【2026年版】雙葉中学校の評判は?カトリック精神とフランス語教育が息づく女子御三家の伝統校を徹底解説!

中学受験
  1. 学校の概要|四ツ谷で受け継がれるカトリック女子教育
    1. 始まりは、明治初期の小さな語学校
    2. 約180人の学年に、二つの入口がある
    3. 「徳」と「義務」は、従順さを求める言葉ではない
  2. アクセスと立地環境|四ツ谷駅徒歩2分、六番町で過ごす6年間
    1. 「徒歩2分」は、6年間ではかなり大きい
    2. 都心の真ん中にありながら、校内には緑もある
    3. 四ツ谷という街そのものが、雙葉の歴史の一部
  3. 教育方針とカリキュラム|「徳」と「義務」を自分のものとして考える
    1. 週6日を使い、急ぐよりも深く学ぶ
    2. 白衣を着る中1――「なぜ?」を実験から考える理科
    3. 英語は積み重ね、フランス語では学校のルーツに触れる
    4. 全学年に「宗教」の授業がある
    5. 最難関校だが、習熟度別クラスではない
  4. 学習環境と施設設備|聖堂から最上階の図書室まで、都心校の空間設計
    1. 最上階の図書室は、景色のよい自習場所でもある
    2. 物理・化学・生物・地学、それぞれに学ぶ場所がある
    3. 校舎の中に聖堂があるということ
    4. 「広いグラウンドの学校」とは違う
  5. 学校生活と行事|祈りから雙葉祭まで、生徒がつくる学校生活
    1. 中1の春、全員が一冊の聖書を受け取る
    2. 球技大会は、全員参加のクラス対抗戦
    3. 9月の雙葉祭は「見せてもらう文化祭」ではない
    4. 中3の広島修学旅行は、3日間で終わらない
    5. 夏期学校では、教室を離れて生活する
    6. クリスマスは「祝う日」であると同時に、外へ目を向ける時期
  6. クラブ活動|中高6学年が交わる放課後
    1. 「部・班・会」で活動のペースが違う
    2. 運動系から「点訳」「奇術」「数学」まで約40団体
    3. クラブ活動は、雙葉祭で外に開かれる
    4. 生徒会「雙友会」も中高一緒に動く
  7. 進学実績と卒業後の進路|難関大・医学部へ広がる多様な選択
    1. 2026年春、東大9名・東京科学大7名など
    2. 約半数が理系。医歯薬系を志望する生徒も多い
    3. 進路の強さを「医学部に強い学校」だけで終わらせない
    4. 進路について考え始めるのは、大学受験が近づいてからではない
    5. 指定校推薦という選択肢もある
  8. 学費や諸経費について|6年間で考えておきたい教育費
    1. 初年度だけを見ると約134万円
    2. 授業料は学期ごとの分納
    3. 中学3年間ではなく、「雙葉で6年間」と考える
  9. 入試情報と合格の目安|2月1日、一度きりの4科入試
    1. 国語・算数の比重が大きい300点満点
    2. 2026年度は406人が受験、130人が合格
    3. 四谷大塚80%偏差値は66
    4. 午後には約3分の本人面接
    5. 朝から午後まで続く2月1日
  10. 併願校パターン|女子御三家を目指す受験日程の組み方
    1. まず1月に「合格した状態」をつくれるか
    2. 2月2日の白百合は、学校文化から見ても組み合わせやすい
    3. 2月2日以降も最難関へ挑むなら豊島岡
    4. 慶應中等部を入れるなら、「学校選び」の軸が変わる
    5. 「チャレンジ・標準・安全」は本人によって変わる
    6. 「雙葉に落ちたらどこへ行くか」は、出願前に決めておく
  11. 在校生・保護者の声|外からの「名門校像」と校内の日常
    1. 「厳格なお嬢様学校」を想像して行くと、少し印象が変わる
    2. 「先生、こうしてみようよ」と言える生徒たち
    3. 勉強のできる友人が、特別ではない環境
    4. 内部進学生と中学入学生は、やがて「雙葉生」になる
    5. 先生が前に立ち続けるというより、必要なところで支える
    6. 校風を知るなら、説明会より雙葉祭で生徒を見る
  12. この学校に向いている子の特徴|自分で考え、選び、責任を持てる人へ
    1. 「なぜそうなるのか」を考えることが苦にならない子
    2. ルールのある環境を窮屈と感じるだけでなく、その意味を考えられる子
    3. 友人の得意分野を、刺激として受け取れる子
    4. 宗教を「信じるかどうか」だけで見ない子
    5. 「何になりたいか」がまだ決まっていない子でもよい
    6. 自分から先生や周囲へ働きかけられるようになりたい子
    7. 雙葉が合うかは「伝統校が好きか」だけでは決まらない
  13. まとめ|伝統の中で「自分の答え」を育てる学校

学校の概要|四ツ谷で受け継がれるカトリック女子教育

桜蔭中学校、女子学院中学校とともに「女子御三家」と呼ばれることの多い雙葉中学校。難関大学への進学実績から中学受験では最難関校の一つに数えられますが、学校を理解するなら、偏差値や大学合格者数より先に、その長い歴史を見ておきたいところです。

学校名雙葉中学校
所在地東京都千代田区六番町14-1
学校区分私立女子校・中高一貫教育
学園の源流1875年(明治8年)に開設された築地語学校
中学校発足1947年(昭和22年)
教育の基盤カトリックの精神に根差した全人教育
校訓「徳においては純真に 義務においては堅実に」
生徒規模1学年約180名・4クラス
中学募集女子100名(2027年度入試)

始まりは、明治初期の小さな語学校

雙葉学園の設立母体は、17世紀のフランスでニコラ・バレ神父によって創設された女子修道会「幼きイエス会」です。1872年、メール・セン・マチルドら5人の修道女が来日し、横浜で孤児院や寄宿学校を開設しました。その3年後の1875年、東京・築地に女子のための「築地語学校」が開かれます。これが雙葉学園の源流です。

1909年には雙葉高等女学校が開校し、1910年に現在の四谷へ移転。戦後の学制改革を経て、1947年に雙葉中学校、翌1948年に雙葉高等学校が発足しました。

「伝統校」という言葉だけなら、多くの学校に当てはまります。雙葉の場合に少し違うのは、その出発点からフランスとカトリック教育が学校の中に組み込まれていることです。現在も宗教教育が行われ、中学3年生では全員がフランス語を学びます。フランス語教育は洒落た特色として後から付け加えられたものではなく、学校の成り立ちそのものにつながっています。

約180人の学年に、二つの入口がある

雙葉中学校は1学年約180名、4クラスの女子校です。附属する雙葉小学校は1学年80名規模で、中学校では外部から100名を募集します。つまり中学1年生になると、小学校から進学してきた生徒と、中学受験を経て入学した生徒が同じ学年で学校生活を始めます。

中学受験家庭からすると、「小学校からの内部進学生の輪に入っていけるのか」は気になるところでしょう。しかし約100名が中学から加わるため、中学入学者は少数の外部生ではありません。12歳の春に人間関係が大きく組み替わることは、中学から入る側にとっても、小学校から上がる側にとっても同じです。

「徳」と「義務」は、従順さを求める言葉ではない

雙葉学園の校訓は、フランス語の「SIMPLE DANS MA VERTU, FORTE DANS MON DEVOIR」を日本語にした「徳においては純真に 義務においては堅実に」です。

言葉だけを見ると、規律を重んじる昔ながらの女子教育を想像するかもしれません。しかし、この校訓で重要なのは、ただ決められたことに従うという意味ではないことです。雙葉学園では、自分にとって何が大切なのかを考え、自分がなすべきことを選び、それを誠実に実行する姿勢として校訓を捉えています。

