- 学校の概要|「大学附属」でありながら外部大学を目指す完全中高一貫校
- アクセスと立地環境|中山駅から徒歩15分、緑に囲まれた広いキャンパス
- 教育方針とカリキュラム|STEAM・ICT・探究を6年間でつなぐ学び
- 学習環境と施設設備|広いキャンパスとICT環境を日常の学びに使う
- 学校生活と行事|生徒自身が動き、仲間とつくる6年間
- クラブ活動|約20の部活動で、好きなことを6年間かけて深める
- 進学実績と卒業後の進路|神奈川大学への推薦権を持ちながら、外部大学へ挑戦する
- 学費や諸経費について|初年度は約121.7万円、端末・制服まで含めて考える
- 入試情報と合格の目安|2027年度は第1回にJ_DESを導入、3回の受験機会をどう使うか
- 併願校パターン|2月1日午後の神大附属を軸に、男女別でどう組み合わせるか
- 在校生・保護者の声|自由に任せるだけではない、「自分で動く」ことを支える校風
- この学校に向いている子の特徴|興味を持ったことを、自分で深めていける子
- まとめ|「大学附属」という安心と、進路を自分で選ぶ自由
学校の概要|「大学附属」でありながら外部大学を目指す完全中高一貫校
神奈川大学附属中学校は、横浜市緑区台村町にある私立の共学校です。高校からの募集を行わない完全中高一貫校で、中学校に入学した生徒が同じ教育方針のもとで6年間を過ごします。
校名には「神奈川大学附属」とありますが、卒業後の進路を神奈川大学に限定する学校ではありません。神奈川大学への推薦制度を持ちながら、卒業生の9割以上が他の国内大学や海外大学などへ進みます。大学とのつながりを持つ附属校でありながら、進学校として幅広い進路を目指す。この二つを併せ持つことが、神大附属を理解する最初のポイントです。
| 学校名 | 神奈川大学附属中学校 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県横浜市緑区台村町800 |
| 設置区分 | 私立 |
| 男女区分 | 共学 |
| 学校形態 | 完全中高一貫校(高校募集なし) |
| 1学年の規模 | 約220名・6クラス |
| 建学の精神 | 質実剛健・積極進取・中正堅実 |
| 教育の中心 | 「学び続ける生徒」の育成 |
「質実剛健・積極進取・中正堅実」を教育の土台に置く
神奈川大学附属中学校の教育は、神奈川大学と共通する「質実剛健」「積極進取」「中正堅実」という建学の精神を土台としています。
「質実剛健」は、飾ることよりも中身を大切にし、自らを律してたくましく生きること。「積極進取」は、未知のものや難しい課題にも自分から挑戦すること。「中正堅実」は、一方に偏らず物事の本質を考え、地に足をつけて行動することにつながります。
学校ではこれを現代的な言葉で、「自ら考え、判断し、行動できる人へ」という方向に結びつけています。
STEAM教育や探究学習、ICT活用といった現在の教育も、単に新しいことを取り入れるためのものではありません。調べたことをそのまま受け取るのではなく、自分で問いを立て、考え、試し、判断する。建学の精神は、そうした日々の学び方の中に置き換えられています。
1984年の創立から受け継がれる「自主性」の教育
神奈川大学附属中・高等学校は1984年に認可され、翌1985年に開校しました。当初は男子校としてスタートし、1988年に男女共学となっています。
創立時から重視されてきたのが、英語・理数教育とともに、生徒自身の自主性や自立心を育てることでした。
その後、社会ではインターネットやスマートフォンが普及し、現在では生成AIまで日常に入ってきました。学習環境は開校当時から大きく変わっています。
一方、「自分で考える」「異なる人と関わる」「未知のことに挑戦する」という教育の方向は変わっていません。ICTやSTEAM教育が強化された現在も、その根にあるのは40年以上続く自主性重視の教育です。
1学年約220名、6クラスの完全中高一貫共学校
1学年は約220名で、6クラス編成です。高校から新たな生徒が入学しないため、中学1年で出会った学年集団が基本となり、そのまま高校3年まで進んでいきます。
1学年100名に満たない小規模校ほどではありませんが、300名、400名規模の学校と比べれば、学年全体の顔が見えやすい人数です。
学校でも、この規模を「顔の見える完全中高一貫共学校」と位置づけています。同じクラスだけでなく、学校行事や部活動、探究活動などを通して学年内の交流が広がります。
共学校であることも学校生活の一部です。男女でクラスを分けるのではなく、日々の授業や行事、部活動の中で自然に関わりながら6年間を過ごします。違う考え方を持つ相手と協力することも、学校が重視する「他者を尊重し、協働する力」につながっています。
「学び続ける生徒」を育てる6年間
神大附属が現在の教育目標として前面に出しているのが、「学び続ける生徒」という言葉です。
ここでいう「学ぶ」は、定期試験で高得点を取ることだけを指しているわけではありません。授業で疑問を持ち、実験する。ICTを使って調べる。探究活動で自分の問いを深める。行事では仲間と話し合って企画を動かす。そうした経験を広く学びとして捉えています。
6年間のカリキュラムも段階的です。中学1・2年では基礎力を整え、中学3年・高校1年では応用力や探究活動を深め、高校2・3年になると進路に応じた学習へ比重を移していきます。
最初から完成された学習者を求めるのではなく、6年間の中で「自分で学ぶ」という状態へ近づけていく構成です。
「神奈川大学附属=内部進学中心」ではない
学校名だけを見ると、卒業生の多くがそのまま神奈川大学へ進学する大学附属校を想像するかもしれません。しかし、神大附属では進路の姿がかなり異なります。
卒業生の9割以上が神奈川大学以外の国内大学や海外大学などへ進路を取っています。国公立大学や早慶上理、GMARCHなどを目指す生徒も多く、学校側も大学受験に対応した進路指導を行っています。
一方で、神奈川大学との関係がなくなるわけでもありません。神奈川大学への推薦枠が用意され、一部の推薦制度では推薦による進学資格を確保しながら他大学を受験することもできます。
これは、「神奈川大学へ進むか、外部大学へ進むか」を中学入学時に決める仕組みではありません。神奈川大学という選択肢を持ちながら、6年間で自分の興味や学力が変われば、その時点で別の大学を目指すこともできます。
大学との距離が近いからこそ、進路を早く固定しない
附属校であることは、内部進学制度だけに表れるものではありません。神奈川大学との高大連携を通して、大学の研究や専門分野に触れる機会があります。
大学での授業体験、図書館やスポーツセンターでの仕事体験、専門分野を使った講座など、中高生の段階から「大学では何を学ぶのか」を具体的に知ることができます。
こうした経験は、「神奈川大学へ進学するため」というより、自分の進路を考える材料として使われています。大学という場所を早くから知ることで、学部や学科の違いを理解し、「自分は何を学びたいのか」を考えるきっかけになります。
神大附属は、大学への道があらかじめ一本に決められた附属校ではありません。大学とのつながりを持ちながら、最終的な進路は自分で選ぶ。STEAM、ICT、探究、進路指導までを含めて見ると、この考え方が学校全体を貫いていることが分かります。
アクセスと立地環境|中山駅から徒歩15分、緑に囲まれた広いキャンパス
神奈川大学附属中学校は、横浜市緑区台村町にあります。最寄り駅はJR横浜線・横浜市営地下鉄グリーンラインの中山駅で、南口から学校までは徒歩約15分、距離にすると約1kmです。
相鉄線を利用する場合は鶴ヶ峰駅からバスで向かうこともでき、「西ひかりが丘」バス停から徒歩約3分です。さらに中山駅から路線バスを利用して「森の台小学校入口」で下車するルートもあります。
駅の目の前に建つ都市型の学校とは異なり、駅から少し歩く代わりに、校内には広いグラウンドやテニスコート、豊かな樹木などが広がります。通学の便利さだけを最優先するのではなく、6年間を過ごす環境そのものに広さを取った学校と考えると、神大附属の立地が分かりやすくなります。
| 所在地 | 神奈川県横浜市緑区台村町800 |
|---|---|
| 主な最寄り駅 | JR横浜線・横浜市営地下鉄グリーンライン「中山駅」 |
| 中山駅から | 南口より徒歩約15分(約1km) |
| 中山駅からバス | 「森の台小学校入口」下車、徒歩約3分 |
| 鶴ヶ峰駅から | 相鉄バスで「西ひかりが丘」まで約20分、下車後徒歩約3分 |
| スクールバス | なし |
基本ルートは中山駅から徒歩約15分
多くの生徒が利用するのが、中山駅から徒歩で学校へ向かうルートです。JR横浜線と横浜市営地下鉄グリーンラインの2路線を利用できます。
徒歩時間は約15分なので、駅前型の私立中学校と比べれば少し歩きます。学校までの道には緩やかな上りもあり、初めて学校説明会へ向かうときには数字以上に距離を感じる家庭もあるかもしれません。
ただ、中高6年間毎日歩くことを考えると、この15分も学校生活の一部になります。駅を出てすぐ校門という学校とは違い、友人と話しながら歩き、学校へ気持ちを切り替えていく時間ができます。
受験を検討する場合は、説明会や文化祭の際に実際に中山駅から歩き、坂道や所要時間を本人がどう感じるかを確認しておくとよいでしょう。
JR横浜線なら横浜・町田方面から通いやすい
中山駅を通るJR横浜線は、東神奈川・新横浜・長津田・町田・橋本・八王子方面を結びます。
横浜方面からは東神奈川などを経由して利用でき、東京都町田市や相模原市方面からも一本の路線で中山駅まで来ることができます。新横浜駅を経由するため、横浜市北部からも通学ルートを作りやすい路線です。
神奈川大学附属は横浜市緑区にありますが、実際の通学圏は横浜市内だけには限られません。横浜線沿線の町田・相模原方面まで視野に入れられることが、共学校として広い地域から生徒が集まる背景の一つになっています。
グリーンラインなら港北ニュータウン方面からも通える
横浜市営地下鉄グリーンラインも中山駅を起点としています。日吉、センター北、センター南、都筑ふれあいの丘などを結んでおり、横浜市北部・港北ニュータウン方面から通学できます。
日吉駅では東急東横線・目黒線などに接続するため、川崎市内や東京都南部からグリーンラインを利用する経路も考えられます。
同じ中山駅でも、横浜線を使う生徒とグリーンラインを使う生徒では自宅の方向がかなり異なります。複数方面から生徒が集まることは、共学校である神大附属の人間関係にも自然な広がりを生みます。
相鉄線方面からは鶴ヶ峰駅+バスという選択肢
相鉄線沿線から通う場合は、鶴ヶ峰駅から相鉄バスを利用できます。
鶴ヶ峰駅から「西ひかりが丘」までは約20分で、バス停から学校までは徒歩約3分です。横浜駅から相鉄線を利用する家庭や、二俣川・大和・海老名方面から通う家庭にとっては、このルートも現実的です。
また、中山駅からも路線バスを利用でき、「森の台小学校入口」で下車すれば学校までは徒歩約3分です。雨の日や荷物の多い日などには、徒歩15分とは別の経路を持っていることも知っておくと便利です。
ただし、学校専用のスクールバスではないため、道路状況や時間帯によって所要時間が変わる可能性があります。入試当日の移動では、時間に余裕を持っておきたいところです。
駅から少し離れているからこそ、広い校地がある
神大附属の立地を考えるとき、徒歩15分という数字だけを見ると「駅から少し遠い学校」という印象になるかもしれません。
一方、学校に到着すると、都市部の駅前校とはかなり違う景色が広がります。グラウンド、テニスコート、体育施設、樹木に囲まれた校地など、中高生が6年間過ごすための空間に余裕があります。
校内にはカツラ林などの自然も残り、理科や探究活動の題材として学校周辺の環境そのものを使うこともできます。教室を出てもすぐ道路やビルという環境ではなく、学校の中に「外へ出て活動できる場所」があります。
駅から数分という便利さと、広い校地を持つことは、都市部ではなかなか両立しません。神大附属は後者をしっかり取った学校です。
24時間の警備体制と災害への備え
広い校地で多くの生徒が過ごすため、安全管理にも複数の仕組みが設けられています。校内には警備員が24時間常駐し、女性警備員も配置されています。
