判定の際に十分考慮すると明記されています。

具体的な加点点数などは公表されていないため、「2回受ければ何点増える」と考えることはできません。

それでも、豊山女子への志望度が高い家庭にとっては、複数回受験を検討する材料になります。

2月1日の結果を見てから、2日・5日へ動ける

合格発表はすべてWebで行われます。

入試合格発表
2月1日午前2月1日 19:00
2月1日午後2月1日 21:00
2月2日午前2月2日 19:00
2月2日午後2月2日 21:00
2月5日午後2月5日 21:00

入学手続締切は、いずれの回も2月6日23時59分です。

そのため、2月1日に豊山女子へ合格したからといって、当日のうちに進学先を決めなければならないわけではありません。

第一志望校や他の併願校の結果を待ちながら、2月6日までに判断できます。

また、2月2日午前入試は当日7時、午後の2科・1科・英語は当日12時、2月5日午後は当日12時まで出願できます。

受験期間中の結果に応じて、後半の日程を組み替えやすい学校です。

ただし、「0 to 1」プレゼンだけは2月2日当日の追加ではなく、1月29日23時59分が出願締切なので注意が必要です。

第一志望なら「方式を増やす」より、最初に得意な入口を決める

4科、2科、国語1科、算数1科、英語1科、「0 to 1」プレゼン。

選択肢が多いと、「受けられるものを全部受ければ有利」と考えたくなります。

しかし、小学生にとって午前・午後を何日も続けて受験する負担は小さくありません。

まず考えたいのは、本人の強みです。

4科をバランスよく勉強してきたなら、募集45名の2月1日午前。国語・算数へ集中しているなら2科。どちらか一教科が明確に強いなら1科。英語学習を続けてきたなら英語1科。テストの点数だけでは表しにくい経験を持ち、自分の言葉で伝えられるなら「0 to 1」プレゼンという選択があります。

豊山女子の入試は、「どの試験なら受けられるか」ではなく、「どの試験なら自分の良さを最も出せるか」で選びたい入試です。

そして第一志望なら、その入口を一つ決めたうえで、複数回受験をどう組み合わせるかを考える。

学校が6年間で育てようとしている「自分で考えて一歩を選ぶ」という姿勢は、入学する前の受験方式選びから、すでに始まっています。

併願校パターン|女子校・大学付属・探究教育のどこを軸に組み合わせるか

日本大学豊山女子中学校の併願校を考えるときは、偏差値だけで近い学校を並べるより、「豊山女子の何を気に入ったのか」から考えた方が組みやすくなります。

女子だけの環境なのか。日本大学という進路を持てることなのか。「0 to 1」に代表される探究教育なのか。理数教育なのか。あるいは、板橋区から通いやすいことなのか。

これらをすべて同じ形で持つ学校はほとんどありません。

そこで併願では、豊山女子で気に入った条件を一つか二つ残し、ほかの条件を動かすと、実際に進学しても納得できる学校を見つけやすくなります。

まず、「チャレンジ・標準・安全」は本人によって変わる

2027年入試向けの四谷大塚Aライン80偏差値では、豊山女子は2月1日・2日の午前4科・2科が37、午後2科が39〜40程度です。

近い女子校を並べると、おおよそ次のようになります。

学校2027年Aライン80偏差値の目安比較するときのポイント
日本大学豊山女子37〜40日大付属・女子校・探究・理数
東京家政大学附属女子35〜40板橋区・大学附属女子校
十文字37〜43女子校・探究・巣鴨アクセス
大妻多摩37〜39女子校・探究教育・完全中高一貫
跡見学園43〜44前後
特待50〜51前後
伝統女子校・都心・多様な入試
大妻52〜55伝統女子校・大学受験型

ここで最も避けたいのは、「偏差値35だから安全校」と機械的に決めることです。

安全校とは、本人が模試の80%ラインを継続して上回り、過去問でも合格最低点を余裕をもって取れている学校です。

反対に、偏差値表では同程度でも、問題形式との相性が悪ければ標準校とは言えません。

秋以降は偏差値表だけでなく、過去問の得点まで含めて学校ごとの位置づけを決めます。

十文字中学校|女子校と探究教育を残したい家庭に

豊山女子と比較しやすい学校の一つが、豊島区の十文字中学校です。

女子校であり、現在は「答えのない問い」へ取り組む探究教育を学校全体で進めています。毎年「十文字探究DAY」を設け、中学生・高校生が探究成果を発表するなど、知識を覚えるだけではなく、自分で考え、発信することを重視しています。

豊山女子の「0 to 1」に惹かれた家庭なら、比較しやすい部分があります。

2027年度は2月1日午前の第1回をはじめ、1日午後、2日午前・午後、3日、5日と複数の入試が用意されています。一般的な国算・4科だけでなく、英検利用や思考作文、得意科目を生かす入試もあります。

