【2026年版】吉祥寺湧水中学校(旧・藤村女子)の評判は?2027年共学化と「湧水メソッド」で生まれ変わる注目校を徹底解説!

中学受験
  1. 学校の概要|2027年に共学化、「藤村女子」から生まれ変わる吉祥寺湧水中学校
    1. 2027年度から男子も入学できる共学校へ
    2. 1932年創立、藤村女子として90年以上続いてきた学校
    3. 校是は「己を識り、世に応う」
    4. 「隣の子と同じ」より、自分の違和感を大切にする
    5. 「私に会いにいく6年間」が学校全体のコンセプト
    6. 英語・デジタル・アートだけではない「湧水メソッド」
    7. 学校長は東京藝術大学出身の菊池健太郎氏
    8. 2027年度入学生は「吉祥寺湧水」の第一期生
    9. 「湧水」という校名に込められた意味
    10. 藤村女子の伝統を残しながら、多様性を加える
    11. 新設校に近い「学校改革型」の中高一貫校
  2. アクセスと立地環境|吉祥寺駅徒歩圏、街全体を学びのフィールドにできる好立地
    1. 現在の公式案内では「吉祥寺駅から徒歩約7分」
    2. JRと京王井の頭線を使える吉祥寺駅
    3. 「吉祥寺」という街そのものを教育環境として捉える
    4. 「街が、学びになる」がアート教育の柱
    5. 都会の便利さと落ち着いた環境を両立
    6. アートやデジタル教育と吉祥寺の街との相性がよい
    7. 2027年度の中学生は吉祥寺校舎からスタート予定
    8. 新校舎は段階的に整備、2029年に本館完成予定
    9. 三鷹の「FINDER BASE」も新しい学びの拠点
    10. 新校舎完成前だからこそ、説明会で最新状況を確認したい
    11. 「駅から近い」以上の価値がある立地
  3. 教育方針とカリキュラム|アート・デジタル・英語を融合する「湧水メソッド」
    1. 湧水メソッドは学校生活全体をつなぐ教育システム
    2. 全員が6年間取り組む「ふじらぼテックスクール」
    3. 中1ではAI・プログラミング・3D制作を広く体験
    4. 中2から「AIエンジニア」「AIデザイナー」など自分の方向を選ぶ
    5. 中3では作った作品を文化祭などで実際に「届ける」
    6. デジタル教育は高校卒業まで続く
    7. もっと深めたい生徒には「ふじらぼテックスクール+」
    8. スマホ・SNS・生成AIを「禁止するだけ」にしない
    9. アートを美術の時間だけに閉じ込めない「StArt」
    10. 月1回の「アートDay」でプロの表現に触れる
    11. 作品を実際に販売する「リフレクトアート」
    12. 舞台や作品を「見る側」から「つくる側」へ進むArt Alive
    13. アート初心者から東京藝大・美大志望まで対応
    14. 中1・中2の「Bilingualism Class」はオールイングリッシュ
    15. 毎回1分間、教員との1対1英会話
    16. 年間7つのプロジェクトを英語で進める
    17. 6年間をCan-Doリストで設計
    18. 高校卒業時の目標はCEFR B2相当
    19. 学校が費用を負担する「校費留学」も
    20. 英語・デジタル・アートは別々の教育ではない
    21. 基礎学力は「ふじらぼ学内予備校」で補強
    22. 「好きなこと」と「学力」の両方を伸ばす設計
    23. 2027年度第一期生は、新カリキュラムを最初から経験する世代
    24. 「正解を覚える」だけではない6年間
  4. 学習環境と施設設備|ICT環境と多様な居場所が支える新しい学校生活
    1. 2027年から新しい吉祥寺校舎で中学校生活をスタート
    2. 新校舎のコンセプトは「FINDER BASE」
    3. 三鷹のFINDER BASEはすでに2026年に完成
    4. 最大60人が集まれる「FINDER STADIUM」
    5. 大型LEDビジョンを備える「FINDER STUDIO」
    6. 教室の形を固定しない「FINDER PARK」
    7. 3DプリンタやMacを備える「FINDER ATELIER」
    8. 廊下も「移動するだけの場所」にしない
    9. 「脱教室」を掲げる新しい学習空間
    10. 心身の状態に合わせて使える「みなもルーム」
    11. 教室とみなもルームを行き来することもできる
    12. 自宅からでもつながれる「デジタル保健室」
    13. 毎日の小さな変化を記録する「MyMe」
    14. 担任だけに任せない4つのサポートライン
    15. 藤村女子時代には温水プールや複数の体育館も
    16. 自習環境も「一つの自習室」だけではない
    17. 施設が「教育方針の見た目」になっている学校
  5. 学校生活と行事|ハウスTIMEから海外研修まで、自分らしさを育てる6年間
    1. 2027年度から始まる、新しい学校文化
    2. 学年を越えてつながる「ハウスTIME」
    3. 先輩から学び、後輩を支える経験
    4. 忘れ物や先延ばしを「性格」で片づけないセルフ・ナビ
    5. 「自分の取扱説明書」をつくるCOCOROラボ
    6. 毎日5秒の「MyMe」で心と体を記録
    7. 教室にいられない日にも「学校にいる方法」がある
    8. 文化祭は「誰かの心や行動を動かせたか」を考える場
    9. 文化祭には一人ひとりの「好き」を持ち込める
    10. 藤村女子時代から、生徒がつくる文化祭を重視
    11. 体育祭は「勝敗と向き合う」経験
    12. 修学旅行では「社会課題」と向き合う
    13. 旧・藤村女子では中3全員がロサンゼルスへ
    14. 留学では「異文化の中で自分を知る」
    15. 学校行事を「観客」として過ごさない
    16. 中3では3年間を「学び方宣言」にまとめる
    17. 高3では「未来の生き方宣言」へ
    18. 担任だけに頼らない学校生活
    19. 保護者からの相談にも48時間以内に初期連絡
    20. 「全員同じ」であることをゴールにしない学校生活
    21. 第一期生だからこそ、行事も自分たちでつくっていく
  6. クラブ活動|「選べる放課後」でスポーツ・アート・デジタルを自由に深める
    1. 吉祥寺湧水の放課後は4つの軸で考える
    2. まずはいろいろ試せる「湧水放課後 Pass」
    3. 「好き」を途中で変えてもよい
    4. 本気で続ける「湧水アカデミー Pass」
    5. 外部の専門家から学べることも特徴
    6. 学校にないなら「部活創設支援制度」でつくる
    7. 「部活動をつくった経験」も将来の強みになる
    8. 藤村女子から受け継ぐスポーツの伝統
    9. ただし、新体操・器械体操が2027年度にどう継承されるかは要確認
    10. 吹奏楽は吉祥寺の街ともつながってきた
    11. ダンスは教育・入試・放課後がつながる分野
    12. ミュージカルという選択肢も
    13. デジタル・アートも放課後にさらに深められる
    14. 月額9,800円で活動と学内予備校を組み合わせる
    15. 「部活か塾か」という二択をなくす
    16. 移動時間を減らせることも大きなメリット
    17. 勝敗だけでも、楽しさだけでも終わらせない
    18. 「部活動」というより、6年間の放課後そのものをデザインする学校
  7. 進学実績と卒業後の進路|藤村女子の実績を受け継ぎ、新しい進路教育へ
    1. 直近で確認できる2025年度は卒業生91名
    2. 旧・藤村女子は「難関大一辺倒」ではない進路構成
    3. 2025年度実績は「吉祥寺湧水の完成形」ではない
    4. 中1から「ふじらぼ学内予備校」で大学受験の土台を作る
    5. 「塾へ通うこと」を前提にしない進学支援
    6. 進路は「行ける大学」ではなく「行く理由」で選ぶ
    7. 中1から始まる6年間のキャリア教育
    8. 中3では「学び方宣言」
    9. 高3では「未来の生き方宣言」
    10. アート・デジタルの活動は総合型選抜とも相性がよい
    11. 作品を6年間のポートフォリオとして残す
    12. 美大・藝大志望には「ふじらぼART予備校」
    13. 指定校推薦という選択肢もある
    14. 順天堂大学とは高大連携協定も
    15. 東京女子体育大学・短期大学とは現在も姉妹校
    16. 大学進学だけを唯一の出口にはしない
    17. 今後の大学実績は大きく変わる可能性がある
    18. 吉祥寺湧水の進路教育は「これから実績を作る段階」
  8. 学費や諸経費について|初年度約140万円、放課後支援まで含めて考える
    1. 2027年度の初年度納入金は124万円
    2. 授業料は年間60万円
    3. 教材・日常の学校活動は年間6万円
    4. 課外研修積立金は年間9万5,000円
    5. 授業料などは年4回、1回26万3,750円
    6. 中1で実際に学校へ支払う費用は約140万2,000円
    7. MacBookは「BYOD」ではなく学校指定プログラム
    8. 指定制服がないため、制服代は0円
    9. 月額9,800円で「活動+学内予備校」
    10. 1年間なら約11万7,600円
    11. ふじらぼART予備校も月額9,800円に含まれる
    12. ただし「月9,800円ですべて無料」と考えない
    13. 希望制の海外留学は別途確認が必要
    14. 中学校3年間の基本負担は約351万円
    15. 放課後システムを3年間利用すると約35万3,000円
    16. 特待生なら初年度124万円が全額免除
    17. 特待制度は中3まで継続の可能性
    18. 入学金は延納でき、期限内辞退なら返還も
    19. 高校3年間を含む6年間の総額はまだ確定できない
    20. 学費だけでなく「学外教育費」まで含めて比較したい
    21. 2027年度は「124万円+MacBook+研修費」が基本
  9. 入試情報と合格の目安|2027年度から男女募集、表現創造入試にも注目
    1. 2027年度は男女130名を募集
    2. 2027年度入試の日程一覧
    3. 4科入試は国算各100点、理社も各100点
    4. 2科入試は2月2日午前の1回だけ
    5. 最大の特徴は「表現創造入試」
    6. 表現創造入試は「作品・実演+対話」
    7. アート入試は「絵が上手な子だけ」の入試ではない
    8. エッセイは「自分の言葉」で考える子に向く
    9. プログラミングや制作が好きなら「デジタル」
    10. ダンスも正式な入試科目に
    11. 第1回と第2回で違う表現分野を選ぶこともできる
    12. 「制作日記」も重要になりそう
    13. 帰国生入試は2026年12月頃を予定
    14. 出願は1月10日からWEBで受付
    15. 受験料は初回2万5,000円、2回目以降5,000円
    16. すべての入試方式で特待生を選抜
    17. 特待は中3まで継続可能
    18. 入学金を2月10日まで延納できる
    19. 2027年度は試験会場にも注意
    20. 偏差値は「40前後」が現在の一つの目安
    21. 男子は特に過去データが存在しない
    22. 「偏差値40だから簡単」とは考えない方がよい
    23. 4科・2科はまず基礎問題を落とさない力を
    24. 表現創造入試は偏差値だけでは判定できない
    25. 表現創造入試志望者は9月の課題公開が重要
    26. 第一志望なら複数方式を組み合わせる方法も
    27. 2027年度入試で最も重要なのは「第一期生であること」
  10. 併願校パターン|共学化後の難易度と入試日程から考える受験プラン
    1. 吉祥寺湧水を基準にした主な併願候補
    2. チャレンジ校①|文化学園大学杉並中学校
    3. チャレンジ校②|明星Institution中等教育部
    4. チャレンジ〜標準候補|聖徳学園中学校
    5. 標準候補|明星学園中学校
    6. 安全校候補|東京立正中学校
    7. 女子なら佼成学園女子も候補
    8. パターン1|吉祥寺湧水を第一志望にする
    9. ただし、午前・午後連続受験は負担も大きい
    10. パターン2|上位校に挑戦し、吉祥寺湧水を併願する
    11. パターン3|吉祥寺湧水がチャレンジ圏の場合
    12. 表現創造入試なら「学校の教育内容」で併願校を選ぶ
    13. 女子美術大学付属は女子のアート志向なら別枠で注目
    14. 中央線沿線は併願校を作りやすい
    15. 午後受験では移動時間を必ず実際に確認する
    16. 共学化初年度は「安全校」の判定を慎重に
    17. 吉祥寺湧水第一志望なら「学力+表現」の2本立てが強い
  11. 在校生・保護者の声|少人数の安心感と新しい学校への期待
    1. 旧・藤村女子では「先生との距離が近い」という声
    2. 少人数だからこその「仲間意識」を評価する声
    3. 保護者からも「生徒が明るく挨拶する」という評価
    4. 「イベントを楽しむ学校」という保護者の声も
    5. 部活動を目的に入学した家庭も多かった
    6. 学習面では「サポートはあるが、本人次第」という声
    7. 吉祥寺駅に近い立地は保護者からも高評価
    8. 一方で、過去には学習環境や進学実績への厳しい評価も
    9. 校舎の古さは2027年から大きく変わる
    10. 校則についても旧校の口コミは参考程度に
    11. 口コミサイトの総合評価は高めだが、件数は少ない
    12. 吉祥寺湧水では「相談先を複数持てる」仕組みへ
    13. 保護者からの相談には48時間以内に初期連絡
    14. 学校側も「大人も一緒に学ぶ」姿勢を強く打ち出す
    15. 新しい学校への期待が大きい一方、「完成された学校ではない」
    16. 旧校の良さをどこまで残せるかにも注目
    17. 口コミを見るより、2026年は実際に学校へ行くことが重要
    18. 現時点の評判は「旧校の安心感」と「新校への期待」の二つ
  12. この学校に向いている子の特徴|「好き」と違和感を自分の学びに変えたい子におすすめ
    1. 1.好きなことに夢中になるタイプの子
    2. 2.アートやデジタルに興味がある子
    3. 3.「正解は一つ」と言われることに窮屈さを感じる子
    4. 4.自分を表現することが好きな子
    5. 5.英語を「受験科目」ではなく使える言葉にしたい子
    6. 6.いろいろ試してから「自分の好き」を見つけたい子
    7. 7.少人数の人間関係に安心感を感じる子
    8. 8.自分のペースを知りながら成長したい子
    9. 9.一つのクラスだけに居場所を限定したくない子
    10. 10.学校行事を自分たちでつくりたい子
    11. 11.完成された学校より「これからつくる学校」に魅力を感じる子
    12. 12.大学進学だけでなく「その先」を考えたい子
    13. 13.塾・部活・学校をできるだけ一か所にまとめたい家庭
    14. 反対に、吉祥寺湧水が合わない可能性がある子
    15. 「自由な学校」だから楽というわけではない
    16. アートやデジタルが得意でなくても入学できる
    17. 学校説明会では「子どもの表情」を見たい
    18. 向いているのは「すでに完成した子」ではなく、これから自分を見つけたい子
  13. まとめ|吉祥寺から始まる、アート・デジタル・英語を軸にした新しい共学校
    1. 最大の特徴は「湧水メソッド」
    2. 「好き」を学校の外まで届ける
    3. 吉祥寺という立地も大きな魅力
    4. 校舎も教育に合わせて全面刷新
    5. 学力面も「好きなことだけ」にはしない
    6. 放課後も「一つの部活」に縛られない
    7. 多様な「居場所」を用意する学校
    8. 2027年度入試も学校らしさが表れている
    9. 学費は初年度約140万円が目安
    10. 進学実績は「これから」の学校
    11. 特に向いているのはこんな子
    12. 最大の魅力であり、最大の注意点でもある「第一期生」
    13. 受験前に必ず確認したい3つのポイント
    14. 吉祥寺湧水は「学校を選ぶ」というより「教育観を選ぶ」学校
    15. 2027年、中学受験の新しい選択肢として注目したい学校