災害への備えとしては、食料・保存水・防寒シートなどを生徒分備蓄し、発電機や浄水装置、簡易トイレなどの緊急用機材も用意しています。神奈川県内で震度5以上の地震が発生した際に安否確認を行う仕組みも導入されています。
私立中学校では、自宅から離れた学校へ電車で通う家庭も多くなります。災害時にすぐ保護者が迎えに行けるとは限らないため、「学校で一定期間待機できるか」は通学時間と合わせて見ておきたい点です。
徒歩15分をどう考えるかで、神大附属の印象は変わる
神奈川大学附属中学校は、駅からの近さを最大の特徴とする学校ではありません。中山駅から約1kmを歩き、毎朝校門へ向かいます。
その代わりに、校内へ入れば広いグラウンドや自然、スポーツ施設などを日常的に使える環境があります。駅近のコンパクトな校舎と、駅から歩く広いキャンパスでは、6年間の過ごし方そのものが異なります。
神大附属を検討するなら、地図上の「徒歩15分」を見るだけでなく、一度本人と歩いてみることをおすすめします。この15分を負担と感じるのか、それとも広いキャンパスで過ごせることとの交換として納得できるのか。アクセスと学校環境をセットで見ると、この学校との相性がより分かりやすくなります。
教育方針とカリキュラム|STEAM・ICT・探究を6年間でつなぐ学び
神奈川大学附属中学校の教育を特徴づけるのは、大学受験に必要な学力を積み上げながら、「自分で問いを持ち、調べ、試し、考え、発信する」学びを6年間の中に組み込んでいることです。
中学校では英語・数学・国語に比較的多くの授業時間を配分する一方、理科・社会、芸術、技術・家庭なども削らずに学びます。理数系だけに偏った学校ではなく、幅広い教科を学びながら、STEAM教育、ICT、英語、探究へと学びを横断させていく構成です。
中学1・2年では基礎学力を丁寧に整え、中学3年から高校内容や本格的な探究へ進みます。高校後半では大学進学を見据えたコース・選択科目へ移るため、基礎→応用→探究→進路という6年間の流れが比較的はっきりしています。
| 教科 | 中学1年 | 中学2年 | 中学3年 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 週5時間 | 週6時間 | 週6時間 |
| 数学 | 週6時間 | 週6時間 | 週6時間 |
| 英語 | 週5時間 | 週5時間 | 週6時間 |
| 社会 | 週4時間 | 週4時間 | 週4時間 |
| 理科 | 週4時間 | 週4時間 | 週4時間 |
中1・中2では基礎を固め、英語・数学を細かく確認する
中学1・2年では、英語と数学を中心に少人数授業を取り入れています。また、「Weekly Test」と呼ばれる確認テストを行い、日々の授業内容が定着しているかを短い間隔で確かめます。
確認テストで理解が十分でなかった場合には勉強会も用意されており、「定期試験まで分からないまま進む」のではなく、比較的早い段階でつまずきを見つける仕組みになっています。
中高一貫校では先取り学習の速さに目が向きがちですが、先へ進むほど基礎の抜けは後から響きます。神大附属では、先取りと同時に復習・宿題→授業→確認テスト→必要に応じた学び直しというサイクルを作っています。
中学3年になると、英語・数学では習熟度を意識した授業へ移り、学力差にも対応しながら高校段階の学習につなげていきます。
数学は中2までに中学内容を終え、中3から高校数学へ
数学では、中学1・2年で中学校3年間の学習内容を進め、中学3年から高校数学へ入ります。
中3以降は数学Ⅰ・Aをはじめ、高校の内容へ段階的に進みます。単に進度を速めるだけでなく、高校数学で必要になる考え方を中学段階から積み上げていく構成です。
数学は前の単元が次の単元へ直接つながる教科です。方程式が不十分なら関数で困り、図形の基本が曖昧なら高校数学でも苦労します。そのため、先取りを行いながらWeekly Testや少人数授業を組み合わせている点が重要です。
高校2年以降は進路に応じた学習へ進みます。理系では数学Ⅲ・Cまで扱い、文系でも志望大学の入試に必要な数学を選択して学べるようになっています。
理科は「覚える」だけでなく、実験・観察から考える
理科では、中学段階から物理・化学・生物・地学につながる内容を幅広く学び、実験や観察を重ねます。中学3年からは物理・化学・生物など高校内容にも入っていきます。
神大附属のSTEAM教育を象徴する取り組みの一つが、DNAを扱う実験です。生命科学の内容を教科書だけで読むのではなく、実際の実験を通して生命現象や研究手法に触れます。
こうした授業では、「この結果になる」と先に答えを覚えるより、予想し、実験し、得られた結果から理由を考えることが求められます。
大学とのつながりを生かした講習や研究分野に触れる機会もあり、中高の教科書の範囲から一歩外へ出て、「大学では科学をどのように研究するのか」を知る入口にもなっています。
宇宙エレベーターロボットからAIまで扱うSTEAM教育
神大附属が力を入れているSTEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を横断して学ぶ考え方です。
たとえば技術・情報分野では、LEGO SPIKE Primeを用いて宇宙エレベーターロボットを製作し、プログラミングによって動きを制御します。
さらに学年が進むと、画像処理、音声編集、プレゼンテーション資料の制作、情報セキュリティ、AIを用いたデータ分析、Adobe Creative Cloudによる情報デザイン、動画制作、DTM、PythonやJavaScriptによるプログラミングなどへ学習が広がります。
ここで重要なのは、「パソコンを使えるようになる」ことだけではありません。ロボットが思った通りに動かなければ原因を探し、プログラムを修正する。データを集めたら、何が読み取れるかを考える。作品を作れば、相手にどう見せれば伝わるかを工夫する。理科・数学・技術・表現が一つの課題の中でつながります。
1人1台端末は、調べる・作る・発表するための道具
生徒は1人1台のタブレットPCを使用します。授業資料を見るためだけではなく、情報収集、共同編集、レポート作成、プレゼンテーションなど、さまざまな場面で活用します。
探究活動では、自分で資料を探し、必要な情報を整理し、データを分析して発表します。アンケートや関係者へのインタビューを行う場合にも、ICTが研究を進めるための道具になります。
情報が簡単に手に入る時代だからこそ、「検索できること」と「正しく判断できること」は同じではありません。情報源を確かめ、複数の資料を比較し、どの情報を根拠として使うかを考える力も必要になります。
神大附属が掲げる「高度な情報教育」は、機器の操作方法にとどまらず、情報を使って自分の考えを組み立てる力まで含んでいます。
中3から始まる「探究の時間」で、自分の問いをつくる
神大附属では、中学3年から高校1年にかけて「探究の時間」が設けられています。
中学3年では、自然科学、人文科学、社会科学、複数分野にまたがる学際領域などに触れながら、自分が何に興味を持っているのかを探ります。エネルギー、海洋環境、生命、生成AIなど、社会や科学に関わる講演も行われます。
最終的には、「自分は何を明らかにしたいのか」というリサーチクエスチョンを設定します。テーマを与えられて調べるのではなく、自分自身で問いを作るところから始まるのがポイントです。
高校1年では、その問いをもとに先行研究を読み、調査・実験・アンケート・インタビューなどでデータを集め、分析・考察します。途中で発表を行い、最終的には論文としてまとめます。
研究テーマには、AIを使ったゲーム制作、再生医療、環境問題など、生徒によってかなり幅があります。「全員が同じ答えへ進む授業」ではなく、それぞれが自分の興味を深めていく時間です。
英語は少人数英会話から海外で使う段階へ
英語では、中学1年から高校1年まで、ネイティブ教員による少人数の英会話授業を週1回行います。文法・読解を学ぶ通常授業と、実際に英語を使う時間を並行させています。
中学1・2年には英語を集中的に使う「Breakthrough English Camp」もあり、ネイティブ講師との活動やプレゼンテーションを経験します。
さらに、希望者向けの海外研修は、ニュージーランド、セブ島、イギリス、マレーシアという性格の異なるプログラムから選べます。ホームステイ、集中的な語学学習、文化交流、社会課題を扱う探究など、目的によって内容が異なります。
英語を試験科目として学ぶだけでなく、調べる、考える、相手と関わるために使う方向へ広げている点は、STEAMや探究を重視する学校全体の学び方ともつながっています。
高校では進路別の学習へ、6年間の前半と後半で役割が変わる
高校に進むと、大学受験を見据えた学習の比重が高まります。高校2年からは文系・理系に分かれ、高校2・3年では志望に応じたコース制や選択科目が用意されています。
上位の国公立大学を目指す学習から、難関国公立・早慶などを視野に入れた学習まで、それぞれの進路に合わせて授業を組み立てます。
ただし、中学校から受験教科だけに絞るわけではありません。芸術や技術・家庭を含めた幅広い教科、STEAM、探究、英語活動などを経験したうえで、高校後半に専門性を高めていきます。
「大学入試で何点取るか」だけを6年間の目的にせず、その前に「自分は何を学びたいのか」を見つける。そのうえで必要な学力を大学受験へつなげていくところに、神奈川大学附属中学校のカリキュラムの特徴があります。
学習環境と施設設備|広いキャンパスとICT環境を日常の学びに使う
神奈川大学附属中学校のキャンパスには、普通教室だけでなく、理科4分野の実験室、コンピュータ教室、図書室、自習室、体育館、50mプール、テニスコート、陸上グラウンド、サッカー・ラグビー場などがそろっています。
特徴的なのは、施設の多さそのものよりも、それぞれが授業や探究、部活動、自習と結びついていることです。中学生は1人1台のタブレットPCを使い、理科では実験室へ移動し、放課後には4号館を使った自習支援を利用できます。
さらに、約330席の「くすのきカフェ」、約4万冊の蔵書を持つ図書室、ネイティブ教員と英語で交流できるEnglish Loungeなど、授業以外の時間にも学校の中で過ごせる場所があります。
1人1台のタブレットPCが、授業から探究までつながる
神大附属では、中学1年から1人1台のタブレットPCを使用します。朝のSHRでは配信された連絡事項を確認し、授業では資料の閲覧、情報収集、課題提出、共同作業、プレゼンテーションなどに活用します。
ICTは、紙の教科書を単純にデジタルへ置き換えるためのものではありません。たとえば社会では資料を調べ、探究では複数の情報を比較し、技術や情報の授業ではプログラミングやデータ分析にも取り組みます。
校内にはICTサポートセンターもあり、端末を日常的に使う学習環境を支えています。MacとWindowsのコンピュータ教室もあり、情報の授業やオンライン英会話、課外活動などで使われます。
中高6年間を通して、「端末を使える」段階から、「端末を使って調べ、考え、つくり、伝える」段階へ進むことが、この学校のICT教育の基本です。
物理・化学・生物・地学、それぞれに理科教室を用意
1号館には、物理・化学・生物・地学の各分野に対応する理科教室があります。
神大附属では、STEAM教育や探究学習の中で実験を重視しています。DNAを扱う実験やロボット製作なども行うため、理科を「教科書を読んで覚える科目」だけにはしていません。
実験では、予想し、実際に手を動かし、結果を記録し、なぜそうなったのかを考えます。結果が予想と違えば、それも考察の材料になります。
物理・化学・生物・地学をそれぞれ専門的な設備のある教室で学べることは、中学生の段階から実験に触れる機会を確保するうえで意味があります。高校で理系を選ぶ生徒だけでなく、中学のうちは幅広く科学に触れながら、自分の興味を探すことができます。
約4万冊の図書室とEnglish Loungeで、教室外にも学びが広がる
3号館には図書室があり、約4万冊の蔵書を備えています。司書が常駐し、調べ学習や探究活動に必要な資料を探すことができます。
さらに、神奈川大学の蔵書を取り寄せることもできます。中高生向けの資料だけでは足りないテーマを扱う場合に、大学の資料まで利用できるのは附属校ならではの環境です。
1号館にはEnglish Loungeもあり、昼休みにはネイティブ教員と食事をしながら英会話を楽しめます。
