【2026年版】普連土学園中学校の評判は?「沈黙の礼拝」とフレンド派教育が育む自立と対話の女子校を徹底解説!

中学受験
  1. 1. 学校の概要|1887年創立、「普連土」の名に受け継がれるフレンド派の教育
    1. 1887年、新渡戸稲造と内村鑑三の働きかけから始まった
    2. 「普連土」という少し不思議な校名
    3. 「Let Your Lives Speak」――生き方そのもので示す
    4. 毎朝20分、「沈黙」から学校生活が始まる
    5. 中高6学年で約800名、各学年3クラスの小規模校
    6. 140年近く変わらないものと、現在進んでいる教育改革
  2. 2. アクセスと立地環境|田町・三田・白金高輪から通える港区三田のキャンパス
    1. 3つの駅を使えることは、6年間では案外大きい
    2. JR山手線を使える田町駅
    3. 三田駅なら浅草線・三田線の2路線
    4. 白金高輪駅からも徒歩約10分
    5. 三田台の高台にある、歴史を感じる街
    6. 港区にありながら、校内に入ると学校の時間へ切り替わる
    7. 学校説明会では「駅からの7〜10分」も歩いて確かめたい
  3. 3. 教育方針とカリキュラム|「沈黙の礼拝」と少人数教育で育てる自立と対話
    1. 一日の始まりに20分の礼拝
    2. 中学では「聖書」、高校では「宗教」を週1時間
    3. 創立以来の「週5日登校・2期制」
    4. 少人数教育は「1クラスの人数」より授業の分け方を見る
    5. 数学は中3から高校内容へ、6年間を切らずに学ぶ
    6. 英語は中学全学年で分割授業
    7. 理科では中1から高1までに約140回以上の実験・観察
    8. 中2で地域研究レポート、中3で社会科論文
    9. つまずいたときは、個別指導と少人数補習で戻る
  4. 4. 学習環境と施設設備|歴史ある三田の校地に、理科・ICT・静かな学びの空間を備える
    1. 本校舎・中学校舎・高3校舎に分かれたキャンパス
    2. 物理・化学・生物の専用教室を備える理科環境
    3. 全生徒がiPadを持ち、全教室にプロジェクター
    4. 図書館と自習室、落ち着いて学べる場所も
    5. 礼拝堂ではなく「静黙室」がある
    6. 食堂はなく、昼食は教室で
    7. 「自由売店」にも普連土らしさ
    8. プールは設置していない
    9. 毎日相談できるカウンセリングルーム
    10. 災害時には全校生徒3日分を備蓄
  5. 5. 学校生活と行事|プレイデー・学園祭・修学旅行で広がる教室の外の学び
    1. 一年を通して行われる主な行事
    2. 中1・中2は校外宿泊学習から始まる
    3. 体育祭とは別に行われる「プレイデー」
    4. 生徒自身がつくる「学園祭」
    5. 中学3年の東北修学旅行は、普連土の歴史にもつながる
    6. 中3の夏には「英語だけで過ごす」イングリッシュ・キャンプ
    7. 中学生には聖句暗誦会、歌舞伎鑑賞、お茶会も
    8. クリスマスは、普連土にとって宗教行事
    9. 「自治」が行事を学校教育に変える
  6. 6. クラブ活動|中高合同の活動と、少人数校ならではの学年を越えたつながり
    1. 運動部は9クラブ
    2. 60年以上続くフォークダンス部
    3. 文化部は12クラブ、かなり幅が広い
    4. 理科部ではガラス細工からロケット、鉄道模型まで
    5. 手話部やボードゲーム部にも「対話」が見える
    6. クラブ以外の「自治会活動」も活発
    7. 聖歌隊とYWCAは「クラブ」ではない
    8. 週1〜3日だからこそ、自分の6年間を組み立てやすい
  7. 7. 進学実績と卒業後の進路|少人数校から国公立・早慶上理・GMARCHへ広がる進路
    1. 2026年春は東大2名、一橋大1名を含む国公立へ
    2. 早慶上理・ICUへ現役延べ33名
    3. GMARCHへの現役合格は延べ82名
    4. 理系・医療系へ進む生徒も珍しくない
    5. 女子大学も、今なお進路の一つ
    6. 高校1年の夏から大学入試向け講習
    7. 中1から続く探究が、大学選びにもつながっていく
    8. 大学との連携は、女子大学から理工系へ広がる
    9. 進学実績を見るときこそ、115名という数字を忘れない
  8. 8. 学費や諸経費について|中高6年間を見据えて確認しておきたい教育費
    1. 2026年度の年間費用は102万9,600円
    2. 入学時には30万円の入学金
    3. 校服などの費用は別途必要
    4. 希望制の海外研修は基本の学費とは分けて考える
    5. 教育環境整備のための寄付金も案内されている
    6. 完全中高一貫校なので、高校までの6年間で考える
    7. 大学附属校ではないので、その先の4年間は進路によって大きく変わる
    8. 金額だけでは見えない「何に使われる6年間か」も見ておきたい
  9. 9. 入試情報と合格の目安|4回の入試と算数1科入試をどう生かすか
    1. 2027年度は4回合計120名を募集
    2. 2月1日午前・4日午前は4科350点満点
    3. 普連土名物、2月1日午後の「算数50問」
    4. 午前校からの移動に配慮した「遅い時間の試験」も用意
    5. 2月2日午後は国語・算数の2科入試
    6. 一般入試に保護者面接はない
    7. 2026年度は合計855名が受験
    8. 2026年度の合格最低点は56〜65%程度
    9. 4科算数は「途中の考え方」まで採点される
    10. 国語は「読む」と「書く」を丁寧に
    11. 複数回受験には、点数以外の意味がある
    12. 第一志望なら「1日午前」を中心に考えたい
  10. 10. 併願校パターン|女子校を中心に組み立てるチャレンジ・標準・安全校
    1. 併願候補は「女子校らしい校風」を軸にすると選びやすい
    2. チャレンジ校|女子学院・頌栄・東洋英和・白百合
    3. 頌栄・東洋英和は、港区のキリスト教女子校として比較しやすい
    4. 白百合は2月2日午前、普連土は同日午後
    5. 標準校|大妻・共立女子・三輪田学園
    6. 2027年度の大妻は「2月1日午後」が新設
    7. 共立女子は2月3日午後入試が変更
    8. 三輪田学園は1日から3日まで受験機会がある
    9. 安全校候補|女子聖学院・実践女子・跡見学園など
    10. 1月に一つ合格を持って2月へ入れると落ち着く
    11. パターン①|普連土を第一志望にする場合
    12. パターン②|難関女子校へ挑戦し、普連土を併願する場合
    13. パターン③|安全性を高めながら普連土を狙う場合
    14. 「偏差値が近い学校」より「合格したら本当に進学する学校」を
  11. 11. 在校生・保護者の声|「沈黙」と対話の中で見えてくる普連土らしい学校生活
    1. 先生との距離は、授業が終わった後にも続く
    2. 礼拝は、入学前に想像するより日常的なものになる
    3. 「おとなしい女子校」と決めつけると、少し違う
    4. 先輩との距離が近い
    5. 「自分らしくいられた」という卒業生
    6. 保護者から見ても「小さい学校」であることが効いている
    7. 保護者が「学校を紹介する側」に回ることも
    8. 勉強は「放っておいてくれる自由」ではない
    9. 少人数校だから、人間関係の相性は実際に見ておきたい
    10. 受験生には「学校体験日」で生徒を見てほしい
    11. 「沈黙」と「対話」は、6年間で少しずつ身についていく
  12. 12. この学校に向いている子の特徴|自分で考え、人との違いを受け止めながら成長したい子
    1. ① 人と違うことを、それほど怖がらない子
    2. ② 話すことだけでなく、「聞くこと」も大切にできる子
    3. ③ 一人で考える時間を苦痛に感じない子
    4. ④ 答えを覚えるだけでなく、「なぜ?」を考える子
    5. ⑤ 失敗したときに、質問したりやり直したりできる子
    6. ⑥ 大人数の中で競うより、小さな学校でじっくり関係を築きたい子
    7. ⑦ 「自由」を自分で使う練習をしたい子
    8. ⑧ 勉強もクラブも、一つだけに絞りたくない子
    9. ⑨ 海外や異文化に興味はあるが、「英語だけ」にしたくない子
    10. ⑩ 大学名だけでなく、「何を学ぶか」も考えたい子
    11. 逆に、入学前に確認しておきたいタイプ
    12. 「今できる子」より、「6年間で自分をつくりたい子」
  13. 13. まとめ|変わらないフレンド派の精神と、時代に合わせて進化する普連土学園
    1. 普連土の中心にあるのは、「自分で考える」ということ
    2. 「自由」と「放任」は似ているようで違う
    3. 「沈黙の礼拝」は、学校全体を理解する入口
    4. 進学校でありながら、大学名だけを教育のゴールにしない
    5. 少人数校だからこそ、学校との相性はよく見たい
    6. 受験を考えるなら、一度「学校の空気」を見てほしい
    7. 140年近く続く学校が、今も問い続けていること

1. 学校の概要|1887年創立、「普連土」の名に受け継がれるフレンド派の教育

普連土学園中学校は、東京都港区三田にある私立の女子中高一貫校です。1887年(明治20年)に始まった学校で、創立以来、キリスト教フレンド派(クエーカー)の考え方を教育の基盤としてきました。

日本には数多くのキリスト教学校がありますが、普連土学園は少し立ち位置が違います。世界にはフレンド派の学校が数多く存在する一方、日本でフレンド派を教育の基盤とする学校は普連土学園だけです。

学校名普連土学園中学校
所在地東京都港区三田4丁目14番16号
学校区分私立・女子校
教育形態中高一貫教育
創立1887年(明治20年)
教育の基盤キリスト教フレンド派(クエーカー)
学校規模中高6学年で約800名、各学年3クラス
教育理念Let Your Lives Speak

1887年、新渡戸稲造と内村鑑三の働きかけから始まった

普連土学園の歴史は、1887年にさかのぼります。

当時アメリカに留学していた新渡戸稲造と内村鑑三の働きかけを受け、フィラデルフィアのキリスト教フレンド派婦人伝道会から、ジョーゼフ・コサンド、サラ・コサンド夫妻が日本へ派遣されました。夫妻による教育活動が、現在の普連土学園へとつながっています。

新渡戸稲造は後に国際連盟事務次長を務めた国際人であり、日本人初のクエーカーとしても知られます。内村鑑三もまた、近代日本を代表するキリスト教思想家の一人です。

ただし、二人が学校そのものを設立したというより、日本でフレンド派による教育を始めるきっかけをつくった、と見る方が普連土学園の成り立ちには近いでしょう。

「普連土」という少し不思議な校名

初めて学校名を見た受験生なら、「普連土」はどう読むのだろうと思うかもしれません。読みは「ふれんど」です。

この漢字を考案したのは、津田塾大学を創設した津田梅子の父であり、農学者・教育者でもあった津田仙です。

そこには、「普(あまね)く世界の土地に連なるように」という願いが込められました。「Friends」を単に音だけで漢字に置き換えた校名ではありません。

世界の人々とつながることを願って名付けられた学校が、140年近く後の現在も国際教育や海外研修を行っている。その名前は、学校の歴史を知る入口にもなっています。

「Let Your Lives Speak」――生き方そのもので示す

普連土学園が教育理念として掲げているのが、フレンド派の創始者ジョージ・フォックスの言葉「Let Your Lives Speak」です。

日本語では「あなたの生き方をもって示しなさい」と表現されています。

普連土が共有する価値観は、「自由」「平等」「対話」「平和主義」。教師から与えられた答えをそのまま受け取るのではなく、自分で考え、異なる考えを持つ人とも話し、その上で自分の行動を選ぶことを重んじています。

ここでいう「自由」は、好きなことを好きなようにするという意味ではありません。自分で判断できるからこそ、その判断について自分で責任を負う。学校が目指している「自立」は、むしろこちらに近いものです。

毎朝20分、「沈黙」から学校生活が始まる

普連土学園を象徴するものとして、やはり外せないのが毎朝20分の礼拝です。

フレンド派では、一人ひとりの心に神からの直接の語りかけがあると考え、それを「内なる光(Inward Light)」と呼びます。その声に耳を澄ませる時間として行われるのが「沈黙の礼拝」です。

皆で同じ言葉を唱え続けるわけではありません。まず静かに座り、自分の内側や、他者からの語りかけに耳を傾けます。

中学生が毎朝20分、何もしないように見える時間を持つ。効率だけを考えれば、なかなか選びにくい時間の使い方です。それでも普連土は、この時間を学園の営みの核として守り続けています。

授業、試験、友人関係、部活動と、学校生活は放っておいても慌ただしくなります。その一日の最初に、いったん静かになる時間が置かれている。タイトルに掲げた「沈黙の礼拝」は、学校行事の一つというより、普連土の教育そのものを理解する鍵です。