四谷大塚Aライン80偏差値は、第1回37、第2回43、第3回39、第4回42、第5回42です。

豊山女子と同程度の回もあれば、午後入試では難度が上がる回もあります。

「豊山女子より上か下か」ではなく、受ける回によって役割が変わる学校と考えた方がよいでしょう。

また、巣鴨駅から徒歩5分、大塚駅から徒歩7分なので、板橋・練馬方面からの通学を考える家庭にも比較的検討しやすい立地です。

大妻多摩|2027年は豊山女子とほぼ同じ難度帯

Notebookではチャレンジ校として挙げられていた大妻多摩ですが、現在の偏差値を見ると位置づけは変わります。

2027年入試向けの四谷大塚Aライン80偏差値は、各回37〜39。

豊山女子の午前37、午後39〜40と比べても近く、偏差値だけを基準にすれば標準校グループとして考える方が自然です。

さらに大妻多摩は2027年度から教育内容を大きく刷新し、中1から「探究フィールドワーク」と「データサイエンスリテラシー教育」を導入します。

年間10回以上のフィールドワークを通して問いを見つけ、その問いをデータで考える設計です。

豊山女子の「0 to 1」が、数学探究・理科探究・卒業発表を通じて「自分の問い」を育てるのに対し、大妻多摩は実際の社会や現場へ出て問いをつくる方向が強くなります。

探究教育という共通点がありながら、中身はかなり違います。

ただし、学校は多摩市唐木田にあります。板橋区中台の豊山女子とは通学圏が大きく異なるため、「偏差値が近いから」という理由だけで併願すると、入学後の通学負担がまったく違ってきます。

大妻多摩は難度では比較しやすいが、立地まで含めると家庭を選ぶ併願校です。

東京家政大学附属女子|板橋区で「大学附属女子校」を比較する

立地と学校区分から比較しやすいのが、東京家政大学附属女子中学校です。

同じ板橋区にある女子校で、十条駅から徒歩5分。系列に東京家政大学を持つ大学附属女子校です。

2027年入試向けAライン80偏差値は、一般入試で35、特別奨学生入試などでは40程度です。

豊山女子午前の37と比べると、一般入試は少し低めになります。

ただし、特別奨学生入試は40ですから、「東京家政大附属女子ならすべて豊山女子より入りやすい」というわけではありません。

2027年度は2月1日から5日まで複数回入試があり、国語・算数の1科型も設定されています。

豊山女子を第一志望にして、女子校・大学とのつながり・板橋周辺という条件を残しながら難度を少し下げたい場合には、学校見学をしておきたい候補です。

一方、日本大学と東京家政大学では学部構成も卒業後の進路も異なります。大学附属という言葉だけで同じ学校群として扱わず、どこまで系列大学への進学を考えているのかまで比較します。

跡見学園|伝統女子校の環境を残して、一段上へ

女子校らしい6年間を重視しながら、豊山女子より少し高い難度へ挑戦したい場合には跡見学園中学校があります。

2027年度は2月1日・2日の一般入試に加え、1日・2日の特待入試、4日の思考力・英語コミュニケーションスキル入試、5日の特待入試を設定しています。

一般入試のAライン80偏差値は2月1日43、2月2日44。豊山女子の37〜40より一段高い位置です。

さらに特待入試は50〜51前後まで上がります。

跡見は茗荷谷駅から徒歩2分の都心型女子校で、150年を超える女子教育の歴史があります。

また、校外授業や宿泊行事を含む「本物に触れる教育」、SDGs探究旅行など、教室外で学ぶ機会も設けています。

豊山女子で気に入った「女子校+自分で考える学び」を残しながら、大学進学は外部受験中心で考えたい家庭には比較しやすいでしょう。

大妻中学校|明確なチャレンジ校を一つ置くなら

偏差値帯を一段ではなく大きく上げて挑戦したい場合には、大妻中学校があります。

2027年入試向けAライン80偏差値は、第1回52、2月1日午後54、第2回51、第3回55です。

豊山女子の37〜40とは明確な差があります。

そのため、豊山女子を実力相応校として受ける受験生にとっては、基本的にチャレンジ校として考える位置です。

2027年度からは2月1日午後に2科入試が新設され、従来の2月5日入試は廃止されました。入試は2月1日午前・午後、2日午前、3日午前の4回です。

ただし、大妻は日本大学のような内部進学を学校生活の中心に置く学校ではありません。

同じ女子校でも、「大学付属の安心を持ちながら進路を選ぶ豊山女子」と、「6年間かけて外部大学受験へ向かう大妻」では、高校生活の意味が変わります。

両校に合格した場合に本当にどちらへ進学したいかまで考えて、チャレンジ校に置きたいところです。

「2月1日午前に豊山女子」を軸にする場合

豊山女子を第一志望に近い位置へ置くなら、募集人数が最も多い2月1日午前を受験計画の中心にします。

そのうえで午後に別の女子校を入れるか、豊山女子の午後入試も続けて受験するかを考えます。

たとえば、次のような考え方があります。

日程午前午後
2月1日日本大学豊山女子 4科・2科①日本大学豊山女子 2科・1科・英語
または十文字 第2回など
2月2日日本大学豊山女子 4科・2科②
または別の女子校
日本大学豊山女子 2科・1科・英語・0 to 1プレゼン
または十文字 第4回など
2月3日・4日跡見学園・十文字・大妻多摩など、残した学校へ
2月5日跡見学園など日本大学豊山女子 最終回など