英語の授業時間だけでなく、昼休みに自然な形で英語を使う場所があることで、「試験科目としての英語」と「人と話すための英語」の距離を縮めています。
4号館は放課後になると「まるごと自習室」になる
神大附属では、放課後の学習環境にもかなり力を入れています。4号館は授業終了後、建物全体を使った放課後自習室学習支援プログラムの場になります。
中学1・2年は19時まで、中学3年・高校1年は20時まで、高校2・3年は21時まで利用できます。
自分で黙々と勉強するだけでなく、必要に応じて神大附属の卒業生である大学生・大学院生のティーチングアシスタントに質問することもできます。
これは、「塾へ行かなくても学校内で学習を完結できる環境」を目指して整えられた仕組みです。中学生なら、部活動を終えたあとに学校で宿題や復習を済ませてから帰宅することもできます。
また、通常の自習室には個人ブースが設けられており、静かに集中したい生徒が使えます。広い学校だからこそ、放課後に「部活動をする場所」と「勉強する場所」の両方を確保できています。
体育館3つ、50mプール、グラウンドまでそろう運動環境
スポーツ施設も、神大附属の広い校地を実感しやすい部分です。
2号館には第1・第2・第3体育館と剣道場があり、第1体育館はバレーボールコートを4面取れる広さがあります。
屋外には全天候型トラックを備えた陸上グラウンド、野球場、4面のテニスコート、サッカー・ラグビー場があります。多くの施設には照明設備もあり、放課後の部活動にも利用されます。
プールは50mで、中学1年から高校2年まで体育の授業で使用します。水球部の活動場所にもなっており、一般的な25mプールとはかなり規模が違います。
都市部の中高一貫校では、体育施設を外部施設と併用する学校もあります。神大附属の場合は、中山駅から徒歩15分という立地と引き換えに、日常的に使える運動施設を校内に広く確保しています。
約330席の「くすのきカフェ」で中1から昼食を選べる
昼食時に利用できるのが、1号館1階の「くすのきカフェ」です。約330席あり、中学1年生から利用できます。
定食、カレー、麺類などのメニューがあり、日替わりの昼食も用意されています。家庭からお弁当を持参することもできるため、毎日の都合に合わせて選べます。
また、1号館の中庭は最終下校時刻まで開放されており、天候のよい日にはお弁当を持って昼食を取ることもできます。
| 施設 | 主な使い方 |
|---|---|
| くすのきカフェ | 約330席。定食・カレー・麺類などを提供 |
| 中庭 | 昼食や休み時間に利用 |
| 図書室 | 約4万冊の蔵書。神奈川大学の資料も取り寄せ可能 |
| 自習室 | 個別ブースで自主学習 |
| English Lounge | ネイティブ教員との英会話などに利用 |
6年間の学校生活では、授業を受ける教室以外で過ごす時間もかなり長くなります。食堂、自習室、図書室、中庭など、授業の前後や休み時間に自分の居場所を選べることも、広いキャンパスを持つ神大附属の日常です。
広い施設を「持っている」だけでなく、実際の教育に使っている
神奈川大学附属には、広いグラウンドや体育館、理科室、図書室、ICT設備など、多くの施設があります。しかし、学校選びで重要なのは施設の数を比べることではありません。
理科教室では実験を行い、ICT環境は探究やプレゼンテーションに使い、図書室では大学の資料まで取り寄せる。放課後になれば4号館が自習スペースに変わり、体育施設では授業と部活動が続きます。
学校見学では、建物の新しさだけでなく、生徒がどこで勉強し、どこで昼食を取り、どこで放課後を過ごしているかまで見てみるとよいでしょう。
中山駅から少し歩く代わりに、学校の中には学習・探究・運動・食事・自習までを支える空間があります。神大附属の施設環境は、広さそのものより、その広さを6年間の学校生活にどう使っているかを見ると理解しやすくなります。
学校生活と行事|生徒自身が動き、仲間とつくる6年間
神奈川大学附属中学校の学校生活では、授業、部活動、学校行事がそれぞれ独立しているわけではありません。体育祭や文化祭では生徒が企画・運営を担い、校外学習では自分たちで調査計画を立て、修学旅行でも自主行動の時間が設けられています。
学校が目指す「自ら考え、判断し、行動できる人」は、教室の中だけで育てるものではないという考え方です。友人と意見が合わないときにどう折り合いをつけるか、期限までに企画を完成させるには何をすべきか。学校生活のさまざまな場面で、生徒自身が考える機会があります。
| 主な行事・活動 | 内容 |
|---|---|
| 体育祭 | 球技・陸上競技を中心に実施。生徒が企画・運営にも参加 |
| くすのき祭 | 10月開催の文化祭。クラス企画・文化部発表などを実施 |
| 合唱コンクール | 中学生対象。クラスごとに合唱をつくり上げる |
| 中1校外学習 | 横浜・鎌倉探究 |
| 中2校外学習 | 横浜探究 |
| 中3修学旅行 | 奈良・京都で自主行動を含む4日間 |
| 海外研修 | ニュージーランド、セブ島、イギリス、マレーシアから希望者が参加 |
8時20分のSHRから始まる神大附属の一日
学校生活は8時20分のSHRから始まります。中学生は1人1台のタブレットPCを使い、その日の連絡事項などを確認してから授業へ向かいます。
8時30分から1時間目が始まり、50分授業を基本に時間割が進みます。英語ではネイティブ教員との少人数英会話、数学では少人数授業、理科では実験など、授業によって教室や学び方も変わります。
平日は6時間授業を基本とし、月曜・火曜には7時間目が設定されています。土曜日は4時間授業です。中学3年では週1回の探究の時間も入り、中学前半の基礎学習から少しずつ「自分の問いを考える」学習へ移っていきます。
放課後は部活動に向かう生徒もいれば、自習室で勉強する生徒もいます。部活動か勉強かの二者択一ではなく、同じキャンパスの中でその日の過ごし方を選べる学校生活です。
体育祭は競技だけでなく、運営も生徒が担う
体育祭では、ドッジボール、バスケットボール、バレーボール、サッカー、キックベース、フットサルなどの球技に加え、リレー、綱引きなどの陸上競技が行われます。
クラスごとにオリジナルのクラスTシャツを作り、競技だけでなく応援にも力が入ります。広いグラウンドや体育施設を持つ神大附属らしく、学校全体で体を動かす一日です。
ただし、体育祭を特徴づけるのは競技種目の多さだけではありません。実行委員を中心に、生徒が企画、準備、当日の運営まで関わります。
競技が得意な生徒だけが活躍する行事ではなく、進行、準備、クラスのまとめ役など、それぞれに仕事があります。大人数を動かすには、自分の役割だけでなく周囲の状況を見る必要があります。
10月の「くすのき祭」は約9000人が訪れる学校最大の行事
10月に行われる文化祭が「くすのき祭」です。例年2日間で約9000人が来場し、神大附属の中でも規模の大きな学校行事となっています。
中学1年から高校1年まではクラスごとに企画を考えます。高校2年では学年単位で、ミュージカルやアトラクションなど、より規模の大きな企画にも取り組みます。文化部にとっては、日頃の活動や研究成果を発表する場でもあります。
テーマを決め、企画を考え、必要なものを準備し、来場者に楽しんでもらえる形まで仕上げる。その一連の過程を、生徒中心の実行委員会が動かします。
「自由に好きなことをすればよい」というだけでは、大勢の来場者を迎える文化祭は成立しません。予算、時間、安全面、クラス内の意見など、さまざまな条件を調整する必要があります。ここにも、神大附属が日頃から求める「自分で考え、判断し、行動する」という姿勢が現れます。
中学生だけの合唱コンクールで、1年間のクラスを締めくくる
合唱コンクールは中学生のみで行われる行事です。学年末に向けてクラスごとに練習し、一つの合唱を作り上げます。
会場には横浜みなとみらいホールが使われ、本格的な音響環境の中で発表します。中学3年生にとっては、中学校生活最後の合唱コンクールとなります。
合唱では、一部の生徒だけが上手でも全体として完成しません。声量、音程、テンポを合わせるだけでなく、「どのような曲にしたいか」についてクラスで意見を交わします。
行事までの過程では、温度差が出たり、考え方がぶつかったりすることもあります。それでも最後には一つの舞台に立つ。結果以上に、クラスの中で話し合いながら一つのものを完成させる経験に意味があります。
中1・中2の校外学習も「自分たちで調べる」探究型
校外学習も、決められた場所を先生について回るだけではありません。
中学1年では「横浜・鎌倉探究」を行います。班ごとにテーマを決め、自分たちで計画を立てて現地調査へ出かけます。初めて本格的な探究に触れる学年なので、「調べること自体が面白い」と感じる経験を重視しています。
中学2年では「横浜探究」へ進みます。横浜市内の各地域が抱える課題について調べ、関係する人へのヒアリングも行いながら、問題の背景や解決方法を考えます。成果はポスターにまとめ、校内で発表します。
観光地を見学して感想文を書くところから一歩進み、現地で情報を集め、人に話を聞き、自分たちなりの答えを考える。中学3年から始まる本格的な探究活動への準備にもなっています。
中3の奈良・京都修学旅行も「自分たちでつくる」
中学3年では、4日間の奈良・京都修学旅行があります。
寺社や文化財を見学するだけではなく、生徒自身が興味・関心に合わせて計画を立て、自主行動を行います。どこへ行き、何を見るのかを考えるところから修学旅行が始まっています。
奈良や京都には、教科書で学んだ寺院、仏像、庭園、歴史的な街並みが数多くあります。写真や映像で知っていたものを実際に目の前で見ることで、歴史や文化への理解も変わります。
同時に、班で移動するには時間管理や役割分担も必要です。知らない土地で交通機関を使い、自分たちで判断して行動すること自体が、中学3年間の成長を試す機会になります。
海外研修は目的に合わせて4タイプから選ぶ
海外での経験を希望する生徒には、中学1年から高校2年まで段階に応じた海外研修があります。全員一律の研修ではなく、何を経験したいかによって行き先と内容を選ぶ仕組みです。
| タイプ | 行き先 | 対象 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 入門型 | ニュージーランド | 中1・中2 | ホームステイ、現地校体験、英語学習 |
| 語学型 | セブ島 | 中3〜高2 | 英語コミュニケーションを集中的に学ぶ |
| 文化交流型 | イギリス | 中3〜高2 | ホームステイ、語学・文化体験 |
| 社会探究型 | マレーシア | 中3〜高2 | 地域・社会課題を現地で調査し、解決策を考える |
中学1・2年では、まず海外生活や英語でのコミュニケーションを経験するニュージーランド研修があります。中学3年以降になると、語学力を集中的に伸ばすセブ島、文化交流を深めるイギリス、社会課題そのものを探究するマレーシアへと選択肢が広がります。
海外へ行くこと自体を目的にするのではなく、「英語を伸ばしたい」「異文化の中で生活したい」「社会課題について現地で考えたい」と、本人の目的によって選べるところが神大附属らしい設計です。
学校行事でも、「主体性」は自由放任とは違う
神大附属の行事を見ていくと、「生徒主体」という言葉が何度も出てきます。ただし、これは先生が何もせず、生徒へすべてを任せるという意味ではありません。
文化祭なら開催日までに企画を完成させ、体育祭なら多数の競技を安全に進行し、校外探究なら決められた時間の中で調査を行う必要があります。自由に考える一方で、守るべき条件と責任があります。
授業では探究やSTEAMによって自分の問いを持ち、学校行事では仲間と相談しながら一つのものを動かす。形は違っても、求められていることは似ています。
考えたことを実際の行動へ移し、その結果に責任を持つ。神奈川大学附属中学校では、授業だけでなく、体育祭、くすのき祭、校外学習、修学旅行といった学校生活そのものが、その練習の場になっています。
クラブ活動|約20の部活動で、好きなことを6年間かけて深める
神奈川大学附属中学校では、運動系・文化系を合わせて約20の部活動があり、多くの生徒が放課後の活動に参加しています。中学生の入部率は約98%と高く、授業や学校行事と並んで、部活動も学校生活の大きな部分を占めています。