学校の概要|2027年に共学化、「藤村女子」から生まれ変わる吉祥寺湧水中学校

吉祥寺湧水中学校・高等学校は、東京都武蔵野市吉祥寺本町にある私立の中高一貫校です。現在の藤村女子中学校・高等学校が、2027年4月に校名を変更するとともに共学化し、新たな学校としてスタートする予定です。

単なる「校名変更」や「女子校から共学校への移行」にとどまらず、教育内容、学校生活、放課後活動、校舎、入試制度まで大きく再設計していることが最大の特徴です。

新しい学校が掲げるコンセプトは、「who I am|私に会いにいく6年間」。知識を覚え、用意された正解を素早く出すことだけではなく、

  • 自分は何に心が動くのか
  • 何に「少し違う」と感じるのか
  • 自分は何を大切にしたいのか
  • どのような人生を自分で選びたいのか

といった問いに6年間かけて向き合い、「自分の人生を自分の言葉で選ぶ力」を育てる学校へと生まれ変わろうとしています。

2027年度から男子も入学できる共学校へ

藤村女子は長く女子教育を行ってきた学校ですが、2027年度入学生から男子の募集を開始します。

2027年度中学入試では、第1学年の募集人数を男女130名とし、4科入試、2科入試に加えて、アート・エッセイ・デジタル・ダンスから選択する「表現創造入試」も実施する予定です。

項目内容
学校名吉祥寺湧水中学校・高等学校
現校名藤村女子中学校・高等学校
校名変更・共学化2027年4月予定
所在地東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目16番3号
設置者学校法人井之頭学園
区分私立・共学・中高一貫校(2027年度入学生より共学化)
創立1932年
2027年度中学募集男女130名
学校長菊池健太郎
校是「己を識り、世に応う」
教育の中心「who I am」=自分の考えの軸を知る

1932年創立、藤村女子として90年以上続いてきた学校

吉祥寺湧水の前身である藤村女子は、1932年に藤村トヨによって創立されました。2022年には創立90周年を迎えており、吉祥寺の地で長年にわたり女子教育を続けてきた歴史があります。

創立者が残した教育についての考え方は、知識を一方的に注入するのではなく、一人ひとりが持つ個性を伸ばすことを重視するものでした。

一見すると、アートやAI、デジタル教育を前面に出す吉祥寺湧水は、従来の藤村女子から大きく方向転換するようにも見えます。しかし学校側は、新しい教育を創立者の思想を現代の社会に合わせて再構築したものと位置づけています。

100年近い学校の歴史を一度リセットするのではなく、藤村女子が大切にしてきた「一人ひとりを見る教育」を受け継ぎながら、共学化とともに新しい学校文化を作ろうとしている学校です。

校是は「己を識り、世に応う」

吉祥寺湧水が掲げる校是は、

「己を識り、世に応う(おのれをしり、よにこたう)」

です。

まず自分自身が何を感じ、何を大切にし、何に興味を持っているのかを知る。そのうえで、自分だけの世界に閉じるのではなく、他者や社会と関わりながら行動していくという考え方です。

学校の教育理念も、

「一人ひとりの内にある水脈を信じ、自ら問い、学び、選び、他者とともによりよい世界をつくる人を育む」

という考えを軸にしています。

ここでいう「水脈」は、一人ひとりの内側にある興味、違和感、才能、価値観などを表しています。

「隣の子と同じ」より、自分の違和感を大切にする

吉祥寺湧水の教育を理解するうえで重要なのが、学校が「違和感」を大切にしていることです。

例えば授業で周囲の生徒が同じ意見を出しているときにも、

「自分は少し違うと思う」

と立ち止まることを肯定します。

ただし、単に周囲と違うことを評価するわけではありません。「なぜ自分はそう感じるのか」「自分は何を大切にしているのか」を言葉にし、他者と対話しながら考え続けることで、少しずつ自分自身の判断基準=自分のモノサシを形成していきます。

学校では、この自分自身について理解していくプロセスを「who I am」と呼んでいます。

「私に会いにいく6年間」が学校全体のコンセプト

吉祥寺湧水が掲げる象徴的な言葉が、「私に会いにいく6年間」です。

進学先や就職先だけから人生を考えるのではなく、中高6年間でさまざまな経験をしながら、

  • 自分が夢中になれるものを見つける
  • 自分の得意・不得意を理解する
  • 異なる価値観を持つ人と対話する
  • 失敗しながら新しいことへ挑戦する
  • 自分なりの考えを言葉や作品で表現する

ことを積み重ねていきます。

最終的な目標は、誰かから「この進路がいい」と与えられた道を選ぶのではなく、自分がなぜその道を選ぶのかを自分自身の言葉で説明できるようになることです。

英語・デジタル・アートだけではない「湧水メソッド」

この教育理念を実際の学校生活へ落とし込んだものが、吉祥寺湧水独自の「湧水メソッド」です。

学校公式では、主に次の領域を組み合わせて6年間の教育を構成しています。

  • Global:英語を「習う」だけでなく実際に使う英語教育
  • Digital:AI・プログラミング・3D制作などのデジタル教育
  • Art:全教科と表現活動をつなげるアート教育
  • DE&I:違いを前提として、ともに学べる環境づくり
  • Career:好きなことや没頭を将来につなげるキャリア教育
  • Experience:校外活動や海外研修などの体験学習
  • Sports:従来型の部活動に限定しない新しい放課後活動
  • ふじらぼ学内予備校:学校内で学力を伸ばす学習支援

アートやデジタルを得意な一部の生徒だけが選択するのではなく、全員がさまざまな分野に触れ、その中から自分の「好き」や得意分野を探すことを基本としています。

学校長は東京藝術大学出身の菊池健太郎氏

吉祥寺湧水の学校長を務めるのは、菊池健太郎氏です。

東京藝術大学美術学部を卒業後、学校法人へ入職し、その後29歳で教育系スタートアップを創業。事業売却も経験するなど、一般的な学校教員とは少し異なるキャリアを歩んできました。

学校長メッセージでは、子どもが感じる小さな違和感を「自分のモノサシへの発火点」と捉え、偏差値だけでは測れない一人ひとりの可能性を見つける学校づくりを打ち出しています。

アート、教育、ビジネスという異なる領域を経験してきた学校長の経歴は、既存の学校教育の枠にとらわれず教育を再設計しようとする吉祥寺湧水の方向性にも表れています。

2027年度入学生は「吉祥寺湧水」の第一期生

2027年度に入学する中学1年生は、男子・女子ともに吉祥寺湧水中学校としての第一期生となります。

すでに完成された学校文化へ入っていくというよりも、学校側も2027年度入学生について、仲間や大人たちとともに新しい学校文化を形づくっていく最初のメンバーと位置づけています。

これは、新設・共学化直後の学校ならではの魅力である一方、学校行事や生徒文化、男女比、進学実績など、吉祥寺湧水としてはまだ実績が存在しない部分があることも理解しておく必要があります。

特に大学進学実績については、現時点で確認できる数字は基本的に旧・藤村女子としての実績です。今後、教育改革や男女共学化によって入学者層が変化すれば、進路実績も大きく変わっていく可能性があります。

「湧水」という校名に込められた意味

新校名の「湧水(ゆうすい)」には、学校独自の意味が込められています。

吉祥寺に隣接する井の頭には、江戸の生活を支えた神田川の水源である井の頭池があります。「井之頭」という学園名も、水源となる清らかな水が湧く場所に由来しています。

さらに、「アイデアが湧く」「勇気が湧く」というように、「湧く」という言葉には、人の内側から自然に想いや力が生まれるという意味があります。

学校では、一人ひとりの内側にある興味や問い、勇気、才能が、湧水のように自然に表へ出てくる学校にしたいという願いを新校名に込めています。

藤村女子の伝統を残しながら、多様性を加える

共学化によって藤村女子の歴史を完全に切り離すわけではありません。

新しいスクールブランドでは、藤村女子を象徴してきた「紫」を「継承」の色、新しい吉祥寺湧水を表す「水色」を「多様性」の色として位置づけています。

その二つを融合した「YUSUIロイヤルブルー」が、新しい学校を象徴するブランドカラーです。

長年の女子教育で培った「一人ひとりを見る」という姿勢を残しながら、男女共学化によってさらに異なる価値観が交わる学校へ進化しようとしていることが分かります。

新設校に近い「学校改革型」の中高一貫校

吉祥寺湧水は1932年創立の長い歴史を持つ一方、2027年度以降の学校だけを見ると、新設校に近い規模の改革が行われます。

共学化、新校名、新しい入試、新校舎、AI・デジタル教育、アート教育、DE&I、放課後システムなど、多くの仕組みが同時に変わるからです。

伝統校として完成された教育システムを求める家庭とは好みが分かれる可能性がありますが、

  • 新しい教育に興味がある
  • 偏差値だけではない学校選びをしたい
  • アートやデジタルを含めて幅広く経験してほしい
  • 子どもの「好き」や個性を伸ばしたい
  • 新しい学校文化を自分たちで作る経験をしてほしい

という家庭にとっては、2027年の首都圏中学入試で非常に注目度の高い学校の一つとなりそうです。

90年以上続いた藤村女子の少人数教育を土台にしながら、共学化を機に学校教育そのものを大胆に再設計する。それが、吉祥寺湧水中学校を理解するうえで最も重要なポイントといえるでしょう。

アクセスと立地環境|吉祥寺駅徒歩圏、街全体を学びのフィールドにできる好立地

吉祥寺湧水中学校の大きな魅力の一つが、JR中央線・総武線、京王井の頭線「吉祥寺駅」から徒歩約7分という立地です。

現在の藤村女子中学校・高等学校も長年吉祥寺で教育を行ってきましたが、2027年の共学化・校名変更後もこの場所が吉祥寺湧水中学校の中心的なキャンパスとなります。

新宿方面からはJR中央線、渋谷方面からは京王井の頭線を利用できるため、東京都区部だけでなく、多摩地域や神奈川県方面からも通学ルートを組みやすいことが特徴です。

所在地東京都武蔵野市吉祥寺本町2丁目16番3号
最寄り駅JR中央線・総武線、京王井の頭線「吉祥寺駅」
駅からの距離徒歩約7分
主なアクセス方面新宿・中野・三鷹・国分寺方面、渋谷・明大前方面など
2027年度中学生新しい吉祥寺校舎で学校生活をスタート予定

現在の公式案内では「吉祥寺駅から徒歩約7分」

旧・藤村女子時代の学校案内には「吉祥寺駅から徒歩5分」と記載されているものもありますが、吉祥寺湧水の現在の公式サイトでは徒歩約7分と案内されています。

学校を調べていると「徒歩5分」「徒歩7分」という二つの情報が出てくることがありますが、2027年度以降の受験を考える場合は、新しい吉祥寺湧水の公式案内である徒歩約7分を目安にするとよいでしょう。

それでも中高6年間の通学を考えれば、駅から徒歩10分以内という立地は大きなメリットです。雨の日や暑い時期でも駅から長時間歩く必要がなく、部活動や放課後学習で帰宅時間が遅くなった場合にも負担を抑えやすくなります。

JRと京王井の頭線を使える吉祥寺駅

吉祥寺駅では、主に次の3路線を利用できます。

  • JR中央線
  • JR総武線
  • 京王井の頭線

中央線を利用すれば新宿・中野方面と三鷹・国分寺・立川方面を結び、井の頭線を利用すれば渋谷・明大前方面からアクセスできます。

そのため、吉祥寺湧水は武蔵野市や三鷹市だけを対象とする学校ではありません。杉並区、中野区、練馬区、世田谷区など東京都区部からも通いやすく、中央線沿線の西東京エリアからも通学しやすい立地です。

中高一貫校では6年間ほぼ毎日通学するため、「学校そのものが気に入っているか」と同じくらい「無理なく通い続けられるか」も重要です。その点で複数路線が利用できる吉祥寺駅は大きな強みになります。

「吉祥寺」という街そのものを教育環境として捉える

吉祥寺湧水の特徴は、単に「駅から近い学校」というだけではありません。

学校自身が、吉祥寺という街そのものを学びのフィールドとして位置づけています。

吉祥寺には、大型商業施設だけでなく、個人経営の店舗、書店、ギャラリー、ライブハウス、飲食店などが集まり、漫画・アニメ・音楽・デザインなどさまざまな文化が身近にあります。

学校公式サイトでも、吉祥寺について、

  • 文化
  • 音楽
  • 漫画・アニメ
  • デザイン
  • ギャラリー
  • 書店
  • 個性的な店舗
  • 多国籍な食文化

などに日常的に触れられる街として紹介しています。

これは、アートや探究、実社会との接点を重視する吉祥寺湧水の教育方針ともよく合っています。

「街が、学びになる」がアート教育の柱

吉祥寺湧水のアート教育では、3つの柱の一つとして「街が、学びになる」を掲げています。

美術室の中だけで作品を作るのではなく、吉祥寺の街を歩き、そこで目にする広告、建築、商品、音楽、店舗、人物などから刺激を受け、自分自身の感性を磨いていくという考え方です。

さらに学校では、生徒が制作した作品を作品として完成させるだけでなく、商品として磨き、価格や伝え方を考え、実際に社会へ届ける「リフレクトアート」なども構想しています。

