早稲田佐賀中学校【総合Ⅰ】入試問題に挑戦!〜2023年度新思考入試〜[大問4-燃焼とエネルギー]

問題

ものが燃焼している側にいると, 体に熱が伝わり熱いと感じる. これは, 燃焼による熱が発生しているからである. ものが燃焼するときに発生する熱について考えてみよう. ものは, 原子と呼ばれるこれ以上分解できない小さな粒からできており, 原子は多くの種類があることが知られている. 複数の原子どうしが互いに引き合って結合すること(共有結合)により, 分子が作られる. 例えば, Xという原子が2個結合してできた分子は, 図1のように表すことができる. また, 分子と分子の間には, 互いに引き合う力(分子間力)が働いて繋がることにより, 固体や液体が作られる.

燃焼などにより原子の結合の組合せが変わることを化学反応という. 図1で示した分子と別のZという原子が2個結合してできた分子が化学反応し, X原子とZ原子が結合した2個の分子ができる流れを図2に示す. 図2のように, 化学反応が起こるとき, 分子中の結合は切られたり作られたりしている. 結合を切るためにはエネルギーが必要で, 新しく結合が作られるときにはエネルギーが放出される. このエネルギーを結合エネルギーといい, 単位にはジュール(記号J)が用いられる. 同じ組合せの原子の結合エネルギーは常に等しいが, 原子の種類や組合せが変わると, 結合エネルギーは異なる. 従って, 結合の組合せが変わると, エネルギーが熱として吸収されたり, 放出されたりする. この熱を反応熱といい, 式1から求めることができる.

(結合を作るエネルギー)-(結合を切るエネルギー)=(反応熱)\quad ……式1

よって, 図2の場合の反応熱は, $(\mathrm{Q}_3 + \mathrm{Q}_3) – (\mathrm{Q}_1 + \mathrm{Q}_2) \ [\mathrm{J}]$
と求めることができる.

水素の燃焼について考える. 図3は, 1個の酸素原子(以下O原子とする)と2個の水素原子(以下H原子とする)が結合した水分子を模式的に表したものである. 図4のように, H原子が2個結合した水素分子と, O原子が2個結合した酸素分子が反応して水分子を生成する. そのときの反応熱は図5から考えることができる.

解説

(1) O原子とH原子の間の結合を1つ切るために必要なエネルギーは何kJか求めよ.

図5より, 2箇所で926kJのエネルギーが必要なので, 1箇所あたりは463kJとわかります.

(2) 図4における反応熱は何kJか求めよ. 尚, この問題は, 解答までの考え方を示す式や文章などを書きなさい.

図4を見ると, 水分子2個を作るエネルギーが$926\times2=1852$kJ, 水素分子2個を切るエネルギーが$436\times2=872$kJ, 酸素分子1個を切るエネルギーが498kJなので, 反応熱は$1852-(872+498)=$$482\mathrm{kJ}$となります.

次に, メタンが燃焼するときについて考える. 図6は, 1個の炭素原子(以下C原子とする)と2個のO原子が結合した二酸化炭素分子を, 図7は1個のC原子と4個のH原子が結合したメタン分子をそれぞれ模式的に表したものである. メタン分子が酸素分子と反応するときの反応熱は, 図8~図10より求めることができる.

(3) 図9における反応熱が792kJであるとき, C原子とH原子の間の結合を1つ切るために必要なエネルギーは何kJか, 図5の値を用いて求めよ.

図9を見ると, 水素分子2個を切るエネルギーが872kJ, CH結合を作るエネルギーを$\square$kJとすると4個分は$4\times\square$kJ, 反応熱が792kJなので, $4\times\square-872=792$より$\square=(792+872)\div4=$$416\mathrm{kJ}$となります.

(4) 図10における反応熱は何kJか, 図5および図8の値を用いて求めよ.

図10を見ると, 二酸化炭素分子1個を作るエネルギーが1608kJ, 水分子2個を作るエネルギーが1852kJ, メタン分子1個を切るエネルギーが1664kJ, 酸素分子2個を切るエネルギーが996kJなので, 反応熱は$(1608+1852)-(1664+996)=$$800\mathrm{kJ}$となります.

メタンを燃焼させると多くの熱が放出されることから, 家庭用コンロの燃料などに用いられる. 家庭用コンロを使って水を温めた. 図11は0度の氷5kgの温度変化と, 与えた熱の合計との関係を示したものである.

(5) 下線部をもとに, 図11中の区間AーBでの温度が変わらない理由を簡単に説明せよ.

区間AーBで発生した熱は, 水を液体から気体にする際に, 分子間力を弱めるために使われたから.

(6) 図11より, 水1kgの温度を1度上げるために必要な熱は何kJか, 小数第2位を四捨五入して小数第1位で求めよ. 但し, 水が氷になるときに必要な熱は水1kgあたり334kJであるものとする.

図11を見ると, 0度の氷5kgを39.5度の水5kgにするのに2500kJの熱を与えていることがわかります.

ここで, 0度の氷5kgを0度の水5kgにするのに必要な熱量が$334\times5=1670$kJなので, 0度の水5kgを39.5度の水5kgにするためには$2500-1670=830$kJの熱が必要とわかります.

以上より, 水1kgの温度を1度上げるためには, $830\div5\div39.5=4.202\cdots\approx$$4.2\mathrm{kJ}$の熱が必要になります.

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