学校が掲げる教育目標も、真の知性と思考力を養い、自己を確立しながら、他者を大切にして共に生きる人を育てることにあります。カトリック、伝統、校則、礼儀――外から見ると「型」のある学校に見える雙葉ですが、その型の中で最終的に求められるのは、自分の頭で考え、自分の行動を自分で選べることです。

女子御三家という呼び名は、どうしても偏差値や大学進学実績を先に連想させます。ただ、雙葉の6年間を理解する入口としては、「どこへ進学する学校か」よりも、「どんな考え方を身につける学校か」から見た方が、この学校の輪郭ははっきりしてきます。

アクセスと立地環境|四ツ谷駅徒歩2分、六番町で過ごす6年間

雙葉中学校・高等学校の所在地は、東京都千代田区六番町14-1。最寄りのJR四ツ谷駅麴町口から徒歩2分という、都心の私立中高でもかなり駅に近い立地です。

路線最寄り出口・アクセス
JR中央線快速・総武線各駅停車四ツ谷駅 麴町口から徒歩2分
東京メトロ丸ノ内線四ツ谷駅 赤坂口から徒歩4分
東京メトロ南北線四ツ谷駅3番出口から麴町口方面へ

「徒歩2分」は、6年間ではかなり大きい

中学受験では学校そのものに目が向きやすいのですが、入学後は年間200日前後、それが6年間続きます。雨の日も、真夏も、荷物の多い日もある。四ツ谷駅から校門までわずか2分という距離は、毎日のことになると案外軽くありません。

さらに四ツ谷駅にはJR中央線快速・総武線各駅停車、東京メトロ丸ノ内線・南北線が乗り入れています。東京都心からはもちろん、中央線沿線や地下鉄沿線など複数方向から通学経路を組みやすいのも、この立地の特徴です。

朝の通学時間を10分短くできれば、往復で20分。週6日登校なら、それだけでも積み重なります。難関校だから遠距離通学は仕方ない、と最初から考えず、自宅からの実際の乗車時間と乗り換え回数まで含めて見ておきたい学校です。

都心の真ん中にありながら、校内には緑もある

学校がある六番町は、皇居の西側に広がる番町地区の一角です。四ツ谷駅周辺には大きな道路やオフィスもありますが、駅から学校のある六番町側へ入ると、住宅や学校の多い街並みに変わります。

雙葉自身も、校地について「都心にありながら緑豊かな環境」としています。校舎には屋上庭園もあり、駅前の便利さと、学校の中で落ち着いて過ごせる環境がかなり近い距離に共存しています。

これは雙葉の立地を考えるうえで面白いところです。郊外型の学校のように広大な敷地を持つわけではありません。しかし、東京の中心部で6年間を過ごしながら、校門をくぐれば学校生活の空間に切り替わる。そのコンパクトさも含めて、雙葉らしい環境と考えた方がよさそうです。

四ツ谷という街そのものが、雙葉の歴史の一部

雙葉学園が現在の四谷に移転したのは1910年です。それから100年以上、この場所で教育を続けてきました。

「駅から近い」という条件だけなら、ほかにも該当する学校はあります。雙葉の場合は、現在の校地が単に便利な場所にあるのではなく、学校の歴史そのものが四ツ谷と重なっています。1875年に築地で始まった学校が明治末期にこの地へ移り、世代を越えて生徒が同じ街へ通ってきた。その時間の長さまで含めると、六番町という立地は雙葉を形づくる一部になっています。

教育方針とカリキュラム|「徳」と「義務」を自分のものとして考える

雙葉の教育を大学受験の実績から逆算すると、「かなり早い段階から受験に向けた先取り授業をする学校」と想像するかもしれません。もちろん完全中高一貫校として、中学段階でも高校内容まで踏み込んで学ぶことはあります。ただし、学校が前面に出しているのは進度の速さではありません。

教育方針に掲げられているのは、「真の知性を養い、自ら考え、判断して行動し、その結果に責任を持つ」ことです。知識をどこまで早く覚えたかではなく、その知識を使って何を考え、どう表現し、どう行動するか。各教科を見ると、この考え方がかなり具体的な授業として表れています。

週6日を使い、急ぐよりも深く学ぶ

雙葉は中高一貫の6年間を見通したカリキュラムを組み、週6日制を採用しています。平日は6時間、土曜日は4時間の授業です。中学の授業でも必要に応じて高校で扱う内容まで深めるため、「中学3年分を早く終わらせて高校内容へ進む」という単純な先取りとは少し性格が違います。

それがよく分かるのが数学です。重視されているのは答えを出すことに加えて、自分の頭と手で考え、その過程を誰が見ても分かるように書くこと。難しい問題を解けることと、自分の考えを論理的に説明できることは同じではありません。雙葉では後者まで授業の中に入っています。

国語でも、多くの文章を読むだけでなく、作文、グループ学習、スピーチなどを通じて、自分の考えを言葉にする機会があります。百人一首の暗誦、古文の群読、漢文の素読なども行われます。新しいものだけを追うのではなく、日本語そのものをかなり広い範囲から扱う授業です。

白衣を着る中1――「なぜ?」を実験から考える理科

理科では、中学1年生から白衣を着て、多くの実験や観察に取り組みます。野外実習なども含め、できるだけ実物に触れることを重視しています。

教科書で「こういう現象が起こる」と読んでから覚えるのと、自分の目の前で起きた現象を見て「なぜこうなるのだろう」と考えるのでは、学び方が違います。雙葉が理科で大切にしているのは後者です。

これは理系志望者の多い学校だから実験を増やしている、というだけの話でもありません。社会科では教科書以外の資料を使いながら地理・歴史・政治・経済を関連づけて考え、情報の授業では自分でテーマを設定してWebページやプレゼンテーションを制作します。教科は違っても、与えられた答えを覚えるところで学習を終わらせないという姿勢は共通しています。

英語は積み重ね、フランス語では学校のルーツに触れる

外国語教育は雙葉を象徴する分野の一つです。

英語では、音読、文法、リスニング、問題集、小テストを組み合わせて基礎を積み上げながら、ネイティブ教員によるAll Englishの授業で実際に使う機会を設けています。中学の英会話はクラスを半分に分けて行い、中学3年生では英語の一部でも分割授業が実施されます。

そして中学3年生では全員がフランス語を学びます。最初の授業では、校訓「徳においては純真に 義務においては堅実に」のもとになったフランス語に触れ、その後、基本的な表現とともにフランスの社会や文化を学びます。

週に何時間もフランス語だけを学ぶ語学専門校というわけではありません。それでも、中学生全員が一度フランス語に触れる学校は珍しいものです。しかも雙葉の場合、珍しさを狙って始めた制度ではありません。17世紀フランスに始まる修道会を設立母体とし、1875年に語学校から歩み始めた学校だからこそ、現在の授業にもフランス語が残っています。

高校では、英語に代えてフランス語を第一外国語として選択することもできます。選んだ生徒は少人数で学び、大学受験に対応できる水準まで学習を続けます。中3では全員が学校のルーツに触れ、高校ではそこから先へ進みたい生徒が自分で選ぶ。この二段階のつくりも雙葉らしいところです。

全学年に「宗教」の授業がある

カトリック校として、宗教の授業は中高のすべての学年で週1時間あります。

ここで扱うのは、聖書の知識を覚えることだけではありません。キリスト教の考え方から社会を見ることや、さまざまな人の生き方を知ることを通して、自分自身の生き方についても考えていきます。入学時点でキリスト教について詳しい必要はなく、信仰の有無が入試の合否に関係することもありません。

週34時間前後ある学校生活の中の1時間ですから、時間数だけを見れば小さな存在です。しかし6年間、毎週繰り返されるとなれば話は違います。数学で「どう考えたか」を書き、国語で自分の言葉を磨き、理科で「なぜ」を追い、宗教では人間や社会について考える。雙葉のいう「知性」は、試験問題を速く解く力より少し広いものとして設計されています。