こうした教育を考えると、吉祥寺という街は単なる「学校の所在地」ではなく、校舎の外まで広がる実践的な教材として位置づけられていることが分かります。

都会の便利さと落ち着いた環境を両立

吉祥寺駅周辺には商業施設や飲食店が多く、人通りもあります。そのため、放課後に必要な文房具や書籍などを購入しやすく、保護者が学校行事や面談のために訪れる際にも便利です。

一方、学校は駅前の繁華街の中心そのものにあるわけではなく、吉祥寺本町の街区へ入った場所にあります。

駅の利便性を享受しながら、学校生活そのものは落ち着いた環境で過ごせるという、「便利な街中の学校」と「中高生が学ぶ環境」のバランスが取れた立地といえるでしょう。

アートやデジタル教育と吉祥寺の街との相性がよい

吉祥寺湧水では、2027年度からアートやデジタル制作を教育の重要な柱とします。

AI、プログラミング、3D制作などを学ぶ「ふじらぼテックスクール」や、全教科とアートを結びつける学びなど、新しいカリキュラムが計画されています。

その学校が、さまざまなクリエイターや店舗、文化が集まる吉祥寺にあることには大きな意味があります。

学校の中だけで完結するのではなく、「街で見つける → 学校で考える → 作品を作る → 街や社会へ届ける」という循環を作りやすい環境だからです。

将来的には地域や企業、クリエイターなどとの連携がさらに広がれば、吉祥寺という立地そのものが学校の大きな教育資源になっていく可能性があります。

2027年度の中学生は吉祥寺校舎からスタート予定

現在、吉祥寺湧水では2027年の新しい学校スタートに向けて校舎の大規模な改修・整備を進めています。

工事期間中は学年などによって学習拠点が分かれますが、学校が2027年度入学生向けに公表している計画では、

  • 2027年度の中学生:改修後の新しい吉祥寺校舎
  • 2027年度の高校生:三鷹の「FINDER BASE」

を主な学習拠点として学校生活をスタートする予定です。

したがって、2027年度に吉祥寺湧水中学校へ入学する受験生については、基本的に吉祥寺への通学を想定して受験校選びを行ってよいでしょう。

新校舎は段階的に整備、2029年に本館完成予定

注意しておきたいのは、2027年4月にすべての新校舎が完成するわけではないことです。

学校が公表している現時点の整備計画は、

  • 2026年:三鷹の「FINDER BASE」完成
  • 2027年:吉祥寺の南館完成
  • 2029年:吉祥寺の本館完成予定

となっています。

そのため、2027年度の第一期生は、完成した新しい教育環境を利用する一方で、学校そのものが段階的に完成していく時期を経験する世代でもあります。

完成済みの伝統校へ入学する場合とは異なり、校舎の整備や学校文化の形成を含め、新しい学校が出来上がっていく過程を経験できることは、第一期生ならではの特徴です。

三鷹の「FINDER BASE」も新しい学びの拠点

校舎整備に伴って設けられた三鷹の学習拠点が「FINDER BASE」です。

JR中央線・総武線「三鷹駅」から徒歩約10分の場所にあり、2026年に完成しました。

単なる工事期間中の「仮校舎」ではなく、プレゼンテーションやイベントに利用できるFINDER STADIUM、LEDビジョンを備えたFINDER STUDIOなど、新しい教育を実践するために設計された学習空間です。

2027年度の中学生は吉祥寺校舎でスタートする予定ですが、学校全体としては吉祥寺・三鷹など複数の拠点を活用しながら新しい教育環境を作っています。

新校舎完成前だからこそ、説明会で最新状況を確認したい

吉祥寺湧水を2027年度に受験する家庭が特に確認しておきたいのが、校舎工事の進捗と入学後に使用する施設です。

学校公式でも、2027年度中学生は新しい吉祥寺校舎でスタートする予定とする一方、校舎の詳細や学習環境については学校説明会で順次案内するとしています。

そのため説明会へ参加する際には、

  • 中学1年生が実際に使用する校舎
  • 完成している施設の範囲
  • 体育・部活動で使用する施設
  • 工事期間中の安全対策
  • 三鷹など別拠点を利用する機会があるか
  • 2029年の本館完成後に学校生活がどう変わるか

などを確認しておくと安心です。

「駅から近い」以上の価値がある立地

吉祥寺湧水の立地を考えるときは、単に「吉祥寺駅から徒歩約7分」という便利さだけを見るのは少しもったいありません。

吉祥寺という街に日常的にある文化、アート、音楽、デザイン、店舗、人との出会いを学校教育につなげようとしていることこそ、この学校ならではの特徴です。

中学・高校という年代は、家庭と学校だけでなく、日常的に触れる街からも大きな影響を受けます。6年間通う街にさまざまな文化が存在し、それを学校側も積極的に教育へ取り込もうとしている点は、アートや探究を重視する吉祥寺湧水と非常に相性のよい環境といえるでしょう。

交通アクセスの良さ、街の文化的な刺激、そして2027年から段階的に完成していく新しいキャンパス。吉祥寺という立地そのものが、吉祥寺湧水中学校の教育を構成する重要な一部分になっています。

教育方針とカリキュラム|アート・デジタル・英語を融合する「湧水メソッド」

吉祥寺湧水中学校の教育を象徴するのが、2027年の共学化に向けて再設計された「湧水メソッド」です。

一般的な中高一貫校のように、国語・数学・英語・理科・社会などの基礎学力を身につけることはもちろん、そのうえで英語、デジタル、アート、DE&I、キャリア教育、体験学習、放課後活動、学習支援を学校生活全体へ組み込んでいます。

中心にあるのは、§1でも紹介した「who I am|私に会いにいく6年間」という考え方です。

知識をたくさん覚えるだけではなく、さまざまな分野に触れながら、

  • 自分は何に興味を持つのか
  • 何に違和感を覚えるのか
  • どのような方法なら自分の考えを表現できるのか
  • その興味を社会や将来へどうつなげるのか

を考えます。

そのため吉祥寺湧水では、「知る → 考える → つくる → 誰かへ届ける → 反応を受けてもう一度考える」というサイクルが、さまざまな教育プログラムに共通して組み込まれています。

湧水メソッドは学校生活全体をつなぐ教育システム

「湧水メソッド」は一つの特別授業の名称ではありません。

学校公式では、主に次の領域を組み合わせて6年間の学びを構成しています。

領域主な内容
Globalオールイングリッシュ授業、1対1英会話、プロジェクト学習、校費留学など
DigitalAI、プログラミング、3D制作、デジタル・SNSリテラシー
ArtStArt、アートDay、ArtLab、リフレクトアートなど
DE&IハウスTIME、セルフ・ナビ、COCOROラボなど
Career「好き」や没頭を社会・仕事・進路へつなげるキャリア教育
Experience校外研修、海外研修、文化祭などを学びにつなげる体験教育
Sports・放課後活動を試す・深める・自分たちでつくる新しい放課後システム
FujiLab Prep英語・数学の学内予備校、AIオンデマンド学習、大学生による学習支援

特徴的なのは、アートやデジタルを一部の得意な生徒だけの選択科目にしないことです。まず全員がさまざまな分野に触れ、そのうえで「もっとやりたい」と感じた生徒がさらに深められる仕組みになっています。

全員が6年間取り組む「ふじらぼテックスクール」

デジタル教育の中心となるのが、「ふじらぼテックスクール」です。

これは希望者だけの放課後講座ではなく、吉祥寺湧水の生徒全員が経験する6年間のデジタル制作カリキュラムとして設計されています。

目的は、プログラマーを大量に育てることではありません。

AI、プログラミング、3D制作などを使いながら、自分のアイデアや問いを実際の作品へ変え、他者に体験してもらう経験を通して、デジタルを「消費するもの」から「自分の考えを表現するもの」へ変えることを目指します。

中1ではAI・プログラミング・3D制作を広く体験

中学1年では、最初から特定の専門分野に絞りません。

AI、プログラミング、3D制作などに幅広く触れながら、自分がどの分野に面白さを感じるのかを探します。

例えば、

  • ゲームを作ることが楽しい
  • キャラクターや世界観を考えることが好き
  • AIを使って新しい表現を試したい
  • プログラムが動く仕組みに興味がある
  • 3D空間を作ることに夢中になる

など、生徒によって興味の方向は異なります。

吉祥寺湧水では、最初から「あなたは理系」「あなたは芸術系」と分けるのではなく、まず試してみることを重視しています。

中2から「AIエンジニア」「AIデザイナー」など自分の方向を選ぶ

中学2年になると、自分の関心に応じて方向性を選びます。

コース主な方向性使用する主なツール制作例
AIエンジニアコース仕組みを作り、体験を設計するRoblox、Unityなどゲーム、アプリなど
AIデザイナーコース世界観を作り、表現を形にするBlender、AI画像生成などイラスト、3D作品など

ここでも、「エンジニアだから理系」「デザイナーだから芸術系」と単純に分けるのではなく、デジタル技術を使って自分が誰にどのような体験を届けたいのかを考えることが重要になります。

中3では作った作品を文化祭などで実際に「届ける」

中学3年では、自分たちが制作したゲームや3D作品などを文化祭などで公開します。

先生に提出して評価してもらって終わるのではなく、知らない人に実際に作品を見てもらい、遊んでもらい、反応を受け取ります。

「自分では面白いと思ったのに伝わらなかった」「想定していなかった部分を評価してもらえた」といった経験を通して、作品をもう一度見直します。

この「つくる → 届ける → 反応を受ける → 改善する」という流れが、吉祥寺湧水のデジタル教育の重要なポイントです。

デジタル教育は高校卒業まで続く

ふじらぼテックスクールは中学3年間で終わりません。

学年テーマ主な学び
中1触れるAI・プログラミング・3D制作などを幅広く経験
中2選ぶ自分の関心に合った方向を選択
中3届ける文化祭などで作品を公開
高1社会へ届ける外部コンテストなどへ挑戦
高2深く問う自分のテーマを個別探究として深める
高3発表する卒業制作として学内外で発表し、ポートフォリオへ

中学校でさまざまな技術を試し、高校では自分自身のテーマへ発展させていくため、6年間かけて「自分は何をつくりたいのか」を見つけられる設計になっています。

もっと深めたい生徒には「ふじらぼテックスクール+」

全員参加のカリキュラムだけでは物足りなくなった生徒には、さらに発展的な「ふじらぼテックスクール+」も用意されます。

Roblox、Unity、Blenderなどをより深く使い、プロや仲間とともに作品を磨いていくプログラムです。

全員に同じレベルまでプログラミングを求めるのではなく、「全員が入口を経験する → 本当に好きになった子が専門性を高める」という二段階の仕組みになっていることは、吉祥寺湧水らしい特徴です。

スマホ・SNS・生成AIを「禁止するだけ」にしない

デジタル教育には、制作技術だけでなくデジタル・SNSリテラシーも含まれます。

吉祥寺湧水では、スマートフォン、SNS、ゲーム、AIなどを「危険だから使わせない」という考え方だけではなく、すでに子どもたちの日常に存在するものとして正面から扱います。

中学1・2年では、生徒と保護者を対象に専門家から学ぶ機会を設け、情報の授業でも継続的に扱います。

主なテーマは、

  • 個人情報をどこまで公開するのか
  • 知らない人とのやり取りをどう判断するのか
  • 写真や動画を共有するときに何を考えるのか
  • SNSで自分の言葉が相手にどう届くのか
  • ネット上の情報が本当に正しいのか
  • 生成AIの回答をそのまま信用してよいのか
  • デジタルとの適切な距離をどう作るのか

などです。

「自分を守る」「誰かを傷つけない」「情報を見極める」という3つの視点から、デジタル社会で自律的に判断できる力を育てます。

アートを美術の時間だけに閉じ込めない「StArt」

もう一つ、吉祥寺湧水を象徴する教育がアートです。

その中心となる「StArt(Study × Art)」では、美術の授業だけでなく、国語、数学、理科、社会などすべての教科にアートの入口を作ります。

例えば、単に問題の正解を求めるだけでなく、

  • 自分はこの文章をどのように受け取ったのか
  • 数学的な関係を図や形でどう表現できるのか
  • 科学現象から何を感じたのか
  • 歴史上の出来事を違う立場から見るとどう見えるのか