中高6学年で約800名、各学年3クラスの小規模校

普連土学園は、創立時から女子の少人数教育を続けています。現在も中高6学年を合わせて約800名で、各学年は3クラス。1クラスはおおむね40〜45名です。

1クラスだけを見れば極端に少人数というわけではありません。しかし、学校全体で考えると規模は比較的コンパクトです。

さらに授業では、英語、英会話、数学、技術・家庭などでクラスを分割します。中学1〜2年の数学では1クラスに2名の教員が入るティームティーチングも行われています。

つまり普連土の「少人数教育」は、単に全校生徒が少ないという話ではありません。教科や学年に応じて授業単位を小さくし、生徒を見る人数を調整していることまで含めて考える必要があります。

140年近く変わらないものと、現在進んでいる教育改革

普連土学園には1887年から続く歴史がありますが、学校の中身まで明治時代のままというわけではありません。

現在はICTを活用した授業、理数教育、探究・進路プログラム、海外研修などを取り入れ、高校では進路に応じた多様な選択授業も用意しています。近年は大学との連携も広がっています。

一方で、「Let Your Lives Speak」という理念や、自由・平等・対話・平和を大切にする考え方、毎朝の礼拝は変わらず学校生活の中心にあります。

変えないものがあるから、新しいものも取り入れられる。普連土学園を見ると、そんな学校のあり方が見えてきます。

港区三田の小さな女子校でありながら、その教育の根はフィラデルフィアやイギリスのフレンド派までつながっています。校名の由来どおり、最初から「世界の土地に連なること」を意識して始まった学校なのです。

2. アクセスと立地環境|田町・三田・白金高輪から通える港区三田のキャンパス

普連土学園中学校は、東京都港区三田4丁目にあります。最寄り駅はJR田町駅、都営地下鉄三田駅、東京メトロ・都営地下鉄の白金高輪駅で、複数の路線から通学できます。

最寄り駅利用路線学校まで
田町駅JR山手線・京浜東北線三田口より徒歩約8分
三田駅都営浅草線・都営三田線A3出口より徒歩約7分
白金高輪駅東京メトロ南北線・都営三田線2番出口より徒歩約10分

JR、浅草線、三田線、南北線を使えるため、東京都内のさまざまな方面から通学ルートを組みやすい立地です。さらに、学校近くには「三田三丁目」「三田五丁目」のバス停があり、バスを利用する場合はいずれも徒歩約1分です。

3つの駅を使えることは、6年間では案外大きい

最短で見れば三田駅から徒歩約7分ですが、普連土のアクセスで使いやすいのは、単に「駅から近い」ことだけではありません。

JRを使うなら田町駅、浅草線や三田線なら三田駅、南北線方面からなら白金高輪駅と、住んでいる地域に応じて入口を変えることができます。

中学受験の学校選びでは、自宅から学校までの所要時間を一つの数字で考えがちです。しかし実際には、乗り換え回数、朝の混雑、駅から学校までの距離なども毎日の負担に関わります。さらに6年間となれば、電車の運休時に別ルートを持っていることも小さくありません。

田町・三田・白金高輪という複数の選択肢がある普連土は、通学経路を家庭ごとに組み立てやすい学校です。

JR山手線を使える田町駅

田町駅はJR山手線と京浜東北線が利用でき、三田口から学校までは徒歩約8分です。

山手線沿線から通いやすいのはもちろん、品川や東京方面から京浜東北線を利用する経路も考えられます。

私立中学校には広い地域から生徒が集まります。一本の私鉄沿線だけに通学圏が偏らず、JRの主要路線から歩いて通えることは、普連土の立地を考える上で分かりやすい特徴です。

三田駅なら浅草線・三田線の2路線

都営地下鉄三田駅からは徒歩約7分です。浅草線と三田線の2路線が乗り入れています。

浅草線は五反田・西馬込方面や日本橋・浅草方面へ、三田線は目黒方面や大手町・巣鴨方面へつながります。

田町駅と三田駅は近接しているため、JRと地下鉄を使い分けることもできます。普段はJR、何かあった日は地下鉄、という選択ができるのも都心の学校ならではです。

白金高輪駅からも徒歩約10分

南側からは、白金高輪駅2番出口から徒歩約10分です。東京メトロ南北線と都営三田線が利用できます。

目黒・麻布十番・六本木一丁目方面など、南北線を利用する地域から通う場合はこちらが便利です。

学校の最寄り駅を一つに決めなくてもよいので、家庭によっては朝と帰りで経路を変えることもできます。部活動や学校行事で帰宅時間が変わる中高生にとって、こうした選択肢は実際の生活で効いてきます。

三田台の高台にある、歴史を感じる街

普連土学園がある三田周辺は、都心のオフィス街に近い一方、寺院や学校、住宅地が入り交じる地域です。

港区には古くから高台が広がり、江戸時代には多くの大名屋敷や寺院が置かれました。三田にもそうした歴史が残っており、駅前の大きな道路やビル街から少し歩くと、街の表情が変わります。

普連土のキャンパスも、駅前の商業地の真ん中に建っているわけではありません。三田の街を歩き、高台へ向かう途中に学校があります。

都心の学校というと、高層ビルに囲まれたキャンパスを想像するかもしれませんが、普連土は少し違います。歴史ある三田の街並みの中に、中高6年間を過ごす学校が置かれています。

港区にありながら、校内に入ると学校の時間へ切り替わる

田町駅周辺はオフィスや商業施設も多く、人の往来が多い地域です。一方、学校へ近づくにつれて住宅や寺院、教育施設が増えていきます。

こうした立地は、普連土の学校文化ともよく似合います。

§1で紹介したように、普連土では毎朝20分の礼拝から一日を始めます。数十分前まで多くの人が行き交う都心の電車に乗っていた生徒たちが、学校へ着けば静かに座り、一日の最初に自分と向き合う時間を持つわけです。

都市の便利さと、学校の中の静けさ。その切り替わりも、三田にある普連土で6年間を過ごす風景の一つです。

学校説明会では「駅からの7〜10分」も歩いて確かめたい

アクセスについては、路線図だけで判断せず、説明会や学園祭の際に親子で実際に歩いてみるのがおすすめです。

中学1年生になれば、重い教科書や部活動の荷物を持ってこの道を歩きます。夏の暑い日も、雨の日もあります。

それでも田町・三田・白金高輪のいずれからも徒歩10分前後。都心の複数路線を利用しながら、駅から長いバス移動をせずに通える点は、中高6年間の通学を考えると使いやすい立地です。

3. 教育方針とカリキュラム|「沈黙の礼拝」と少人数教育で育てる自立と対話

普連土学園の教育を見ていると、繰り返し出てくるのが「自分で考える」という姿勢です。

毎週水曜日の「沈黙の礼拝」では、自分の内側に耳を澄ませる。授業では、答えだけでなく考えた過程を言葉にする。社会科では自分で問いを立てて論文を書き、理科では実験後に考察をまとめる。フレンド派が大切にしてきた「自由」「平等」「対話」は、宗教の時間だけに置かれているわけではありません。

その一方で、大学受験に必要な学力については、中高6年間を使った先取り、少人数授業、習熟度別授業、個別指導を組み合わせています。

精神教育と進学指導を別々に置くのではなく、自分で考え、自分の言葉を持ち、その上で学力も身につける。普連土のカリキュラムは、その方向へ組み立てられています。

一日の始まりに20分の礼拝

普連土では、朝8時10分から20分間の礼拝があります。

ただし、毎日20分間ずっと沈黙しているわけではありません。曜日によって内容が異なります。

曜日礼拝の内容
月・火曜日教員やゲストによる話
水曜日沈黙の礼拝
木曜日ホームルーム礼拝
金曜日自治会委員長や留学経験者など、生徒による話

その中でも、普連土を象徴するのが水曜日の「沈黙の礼拝」です。

フレンド派では、一人ひとりの内側にある「内なる光」に耳を澄ませることを大切にします。そこで、誰かが一方的に教えを説くのではなく、まず静かになる時間を持ちます。

そして興味深いのは、沈黙だけで一週間が完結しないことです。別の日には教員や外部の人の話を聞き、金曜日には生徒自身が全校生徒へ語ることもあります。

まず聞く。そして、自分も語る。タイトルに掲げた「自立と対話」は、この一週間の礼拝の形にもよく表れています。

中学では「聖書」、高校では「宗教」を週1時間

宗教教育として、中学校では「聖書」、高校では「宗教」を週1時間学びます。

ただし、聖書の言葉を覚えることだけを目的とした授業ではありません。フレンド派の考え方を一つの手がかりとして、キリスト教や宗教を客観的・学問的に理解し、人間や社会について考えていきます。

キリスト教徒の家庭でなければ入りにくい学校、というわけでもありません。特定の信仰を持つことを入学の条件としている学校ではなく、異なる立場を持つ人同士がどう共に生きるかを考えることに重点があります。

創立以来の「週5日登校・2期制」

学校生活の組み方にも、普連土らしいところがあります。現在も週5日登校・2期制です。

授業は1コマ45分で、月曜日から木曜日は7時間。中学校は金曜日のみ6時間授業です。土曜日には通常授業を置かず、クラブ活動、自宅学習などに使うことができます。

私立の中高一貫校では、土曜日にも通常授業を行って授業時間を確保する学校が珍しくありません。普連土は創立時から週5日登校を続けています。

これは単に「土曜日が休みだから楽」という話ではありません。学校側がすべての時間を埋めるのではなく、自分で使う時間を残しているとも考えられます。

一方、平日は7時間授業が基本ですから、学校にいる日はしっかり学ぶ。学校で学ぶ時間と、自分で使う時間を分けるという一週間になっています。

少人数教育は「1クラスの人数」より授業の分け方を見る

普連土は全学年3クラスで、1クラスは40〜45名ほどです。数字だけを見ると、1クラス20名程度の学校を想像するような「少人数」とは少し違います。

実際の特徴は、授業によってクラスを細かく分けることにあります。

授業形態主な対象
少人数分割中1〜3英語・英会話、中1〜2数学の一部、中1〜3技術・家庭など
ティームティーチング中1〜2数学、中1英語など
習熟度別授業中3数学・英語の一部から開始し、高校で対象を拡大
少人数選択授業高校2〜3年の各種選択授業

中学1〜2年の数学では、一つの授業に2名の教員が入るティームティーチングや分割授業を行います。中学3年からは数学で習熟度別編成が始まり、英語の一部でも習熟度別授業が導入されます。

最初から成績で細かく分けるのではなく、中学前半では同じ内容を少人数で丁寧に学び、学力差が見え始める中3以降に習熟度へ対応していく流れです。

数学は中3から高校内容へ、6年間を切らずに学ぶ

高校からの一般募集を行わない中高一貫教育の利点を生かし、主要教科では先取り学習も行います。

数学では、中学段階で代数・幾何を学び、中学3年から高校教科書の内容へ入ります。高校では習熟度別授業を取り入れながら進み、文系は高校2年まで、理系は高校3年前期までに教科書内容を終え、その後は大学入試に向けた演習へ移ります。

また、文系を選んだ生徒も数学Ⅱ・B・Cのベクトルまで必修とし、大学入学共通テストの「数学ⅡBC」に対応できるようにしています。

途中式や考え方も重視しており、生徒の答案にはコメントを加えながら添削します。先へ進む速さだけではなく、なぜそうなるのかを自分で書けることも数学教育の一部です。

英語は中学全学年で分割授業

英語も、普連土が少人数編成を積極的に使う教科です。

中学校では3学年とも英語を分割クラスで学びます。英会話も中学全学年で分割し、中学1年はクラスを2つ、中学2年から高校1年までは3つに分けて授業を行います。

外国人教員による英会話では、文法や語彙を実際に使えるように、劇やゲームなども取り入れます。小学校時代に英語を学んでいない生徒もいることを前提として、中学1年から授業を始めます。

高校では必修英語が習熟度別となり、高校2・3年にはディスカッション中心の授業や異文化理解、英作文などの選択科目も用意されます。大学入試向けの上級選択授業では、1クラス10名程度になるものもあります。

「会話か受験英語か」のどちらかを選ぶのではなく、中学では土台をつくり、高校では進路や関心に応じて使う英語まで広げていく構成です。

理科では中1から高1までに約140回以上の実験・観察

理科では、中学1年から高校1年までの4年間で約140回以上の実験・観察を行います。

実験をして「面白かった」で終わるのではなく、その後に考察や関連事項についてレポートを書きます。特に低学年では、答えが正しいことだけでなく、そこへ至った思考の跡も重視します。

これはフレンド派教育とは一見関係のない理科の話ですが、「人から答えをもらう前に、自分で観察し、自分で考える」というところではつながっています。

高校1年では物理基礎・化学基礎・生物基礎を全員が履修し、高校2年以降は文系・理系それぞれの進路に合わせて科目を選択していきます。

中2で地域研究レポート、中3で社会科論文

「書いて考える」ことも、普連土のカリキュラムで目につく部分です。

中学2年では「地域研究レポート」、中学3年では「社会科論文」に取り組みます。国語科と社会科の教員が協力して指導する場面もあります。

資料を集めてきれいにまとめるだけではなく、自分で問いを立て、その問いについて考え続けることが求められます。

国語でも、要約、ディベート、スピーチ、グループ学習などを繰り返します。沈黙を大切にする学校ですが、決して「黙っていること」を教育のゴールにしているわけではありません。