これは受験例であって、すべて受ける必要はありません。

特に豊山女子は午前・午後入試を続けて受けることができますが、同じ学校でも小学生が一日二回試験を受ければ疲れます。

「受けられる枠を全部埋める」ことより、第一志望校で力を出せる状態を残すことを優先します。

チャレンジ校を午前、豊山女子を午後にする方法もある

豊山女子には午後入試があるため、午前に難度の高い女子校へ挑戦し、午後に豊山女子を受ける組み方もできます。

2027年度は、大妻にも2月1日午後入試が新設されたため、女子校の午後入試は選択肢がさらに増えました。

ただし、午前校から豊山女子までは移動が必要です。

午前試験の終了時刻、昼食を取れる時間、電車の乗り換え、豊山女子の集合時刻までを実際に確認し、余裕のある学校だけを組み合わせます。

中学受験の日程は、偏差値表の空欄を埋めるパズルではありません。

移動だけで消耗して、午後の算数で集中できなくなれば意味がありません。

大妻多摩は「チャレンジ」ではなく、学校内容で比較する

今回の併願校選びで、旧来の情報から最も見直しておきたいのが大妻多摩です。

現在の偏差値では、豊山女子とほぼ同じ水準です。

そのため、「豊山女子に落ちたら大妻多摩」「豊山女子から大妻多摩へ挑戦」といった上下関係で考えるより、同程度の学力帯にある二つの女子校から、教育内容と通学で選ぶ方が自然です。

日大付属の進路を持ちながら数学・理科探究を進める豊山女子。

完全中高一貫で、2027年度からフィールドワークとデータサイエンスを強化する大妻多摩。

偏差値が近いからこそ、「どちらの6年間を本人が過ごしたいか」という学校選びがそのまま問われます。

安全校は、東京家政大附属女子と決めつけない

四谷大塚の数字では、東京家政大学附属女子の一般入試35は豊山女子より少し低くなっています。

しかし、偏差値差が2程度しかない回もあります。

そのため、豊山女子を標準校と考えている受験生全員にとって、東京家政大附属女子がそのまま安全校になるわけではありません。

安全校として考えるなら、秋以降の模試で80%ラインを継続して上回っていることに加え、過去問を複数年度解いても合格最低点を余裕をもって超えられるかを確認します。

もしそこまでの余裕がないなら、さらに難度を下げた学校を一校用意する必要があります。

「豊山女子より偏差値が低い学校」と「確実に合格を取りにいく学校」は、同じ意味ではありません。

最後は、「豊山女子でなくても通いたいか」で決める

豊山女子の2027年度入試は回数も方式も多いため、第一志望なら複数回受験しやすい学校です。

だからといって、併願校を用意しなくてよいわけではありません。

中学入試には何が起きるか分かりません。

そのとき、「豊山女子がだめだったから仕方なく行く学校」しか残っていなければ、進学が決まっても気持ちを切り替えにくくなります。

併願校は、不合格だったときに行く学校ではありません。合格したら、本当に6年間通うかもしれない学校です。

十文字なら、探究と女子校文化。大妻多摩なら、自分で問いを立てる新しい探究教育。東京家政大附属女子なら、板橋区の大学附属女子校。跡見学園なら、伝統女子校と都心環境。大妻なら、一段上の大学受験型女子校。

それぞれ、豊山女子と同じところもあれば、違うところもあります。

豊山女子を気に入った理由を言葉にできれば、併願校にも何を残せばよいのかが見えてきます。

偏差値、過去問、通学、そして「合格したら本当に通いたいか」。

この四つをそろえて考えることが、豊山女子を軸にした併願校選びの基本です。

在校生・保護者の声|「自分で決める」が少しずつ増えていく学校生活

日本大学豊山女子中学校の在校生の声を見ていくと、学校生活について繰り返し出てくるのが、「女子だけなので自分を出しやすい」「先生へ質問しやすい」「入学後に自分で勉強するようになった」という話です。

一方、外部の口コミでは、駅から学校までの距離、学校生活のルール、学習への温度感などについて評価が分かれる部分もあります。

豊山女子の評判を見るときは、「日大付属だから安心」「女子校だから穏やか」とまとめるより、その安心できる環境の中で、本人が少しずつ自分から動けそうかを見る方が、この学校との相性をつかみやすくなります。

「女子校だから素を出せる」という声

在校生からは、女子だけの環境について、周囲を必要以上に気にせず「素のままで過ごせる」という声があります。

休み時間には友人と話し、部活動では先輩・後輩とも関わる。女子校だからといって静かな生徒ばかりが集まっているわけではなく、明るくにぎやかな子もいれば、落ち着いて過ごす子もいます。