最難関校だが、習熟度別クラスではない

もう一つ興味深いのは、雙葉が中学で習熟度別授業を基本としていないことです。英会話や技術・家庭などでは分割授業がありますが、成績順にクラスを分けて競わせる仕組みではありません。

学習上必要な場合には、昼休みや放課後に個別指導やグループ指導が行われ、教員室前には質問できるスペースも設けられています。その一方、高校になると多くの選択科目が用意され、自分の進路に合わせて授業を組み合わせていきます。

中学生のうちから早々に「あなたは文系」「あなたは理系」と分けるのではなく、共通の教養を積みながら、自分が何に向いているのかを少しずつ見つけていく。高校ではその選択を自分で引き受ける。大学受験でも学校は「自分の希望と能力を生かせる道を、自分自身で決めること」を重視しています。

雙葉のカリキュラムには、かなりの学習量があります。それでも学校が最後に育てようとしているのは、たくさん教えられた生徒ではありません。学んだものを使って、自分なりに考え、自分の進む方向を決められる人です。

学習環境と施設設備|聖堂から最上階の図書室まで、都心校の空間設計

四ツ谷駅から徒歩2分。これだけ都心にある学校なので、郊外型の中高一貫校のような広大なキャンパスを想像すると、雙葉の施設は少し違って見えます。

現在の校舎は2001年に完成した地下1階・地上7階建て。限られた校地を縦方向に使いながら、普通教室、特別教室、聖堂、講堂、体育館、図書室、生徒ラウンジ、屋上庭園などを一つの校舎にまとめています。教室や廊下、ラウンジにはゆとりを持たせ、都心にありながら緑も感じられるようにつくられています。

主な施設特徴
図書室校舎最上階にあり、自習スペースも設置
聖堂宗教の授業や祈りなどで使用
講堂式典や学校行事などに使用
理科施設物理室・化学室・生物室・地学室を設置
体育施設体育室・体育館を設置
生徒ラウンジ生徒が日常的に過ごせる共有空間
屋上庭園都心の校舎内に設けられた緑のある空間

最上階の図書室は、景色のよい自習場所でもある

校舎の最上階には図書室があります。本を借りる場所としてだけでなく、自習スペースも設けられており、窓の外には四ツ谷周辺の街並みが広がります。

雙葉では、分からないところがあれば教員室前のスペースで先生に質問することもできます。授業が終われば全員が塾へ直行することを前提にした学校ではなく、校内にも自分で勉強を進めたり、先生に尋ねたりする場所が用意されています。

中高6年間では、「授業を受ける場所」以外の居場所も案外重要です。試験前に少し残って勉強する日もあれば、本を探して寄り道する日もある。最上階の図書室は、そうした日常の学習を支える場所の一つです。

物理・化学・生物・地学、それぞれに学ぶ場所がある

理科関係では、物理室・化学室・生物室・地学室が設けられています。

§3で触れたように、雙葉の理科は中学1年生から実験や観察を重ねます。施設と授業方針はここでつながっています。理科室が一つあり、必要なときだけ実験をするという構成ではなく、分野ごとの設備を使いながら、実物を見ることを学習の一部にしています。

中学3年生になると校外での理科野外実習もあり、岩石などを実際に観察・計測し、その結果を学校へ持ち帰って統計処理や考察につなげます。教室、実験室、校外で見たものが別々の学習にならず、行き来するように設計されています。

校舎の中に聖堂があるということ

雙葉の施設で、この学校の性格を最もよく表しているのは聖堂かもしれません。

木のぬくもりを感じる空間にステンドグラスがあり、宗教の授業で祈る際などに使われます。カトリック校なので聖堂がある、と説明すれば事実としてはそれで終わります。ただ、毎週宗教の授業がある雙葉では、聖堂は学校案内の写真に登場する象徴的な施設だけではありません。生徒が6年間の学校生活の中で実際に入る場所です。

授業を受け、試験を受け、クラブ活動をする。その同じ校舎の中に、静かに自分自身を見つめるための空間もある。雙葉のいう全人教育は理念だけで語られているのではなく、校舎のつくりにも少し表れています。

「広いグラウンドの学校」とは違う

一方で、施設を比較するときには都心校ならではの条件も見ておく必要があります。雙葉は四ツ谷駅前の六番町にあり、広大な屋外グラウンドを中心に据えた学校ではありません。水泳用のプールもありません。

運動会は校内ではなく国立代々木競技場第一体育館で行われます。キャンパスの広さや屋外スポーツ環境を学校選びの最優先条件にする家庭なら、この点は実際に見学して確認しておきたいところです。

その代わり、駅から2分の校舎に、教室、4分野の理科室、聖堂、講堂、体育施設、図書室、ラウンジ、屋上庭園まで収めています。雙葉の施設を見るときは、設備の数だけを比べるより、東京の中心で約180人×6学年が学ぶための空間を、どう組み立てているかを見ると特徴が分かりやすくなります。

学校生活と行事|祈りから雙葉祭まで、生徒がつくる学校生活

「女子御三家」「カトリックの伝統校」と聞くと、毎日の学校生活まで静かで厳格なのでは、と想像する人もいるかもしれません。年間行事を追ってみると、雙葉の日常はもう少し幅があります。

春には祈りの集いや中1のオリエンテーションミサ、初夏には球技大会、夏には宿泊行事、9月には雙葉祭、10月には運動会。中学3年生では広島・宮島への修学旅行や理科野外実習もあります。カトリック校らしい宗教行事と、ごく普通の中高生らしい賑やかな行事が同じ一年の中に並んでいます。

時期主な行事
4月入学式、祈りの集い、クラブオリエンテーション
5月中1オリエンテーションミサ・聖書祝福式、中3広島・宮島修学旅行、遠足
6月校内球技大会、フランス語フェスティバル、歌舞伎教室
7月中1・中2夏期学校
9月雙葉祭
10月共同募金、運動会
11月中3理科野外実習
12月学園感謝の日、講演会、クリスマス関連行事、施設訪問
3月卒業式、送別行事、中3卒業感謝ミサ

中1の春、全員が一冊の聖書を受け取る

雙葉らしい学校生活が最初にはっきり表れるのが、中学1年生の春です。

5月にはオリエンテーションミサが行われ、中学生として初めて学年全員でミサに参加します。また聖書祝福式では、祝福された聖書を一人ひとりが入学祝いとして受け取ります。

キリスト教系の小学校から進学してきた生徒もいれば、中学受験を経てここで初めて聖書に触れる生徒もいます。その約180人が同じ場所から中学校生活を始める。内部進学生と中学入学生が混ざる雙葉にとって、こうした行事には新しい学年を一つにしていく役割もありそうです。

12月には学園感謝の日があり、全校生徒がミサに参加します。3月には中学3年生が卒業感謝ミサに臨みます。宗教は「宗教の授業」という一教科の中だけに置かれているのではなく、入学から卒業まで学校生活の節目にも顔を出します。

球技大会は、全員参加のクラス対抗戦

一方、6月の校内球技大会になると雰囲気はかなり変わります。

中高それぞれがクラス対抗で競い、バレーボール、バスケットボール、卓球のいずれかに生徒全員が参加します。2026年には2日間にわたって実施されました。

運動部の生徒だけが活躍する体育行事ではなく、全員がどこかの競技に入るのがポイントです。中学では4クラスなので、普段は授業を受けているクラスがそのまま一つのチームになる。入学からまだ数か月の中1にとっては、クラスメートの違った顔が見えてくる時期でもあります。

