2024年度早稲田佐賀中学校 新思考入試・総合Ⅰは、試験時間50分・100点満点で実施されました。通常の算数入試とは異なり、計算力だけでなく、論理的思考力・情報処理力・規則性を見抜く力・資料から結論を導く力が問われる内容でした。
全体の難易度は標準〜やや難です。ただし、典型問題の解法を暗記しているだけでは対応しにくく、初めて見るルールを読み取り、その場で使いこなす力が求められます。特に、Luhnアルゴリズム、コラッツ予想、フィボナッチ数列、ピックの定理、振り子実験など、総合型・探究型のテーマが多く含まれている点が特徴です。
2024年度 早稲田佐賀中・新思考入試 総合Ⅰの総評|情報処理力と探究力を問う入試
2024年度の総合Ⅰは、これまでの新思考入試の流れを受け継ぎつつ、より情報処理型・探究型の色が濃くなった回です。算数の基本知識を使いながらも、問題文の中で与えられたルールや定理を理解し、必要な形に整理して使う力が重視されています。
- 大問1は、演算記号・Luhnアルゴリズム・コラッツ予想・カードの並べ替えを扱う論理問題
- 大問2は、フィボナッチ数列と正方形の配置、弧の長さを扱う規則性問題
- 大問3は、ピックの定理を用いて格子点上の図形の面積を考える問題
- 大問4は、振り子実験のデータを読み取り、結論を書く理科融合型問題
特徴的なのは、「知っているかどうか」よりも「読んで理解し、使えるかどうか」を見ている点です。新思考入試という名称通り、単純な計算練習だけではなく、資料を読み、条件を整理し、自分の考えを説明する力が必要です。
出題形式・試験時間・大問構成
- 試験時間:50分
- 満点:100点
- 大問数:4題
| 大問 | 主な分野 | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 論理・情報処理 | 演算記号、扇形、Luhnアルゴリズム、コラッツ予想、カードの並べ替え | 標準〜やや難 |
| 2 | 規則性・図形 | フィボナッチ数列、正方形の配置、長方形の辺、弧の長さ | 標準〜やや難 |
| 3 | 図形・資料活用 | ピックの定理、格子点、多角形の面積、点の位置決定 | やや難 |
| 4 | 理科融合・実験考察 | 振り子の周期、実験データ、比例関係、考察文の記述 | やや難 |
大問別の分析と解く順番の提案
大問1|演算・アルゴリズム・コラッツ予想を扱う情報処理型問題
大問1は、複数の小問で構成されていますが、どの問題にも共通しているのはルールを読み取り、条件に合わせて処理する力です。
演算記号の問題では、数字と「+」「×」の組み合わせを考えます。単に試すだけでなく、掛け算にすると大きくなりすぎる場合や、偶奇の性質を利用して絞り込む力が必要です。
Luhnアルゴリズムの問題では、クレジットカード番号の判定方法が説明され、そのルールに従って空欄の数字を求めます。ここでは、初めて見るアルゴリズムでも、表を読み取りながら正確に処理する力が問われています。
コラッツ予想の問題は、未解決問題を題材にしていますが、入試問題としては定義通りに操作し、場合によっては逆算して条件を満たす数を探す問題です。見慣れない題材にひるまず、ルールをそのまま使えるかがポイントでした。
大問2|フィボナッチ数列と図形配置を結びつける規則性問題
大問2は、正方形を順に描き足して長方形を作る問題です。正方形の一辺の長さが、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, …と続くフィボナッチ数列になっていることに気づけるかが第一のポイントです。
ただし、この問題は単に数列を見つけるだけでは終わりません。長方形の長い方の辺や面積、さらに正方形の一辺を半径とする四分円の弧の長さまで考えるため、規則性と図形量を結びつける力が必要になります。
特に、正方形⑦までの弧の長さを求める問題では、すべての弧が中心角90度の四分円であることを利用し、半径の合計に着目してまとめて計算すると処理しやすくなります。
大問3|ピックの定理を使う図形と資料活用の問題
大問3では、格子点上の多角形の面積を求めるピックの定理が紹介されます。受験生が事前に知っている必要はなく、問題文で与えられた定理を理解し、使いこなせるかが問われています。
ピックの定理は、面積=内部の格子点の数+辺上の格子点の数÷2−1という形で与えられます。大切なのは公式を覚えることではなく、図から内部の格子点と辺上の格子点を正確に数えられるかです。
後半では、五角形の面積が22cm2になるような点Eの位置を探します。ここでは、四角形ABCDの面積を先に求め、残りの三角形AEDの面積を考える流れになります。条件を逆算して点の位置を決める点で、思考力が問われる良問です。
大問4|振り子実験のデータを読み取り、結論を書く理科融合問題