外部の口コミにも、「女子だけなのが楽」「友達と過ごす時間が楽しい」といった感想が見られます。

性別を意識して役割を決める必要がないことも、女子校の一つの特徴です。

生徒会長も、文化祭の企画を動かす人も、理科の研究をする人も、運動部でチームを率いる人も全員女子です。

小学校では周囲の視線を気にして一歩引いていた子が、中学校で何かの役割を引き受けるようになることもあります。

先生との距離は「質問しやすさ」に表れる

先生については、在校生から「気軽に質問できる」「丁寧に教えてもらえる」という声が出ています。

高校卒業生にも、分からないことを授業中に解決するよう心がけ、先生へ質問することで勉強が楽しくなったと振り返る人がいます。

学校生活の仕組みも、この距離感とつながっています。

ラーニングコモンズで勉強する。放課後に質問する。必要ならBJメンターを使う。テスト後には自分の学習を振り返る。

先生が常に隣について勉強を管理するというより、困ったときに頼れる相手が複数いる学校と考える方が近いでしょう。

もちろん、教員との相性については外部口コミでも評価が分かれます。どの生徒もすべての先生と同じ関係を築くわけではありません。

豊山女子では、「質問できる環境がある」ことと、「本人が実際に質問へ行ける」ことの両方が重要になります。

「入学してから計画的に勉強するようになった」

現在の中学生からは、入学後に自分で考えて勉強を進めるようになった、時間を守れるようになったという声があります。

これは、§3で見た学校の仕組みとも一致します。

朝8時10分から朝学習があり、校内はノーチャイム。定期テストへ向けて計画を立て、必要に応じてラーニングコモンズやBJメンターを利用します。

入学しただけで突然「自律した中学生」になるわけではありません。

最初はテスト前に慌てたり、課題の進め方が分からなかったりすることもあります。そこで先生や大学生メンターの助けを借りながら、少しずつ自分のやり方をつくっていきます。

自律を求める一方で、自律できるようになるまで支える。

この組み合わせが、豊山女子の学習環境には見えます。

BJメンターは、先生とは違う相談相手になる

在校生の声の中には、ラーニングコモンズやBJメンターを実際に使って勉強しているという話もあります。

BJメンターでは女子大学生が学習を支援するため、中学生から見ると「先生」より少し近い先輩のような存在です。

定期テストや英検、模試の勉強について質問するだけでなく、勉強方法や進路について相談することもできます。

豊山女子で面白いのは、女子大学生が「少し先の自分」を想像する材料にもなることです。

大学では何を学んでいるのか。中学生の頃はどう勉強していたのか。理系へ進んだ人はいつ進路を決めたのか。

学習支援でありながら、女子生徒にとって身近なロールモデルに出会う場にもなっています。

行事では、普段と違う友人関係ができる

在校生からは、学校行事を通して他クラスや先輩と交流できることを楽しさとして挙げる声があります。

中学校ではEnglish Camp、British Hills、校外学習、秋桜祭、体育祭、沖縄修学旅行などがあり、普段のクラスとは違う集団で動く場面もあります。

外部口コミでも、文化祭などの行事を楽しんでいるという在校生の感想が見られます。

特に女子校では、行事の企画、装飾、司会、競技、舞台、裏方まで、すべて女子生徒が担当します。

普段は目立たない子が準備で力を発揮したり、授業ではあまり話さなかった相手と一緒に活動したりすることがあります。

友人関係がクラスの席だけで決まらないことは、中高6年間を過ごすうえで大切な部分です。

部活動には「本気でやる子」と「自分のペースでやる子」がいる

部活動についても、学校生活の楽しさとして挙げる生徒がいます。

体操、陸上、放送など大会を目指す部がある一方、茶道、華道、サイエンス、イラスト創作など活動内容は幅広く、部活動そのものも任意です。

そのため、「豊山女子に入ったら全員が部活中心の生活になる」というわけではありません。

週に何日も練習する部を選ぶ子もいれば、活動日数の少ない文化部を選び、放課後は勉強や習い事にも使う子がいます。

2025年度にはサッカー部が発足し、かるた同好会も生徒の活動から生まれています。

用意された部へ入るだけでなく、やりたいことが学校生活の中で新しく生まれる余地があることも、現在の豊山女子らしいところです。

付属校でも、学習への向き合い方には差が出る

外部の口コミで見方が分かれやすいのが、学習環境です。

学習支援が充実していると評価する保護者がいる一方、周囲の学習意欲に物足りなさを感じる在校生の意見もあります。

これは、日大付属校という環境を考えるうえで見逃せません。

高校卒業後は約6割が日本大学へ進み、多くの生徒は高校3年の早い段階から付属推薦を意識します。その一方で、A特進などから外部大学受験へ向かう生徒もいます。

一般受験型の進学校のように、学年全体が同じ大学入試へ向けて一斉に走る学校ではありません。

周囲が勉強するから自分も勉強するのではなく、自分の進路に必要だから勉強する。

高校へ進むほど、この姿勢が求められます。

他大学進学を強く希望する家庭なら、学校全体の進学実績だけでなく、A特進の授業、放課後講習、校内予備校などをどこまで本人が利用できそうかも確認しておきたいところです。