9月の雙葉祭は「見せてもらう文化祭」ではない

学校生活の中で大きな行事となるのが、9月に2日間開催される「雙葉祭」です。

クラブや団体が、それまで積み重ねてきた活動を発表します。運営には生徒の実行委員会が関わり、受験生に向けた企画も生徒自身が考えています。近年には、実行委員会が「雙葉生の一日」を紹介する動画を制作したこともありました。

受験生にとって雙葉祭は、校舎を見る以上に意味のある機会でしょう。説明会ではどうしても先生の言葉を通して学校を見ることになりますが、文化祭では生徒が誰と話し、どう役割を分け、自分たちの活動をどう見せようとしているかが表に出ます。

「伝統女子校」という言葉は便利ですが、それだけでは今そこで過ごしている13歳や16歳の姿までは分かりません。雙葉祭は、その距離を少し縮めてくれる行事です。

中3の広島修学旅行は、3日間で終わらない

中学3年生は5月に広島・宮島方面へ修学旅行に出かけます。宮島では厳島神社や舞楽に触れ、広島では平和記念公園や資料館を訪問。語り部の話を聞き、碑を巡り、世界平和記念聖堂では平和への祈りを捧げます。

ここで興味深いのは、旅行から帰って終わりではないことです。

中3ではその後も平和について学びを続け、年度末には代表生徒による「平和スピーチ」が行われます。原子爆弾、相互理解、多様性など、それぞれがテーマを選び、自分の考えを言葉にして発表します。

旅行先で何かを見て「勉強になりました」で終わらせず、そこから一年近く考える。§3で見た「自分で考え、自分の言葉で表現する」という教育方針が、行事の中にも入っています。

夏期学校では、教室を離れて生活する

中学1年生と2年生には、7月に宿泊を伴う夏期学校があります。行き先や内容は年度によって異なりますが、自然の中を歩くこと、体験学習、見学などを組み合わせて数日間を過ごします。

近年の中1では牧場での畜産実習や湿原散策、中2では山岳地域でのトレッキングなども行われています。

こうした宿泊行事の意味は、プログラムそのものだけではありません。朝から夜まで友人と一緒に過ごし、普段の教室とは違う環境で動く。中学入学から数か月の段階では、机を並べて授業を受けるより、2泊3日を一緒に過ごした方が分かることもあります。

クリスマスは「祝う日」であると同時に、外へ目を向ける時期

12月には学園感謝の日のほか、クリスマスプレゼントの展示や施設訪問などが年間行事に組み込まれています。秋には共同募金も行われます。

カトリック教育で語られる「他者とともに生きる」という言葉は、ともすると抽象的です。雙葉では、祈ること、募金すること、施設を訪れること、平和について考えることが、別々のイベントとして一年の中に置かれています。

もちろん、中高生の毎日が宗教的な活動だけで進むわけではありません。球技大会では声を上げて応援し、雙葉祭では準備に追われ、宿泊行事では友人と過ごす。その賑やかな学校生活のところどころに、少し立ち止まって他者や社会について考える時間が入る。雙葉の行事を見ると、カトリック教育が日常とどうつながっているのかが見えてきます。

クラブ活動|中高6学年が交わる放課後

雙葉では、生徒全員がいずれかのクラブに所属します。しかも活動はすべて中高合同です。

中学1年生と高校3年生では、年齢にすれば5歳ほど離れています。授業では同じ教室に入ることのない6学年が、放課後には同じクラブで活動する。完全中高一貫校の6年間を実感しやすい場所の一つが、クラブ活動です。

「部・班・会」で活動のペースが違う

雙葉のクラブ一覧を見ると、「○○部」だけでなく、「○○班」「○○会」「○○同好会」といった名称が並びます。これは単なる呼び方の違いではなく、主に活動日の設定によって区別されています。

区分主な活動日
月〜土のうち各クラブが定める曜日バスケットボール部、バレーボール部、英語演劇部、音楽部、ダンス部など
主に土曜日化学班、生物班、天文班、美術班、料理班、歴史研究班など
会・同好会など月〜金のうち各団体が定める曜日管弦楽同好会、クイズ研究会、手話の会、数学研究会、百人一首の会など

活動日が重ならなければ、二つのクラブに所属することもできます。毎日のように練習したい生徒もいれば、土曜日を中心に活動して別のことにも時間を使いたい生徒もいる。クラブへの関わり方を一つの型にそろえていない点は、雙葉の放課後を考えるうえで覚えておきたいところです。

運動系から「点訳」「奇術」「数学」まで約40団体

現在掲載されているクラブは約40団体あります。

運動系では卓球、バスケットボール、バレーボール、テニス、陸上、ダンスなど。文化系では英語演劇、演劇、音楽、軽音楽、写真、美術、書道、料理、管弦楽、合唱といった活動があります。

さらに、化学班、生物班、天文班、理科班、数学研究会、歴史研究班といった学術系の団体もあれば、手話の会、点訳の会、百人一首の会、奇術同好会、クイズ研究会、囲碁将棋同好会などもあります。

学校案内で「クラブ活動が盛ん」と書くだけなら簡単ですが、雙葉の場合はこの幅を見る方が学校の雰囲気をつかみやすいでしょう。運動で競技に打ち込むこともできれば、理科の興味を授業の外まで追いかけてもいい。百人一首や手話、点訳のように、少しニッチな関心にも居場所があります。

クラブ活動は、雙葉祭で外に開かれる

クラブにとって大きな発表の場となるのが、9月の雙葉祭です。

演奏や舞台発表、展示、研究成果の紹介など、日頃の活動を来校者に見てもらいます。受験生にとっても、雙葉祭はクラブの種類をパンフレットで確認するだけでは分からない、生徒の表情や先輩・後輩の距離感を見る機会になります。

夏休みにはクラブ合宿もあり、8月には関東地区カトリック校女子球技大会も年間行事に組み込まれています。授業とは別の集団で長い時間を過ごすことで、学年を越えた関係ができていきます。

生徒会「雙友会」も中高一緒に動く

こうした自治活動はクラブだけに限りません。雙葉の生徒会は「雙友会(そうゆうかい)」と呼ばれ、こちらも中高生が一緒に活動します。

総務を中心に、ホームルーム委員会、雙葉祭実行委員会、体育委員会、ボランティア委員会、クラブ代表者委員会などが置かれています。ホームルーム委員会では各クラスから出た意見をもとに学校生活について話し合い、ボランティア委員会は校内募金などを担います。

§3で見た「自ら考え、判断して行動する」という教育方針は、授業だけで身につくものではありません。自分より5歳上の先輩と活動し、やがて自分が後輩を迎える側になる。中1のときには遠く見えた高校生の役割を、数年後には自分が引き受けることになります。

6学年が同じクラブで過ごす雙葉では、その繰り返しもまた、中高一貫教育の一部なのでしょう。

進学実績と卒業後の進路|難関大・医学部へ広がる多様な選択

雙葉には系列大学への内部進学制度がありません。高校卒業後は、それぞれが自分の志望に合わせて大学を選び、一般選抜や学校推薦型選抜などを利用して進学します。

2026年3月の卒業生は174名。東京大学、東京科学大学、京都大学、一橋大学をはじめとする国公立大学から、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学、医学部医学科まで、進路はかなり広く分かれています。

2026年春、東大9名・東京科学大7名など

2026年春の主な大学合格実績は次の通りです。学校が公表する数字には既卒生を含むため、現役合格者数も併記します。

大学名合格者数うち現役
東京大学9名7名
東京科学大学7名6名
筑波大学5名5名
京都大学4名2名
千葉大学4名3名
一橋大学2名2名
お茶の水女子大学2名2名
北海道大学2名2名
慶應義塾大学65名60名
早稲田大学56名50名
東京理科大学33名29名
上智大学23名21名
明治大学23名20名