自分の中で考えたことを、今度は言葉にして他者へ渡す。沈黙と対話は、普連土では反対のものではないのです。

つまずいたときは、個別指導と少人数補習で戻る

中高一貫校で先取り学習を行うとなると、「途中で授業についていけなくなったらどうするのか」は気になるところです。

普連土では、必要な生徒に対して担当教員が個別指導、追加課題、少人数での補習を行っています。

全員を同じ補習へ一律に参加させるというより、つまずきの内容に応じて教員が対応する形です。家庭から希望がある場合には、学校が信頼する卒業生を家庭教師として紹介し、教科担当と連携しながら指導する仕組みもあります。

少人数編成で授業を行い、必要なら個別に戻る。それでも得意な生徒には高校の選択授業まで含めて先へ進める余地がある。普連土の学習指導は、全員を同じ速度で走らせるより、一人ひとりが6年間でどこまで伸びるかを見ていく設計になっています。

4. 学習環境と施設設備|歴史ある三田の校地に、理科・ICT・静かな学びの空間を備える

普連土学園のキャンパスは、港区三田の高台にあります。郊外型の学校のような広大な敷地ではありませんが、本校舎、中学校舎、高3校舎などに教室や特別教室を配置し、中高約800名が過ごすための施設を整えています。

施設を見ると、この学校が何を大切にしているのかも少し分かります。物理・化学・生物の専用教室、図書館、コンピュータ教室がある一方、祈りのための「静黙室」もあります。

新しい機器だけを揃えるのではなく、手を動かして学ぶ場所、静かに考える場所、人と話す場所をそれぞれ持っている。普連土らしいキャンパスです。

本校舎・中学校舎・高3校舎に分かれたキャンパス

校内には本校舎、中学校舎、高3校舎があり、学年や用途に応じて施設が配置されています。

施設主な設備
本校舎物理室、生物室、化学室、大教室、ラウンジ、調理室、被服室、コンピュータ教室、ローズホール、フリージアホール、静黙室など
中学校舎中学生教室、クロークルームなど
高3校舎高校生教室、美術室、自習室、小体育館など
共用施設図書館、体育館、グラウンド、音楽室、工芸室、中庭など

中学生には中学校舎という生活の拠点がありながら、理科室や図書館、体育施設などは中高で利用します。6学年が同じ学校で過ごしつつ、それぞれの学年の居場所も確保されています。

物理・化学・生物の専用教室を備える理科環境

§3で紹介したように、普連土では中学1年から高校1年までに多くの実験・観察を行います。それを支えているのが、物理室、化学室、生物室などの理科施設です。

理科は物理・化学・生物・地学の4分野を、それぞれ専門の教員が担当します。低学年では校内の植物など身近な題材も使いながら、実物を観察し、実験し、その結果から考察を書くところまで行います。

大学受験で理系へ進むかどうかを、中学生のうちから決める必要はありません。普連土では毎年4割前後が理系を選んでおり、早い段階で各分野を実際に経験した上で、自分の得意や関心を見つけていく形です。

全生徒がiPadを持ち、全教室にプロジェクター

ICT環境では、生徒全員がiPadを使用しています。全教室にプロジェクターが設置され、授業でも日常的にICTを利用します。

学習アプリ「MetaMoJi Classroom」には、授業用のテキスト、動画、確認テストなどが配信され、生徒は必要に応じて繰り返し学習できます。

さらに校内にはコンピュータ教室があり、Windows 11を搭載した生徒用PCを50台設置。一般的な文書作成や表計算だけでなく、プログラミング、画像・音声・動画編集などにも対応しています。昼休みや放課後には、生徒が利用することもできます。

もっとも、学校が目指しているのは「端末をたくさん使う授業」そのものではありません。ICTを補助的な道具として使いながら、最後は自分で考えることを重視しています。

140年近い歴史を持つ女子校で、生徒が一人1台iPadを使っている。この組み合わせは少し面白いところです。伝統を守ることと、新しい道具を使わないことは、同じではありません。

図書館と自習室、落ち着いて学べる場所も

校内には図書館があり、高3校舎には自習室も設けられています。

普連土では、中学2年の地域研究レポート、中学3年の社会科論文をはじめ、自分で資料を探し、文章にまとめる課題があります。高校へ進めば大学受験に向けた自主学習の時間も増えていきます。

授業を受ける教室とは別に、本を探したり、一人で机に向かったりする場所が学校の中に用意されています。

礼拝堂ではなく「静黙室」がある

キリスト教学校というと、大きなチャペルや十字架のある礼拝堂を思い浮かべるかもしれません。しかし、普連土には専用の礼拝堂がありません。

フレンド派は、信仰を特定の建物や目に見える形に縛らないことを大切にしているため、毎朝の礼拝は講堂で行います。校内には十字架や聖像も置かれていません。

その代わり、本校舎の地下には「静黙室」という祈りのための部屋があります。

大きな宗教施設をつくるのではなく、静かに自分と向き合う小さな部屋を置く。施設の造りにも、普連土のフレンド派らしさが表れています。

食堂はなく、昼食は教室で

普連土には食堂・カフェテリアはありません。昼食は弁当を持参する形が基本です。

ただし、家庭から弁当を持ってこられない日にも対応できるよう、当日の朝9時までにインターネットで注文すると、日替わり弁当が学校へ届く仕組みがあります。

校内にはパンと飲料の自動販売機もあり、登校途中にコンビニエンスストアなどで昼食を購入することも認められています。

食堂のある学校とは昼休みの風景が少し違います。クラスメートと教室で机を囲んで食べる時間も、少人数の女子校である普連土の日常の一部です。

「自由売店」にも普連土らしさ

校内には一般的な購買部はありませんが、本校舎2階のラウンジに文房具の「自由売店」があります。

使い方は少し変わっています。必要な文房具を取った生徒が、自分でノートに品名と金額を書き、お金を納めます。そして、この売店を管理しているのは購買委員会の生徒たちです。

店員が商品と代金を一つずつ確認する仕組みではありません。利用する側がきちんと記録し、支払うことを前提に成り立っています。

小さな設備ではありますが、相手を信頼し、一人ひとりが自分の行動に責任を持つという普連土の学校文化が、こうした日常の仕組みにも現れています。

プールは設置していない

校内には体育館、小体育館、グラウンドなどの運動施設がありますが、プールはありません。学校でも水泳の授業は実施しておらず、今後もプールを設置する予定はないとしています。

水泳部への入部や水泳授業を学校選びの条件にしている家庭であれば、ここは事前に確認しておきたい点です。

一方で、体育館やグラウンドは体育の授業やクラブ活動で使用されます。限られた都心の校地の中で、何を学校内に持ち、何を持たないかが比較的はっきりした施設構成です。

毎日相談できるカウンセリングルーム

施設は学習や運動のためだけではありません。校内にはカウンセリングルームがあり、非常勤嘱託のカウンセラーが毎日常駐しています。

相談できるのは生徒だけではなく、保護者も含まれます。また、必要に応じて精神科学校医とも連携して対応します。

中高6年間には、勉強だけでなく友人関係や家庭、進路、自分自身について悩む時期もあります。そうしたとき、学校の中に授業とは別の相談先があることも、日々の学校生活を支える設備の一つです。

災害時には全校生徒3日分を備蓄

都心の学校だからこそ、災害時の備えも確認しておきたいところです。

普連土では、全校生徒3日分の食料・飲料を備蓄し、簡易毛布や簡易トイレも用意しています。校舎はすべて耐震基準を満たし、緊急時には連絡網を使って情報を配信します。校内には警備員も常駐しています。

田町・三田・白金高輪から通える学校だけに、広い地域から生徒が集まります。交通機関が止まり、すぐ帰宅できない状況まで想定した備えです。

最新のICT機器がある一方で、静黙室があり、理科では実物に触れ、自習する場所があり、自由売店は生徒の信頼によって成り立っている。普連土の施設は華やかさを競うというより、この学校がどんな6年間を生徒に過ごしてほしいのかが所々に見えるつくりになっています。

5. 学校生活と行事|プレイデー・学園祭・修学旅行で広がる教室の外の学び

普連土学園の年間行事を見ると、体育祭や学園祭、合唱コンクールといった学校行事に加えて、礼拝、芸術鑑賞、宿泊学習、研究発表、奉仕活動などが並んでいます。

そして、行事の運営で大きな役割を担うのが生徒会をはじめとする自治会組織です。

普連土が教育理念として掲げる「自由」は、自分の好きなように振る舞うことではなく、自分で考えて行動し、その結果に責任を持つことです。授業とは違う形でそれを経験する場所が、学校行事でもあります。

一年を通して行われる主な行事

時期主な行事
入学式、新入生オリエンテーション、自治会総会、校外宿泊学習(中1・中2)、体育祭
初夏東北修学旅行(中3)、お茶会(中1)、合唱コンクール(高校)
聖句暗誦会(中学)、歌舞伎鑑賞教室(中3)、美術特講(中1)、クラブ合宿、イングリッシュ・キャンプ(中3)など
創立記念礼拝、学園祭、プレイデー、校外学習(中2)、校友会バザー、収穫感謝礼拝、研究論文全校発表
宗教講演、ハレルヤコーラス練習、奉仕の日、芸術鑑賞会、クリスマス礼拝
年度末中学合唱コンクール、特別行事、卒業式、修了式

このほか、高校では奈良・京都修学旅行、清里修養会、研究論文、海外研修なども行われます。中学から高校へ進むにつれて、行事の内容も「参加する」ものから「自分で考えて動く」ものへ少しずつ変化していきます。

中1・中2は校外宿泊学習から始まる

中学1・2年では、春に校外宿泊学習があります。

中学1年生にとっては、入学して間もない時期に学校を離れ、友人とまとまった時間を過ごすことになります。教室では隣の席にならなければ話さなかった相手とも、宿泊行事では自然に一緒に動くことになります。

一学年3クラスの学校なので、6年間を過ごすうちにクラスを越えて顔を知る生徒も増えていきます。その最初のきっかけになるのが、こうした宿泊行事です。

普連土が「対話」を大切にするといっても、対話の力は授業を聞くだけでは身につきません。一緒に食事をし、相談し、ときには意見が合わない経験をする。学校行事には、そうした小さな場面がたくさんあります。

体育祭とは別に行われる「プレイデー」

普連土には春の体育祭に加えて、秋に「プレイデー」があります。

近年の体育祭では、綱引きや応援合戦のほか、中学1年生のメイポールダンス、中学3年生のリングなど、学年ごとの演目も行われています。

一方のプレイデーは、生徒自治会の体育委員会などが中心となって行うスポーツ行事です。高校ではドッジボールや借り人競争など、クラスや学年を越えて楽しめる競技が組まれています。中学校にも別日程でプレイデーがあります。

体育の成績を競う授業とは少し違い、クラスの仲間と身体を動かして楽しむ時間です。春に大きな体育祭があり、秋にももう一度こうしたスポーツ行事があるので、一年間の中でクラスがまとまる機会が複数あります。

生徒自身がつくる「学園祭」

秋には学園祭があります。

年間行事全体と同じく、生徒会をはじめとする自治会組織が中心となり、生徒自身が準備や運営に関わります。クラブや委員会による発表など、普段の学校生活で取り組んできた活動を外へ見せる場でもあります。

普連土の校風を知りたい受験生にとっても、学園祭は見ておきたい行事です。

学校説明会では、どうしても先生が学校について説明する時間が中心になります。学園祭になると、生徒が友人とどう話しているか、上級生が下級生にどう接しているか、企画をどの程度自分たちで動かしているかが見えてきます。

「少人数で温かな学校」という言葉より、こうした場面を自分の目で見る方が、校風はずっと分かりやすいものです。

中学3年の東北修学旅行は、普連土の歴史にもつながる

中学3年では東北修学旅行を行います。

これまでの行程では、平泉の毛越寺・中尊寺、宮沢賢治に関する施設、新渡戸稲造ゆかりの施設などを訪ね、東北の歴史・文化・自然に触れてきました。

普連土にとって新渡戸稲造は、教科書に登場する偉人であるだけではありません。§1で見たように、普連土創立のきっかけをつくった人物の一人です。中学校生活の中でその足跡を実際に訪ねることは、自分たちの学校がどこから始まったのかを考える機会にもなります。

過去の修学旅行では、農作業体験や奥入瀬渓流の散策、郷土芸能との出会いなども組み込まれてきました。ホテルと観光地を巡るだけではなく、その土地の人や文化に触れることを重視した旅です。

そして旅行先でも、一日の始まりや終わりには礼拝の時間があります。三田を離れても普連土の一日は普連土らしく進んでいきます。

中3の夏には「英語だけで過ごす」イングリッシュ・キャンプ

中学3年の希望者には、夏休みにイングリッシュ・キャンプがあります。

2泊3日の期間中は英語のみを使って生活し、さまざまな活動に取り組みます。現在は40名ずつ2期、計80名程度が参加できるプログラムです。

英語の授業で正しい文法を学ぶことと、「伝えなければ物事が進まない」環境で英語を使うことは、かなり違います。

さらに中学3年には10日間のカナダ研修もあり、高校へ進むとイギリスのジョージ・フォックスツアー、アメリカでのセルフディベロップメントプログラム、ニュージーランドへのターム留学、カンボジアでのプロジェクトなどへ選択肢が広がります。