といった、正解が一つではない問いにも向き合います。

考えたことを文章だけでなく、詩、図、作品、プレゼンテーションなどさまざまな方法で表現します。

このStArtは新校開校を待たず、2026年度から藤村女子の全校で実践が始まっています

月1回の「アートDay」でプロの表現に触れる

アートDayでは、月1回、外部アーティストやプロフェッショナルを学校へ招きます。

現代アート、ワークショップ、文化祭の壁画制作など、通常授業とは異なる形で表現に触れます。

中学校3年間では、

学年テーマ
中1「出す」:まず自分の中にあるものを表現する
中2「問う」:なぜそう感じるのかを考える
中3「社会と接続する」:表現を他者や社会へ届ける

と段階的に発展します。

上手に絵を描くことだけが目的ではなく、自分自身の感じ方を知るためにアートを使うことがポイントです。

作品を実際に販売する「リフレクトアート」

吉祥寺湧水のアート教育で特にユニークなのが、「リフレクトアート」です。

作品を作って学校内に展示して終わるのではなく、作品を商品として磨き、

  • どのような商品にするのか
  • 誰に届けたいのか
  • いくらで販売するのか
  • どのように見せるのか
  • どのような言葉で魅力を伝えるのか

まで考えます。

そして文化祭や吉祥寺の商業施設などで実際に販売することを想定しています。

知らない人が自分の作品を手に取り、お金を払って購入するという経験は、先生から点数をつけてもらうこととはまったく異なります。

「自分の表現には誰かの心を動かす力があるのか」を、実社会の中で試す教育です。

舞台や作品を「見る側」から「つくる側」へ進むArt Alive

「Art Alive」では、舞台芸術や作品を鑑賞するところからスタートします。

学年が進むにつれて、ただ見るだけではなく、事前学習を設計したり、後輩へ伝えたり、企画・運営へ関わったりします。

作品そのものを作るだけでなく、「誰かの心が動く時間や場そのものをつくる」ことまでアートと捉えている点が特徴です。

アート初心者から東京藝大・美大志望まで対応

「アートに興味はあるけれど、絵には自信がない」という生徒向けには、放課後のArtLabがあります。

ここでは「上手かどうか」を問わず、まずさまざまな表現を試します。

その一方で、本格的に芸術系大学を目指したくなった生徒には、「ふじらぼART予備校」へ進むルートも用意されています。

ふじらぼART予備校はena美術監修で、デッサン、色彩構成、立体などの専門指導を受けながら、

  • 多摩美術大学
  • 武蔵野美術大学
  • 東京藝術大学

なども視野に入れます。

「全員がアートに触れる」ことと「本気で美術の進路へ進む子を専門的に育てる」ことの両方を用意している点が特徴です。

中1・中2の「Bilingualism Class」はオールイングリッシュ

英語教育では、中学1・2年生を対象に「Bilingualism Class」を実施します。

授業はすべて英語で進みます。

日本語で答えを考えてから英語へ翻訳するのではなく、

「英語を聞く → 英語のまま考える → 英語で返す」

という回路を中学校段階から作ることを目指しています。

分からないことがあっても最初から日本語に戻るのではなく、まず知っている英語を使って伝えてみます。間違えることを前提に、実際に話す経験を増やしていく授業です。

毎回1分間、教員との1対1英会話

Bilingualism Classでは、授業のたびに教員との1対1の短い英会話を取り入れます。

時間は約1分ですが、生徒の興味や英語力に応じてテーマを変えながら、毎回英語でやり取りします。

クラス全員の前で発表するときだけ英語を話すのではなく、日常的に、

「自分から英語で話しかける」

経験を積み重ねることが狙いです。

年間7つのプロジェクトを英語で進める

英語を使ったプロジェクト型学習も取り入れます。

中学では年間7つのテーマを設け、社会、アート、音楽など教科を越えた題材について、英語で調べ、考え、発表します。

つまり英語の授業でも、単語や文法を覚えるだけではありません。

「英語を使って何をするのか」を重視し、英語そのものを学ぶ段階から、英語を使って別のことを学ぶ段階へ発展させます。

6年間をCan-Doリストで設計

吉祥寺湧水の英語教育では、中高6年間の成長をCan-Doリストで設計します。

「どの文法単元まで終わったか」だけではなく、

  • 人前で英語による発表ができる
  • 相手と複数回のやり取りを続けられる
  • 文化の違いについて自分の言葉で説明できる
  • 自分の意見を英語で表現できる

というように、「英語で何ができるようになったのか」を積み上げます。

もちろん、文法、語彙、読解、リスニングなど大学受験で必要となる基礎学力も学びます。そのうえで、試験問題に正解するためだけではなく、英語を実際に使える力へ発展させます。

高校卒業時の目標はCEFR B2相当

英語力の6年間の到達目標として、学校はCEFR B2相当を掲げています。

英検でいえば準1級程度を見据えた水準です。

すべての生徒が必ず準1級を取得するという意味ではありませんが、中1からCan-Doリストに沿って段階的に英語力を伸ばし、大学入試だけでなく海外でも活用できる水準を目指します。

学校が費用を負担する「校費留学」も

英語教育を実際の海外体験へつなげる制度として、校費留学も設けられています。

学校が留学費用を負担して生徒を海外へ送り出す選抜制のプログラムです。

選抜時には単純に英語資格の高い生徒から選ぶのではなく、「なぜ海外へ行きたいのか」を英語と日本語でプレゼンテーションします。

学校が重視するのは、英語力だけではなく、自分にとって当たり前ではない環境へ飛び込んでみたいという意欲です。

異文化の中で思うように伝わらない経験をすることで、英語を学ぶだけでなく、日本で暮らしているだけでは気づかなかった自分自身の価値観を知ることにつなげます。

英語・デジタル・アートは別々の教育ではない

吉祥寺湧水のカリキュラムで重要なのは、英語・デジタル・アートを別々の特色として並べているわけではないことです。

例えば、

  • 英語で海外の文化について調査する
  • デジタル技術を使って作品を作る
  • アートを通して自分の考えを形にする
  • 制作したものを文化祭や吉祥寺の街で発表する
  • 他者の反応を受けて作品や考えを修正する

というように、複数の学びがつながっていきます。

その中心にあるのは常に、「自分は何を考え、何をつくり、誰に届けたいのか」という問いです。

基礎学力は「ふじらぼ学内予備校」で補強

アートやデジタルなど新しい教育が目立つ一方、吉祥寺湧水では大学進学に必要な基礎学力も重視しています。

その役割を担うのが、中学1年から利用できる「ふじらぼ学内予備校」です。

英語・数学を中心に、

  • 週2回・90分の対面集団授業
  • AIを利用したオンデマンド学習
  • 大学生スクールサポーターによる学習支援

を組み合わせます。

オンデマンド学習は中学1〜3年の英語・数学に対応し、動画で分からない部分が出た場合には、その場でAIへ質問できる仕組みになっています。

部活動や習い事で対面授業に参加できない日でも自宅から復習・先取りができるため、新しい体験型教育と受験に必要な学力を二者択一にしない考え方です。

「好きなこと」と「学力」の両方を伸ばす設計

吉祥寺湧水は、アートやデジタルに力を入れるからといって、大学受験を軽視している学校ではありません。

学校は「学力の差は、才能ではない。学びの方法と、時間の差だ」という考えを掲げ、中学1年から英語・数学の基礎を積み上げる仕組みを用意しています。

その一方で、テスト勉強だけに6年間を使うのではなく、アート、デジタル、英語、海外体験などを通して、本人が何に夢中になれるのかも探します。

「大学へ入るために何を勉強するか」だけでなく、「大学やその先で何をしたいのか」を中高6年間で見つけていくことが、新しいカリキュラムの狙いです。

2027年度第一期生は、新カリキュラムを最初から経験する世代

注意しておきたいのは、吉祥寺湧水としての教育は2027年度から本格的に始まるということです。

StArtなど一部の取り組みは2026年度から藤村女子で先行して始まっていますが、共学化後の6年間を通した湧水メソッドを修了した卒業生はまだ存在しません

そのため、現在公式サイトで示されているロードマップは非常に具体的で魅力的である一方、実際の大学進学実績や生徒の成長については、今後の第一期生以降によって実証されていくことになります。

完成された教育システムと長年の実績を最優先する家庭よりも、新しい教育へ期待し、学校と一緒にその文化を作っていくことに魅力を感じる家庭との相性がよいでしょう。

「正解を覚える」だけではない6年間

吉祥寺湧水のカリキュラムを一言でまとめるなら、「自分の興味を見つけ、それを形にし、他者へ届ける経験を繰り返す教育」です。

AIやプログラミングを学ぶことも、アート作品を作ることも、英語を話すことも、それ自体が最終目的ではありません。

それらを使いながら、

「自分は何に心が動くのか」「自分は何を社会へ届けたいのか」

を見つけていきます。

国語・数学・英語などの基礎学力を身につけながら、アート・デジタル・英語を横断して自分なりの答えをつくっていきたい子にとって、吉祥寺湧水の「湧水メソッド」は、首都圏の中高一貫校の中でもかなり個性的なカリキュラムといえるでしょう。

学習環境と施設設備|ICT環境と多様な居場所が支える新しい学校生活

吉祥寺湧水中学校では、2027年の共学化・校名変更に合わせて、教育内容だけでなく校舎そのものも大規模に再設計されています。

新しい学習空間のコンセプトは「FINDER BASE」。一斉に前を向いて先生の話を聞くだけの教室ではなく、生徒が自分で問いを見つけ、話し合い、制作し、発表することを前提とした空間づくりを目指しています。

また、アート・デジタル教育のための設備だけでなく、教室に入りづらいときにも学校とのつながりを保てる「みなもルーム」や「デジタル保健室」など、多様な生徒が安心して学校生活を続けられる環境も大きな特徴です。

2027年から新しい吉祥寺校舎で中学校生活をスタート

吉祥寺湧水では、現在の藤村女子の校舎を段階的に再整備しています。

時期主な整備予定
2026年3月三鷹の学習拠点「FINDER BASE」完成
2027年吉祥寺校舎・南館完成予定
2027年4月吉祥寺湧水として開校。中学生は新しい吉祥寺校舎で学校生活を開始予定
2029年吉祥寺校舎・本館完成予定

つまり、2027年度に入学する第一期生は、すべての建物が完成した状態からスタートするわけではありません。

南館などを利用しながら学校生活を送り、その後2029年に本館が完成する予定です。新しい学校文化だけでなく、新しいキャンパスが完成していく過程そのものを経験する世代となります。

新校舎のコンセプトは「FINDER BASE」

新しい校舎で大切にされている考え方が、「Not students, Be a FINDER.」です。

生徒を知識を受け取るだけの存在ではなく、自分自身で問いを発見する「FINDER=発見者」として捉えています。

学校が公表している新校舎のイメージでは、従来型の教壇、黒板、全員が一方向を向く机の配置から離れ、授業内容に応じて自由に空間を変えられる設計を目指しています。

例えば、

  • 個人で集中して考える
  • 数人でテーブルを囲んで話し合う
  • 複数学年が一緒に活動する
  • 屋外へ出て観察する
  • 作品を制作する
  • 大勢の前でプレゼンテーションする

といった学び方に合わせて、空間そのものを変化させます。

§3で紹介したアート・デジタル・探究型の学びと、校舎の設計が最初から連動していることが吉祥寺湧水の特徴です。

三鷹のFINDER BASEはすでに2026年に完成

新校舎の考え方を先行して形にした施設が、三鷹にある「FINDER BASE」です。

2026年3月に完成し、校舎工事期間中の学習拠点として利用されています。2027年度は高校生が主にFINDER BASEから学校生活をスタートする予定です。

中学生の主な拠点は吉祥寺ですが、このFINDER BASEを見ると、今後吉祥寺湧水がどのような学習空間を目指しているのかがよく分かります。

最大60人が集まれる「FINDER STADIUM」

FINDER STADIUMは、生徒のプレゼンテーションやイベントなどに使用する多目的空間です。

最大約60人を収容でき、スタジアムの観客席を思わせる可動式ベンチが配置されています。

固定された講堂ではなく、授業やイベントの内容に合わせてレイアウトを変更できることが特徴です。

吉祥寺湧水では、作品や探究成果を「作って提出する」だけでなく「人に見せ、伝える」ことを重視しています。そのため、人前で発表する場所そのものが学習施設として大切にされています。

大型LEDビジョンを備える「FINDER STUDIO」

FINDER STUDIOは、2面の大型LEDビジョンとステージを備えたメディアスタジオです。

通常の授業だけでなく、

  • 海外提携校とのオンライントーク
  • 生徒によるプレゼンテーション
  • 音楽・ダンスなどのステージ発表
  • 学校説明会
  • 保護者との交流イベント
  • 地域と連携したイベント

などへの利用が想定されています。

オンライン交流を小さなタブレット画面だけで行うのではなく、学校全体で共有できる大画面を利用することで、海外や地域社会とのつながりを校内へ持ち込める空間になっています。

教室の形を固定しない「FINDER PARK」

吉祥寺湧水の新しい学校空間を象徴しているのがFINDER PARKです。

ソファやテーブルが配置された、公園のような開放的なスペースで、可動式の什器を使って授業内容に合わせて自由にレイアウトを変更できます。

例えば、2クラスを一つの空間として利用したり、屋内と屋外をつなげたりすることも想定されています。

学校が紹介する授業例では、理科と英語を横断し、屋外で生き物を観察した後、異学年で英語によるディスカッションを行い、その内容をポートフォリオにまとめるといった使い方も示されています。

「1教科・1クラス・1教室」という従来型の枠を越えるための施設と考えると分かりやすいでしょう。

3DプリンタやMacを備える「FINDER ATELIER」

アート・デジタル教育を設備面から支えるのがFINDER ATELIERです。

クリエイティブスタジオには、

  • 3Dプリンタ
  • 1人1台利用できるMac
  • デジタル制作環境
  • 作品を展示できるギャラリー什器

などが用意されています。

§3で紹介したRoblox、Unity、Blender、AI画像生成などを使った「ふじらぼテックスクール」とも相性のよい環境です。

作品は制作して終わるのではなく、周囲から見える場所へ展示します。自分の作品を他者に見てもらうと同時に、友人が何を制作しているのかを日常的に目にすることで、生徒同士が互いに刺激を受けられる環境を作ろうとしています。