国公立大学は延べ51名が合格し、そのうち39名が現役。私立大学では延べ416名の合格があり、330名が現役生によるものです。

ただし、私立大学の合格者数は一人が複数の大学・学部に合格した場合、それぞれに計上されます。「慶應65名+早稲田56名だから121人がどちらかへ進学した」と読むことはできません。合格実績は学校の学力層を知る材料にはなりますが、卒業生の実際の進学先とは分けて見る必要があります。

約半数が理系。医歯薬系を志望する生徒も多い

雙葉の進学実績を語るうえで、医学部は外せません。学校では年度による違いはあるものの、生徒のおよそ50%が理系を選び、その中でも医歯薬系を志望する割合が大きいとしています。

2026年春の医学部医学科の合格数は、既卒生を含む延べ67件でした。

医学部医学科合格数
京都大学1名
東京科学大学1名
筑波大学2名
千葉大学2名
慶應義塾大学1名
順天堂大学6名
日本医科大学5名
東京医科大学5名
東京慈恵会医科大学3名
東邦大学6名
昭和医科大学4名

このほか国公立・私立の医学部医学科への合格があり、歯学・薬学・看護・獣医系でも延べ42件の合格が出ています。

ここでも「医学部医学科67名」という意味ではありません。同じ受験生が複数の医学部に合格するケースがあるため、67は延べ合格数です。それでも、1学年約180名という学校規模を考えれば、医療系を志す生徒が身近にいる環境であることは数字からも読み取れます。

進路の強さを「医学部に強い学校」だけで終わらせない

一方、雙葉を医学部志向の学校としてだけ捉えると、実際の進路の広がりを見落とします。

2026年には一橋大学への現役合格者が2名、東京藝術大学にも2名が現役で合格しています。私立大学でも国際基督教大学、津田塾大学、東京女子大学、日本女子大学のほか、多摩美術大学、女子美術大学、京都芸術大学などへの合格があります。

文系・理系を問わず、難関大学へ一斉に同じ方向へ進ませるというより、かなり異なる進路が一つの学年に共存しています。

これは高校のカリキュラムとも関係しています。雙葉では習熟度別クラスを基本とせず、高校では進路に応じた多くの選択科目を用意しています。高校生になるまでに興味や適性を探し、必要な科目を自分で選んでいく仕組みです。

進路について考え始めるのは、大学受験が近づいてからではない

雙葉の進路教育は、高校3年生になって志望大学を決めるところから始まるわけではありません。

中学1年の終わりから中学2年にかけて職業について調べ、中学3年では広島への修学旅行を軸に社会や世界へ視野を広げます。高校では「卒業生の話を聞く会」や講演会を通して、大学生、大学院生、社会人などの経験に触れます。

学校が進路指導で大切にしているのは、「自分の希望と能力を生かせる道を、自分自身で決めること」です。

東京大学へ行くことも、医師を目指すことも、その選択肢の一つです。最難関大学への合格者がこれだけいる学校でありながら、「この大学へ何人入れるか」を教育目標そのものには置いていない。このあたりは、§1から見てきた雙葉の「自分で考え、自分で選ぶ」という姿勢とつながっています。

指定校推薦という選択肢もある

大学進学では一般選抜だけでなく、学校推薦型選抜の指定校もあります。

慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、国際基督教大学、東京理科大学、明治大学、中央大学、学習院大学、北里大学、津田塾大学、東京女子大学などから指定校推薦枠があり、そのほかにも多数の大学が並びます。

ただし、推薦枠があることと、それを積極的に使うことは別の話です。一般選抜を含めて複数の道が用意され、その中から本人が進路を決めていくことになります。

雙葉の大学実績には確かに目を引く数字があります。ただ、6年間の出口として見るなら、重要なのは「東大9名」という数字だけではありません。約180人の卒業生が、同じ学校で学んだあとにかなり違う場所へ向かっている。その選択肢の広さまで含めて見ると、雙葉の進路教育が何を目指しているのかが分かります。

学費や諸経費について|6年間で考えておきたい教育費

雙葉中学校の2027年度新入生に適用される学費は、入学金24万円、年間授業料55万4,400円、施設維持費22万1,400円、後援会費7万2,000円です。

これに学年費、夏期学校費、中学1年生ではタブレット購入費などが加わります。初年度に学校から示されている費用を合計すると、およそ134万円が一つの目安になります。

項目2027年度備考
入学金240,000円入学手続時
授業料554,400円年額・学期ごとに分納
施設維持費221,400円4月納入
後援会費72,000円年額・学期ごとに分納
学年費約60,000円年額の目安
夏期学校費約60,000円年額の目安
タブレット購入費約135,000円中学1年生のみ
初年度の目安約1,342,800円上記費用を合算

初年度だけを見ると約134万円

入学金と中1のみ必要なタブレット購入費を除くと、授業料、施設維持費、後援会費、学年費、夏期学校費を合わせて年間約96万8,000円です。

もちろん、学年費や宿泊行事に関する費用は年度によって変わります。制服や学校生活に必要な物品などもあるため、「134万円用意すれば初年度に必要な支出がすべて終わる」という意味ではありません。家計を考える際には、学校納付金とは別に一定の余裕を見ておく方が現実的です。

なお、入学時以降に寄付金への協力を求められる場合がありますが、寄付は任意です。

授業料は学期ごとの分納

入学手続時に必要なのは入学金24万円です。授業料と後援会費は学期ごとの分納となっており、施設維持費は4月に納めます。

中学受験では、合格発表から入学手続までの期間が短い学校も少なくありません。雙葉も2月2日に合格発表、2月3日が入学手続期限となるため、入試日程を組む段階で入学金の準備まで考えておく必要があります。

中学3年間ではなく、「雙葉で6年間」と考える

学費を見るときに忘れたくないのが、雙葉は高校募集を行わない中高一貫校だということです。中学校の卒業生は原則として雙葉高等学校へ進学するため、家庭の教育費も中学3年間で終わるわけではありません。

仮に現在の中学段階の年間負担額を基準に考えれば、入学時だけでなく、その後も年間100万円前後の学校関係費が続く規模感です。ただし6年間の途中で授業料や諸費用が改定される可能性があり、行事費なども学年によって異なります。6年間の総額を現在の数字だけで固定してしまうより、毎年ある程度まとまった教育費が継続する学校として家計を組んでおく方がよいでしょう。

さらに大学進学後には、国公立か私立か、文系か理系か、医歯薬系かによって必要な費用が大きく変わります。§7で見たように雙葉では医歯薬系を志望する生徒も多いため、家庭によっては中高6年間の先まで含めた資金計画が必要になります。

12歳の受験時には大学までまだ遠く感じます。しかし中学、高校、大学と進めば教育費の支出は十年近く続きます。学校選びで学費を見る意味は、「払えるかどうか」を入学年度だけで判断することではなく、その学校で想定している進路まで無理なく支えられるかを考えることにあります。

入試情報と合格の目安|2月1日、一度きりの4科入試

雙葉中学校の一般入試は、複数回受験できる学校とはかなり性格が違います。2027年度も募集は女子100名、試験日は2月1日の1回のみ。午前に国語・算数・社会・理科の筆記試験を受け、昼食を挟んで午後に本人面接が行われます。

2月2日にもう一度、という選択肢はありません。雙葉を第一志望にするなら、小学6年生の2月1日に照準を合わせて準備することになります。

2027年度入試内容
募集人数女子100名
出願期間2027年1月10日〜1月16日
試験日2027年2月1日
筆記試験国語・算数・社会・理科
面接受験生本人
合格発表2027年2月2日
入学手続期限2027年2月3日
通学条件保護者と同居し、通常の交通機関を利用して通学90分以内