語学研修だけでなく、フレンド派の歴史や異文化、平和・社会問題と結びついたプログラムが多いのが普連土の国際教育です。

中学生には聖句暗誦会、歌舞伎鑑賞、お茶会も

学校行事には、スポーツや宿泊だけでなく、文化に触れる時間もあります。

中学生は聖句暗誦会に参加し、中学1年ではお茶会と美術特講、中学3年では歌舞伎鑑賞教室が用意されています。高校へ進むと能楽鑑賞教室や芸術鑑賞会などにもつながっていきます。

一つの分野に偏らず、中高6年間で文学、宗教、美術、音楽、伝統芸能などに触れる機会を置いています。

十代のうちに触れたものが、その場ですぐ「役に立つ」とは限りません。しかし、あとになって好きなものや進路につながることがあります。学校教育には、そういう寄り道があってもよいのでしょう。

クリスマスは、普連土にとって宗教行事

12月にはクリスマス礼拝が行われます。

クリスマスが近づくと、朝の礼拝を通常より長くした特別礼拝が行われることもあり、中学1年生によるキリスト降誕のページェントや、聖歌などを通してクリスマスを迎えます。

街のクリスマスがイルミネーションやプレゼントを中心に語られる季節だからこそ、キリスト教学校で過ごすクリスマスは少し違います。

普連土では、収穫感謝礼拝、宗教講演、奉仕の日なども年間予定に組み込まれています。フレンド派の考え方は聖書の授業だけで学ぶものではなく、こうした一年の節目にも現れます。

「自治」が行事を学校教育に変える

体育祭、プレイデー、学園祭、合唱コンクール、宿泊行事。名前だけを見れば、多くの中高一貫校にある行事です。

普連土で見ておきたいのは、それらを生徒自身がつくることを重視している点です。

誰かが決めたことに従うだけなら、行事は一日で終わります。何をするか考え、意見の違う相手と相談し、役割を分担し、うまくいかなければ修正する。その過程まで経験すると、行事は「楽しかった思い出」以上のものになります。

普連土が大切にしてきた「自由」「平等」「対話」という言葉は、少し抽象的です。しかし、友人と一緒に行事を一つつくる場面まで下ろしてみると、ずっと分かりやすくなります。

教室では自分で考える。礼拝では静かに耳を澄ませる。そして行事では、他者と相談しながら実際に動く。普連土の学校生活は、その三つを行き来しながら6年間が進んでいきます。

6. クラブ活動|中高合同の活動と、少人数校ならではの学年を越えたつながり

普連土学園では、運動部・文化部を合わせて21のクラブが活動しています。

一学年3クラスの学校ですが、クラブに入れば人間関係は一気に縦へ広がります。中学生と高校生が一緒に活動するクラブも多く、中学1年生が高校生の先輩から教わり、やがて自分が後輩を迎える側へ回っていきます。

活動日はクラブによって異なり、土曜日を含めて週1〜3日程度。放課後の活動は17時30分までで、17時50分には完全下校となります。

毎日遅くまで練習することを前提とした学校ではありません。週5日登校で空いている土曜日も使いながら、学習や家庭で過ごす時間とのバランスを取りやすい活動形態です。

運動部は9クラブ

分野クラブ
球技ソフトボール部、テニス部、バスケットボール部、バドミントン部、バレーボール部
武道・身体表現剣道部、体操部、フォークダンス部
アウトドアハイキング部

テニス部は校内の3面のコートを使って活動し、バスケットボール部では中高が一緒に公式戦へ向けて練習しています。ハイキング部のように1〜2か月に一度、登山や街歩きを楽しむクラブもあり、活動の濃さはクラブによってかなり違います。

「部活動はしっかりやりたい」という生徒にも、「勉強や他の活動と両立しながら続けたい」という生徒にも、選び方があります。

60年以上続くフォークダンス部

普連土のクラブ活動を象徴する存在の一つが、60年以上の歴史を持つフォークダンス部です。

ヨーロッパ各地の民族舞踊などを学び、民族衣装を着て学園祭で発表します。学校では「学園祭の華」とも紹介されてきました。

そして、フォークダンス部に受け継がれているのがバンブーダンスです。

この踊りを普連土へ伝えたのは、かつて学校で英語を教えていたフィリピン出身の教員でした。二本の竹をリズミカルに開閉し、その間を踊り手がステップを踏んでいくフィリピンの伝統舞踊です。

何十年も前に学校へやって来た外国人教員との交流が、一つのクラブの伝統として今も残っている。国際交流を「新しい教育プログラム」として始めた学校とは、少し違う歴史の積み重なりがあります。

文化部は12クラブ、かなり幅が広い

文化部は、音楽・芸術から科学、語学まで12クラブあります。

分野クラブ
語学・舞台E.S.S.部、演劇部
音楽音楽部、軽音楽部、吹奏楽部
文化・芸術茶道部、陶芸部、美術部
学術・コミュニケーション理科部、手話部、ボードゲーム部、放送部

E.S.S.部ではネイティブ教員と英語劇の台本をつくり、学園祭で発表します。音楽部ではミュージックベル、フルート、マンドリンなどを演奏し、クリスマス礼拝でも演奏する機会があります。

茶道部には表千家の指導者が来校し、陶芸部では一人ひとりが自分の作品を制作します。放送部ではiPadを使った動画制作にも取り組んでいます。

「文化部」と一括りにしてしまうと分かりにくいのですが、やっていることはかなり違います。中学校に入ってから新しい趣味を見つけたい生徒にとって、選択肢は十分あります。

理科部ではガラス細工からロケット、鉄道模型まで

理科部の活動も、普連土の理数教育と相性のよいクラブです。

現在はガラス細工班、ロケット班、鉄道模型班、鉄道5inch班などに分かれて、ものづくりを中心に活動しています。合宿では星空観望や自然観察にも取り組みます。

授業の理科では多くの実験・観察を行いますが、クラブでは「試験に出るから」ではなく、自分が面白いと思ったものを追いかけることができます。

理系進学に関心のある生徒はもちろん、入学時には理科が特別好きではなかった生徒が、ものづくりをきっかけに興味を持つこともあるでしょう。

手話部やボードゲーム部にも「対話」が見える

普連土らしいクラブとして、手話部ボードゲーム部もあります。

手話部では、手話での会話や歌に手話を付けた発表などに取り組みます。少人数で学年を越えて交流しながら、一つの言語として手話を学んでいます。

ボードゲーム部では、世界各地のボードゲームを楽しみながら、学年を越えて対戦します。

もちろん、クラブ活動に学校の教育理念を何でも結びつける必要はありません。それでも、相手の話を聞き、自分の考えを伝え、違う学年の生徒と一緒に過ごす場が多いことは、普連土が大切にする「対話」と自然に重なります。

クラブ以外の「自治会活動」も活発

普連土では、放課後の活動を考えるときに自治会活動も外せません。

生徒会のほか、園芸、購買、広報、国際親善、宗教、生活、体育、図書、美化、ボランティアなど、多くの委員会があります。

例えば、中学生だけで構成される購買委員会は、§4で紹介した「自由売店」を管理します。商品を並べ、学校生活に必要な文房具を生徒自身の手で扱います。

学園祭実行委員会は、中学3年から高校2年までの有志で構成され、学園祭の準備・運営を担当します。体育委員会は体育祭、図書委員会は図書新聞や雑誌市など、それぞれが学校生活の一部を担っています。

「学校行事は先生が用意し、生徒は参加する」という関係ではなく、生徒自身が学校を動かす側へ入っていく。その経験も、普連土の自治教育の一部です。

聖歌隊とYWCAは「クラブ」ではない

少し珍しいのが、聖歌隊とYWCAの位置づけです。

これらは一般のクラブ活動ではなく、学校の宗教部に直属するキリスト教教育の一環として活動しています。

高校生の聖歌隊は、入学式・卒業式などの大きな礼拝や学校説明会で奉仕します。YWCAでは、他校のYWCAとの交流やボランティアを通じて、人権・平和・環境などについて考えます。

キリスト教教育が「聖書の授業」の中だけで完結せず、生徒自身が参加する活動にも広がっています。

週1〜3日だからこそ、自分の6年間を組み立てやすい

クラブ活動は17時30分までで、練習日は土曜日を含めて週1〜3日。日曜日の活動は、中体連・高体連などが主催する公式戦を除いて原則としてありません。

毎日長時間の活動を行うことを希望する生徒には、物足りなく感じるクラブもあるかもしれません。

一方で、普連土には授業、宿題、社会科論文、国際交流、自治会活動など、クラブ以外にも使える時間があります。土曜日も通常授業ではありません。

そのため、放課後を一つの活動だけで埋めるのではなく、クラブを続けながら別のことにも挑戦する余白を持ちやすい学校です。

フォークダンス部のように60年以上受け継がれてきた活動があり、理科部ではロケットをつくり、手話部では新しい言葉を学び、自治会では自分たちの学校生活を自分たちで動かす。普連土の放課後には、教室とはまた違う形で「自分で選ぶ」時間があります。

7. 進学実績と卒業後の進路|少人数校から国公立・早慶上理・GMARCHへ広がる進路

普連土学園には系列大学がありません。高校卒業後は、それぞれが自分の志望する大学・学部を選び、外部大学へ進学します。

2026年3月の卒業生は115名。そのうち国公立大学へ12名、私立大学へ94名が進学し、合わせて106名、約92%が卒業と同時に4年制大学へ進学しました。残る9名は進学準備となっています。

一学年100名余りという学校規模を考えると、大学名だけでなく、実際にどこへ進んだのかまで見ると普連土の進路の姿が分かりやすくなります。

2026年春は東大2名、一橋大1名を含む国公立へ

2026年度大学入試では、現役生から東京大学2名、一橋大学1名、東京学芸大学1名、千葉大学3名、筑波大学1名、埼玉大学1名、信州大学1名、東京都立大学1名、横浜市立大学1名などの合格者が出ました。

主な国公立大学現役合格現役進学
東京大学2名2名
一橋大学1名1名
東京学芸大学1名1名
千葉大学3名3名
筑波大学1名1名
東京都立大学1名1名
横浜市立大学1名1名

国公立大学への現役合格は延べ13名で、実際の進学者は12名でした。

普連土は一学年115名前後ですから、単純な人数だけを大規模校と比べると学校の実力を見誤ります。卒業生のおよそ10人に1人が国公立大学へ進んだ、と見る方が学校規模を反映しています。

早慶上理・ICUへ現役延べ33名

難関私立大学では、2026年春に早稲田大学8名、慶應義塾大学12名、上智大学5名、東京理科大学6名、国際基督教大学2名が現役で合格しました。

大学現役合格現役進学
早稲田大学8名3名
慶應義塾大学12名9名
上智大学5名0名
東京理科大学6名5名
国際基督教大学2名1名

5大学を合わせると現役合格は延べ33名、実際の進学者は18名です。

合格者数だけを見ると、一人の生徒が複数大学・複数学部に合格した分も含まれます。そのため普連土では、公式の進路資料で「合格」と「進学」を分けて公表しています。学校選びをする側にとっても、これはありがたい情報です。

GMARCHへの現役合格は延べ82名

GMARCHでも幅広く合格者が出ています。

大学現役合格現役進学
学習院大学11名4名
明治大学17名8名
青山学院大学11名4名
立教大学15名6名
中央大学15名6名
法政大学13名3名

6大学を合わせた現役合格は延べ82名、進学者は31名です。

さらに、明治学院大学20名、國學院大学11名、武蔵大学10名、北里大学10名、東京農業大学12名などにも現役合格者が出ています。

特定の大学群だけへ生徒を集めるというより、本人の学びたい分野に応じて進路がかなり分散しています。

理系・医療系へ進む生徒も珍しくない

「伝統女子校」「フレンド派」「英語教育」という言葉から、文系中心の学校を想像する人もいるかもしれません。しかし、普連土では高校で毎年4割前後が理系を選択しています。

2026年春にも東京理科大学6名、北里大学10名、東京農業大学12名、千葉工業大学5名、東京工科大学4名、順天堂大学4名、昭和医科大学3名、日本獣医生命科学大学3名などへの現役合格者が出ました。

医学・薬学・獣医・看護などを含め、理系の進路先は一つではありません。

§3で見たように、中学段階から実験・観察をかなり多く行い、数学も中3から高校内容へ進みます。理系進学は高校になって突然始まるものではなく、中学からの授業の延長にあります。

女子大学も、今なお進路の一つ

女子校らしく、女子大学への進学実績もあります。2026年春には東京女子大学12名、日本女子大学8名、津田塾大学5名、昭和女子大学12名、聖心女子大学4名などが現役で合格しました。

ただし、現在の進路を見ると「女子校から女子大学へ」という一本道ではありません。

国公立、早慶、GMARCH、理工系大学、医療系大学、女子大学まで、生徒の進学先はかなり広がっています。女子大学も数ある選択肢の一つとして残っている、と見る方が現在の普連土には近いでしょう。

高校1年の夏から大学入試向け講習

大学受験への準備は、高校3年になってから始めるわけではありません。

普連土では高校1年の夏から大学入試対策講習が始まります。高校3年になると、通年で一人あたり週2〜3講座、夏期には4〜5講座を受講する生徒が多く、学校を中心に受験勉強を進められるようにしています。