廊下も「移動するだけの場所」にしない

FINDER ATELIERでは、アトリエと廊下をガラスで仕切り、外からも制作している様子が見えるように設計されています。

従来の学校では、廊下は教室から別の教室へ移動するための場所になりがちです。

吉祥寺湧水では、廊下や共有スペースにも作品や活動が見える仕掛けを作り、校舎のどこにいても誰かの興味や制作活動に触れられる環境を目指しています。

これは「アートを美術室だけに閉じ込めない」という学校の教育方針ともつながっています。

「脱教室」を掲げる新しい学習空間

吉祥寺湧水の新校舎構想では、はっきりと「脱教室」という言葉を掲げています。

もちろん通常の授業を行う空間は必要ですが、毎時間同じ教室・同じ机・同じ座席で学ぶことを前提にしません。

学ぶ内容に合わせて、

  • アトリエ
  • スタジオ
  • 共有スペース
  • 屋外
  • 吉祥寺の街

などへ学習環境を広げます。

「どこで学ぶか」まで授業設計の一部とすることで、自分で動きながら学ぶ学校生活を作ろうとしています。

心身の状態に合わせて使える「みなもルーム」

設備面で特に注目したいのが、DE&Iの考え方から設計される「みなもルーム」です。

みなもルームは、教室でも保健室でもない「第3の居場所」として用意されます。

例えば、

  • 今日は教室に長時間いるのが少しつらい
  • 気持ちを整えてから授業へ戻りたい
  • 少人数なら授業に参加できる
  • 静かな場所で学習を続けたい

といったときに利用できます。

スマートフォンから自分で予約し、その日の状態に合わせて「自分を知る時間」と「学びを進める時間」を選びます。

単に授業を休むための場所ではなく、教室へ戻ることも、別の学び方を探すことも含めて次の一歩を考えるための中間拠点として位置づけられています。

教室とみなもルームを行き来することもできる

学校が示している利用例では、教室へまったく行かないか、すべての授業に参加するかという二択にはしません。

例えば、好きな教科や少人数授業には教室へ行き、それ以外の時間はみなもルームで学習するという利用も想定されています。

生徒の状態に応じて、「学校へ行けるか・行けないか」ではなく、「今日はどのような形なら学べるか」を考える仕組みです。

自宅からでもつながれる「デジタル保健室」

さらに、物理的な校内施設だけでなく、オンライン上には「デジタル保健室」を用意します。

体調や心の状態によって学校へ来ることが難しい時期でも、オンライン上で雑談をしたり、課題へ取り組んだりしながら学校とのつながりを保てます。

長期間学校を休んだ後に突然フルタイムで教室へ戻ることを求めるのではなく、

自宅 → デジタル保健室 → みなもルーム → 一部授業 → 通常の教室

というように、その子に合った段階を作れることが狙いです。

毎日の小さな変化を記録する「MyMe」

施設と連動して利用されるのが「MyMe(マイミー)」です。

生徒は毎日約5秒で、その日の心と体の状態を入力します。

直接先生へ「相談があります」と言うのが難しい場合でも、アプリ上の「聞いてほしい」ボタンを使い、自分で相談したい相手を選んでSOSを出すことができます。

大きな問題が発生してから対応するだけでなく、日常の小さな変化を記録することで、早い段階で支援につなげる予防型の学校環境を目指しています。

担任だけに任せない4つのサポートライン

吉祥寺湧水では、生徒を支える役割を担任一人へ集中させません。

学校では、

  • ハウス担当
  • 学習サポート
  • 生活サポート
  • 挑戦サポート

という複数のラインから生徒を支える仕組みを設計しています。

学習の相談と友人関係の相談、部活動や将来への挑戦では、必要となる支援も異なります。

「何でも担任に相談する」のではなく、困っている内容に合った大人につながれるようにすることで、生徒にとって相談先の選択肢を増やしています。

藤村女子時代には温水プールや複数の体育館も

前身の藤村女子は、長年スポーツ教育に力を入れてきた学校でもあります。

これまでの吉祥寺キャンパスには、屋内温水プール、複数の体育館、トレーニング設備、テニスコートなどがあり、新体操、器械体操、競泳などの活動を支えてきました。

特に校内の25m温水プールは、学校法人井之頭学園が運営する藤村水泳教室にも使用されてきた歴史があります。

ただし、現在は2027年・2029年の新校舎整備が進行中です。既存の施設が新キャンパスでどのような形で継承・再配置されるかについては、今後の学校説明会で最新情報を確認する必要があります。

自習環境も「一つの自習室」だけではない

藤村女子時代から、自習や学習相談のためのスペースが設けられてきました。

現在も、学校内で学力を伸ばす「ふじらぼ学内予備校」を新しい教育の柱として位置づけています。

中学1年から、

  • 英語・数学の対面授業
  • AIオンデマンド学習
  • 大学生スクールサポーターによる質問対応

などを学校内で利用できます。

そのため、学校の授業が終わったら毎日別の塾へ移動することを前提にするのではなく、放課後も学校そのものを学習拠点として利用する設計になっています。

施設が「教育方針の見た目」になっている学校

吉祥寺湧水の施設を考えるとき、単純に「体育館が何個あるか」「最新のパソコンがあるか」という設備一覧だけを見るのでは、この学校の特徴を十分に捉えられません。

FINDER STADIUMは発表するため、FINDER ATELIERはつくるため、FINDER PARKは対話するため、みなもルームは自分を整えるためというように、それぞれの空間に「そこで何を経験してほしいのか」という教育上の目的があります。

アート・デジタル・英語・探究に積極的に取り組みたい子にとっては、教室の外へ学びが広がる環境は大きな魅力になるでしょう。

一方、2027年度はまだ校舎整備の途中でもあります。第一期生として受験する場合には、完成予想図だけで判断せず、説明会や校舎見学を通して、「入学する2027年4月時点で実際にどの施設を使えるのか」を確認することが重要です。

完成された施設を受け取るのではなく、新しい学び方に合わせて校舎そのものを作り替えていく。この点も、吉祥寺湧水中学校が2027年に行う学校改革を象徴する特徴の一つです。

学校生活と行事|ハウスTIMEから海外研修まで、自分らしさを育てる6年間

吉祥寺湧水中学校の学校生活は、授業・行事・放課後をそれぞれ別のものとして考えるのではなく、日常のあらゆる経験を「who I am=自分を知る」ことにつなげるように設計されています。

文化祭や体育祭では、生徒が決められたプログラムへ参加するだけではなく、自分なりの役割を見つけて企画や運営へ関わります。日常生活では、学年を越えて交流する「ハウスTIME」、段取りや自己管理を学ぶ「セルフ・ナビ」、自分自身の心を理解する「COCOROラボ」などを取り入れます。

さらに、心身の調子が揺らいだときにも学校とのつながりを失わないよう、MyMe、みなもルーム、デジタル保健室などを組み合わせます。

「全員が同じ学校生活を送ること」よりも、「一人ひとりが安心できる状態で、ともに学校生活へ参加できること」を大切にしている点が、吉祥寺湧水の特徴です。

2027年度から始まる、新しい学校文化

2027年度に入学する中学1年生は、吉祥寺湧水中学校としての第一期生になります。

そのため、すでに何十年も続いてきた学校文化へ入っていくというより、男子・女子が一緒になって、行事や放課後活動、日常の雰囲気まで含めた新しい学校文化をつくっていく世代となります。

前身の藤村女子には文化祭、体育祭、海外研修など長く続いてきた行事がありますが、吉祥寺湧水ではそれらを単純に引き継ぐのではなく、「湧水メソッド」の考え方に合わせて再構成していく方針です。

なお、2027年度の詳細な年間行事予定や日課表については、2026年8月時点ではすべてが公表されているわけではありません。そのため、旧・藤村女子時代の時程をそのまま吉祥寺湧水のものとして考えないよう注意が必要です。

学年を越えてつながる「ハウスTIME」

日常生活を支える特徴的な仕組みが「ハウスTIME」です。

通常の学級とは別に、異なる学年の生徒25〜30人程度で一つのハウスを構成します。

同学年だけで人間関係が固定されるのではなく、

  • 目標にしたい先輩と出会う
  • 後輩を支える経験をする
  • クラスとは違う友人をつくる
  • 複数の先生と関わる

など、学校内に複数の人間関係を持てるようにします。

例えばクラスの友人関係で悩んだとしても、学校生活の人間関係がそのクラスだけですべて決まってしまうわけではありません。

「クラス以外にも自分の居場所やつながりがある」状態を学校の仕組みとして作ることが、ハウスTIMEの大きな役割です。

先輩から学び、後輩を支える経験

中高一貫校では6学年が同じ学校で生活しますが、実際には同学年との交流だけで6年間を終える学校も珍しくありません。

吉祥寺湧水では異学年交流を意図的に学校生活へ組み込みます。

中学1年生のころには先輩に助けてもらうことが多かった生徒も、学年が上がれば後輩から相談される側になります。

その経験によって、「自分も誰かの役に立てる」という感覚を育てることも狙いです。

2027年度は新校としての第一期生からスタートするため、こうした異学年文化についても今後数年間をかけて形成されていくことになります。

忘れ物や先延ばしを「性格」で片づけないセルフ・ナビ

学校生活では、勉強そのものだけでなく、

  • 提出期限を守る
  • 必要な物を準備する
  • テストまでの予定を立てる
  • 宿題と部活動を両立する
  • 優先順位を決める

といった自己管理能力が必要になります。

吉祥寺湧水では、これを本人の性格や「しっかりしているかどうか」に任せず、「セルフ・ナビ」として学びます。

米国で用いられているSMARTSのカリキュラムを学校向けに再設計し、1週間の予定を見通し、作戦を立て、実行した結果を振り返るというサイクルを繰り返します。

整理・段取り・優先順位の付け方も、学べば身につけられる技術として扱う点が特徴です。

「自分の取扱説明書」をつくるCOCOROラボ

道徳を発展させた独自プログラムが「COCOROラボ」です。

誰にでも当てはまる「正しい行動」を覚えるだけではなく、対話や体験を通して、

  • 自分はどのようなときに楽しいと感じるのか
  • どのような言葉に傷つきやすいのか
  • 困ったときにどうすれば落ち着けるのか
  • 人とどのような距離感で付き合いたいのか
  • 何を大切にして生きたいのか

を考えていきます。

中学校3年間をかけて作るのが、いわば「自分の取扱説明書」です。

「自分はこういう人間だから変えられない」と決めつけるのではなく、自分の傾向を知ったうえで、必要なときには助けを求めたり、環境を調整したりできるようになることを目指します。

毎日5秒の「MyMe」で心と体を記録

生徒の小さな変化を早く見つける仕組みとして、「MyMe(マイミー)」があります。

毎日約5秒で、その日の心と体の状態を入力します。

大きな悩みになってから相談するのではなく、日々の変化を少しずつ記録することで、本人も自分の状態を振り返りやすくなります。

さらに「聞いてほしい」ボタンを使えば、自分で相談したい相手を選んでSOSを出すことができます。

直接職員室へ行って「相談があります」と言うことにハードルを感じる子でも、最初の一歩を踏み出しやすい仕組みです。

教室にいられない日にも「学校にいる方法」がある

心身の状態によって教室に入りづらい場合には、§4で紹介した「みなもルーム」を利用できます。

重要なのは、

「教室へ行ける=登校」「教室へ行けない=欠席」

という二択にしないことです。

例えば、午前中はみなもルームで学習し、好きな授業だけ教室へ参加するという方法も考えられています。

さらに自宅から学校とつながるデジタル保健室も用意し、その日の状態に応じて段階的に学校との接点を作ります。

もちろん、すべての生徒がこうした支援を利用するわけではありません。しかし、「調子を崩したときに戻る場所があらかじめ用意されている」ことは、中高6年間を考えるうえで安心材料の一つです。

文化祭は「誰かの心や行動を動かせたか」を考える場

吉祥寺湧水が新しい学校行事の中心として位置づけているのが文化祭です。

学校公式サイトでは、文化祭について単に「楽しいイベント」とは捉えていません。

生徒たちが向き合う大きな問いは、

「自分たちがつくったものは、誰かに届いたか。誰かの心や行動を動かしたか。」

というものです。

企画を立てるだけでなく、

  • 空間をどのように作るか
  • どのような言葉なら伝わるか
  • 来場者をどう案内するか
  • 何人が参加したか
  • どのような反応があったか
  • 次は何を改善すればよいか

まで考えます。

文化祭そのものを、企画・制作・表現・マーケティング・振り返りを経験する実践的な学びとして位置づけています。

文化祭には一人ひとりの「好き」を持ち込める

吉祥寺湧水の文化祭では、クラス企画だけでなく、生徒一人ひとりの好きや探究を外へ出す場も設ける方針です。

研究、デジタル作品、アート、音楽、身体表現、実演など、表現の形は一つではありません。

例えば§3で紹介した「ふじらぼテックスクール」で制作したゲームや3D作品を中3で公開したり、アート作品を展示・販売したりすることも想定されています。

誰かの本気の作品を見ることで、別の生徒の「好き」が動き始める。学校では、そうした「好き同士が交わる場所」として文化祭を位置づけています。

藤村女子時代から、生徒がつくる文化祭を重視

前身の藤村女子では文化祭を「藤村祭」と呼び、生徒主体の企画に取り組んできました。

2025年の文化祭では、生徒が約半年をかけて企画・制作・演出したファッションショーも実施されています。

衣装だけでなく、ヘアメイク、照明、映像、音楽などまで生徒が関わり、プロフェッショナルの協力も得ながら一つの舞台を作り上げました。

こうした「好きなものを学校行事の中で本気の作品へ発展させる」文化は、吉祥寺湧水の新しいアート・キャリア教育にもつながっています。

なお、共学化後も文化祭の正式名称が「藤村祭」のまま継続するかどうかについては、今後の発表を確認する必要があります。

体育祭は「勝敗と向き合う」経験

体育祭について、吉祥寺湧水は「勝敗と向き合う場」と位置づけています。

すべての生徒が運動を得意としているわけではありません。それでも、競技へ参加する、チームを支える、応援する、運営するなど、それぞれの役割があります。

努力しても負けることもあれば、思い通りにいかないこともあります。

そうした結果まで含めて受け止め、自分がチームの中で何を引き受けたのかを考えることを、体育祭の学びとしています。

強豪運動部を長年育ててきた藤村女子のスポーツ文化が、共学化後にどのような体育祭文化へ変化していくのかも注目したいポイントです。

修学旅行では「社会課題」と向き合う

新しい吉祥寺湧水の「EXPERIENCE」では、

  • 文化祭:他者の心や行動を動かす経験
  • 体育祭:勝敗と向き合う経験
  • 修学旅行:社会課題と向き合う経験
  • 留学:異文化と向き合う経験

という考え方を明確にしています。

つまり修学旅行も、観光地を巡って思い出を作るだけの旅行にはしません。

現地で人と出会い、その地域や社会が抱えている課題を知り、自分たちにできることを考える体験型・探究型の行事として位置づけます。

旧・藤村女子では中3全員がロサンゼルスへ

前身の藤村女子では、中学3年生全員を対象に7泊9日のロサンゼルス語学研修旅行を実施してきました。

大学併設の語学学校で英語を学ぶほか、南カリフォルニア大学などを訪問し、夕方以降はホストファミリーと過ごすホームステイ型の研修でした。

そのため、吉祥寺湧水でも中3の海外修学旅行が継続されることを期待する家庭は多いでしょう。

ただし、2027年度以降の吉祥寺湧水としての修学旅行先を、学校は2026年8月時点で「ロサンゼルス」と正式には公表していません。

新しい公式サイトでは「修学旅行では社会課題と向き合う」としており、具体的な渡航先や期間は今後の発表を確認する必要があります。

したがって、旧・藤村女子のロサンゼルス研修を、そのまま2027年度入学生にも確約されたプログラムとして考えないようにしましょう。

留学では「異文化の中で自分を知る」

留学についても、吉祥寺湧水では単なる英語研修とは捉えていません。

海外へ行くと、日本では当たり前だったことが通用しなかったり、自分の英語がうまく伝わらなかったりする場面があります。

学校では、その「思い通りにならない経験」そのものに価値があると考えています。

異なる価値観の中へ入ることで、逆に「自分は何を大切にしているのか」が見えてくるからです。

希望者には、学校が費用を負担する校費留学制度も用意され、参加者は選抜制となります。

選抜では英語力だけを見るのではなく、「なぜ自分は海外へ行きたいのか」を日本語と英語でプレゼンテーションします。

学校行事を「観客」として過ごさない

吉祥寺湧水の行事に共通しているのは、生徒を観客にしないという考え方です。

文化祭なら企画をつくる。体育祭なら勝敗の中で役割を引き受ける。修学旅行なら現地の課題について考える。留学なら異文化の中へ自分から入っていく。

先生がすべてを用意して、生徒は決められた場所へ行けばよいという形ではなく、

「自分はこの経験にどう関わるのか」

を問われます。

自分から行動するのが得意な子だけではなく、最初は小さな役割から入り、少しずつ挑戦の幅を広げることも想定されています。

中3では3年間を「学び方宣言」にまとめる

学校生活で経験したことは、キャリア教育にもつながります。

中学校3年間では、興味のある仕事や社会人との出会い、アート、デジタル、行事、探究など、さまざまな経験を重ねます。

そして中学3年では、3年間を振り返り、

  • 自分は何が好きなのか
  • 何をしているときに没頭できるのか
  • どのような学び方が自分に合うのか
  • 高校では何に挑戦したいのか

「学び方宣言」として言葉にします。

中学卒業時に具体的な職業を決めることが目的ではありません。

自分自身について少し理解した状態で、高校3年間へ進むことが目的です。

高3では「未来の生き方宣言」へ

高校ではさらに社会との接点を増やし、企業、専門家、外部パートナーなどと関わる体験を広げていきます。

最終的に高校3年では、中高6年間の経験を統合して「未来の生き方宣言」を行います。

どこの大学へ進むかだけではなく、

「なぜそこへ進みたいのか」「その先で何をしたいのか」

を本人が説明できるようにすることが目標です。

「行ける学校」から進路を選ぶのではなく、「行く理由」から進路を選ぶという学校の考え方が、6年間の学校生活全体につながっています。

担任だけに頼らない学校生活

生徒の学校生活を支えるのは、担任一人だけではありません。

吉祥寺湧水では、

  • ハウス担当:日常の変化を見守る
  • 学習サポート:勉強や進路を支える
  • 生活サポート:友人関係・体調・困りごとを支える
  • 挑戦サポート:探究や新しい挑戦を支える