「日大付属だから安心」の受け止め方も家庭によって違う

保護者の声では、日本大学への進路を持てることを学校選びの理由に挙げる家庭があります。

高校受験がないため、部活動や行事、検定、探究などに時間を使いやすいという見方もあります。

一方で、内部進学があるから何もしなくてよいわけではありません。

希望する学部へ進むには、日々の成績や基礎学力到達度テストへの準備が必要です。他大学を目指すなら、さらに一般受験へ向けた勉強も続けます。

つまり、豊山女子の安心感は「進路を考えなくてよい安心」ではなく、「進路を考えるときに一つ大きな選択肢を持てる安心」です。

この違いを理解して入学するかどうかで、付属校への満足度も変わってきます。

校則は「自由放任」ではない

女子だけでのびのび過ごせることと、学校生活のルールが少ないことは同じではありません。

スマートフォンは持ち込めますが、校内では電源を切って鞄にしまいます。服装や頭髪についても学校生活上の決まりがあります。

外部口コミでは、こうしたルールを「普通」と感じる生徒もいれば、細かいと感じる生徒もいます。

ここは家庭の教育方針との相性が出やすい部分です。

中学生のスマートフォンや服装を広く本人の判断に任せたい家庭と、学校側にも一定の線を引いてほしい家庭では、同じ校則でも評価が変わります。

「0 to 1=何をしても自由」ではありません。

決められたルールの中で、自分が何をするかを考える学校です。

アクセスについては、「スクールバスが便利」と「駅から遠い」の両方がある

立地についても、口コミでは評価が分かれます。

上板橋駅・志村三丁目駅から徒歩約15分なので、「最寄り駅から遠い」と感じる声があります。

一方、赤羽駅・練馬駅からスクールバスがあることを便利と感じる家庭もあります。

これはどちらも同じ学校についての感想です。

自宅が東上線沿線なのか、三田線なのか、赤羽や練馬を経由しやすいのかによって、通学の印象は大きく変わります。

口コミで「アクセスが悪い」と書かれているかどうかより、自宅から実際に通ってみたら何分かかるかを確認した方が確実です。

女子校の「穏やかさ」だけを期待すると、少し違うかもしれない

豊山女子について、保護者からは「のびのびしている」「子どもが楽しそう」といった声があります。

一方、最近の在校生の口コミには、学校内がにぎやかだと感じる意見もあります。

女子校という言葉から、「静かでおとなしい生徒が多い学校」を想像する必要はありません。

体育祭や秋桜祭では盛り上がり、部活動に熱中する生徒もいます。休み時間には友人同士でにぎやかに話します。

もちろん全員が活発なわけでもなく、一人で落ち着いて過ごす生徒もいます。

「女子だけだから静か」ではなく、「女子だけだから遠慮せず自分を出しやすい」。

豊山女子の女子校らしさは、こちらの方が近そうです。

卒業後の声を見ると、「自分で選んだ経験」が残っている

卒業生の歩みを見ると、日本大学へ進んだ人だけではありません。

日本大学法学部から記者になった卒業生、日本大学医学部から医師になった卒業生、青山学院大学理工学部から技術職へ進んだ卒業生など、それぞれ違う道を選んでいます。

共通して語られているのは、学校時代に勉強や部活動へ取り組んだこと、自分で進路を選んだこと、時間の使い方や人との接し方を学んだことです。

12歳の時点で将来が決まっていた生徒ばかりではありません。

学校生活の中で何かに興味を持ち、大学を選び、その先の仕事へ進んでいます。

豊山女子でいう「0 to 1」は、中学校の探究発表で完結するものではない。

自分の道を自分で決める経験へつながっていくことが、卒業生の進路からも見えてきます。

評判を読むなら、「娘にとってどうか」まで一段深く見る

口コミサイトには、高く評価する人もいれば、入学後に合わなかったと感じる人もいます。

女子校の気楽さを心地よく感じる人もいれば、友人関係に悩む人もいる。先生との距離が近いと感じる人もいれば、相性が合わないと感じる人もいます。

一つの口コミだけで、375名の中学生全員の学校生活を説明することはできません。

だからこそ、学校説明会や秋桜祭では、設備を見るだけでなく生徒を見ておきたいところです。

生徒同士はどんな雰囲気で話しているか。先生へどう声をかけているか。文化部と運動部ではどんな生徒が活動しているか。

そして最後は、本人自身がどう感じるかです。

「この中なら、自分も何かやってみたいと思える?」

豊山女子の評判を学校選びに使うなら、星の数より、その問いへの本人の反応の方が6年間を考える材料になります。

この学校に向いている子の特徴|安心できる環境から、一歩外へ出てみたい子へ

日本大学豊山女子中学校に向いているのは、最初から何でも自分で決められる子ではありません。

朝学習があり、ノーチャイムで時間を管理し、中1では数学探究、中2では理科探究、中3では卒業発表に取り組む。分からなければ先生やBJメンターを頼ることもできます。

この6年間で求められているのは、完成された自立ではなく、「次は自分でやってみよう」と少しずつ任される範囲を広げていくことです。

そのため豊山女子との相性を見るなら、「しっかりした子か」より、「安心できる場所があれば、自分から一歩動いてみようと思える子か」を考える方が分かりやすくなります。