また、定期試験や小テストの結果に応じた補習、個別指導もあります。大学入試で小論文が必要な生徒には、高3で志望校の出題傾向に応じて論文科の教員を割り当て、一対一で指導します。

一学年100名余りという規模は、ここでも生きてきます。全員を同じ大学へ向かわせるのではなく、一人ひとりの受験方式や志望学部に合わせて指導を組みやすい環境です。

中1から続く探究が、大学選びにもつながっていく

普連土では、大学名を決めることだけを「進路指導」と考えていません。

中学から各学年でレポートや研究に取り組み、高校では自分でテーマを設定して研究論文を書き上げます。高校1年からテーマを考え始め、高校2年の夏に論文を完成させ、秋には全員がプレゼンテーションを行います。

一人ひとりに担当教員がついて研究を進めるので、「何に興味があるのか」「大学では何を学びたいのか」を考える時間にもなります。

偏差値表を上から眺めて大学を決めるのと、自分が何年も考えてきたテーマの続きを学べる大学を探すのとでは、進路の選び方が違います。

普連土が論文教育を進路指導の中に置いている理由は、ここにあります。

大学との連携は、女子大学から理工系へ広がる

近年は、高校卒業後の進路を考えるための高大連携も広がっています。

2023年には東京女子大学と高大連携協定を締結しました。東京女子大学の初代学長は、普連土創立にも関わった新渡戸稲造です。学校同士の関係をたどると、ここでも明治時代まで戻ることになります。

さらに津田塾大学とも連携教育事業に関する協定を締結しています。普連土という校名を考えた津田仙は、津田梅子の父ですから、こちらも新しく始まっただけの関係ではありません。

そして2026年4月には、芝浦工業大学とも高大連携協定を締結しました。理工系の教育・研究体験、大学生との交流、模擬授業、大学見学などを通じ、女性の理工系進学を後押ししていく方針です。

東京女子大学や津田塾大学との歴史的なつながりを大切にしながら、理工系大学との連携も広げる。現在の普連土の進路教育は、学校の伝統をそのまま保存するのではなく、生徒の選択肢を増やす方向へ動いています。

進学実績を見るときこそ、115名という数字を忘れない

2026年春には東京大学2名、一橋大学1名、慶應義塾大学12名、早稲田大学8名、明治大学17名などの現役合格者が出ました。

数字だけを切り取れば、それぞれもっと多くの合格者を出す学校はあります。しかし、普連土の卒業生は115名です。

そして実際の進路は、国公立12名、私立大学94名、進学準備9名。約92%が卒業と同時に4年制大学へ進みました。

少人数校であることは、進学実績を見るときには不利に見えることがあります。合格者数を大規模校と横に並べれば、どうしても数字が小さくなるからです。

しかし普連土の場合は、分母まで見て初めて学校の姿が分かります。中高約800名の小さな女子校から、それぞれがかなり違う大学・学部へ進んでいく。「みんなで同じところを目指す」のではなく、自分の進路を自分で選ぶというところにも、この学校の教育が続いています。

8. 学費や諸経費について|中高6年間を見据えて確認しておきたい教育費

普連土学園中学校の学費は、授業料だけでなく、教育充実費、旅行積立金、後援会会費、教材などに使われる学年費を合わせて考える必要があります。

2027年度募集要項では、参考として2026年度の年間費用は102万9,600円と案内されています。入学時にはこれとは別に入学金30万円が必要です。

したがって、現在公表されている金額を基準にすると、中学入学初年度は入学金を含めて約133万円が学校へ納める費用の一つの目安になります。

2026年度の年間費用は102万9,600円

項目年間金額
授業料495,600円
教育充実費210,000円
旅行積立金48,000円
後援会会費36,000円
学年費(教材等費用)240,000円
年間合計1,029,600円

授業料は年49万5,600円ですが、実際の学校生活では授業料だけを見て予算を考えるわけにはいきません。教材や校外活動などに使われる学年費が年間24万円、教育充実費が21万円あります。

また、普連土では中学3年の東北修学旅行をはじめ、中高6年間で複数の宿泊行事があります。その費用に備えるため、旅行積立金も年間費用の中に組み込まれています。

入学時には30万円の入学金

入学手続きの際には、30万円の入学金を納入します。

入学金については、一括で30万円を支払う方法のほか、前納金20万円と後納金10万円に分けることもできます。

2026年度の年間費用102万9,600円を加えると、学校納入金として見た初年度の目安は、

300,000円+1,029,600円=1,329,600円

となります。

もちろん、これは学校が示している年間費用と入学金を合わせた金額です。入学に際しては校服なども必要になるため、実際の初年度支出はこれより増えます。

校服などの費用は別途必要

年間費用には、校服をはじめとする被服費などは含まれていません

普連土では入学手続き後に校服の採寸日が設けられ、学校生活に必要な指定品を準備します。

さらに、部活動を始めればクラブによって用具やユニフォーム、合宿などの費用が必要になる場合があります。通学定期券も家庭ごとに異なります。

中学受験では「年間授業料」だけが比較表に載ることもありますが、入学後の家計を考えるなら、こうした周辺費用まで含めて見ておく方が実際の負担に近くなります。

希望制の海外研修は基本の学費とは分けて考える

普連土では、中学3年のカナダ研修、高校でのイギリス研修やニュージーランド留学など、複数の海外プログラムがあります。

こうした海外研修の多くは希望制です。したがって、学校の基本的な年間学費とは分けて考えることになります。

国際教育に関心があり、入学後に海外研修へ参加したいと考えている家庭なら、その分の費用についても中学校入学時から少し余裕を持って考えておくとよいでしょう。

全員が同じプログラムへ参加する学校ではないので、本人の興味や家庭の方針に合わせて選べる部分でもあります。

教育環境整備のための寄付金も案内されている

学校では、教育環境整備のため、入学後に一口10万円・3口以上の寄付への協力を呼びかけています。

年間費用とは別に案内されているものなので、学費を検討する際には存在を知っておきたい費用です。

学校納入金だけでなく、こうした寄付、校服、通学、希望制プログラムまで含めて考えると、入学初年度に必要な金額の全体像が見えやすくなります。

完全中高一貫校なので、高校までの6年間で考える

普連土は高校から一般募集を行わない完全中高一貫校です。中学受験で入学すれば、基本的にはそのまま普連土学園高等学校へ進み、6年間を同じ学校で過ごすことになります。

そのため、教育費も中学校3年間だけで区切るより、高校卒業までの6年間で見ておく方が現実的です。

もちろん、授業料や学年費、旅行関係費などは年度・学年によって変わりますから、2026年度の金額を単純に6倍すればよいわけではありません。ただ、私立中高一貫校を選ぶ以上、入学後さらに高校3年間の教育費が続くことは、家庭の資金計画の中に入れておきたいところです。

その一方で、普連土では中学から高校までを一つの教育課程として組み、数学の先取り、論文教育、大学入試講習、進路指導まで6年間でつなげています。費用についても「中学校に3年間通うためのお金」というより、6年間の教育環境を選ぶための費用として考えると、この学校の仕組みとは合っています。

大学附属校ではないので、その先の4年間は進路によって大きく変わる

普連土には系列大学がありません。§7で見たように、卒業生は国公立大学、早慶上理、GMARCH、理工・医療系大学、女子大学など、それぞれ異なる進路へ進みます。

したがって、高校卒業後の大学4年間に必要な費用は、進学先によってかなり変わります。

国公立大学へ進むのか、私立文系なのか、理工系や医療系なのかでも金額は違います。中学入学の時点で10年先まで決める必要はありませんが、教育費という意味では、中高6年間の先に大学生活が続くことも意識しておきたいところです。

金額だけでは見えない「何に使われる6年間か」も見ておきたい

私立中学校を比較するとき、学費の高い・安いはもちろん大切です。ただ、最終的にはその金額でどんな6年間を選ぶのかを見る必要があります。

普連土の場合、少人数・分割授業、理科の実験、ICT環境、論文教育、補習や大学受験講習、宿泊行事などが中高6年間に組み込まれています。

さらに、土曜日に通常授業を置かない週5日登校という学校生活や、毎週の沈黙の礼拝など、単純に「授業時間をどれだけ買うか」では測れない教育もあります。

年間約100万円という数字だけを見て終えるのではなく、その費用の先にある学校生活まで実際に見て、「この6年間に価値を感じるか」を家庭で考えることが、普連土の学費を見る上では大切です。

9. 入試情報と合格の目安|4回の入試と算数1科入試をどう生かすか

普連土学園中学校の2027年度一般入試は、2月1日午前・1日午後・2日午後・4日午前の計4回です。

4回すべて同じ試験ではありません。午前入試は4科、2月1日午後は算数1科、2月2日午後は国語・算数の2科と、日程によって科目構成がはっきり分かれています。

第一志望として2月1日午前から受験することもできますし、午前に別の学校を受けて午後の算数1科を組み込むこともできます。普連土の入試は、学力だけでなく4回をどう使うかまで含めて考えたい入試です。

2027年度は4回合計120名を募集

入試試験日募集人数試験科目
1日午前4科2月1日(月)午前女子50名算数・国語・理科・社会
1日午後算数2月1日(月)午後女子20名算数1科
2日午後2科2月2日(火)午後女子30名国語・算数
4日午前4科2月4日(木)午前女子20名算数・国語・理科・社会

一般入試の募集人数は合計120名です。このほか、2月1日午前と2月4日午前には帰国生入試も実施されます。

最も募集人数が多いのは2月1日午前の50名。普連土を第一志望とするなら、まずここを軸に受験日程を考えるのが素直です。

2月1日午前・4日午前は4科350点満点

4科入試では、算数・国語が各100点、理科・社会が各75点の350点満点です。

科目試験時間配点
算数60分100点
国語60分100点
理科30分75点
社会30分75点

2月1日午前と2月4日午前では、学校側が出題方針・問題水準は同じと明記しています。「4日の方が後半入試だから問題そのものが難しくなる」というわけではありません。

ただし、後で見るように2026年度は4日午前の合格最低点や倍率が1日午前より高くなりました。問題が難しくなるのではなく、受験する集団や募集人数が変わることで、合格ラインが動くということです。

普連土名物、2月1日午後の「算数50問」

普連土の入試で最も特徴的なのが、2月1日午後の算数1科入試です。

試験時間は50分、100点満点。問題は50問×2点で構成され、計算問題と一行文章題を次々に解いていきます。

難問を一題じっくり考える試験とは性格が違います。学校自身も「標準レベルが中心」としていますが、50分で50問ですから、単純計算すれば1問あたり約1分です。

つまり必要なのは、奇抜な発想より標準問題を速く、正確に処理する力です。

しかも、この回だけは途中式を書く欄がなく、解答だけを記入します。途中過程にも配点する午前4科とは、算数の試験でありながら求められる戦い方がかなり違います。

算数を得意とする受験生にとっては、4科の学習状況に左右されず普連土へ挑戦できる機会です。一方、普段はじっくり考えて正解するタイプなら、時間を計った50問形式への練習が欠かせません。

午前校からの移動に配慮した「遅い時間の試験」も用意

2月1日午後算数は、通常15時30分から16時20分まで行われます。

ただし、午前に別の学校を受験し、14時から15時までの受付に間に合わない受験生には、16時25分開始の試験も用意されています。

2月2日午後2科にも同様の仕組みがあり、通常は15時30分開始ですが、受付時間に間に合わない場合は16時35分から受験できます。

これは午後入試を併願で使う家庭にはかなり実務的な制度です。とはいえ、移動には事故や電車遅延もあります。午前校と組み合わせるなら、地図上の所要時間だけでなく、試験終了から駅までの時間も含めて一度シミュレーションしておきたいところです。

2月2日午後は国語・算数の2科入試

2月2日午後は国語100点・算数100点の200点満点です。それぞれ50分で行われます。

算数では計算問題の後に定型問題が並び、1日午前や4日午前と同様、途中式や考え方も採点対象になります。

国語については、4科入試と問題水準そのものは変わりませんが、4科入試では記述の比重が高いのに対し、2日午後は選択肢問題が中心となります。

同じ学校の国語・算数でも、受験回によって答案の作り方が少し違うわけです。複数回受験するなら、過去問も「普連土の問題」と一括りにせず、それぞれの回を実際の時間で解いておく必要があります。

一般入試に保護者面接はない

一般入試では、受験当日の面接はありません。4科・算数1科・2科それぞれの筆記試験で合否が決まります。

帰国生入試では作文と保護者1名同伴の面接がありますが、一般入試とは別の制度です。

なお、入学手続きを済ませた家庭には、2月から3月にかけて校長による入学者面接があります。これは合否を決める入試面接ではなく、入学が決まった後に行われるものです。

2026年度は合計855名が受験

直近の2026年度入試では、4回合計で1,146名が志願し、855名が実際に受験しました。

入試受験者数合格者数繰上合格倍率
1日午前4科195名75名2名2.5倍
1日午後算数293名184名0名1.6倍
2日午後2科215名86名2名2.4倍
4日午前4科152名37名2名3.9倍