水球やなぎなたといった中学校では比較的珍しい競技から、140名を超える規模で活動する音楽部、鉄道模型やプログラミングに取り組む技術家庭科部、自然科学を研究する理科部まで、活動内容はかなり幅広くなっています。
一方、毎日遅くまで活動することを前提としているわけではありません。活動日は原則として週4日までとし、中学生の最終下校時刻は17時30分。学習・部活動・学校行事の三つを切り離さず、6年間の学校生活の中で両立させる方針です。
| 区分 | 主な部活動 |
|---|---|
| 運動系 | 陸上競技、野球、卓球、硬式庭球、バレーボール、バスケットボール、剣道、水球、サッカー、なぎなた など |
| 文化系 | 社会科研究、音楽、美術、漫画研究、理科、囲碁・将棋、演劇、技術家庭科 など |
中学生の約98%が部活動に参加する
神大附属では、ほとんどの中学生が何らかの部活動に所属しています。2026年1月時点では、中学生692名のうち676名が部活動に参加しており、入部率は約98%です。
完全中高一貫校なので、中学1年から高校3年まで同じ校内で活動できます。中学生のうちは高校生から教わる場面があり、学年が上がれば自分たちが後輩を支える立場へ変わります。
クラス替えがあっても、部活動では同じ仲間と継続して関わることができます。6年間という長い時間の中で、一つの競技や文化活動を続けられることは、中高一貫校で部活動をする意味の一つです。
もちろん、全国大会を目指す部だけではありません。技術を高めたい生徒、大会に挑戦したい生徒、仲間と好きな活動を続けたい生徒など、部によって活動の目的や雰囲気も異なります。
水球・なぎなたなど、施設を生かした運動部がある
運動部では、陸上競技、野球、卓球、硬式庭球、バレーボール、バスケットボール、剣道、サッカーなどに加えて、水球部となぎなた部があります。
水球部は、校内の50mプールを使って活動します。入部時点では未経験の生徒も多く、水泳経験があっても水球そのものは中学校から初めて取り組むケースがあります。
なぎなた部も、中学入学後に競技を始めやすい部活動の一つです。専用の第3体育館などを使い、中高生が継続して稽古します。
陸上競技部には全天候型トラック、硬式庭球部には4面のテニスコート、野球部には野球場、サッカー部にはサッカー・ラグビー場があります。§4で紹介した広い校地が、放課後になるとそのまま部活動の場所になります。
なぎなた部・水球部は全国規模の大会にも出場
競技成績を目標に活動する部では、全国規模の大会まで進む例もあります。
なぎなた部は、中学生が全日本少年少女武道錬成大会の演技競技で第2位となるなど実績を残しています。高校生も全国高校総体や国民スポーツ大会へ進み、2026年夏の全国高校総体では団体試合で第2位に入りました。
水球部でも、高校生が全日本ユース水球競技選手権に県代表として選ばれるなど、校内の50mプールを生かして競技力を高めています。
ただし、こうした結果だけを部活動の目的としているわけではありません。学校では、競技成績だけでなく、スポーツを継続する力や、仲間と協力する経験、心身の成長まで含めて部活動の役割としています。
音楽部は140名を超える大規模なオーケストラ
文化部の中で特に規模が大きいのが音楽部です。中高合わせて140名を超える生徒が所属し、オーケストラとして活動しています。
定期演奏会、コンクール、音楽祭、ボランティア演奏など活動の場は幅広く、2025年度には全国大会グランドコンテストで金賞を受賞しています。
オーケストラでは、一人で楽器を演奏できるだけでは曲は完成しません。自分のパートを仕上げたうえで、他の楽器の音を聞き、全体のテンポや表現を合わせる必要があります。
人数の多い部活動だけに、中高6学年が協力して一つの演奏を作る経験もできます。文化祭の「くすのき祭」など、学校行事で日頃の活動を見られる機会もあります。
技術家庭科部・理科部では「研究する部活動」ができる
神大附属のSTEAM教育とのつながりを感じやすいのが、技術家庭科部と理科部です。
技術家庭科部では、プログラミング、鉄道模型、手芸など、それぞれが関心を持った「ものづくり」に取り組みます。鉄道班は全国高校鉄道模型コンテストにも出場しており、2026年には奨励賞を受賞しました。
単に完成品を作るだけではなく、「どうすれば思った通りに動くか」「どの材料や構造を使うか」を考え、試作と修正を繰り返します。授業で学ぶプログラミングやSTEAMを、放課後にさらに深めたい生徒にもつながる部活動です。
理科部では、生物・化学などさまざまな自然科学分野について、実験・観察・研究を行います。高校生になると外部の研究発表会や科学コンテストにも挑戦し、2026年にはSDGs QUESTみらい甲子園全国大会でSTUDENT GRAND PRIXを受賞しています。
「授業で面白いと思ったことを、部活動でもっと調べる」という流れを作れるのは、探究やSTEAMを重視する神大附属らしいところです。
社会科研究部や演劇部など、興味の方向は理系だけではない
STEAMや理数教育が目立つ神大附属ですが、文化部の選択肢は理系分野だけではありません。
社会科研究部では、生徒自身が研究テーマを設定し、史跡や博物館などへ出かけて調査します。その成果を「くすのき祭」や外部の研究大会で発表し、全国大会への出場経験もあります。
演劇部では台本や演技、舞台づくりを通して一つの作品を完成させ、美術部では個人制作や共同制作、公募展への出品に取り組みます。漫画研究部では漫画・イラストを制作し、文化祭で部誌を発表します。
囲碁・将棋部では中高生が合同で対局し、校外の大会にも参加しています。
「科学が好きだから神大附属」という生徒だけではなく、歴史、音楽、美術、演劇、漫画など、自分の興味を追究できる場所が複数あります。
原則週4日までだから、勉強・行事との両立を前提にできる
神大附属では、部活動の活動日は原則として週4日までです。大会やコンクール前には休日に活動する場合もありますが、校内でガイドラインを設け、活動が過度な負担にならないようにしています。
中学生の最終下校時刻は17時30分です。また、長期休暇中に補習や講習と部活動が重なる場合には、午前中に学習、午後に部活動という形で組み合わせます。
さらに、顧問教員だけではなく、部活動指導員やコーチが指導に加わる部もあります。
学校が部活動について掲げているのは、「学習」「部活動」「特別活動」を三位一体として考えるという方針です。部活動だけに時間を使うのでも、大学受験のために部活動を切り離すのでもなく、それぞれを学校生活の中で経験することを重視しています。
中学1年で新しい競技や活動を始め、高校では後輩をまとめる側になり、その一方で探究や大学受験にも取り組む。6年間を通して見ると、部活動も「自ら考え、判断し、行動する」経験の一つとして位置づけられています。
進学実績と卒業後の進路|神奈川大学への推薦権を持ちながら、外部大学へ挑戦する
神奈川大学附属中学校の進路を考えるとき、最初に押さえておきたいのが、「神奈川大学の附属校=卒業生の多くがそのまま神奈川大学へ進む学校」ではないという点です。
神奈川大学への推薦制度を用意しながら、国公立大学、早慶上理、GMARCH、医学部、海外大学などへ進む生徒も多く、卒業生の9割以上が神奈川大学以外の大学等を進路として選んでいます。
2026年度の卒業生は208名。そのうち169名が卒業した年に大学へ進学し、現役進学率は81.3%でした。一方で、合格実績と実際の進学先は同じではありません。大学別の数字を見る際には、「延べ合格者数」と「実際にその大学へ進んだ人数」を分けて考える必要があります。
| 2026年度進路状況 | 人数・割合 |
|---|---|
| 卒業生数 | 208名 |
| 現役進学者数 | 169名 |
| 現役進学率 | 81.3% |
| 国公立大学への進学者 | 31名 |
| 神奈川大学への進学者 | 12名 |
| 海外大学への進学者 | 1名 |
2026年度は国公立大学46名合格、現役41名
2026年度大学入試では、国公立大学に延べ46名が合格し、そのうち41名が現役生でした。
主な合格実績を見ると、一橋大学2名、東京科学大学2名、大阪大学1名、九州大学1名、横浜国立大学9名、東京都立大学6名、東京農工大学4名、電気通信大学3名、東京外国語大学2名などとなっています。
| 大学 | 2026年度合格者数 | うち現役 |
|---|---|---|
| 一橋大学 | 2名 | 2名 |
| 東京科学大学 | 2名 | 2名 |
| 大阪大学 | 1名 | 1名 |
| 九州大学 | 1名 | 1名 |
| 横浜国立大学 | 9名 | 8名 |
| 東京都立大学 | 6名 | 5名 |
| 東京農工大学 | 4名 | 4名 |
| 電気通信大学 | 3名 | 3名 |
実際の進学者数で見ると、国公立大学へ進んだのは31名で、卒業生全体の14.9%です。一橋大学2名、東京科学大学2名、横浜国立大学6名、大阪大学1名、九州大学1名などが実際の進学先となっています。
合格者数だけを見るよりも、「208名の卒業生のうち31名が国公立大学へ進学した」と捉えるほうが、学校の進路の姿をつかみやすくなります。
早慶上理には延べ119名が合格
私立大学では、早稲田大学36名、慶應義塾大学18名、上智大学26名、東京理科大学39名が合格しています。この4大学を合わせると、2026年度は延べ119名です。
| 大学 | 2026年度合格者数 | うち現役 | 実際の進学者数 |
|---|---|---|---|
| 早稲田大学 | 36名 | 34名 | 16名 |
| 慶應義塾大学 | 18名 | 17名 | 9名 |
| 上智大学 | 26名 | 26名 | 6名 |
| 東京理科大学 | 39名 | 35名 | 8名 |
ここでも、延べ合格者数と進学者数には差があります。1人の生徒が複数の大学・学部に合格すれば、それぞれが合格実績として計上されるためです。
実際には、2026年度卒業生のうち早稲田大学16名、慶應義塾大学9名、上智大学6名、東京理科大学8名の計39名がこの4大学へ進学しています。
GMARCHにも幅広く合格、実際の進学先も分散する
GMARCHでは、明治大学69名、青山学院大学46名、立教大学43名、中央大学32名、法政大学47名、学習院大学6名が2026年度入試で合格しています。
| 大学 | 2026年度合格者数 | うち現役 | 実際の進学者数 |
|---|---|---|---|
| 明治大学 | 69名 | 65名 | 11名 |
| 青山学院大学 | 46名 | 44名 | 10名 |
| 立教大学 | 43名 | 43名 | 8名 |
| 中央大学 | 32名 | 32名 | 8名 |
| 法政大学 | 47名 | 45名 | 4名 |
| 学習院大学 | 6名 | 5名 | 2名 |
理工系では芝浦工業大学26名、東京都市大学27名、北里大学19名などにも合格しており、文系の総合大学だけに進路が集中しているわけではありません。
2026年度は、国公立大学、早慶上理、GMARCHなどへの実際の進学者を合わせて117名となり、卒業生208名の56.2%を占めています。
神奈川大学への推薦制度は「進路を固定する制度」ではない
附属校として用意されているのが、神奈川大学への推薦制度です。
神奈川大学への推薦入試は11月と2月に実施されます。このうち11月の制度には、神奈川大学への進学資格を確保したうえで、国公立大学や他の私立大学を受験できる仕組みがあります。
つまり、「神奈川大学の推薦を使ったら、そこで大学受験が終わる」とは限りません。一定の条件を満たせば、神奈川大学という進路を持ちながら、さらに別の大学へ挑戦できます。
2026年度入試では、神奈川大学に延べ53名が合格し、そのうち52名が現役生でした。この中には内部推薦による19名が含まれています。一方、実際に神奈川大学へ進学した卒業生は12名です。
この数字からも、神奈川大学への推薦制度が「大半の生徒を内部進学させるための仕組み」というより、進路選択の一つとして用意されていることが分かります。
指定校推薦・一般選抜・総合型選抜まで進路の取り方は一つではない
神奈川大学以外の大学からも指定校推薦枠があります。2026年度入試では、早稲田大学、東京理科大学、明治大学、青山学院大学、中央大学、立教大学、法政大学、学習院大学、国際基督教大学などから推薦枠が設けられています。