女子だけの環境を「気楽」と感じられる子

豊山女子では、授業も行事も生徒会も部活動も、中心になるのは女子生徒です。

在校生からも、女子校なので周囲を必要以上に気にせず、素の自分を出しやすいという声があります。

女子校だから、おとなしい子ばかりが集まるわけではありません。よく話す子もいれば、静かに過ごす子もいます。

重要なのは、女子だけで過ごす日常そのものを居心地よく感じられるかです。

小学校では人前に出ることをためらっていた子でも、「この中なら発言してみよう」「役割を引き受けてみよう」と思えることがあります。

反対に、共学校で男女一緒に過ごすことを学校選びの重要な条件にしている子なら、6年間の環境はよく考えた方がよいでしょう。

「何が好きか」が、まだ決まっていない子にも合う

豊山女子の「0 to 1」という言葉を見ると、すでに強い興味や特技を持った子の学校に感じるかもしれません。

しかし、中学入学時に探究テーマや将来の職業が決まっている必要はありません。

中1では数学探究、中2では理科探究、中3では自分でテーマを決める卒業発表へ進みます。国際体験やキャリア講演、日本大学の学部体験など、学校生活の中でさまざまな分野に触れる機会もあります。

最初から「これをやりたい」と決まっている子だけではなく、いろいろ試しながら、自分が面白いと思えるものを探したい子にも使いやすい6年間です。

答えを教えてもらうだけでなく、「なぜ?」を楽しめる子

豊山女子の探究は、総合学習の時間だけに閉じていません。

数学では、法則がなぜ成り立つのかを考える。理科では、予想して実験し、結果から考察する。中3では、自分で問いを設定して一年かけて発表まで進めます。

そのため、問題集を解いて正解を出すことだけが好きな子より、「どうしてこうなるんだろう」「別の方法はないかな」と少し寄り道して考えることを面白がれる子の方が、豊山女子の探究を生かしやすいでしょう。

もちろん、入学時から発表や探究が得意である必要はありません。

調べ方も、まとめ方も、人前で伝える方法も、中学校3年間を使って覚えていきます。

理科や数学に興味を持つ女子には、先の道が見えやすい

理系分野に少しでも興味がある子には、豊山女子独自の見え方があります。

中1の数学探究、中2の理科探究、3つの理科実験室での実験・観察を経て、高校には理数Sコースがあります。

理数Sでは物理・化学・生物・数学から研究分野を選び、長期間の研究へ進みます。卒業後には日本大学の理工・薬・生物資源科学などをはじめ、他大学の理工・薬学・医療系へ進む道もあります。

「女子校で理系を選ぶ」ことを特別なこととして扱わず、普通の進路の一つとして考えられる環境です。

小学生の段階では「理系」と決めていなくても、実験が好き、図形を考えるのが好き、生き物が好きという程度の興味があれば、その先を試す場所があります。

日本大学を進路の一つとして持っておきたい子

豊山女子を選ぶ理由として、日本大学付属校であることは外せません。

2025年度卒業生では60.6%が日本大学へ進学しています。

文理、法、理工、芸術、商、経済、薬、生物資源科学など学部の選択肢は広く、高校では日本大学の学部について具体的に知る機会もあります。

中学受験が終わったあと、大学受験まで一直線に競争を続ける学校生活ではなく、日本大学という具体的な選択肢を持ちながら、6年間で自分の進路を考えたい子には合いやすいでしょう。

ただし、希望学部へ自動的に進めるわけではありません。高校での成績や基礎学力到達度テストへ向けた学習は必要です。

「日大に行くかどうか」を12歳で決め切りたくない子

一方、豊山女子は「日本大学へ進むと決めた子だけ」の学校でもありません。

2025年度卒業生では35.9%が日本大学以外の4・6年制大学へ進学しています。

高校には、国公立大学・難関私立大学を目指すA特進、日本大学を中心に進路を考えるN進学、理数分野を深く学ぶ理数Sがあります。

中学生のうちに興味や学力が変化し、その結果として進む方向を変えることもできます。

日大付属という安心はほしい。でも、18歳の進路まで今決めたくはない。

そんな家庭には、豊山女子の進路設計は検討しやすいでしょう。

最初は手を借りても、少しずつ自分で勉強したい子

豊山女子では、自律を重視する一方、学習を本人任せにはしていません。

朝学習、ラーニングコモンズ、教員への質問に加え、希望者には女子大学生が支援するBJメンターがあります。

中1から完璧な学習計画を立て、自分だけで実行できる必要はありません。

最初は「定期テストまで何をすればよいか分からない」と相談してもよい。そこから、次の試験では少し早く始める。やがて自分で必要な学習を判断する。

「面倒を見てもらいたい子」から「自分でできる子」へ変わっていく途中を支えてほしい家庭には、この仕組みが生きます。

人前で話すことが苦手でも、「伝える力」を伸ばしたい子

豊山女子では、発表する場面が少なくありません。

英語スピーチコンテストでは全員が発表を経験し、中3の卒業発表では一年間探究した内容をプレゼンします。秋桜祭や部活動でも、誰かに見てもらうことを意識して作品や企画を仕上げます。