という4つのサポートラインを設けます。

生徒によって「話しやすい先生」は違います。相談内容によって必要な専門性も異なります。

そのため、すべてを一人の担任へ集中させず、複数の大人とつながれる学校生活を作っています。

保護者からの相談にも48時間以内に初期連絡

学校と家庭との連携についても、仕組みとして明確にしています。

保護者から専用フォームで相談が届いた場合、DE&I担当が内容を確認し、適切な担当者を選び、48時間以内に初期連絡を行う方針です。

その後、必要に応じて面談やカウンセリングなどへつなげます。

「担任が忙しそうだから相談しにくい」「誰に連絡すればよいか分からない」という状態を避けるため、相談の入口そのものを学校側が設計していることは特徴的です。

「全員同じ」であることをゴールにしない学校生活

吉祥寺湧水の学校生活を理解するうえで最も重要なのは、全員を同じ行動へ揃えることを公平とは考えていない点です。

教室で集中できる子もいれば、少人数の方が力を発揮できる子もいます。すぐ相談できる子もいれば、アプリのボタンなら助けを求められる子もいます。

また、文化祭で人前に立つことが得意な子もいれば、裏側で映像やデザイン、数字の分析を担当する方が力を発揮できる子もいます。

「みんなと同じことができるか」ではなく、「自分の力をどこで生かせるか」を探すことが、学校生活そのものに組み込まれています。

第一期生だからこそ、行事も自分たちでつくっていく

2027年度入学生にとって、吉祥寺湧水の学校生活には大きな魅力と同時に、新設校に近い不確定さもあります。

文化祭、体育祭、修学旅行などの基本的な方向性は示されていますが、共学化後の細かな伝統や男女の関わり方、行事の名称、年間スケジュールなどは、これから形づくられていく部分があります。

完成された伝統行事を楽しみたい家庭よりも、

  • 新しい学校の文化をつくってみたい
  • 文化祭で自分の企画を形にしたい
  • 学年を越えた人間関係をつくりたい
  • 海外や社会へ飛び出す経験をしたい
  • 自分に合った学校との関わり方を選びたい

という子には、大きな可能性のある環境です。

行事に参加するだけではなく、自分で関わり方を選び、つくり、振り返る。吉祥寺湧水の学校生活は、毎日の小さな経験から文化祭や海外体験までを通して、「自分はどのような人なのか」を知っていく6年間になるよう設計されています。

クラブ活動|「選べる放課後」でスポーツ・アート・デジタルを自由に深める

吉祥寺湧水中学校では、2027年度から従来型の「部活動」にとどまらない、新しい放課後システムを導入します。

特徴は、最初から一つの部活動へ固定するのではなく、

  • いろいろな活動を試す
  • 好きなものを本気で深める
  • 学校にない活動を自分たちでつくる
  • 部活動と学習を両立する

という4つの考え方から放課後を設計していることです。

スポーツだけでなく、アート、デジタル、サイエンス、クッキング、ゲーム、音楽、ミュージカルなどを幅広く経験できるため、中学入学時点でまだ「これを6年間続けたい」と決まっていない子にも利用しやすい仕組みです。

吉祥寺湧水の放課後は4つの軸で考える

考え方
試すさまざまな活動を経験し、自分が何に心を動かされるのかを知る
深める本気で続けたい活動を専門的に学ぶ
つくる学校にない活動も、生徒自身が仲間を集めて立ち上げる
両立する好きな活動と英語・数学などの学習を二者択一にしない

「部活を選んだら3年間その部だけ」「勉強を優先するなら部活動は控える」という発想ではなく、本人の興味や成長に合わせて放課後の過ごし方そのものを変えていけることが特徴です。

まずはいろいろ試せる「湧水放課後 Pass」

まだ夢中になれるものが決まっていない生徒や、いろいろな分野を経験してみたい生徒向けに用意されるのが「湧水放課後 Pass」です。

学校公式では、

  • スポーツ
  • アート
  • デジタル
  • サイエンス
  • クッキング
  • ゲーム

などの活動を学期ごとに選べる仕組みとして紹介しています。

例えば、入学時にはスポーツに興味があった子がダンスに夢中になったり、「運動は苦手」と思っていた子がサイエンスやデジタル制作に没頭したりすることも考えられます。

中学1年生の段階で進路や趣味を一つに決めるのではなく、まず複数の体験をしてから、自分が本当に続けたいものを探すことを大切にしています。

「好き」を途中で変えてもよい

従来型の部活動では、一度入部すると退部・転部することに心理的なハードルを感じる子もいます。

吉祥寺湧水の放課後 Passでは、学期ごとに活動を選べるため、

「一度やってみたけれど、自分には違った」

という経験も肯定的に捉えます。

好きなことを見つけるためには、実際に試してみなければ分からないことも多くあります。

何かをやめることを「失敗」とするのではなく、「自分について一つ分かった経験」と考えるのは、「who I am」を軸とする吉祥寺湧水らしい考え方です。

本気で続ける「湧水アカデミー Pass」

すでに好きな活動があり、本格的に取り組みたい生徒向けには「湧水アカデミー Pass」があります。

学校が現在例示している主な活動は、

  • バスケットボール
  • バレーボール
  • ダンス
  • 吹奏楽
  • ミュージカル

などです。

これらを外部の専門コーチの指導のもとで継続的に深め、中学で基礎を身につけ、高校でさらに高いレベルへ発展できる道を用意します。

単なる「楽しい放課後講座」ではなく、一つのことに本気で長期間取り組みたい生徒のための専門的な活動として位置づけられています。

外部の専門家から学べることも特徴

アカデミー Passでは、学校教員だけが指導を担うのではなく、各分野の専門コーチや外部人材を積極的に活用します。

これは§3で紹介したアートDayやふじらぼテックスクールなどにも共通する考え方です。

学校の中だけで学びを完結させず、実際にその分野で活動している大人と出会うことで、

  • その分野ではどのような力が必要なのか
  • プロは何を考えているのか
  • 趣味と仕事では何が違うのか
  • 自分はどこまで本気で取り組みたいのか

まで考えられます。

放課後活動そのものがキャリア教育にもつながる点は、吉祥寺湧水の特徴の一つです。

学校にないなら「部活創設支援制度」でつくる

さらにユニークなのが「部活創設支援制度」です。

学校側があらかじめ用意した活動一覧から選ぶだけでなく、本人がやりたい活動がなければ、生徒自身が仲間を集めて立ち上げることができます。

学校公式では例として、

  • 鉄道研究部
  • 山岳部
  • eスポーツ部

などを挙げています。

もちろん、「やりたい」と言えばその場ですぐ部活動になるわけではありません。

仲間を集め、活動内容や活動日を決め、安全面や継続方法について大人と相談しながら仕組みを作っていきます。

このプロセスそのものが、企画・交渉・チームづくり・運営を経験する学びになります。

「部活動をつくった経験」も将来の強みになる

部活創設支援制度について学校は、単なる生徒サービスではなく、進路にもつながる経験として位置づけています。

例えば、

  • なぜその部活動を作ろうと思ったのか
  • どのように仲間を集めたのか
  • どのような問題が起きたのか
  • 意見の違うメンバーとどう調整したのか
  • 活動を継続するために何を工夫したのか

は、総合型選抜などで本人が語れる非常に具体的な経験になります。

先生から与えられた役割をこなすだけでなく、ゼロから何かを始める経験を学校生活の中で持てることがポイントです。

藤村女子から受け継ぐスポーツの伝統

前身の藤村女子は、長年にわたってスポーツ活動が盛んな女子校としても知られてきました。

これまで、

  • 新体操
  • 器械体操
  • バスケットボール
  • バレーボール
  • ソフトボール
  • 競泳
  • 水球
  • 硬式テニス
  • バドミントン
  • 陸上

など多くの運動部が活動してきました。

特に新体操は藤村女子を代表する競技の一つで、全国レベルで活躍してきた歴史があります。卒業生にも、中学生時代に全国大会優勝を経験し、その後スポーツ分野で活躍している人がいます。

2025年の関東高校新体操選手権でも藤村女子の名前が上位校として見られるなど、競技スポーツの伝統そのものは共学化直前まで続いています。

ただし、新体操・器械体操が2027年度にどう継承されるかは要確認

一方で、2027年度からは放課後制度そのものが大きく再編されます。

現在の吉祥寺湧水公式サイトが「湧水アカデミー Pass」の具体例として明示しているのは、バスケットボール、バレーボール、ダンス、吹奏楽、ミュージカルなどです。

藤村女子時代の新体操、器械体操、競泳、水球などが、吉祥寺湧水でどのような名称・活動形態・練習環境で継続するのかについては、2026年8月時点ですべてが明らかになっているわけではありません。

特に全国大会レベルで競技を続けることを目的に受験する場合には、

  • 2027年度の活動継続の有無
  • 指導者
  • 練習場所
  • 練習日数
  • 大会出場方針

を学校説明会などで個別に確認しておくことをおすすめします。

吹奏楽は吉祥寺の街ともつながってきた

文化系では、藤村女子時代から吹奏楽部が活動してきました。

校内での演奏だけでなく、2025年には吉祥寺大正通りのキャンドルナイト点灯式でミニコンサートを行うなど、吉祥寺の地域イベントにも参加しています。

新しい吉祥寺湧水でも吹奏楽はアカデミー Passの具体例として明示されており、学校の外へ活動を広げやすい分野の一つです。

吉祥寺という街には音楽文化やライブハウスなども多いため、今後、学校と地域をつなぐ音楽活動がさらに発展する可能性もあります。

ダンスは教育・入試・放課後がつながる分野

ダンスも吉祥寺湧水で注目したい活動です。

藤村女子時代からダンス部が活動しており、外部のプロ振付師によるワークショップなども実施されてきました。

さらに2027年度の中学入試では、表現創造入試の選択分野として「ダンス」も設定されています。

つまりダンスは、

  • 入試で自分の得意分野として表現する
  • 入学後にアカデミー Passで深める
  • 文化祭などで舞台表現として発表する

という形で、学校生活全体へつながる可能性があります。

スポーツとアートの境界にある「身体表現」も大切にする学校であることが分かります。

ミュージカルという選択肢も

アカデミー Passの例にはミュージカルも含まれています。

ミュージカルでは、

  • ダンス
  • 演技
  • 舞台演出
  • 音響・照明

など複数の表現が組み合わさります。

吉祥寺湧水が重視するアート、音楽、身体表現、他者との協働を一つの活動の中で経験しやすく、一人では完成できない作品を仲間とつくるという点でも学校の教育方針と相性のよい活動です。

デジタル・アートも放課後にさらに深められる

放課後活動はスポーツや音楽だけではありません。

授業でAI、プログラミング、3D制作に興味を持った子は、より発展的な「ふじらぼテックスクール+」などを通して、Roblox、Unity、Blenderなどをさらに深く学ぶことができます。

アートについても、気軽に表現を試せるArtLabから、美大・藝大を本格的に目指す「ふじらぼART予備校」まで段階的な環境があります。

つまり「部活」はスポーツや吹奏楽だけではなく、デジタル制作や芸術活動も同じように本気で没頭できる放課後として考えられています。

月額9,800円で活動と学内予備校を組み合わせる

吉祥寺湧水の放課後制度でも特に特徴的なのが、月額9,800円という定額制です。

学校公式では、湧水放課後 Passまたは湧水アカデミー Passを利用しながら、数学・英語を中心とした「ふじらぼ学内予備校」も組み合わせて利用できる仕組みを案内しています。