ただし、指定校推薦を利用して進学した生徒は2026年度入試で12名です。指定校推薦の枠があるからといって、卒業生の多くが推薦だけで大学を決めているわけではありません。
国公立大学の一般選抜や私立大学の一般選抜に挑戦する生徒も多く、学校推薦型選抜・総合型選抜を選ぶ生徒もいます。高校段階で本人の得意分野や志望大学に合わせて、受験方法そのものを選んでいきます。
中学入学時点では「一般受験をする」「推薦を使う」と決め切らず、6年間の成績、探究活動、英語力、興味のある分野などを踏まえて進路を考えられるのが神大附属の進路設計です。
海外大学も「特別な進路」ではなく選択肢の一つにする
神大附属では、国内大学だけでなく海外大学への進学ルートも用意されています。
海外協定大学推薦制度では、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど9か国60校以上の協定大学へ推薦で出願できます。高校3年間の成績や英語力などを利用し、最大6大学へ出願できる仕組みです。
このほか、オーストラリアの大学進学につながるファウンデーションプログラムや、マレーシアの大学への指定校推薦制度もあります。
2026年度には海外大学へ2名が合格し、1名がSunway Universityへ進学しています。人数としては国内大学が中心ですが、希望すれば高校在学中から海外進学を具体的に検討できる環境があります。
「附属大学がある安心」と「外へ挑戦する進学校」の両方を持つ
神奈川大学附属中学校の進路を数字だけで見ると、国公立大学や早慶上理、GMARCHへの合格実績がまず目に入ります。しかし、この学校を理解するうえでは、合格大学の名前だけでは十分ではありません。
神奈川大学への推薦制度があり、他大学の指定校推薦もあり、一般選抜や総合型選抜にも対応し、海外大学へのルートもあります。生徒が全員同じ受験方法を取るのではなく、6年間を通して自分に合う進路を探します。
その結果として、2026年度は卒業生208名のうち12名が神奈川大学へ進み、31名が国公立大学、39名が早慶上理、さらにGMARCHや理工系大学、医療系大学などへ分かれて進学しました。
「附属大学があるから受験をしなくてよい学校」でも、「附属大学をほとんど使わない名前だけの附属校」でもありません。神奈川大学とのつながりを一つの選択肢として持ちながら、それ以上に自分が学びたい大学が見つかれば外へ挑戦する。この進路の自由度が、神大附属の「大学附属校らしさ」を特徴づけています。
学費や諸経費について|初年度は約121.7万円、端末・制服まで含めて考える
神奈川大学附属中学校の学費は、授業料だけでなく、施設設備資金、学年費、生徒会費、緑会(PTA)費などを合わせて考える必要があります。
現在公表されている2026年度入学者の金額では、中学1年の学校納入金は合計1,217,000円です。ただし、この中には入学後に購入するタブレットPC、制服・体育用品、希望者対象の海外研修などは含まれていません。
また、神大附属は完全中高一貫校ですが、高校進学時にも入学金250,000円が必要です。中学入学時の費用だけでなく、6年間全体でどの程度必要になるかまで見ておくと、教育費を考えやすくなります。
中学1年の学校納入金は合計1,217,000円
中学1年で必要となる学校納入金は、次のようになっています。
| 項目 | 中学1年 |
|---|---|
| 入学金 | 250,000円 |
| 授業料 | 610,000円 |
| 施設設備資金 | 180,000円 |
| 学年費 | 161,000円 |
| 生徒会費 | 5,000円 |
| 緑会費(PTA) | 11,000円 |
| 合計 | 1,217,000円 |
入学金250,000円を除くと、中学1年の年間納入金は967,000円です。
授業料610,000円と施設設備資金180,000円だけで年間790,000円となり、これに学年費などが加わります。
なお、受験時には別途、1回25,000円の検定料が必要です。第1回から第3回までの3日程へ同時出願する場合には、検定料を合計50,000円とする制度も設けられています。
中2・中3は年間993,000円が目安
入学金が必要ない中学2・3年でも、授業料や施設設備資金に加えて学年費などを納入します。
| 項目 | 中学2年 | 中学3年 |
|---|---|---|
| 授業料 | 610,000円 | 610,000円 |
| 施設設備資金 | 180,000円 | 180,000円 |
| 学年費 | 188,000円 | 188,000円 |
| 生徒会費 | 4,000円 | 4,000円 |
| 緑会費(PTA) | 11,000円 | 11,000円 |
| 合計 | 993,000円 | 993,000円 |
したがって、現在の金額を基準にすると、中学校3年間の学校納入金は合計3,203,000円です。
ただし、学年費は年度によって変更される場合があります。実際に入学した後の6年間で、ここに示した金額がそのまま固定されるわけではありません。
完全中高一貫校でも、高校進学時に入学金250,000円が必要
神大附属で見落としやすいのが、高校進学時の費用です。
高校から外部生を募集しない完全中高一貫校ですが、中学から高校へ進学するときにも入学金250,000円が設定されています。
| 項目 | 高校1年 | 高校2年 | 高校3年 |
|---|---|---|---|
| 入学金 | 250,000円 | - | - |
| 授業料 | 610,000円 | 610,000円 | 610,000円 |
| 施設設備資金 | 180,000円 | 180,000円 | 180,000円 |
| 学年費 | 146,000円 | 74,000円 | 68,000円 |
| 生徒会費 | 4,000円 | 4,000円 | 4,000円 |
| 緑会費(PTA) | 11,000円 | 11,000円 | 11,000円 |
| 合計 | 1,201,000円 | 879,000円 | 873,000円 |
高校1年では入学金が加わるため、学校納入金は再び120万円前後になります。中学3年から高校1年へ内部進学する家庭も、この年はあらかじめまとまった費用を見込んでおく必要があります。
中1ではタブレットPCに約25万円が別途必要
神大附属では1人1台のタブレットPCを授業、家庭学習、探究、プレゼンテーションなどに日常的に使用します。
端末は中学校入学後に購入し、保守費を含めて約250,000円が予定されています。
そのため、中学1年の学校納入金1,217,000円にタブレットPCを加えるだけでも、約1,467,000円になります。
ICTを教育の中心的な道具として使う学校なので、端末費用は一時的なオプションではなく、入学時に考えておくべき費用です。
制服・体育用品は指定品だけでも約9.5万円
入学時には制服や体育用品も必要になります。
ジャケット、夏冬のスラックスまたはスカート、半袖シャツ・ブラウス、ネクタイ、上履き、体育館履き、体育着などの指定品を各1点ずつそろえると、現在の価格では男子・女子ともにおおむね95,000円前後となります。
| 主な用品 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| ジャケット | 30,800円 | 27,500円 |
| 冬スラックス・冬スカート | 14,300円 | 15,400円 |
| 夏スラックス・夏スカート | 13,750円 | 14,740円 |
| 半袖シャツ・ブラウス | 4,950円 | 4,730円 |
| ネクタイ | 2,000円 | 2,000円 |
| 体育館履き | 6,050円 | |
| ウォームアップ上下 | 13,750円 | |
| Tシャツ・ハーフパンツ | 6,930円 | |
実際には洗い替えを購入したり、セーターやニットベスト、ポロシャツなどを追加したりする家庭もあります。そのため、入学時の制服関連費は必須品の合計だけで見積もらず、少し余裕を持って考えておくとよいでしょう。
長袖シャツ・ブラウスは指定品ではなく、市販品で代用することもできます。
海外研修は希望制なので、参加する場合は別枠で考える
神大附属では、中学1年から高校2年の希望者を対象として、ニュージーランド、セブ島、イギリス、マレーシアなどで海外研修を実施しています。
これらは全員参加の必須行事ではありません。そのため、通常の学校納入金とは分けて考えることができます。
一方、参加を希望する場合には、研修費、航空運賃、現地でのプログラム費などが必要です。行き先、期間、為替、燃油費などによって金額が変わるため、参加する年度の案内を確認して判断することになります。
また、中長期の海外留学制度を利用する場合も、通常の学校生活とは別に費用を考える必要があります。神大附属の国際教育を積極的に利用したい家庭では、授業料とは別の教育費として準備しておくと安心です。
6年間の学校納入金は現行額ベースで約615.6万円
現在公表されている各学年の金額を単純に合計すると、中学1年から高校3年までの学校納入金は次のようになります。
| 学年 | 学校納入金 |
|---|---|
| 中学1年 | 1,217,000円 |
| 中学2年 | 993,000円 |
| 中学3年 | 993,000円 |
| 高校1年 | 1,201,000円 |
| 高校2年 | 879,000円 |
| 高校3年 | 873,000円 |
| 6年間合計 | 6,156,000円 |
これは現在の金額を6年間に当てはめた場合の単純計算であり、将来の授業料や学年費の改定は含んでいません。また、タブレットPC、制服・体育用品、希望制の海外研修、部活動に伴う個別費用なども別です。
一方、授業料と施設設備資金については、一括納付だけでなく二期分納・月分納も選択できます。年間総額だけでなく、実際にいつ、どの程度の支払いが発生するのかまで確認しておくと、家計の計画を立てやすくなります。
神大附属では、中学入学時だけでなく高校進学時にもまとまった費用が発生します。「初年度はいくらか」だけではなく、6年間で約600万円を超える学校納入金に、端末・制服・研修などを加えて考えることが、実際の教育費を把握するうえで大切です。
入試情報と合格の目安|2027年度は第1回にJ_DESを導入、3回の受験機会をどう使うか
神奈川大学附属中学校の2027年度一般入試は、2月1日午後・2月2日午前・2月4日午前の3回です。
2027年度から大きく変わるのが第1回入試です。募集人数が従来の60名から80名へ増え、国語・算数の2科入試に、英語外部試験の成果を利用できる「J_DES」が導入されます。
一方、第2回・第3回は国語・算数・理科・社会の4科入試です。第2回は100名、第3回は20名募集となり、後半日程になるほど募集人数が少なくなります。
| 入試 | 試験日 | 募集人数 | 試験科目 | 集合時刻 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 2027年2月1日 | 80名 | 国語・算数 ※J_DES利用可 | 15:00 |
| 第2回 | 2027年2月2日 | 100名 | 国語・算数・理科・社会 | 8:20 |
| 第3回 | 2027年2月4日 | 20名 | 国語・算数・理科・社会 | 8:20 |
第1回は2月1日午後、国語・算数の2科入試
第1回入試は2月1日の午後に行われます。集合は15時で、国語50分・100点、算数50分・100点です。
午後入試なので、午前中に別の学校を受験してから神大附属へ向かう日程を組むこともできます。横浜・川崎・東京南部の学校との併願を考えるうえで、この時間帯は重要です。
| 第1回入試 | 時間 | 配点 |
|---|---|---|
| 国語 | 15:30~16:20 | 100点 |
| 算数 | 16:45~17:35 | 100点 |
2027年度から募集人数も80名へ増えました。第2回の100名に次いで募集枠が大きく、神大附属を第一志望・志望順位の高い学校として考える家庭にとって重要な受験機会になります。
ただし、午後入試は午前校からの移動を伴います。試験開始時刻だけでなく、午前の学校から中山駅、さらに学校までの徒歩時間を含めて併願日程を組む必要があります。
2027年度から導入される「J_DES」とは?