数字から分かるのは、4日午前が最も厳しかったことです。

1日午後算数は293名が受験しましたが、募集20名に対して184名が合格しています。午後入試では、他校の合格状況によって入学辞退者が多く出ることを見込んで、募集人数よりかなり多くの合格者を出します。

したがって、募集20名だから20人程度しか受からないという意味ではありません。募集人数・合格者数・倍率をセットで見る必要があります。

2026年度の合格最低点は56〜65%程度

入試満点合格最低点得点率
1日午前4科350点200点約57%
1日午後算数100点62点62%
2日午後2科200点113点約57%
4日午前4科350点226点約65%

2026年度だけを見れば、1日午前と2日午後は6割弱、1日午後算数は6割強、4日午前は6割半ばが最低ラインでした。

ただし、これは「6割取れば毎年合格できる」という数字ではありません。入試問題の難度や受験者層によって最低点は動きます。

特に4日午前は、問題水準自体は1日午前と同じでありながら、2026年度は最低点が26点高くなりました。後半の日程まで残る受験生の層や、20名という募集人数が影響します。

過去問では前年の最低点を超えたかどうかだけを見るより、複数年度で安定して合格ラインを上回れるかを見たいところです。

4科算数は「途中の考え方」まで採点される

算数1科入試がスピード型である一方、1日午前・4日午前の算数では、途中式や考え方にも配点があります。

計算問題や定型問題に加え、ヒントとなる小問を順に利用して答えへ進む「会話形式」の問題も出題されます。

答えだけ合っていればよい試験ではありません。途中で完全な正解まで届かなかったとしても、どこまで筋道を立てて考えたのかを答案に残す必要があります。

これは普連土の普段の数学授業ともつながっています。§3で見たように、学校でも答えだけでなく途中の思考を重視しているからです。

国語は「読む」と「書く」を丁寧に

国語では、説明文と小説を中心に、文章全体の主張や登場人物の心情変化を読み取る力が問われます。漢字、ことわざ、慣用句、文法なども出題されます。

特に1日午前・4日午前の4科入試では、記述問題の比重が高いのが特徴です。

普連土では中学入学後も論文やレポートを書く機会が多くあります。入試段階から、選択肢を当てる力だけでなく、文章を読み、自分の言葉で答える力を見ています。

複数回受験には、点数以外の意味がある

普連土では、複数回出願したからといって、得点そのものに一律の加点があるわけではありません。

ただし、学校は合否のボーダーにいる場合には、複数回出願している受験生を入学希望が強いと判断して考慮するとしています。また、繰り上げ合格では複数回受験者を優先します。

普連土を第一志望にする家庭にとっては、これは知っておきたい制度です。

受験料も、算数1科を除く入試は1回2万5,000円ですが、2回同時出願なら4万円、3回なら5万5,000円に減額されます。1日午後算数は1万円で、複数回割引とは別扱いです。

第一志望なら「1日午前」を中心に考えたい

2027年度は、1日午前50名、1日午後20名、2日午後30名、4日午前20名という募集です。

普連土を第一志望にするなら、募集人数の多い2月1日午前4科をまず中心に据えるのが自然です。その後、1日午後算数を続けて受験する方法もあります。

学校では、1日午前と午後算数を連続受験する家庭のために、保護者同伴で食事をとれる場所も用意しています。

一方、他の女子校を第一志望にしながら普連土を併願するなら、1日午後算数や2日午後2科が使いやすくなります。4日午前は最後の機会ですが、2026年度の数字を見る限り、「最後に残しておけば安心」という入試ではありません。

4科でじっくり考える試験、50問を一気に処理する算数1科、国算に絞る2科。普連土には性格の違う入口が4つあります。自分の得意科目と第一志望校の日程を見ながら、どの入口から普連土を目指すかを考えられることが、この学校の入試制度の面白いところです。

10. 併願校パターン|女子校を中心に組み立てるチャレンジ・標準・安全校

普連土学園の併願を考えるときに便利なのが、2月1日午前・1日午後・2日午後・4日午前と、受験機会が4回用意されていることです。

特に2月1日午後の算数1科と2月2日午後の2科入試があるため、午前に別の女子校を受験し、午後に普連土へ向かう組み方ができます。

一方で、同じ普連土でも入試回によって難易度は同じではありません。2027年入試向けの四谷大塚Aライン80偏差値では、2月1日午前4科が51、1日午後算数が56、2日午後2科が56、4日午前4科が54となっています。

「普連土ならどの回でも同じ」と考えるより、1日午前を中心に据え、午後入試と後半日程をどう組み合わせるかを考える方が現実的です。

併願候補は「女子校らしい校風」を軸にすると選びやすい

普連土を気に入る家庭は、大学進学実績だけで学校を選んでいるとは限りません。

女子だけの環境、落ち着いた学校文化、自分で考える教育、英語・国際教育、宗教教育などに魅力を感じていることも多いでしょう。

そのため併願校としては、偏差値だけが近い共学校を探すより、女子学院、頌栄女子学院、東洋英和女学院、白百合学園、共立女子、三輪田学園、女子聖学院などが比較対象になりやすくなります。

もちろん、同じ女子校でも校風はかなり違います。キリスト教学校でも、フレンド派、プロテスタント、カトリックでは宗教教育の形が異なります。学校見学では「女子校だから似ている」と思わず、日常の雰囲気まで比べておきたいところです。

チャレンジ校|女子学院・頌栄・東洋英和・白百合

学校2027年度の主な一般入試日普連土との組み合わせ
女子学院中学校2月1日午前1日午後の普連土算数と組み合わせやすい
頌栄女子学院中学校2月1日、2月5日1日午後・2日午後・4日の普連土を使える
東洋英和女学院中学部2月1日、2月3日1日午後または2日午後に普連土を配置できる
白百合学園中学校2月2日2日午後の普連土と同日併願が可能

女子学院は2027年度も2月1日午前の1回入試です。四谷大塚Aライン80偏差値は67で、普連土とは明確に難易度差があります。

女子学院もキリスト教を教育の基盤とし、自主性を重んじる女子校です。ただし、学校文化や宗教的背景は普連土と同じではありません。両校を見学して「自分で考えることを大切にする学校」に魅力を感じ、女子学院を第一志望、普連土を併願にする組み方は考えやすいでしょう。

2月1日午前に女子学院を受けた後、午後に普連土の算数1科を受験できます。女子学院は4科入試なので、算数が得意な受験生なら午後の普連土でその強みをもう一度使える日程です。

頌栄・東洋英和は、港区のキリスト教女子校として比較しやすい

普連土と学校選びの軸が重なりやすいのが、頌栄女子学院と東洋英和女学院です。

頌栄女子学院は白金台、東洋英和女学院は六本木、普連土は三田。いずれも港区にあるキリスト教系の女子中高一貫校です。

頌栄は2027年度に2月1日と5日の2回、東洋英和は2月1日と3日の2回一般入試を行います。

難易度は普連土より一段上になるため、2月1日午前に頌栄または東洋英和へ挑戦し、午後に普連土算数を受ける形が組みやすくなります。

学校同士の距離も比較的近いので、説明会や学園祭を回りやすい組み合わせです。同じ「都心の伝統的なキリスト教女子校」でも、生徒の雰囲気や教育の重点はかなり違います。受験日程だけでなく、実際に3校を歩いて比べる価値があります。

白百合は2月2日午前、普連土は同日午後

白百合学園は2027年度も2月2日に一般入試を行います。

2027年度からは従来の4科方式に加えて、国語・算数・外国語による3科方式も導入されます。

白百合もキリスト教を教育の基盤とする伝統女子校ですが、カトリック校です。フレンド派の普連土とは宗教教育の形に違いがあり、その違いも学校選びでは面白い比較になります。

日程上は、2月2日午前に白百合、午後に普連土2科という組み合わせが可能です。

ただし、午前・午後を連続して受験する日は、学力以上に体力を使います。白百合から三田への移動時間、昼食、午後試験の集合時間まで、一度実際の時間帯で確認しておきたいところです。

標準校|大妻・共立女子・三輪田学園

普連土と難易度が近い、あるいは普連土の受験回によって前後する学校としては、大妻中学校、共立女子中学校、三輪田学園中学校などが候補になります。

学校2027年度の主な一般入試日特徴
大妻中学校2月1日午前・午後、2日午前、3日午前2027年度から1日午後2科を新設
共立女子中学校2月1日、2日、3日午後複数回受験しやすい
三輪田学園中学校2月1日、2日、3日午前・午後を使った複数回入試

いずれも東京都心の女子校で、普連土と一緒に見学しやすい学校です。

ただし、ここでいう「標準校」は、誰にとっても合格しやすいという意味ではありません。模試の成績によってはチャレンジ校にも安全校にもなります。

併願を決める時期には、自分が受けている模試の80%・50%合格可能性ラインと過去問の得点を使って、位置づけを調整する必要があります。

2027年度の大妻は「2月1日午後」が新設

2027年度入試で注意したいのが大妻中学校です。

従来の日程から変更され、2027年度は2月1日午後に国語・算数の2科入試を新設。一方、従来行われていた2月5日の第4回入試は廃止されます。

つまり2027年度は、

  • 2月1日午前:第1回4科
  • 2月1日午後:2科
  • 2月2日午前:第2回4科
  • 2月3日午前:第3回4科

という構成です。

普連土の1日午後算数と大妻の1日午後2科は完全に競合します。2026年度までの併願データを見るときは、この変更を頭に入れておかなければなりません。

「去年多かった併願だから今年も同じ」とは限らない。2027年度の女子校入試では、その典型的な例です。

共立女子は2月3日午後入試が変更

共立女子も2027年度に入試制度を変更します。

2027年度は2月1日4科、2月2日4科、2月3日午後2科の3回。2月3日午後は、従来の英語4技能・合科型を廃止して国語・算数の2科入試に一本化されます。

2月1・2日の午前を共立女子、午後を普連土という日程も考えられます。

共立女子は神保町、普連土は三田なので、地下鉄を利用した移動も可能です。午前午後併願を考える場合は、実際の試験終了時刻から普連土の集合時刻まで確認しておきましょう。

三輪田学園は1日から3日まで受験機会がある

三輪田学園は2027年度も2月1日・2日・3日に入試を行います。

2科4科型だけでなく、英検利用入試なども用意され、1日・2日は午前と午後を使った受験が可能です。

三輪田は市ヶ谷・飯田橋・九段下から通える女子校で、一学年の規模も比較的コンパクトです。宗教教育はありませんが、落ち着いた女子校や少人数の環境を重視する家庭では、普連土と一緒に比較しやすい学校です。

普連土の2月1日午前を第一志望として受け、結果に備えて三輪田の2日または3日を残しておく、といった使い方もできます。

安全校候補|女子聖学院・実践女子・跡見学園など

入試日程を組むときは、普連土と同程度以上の学校だけで固めないことも大切です。

安全校候補としては、女子聖学院、実践女子学園、跡見学園などが考えられます。

特に女子聖学院は、普連土と同じくキリスト教を教育の基盤とする女子校です。2027年度は2月1日午前・午後、2日午前・午後、3日午前・午後、4日午後まで複数の受験機会があります。

四谷大塚の2027年入試向けAライン80偏差値では、女子聖学院の中心的な入試は普連土より低い位置にあります。普連土の校風を好み、「キリスト教女子校」という軸をなるべく保ったまま安全校を考えたい家庭には候補になります。

ただし、安全校という言葉は学校そのものの難易度を表すものではありません。本人が直前期の模試で安定して80%ラインを超え、過去問でも合格最低点を十分上回っている学校を、その受験生にとっての安全校と考えるべきです。

1月に一つ合格を持って2月へ入れると落ち着く

東京の私立中学校は2月1日から本格的に入試が始まりますが、千葉・埼玉では1月から入試が行われます。

女子校を中心に考える家庭なら、1月21日の国府台女子学院なども候補になります。共学校まで広げれば、埼玉・千葉にはさらに多くの選択肢があります。

1月校の役割は「練習」だけではありません。

実際の校舎へ行き、知らない受験生に囲まれ、時間割どおりに4科を解き、合格発表を見るところまで経験する。模試とはやはり違います。

そして、進学してもよいと思える学校から一つ合格をもらった状態で2月1日を迎えられれば、受験生にも保護者にも余裕が生まれます。

パターン①|普連土を第一志望にする場合

日程受験例位置づけ
1月国府台女子学院など2月前に合格を確保
2月1日午前普連土学園 4科第一志望
2月1日午後普連土学園 算数1科得意なら連続受験
2月2日午前共立女子・三輪田など併願
2月2日午後普連土学園 2科再挑戦
2月3日三輪田・女子聖学院など合否状況に応じて調整
2月4日午前普連土学園 4科最後の普連土入試

普連土を第一志望にするなら、やはり募集50名と最も枠の大きい2月1日午前が中心です。

算数が得意で体力にも問題がなければ、そのまま午後算数を受験する方法があります。さらに2日午後、4日午前まで受けられるので、普連土への志望度が高いほど受験機会を多く残せます。

ただし、4日間すべてを埋めることが正解ではありません。午後入試を続けると想像以上に疲れます。第一志望だからこそ、どこで休ませるかも日程表に入れておきたいところです。