学内予備校には、

  • 英語・数学を中心とする週2回・90分の対面授業
  • AIを利用したオンデマンド学習
  • 大学生スクールサポーターによる学習支援

があります。

さらに、美大・藝大を目指す「ふじらぼART予備校」も同じ月額料金に含まれると案内されています。

対象講座や開講日、受講条件は年度によって変更される可能性がありますが、部活動・学習支援・専門的なアート教育を学校内でつなげるという仕組みは非常に特徴的です。

「部活か塾か」という二択をなくす

中高生になると、家庭ではしばしば、

「部活動を本気でやると塾へ行く時間がない」

という問題が起こります。

特に中高一貫校では、放課後に部活動を終えてから電車で塾へ移動すると、帰宅時間がかなり遅くなることもあります。

吉祥寺湧水では、活動と学内予備校を学校の中でつなぐことで、

  • 部活動
  • 英語・数学の学習
  • 質問対応
  • 自宅でのオンデマンド学習

を一つの生活サイクルにまとめようとしています。

「好きなことに本気で取り組むこと」と「大学進学に必要な学力を身につけること」を両立させるのが、新しい放課後制度の大きな狙いです。

移動時間を減らせることも大きなメリット

学校内で学習支援まで受けられれば、部活動終了後に別の塾へ移動する時間を抑えることができます。

学校では、片道30分の塾へ週3回通う場合、年間では移動だけで約150時間になるという例も示しています。

その時間を、

  • 部活動
  • 自習
  • 作品制作
  • 休息
  • 家族との時間

へ戻せることも、校内完結型の放課後制度のメリットです。

勝敗だけでも、楽しさだけでも終わらせない

吉祥寺湧水は、放課後活動について「勝つことだけで終わらせない。楽しむだけでも終わらせない」という考え方を示しています。

大会で優勝すること、上手な作品を完成させることももちろん価値があります。しかし、その結果だけではなく、

  • 何に心が動いたのか
  • どのような努力をしたのか
  • 誰と一緒に取り組んだのか
  • 自分はどのような役割を引き受けたのか
  • 失敗したときに何を考えたのか

を振り返ります。

その積み重ねから、自分がどのようなことに夢中になれる人間なのかを理解していきます。

「部活動」というより、6年間の放課後そのものをデザインする学校

吉祥寺湧水のクラブ活動を考えるときは、従来の「運動部○種類・文化部○種類」という見方だけでは捉えきれません。

いろいろ試したい子は湧水放課後 Pass、本気で続けたい子は湧水アカデミー Pass、やりたい活動がなければ自分たちで部活動をつくるという複数の入口があります。

さらに、英語・数学の学内予備校やデジタル、ART予備校まで学校内で組み合わせることで、放課後を単なる「授業後の時間」ではなく、自分の好きと学力の両方を伸ばす時間として設計しています。

一方で、2027年度は制度開始初年度です。具体的な開講活動や指導者、活動曜日については今後変更・追加される可能性があります。また、藤村女子時代の新体操や器械体操などがどのような形で継承されるかも確認が必要です。

一つの部に6年間所属することを最初から決めるのではなく、試し、深め、必要なら自分たちでつくる。この自由度の高い放課後の仕組みは、吉祥寺湧水中学校の学校改革を象徴する取り組みの一つといえるでしょう。

進学実績と卒業後の進路|藤村女子の実績を受け継ぎ、新しい進路教育へ

吉祥寺湧水中学校・高等学校は大学附属校ではなく、卒業後は国公立大学、私立大学、芸術系大学、体育系大学、専門学校、海外大学など、一人ひとりの興味に応じた進路を目指します。

ただし、進学実績を見る際には重要な注意点があります。

吉祥寺湧水としての第一期生が入学するのは2027年4月です。そのため、現時点で公表されている大学合格実績は、すべて共学化前の藤村女子高等学校の生徒によるものです。

新しい「湧水メソッド」を中高6年間経験した卒業生が大学入試を迎えるのはさらに先になるため、現在の実績は「学校のこれまでの土台」として捉え、今後どのように変化するのかを見ていく必要があります。

直近で確認できる2025年度は卒業生91名

大学合格実績について、直近で詳細を確認できる2025年度は卒業生91名でした。

主な大学合格実績は次の通りです。

大学2025年度合格者数
東京学芸大学1名
明治大学1名
中央大学2名
法政大学1名
成蹊大学1名
東京女子大学1名
日本女子大学1名
明治学院大学2名
専修大学3名
東洋大学2名
日本大学2名

2025年度は国公立大学では東京学芸大学に1名、GMARCHでは明治1名、中央2名、法政1名の計4名の合格が確認できます。

また、成蹊、東京女子、日本女子、明治学院、専修、東洋、日本など、首都圏の大学へ幅広く合格者を送り出しています。

旧・藤村女子は「難関大一辺倒」ではない進路構成

藤村女子のこれまでの進路を見ると、難関大学への合格者数だけを競うタイプの進学校とは少し性格が異なります。

大学進学だけでなく、

  • 一般大学
  • 体育・スポーツ系大学
  • 医療・健康系
  • 芸術系
  • 専門学校

などへ幅広く進路が分かれてきました。

特に旧・藤村女子には全国レベルでスポーツに取り組む生徒も多かったため、本人の競技活動や将来の目標に合わせた進学が行われてきたことも特徴です。

2027年の共学化後は生徒層や教育内容が大きく変わるため、今後はアート・デジタル・情報・理工・国際系などを含めて進学分野がさらに広がる可能性があります。

2025年度実績は「吉祥寺湧水の完成形」ではない

ここは学校選びで特に重要なポイントです。

2025年度の大学実績は、現在の藤村女子の教育を受けてきた生徒たちによるものであり、2027年度から始まる吉祥寺湧水の新しいカリキュラムによる成果ではありません。

2027年度以降は、

  • 男女共学化
  • 中1からのふじらぼ学内予備校
  • AIオンデマンド学習
  • デジタル教育
  • アート教育
  • 英語教育の刷新
  • 6年間のキャリア教育
  • 総合型選抜につながる活動設計

などが本格的に始まります。

そのため、現在の大学合格者数だけを見て「6年後もこの水準」と判断するのも、「現在の実績がそれほど高くないから進学面に期待できない」と判断するのも早いでしょう。

吉祥寺湧水は、大学進学実績そのものもこれから作り直していく学校と考える方が実態に近いといえます。

中1から「ふじらぼ学内予備校」で大学受験の土台を作る

新しい吉祥寺湧水が進学面で特に力を入れているのが、§3・§6でも紹介した「ふじらぼ学内予備校」です。

学校では、大学受験に必要な学力は高校3年になってから急に身につくものではないとして、中学1年から英語・数学を中心に基礎学力を完成させていく方針を掲げています。

主な仕組みは、

  • 英語・数学を中心とする週2回・90分の対面授業
  • 中1〜中3の英語・数学に対応したAIオンデマンド学習
  • 大学生スクールサポーターによる質問・学習支援

です。

授業の補習だけではなく、定期考査、検定、大学受験までを切れ目なくつなげる学校内の予備校として設計されています。

「塾へ通うこと」を前提にしない進学支援

吉祥寺湧水では、学校の授業とは別に外部塾へ通うことを最初から前提にするのではなく、学校内で必要な学習量を確保できる環境を目指しています。

放課後にスポーツやアート、デジタル制作へ取り組んだ後、そのまま校内で英語・数学を学ぶことができます。

これにより、

「好きなことをやると受験勉強が遅れる」「大学受験を優先すると好きな活動を諦めなければならない」

という二者択一を避けようとしています。

新制度が大学進学実績へどこまで結びつくかは今後の検証が必要ですが、中1から6年間を見通して学力を積み上げる設計になっていることは、旧・藤村女子から大きく変わるポイントです。

進路は「行ける大学」ではなく「行く理由」で選ぶ

吉祥寺湧水が大学進学について繰り返し示している言葉が、

「進路を『行ける場所』ではなく『行く理由』で選ぶ」

という考え方です。

偏差値や模試の判定を否定しているわけではありません。大学合格を大切な節目としながらも、偏差値だけで志望大学を決めるのではなく、

  • なぜその学問を学びたいのか
  • なぜその大学なのか
  • 大学で何を経験したいのか
  • その先でどのように社会と関わりたいのか

まで自分の言葉で説明できるようにしていきます。

これは、総合型選抜対策としてだけでなく、一般選抜で大学へ進む場合にも必要な進路選択の軸と考えられています。

中1から始まる6年間のキャリア教育

進路について考えるのは、高校2・3年になってからではありません。

吉祥寺湧水では、中学1年から高校3年まで6年間のキャリア教育を設計しています。

最初から「将来の職業を決めなさい」と求めるのではなく、さまざまな仕事や大人に出会い、自分が何に心を動かされたのかを記録します。

その後、

出会う → 解きほぐす → 試す → 振り返る → 言葉にする

という経験を繰り返していきます。

中3では「学び方宣言」

中学校3年間の最後には、それまで経験してきたアート、デジタル、英語、部活動、文化祭、社会との交流などを振り返ります。

そして、

  • 自分は何が好きなのか
  • 何に没頭できるのか
  • どのような学び方が自分に合っているのか
  • 高校では何を深めたいのか

「学び方宣言」としてまとめます。

中学校卒業時に大学名を決めることが目的ではありません。

高校3年間で何を経験したいかを、自分なりに考えられる状態へ進むことが目的です。

高3では「未来の生き方宣言」

高校では、企業、専門機関、社会人、外部パートナーとの連携を通して、学校の外で自分の興味を試す機会を増やします。

高校3年では6年間の体験と学びを統合し、「未来の生き方宣言」として、

「どこへ進むのか」「なぜそこへ進むのか」

を自分の言葉で語ります。

一般選抜で大学を目指す場合でも、総合型選抜を利用する場合でも、最終的に本人が進路選択に納得できる状態を目指します。

アート・デジタルの活動は総合型選抜とも相性がよい

新しい吉祥寺湧水では、中高6年間で多くの制作・探究活動を経験します。

例えば、

  • AI・プログラミングによる制作
  • RobloxやUnityによるゲーム開発
  • Blenderを使った3D作品
  • アート作品の制作
  • 吉祥寺の街での作品販売
  • 自分で立ち上げた部活動
  • 文化祭での企画運営
  • 海外経験

などが考えられます。

これらを単発の「活動実績」で終わらせず、なぜ取り組んだのか、何を失敗したのか、どのように改善したのかを振り返って蓄積すれば、大学の総合型選抜で語れる具体的な経験にもなります。

学校も、部活動の立ち上げなどの経験を総合型選抜や進路選択につなげられることを明示しています。

作品を6年間のポートフォリオとして残す

特にアート・デジタル系の進路では、作品そのものが重要になります。

ふじらぼテックスクールでは、中学で作品制作を始め、高校では外部コンテストや個別探究へ発展し、高校3年で卒業制作・ポートフォリオへつなげる設計です。

アートでも、StArt、アートDay、ArtLab、リフレクトアートなどで制作した経験を積み重ね、必要に応じて専門的な美術進学対策へ進めます。

テストの点数だけでは見えにくい「自分が6年間で何を考え、何を作ってきたのか」を残せることは、新しい進路教育の強みになりそうです。

美大・藝大志望には「ふじらぼART予備校」

吉祥寺湧水は、アート教育を全員に行うだけでなく、本格的に芸術系の進路を希望する生徒への専門指導も用意します。

「ふじらぼART予備校」はena美術の監修を受け、デッサン、色彩構成、立体など、美術大学受験に必要な専門的な実技対策を行います。

将来的には、

  • 武蔵野美術大学
  • 多摩美術大学
  • 東京藝術大学

などの芸術系大学も視野に入れた進路指導を行う方針です。

一般大学向けの英語・数学の学内予備校と、美術系進学の専門指導を同じ学校内に用意する点は、吉祥寺湧水ならではの特徴です。

指定校推薦という選択肢もある

旧・藤村女子では、多くの私立大学から指定校推薦枠を得てきました。

直近の外部公表資料で確認できる主な指定校には、

  • 成蹊大学
  • 武蔵大学
  • 亜細亜大学
  • 東京経済大学
  • 杏林大学
  • 日本女子大学
  • 順天堂大学
  • 立命館大学
  • 武蔵野大学
  • 東海大学
  • 大東文化大学
  • 帝京大学
  • 国士舘大学
  • 東京医療保健大学
  • 東京女子体育大学

などがあります。

指定校や学部、人数は毎年度変更されるため、現在の枠が2027年度入学生の大学受験時まで保証されるものではありません。

しかし、一般選抜・総合型選抜だけでなく学校推薦型選抜も含めて進路を考えられることは、選択肢の一つです。

順天堂大学とは高大連携協定も

藤村女子高等学校は2023年に順天堂大学と高大連携協定を締結しています。

協定には、

  • 順天堂大学が指定する学部への学校長推薦枠
  • 大学教員による出張授業
  • 教員・学生・生徒の交流
  • 教育に関する情報交換

などが含まれています。

吉祥寺湧水では、教室の中だけで進路を考えるのではなく、大学や企業、専門家と直接関わりながら自分の興味を探していくため、こうした高大連携の蓄積も今後の進路教育に生かされていくことが期待されます。

東京女子体育大学・短期大学とは現在も姉妹校

藤村女子と東京女子体育大学・東京女子体育短期大学は、同じ創立母体を持つ姉妹校です。

2026年の校舎改修期間にも、両校の協力関係のもとで東京女子体育大学の施設が藤村女子の学習拠点として利用されています。

旧・藤村女子では大学キャンパスを訪れて授業を体験する高大連携プログラムなども行われてきました。

特にスポーツ・体育・教育分野へ進みたい生徒にとって、長年の関係を持つ大学があることは特徴の一つです。

ただし、学校法人は現在それぞれ別であり、「系列大学だから全員が自動的に内部進学できる」という大学附属校の仕組みではありません。推薦制度や選抜条件については、その年度の最新情報を確認する必要があります。

大学進学だけを唯一の出口にはしない

吉祥寺湧水の公式サイトでは、「大学合格は、ひとつの通過点」という考えを明確にしています。

大学進学を軽視するという意味ではありません。

むしろ中学1年から学内予備校を用意して基礎学力を積み上げる一方、大学名をゴールにしてしまわないことを重視しています。

本人の目標によっては、

  • 一般大学
  • 美術大学・芸術大学
  • 体育・スポーツ系大学
  • 海外大学
  • 専門的な教育機関

など異なるルートを検討できます。

「どの大学なら入れるか」ではなく、「自分が何をしたいから、どこで学ぶのか」を考えることが進路教育の中心です。

今後の大学実績は大きく変わる可能性がある

吉祥寺湧水の進学実績を評価する際には、もう一つ考えておきたいことがあります。

2027年度から男子が加わるだけでなく、募集人数は中学1年男女130名へ拡大します。入試制度も4科・2科に加えて、アート・エッセイ・デジタル・ダンスの表現創造入試を導入します。