第1回入試では、2027年度からJ_DES(Jindai_Fuzoku Dual Evaluation System)を利用できます。
これは、英検などの英語外部試験で取得した資格・スコアを100点満点の得点へ換算し、中学入試で評価する制度です。
ただし、J_DESを利用する生徒も国語と算数の両方を受験します。「英語資格があれば国語を受けなくてよい」という制度ではありません。
判定では、国語の実得点とJ_DES換算点を比較し、高い方の得点+算数の合計200点で合否を決めます。
たとえば、国語が64点、算数が72点、J_DESが85点だった場合は、国語64点ではなくJ_DESの85点が採用されます。
85+72=157点
として判定されます。
反対に国語が90点でJ_DESが85点なら、国語90点が採用されます。英語資格を持っていることによって国語の高得点が不利になることはありません。
英検3級からJ_DESの対象になる
英検を利用する場合の換算点は次のようになっています。2025年度以降に取得した級では、英検3級から利用できます。
| 英検の取得級 (2025年度以降) | J_DES換算点 |
|---|---|
| 準1級以上 | 100点 |
| 2級 | 85点 |
| 準2級プラス | 70点 |
| 準2級 | 60点 |
| 3級 | 50点 |
英検以外にも、TOEFLやIELTSなどをCEFRとの対応に基づいて得点化できます。
第1回入試で利用できるのは、2024年2月1日以降に取得した資格・スコアです。英検の場合、不合格だった回のCSEスコアだけを利用することはできず、合格している級が基準になります。
注意したいのは、J_DESを使うためだけに6年生になってから無理に英検を取得する必要はないことです。英語資格を持っていない受験生は、従来通り国語・算数の得点だけで受験できます。
すでに英語学習を続けていて資格を持っている受験生が、その成果を生かせる制度と考えるのが自然です。
第2回・第3回は国算各100点、理社各75点の4科入試
2月2日の第2回と2月4日の第3回は、国語・算数・理科・社会による4科入試です。
| 科目 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|
| 国語 | 50分 | 100点 |
| 算数 | 50分 | 100点 |
| 理科 | 40分 | 75点 |
| 社会 | 40分 | 75点 |
| 合計 | ― | 350点 |
国語・算数だけで200点、理科・社会を合わせて150点なので、国算の比重はやや大きくなっています。ただし、理社も合計点の約43%を占めるため、国算だけで押し切る入試ではありません。
出題難度については、小学校で学ぶ内容を中心とした基本~標準レベルが基本です。特殊な知識や難問・奇問で差をつけるより、標準的な内容を正確に処理できるかが問われます。
算数は途中式ではなく答えを記入する形式が基本で、作図を求められる場合もあります。理科・社会では漢字指定の問題もあるため、知識を覚えるだけでなく正確に書ける状態にしておく必要があります。
2026年度は第3回が実質6.2倍まで上昇
受験の厳しさを見るときには、偏差値だけでなく実際の受験者数と合格者数も確認しておきたいところです。
2026年度入試では、第1回から第3回まで合計1,922名が出願しました。特に第3回は募集20名に対して499名が出願し、実質倍率は6倍を超えました。
| 2026年度 | 第1回 | 第2回 | 第3回 |
|---|---|---|---|
| 募集人数 | 60名 | 120名 | 20名 |
| 応募者数 | 724名 | 699名 | 499名 |
| 受験者数 | 681名 | 515名 | 259名 |
| 合格者数 | 323名 | 222名 | 42名 |
| 実質倍率 | 2.1倍 | 2.3倍 | 6.2倍 |
| 合格最低点 | 140/200点 | 220/350点 | 231/350点 |
2026年度の合格最低点を得点率にすると、第1回は70.0%、第2回は約62.9%、第3回は66.0%でした。
第3回は問題そのものが意図的に難しく設定されているわけではありません。それでも募集人数が20名と少なく、2月4日まで神大附属を受験する層が集まるため、実際の競争は厳しくなりやすくなります。
なお、2027年度は第1回の募集人数増加、第2回の募集人数減少、J_DES導入という変更があります。前年の倍率や最低点がそのまま2027年度の合格ラインになるわけではありません。
四谷大塚の80%偏差値は59・56・58
2027年入試に向けた四谷大塚の合格可能性80%偏差値は、第1回59、第2回56、第3回58となっています。
| 入試 | 80%偏差値 | 50%偏差値 |
|---|---|---|
| 第1回(2月1日) | 59 | 54 |
| 第2回(2月2日) | 56 | 53 |
| 第3回(2月4日) | 58 | 55 |
偏差値は受験者集団や模試によって異なるため、学校そのものの「難易度」を一つの数字で表しているわけではありません。特に神大附属は第1回が午後入試であり、各回で併願する学校や受験者層も変わります。
「第2回の偏差値が低いから問題が簡単」と考えるのではなく、各回の募集人数、日程、自分の併願校まで含めて判断する必要があります。
神大附属対策は、難問より「標準問題を落とさない」ことが中心
神大附属の入試対策では、最初から特殊な難問へ進むより、4科の標準問題を安定して得点できる状態をつくることが優先です。
過去問に取り組む際も、単純に合格最低点を超えたかだけを見るのではなく、本来取れるはずだった問題を何問落としているかを確認するとよいでしょう。
算数なら計算、小問、典型的な文章題・図形問題を確実に取る。国語なら文章の根拠に沿って選択肢や記述を処理する。理科・社会では基本知識を固めたうえで、資料やグラフを読み取る練習を重ねます。
第1回を受ける場合は、英語資格がある家庭だけJ_DESの利用を検討します。英語資格がなくても不利になる制度ではないため、国語・算数の完成度を落としてまで新たな資格取得を優先する必要はありません。
また、神大附属には複数回受験による得点加算などの優遇措置はありません。第1回で不合格だったから第2回で加点される、といった仕組みではないため、各回を独立した入試として考えます。
一方、第1回から第3回までの3日程へ同時出願する場合、通常1回25,000円の検定料が合計50,000円になる制度があります。神大附属の志望順位が高い場合は、2月1日・2日・4日の3回を併願計画の中にどう配置するかまで考えておくとよいでしょう。
併願校パターン|2月1日午後の神大附属を軸に、男女別でどう組み合わせるか
神奈川大学附属中学校の2027年度入試は、2月1日午後の第1回、2月2日午前の第2回、2月4日午前の第3回という日程です。
特に第1回が2月1日午後に設定されているため、午前に別の学校を受験し、その後に神大附属へ向かう併願パターンを組みやすくなっています。
一方、神大附属は共学校なので、男子と女子では2月1日午前や2月3日に組み合わせる候補校がかなり異なります。また、「大学附属校を中心に考えるのか」「外部大学進学を重視する進学校を中心に考えるのか」によっても併願校は変わります。
偏差値だけで横一列に並べるのではなく、入試日程・男女区分・大学進学の仕組み・校風まで含めて組み合わせることが重要です。
2月1日午前+神大附属第1回は組みやすい
2027年度の神大附属第1回は、2月1日15時集合です。午前入試ではないため、2月1日午前に別の学校を受験してから神大附属へ向かうことができます。
男子であればサレジオ学院A試験、女子であればフェリス女学院、洗足学園第1回、横浜共立学園A方式などが2月1日午前に実施されます。
共学校では、中央大学附属横浜第1回、青山学院横浜英和A日程なども2月1日午前です。
| 学校 | 2027年度の主な日程 | 神大附属との組み方 |
|---|---|---|
| サレジオ学院 | 2月1日午前・2月4日午前 | 2月1日A試験→神大附属第1回 |
| フェリス女学院 | 2月1日午前 | フェリス→神大附属第1回 |
| 洗足学園 | 2月1日午前・2月2日午前 | 第1回→神大附属第1回 |
| 横浜共立学園 | 2月1日午前・2月3日午前 | A方式→神大附属第1回 |
| 中央大学附属横浜 | 2月1日午前・2月2日午後 | 第1回→神大附属第1回 |
| 青山学院横浜英和 | 2月1日午前・2月3日午後 | A日程→神大附属第1回 |
ただし、午前校から神大附属までは実際に移動しなければなりません。午前の試験終了時刻、最寄り駅までの移動、中山駅から学校までの徒歩約15分を含め、十分な余裕を取る必要があります。
「午前と午後に受けられる」というだけで決めず、実際の経路を一度確認しておくと安心です。
男子は聖光学院・浅野・サレジオ学院との組み合わせが考えやすい
男子の場合、神奈川県の男子進学校を第一志望群に置きながら、神大附属を併願するパターンがあります。
たとえばサレジオ学院A試験は2月1日です。そのため、
2月1日午前 サレジオ学院 → 2月1日午後 神大附属第1回
という組み合わせが可能です。
聖光学院は2月2日と2月4日に入試を行うため、神大附属の第2回・第3回と日程が重なります。聖光学院を第一志望とする場合は、神大附属第1回を2月1日午後に受験し、2月2日・4日は聖光学院に使う形が分かりやすくなります。
| 日付 | 例1:聖光学院を軸にする場合 | 例2:浅野を軸にする場合 |
|---|---|---|
| 2月1日 | 午前:別の併願校 午後:神大附属 第1回 | 午前:サレジオ学院など 午後:神大附属 第1回 |
| 2月2日 | 聖光学院 第1回 | 神大附属 第2回など |
| 2月3日 | 浅野などを検討 | 浅野 |
| 2月4日 | 聖光学院 第2回 | 神大附属 第3回・サレジオ学院Bなど |
浅野は2月3日の1回入試なので、神大附属の2月1日・2日・4日とは直接重なりません。そのため、浅野志望の受験生にとって神大附属は日程上組み込みやすい学校の一つです。
ただし、聖光学院・浅野・サレジオ学院と神大附属では、男子校と共学校という学校生活そのものの違いがあります。偏差値帯だけでなく、「男子校と共学校のどちらで6年間過ごしたいか」も考えておきたいところです。
女子はフェリス・洗足・横浜共立と日程を組みやすい
女子の場合は、神奈川県内の女子進学校と神大附属を組み合わせる形が考えられます。
フェリス女学院は2月1日午前の1回入試です。そのため、
2月1日午前 フェリス女学院 → 2月1日午後 神大附属第1回
という日程を組めます。