国語・算数の比重が大きい300点満点

直近の2026年度入試では、国語100点・50分、算数100点・50分、社会50点・30分、理科50点・30分の4科合計300点で実施されました。

科目試験時間配点
国語50分100点
算数50分100点
社会30分50点
理科30分50点
合計160分300点

国語と算数だけで200点、全体の3分の2を占めます。もちろん理科・社会で取りこぼしてよいわけではありませんが、雙葉を目指すうえでは国語・算数を安定した得点源にできるかが重要になります。

また、難関校の入試では「難しい問題を何問解けるか」だけに目が向きがちです。しかし300点の中には、多くの受験生が取る問題もあれば、差がつく問題もあります。難問への対応力と同じくらい、取るべき問題を落とさない精度が必要です。

2026年度は406人が受験、130人が合格

2026年度入試では、募集100名に対して435名が出願し、406名が実際に受験しました。合格者は130名で、実質倍率は約3.1倍です。

年度受験者数合格者数実質倍率合格最低点
2026年度406名130名3.1倍199点/300点
2025年度358名122名2.9倍198点/300点
2024年度359名124名約2.9倍181点/300点

合格最低点は2024年度の181点から、2025年度198点、2026年度199点へ動いています。300点満点で見ると約60〜66%です。

ただし、この数字を見て「6割台を取ればよい」と考えるのは危険です。合格最低点は、その年の問題の難易度や受験者層によって動きます。過去問演習では最低点そのものを目標にするより、年度が変わっても合格圏に残れる得点の余裕をつくっておきたいところです。

四谷大塚80%偏差値は66

四谷大塚の2027年中学受験向けデータでは、雙葉中学校のAライン80偏差値は66、Cライン50偏差値は62です。

女子の中学受験では最上位層に位置する数字です。ただし、偏差値66なら合格、65なら不合格という境界線があるわけではありません。模試の偏差値は学力の現在地を見る道具であり、最後は雙葉の入試問題との相性も大きく関わります。

特に6年生後半では、模試の数字だけを追うより、過去問で「どの科目で何点取り、合計点をどうつくるか」を具体的に見ていく必要があります。国語が安定している子、算数で稼ぐ子、理社で大きく崩れない子では、同じ合格点への届き方も違います。

午後には約3分の本人面接

筆記試験が終わると昼食を取り、午後は本人面接です。受験生1人に対して面接担当者2人、時間は約3分。小学校生活や、中学校生活への抱負などについて質問されます。

学校は、面接のための特別な練習は必要ないとしています。用意した模範回答を暗記して話すことより、質問を聞き、自分なりに考えたことを自分の言葉で話すことが求められています。

ここは雙葉の教育方針ともよく重なります。入学後も授業や学校生活で求められるのは、自分で考え、それを言葉にすること。わずか3分ほどですが、筆記試験とは別の角度から受験生を見る時間になっています。

朝から午後まで続く2月1日

雙葉の入試では、午前の4科試験だけで帰宅するわけではありません。昼食を学校で取り、その後に面接があるため、受験生にとっては一日がかりの入試になります。面接終了後は保護者の迎えも必要です。

模試や過去問では4科を解き終えれば一区切りですが、本番は朝から緊張した状態で試験を受け、昼食を挟み、最後に面接まで集中力を保つことになります。知識や解法とは別に、長い一日を落ち着いて過ごせることも本番では大切です。

そして試験機会は一度だけです。複数回入試なら初回の失敗を次で取り返せますが、雙葉にはその仕組みがありません。だからといって2月1日を「絶対に失敗できない日」にしてしまえば、12歳には重すぎます。必要なのは一回勝負への恐怖を大きくすることではなく、普段通り解けば合格圏に届く状態を、そこまでにつくっておくことです。

併願校パターン|女子御三家を目指す受験日程の組み方

雙葉を第一志望にすると、受験日程の中心はかなりはっきりします。一般入試は2月1日の1回だけなので、この日は雙葉で動きません。したがって併願を考えるポイントは、1月にどこで合格を確保するか、そして2月2日以降をどこまで攻めるかの二つです。

2027年度の入試日程をもとにすると、次のような学校が候補になります。

日程学校・入試四谷大塚80%偏差値の目安組み込み方
1月10日栄東 I入試63前後1月校として実戦経験と合格確保を狙う
1月10日淑徳与野 医科学進学コース特別入試62前後女子校志向・理系志向の場合の1月候補
1月13日淑徳与野 第1回57前後合格可能性を高めた1月校として検討しやすい
2月1日雙葉中学校66第一志望
2月2日白百合学園 一般入試60前後カトリック女子校志向を維持しやすい
2月2日豊島岡女子学園 第1回67前後難関校への挑戦を続ける場合
2月3日慶應義塾中等部 一次試験68前後(女子)大学附属という別の進路も含めて検討する場合
2月3日豊島岡女子学園 第2回68前後難関女子校を引き続き狙う場合
2月4日豊島岡女子学園 第3回68前後最後まで難関女子校を追う場合
2月4日淑徳与野 第2回54前後後半日程まで選択肢を残す場合

まず1月に「合格した状態」をつくれるか

雙葉のような2月1日一回入試を第一志望にする場合、1月校の役割はかなり重要です。

たとえば栄東は2027年度も1月10日のI入試、11日のII入試、12日の東大特待、16日のIII入試を設定しています。雙葉志望者なら、1月10日のI入試を本番前の大きな実戦として使う組み方が考えられます。

女子校を中心に受験したいなら、淑徳与野も候補です。2027年度は1月10日に医科学進学コース特別入試、1月13日に第1回入試が行われます。雙葉で理系や医歯薬系まで視野に入れている家庭なら、学校選びとしても接点があります。

1月入試には「場慣れ」という言葉がよく使われますが、できればそれだけにはしたくありません。本番の朝に起き、電車に乗り、知らない教室で4科を解き、合格発表を見る。模試では代用できない一連の経験があります。

そして何より、2月1日の朝を「まだ一校にも合格していない状態」で迎えるのか、「すでに進学できる学校が一つある状態」で迎えるのかでは、本人にも家庭にも感じ方の違いがあります。

2月2日の白百合は、学校文化から見ても組み合わせやすい

雙葉と学校文化の近さから考えるなら、2月2日の白百合学園は検討しやすい併願先です。

白百合もカトリックの女子校で、フランスにルーツを持つ修道会によって設立されています。2027年度一般入試は2月2日に実施され、従来の4科方式に加えて、国語・算数・外国語による方式も導入されます。外国語には英語またはフランス語を選択できます。

もちろん、カトリック女子校だから校風まで同じというわけではありません。それでも、宗教教育や女子教育に価値を感じて雙葉を志望している家庭なら、「偏差値だけで選んだ第二志望」になりにくい学校です。

四谷大塚の2027年度用80%偏差値では、雙葉66に対して白百合は60前後。雙葉が十分射程に入っている受験生なら難度を一段下げられますが、それだけで「安全」と決めつけることはできません。白百合の過去問でも安定して合格点を取れるかを見て判断します。

2月2日以降も最難関へ挑むなら豊島岡

雙葉の受験後も学力帯を下げずに難関女子校へ挑戦するなら、豊島岡女子学園が候補になります。2027年度用の受験日程では2月2日・3日・4日に入試が予定されており、四谷大塚の80%偏差値は67〜68前後です。

ここは白百合とは考え方が逆です。雙葉より難度を落として合格可能性を高めるのではなく、同等以上の難関校を続けて受験する日程になります。

雙葉が第一志望であっても、学力的に豊島岡まで十分狙え、本人も学校を気に入っているなら合理的な選択です。一方、1月校も含めて進学先がまだ確保できていない状態なら、2月2日から4日まで難関校ばかりを並べるのは慎重に考えたいところです。