パターン②|難関女子校へ挑戦し、普連土を併願する場合

日程受験例
2月1日午前女子学院・頌栄・東洋英和など
2月1日午後普連土学園 算数1科
2月2日午前共立女子・三輪田など、または白百合
2月2日午後普連土学園 2科
2月3日東洋英和B・共立女子午後など
2月4日午前普連土学園 4科(必要な場合)

このパターンでは、普連土の午後入試が効きます。

2月1日午前を難関校に使っても、午後の算数1科で普連土を受験できます。翌日午前にも別の学校を置けるため、難関校へ挑戦しながら普連土の受験機会を失わずに済みます。

ただ、1日午前がチャレンジ校、2日午前もチャレンジ校、午後も連日受験、という組み方になると、合格を一つも持たないまま疲労だけが蓄積する可能性があります。

日程表は「受けたい学校を全部入れる表」ではありません。どこで一つ合格を取るかまで決めて初めて、併願作戦になります。

パターン③|安全性を高めながら普連土を狙う場合

日程受験例
1月進学してもよい1月校で合格を確保
2月1日午前普連土学園 4科
2月1日午後普連土算数または安全校
2月2日午前三輪田・女子聖学院・実践女子など
2月2日午後普連土学園 2科
2月3日以降それまでの合否を見て受験校を決定

合格可能性を重視するなら、2月1日から4日まで普連土と同等以上の学校ばかりを並べる必要はありません。

一つ「ここなら進学したい」と思える安全校を入れておけば、普連土へ挑戦する余裕が生まれます。

特に普連土には4日午前まで受験機会があります。2日や3日に別の学校の合格を確保した上で4日の普連土へ向かうのと、どこにも合格していない状態で向かうのとでは、12歳の受験生が感じる重さはかなり違います。

「偏差値が近い学校」より「合格したら本当に進学する学校」を

併願校選びでは、つい偏差値表の普連土の上下を見るところから始めてしまいます。

もちろん難易度のバランスは必要です。しかし、最後に大切なのは普連土が不合格だったとき、その学校へ本当に通いたいと思えるかです。

女子学院や頌栄、東洋英和、白百合のようなキリスト教女子校にも、それぞれ異なる文化があります。大妻、共立女子、三輪田、実践女子、跡見にも、普連土にはない教育があります。

安全校ほど、実際に足を運んでおきたいところです。「第一志望ではないから説明会には行かない」としてしまうと、いざ合格したときに親子で判断できません。

普連土の4回入試は、併願を組みやすくしてくれます。しかし、その自由度を生かすには、チャレンジ・標準・安全の3段階に学校を置き、それぞれに「合格したら通う」という学校を用意することが必要です。

受験日程は数日ですが、その結果として通う学校は6年間です。最後は日程表の美しさより、6年間を過ごしたい学校かどうかで決めたいところです。

11. 在校生・保護者の声|「沈黙」と対話の中で見えてくる普連土らしい学校生活

学校案内を読めば、普連土が「自由」「平等」「対話」を大切にしていることは分かります。ただ、それが実際の学校生活でどんな形になっているのかは、生徒や卒業生の話を追った方が見えてきます。

そこで繰り返し出てくるのが、先生との距離の近さ、自分の個性を受け止めてもらえる感覚、学年を越えた人間関係、そして礼拝で他者の話を聞く時間です。

一方で、普連土は一学年3クラスの小さな学校です。大規模校とは人間関係のつくられ方も違います。

「アットホーム」という一言で済ませず、その中身を少し見てみましょう。

よく見られる声学校生活で見えてくること
先生に質問しやすい職員室へ行って教科担当へ相談する距離が近い
先輩が身近中高合同のクラブや自治会で学年を越えて交流する
礼拝の話が印象に残る先生だけでなく生徒の考えを聞く機会が多い
個性を受け止めてもらえる一つの生徒像へ全員をそろえる校風ではない
中学は手厚く、高校では自主性が増す6年間で少しずつ自分に任される範囲が広がる

先生との距離は、授業が終わった後にも続く

卒業生の話でよく出てくるのが、先生へ質問しに行きやすかったということです。

ある卒業生は、中学入学時には算数がそれほど得意ではありませんでした。それでも、小テストの解き直しを続け、分からないところがあれば友人と一緒に職員室へ質問に行くうちに、高校では数学を苦手科目と感じなくなり、最終的には慶應義塾大学理工学部へ進みました。

ここで大切なのは、「普連土へ入れば誰でも数学が得意になる」という話ではありません。

分からないときに先生のところへ行ける。その行動を何度も繰り返せる程度に、先生との間に壁が少なかったということです。

§3で紹介した個別指導や補習も、制度だけ用意されていては意味がありません。生徒が「分からない」と言える関係があって、初めて機能します。

礼拝は、入学前に想像するより日常的なものになる

受験生から見ると、「沈黙の礼拝」は普連土の中でもかなり特殊なものに映ります。

ところが在校生の話を読むと、必ずしも「特別な宗教行事」として語られているわけではありません。

20分間静かに過ごす水曜日の礼拝を、心を落ち着ける時間として捉える生徒がいます。その一方で、先生、委員長、クラスメート、留学経験者などが語る日の話が、何年も記憶に残っているという生徒もいます。

普連土の礼拝は、毎日同じ話を聞く時間ではありません。

昨日は先生が話し、今日は沈黙し、別の日には自分と同じ年頃の生徒が全校の前で話す。6年間続けば、相当な数の「他人の考え」に出会うことになります。

自分と同じ意見ばかり聞いていれば、対話はそれほど必要ありません。自分とは違うものの見方に何度も触れることが、普連土の礼拝のもう一つの役割なのでしょう。

「おとなしい女子校」と決めつけると、少し違う

普連土には、落ち着いた学校という印象があります。校舎の雰囲気や礼拝の存在から、「静かでおとなしい生徒が多い学校」を想像する受験生もいるでしょう。

実際には、それだけではありません。

体育祭では応援や競技に熱が入り、学園祭では生徒が前に出て企画を動かします。学校体験日では、中学3年から高校2年までの希望者約100名が広報活動への参加に手を挙げ、その中から毎回30名前後が受験生を迎えています。

人前で話すことが得意ではなかった生徒が、自分から学校体験日に参加し、やがて大勢の前で海外研修について説明するようになった例もあります。

普連土の「静かさ」は、活気がないという意味ではないようです。

礼拝では静かに座る。しかし、自分がやりたいことには手を挙げる。静かなことと主体的であることは、別の軸です。

先輩との距離が近い

在校生からは、入学前の学園祭や体験授業で上級生が自然に声をかけてくれたことが、学校選びのきっかけになったという話もあります。

入学後も、中高合同のクラブ、自治会、学園祭、学校体験日などで上級生と接する機会があります。

中学1年生から見た高校2・3年生は、かなり大人です。

制服を着た自分より5歳上の先輩が、後輩へどう話しかけ、行事をどう動かし、受験勉強と学校生活をどう両立しているか。身近にそういう人がいることは、中高一貫校の見えにくい教育資源でもあります。

先生から「こういう高校生になりなさい」と言われるより、目の前にいる先輩を見た方が早いこともあります。

「自分らしくいられた」という卒業生

卒業生の言葉で印象的なのが、自分のマイペースな部分も個性として受け止めてもらえたという話です。

女子校というと、同性だけの集団の中で人間関係が濃くなることを心配する家庭もあるでしょう。

もちろん、人間関係は個人によって違いますし、どの学校でも友人同士の悩みが全くなくなるわけではありません。

それでも普連土では、フレンド派の「神の前では一人ひとりが平等である」という考えを学校教育の根に置き、違う考えを持つ人の話を聞くことを日常的に繰り返しています。

全員を一つの理想的な「普連土生」の型にはめるより、違う人がいることを前提に学校生活をつくる。その考え方は、生徒の話からも感じ取れます。

保護者から見ても「小さい学校」であることが効いている

保護者の声では、生徒同士だけでなく、生徒と教員、教員と保護者の距離が近いという評価が見られます。

中学生のうちは比較的細かく見守り、高校生になるにつれて本人へ任せる部分を増やしていく。その変化を評価する声もあります。

これは完全中高一貫校の利点でもあります。

12歳の中学1年生と17歳の高校3年生を、同じように扱う必要はありません。最初は手を添え、少しずつ離していく。6年間あるから、その距離を段階的に変えることができます。

保護者が「学校を紹介する側」に回ることも

普連土では年に複数回、受験生向けの「学校体験日」を実施しています。

そこでは教員と在校生だけでなく、在校生の保護者も個別相談に参加します。PTA活動も一律の義務としてではなく、有志の保護者が関わる形が取られています。

受験生の保護者にとって、先生へ聞く質問と、実際に子どもを通わせている保護者へ聞く質問は少し違います。

「宿題は実際どのくらいですか」「朝は何時に家を出ていますか」「反抗期に学校とはどう付き合いましたか」。こういう話は、パンフレットにはなかなか載りません。

学校体験日に在校生の保護者まで相談役として参加するのは、普連土の学校規模と保護者との距離を知る上でも面白いところです。

勉強は「放っておいてくれる自由」ではない

普連土の自由な校風に魅力を感じる家庭ほど、ここは確認しておきたいところです。

卒業生の話を見ると、小テスト、解き直し、日々の復習、先生への質問といった、かなり地道な学習が出てきます。必要な場合には補習や個別指導もあります。

つまり、普連土の「自由」は、勉強をするかどうかまで完全に本人任せにするという意味ではありません。

中学段階では教員が細かく見ながら、年齢が上がるにつれて自分で計画する割合が増えていきます。

大学受験でも、学校の講習や教員への質問をかなり利用した卒業生がいます。一方で、塾や予備校を利用するかどうかは本人の進路や学習状況によって異なります。

「学校だけで全員の大学受験が完結する」と考えるより、学校の中にも相当量の学習支援があり、それを自分から使える環境と考える方が近いでしょう。

少人数校だから、人間関係の相性は実際に見ておきたい

一学年3クラスという規模は、先生や先輩との距離を近くします。同時に、大規模校のように「何百人もの中から自分に合うグループを探す」という学校でもありません。

これは長所にもなれば、学校との相性を見るべきポイントにもなります。

落ち着いた小さな共同体の中で、同じ仲間と長く付き合うことを心地よいと感じる子には合いやすいでしょう。一方で、とにかく大人数の中で次々と人間関係を広げたい子なら、別の学校の方が魅力的に映るかもしれません。

だから普連土こそ、説明会の壇上だけを見て決めるより、学園祭や学校体験日に足を運びたい学校です。

受験生には「学校体験日」で生徒を見てほしい

普連土の評判を調べると、「家庭的」「温かい」「先生との距離が近い」といった言葉が並びます。

どれも間違いとは言いません。しかし、このあたりの表現は学校紹介ではよく使われるので、文字だけでは違いが分かりません。

普連土には、受験生が在校生と一緒にクラブや講座を体験する学校体験日があります。学園祭でも、生徒が自分たちで企画を運営しています。

そこで見たいのは、用意された説明よりも生徒同士の話し方です。

中学生が高校生にどう接するか。高校生が小学生へどう声をかけるか。先生と生徒が廊下でどんな話をしているか。

学校文化というものは、案外そういうところに出ます。

「沈黙」と「対話」は、6年間で少しずつ身についていく

在校生や卒業生の話を重ねると、普連土では派手な校則や特別な制度以上に、日常の小さな場面が印象に残っていることが分かります。

朝の礼拝で聞いた友人の話。分からない数学を質問しに行った職員室。昼休みに過ごした中庭。部活の先輩。学園祭の準備。自分から手を挙げて参加した学校行事。

中学生のときには、それぞれが教育的にどんな意味を持つのかまで考えないかもしれません。

けれども6年間それを繰り返した卒業生が、「自分らしくいられた」「人の考えを聞くことが視野を広げた」と振り返る。

普連土の評判を考えるなら、進学実績や施設だけではなく、この部分はかなり重要です。

静かに自分の考えを持つことと、違う人の声を聞くこと。その二つを毎日の学校生活の中で何度も往復するところに、普連土で過ごす6年間の輪郭が見えてきます。

12. この学校に向いている子の特徴|自分で考え、人との違いを受け止めながら成長したい子

普連土学園に向いている子を考えるとき、「おとなしい子」「真面目な子」といった性格だけで分けるのは少し違います。

毎朝の礼拝では人の話を聞き、水曜日には沈黙する。授業では自分の考えを書き、行事では自分たちで話し合って動く。中学では先生が比較的近くで支え、高校へ進むにつれて自分で選ぶ場面が増えていきます。