洗足学園は2月1日・2月2日の2回入試です。2月1日の第1回であれば神大附属第1回と同日に組めますが、2月2日は神大附属第2回と重なります。
横浜共立学園は2月1日A方式、2月3日B方式です。こちらも、2月1日午前のA方式から神大附属第1回へ向かい、必要に応じて2月3日のB方式を受験する日程が作れます。
| 日付 | 女子の組み合わせ例 |
|---|---|
| 2月1日午前 | フェリス女学院/洗足学園 第1回/横浜共立 A方式 |
| 2月1日午後 | 神大附属 第1回 |
| 2月2日 | 神大附属 第2回 または 洗足学園 第2回 |
| 2月3日 | 横浜共立 B方式など |
| 2月4日 | 神大附属 第3回 |
女子校と神大附属を併願する場合も、「女子校か共学校か」という違いは小さくありません。授業内容だけではなく、クラスの雰囲気、学校行事、部活動なども含め、合格した場合にどちらへ進学するかを事前に家庭で話しておく必要があります。
中央大学附属横浜・青山学院横浜英和とは「大学附属」の意味まで比較したい
共学校で大学とのつながりを持つ学校としては、中央大学附属横浜や青山学院横浜英和も併願候補になります。
2027年度の中央大学附属横浜は、2月1日午前と2月2日午後に入試を実施します。2月1日は、午前に中央大学附属横浜を受験し、午後に神大附属へ向かう日程を組めます。
青山学院横浜英和は2月1日午前のA日程と、2月3日午後のB日程があります。こちらも2月1日午前+神大附属第1回という組み合わせが可能です。
| 学校 | 大学との関係 | 併願時に考えたい点 |
|---|---|---|
| 神奈川大学附属 | 神奈川大学への推薦制度あり | 外部大学進学が中心 |
| 中央大学附属横浜 | 中央大学の附属校 | 中央大学への内部進学を含めて考えやすい |
| 青山学院横浜英和 | 青山学院大学の系属校 | 青山学院大学への推薦制度と外部進学の双方を確認 |
同じ「大学附属・系属」という言葉が付いていても、卒業生が系列大学へ進む割合や、外部大学受験との関係は学校ごとに異なります。
神大附属は、神奈川大学への推薦制度を持ちながら、実際には外部大学へ進む生徒が多数を占めます。大学受験を避けるための附属校を探している家庭と、進路の選択肢として附属大学も持っておきたい家庭では、同じ学校でも受け止め方が変わります。
神大附属を第一志望にするなら、3回全てを使う前提で考える
神奈川大学附属の志望順位が高い場合は、第1回だけに絞らず、第2回・第3回まで含めて日程を考える方法があります。
2027年度は、第1回80名、第2回100名、第3回20名の募集です。募集人数だけを見ると第2回が最も多く、第3回は20名とかなり少なくなります。
そのため、神大附属を第一志望とするなら、
| 日付 | 神大附属第一志望の一例 |
|---|---|
| 2月1日午前 | 実際に進学したい併願校を受験 |
| 2月1日午後 | 神大附属 第1回 |
| 2月2日午前 | 神大附属 第2回 |
| 2月3日 | 別の併願校 |
| 2月4日午前 | 必要に応じて神大附属 第3回 |
という形が基本の一つになります。
第1回と第2回を連続で受験する場合、2月1日は午前校と合わせて1日に2校を受ける可能性があります。その翌朝に再び神大附属を受験するため、学力面だけでなく体力面も考えておかなければなりません。
また、神大附属では複数回受験による得点加算はありません。3回受ければ自動的に合格しやすくなる制度ではないため、各回で合格点を取る準備が必要です。
「チャレンジ校・安全校」だけでなく、合格したら通う順番を決めておく
併願校を考えるときには、「偏差値が高い学校」「神大附属と同程度の学校」「安全校」といった分類をしたくなります。
しかし、中学入試の合否は、模試偏差値だけでは決まりません。入試問題との相性、受験日による受験者層の違い、過去問での得点状況によっても合格可能性は変わります。
特に神大附属は、第1回が2科、第2回・第3回が4科という違いがあります。さらに第1回ではJ_DESも利用できるため、同じ受験生でもどの回が受けやすいかは異なります。
併願校を決める際には、少なくとも次の3点を整理しておくとよいでしょう。
- 模試の合格可能性だけでなく、過去問で実際に何点取れているか
- その学校に合格した場合、本当に6年間通いたいと思えるか
- 2月1日から4日まで、無理のない移動と受験回数になっているか
神大附属は2月1日午後入試があるため、併願の自由度は比較的高い学校です。その一方で、男女別学校、共学校、大学附属校、進学校を幅広く組み合わせられるからこそ、単純な偏差値順では学校選びの軸がぶれやすくなります。
「どこなら受かりやすいか」だけでなく、「複数の学校に合格したらどこへ進学するか」まで先に決めておく。そこまで整理したうえで2月1日から4日の日程を組むと、神大附属を含めた併願計画がかなり明確になります。
在校生・保護者の声|自由に任せるだけではない、「自分で動く」ことを支える校風
神奈川大学附属中学校について在校生や保護者の声を見ていくと、繰り返し出てくるのが「自然豊かな環境」「生徒の自主性」「先生との適度な距離」「仲間と協力する経験」です。
学校側が細かなルールで生徒を動かすというより、まず本人に考えさせ、必要なところで教員が支える。授業での探究、くすのき祭、部活動、進路選択まで、この距離感は学校生活のさまざまな場面に表れています。
一方で、「自由」は何をしてもよいという意味ではありません。自分で考えて動くことを求められるため、指示されたことをこなす学校生活とは少し性格が異なります。
在校生がまず挙げるのは、緑に囲まれたキャンパス
在校生の声では、神大附属を選んだ理由や学校への印象として、広い校地と自然環境がよく挙げられます。
正門から校舎へ続く並木道、学校のシンボルとなっているクスノキ、季節によって姿を変えるイチョウなど、学校内に自然を感じられる場所が多くあります。
17万㎡を超える校地には、教室棟だけでなく、グラウンド、50mプール、テニスコート、サッカー・ラグビー場などが広がっています。休み時間や放課後を含め、6年間を同じキャンパスで過ごすことを考えると、この「空間の広さ」は日々の学校生活にも関わります。
中山駅から徒歩約15分という通学時間との比較にはなりますが、駅前型の学校とは異なる環境を求めて神大附属を選ぶ家庭もあります。
「いろいろな考え方の人がいる」ことも共学校の6年間
在校生からは、自然環境だけでなく、さまざまな価値観や考え方を持つ仲間と出会えることを学校生活の特徴として挙げる声もあります。
神大附属は1学年約220名の共学校です。クラス、部活動、生徒会、学校行事、探究活動など、その時々で異なる人とチームを組みます。
いつも意見が一致するわけではありません。文化祭の企画を決めるとき、部活動の練習方針を考えるとき、探究で共同作業をするときには、考え方の違いが表に出ることもあります。
そうした場面で、自分の意見を伝えるだけでなく、相手の考えを聞き、必要なら妥協点を探す。卒業生からも、中高時代に仲間と意見をぶつけながら一つのものを完成させた経験が、その後の大学生活や仕事につながったという声があります。
「仲がよい」だけではなく、違う考えを持つ人と一緒に動く経験が多いことも、共学の完全中高一貫校である神大附属の日常です。
保護者からは「先生が先回りしすぎない」という声
保護者の声で特徴的なのが、教員の「見守る」姿勢への評価です。
何か問題が起きそうになるたびに先生が答えを与えるのではなく、まず生徒本人に考えさせる。そのうえで、本当に必要な場面では声をかけたり、相談に乗ったりします。
これは、神大附属が掲げる「主体的に考え、判断し、行動できる人」という教育方針ともつながっています。
もちろん、中学生を完全に放任するわけではありません。生活面で問題があれば教員が指導し、必要に応じて家庭とも連携します。学習面でもWeekly Testや補習、自習支援などがあります。
つまり、「細かく管理する」のでも「好きにさせる」のでもなく、自分で行動する余地を残しながら支えるという距離感です。
Weekly Testなど、自由な校風の一方で学習確認は細かい
保護者からは、定期試験だけでなくWeekly Testや英単語の確認など、日常的に学習状況を確かめる機会があることを評価する声もあります。
神大附属というと、広いキャンパス、生徒主体の文化祭、STEAMや探究といった「自由に活動する学校」という印象を持ちやすいかもしれません。
しかし、学習についてまで本人任せというわけではありません。特に中学前半では、英語・数学を中心に小さな確認を繰り返し、理解が不足している場合には学び直す機会があります。
放課後には自習室を利用でき、卒業生の大学生・大学院生がティーチングアシスタントとして学習を支える仕組みもあります。
保護者から見ると、学校生活では自主性を重視しながら、学習の土台については定期的に確認してくれるという二つの面がある学校です。
部活動と学校行事で、学年を越えた人間関係ができる
神大附属では、中学生の多くが部活動に参加します。完全中高一貫校なので、中学1年生と高校生が同じ部で活動することも珍しくありません。
入学したばかりのころは先輩から教わる側だった生徒が、数年後には後輩を教える側になります。競技や演奏の技術だけでなく、後輩への接し方やチーム内での役割も変わっていきます。
保護者からも、部活動を通して先輩への礼儀や後輩への気遣いを身につけたこと、仲間と大変な時期を乗り越えた経験が大学受験を支える力になったことなどが語られています。
くすのき祭でも同様です。クラス企画や部活動の発表を、生徒自身が話し合いながら形にします。実行委員になれば、校内だけでなく外部との調整まで経験することがあります。
勉強だけでは出会わない役割を引き受けることが、6年間の人間関係を広げています。
「自由な校風」が合うかどうかは、本人のタイプによって変わる
神大附属の校則は、細かな禁止事項を数多く並べるタイプではありません。靴やカバン、コートなどにも一定の自由があります。
ただし、自由である分、「先生に言われなかったから何もしない」という姿勢では過ごしにくい場面があります。文化祭でも探究でも進路選択でも、自分で何をするかを考えることが求められます。
先生が細かく管理し、次にやることを常に示してくれる環境のほうが安心できる子もいます。反対に、ある程度自分で考える余白があり、興味を持ったことへ動ける子にとっては、活動の幅を広げやすい環境です。
もちろん、入学時から主体性が完成している必要はありません。中学1年ではまだ先生や先輩に教えてもらいながら動き、学校行事や部活動、探究を経験する中で少しずつ自分で判断する場面が増えていきます。
「自由に過ごしたい子」というより、「自分で考えて動けるようになりたい子」と考えるほうが、神大附属の校風には近いでしょう。