慶應中等部を入れるなら、「学校選び」の軸が変わる

2月3日には慶應義塾中等部があります。2027年度は女子約50名を募集し、一次試験が2月3日。合格者は2月5日に体育と保護者同席の面接を受けます。

四谷大塚の女子80%偏差値は68で、難度だけを見てもチャレンジ色のある併願です。

ただし、雙葉と慶應中等部の違いは偏差値以上に大きいでしょう。雙葉では高校卒業後にそれぞれが大学を選びますが、慶應中等部は慶應義塾の一貫教育校です。大学受験を前提とする6年間と、慶應義塾の内部進学を軸にした学校生活では、進路設計そのものが変わります。

「雙葉に届く学力だから慶應も受ける」ではなく、雙葉と慶應のどちらに進学しても納得できるかを先に考えておきたい組み合わせです。

「チャレンジ・標準・安全」は本人によって変わる

併願校を考えるときは、学校名を固定して「ここは安全校」と決めない方がよいでしょう。

たとえば雙葉の80%偏差値66に対して、白百合は60、淑徳与野第1回は57前後です。数字だけなら難度には差があります。しかし、模試で一度その偏差値を取っただけでは、安全校にはなりません。

安全校と呼べるのは、本人がその学校の80%ラインを継続して上回り、過去問でも時間内に合格点を安定して超えられる学校です。同じ白百合でも、ある受験生には標準校になり、別の受験生には十分な安全校になります。

雙葉第一志望なら、たとえば次のように三段階で考えると整理しやすくなります。

位置づけ考え方候補例
チャレンジ雙葉と同等以上の難度で、合格すれば進学したい学校豊島岡女子学園、慶應義塾中等部
標準現在の実力で十分勝負になり、校風にも納得できる学校白百合学園、栄東など
安全80%ラインを安定して超え、過去問でも余裕を持って合格圏に入る学校本人の成績によって異なる

「雙葉に落ちたらどこへ行くか」は、出願前に決めておく

併願計画で最も避けたいのは、2月2日の朝になってから「今日はどこを受けよう」と考えることです。

雙葉の合格発表は2月2日です。その結果によって後半日程の受験校を変えることはできますが、どの結果ならどこを受けるのかは、1月のうちに決めておいた方が本人への負担も小さくなります。

たとえば、1月校に合格していれば2月2日以降も豊島岡へ挑戦する。進学したい1月校を確保できていなければ、2月2日は合格可能性を重視する。こうした分岐を事前につくっておけば、結果が出た直後に家族で慌てて判断する必要がありません。

併願校は、第一志望に落ちたときの「代わり」ではありません。実際に4月から6年間通う可能性のある学校です。雙葉を強く志望しているときほど、雙葉以外にも「ここなら通いたい」と思える学校を見つけておくことが、受験日程を強くします。

在校生・保護者の声|外からの「名門校像」と校内の日常

雙葉という学校名から、どんな生徒を想像するでしょうか。

カトリックの伝統校、女子御三家、四ツ谷のお嬢様学校。制服姿まで含めて、どこか静かで端正な学校というイメージを持つ人は少なくないと思います。

ところが、学校を実際に訪れた受験生や保護者の感想、学校生活についての取材を重ねて見ると、少し違った姿が出てきます。落ち着きはある。でも、おとなしいわけではない。むしろ自分の意見をかなりはっきり持ち、学校生活には積極的に参加する生徒が多いようです。

「厳格なお嬢様学校」を想像して行くと、少し印象が変わる

雙葉を志望した家庭への近年の取材では、学校を見学する前には「お嬢様校」「硬い学校」という印象を持っていたものの、文化祭などで在校生と接すると、上品で真面目というだけではなく、生徒が生き生きとしていて、自立していることにひかれたという声が見られます。

一方、学校見学では、生徒の落ち着いた受け答えや穏やかな雰囲気に印象を受けたという保護者の声もあります。

この二つは矛盾しているようで、そうでもありません。

騒がしくはないが、受け身でもない。

雙葉の校風を短く表すなら、このあたりがかなり近いのかもしれません。

「先生、こうしてみようよ」と言える生徒たち

学校側が語る生徒像にも、その活発さが表れています。

雙葉の生徒は、先生から指示されたことを待っているだけではなく、授業や学校生活の中で「こうしてみたい」と自分から提案することがあるといいます。雙葉祭でも、中学生・高校生がそれぞれのクラブや団体で企画を進め、自分たちの活動を外部へ伝えます。

校則や伝統のある女子校というと、先生が学校生活を細かく管理し、生徒がその枠に従う姿を連想するかもしれません。しかし雙葉が目指しているのは、そうした意味での「従順な生徒」ではありません。

何をしたいのかを考え、必要なら周囲へ伝え、仲間と相談しながら形にしていく。§1で見た「わたしの徳」「わたしの義務」という考え方は、こうした日常にもつながっています。

勉強のできる友人が、特別ではない環境

雙葉では東京大学や国公立医学部をはじめ難関大学への進学者が毎年出ています。しかし、生徒の立場から見れば、それは学校案内に載っている「進学実績」だけではありません。

同じ教室の中に、医学部を目指す生徒もいれば、文系学部や芸術系を目指す生徒もいる。しかも高校でも進路別にクラスを完全に分けないため、進む方向の異なる友人と一緒に学び続けます。

中学生の段階では、将来の進路がまだ決まっていない子の方が普通でしょう。それでも、周囲には本をよく読む子、数学が好きな子、理科実験に夢中になる子、音楽や美術に打ち込む子がいる。

「勉強しなさい」と言われること以上に、友人が普通に何かを深く考えている環境から受ける影響は小さくありません。

内部進学生と中学入学生は、やがて「雙葉生」になる

中学受験組の家庭が気にしやすいのが、雙葉小学校から進学してくる生徒との関係です。

1学年約180名のうち、約80名が小学校から進み、約100名が中学入試を経て入学します。内部進学生だけですでに人間関係ができているのでは、と心配するのも自然でしょう。

しかし中学では両者を混ぜてクラスを編成し、その後もクラス替えがあります。また、クラブ活動は中高合同。中学に入ると、人間関係は同じ小学校だったかどうかよりも、クラス、クラブ、委員会、行事へと広がっていきます。

約100人が一度に外部から入ってくる以上、中学入学生が「数人だけ途中参加する」学校でもありません。

内部生か外部生かという違いは、入学した春には確かにあります。ただ、6年間ずっとそれが学校生活の中心に残る、と考える必要はなさそうです。

先生が前に立ち続けるというより、必要なところで支える

学習面では、成績順の習熟度別クラスを基本とせず、必要に応じて昼休みや放課後に個別・グループで指導を受けられます。教員室前には、生徒が質問するためのスペースもあります。

難関大学への実績を見ると、受験指導の強い管理型学校を想像するかもしれませんが、雙葉は進路についても本人が選ぶことを重視しています。

この環境は、何から何まで学校側に決めてもらいたい子には、少し戸惑いがあるかもしれません。一方で、自分から先生に質問したり、興味のあることを追いかけたりできるようになると、使える場所は増えていきます。