こうした6年間を考えると、普連土と相性がよいのは、最初から何でも一人でできる子というより、自分で考える力を少しずつ身につけたい子です。

① 人と違うことを、それほど怖がらない子

普連土が大切にしているのは、「みんなが同じになること」ではありません。

フレンド派では、一人ひとりにそれぞれ「内なる光」があると考えます。だから、自分と違う考えを持つ相手も、一人の人間として尊重します。

学校生活でも、友人と同じ意見を持つことより、「私はこう思う」「あなたはそう考えるのか」と違いを受け止めながら話すことが求められます。

周囲といつも同じでなければ不安になる子より、自分なりの好きなものや考えを持っている子の方が、普連土では居場所を見つけやすいでしょう。

もちろん、中学1年生から強い自己主張ができる必要はありません。むしろ、6年間を通して「自分はどう考えるのか」を少しずつ見つけていく学校です。

② 話すことだけでなく、「聞くこと」も大切にできる子

普連土の教育を象徴する言葉の一つが「対話」です。

しかし、対話というと、積極的に発言できる子ばかりを想像する必要はありません。

毎週水曜日の沈黙の礼拝では、そもそも話しません。別の日には先生や友人の話を聞きます。そして、自分が話す番が来れば、自分の考えを言葉にします。

普連土で重視されているのは、発言量の多さより、相手の話を聞いてから自分の考えをつくることです。

人前で話すことが得意な子にも合いますが、「まず考えてから話したい」というタイプにも居場所があります。

③ 一人で考える時間を苦痛に感じない子

普連土では、学校生活の中に意識的に「静かな時間」が置かれています。

その代表が沈黙の礼拝ですが、授業でもレポートや論文を書き、自分の考えを整理する機会が多くあります。図書館や自習室を使って、一人で学ぶ時間もあります。

常に誰かと一緒に盛り上がっていたい子に合わないという意味ではありません。体育祭や学園祭、クラブでは賑やかな場面もたくさんあります。

それでも、一人になって考える時間にも意味を感じられることは、普連土との相性を見る上で大切です。

12歳で20分間静かに座るのは、案外長いものです。それが何年かすると、自分の気持ちを整理する時間になる。その変化を面白いと思える子には、普連土の礼拝はかなりよい経験になりそうです。

④ 答えを覚えるだけでなく、「なぜ?」を考える子

普連土の授業では、正解だけを出して終わる学習ばかりではありません。

数学では途中式や考え方を重視し、理科では実験・観察の後に考察を書きます。中学2年では地域研究レポート、中学3年では社会科論文、高校ではさらに研究論文へ進みます。

つまり、「答えはこれです」で終わらず、「なぜそう考えたのか」を言葉にする場面が多い学校です。

暗記や反復練習が得意なことももちろん強みになります。ただ、それに加えて「どうしてこうなるんだろう」と考えることが好きな子なら、普連土の授業を楽しみやすくなります。

⑤ 失敗したときに、質問したりやり直したりできる子

普連土では中学から高校内容へ先取りする教科もあり、大学進学実績も安定しています。

だからといって、入学した時点ですべての教科が得意である必要はありません。

必要に応じて少人数補習や個別指導があり、生徒が職員室へ質問に行く姿も珍しくありません。

むしろ相性がよいのは、分からない問題に出会ったとき、「分からないから終わり」ではなく、「もう一度やってみよう」と戻れる子です。

先生が近くにいる環境は、助けてもらうことを恥ずかしがらない子ほど使えます。

⑥ 大人数の中で競うより、小さな学校でじっくり関係を築きたい子

普連土は各学年3クラス、中高合わせても約800名の学校です。

大規模校のように、同学年だけで何百人もの生徒がいる環境ではありません。その分、同級生だけでなく、クラブや自治会を通じて先輩・後輩とも顔を合わせる機会が増えます。

「学校の中に知っている人が多い」環境を心地よいと感じる子には合いやすいでしょう。

一方、とにかく多くの人と出会い、毎年人間関係を大きく変えながら過ごしたい子なら、大規模校の方が魅力的に感じる可能性があります。

これは優劣ではなく、6年間をどのくらいの大きさの共同体で過ごしたいか、という違いです。

⑦ 「自由」を自分で使う練習をしたい子

普連土は週5日登校で、土曜日には通常授業がありません。クラブ活動も週1〜3日程度が中心です。

学校が朝から夕方まで毎日の予定を埋め尽くすタイプではありません。

その分、土曜日を勉強に使うのか、クラブへ行くのか、本を読むのか、外部の活動へ参加するのか、自分で選ぶ余地があります。

中学生ですから、最初から完璧に自己管理できる必要はありません。けれども、学校から与えられた予定だけをこなすのではなく、少しずつ自分の時間を自分で組み立ててみたい子には向いています。

普連土の「自由」は放任ではありません。中学では支えてもらいながら、高校へ進むにつれて自分で決める範囲を広げていく。その練習を6年間かけて行います。

⑧ 勉強もクラブも、一つだけに絞りたくない子

普連土のクラブ活動は、毎日長時間練習する部が中心ではありません。

その一方で、学校にはクラブ、自治会、学園祭、論文、海外研修、大学との連携プログラムなど、授業以外にもいくつもの活動があります。

一つのことへ全時間を注ぎ込むというより、勉強もしながらクラブも続け、興味が出てきたら別の活動にも参加したいという子には使いやすい学校生活です。

「中学生のうちに将来を一つに決めたくない」という子とも相性がよいでしょう。

⑨ 海外や異文化に興味はあるが、「英語だけ」にしたくない子

普連土には中学3年のイングリッシュ・キャンプやカナダ研修、高校でのイギリス、アメリカ、ニュージーランド、カンボジアなどのプログラムがあります。

ただし、国際教育を英語資格の取得だけに結びつけてはいません。

学校の創立自体がアメリカのフレンド派とのつながりから始まり、海外研修でもフレンド派の歴史、異文化理解、平和、社会問題などを扱います。

英語が好きな子はもちろん、「外国の人はどんな考え方をするのだろう」「世界にはどんな暮らしがあるのだろう」と、人や社会そのものに興味を持つ子にも合っています。

⑩ 大学名だけでなく、「何を学ぶか」も考えたい子

普連土には系列大学がないため、高校卒業後の進路は一つに決まっていません。

東京大学、一橋大学、早慶、GMARCH、理工系、医療系、女子大学など、卒業生の進路はかなり幅があります。

高校では研究論文を書き、高大連携や大学見学などを通して、学びたい分野を探します。

大学附属校のように内部進学という道が用意されている学校ではありません。その代わり、自分で行き先を選びたい子には自由があります。

12歳の時点で将来の職業が決まっている必要はありません。「大学では何を学ぼう」と6年間かけて考えたい子に合う進路環境です。

逆に、入学前に確認しておきたいタイプ

普連土の教育が魅力的でも、すべての子に同じように合うわけではありません。

  • 大規模な学校で、非常に多くの同級生と過ごしたい
  • 部活動を週5〜6日、競技中心で徹底的に打ち込みたい
  • 学校側に毎日の学習計画を細かく決めてもらいたい
  • 宗教に関わる授業や礼拝に強い抵抗がある
  • 高校から新しい生徒が大量に入ってくる環境を望んでいる

こうした希望が強い場合には、他校とよく比較しておきたいところです。

特に「沈黙の礼拝」は普連土の教育の中心にあります。キリスト教徒である必要はありませんが、宗教的背景を持つ教育そのものを受け入れられるかは、入学前に親子で確かめておく必要があります。

「今できる子」より、「6年間で自分をつくりたい子」

普連土に向いているのは、入試時点で完成された子ではありません。

中学1年で人前に立つのが苦手でもいい。数学でつまずいてもいい。自分の意見をうまく言葉にできなくてもいい。

先生に質問し、先輩を見て、友人の話を聞き、論文を書き、行事で失敗し、ときには20分間ただ静かに座る。

その積み重ねの中で、少しずつ「私はこう考える」と言えるようになることを普連土は目指しています。

したがって、この学校と相性がよいのは、すでに自立している子というより、自立していく過程を大切にしたい子です。

人と同じであることより、自分なりの考えを持つこと。自分の考えを持ちながら、相手の声にも耳を傾けること。

その二つを6年間かけて身につけたいと思えるなら、普連土学園は一度実際に足を運んでみる価値のある学校です。

13. まとめ|変わらないフレンド派の精神と、時代に合わせて進化する普連土学園

普連土学園中学校を見ていくと、少し不思議な学校だと感じます。

1887年の創立以来、フレンド派の考え方を教育の中心に置き、今も毎朝礼拝を行う。水曜日には全校で沈黙する時間まであります。

その一方で、生徒は一人1台iPadを使い、中学から高校内容へ進む先取り学習があり、理科では数多くの実験を行い、高校では大学入試講習も組まれています。近年は津田塾大学や芝浦工業大学などとの高大連携も広がっています。

古い学校なのですが、古いままではありません。

普連土の中心にあるのは、「自分で考える」ということ

ここまで13項目を見てきましたが、普連土の教育を一つの言葉でまとめるなら、やはり「自分で考える」になるでしょう。

沈黙の礼拝では、自分の内側に耳を澄ませる。

授業では、答えだけでなく途中の考え方を書く。

理科では実験して考察する。社会科では論文を書く。自治会では学校生活について自分たちで話し合う。高校では自分の進路を選ぶ。

それぞれ別の教育活動に見えますが、根にあるものはよく似ています。

誰かが用意した正解を受け取る前に、「自分はどう考えるのか」を一度自分に問いかけることです。

「自由」と「放任」は似ているようで違う

普連土では「自由」という言葉が大切にされています。

週5日登校で土曜日には通常授業を置かず、クラブも学校生活のすべてを占めるような活動形態ではありません。高校へ進めば授業や進路の選択肢も増えていきます。

けれども、学習面では必要に応じて補習や個別指導があり、中学段階では先生がかなり近いところから生徒を見ています。

つまり、普連土が目指しているのは「好きにしてよい」という自由ではありません。

自分で選べる人になるために、まず選び方を学ぶ。

12歳ですべてを自己管理できる子は、そう多くありません。だから最初は支えてもらい、少しずつ自分に任される範囲が広がる。その6年間の変化まで含めて、普連土の自由なのだと思います。

「沈黙の礼拝」は、学校全体を理解する入口

受験生にとって最も印象に残りやすいのは、やはり「沈黙の礼拝」でしょう。

中学生が学校へ来て、皆で静かに座る。

受験勉強では、限られた時間で一問でも多く解くことが求められます。入学後も、授業、宿題、部活動、行事、大学受験と、効率を求められる場面はいくらでもあります。

そんな学校生活の中に、あえて「すぐには何も生み出さないように見える時間」を置く。

140年近くそれを続けているところに、普連土という学校の頑固さがあります。

そして、その沈黙の後には人の話を聞き、自分も話す機会があります。

自分の声を持つためには、まず静かになることも必要なのかもしれません。

進学校でありながら、大学名だけを教育のゴールにしない

2026年春には、卒業生115名から東京大学、一橋大学、早慶、GMARCH、理工・医療系大学などへ幅広く進学しました。

大学受験に向けた先取り学習や講習もあり、普連土は進学指導を軽く扱っている学校ではありません。

ただ、学校生活全体を見ると、「難関大学へ合格すること」だけを6年間の目的にしていないことも分かります。

論文を書き、海外へ行き、歌舞伎を観て、理科実験をし、自治会で話し合い、クラブでは先輩や後輩と一緒に活動する。

その上で、自分が大学で何を学びたいのかを考える。

大学合格は大切です。ただ、その先で何をする人になるのかまで考えようとするところに、「Let Your Lives Speak」という言葉がつながっています。

少人数校だからこそ、学校との相性はよく見たい

一方で、普連土は誰にでも同じように合う学校ではありません。

各学年3クラスという小さな学校です。宗教教育があり、毎朝礼拝があります。週5日登校で、部活動も毎日遅くまで行うタイプではありません。

大規模校の賑やかさを求める子、競技中心の部活動へ毎日打ち込みたい子、宗教的な教育に強い抵抗がある子には、別の学校の方が合うこともあります。

逆に、小さな共同体の中で先生や先輩と近い距離で過ごし、自分のペースで少しずつ考える力を伸ばしたい子には、かなり居心地のよい学校になり得ます。

だからこそ、普連土については偏差値表だけで決めない方がよいでしょう。

受験を考えるなら、一度「学校の空気」を見てほしい

田町駅や三田駅から歩き、三田の高台へ向かって学校に入る。

校舎を見て、在校生の話を聞き、可能なら学園祭や学校体験日にも足を運ぶ。

そこで、「この学校なら6年間過ごせそうだ」と本人が感じるかどうかを見てほしいと思います。

特に普連土の場合、学校の良さは設備一覧や進学実績だけでは捉えきれません。

生徒同士がどう話しているか。高校生が小学生にどう接しているか。先生と生徒との距離はどうか。そして、学校全体にどんな時間が流れているか。

こうしたものは、実際に校内へ入って初めて分かります。

140年近く続く学校が、今も問い続けていること

「普連土」という校名には、世界の土地と広くつながってほしいという願いが込められています。

その名前が付けられたのは1887年です。

当時と今とでは、女性の進学、働き方、国際社会、科学技術のあり方まで、ほとんど別の世界になりました。

それでも、「人はどう生きるのか」「違う考えを持つ人とどう共に生きるのか」という問いそのものは、あまり古くなりません。

だから普連土は、毎朝の礼拝を残しながらiPadを使い、フレンド派の歴史を学びながら海外へ出て、伝統女子校でありながら理工系進学も後押ししています。

守っているのは昔の形ではなく、昔から問い続けてきたもの。

そこが、普連土学園の面白いところです。

「自分はどう生きたいのか」を、まだ答えの出ない12歳から考え始める。

そんな6年間に惹かれる親子なら、普連土学園中学校は、ぜひ一度自分の目で確かめてほしい女子校です。

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