2027年度入試には「0 to 1」プレゼンまで設けられています。

だからといって、入学前から話すことが得意な子だけが向いているわけではありません。

むしろ、「人前は少し苦手だけれど、自分の考えを伝えられるようになりたい」子にとって、何度も経験できることに意味があります。

部活動でも習い事でも、自分の放課後を選びたい子

豊山女子には体育部・学芸部の幅広い選択肢があり、2025年度にはサッカー部が新しく発足しました。有志から始まったかるた同好会も活動しています。

一方、部活動への参加は必須ではありません。

大会を目指して週に何日も練習することもできれば、文化部を選ぶことも、放課後を勉強や校外の習い事へ使うこともできます。

大切なのは、学校が放課後の過ごし方を一つに決めていないことです。

「自分は学校が終わったら何をしたいか」を考えられる子なら、選択肢を使いやすくなります。

まだ入りたい部が決まっていなくても、クラブ見学で「これ、面白そう」と思えるものが一つ見つかれば十分です。

一定のルールがある中で、自分で考えたい子

豊山女子の自律教育は、自由放任とは違います。

ノーチャイムで時間は自分で管理しますが、学校生活には服装やスマートフォンなど一定のルールがあります。

つまり、「好きな時間に好きなように動く自由」ではなく、共有されたルールの中で、自分が次に何をすべきか考える学校です。

細かな規則をできるだけ少なくし、すべて本人の判断に任せる校風を求める家庭とは、印象が違う可能性があります。

反対に、中学生のうちは学校にも一定の生活指導をしてほしい、その中で本人の自主性を広げてほしいと考える家庭には合わせやすいでしょう。

通学に徒歩やスクールバスがあっても、通いたい理由がある子

豊山女子は、上板橋駅・志村三丁目駅からそれぞれ徒歩約15分です。赤羽駅・練馬駅からはスクールバスも利用できます。

駅を降りればすぐ校門という学校ではありません。

そのため、学校そのものを気に入っていても、6年間の通学が現実的かは別に確認する必要があります。

朝は何時に家を出るのか。部活動をしたら何時に帰宅するのか。雨の日や夏の暑い日に15分歩けるか。スクールバスならどの便を使うのか。

「少し遠いけれど、ここへ通いたい」と本人が思える理由があるかは、最後まで見ておきたい点です。

学校から「与えてもらう」ことだけを期待する子には、もったいない

豊山女子には、日本大学への進路、iPad、探究授業、英語体験、海外研修、BJメンター、部活動など、さまざまな仕組みがあります。

ただし、用意されていることと、本人が使うことは同じではありません。

ニュージーランドへ行くかどうか。BJメンターへ質問するかどうか。部活動を選ぶかどうか。卒業発表でどんな問いを立てるか。高校でどの進路を選ぶか。

学年が上がるにつれて、本人が決める場面は増えていきます。

「学校が全部やってくれるから安心」という期待だけで入ると、豊山女子の教育を使い切れないかもしれません。

選択肢を用意してもらったら、その中から自分で一つ選んでみたい。

そんな子の方が、この学校の6年間を面白くできます。

「0 to 1」に必要なのは、最初からの積極性ではない

豊山女子に向いている子を、「主体性のある女子」とだけ書いてしまうと、すでに何でもできる子のように見えます。

しかし、学校が中1から中3まで段階をつけて探究を行い、女子大学生のメンターまで用意していることを考えると、むしろ育てようとしているのはその途中です。

自分から質問できなかった子が、一度先生へ聞いてみる。

人前で話すのが苦手だった子が、友人と一緒に発表してみる。

理科が得意だと思っていなかった子が、実験をきっかけにもっと知りたくなる。

将来が決まっていなかった子が、高校のコースを選ぶ頃には「これを勉強してみたい」と言えるようになる。

0から1へ進む距離は、人によって違います。

日大豊山女子に向いているのは、入学時から一歩先にいる子ではなく、安心できる女子校の中で、これまでより一歩だけ自分から動いてみたい子です。

まとめ|進路の安心があるから、まだ決まっていない自分を試せる

日本大学豊山女子中学校を見てきて、最後に残るのは一つの組み合わせです。

日本大学付属校としての「安心」と、「0 to 1」という挑戦。

一見すると、この二つは反対方向を向いているように見えます。

大学への道があるなら、無理に挑戦しなくてもよい。反対に、自分で新しい道を切り開くなら、付属校である必要はない。そう考えることもできます。

しかし、豊山女子の6年間は、その二つをむしろつなげて考えています。

「0 to 1」は、何か特別なことを始めるための言葉ではない

豊山女子でいう「0 to 1」は、起業家になることでも、大きな発明をすることでもありません。

中1なら、自分で時計を見て次の授業へ向かう。

数学で「なぜこうなるのだろう」と考えてみる。

English Campで、知っている英語を使って外国人講師へ話しかける。

部活動で「こんなことをやりたい」と仲間へ伝える。

中3になれば、自分で探究テーマを決め、一年間かけて卒業発表まで持っていきます。

昨日まで誰かに決めてもらっていたことを、今日は一つだけ自分で決める。

豊山女子の「0 to 1」は、そうした日常の小さな変化まで含んでいます。

女子校だからこそ、「誰がやるか」を決めつけなくてよい

その一歩を試す場所が、女子だけの学校であることにも意味があります。