校風を知るなら、説明会より雙葉祭で生徒を見る

雙葉について調べるほど、「品のある学校」「自由な学校」「真面目な学校」「活発な学校」と、少しずつ違った表現に出会います。

どれか一つが間違っているというより、見る場面によって表情が変わるのでしょう。

制服を着て祈りの集いに参加するときと、球技大会でクラスを応援するとき。聖堂にいるときと、雙葉祭の準備をしているとき。同じ生徒でも当然、表情は違います。

学校側も、雙葉を知るには教員の説明だけでなく、雙葉祭などで実際の生徒を見ることを勧めています。

これは受験生にとってかなり有効な助言です。校則の数や口コミの星の数だけでは、「自分がここに混ざったらどう感じるか」までは分かりません。

12歳の本人が、雙葉生を見て「この先輩たちと一緒に過ごしてみたい」と思うか。

§11で扱ってきた「評判」を最後に確かめる方法は、案外それがいちばん確かです。

この学校に向いている子の特徴|自分で考え、選び、責任を持てる人へ

雙葉に向いているのは、「すでに何でも自分でできる子」とは限りません。

むしろ6年間を通して、先生に答えを与えてもらうだけではなく、自分はどう考えるのか、何を選ぶのかを少しずつ言葉にできるようになりたい子に合う学校です。

「なぜそうなるのか」を考えることが苦にならない子

雙葉では、数学でも答えだけではなく考え方を他者に伝わる形で書き、国語では作文やスピーチを行い、理科では中1から実験や観察を重ねます。

知識を覚えることはもちろん必要ですが、「この公式を使えば解けた」で終わらず、「なぜこの方法なのか」「自分はどう考えたのか」まで求められる場面が多い学校です。

そのため、暗記や反復だけで勉強を進めたい子より、分からないものに少し粘って向き合える子の方が授業を楽しみやすいでしょう。

入学時点で説明が上手である必要はありません。考えたことをノートに書き、授業で話し、先生や友人の考えを聞く。その積み重ねで、「頭の中にあるものを言葉にする力」を育てたい子に向いています。

ルールのある環境を窮屈と感じるだけでなく、その意味を考えられる子

雙葉には制服があり、カトリック校として祈りや宗教の授業があり、100年以上受け継がれてきた学校文化があります。何でも本人の好きなように決めてよい学校ではありません。

一方で、学校が育てようとしているのは、言われた通りに行動するだけの生徒でもありません。

校訓の「徳においては純真に 義務においては堅実に」も、自分にとって何が大切で、何を果たすべきなのかを考えることにつながっています。

ある程度の「型」がある中で、その意味を考え、自分なりの判断を持てるようになりたい子。そうした成長を望む家庭とは相性がよいでしょう。

友人の得意分野を、刺激として受け取れる子

雙葉には、国語が得意な子、数学が好きな子、医学部を目指す子、音楽や美術に打ち込む子など、さまざまな方向に関心を持つ生徒が集まります。

難関校なので、周囲に学力の高い生徒が多いことは避けられません。

そこで「自分よりできる子がいる」と委縮してしまうより、「そんな考え方もあるのか」と刺激を受けられる子の方が、この環境を使いやすいはずです。

高校でも文系・理系だけで人間関係が分断されるわけではありません。自分とは違うものに興味を持つ友人と同じ教室で過ごすことになります。

誰かと同じであることより、違う相手と一緒にいられること。その力は、雙葉のいう「他者とともに生きる」にもつながっています。

宗教を「信じるかどうか」だけで見ない子

雙葉では、入学時にカトリック信者である必要はありません。宗教の授業も、入信を目的とするものではありません。

それでも、聖書を読み、祈りの時間を持ち、平和や人間の生き方について考えることは6年間続きます。

宗教に対して「自分とは関係ない」と最初から閉じてしまうより、知らない考え方に触れてみようと思える子の方が、雙葉で得られるものは多いでしょう。

中3で全員が学ぶフランス語も同じです。大学受験で直接使うかどうかだけを基準にすると、必要性が見えにくい授業かもしれません。しかし、言語の背景にある文化や、学校自身の歴史まで含めて面白がれる子には、かなり雙葉らしい経験になります。

「何になりたいか」がまだ決まっていない子でもよい

雙葉では医学部をはじめ難関大学への進学者が多いため、小学生の段階から明確な進路目標を持つ子ばかりが集まるようにも見えます。

しかし12歳で将来を決め切っている必要はありません。

中学では幅広い教科を学び、職業について調べ、平和学習や行事、クラブ活動を経験します。高校では選択科目が増え、卒業生の話も聞きながら、自分の進路を考えていきます。

重要なのは「私は絶対に医師になる」と決めて入学することではなく、まだ知らないものに触れながら、自分の関心を見つけていこうとすることです。

自分から先生や周囲へ働きかけられるようになりたい子

雙葉は、細かな指示で生徒を常に動かすタイプの学校ではありません。分からないことがあれば教員室前で先生に質問でき、クラブや雙友会では生徒自身が学校生活を動かす場面があります。

最初から積極的でなくても構いません。ただ、6年間ずっと「誰かが決めてくれるまで待つ」より、自分から聞く、提案する、役割を引き受ける方向へ少しずつ成長したい子の方が合っています。

中1では高校3年生の先輩がかなり大人に見えるでしょう。けれど5年後には、自分が中学生から見上げられる側になります。

雙葉で過ごす6年間は、教えてもらう側から、自分で判断し、周囲に働きかける側へ移っていく時間でもあります。

雙葉が合うかは「伝統校が好きか」だけでは決まらない

カトリック教育、フランス語、女子校、四ツ谷の立地、難関大学への進学実績。雙葉を志望する理由になる要素はいくつもあります。

ただ、この学校との相性を最後に左右するのは、もっと日常的な部分かもしれません。

答えをすぐにもらうより、自分で少し考えてみたい。友人の意見も聞きたい。決められたことにも、その理由を見つけたい。そして、いつかは自分で進む道を選びたい。

そういう12歳が、6年後にもう少し自分の足で立てるようになるための学校。

雙葉を「向いている子」という観点から見るなら、完成した優等生を探すより、この方向へ育っていきたいかを考える方が分かりやすいでしょう。

まとめ|伝統の中で「自分の答え」を育てる学校

雙葉中学校を外から見ると、まず「伝統」が目に入ります。

1875年に始まる歴史。カトリック教育。フランス語。四ツ谷の校舎。女子御三家という評価。そして、難関大学や医学部へ進む卒業生たち。

これだけ材料がそろえば、「歴史と実績を備えた名門女子校」とまとめることはできます。ただ、それでは雙葉の6年間について、まだ半分しか説明していません。

この学校で繰り返し求められているのは、決められた正解にきれいに合わせることではなく、自分で考え、その考えを言葉にし、自分が選んだことに責任を持つことです。

数学では、答えだけでなく考えた道筋を書く。国語では、自分の言葉で話す。理科では、目の前の現象から「なぜ」を考える。宗教では、人間や社会、自分自身の生き方に向き合う。中3で学ぶフランス語には、雙葉がどこから来た学校なのかという歴史も重なっています。

そして高校では、大学名から逆算して一律のコースに押し込むのではなく、それぞれが進路に応じて科目を選んでいきます。

ここまで見てくると、校訓の「徳においては純真に 義務においては堅実に」も違って見えてきます。

誰かが決めた「立派な人」の型に収まるというより、自分にとって大切なものは何か、自分が果たすべきことは何かを考え、それを行動に移す。その練習を、中学1年生から高校3年生まで続ける学校なのでしょう。

もちろん、雙葉は誰にとっても過ごしやすい学校ではありません。週6日の授業があり、学習内容は軽くありません。宗教教育や学校行事には長く受け継がれてきた型があり、広大なキャンパスを持つ学校でもありません。

それでも、その枠組みの中で自分の興味を見つけ、友人の考えに触れ、自分から先生に質問し、クラブや行事で役割を引き受けることができれば、6年間で使える場所はかなり増えていきます。

12歳の時点では、自分が文系なのか理系なのか、将来どんな仕事に就くのか、まだ決まっていなくても構いません。むしろ雙葉は、その答えを急いで与える学校ではなさそうです。

古い答えを受け継ぐのではなく、自分の答えを持てるようになるために、長い伝統を使う。

雙葉中学校という学校を最もよく表しているのは、案外そこなのかもしれません。

学校説明会では教育方針を聞き、雙葉祭では実際の生徒を見てみる。そして最後は、12歳の本人が「この先輩たちの中で6年間過ごしてみたい」と感じるかどうか。

女子御三家という名前より、その感覚の方が、学校選びではずっと大切です。

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