大問4は、振り子時計を題材にした理科融合型の問題です。振り子の長さ、10往復する時間、おもりの重さ、ふれはばなどをもとに、実験結果を読み取ります。
前半では、表から平均時間を読み取り、1往復する時間を求めます。さらに、振り子の長さを2倍にすると10往復する時間が約1.4倍になることを利用して、表にない420cmのときの時間を推定します。
後半では、実験の結果をもとに、振り子が1往復する時間は、振り子の長さにのみ依存し、おもりの重さや振り子のふれはばとは関係しないという結論を記述します。最後の針を打った振り子の問題では、左右で振り子の長さが変わることを見抜く必要があり、かなり思考力が問われます。
おすすめの解く順番
この入試では、次の順番で進めると比較的安定します。
- 大問1の中で短時間で解ける小問を先に処理する
- 大問2で規則性を見つけ、得点を固める
- 大問3のピックの定理は、公式を読み取って丁寧に処理する
- 大問4は最後にまとまった時間を確保して取り組む
おすすめは、1 → 2 → 3 → 4です。ただし、大問1のコラッツ予想やカードの並べ替えで時間を使いすぎると後半に響くため、詰まった問題は一度飛ばす判断も必要です。
時間配分の目安
標準層の受験生
- 大問1:15分前後
- 大問2:10〜12分
- 大問3:10〜12分
- 大問4:残り時間で取れる設問を狙う
標準層では、大問1の取れる小問と大問2を確実に得点することが大切です。大問3・4は完答を狙うより、問題文の誘導に乗って取れる部分を拾う意識が現実的です。
上位層の受験生
- 大問1:12分前後
- 大問2:10分前後
- 大問3:12分前後
- 大問4:15分以上確保
上位層は、大問3の点Eの位置決定や大問4の針を打った振り子の問題で差をつけたいところです。前半を速く正確に処理し、後半に考える時間を残しましょう。
受験生の出来を分けたポイント問題
Luhnアルゴリズムの読み取り
初見のアルゴリズムを読み、操作①〜④に従って処理する問題です。表を丁寧に読み、どの桁を2倍するのかを間違えないことが重要でした。
コラッツ予想の逆算
「7回の操作で1になる整数」を求める問題では、順に試すだけではなく、1から逆向きにたどる発想が必要でした。ここは思考力の差が出やすい設問です。
ピックの定理の活用
公式が問題文中に与えられていても、格子点の数え間違いがあると得点できません。特に後半では、面積から点の位置を逆算する力が問われました。
振り子の実験考察
単に数値を計算するだけでなく、実験結果から何が言えるのかを文章でまとめる必要があります。理科的な考察文を書く力も重要でした。
2024年度 早稲田佐賀中・新思考入試 総合Ⅰのおすすめ対策
1. 初見ルールを読み取る練習をする
Luhnアルゴリズムやコラッツ予想のように、問題文中で新しいルールが与えられる問題に慣れておくことが重要です。例を見てルールを理解し、同じ手順で処理する練習を積みましょう。
2. 規則性と図形を結びつける力を鍛える
フィボナッチ数列の問題のように、数列と図形が組み合わさることがあります。単に数を並べるだけでなく、図形の辺・面積・弧の長さにどう関係するかまで考える練習が必要です。
3. 公式を「その場で使う」練習をする
ピックの定理のように、知らない公式が問題文中で与えられる場合があります。大切なのは暗記ではなく、与えられた公式を正しく読み取り、条件に合わせて使う力です。
4. 理科の実験データを読む力をつける
振り子実験の問題では、表から数値を読み取り、倍率を考え、最後に結論を文章で書く必要があります。理科の実験・観察問題や資料読解問題にも日頃から取り組んでおくと効果的です。
この入試に向いている受験生のタイプ
- 初めて見るルールにも落ち着いて対応できる子
- 表や図を見ながら条件を整理できる子
- 規則性を見つけるのが得意な子
- 算数だけでなく、理科の実験考察にも抵抗がない子
- 答えだけでなく、考え方を文章で説明できる子
逆に、長い問題文を読み飛ばしてしまうタイプや、見慣れない題材に苦手意識を持つタイプは苦戦しやすい入試です。情報を読み取り、整理して使う力を日頃から鍛えておきたいところです。
まとめ|2024年度 早稲田佐賀中学校 新思考入試・総合Ⅰで得点するために
2024年度の早稲田佐賀中学校 新思考入試・総合Ⅰは、論理・情報処理・規則性・図形・理科実験をバランスよく問う総合型の入試でした。
- 大問1では、演算記号・アルゴリズム・コラッツ予想への対応力
- 大問2では、フィボナッチ数列と図形量の関係を見抜く力
- 大問3では、ピックの定理を読み取り、図形に活用する力
- 大問4では、振り子実験のデータを読み取り、考察する力
が問われています。早稲田佐賀の新思考入試を受験する場合は、通常の算数演習に加えて、初見ルールの処理・資料読解・規則性・理科融合問題・記述説明を意識した対策を進めるとよいでしょう。