生徒会を動かすのも女子。文化祭を企画するのも女子。理科の研究をするのも女子。サッカーをするのも女子。舞台に立つ人も、音響を担当する人も女子です。

学校生活の中で、「これは男子の役割」「女子ならこちら」と分けられる場面がありません。

数学が好きなら深く考えてみる。科学に興味を持ったら実験を続ける。人前で話すのが苦手でも、卒業発表では自分の言葉で伝えてみる。

高校には理数Sコースもあり、理工・薬・医療系を含む理系進路を具体的に考えることができます。

「女子だから何をするか」ではなく、「自分は何をしてみたいか」から選べる。

それが豊山女子の女子校としての意味の一つです。

日本大学への道は、6年間を急がなくてよい時間に変える

2025年度卒業生では60.6%が日本大学へ進学しました。

法、文理、経済、商、芸術、理工、薬、生物資源科学など、総合大学ならではの幅広い学部があります。

中学受験をする12歳の段階で、「18歳になったら何を学びたいか」が決まっていなくても不思議ではありません。

中1では数学が好きだったのに、中2の実験で生物に興味を持つかもしれません。British Hillsをきっかけに英語をもっと使いたくなるかもしれない。部活動で映像制作に触れ、芸術系の進路を考える子もいるでしょう。

日本大学への具体的なルートがあることで、将来を早く決めることより、興味が変わる時間そのものを持ちやすいのが付属校の一つの使い方です。

それでも、進路を学校任せにはできない

もちろん、日本大学付属校だから進路選択が自動的に終わるわけではありません。

希望する学部へ進むには、高校での成績や基礎学力到達度テストへの準備が必要です。

他大学へ進みたいなら、A特進などで一般受験へ向けた学習を続けることになります。理数分野を深く研究したければ、理数Sという道もあります。

実際、2025年度卒業生の35.9%は日本大学以外の4・6年制大学へ進みました。

豊山女子では、「日大へ行くか、行かないか」を12歳で決める必要はありません。

その代わり、高校生になる頃には、用意された選択肢の中から自分で進む方向を決めることが求められます。

「面倒見のよさ」と「自律」は、途中で入れ替わっていく

中学1年生の最初から、一人で何でもできる子ばかりではありません。

朝学習があり、先生へ質問でき、希望すれば女子大学生のBJメンターも利用できます。英語も探究も、最初から高度なものを要求するのではなく、学年を追って経験を積んでいきます。

しかし、中3まで同じように誰かから指示され続けるわけでもありません。

校外学習では、学年が上がるにつれて自分たちで計画する範囲が広がります。探究も、中1・中2では教科の中で考え方を学び、中3では自分の問いへ進みます。

最初は支えてもらい、少しずつ自分へ戻されていく。

豊山女子の「自律」は、いきなり手を離す教育ではなく、その順番を6年間でつくる教育です。

この学校の価値は、「完成された子」を集めることではない

「0 to 1」という言葉から、積極的で、発表が得意で、自分の夢を明確に語れる子を想像する必要はありません。

むしろ、豊山女子で過ごす意味があるのは、その途中にいる子です。

人前で話せないけれど、少し話せるようになりたい。

勉強の計画を立てるのが苦手だけれど、中学生になったら自分でできるようになりたい。

理科は好きだけれど、理系へ進むかはまだ分からない。

将来の職業は決まっていないけれど、いろいろなものを見てから選びたい。

「まだ決まっていない」は、豊山女子では弱点ではありません。

その状態から一つ試し、合わなければ考え直し、また別の一歩を選ぶ。そのための時間が中高6年間あります。

学校見学では、「何があるか」より「何をしてみたいか」を考える

豊山女子を訪れたら、ラーニングコモンズを見る。理科実験室を見る。人工芝グラウンドや作法室を見る。部活動を見学する。

ただ、施設を一通り確認したところで終わらせるのは少し惜しい学校です。

本人がどこで足を止めるかを見てみたいところです。

理科実験室を長く見るのか。サッカー部が気になるのか。English Campの写真に反応するのか。文化祭の舞台を見て、「やってみたい」と言うのか。

そこで見つかった小さな興味は、まだ進路ではありません。

けれど、「ここに入ったら何をしてみたい?」と聞いたときに何か一つ返ってくるなら、それは学校との相性を見る大切な手がかりになります。

安心できる場所から、最初の一歩をつくる6年間

中学受験では、偏差値、大学進学実績、学費、入試日程と、数字で比べられるものがたくさんあります。

それらは学校選びに必要です。

ただ、日本大学豊山女子中学校について最後に考えたいのは、数字では測りにくい部分です。

女子だけの環境で、自分を少し出してみる。

分からないことを質問してみる。

興味を持ったものを調べてみる。

やりたいことがあれば、誰かへ話してみる。

そして6年後、自分が学びたいものを考えて進路を選ぶ。

日本大学への道が用意されているから、決められた道を歩くのではない。

大きな選択肢を一つ持っているからこそ、その途中でまだ知らない自分を試すことができる。

「0 to 1」と日大付属。この二つが同じ学校にある理由をそこまで想像できると、日本大学豊山女子中学校で過ごす6年間の姿が見えてきます。

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