学校見学では、生徒と先生の距離感を見ておきたい
在校生や保護者の言葉から見える神大附属は、先生が先頭に立って全員を同じ方向へ引っ張るというより、生徒が動くのを近くで支える学校です。
この距離感は、パンフレットや進学実績の数字だけでは分かりにくい部分でもあります。
受験を検討する家庭には、学校説明会だけでなく、可能であれば「くすのき祭」など生徒自身が動いている行事にも足を運んでみることをおすすめします。
来校者への接し方、クラス企画での役割分担、中高生の関わり方、先生がどの程度前に出ているのかを見ると、学校の日常が想像しやすくなります。
広いキャンパスやSTEAM教育だけでなく、「この生徒たちの中で6年間過ごしたいか」「先生とのこの距離感が本人に合うか」まで見る。神奈川大学附属中学校を選ぶうえでは、そうした校風との相性も重要な判断材料になります。
この学校に向いている子の特徴|興味を持ったことを、自分で深めていける子
神奈川大学附属中学校は、大学受験に必要な学力を身につけるだけでなく、STEAM、ICT、探究、学校行事、部活動などを通して、自分で考えて行動する力を育てる学校です。
そのため、「先生の指示通りに勉強していれば安心」という環境を求める子よりも、興味を持ったことを調べたり、試したり、友人と相談しながら形にしたりすることを楽しめる子のほうが、学校の教育を生かしやすいでしょう。
一方、入学時点から何でも一人でできる必要はありません。中学前半ではWeekly Testや補習などで学習を支えながら、学年が上がるにつれて本人が判断する場面を増やしていきます。
「なぜ?」と思ったことを、そのままにしない子
神大附属では、中学3年から本格的な探究活動が始まり、自分自身でリサーチクエスチョンを設定します。
先生から「このテーマを調べなさい」と与えられた課題だけに取り組むのではなく、自分が日常の中で疑問に感じたことや、もっと知りたいと思ったことを出発点に研究を進めます。
そのため、日頃から「なぜこうなるのだろう」「別の方法はないのだろうか」と考えることが好きな子とは相性があります。
理科が好きな子に限りません。社会問題、AI、環境、文化、歴史など、探究の対象は幅広く、自分なりの興味を持てることのほうが大切です。
実験・プログラミング・ものづくりを楽しめる子
DNAを扱う実験、宇宙エレベーターロボットの製作、プログラミング、データ分析など、神大附属では「実際に手を動かす」学習が多くあります。
こうした学習では、最初から正解にたどり着くとは限りません。ロボットが思った通りに動かなければプログラムを修正し、実験結果が予想と違えば原因を考え直します。
一度失敗したら終わりではなく、試す→結果を見る→直す→もう一度試すという過程そのものを楽しめる子には向いています。
「理系に進みたい」と中学生のうちから決めていなくても、何かを作ったり、仕組みを考えたりすることが好きなら、STEAM教育の中で興味を広げられるでしょう。
ICTを「使う」だけでなく、自分の考えを伝える道具にしたい子
神大附属では、1人1台のタブレットPCを日常的に使用します。
授業資料を読むだけではなく、情報を検索し、レポートを作り、共同編集を行い、データを分析し、プレゼンテーションとしてまとめるところまで端末を使います。
そのため、パソコンやタブレットそのものが好きな子だけでなく、自分の考えを分かりやすく整理して伝えることに興味がある子にも合っています。
反対に、「端末は動画を見るためのもの」「検索して最初に出てきた情報をそのまま使う」という段階からは、少しずつ卒業することを求められます。情報を選び、根拠を考え、相手に伝わる形へ変える力を6年間で身につけていきます。
先生に管理されすぎず、自分で動けるようになりたい子
神大附属は、細かな校則や指示で生徒を常に管理するタイプの学校ではありません。
文化祭では生徒自身が企画を進め、校外学習では行動計画を考え、探究では研究テーマを決めます。高校では科目選択や大学進学についても、自分で考える場面が増えていきます。
そのため、「次に何をすればいいかを常に先生から指示してほしい」という子には、最初は戸惑う部分があるかもしれません。
一方で、今はまだ自分から動くのが得意ではないけれど、中高6年間で少しずつ自立したいという子にも合います。中学段階では学習面の確認や教員のサポートがあり、その中で徐々に本人へ任せる範囲を広げていくからです。
勉強だけでなく、部活動や行事にも取り組みたい子
神大附属では、中学生の多くが部活動に参加し、体育祭や「くすのき祭」、合唱コンクールなどにも取り組みます。
学校生活を大学受験のための勉強だけに絞るのではなく、仲間と何かを作ったり、一つの競技や活動を続けたりすることも大切にしています。
活動日は原則週4日までとされており、部活動だけに時間を使うのではなく、学習との両立を前提にしています。
授業ではしっかり勉強し、放課後は部活動を楽しみ、学校行事ではクラスで一つのものを作りたい。そんな中高生活を送りたい子には、神大附属の学校生活はイメージしやすいでしょう。
「附属大学へ進む」と最初から進路を決めたくない子
神奈川大学附属という校名ですが、卒業生の進路は神奈川大学だけに限られません。
神奈川大学への推薦制度を持ちながら、国公立大学、早慶上理、GMARCH、理工系大学、医療系大学、海外大学など、幅広い進路を目指すことができます。
中学受験の時点では、「理系へ進みたい」「この大学へ行きたい」と決まっていない子も多いでしょう。神大附属では、探究、大学との連携、海外研修、進路学習などを通して、自分の興味を見つけていきます。
附属大学という選択肢は持っておきたい。でも、6年後の進路まで今決めたくはない。そんな家庭にとって、この進路の自由度は検討材料になります。
中山駅からの徒歩15分と、広いキャンパスを前向きに捉えられる子
学校生活との相性を考えるうえでは、教育内容だけでなく通学環境も重要です。
中山駅から学校までは徒歩約15分あります。毎日の通学として考えると、駅徒歩数分の学校より負担は大きくなります。
その一方で、校内には広いグラウンド、50mプール、テニスコート、体育館、自然に囲まれた空間などがあり、その広さを授業や部活動で日常的に使えます。
駅からの近さを最優先する家庭より、多少歩いても、緑の多い広いキャンパスで6年間を過ごしたいという子のほうが、神大附属の立地を前向きに受け止めやすいでしょう。
神奈川大学附属中学校に向いているのは、完成された「自主的な子」だけではありません。興味を持ったことをもっと知りたい、友人と何かを作ってみたい、自分で進路を選べるようになりたい。そうした気持ちがあり、6年間の中で少しずつ自分から動けるようになりたい子に合う学校です。
まとめ|「大学附属」という安心と、進路を自分で選ぶ自由
神奈川大学附属中学校は、横浜市緑区の広いキャンパスで6年間を過ごす、共学の完全中高一貫校です。
学校名には「神奈川大学附属」とありますが、教育の中心にあるのは内部進学そのものではありません。STEAM、ICT、探究、学校行事、部活動を通して、自分で考え、判断し、行動できる生徒を育て、その先に国内外の大学進学を位置づけています。
広いキャンパスを、授業・部活動・探究まで使い切る
神大附属は、中山駅から徒歩約15分と駅前型の学校ではありません。
その代わり、校内にはグラウンド、50mプール、テニスコート、複数の体育館、理科教室、図書室、自習室、くすのきカフェなどがそろっています。
施設を見学用に並べているのではなく、日々の授業、実験、部活動、自習、学校行事に実際に使っているところが特徴です。
6年間を過ごす場所として、駅からの近さよりも、学校内で活動できる広さを重視したい家庭には検討しやすい環境です。
STEAM・ICT・探究が、一つの教育としてつながっている
神大附属では、DNAを扱う実験、宇宙エレベーターロボットの製作、プログラミング、データ分析など、多様な学習に取り組みます。
ただし、STEAM教育は理系の知識を増やすためだけのものではありません。
実験結果を考察する、プログラムを修正する、資料を比較する、自分の考えをプレゼンテーションする。こうした一連の活動を通して、「自分で問いを立て、試し、考え、伝える」ことを学びます。
中学3年からの探究では、その学び方を自分自身の研究テーマへ広げていきます。
学校行事や部活動でも、生徒が動く場面が多い
体育祭や「くすのき祭」、校外学習、修学旅行でも、生徒自身が企画したり、行動計画を考えたりする場面があります。
部活動も中学生の多くが参加し、運動部から音楽部、理科部、技術家庭科部まで幅広く活動しています。
先生が全てを先回りして決めるのではなく、生徒が考えて動き、必要な場面で支えるという距離感は、授業だけでなく学校生活全体に共通しています。
「自由な学校」というより、自由に動くために自分で考えることを求められる学校と捉えるほうが、神大附属の校風に近いでしょう。
神奈川大学への道を持ちながら、進路は外へも広がる
神大附属を特徴づけるもう一つの点が、大学附属校としての進路の自由度です。
神奈川大学への推薦制度を利用できる一方、卒業生の多くは国公立大学、早慶上理、GMARCH、理工系大学、医療系大学、海外大学などへ進みます。
中学入学時点で進学先を一つに固定する必要はありません。6年間の中で興味のある分野を見つけ、必要な科目を学び、その時点で自分に合う大学を選ぶことができます。
「附属大学がある安心」と「外部大学へ挑戦できる自由」の両方を持つことが、神大附属ならではの進路設計です。
入学時から自主性が完成している必要はない
神大附属では主体性が重視されますが、中学1年生から何でも一人でできることを求めているわけではありません。
中学前半にはWeekly Testや補習、放課後の自習支援などがあり、学習の土台を整える仕組みがあります。
その一方で、学年が上がるにつれて、探究テーマ、学校行事での役割、科目選択、大学進学など、自分で決めることが増えていきます。
最初は周囲に支えてもらいながら、6年間で少しずつ「自分で動く側」へ変わっていく。その成長過程まで含めて考えると、神大附属の教育方針が見えやすくなります。
学校見学では「何があるか」より「生徒がどう使っているか」を見たい
神奈川大学附属中学校を検討するなら、進学実績や偏差値だけでなく、実際に学校を訪れてみることをおすすめします。
中山駅から学校までの徒歩15分を本人がどう感じるか。広いキャンパスで生徒がどのように過ごしているか。先生がどの程度生徒に任せ、どこで支えているか。こうした部分は数字だけでは分かりません。
特に「くすのき祭」など、生徒自身が活動している場を見ると、学校の日常を想像しやすくなります。
興味を持ったことを調べ、試し、仲間と形にし、その先の進路まで自分で選びたい。神奈川大学附属中学校は、そんな6年間を考えている家庭にとって、一度実際の学校生活を確かめておきたい学校です。