つまり、旧・藤村女子とは入学してくる生徒の人数も属性も得意分野も大きく変わる可能性があります。

さらに中1から学内予備校を導入するため、一般大学を目指す生徒の学力層にも変化が期待されます。

一方、それが実際にどの程度大学合格実績へ結びつくかは、第一期生以降の結果を見るまで分かりません。

そのため受験時点では、過去の大学名だけではなく、新しいカリキュラムや進路支援の仕組みに6年間を預けたいと思えるかが学校選びの重要な判断材料になります。

吉祥寺湧水の進路教育は「これから実績を作る段階」

現時点の吉祥寺湧水を、大学合格者数だけで伝統的な進学校と比較するのは適切ではありません。

直近の藤村女子では、卒業生91名の中から東京学芸大学、明治大学、中央大学、法政大学などへの合格者を出していますが、2027年からは学校そのものが大きく変わります。

中1から英語・数学を積み上げる学内予備校、アート・デジタルの専門教育、6年間のキャリア教育、外部との連携、総合型選抜にもつながる豊富な活動経験など、大学へ向かうルートを従来より多様化させようとしていることが特徴です。

完成された難関大学実績を最優先する家庭であれば、現時点では実績豊富な他校の方が安心感があります。

一方で、「中学入学時の偏差値だけで将来を決めず、6年間で好きなことと学力の両方を伸ばして、自分なりの理由を持って進路を選んでほしい」という家庭には、新しい吉祥寺湧水の進路教育は非常に興味深い選択肢となるでしょう。

学費や諸経費について|初年度約140万円、放課後支援まで含めて考える

吉祥寺湧水中学校では、2027年度の中学校募集要項とあわせて、新しい学費体系も正式に公表されています。

2027年度の初年度納入金は、入学金・授業料・施設維持費・教育充実費・教材・活動費を合わせて124万円です。

さらに、中学校3年間で使用するMacBookプログラム費6万7,000円と、宿泊研修などに備える課外研修積立金年9万5,000円が必要です。

そのため、2027年度の中学1年次に学校へ支払う基本的な費用は、初年度納入金だけを見ると124万円ですが、MacBookと課外研修積立金まで含めると約140万2,000円が一つの目安となります。

2027年度の初年度納入金は124万円

項目金額支払方法
入学金280,000円入学手続時に一括
授業料600,000円/年年4回分納
施設維持費180,000円/年年4回分納
教育充実費120,000円/年年4回分納
教材・活動費60,000円/年年4回分納
初年度納入金合計1,240,000円

旧・藤村女子時代には初年度費用が90万円前後だった年度もありましたが、2027年度の吉祥寺湧水では、英語・デジタル・アート教育、新校舎、ICT環境などを含めて学費体系そのものが再編されています。

したがって、過去の藤村女子の学費をそのまま参考にするのではなく、2027年度の吉祥寺湧水として公表された124万円を基準に考える必要があります。

授業料は年間60万円

年間授業料は60万円です。

月額換算すると約5万円ですが、実際には毎月支払うのではなく、他の学納金とあわせて年4回に分けて口座振替となります。

施設維持費は年間18万円、教育充実費は年間12万円です。

教育充実費について学校は、

  • 英語教育
  • デジタル教育
  • アート教育
  • 吉祥寺湧水独自の教育活動

などを支える費用と説明しています。

§3で紹介したBilingualism Class、ふじらぼテックスクール、StArtなど、新しい「湧水メソッド」を支えるための費用がここに含まれていると考えると分かりやすいでしょう。

教材・日常の学校活動は年間6万円

教材・活動費は年間6万円です。

通常の教材だけでなく、日常的な学校行事や探究・表現活動など、学校生活の基本となる活動費に充てられます。

アートやデジタル教育が充実しているため、「すべての制作活動について毎回追加料金が必要なのでは」と心配する家庭もあるかもしれませんが、通常の教育活動については教材・活動費や教育充実費の中に組み込まれています。

ただし、個人的に専門的な道具を購入する場合や希望制プログラムなどは、別途費用が発生する可能性があります。

課外研修積立金は年間9万5,000円

学費とは別に、課外研修積立金として年間9万5,000円を納入します。

これは、

  • 宿泊を伴う研修旅行
  • 合宿
  • その他の校外研修

などに使用するための預り金です。

年間9万5,000円を年4回に分けて積み立てます。

なお、これは旅行会社などへ最終的に支払う確定額ではなく、あくまで学校が預かる積立金です。実際の費用との差額が発生した場合には返還されることも学校募集要項に明記されています。

授業料などは年4回、1回26万3,750円

入学後の、

  • 授業料
  • 施設維持費
  • 教育充実費
  • 教材・活動費
  • 課外研修積立金

は、4月・7月・10月・1月の年4回に分けて口座振替となります。

2027年度については、1回あたり26万3,750円です。

納入時期金額
4月263,750円
7月263,750円
10月263,750円
1月263,750円
年間合計1,055,000円

これとは別に、入学時には入学金28万円とMacBookプログラム費6万7,000円が必要になります。

中1で実際に学校へ支払う費用は約140万2,000円

2027年度に必要となる主な費用をまとめると、次のようになります。

費用中学1年次
入学金280,000円
授業料・施設維持費・教育充実費・教材活動費960,000円
課外研修積立金95,000円
MacBookプログラム費67,000円
合計1,402,000円

したがって、学校へ納める基本的な費用としては、初年度約140万円を見ておくと分かりやすいでしょう。

これに、希望制の放課後プログラムや留学、個人的な購入品、交通費などが加わる可能性があります。

MacBookは「BYOD」ではなく学校指定プログラム

旧・藤村女子では1人1台端末を利用してきましたが、2027年度の吉祥寺湧水では学校指定のMacBookプログラムが正式に設定されています。

費用は中学校3年間で6万7,000円です。

学校が指定機種を一括して手配・契約し、専用学習端末として利用します。

この6万7,000円には、

  • MacBook端末
  • 初期設定
  • 3年間の保証
  • MDMによる端末管理

などが含まれています。

そのため、一般的なBYODのように各家庭が好きな機種を購入して持ち込む方式ではありません。

家庭ごとに10万円以上のパソコンを別途購入する必要がない点は、ICT教育に力を入れる学校としては費用を把握しやすい仕組みです。

指定制服がないため、制服代は0円

2027年度の吉祥寺湧水で大きく変わるのが制服です。

学校は募集要項で、

「本校に指定の制服はなく、費用はかかりません」

と明記しています。

旧・藤村女子では指定制服があり、制服一式に10万円前後の費用が必要でしたが、吉祥寺湧水では指定制服そのものをなくします。

そのため、学費自体は旧校より高くなる一方、入学時に10万円前後の制服一式を購入する費用は不要になります。

実際の通学時の服装ルールについては、学校説明会などで最新の運用を確認しておくとよいでしょう。

月額9,800円で「活動+学内予備校」

通常の学費とは別に、吉祥寺湧水の大きな特徴となるのが月額9,800円の放課後システムです。

§6で紹介した、

  • さまざまな活動を試す「湧水放課後 Pass」
  • 一つの分野を専門的に深める「湧水アカデミー Pass」

のいずれを選んだ場合でも、数学・英語を中心とする「ふじらぼ学内予備校」をセットで利用できる仕組みです。

学内予備校には、

  • 週2回・90分の英語・数学対面授業
  • AIオンデマンド学習
  • 大学生によるスクールサポート

が含まれています。

利用する場合の料金は月額9,800円です。

1年間なら約11万7,600円

月額9,800円を12か月利用すると、年間では、

9,800円 × 12か月 = 117,600円

となります。

学校が示している単純試算では、中高6年間継続した場合の費用は約70万6,000円です。

一般的な学習塾や予備校へ6年間通う場合と比較すると、かなり抑えた価格設定となっています。

ただし、学校も、

  • 対象講座
  • 開講日
  • 受講条件

は年度によって変更される場合があるとしています。

また、この約70万6,000円は月額料金を単純に6年間積み上げた試算なので、将来の価格が6年間固定されることを保証するものではありません

ふじらぼART予備校も月額9,800円に含まれる

さらに注目したいのが、§3で紹介した「ふじらぼART予備校」です。

美大・藝大を目指す生徒向けに、ena美術監修によるデッサン、色彩構成、立体などの専門指導を行います。

学校公式では、このART予備校についても月額9,800円の同じ料金に含まれるとしています。

一般的に、美術大学受験では通常の学習塾とは別に美術予備校へ通うため、年間で相応の費用が必要になります。

吉祥寺湧水では、一般大学へ向けた英語・数学の学習と、美術系大学へ向けた実技指導を学校内で選択できるため、進路によって複数の予備校へ通う負担を抑えられる可能性があります。

ただし「月9,800円ですべて無料」と考えない

非常に魅力的な価格ですが、注意も必要です。

学校公式でも、月額9,800円について、

  • 対象講座や開講日は年度により異なる可能性がある
  • 入会金
  • 教材費
  • 季節講習費
  • 交通費

などは単純試算に含めていないとしています。

したがって、「月額9,800円を払えば6年間どの講座でも追加料金が一切発生しない」と解釈するのは避けた方がよいでしょう。

実際にどの活動を利用するかによって、家庭の負担額は変わります。

希望制の海外留学は別途確認が必要

吉祥寺湧水では、英語教育の一環として留学・海外体験にも力を入れます。

特に選抜制の校費留学については、学校側が費用を負担する制度が用意されています。

一方、すべての海外プログラムが学校負担になるわけではありません。

希望制の海外研修や留学、追加的な国際プログラムへ参加する場合には、別途費用が必要になる可能性があります。

また、修学旅行・宿泊研修については年間9万5,000円の課外研修積立金を利用しますが、具体的な行き先や実施内容によって費用が変動するため、海外教育へ積極的に参加したい家庭は通常の学費とは別に余裕を持って教育費を考えておくと安心です。

中学校3年間の基本負担は約351万円

現在公表されている2027年度の金額が中学3年間変わらないと仮定すると、基本的な学校納入金は次のようになります。

学年基本費用の目安
中学1年1,402,000円
中学2年1,055,000円
中学3年1,055,000円
3年間合計3,512,000円

中学2・3年は、入学金とMacBookプログラム費がないものとして計算しています。

したがって、現在の2027年度料金を基準にすれば、中学校3年間で約351万円が一つの目安です。

ただし、実際には学費改定、研修旅行の精算、希望制プログラムなどによって金額は変わります。

放課後システムを3年間利用すると約35万3,000円

さらに月額9,800円の放課後・学内予備校システムを中学校3年間利用した場合、単純計算では、

9,800円 × 36か月 = 352,800円

となります。

これを基本的な学校納入金へ加えると、現在の金額が変わらないと仮定した中学校3年間の負担は約386万円となります。

ただし、この数字はあくまで比較のための単純試算です。

実際には、利用期間、制度変更、追加講座、海外プログラムなどによって家庭ごとの負担額は異なります。

特待生なら初年度124万円が全額免除

吉祥寺湧水では、2027年度入試から特待生制度を設けます。

入試成績が優秀で、入学後の活躍が期待される受験生について、初年度納入金124万円を全額免除します。

対象となるのは、

  • 4科入試
  • 2科入試
  • 表現創造入試
  • 帰国生入試

すべての入試方式です。

学校は、各入試における成績上位5%程度を目安として特待生を認定するとしています。

つまり、一般的な学力試験で高得点を取った生徒だけでなく、アート・エッセイ・デジタル・ダンスによる表現創造入試でも特待生になる可能性があります。

特待制度は中3まで継続の可能性

さらに、特待生制度は初年度だけとは限りません。

入学後の学びの状況をもとに毎年継続を確認し、条件を満たした場合には中学3年まで

  • 授業料
  • 施設維持費
  • 教育充実費
  • 教材・活動費

が免除されます。

継続条件には吉祥寺湧水高等学校への内部進学が前提とされています。

特待制度を維持できれば3年間の学費負担は大きく変わるため、学力だけでなくアート・デジタル・ダンスなどに強みを持つ受験生にも注目したい制度です。

入学金は延納でき、期限内辞退なら返還も

2027年度入試では、入学金についても比較的柔軟な制度があります。

通常は合格後、指定された期限までに28万円を納入しますが、希望すれば2027年2月10日15時まで延納できます。

さらに、いったん入学手続きを行った後でも、同じ2月10日15時までに辞退した場合には、学校が負担した決済手数料を差し引いて入学金が返還されます。

私立中学入試では、他校の合格発表を待つために数十万円の入学金を「捨て金」として納めざるを得ないケースもあります。

その点、吉祥寺湧水は併願受験を考える家庭にとって利用しやすい入学手続制度になっています。

高校3年間を含む6年間の総額はまだ確定できない

吉祥寺湧水は中高一貫校なので、家庭としては高校3年間まで含めた教育費を考える必要があります。

ただし、2026年8月時点では、2027年度高校募集要項は8月中旬公開予定とされており、高校段階の新しい学費体系の詳細はまだ正式に公表されていません。

そのため、中学校の2027年度学費をそのまま6年間単純に延長して、吉祥寺湧水の「6年間総額」とすることはできません。

高校進学時には、

  • 高校段階の授業料
  • 内部進学時の費用
  • ICT端末の更新
  • 研修・留学関連費
  • 高校授業料支援制度

などを改めて確認する必要があります。

学費だけでなく「学外教育費」まで含めて比較したい

吉祥寺湧水は、決して学費の安い私立中学校ではありません。

初年度に学校へ納める基本費用は約140万円となり、放課後制度を利用すれば追加費用も発生します。

一方で、学校が強く打ち出しているのが「学外で発生する教育費まで含めて考える」という視点です。

学校内に、

  • 英語・数学の学習支援
  • AIオンデマンド学習
  • 大学生のスクールサポート
  • スポーツ・文化活動
  • デジタル教育
  • 美大・藝大向けART予備校

を用意することで、外部の塾や予備校へ複数通う必要性を減らそうとしています。

その仕組みを十分に利用する家庭であれば、「学校へ払う金額」だけでは高く見えても、塾・部活動・専門教育まで含めた総教育費では評価が変わる可能性があります。

逆に、学校外の塾や習い事を中心に利用する予定であれば、吉祥寺湧水の校内サポートをどこまで利用するかも含めて費用対効果を考えた方がよいでしょう。

2027年度は「124万円+MacBook+研修費」が基本

吉祥寺湧水中学校の2027年度学費を整理すると、まず覚えておきたいのは、

初年度納入金124万円 + MacBookプログラム費6万7,000円 + 課外研修積立金9万5,000円

という構成です。

これを合わせると、中学1年次の基本的な学校負担は約140万2,000円となります。

一方、指定制服はなく、制服購入費は不要です。さらに希望すれば月額9,800円で放課後活動と学内予備校を組み合わせることができます。

旧・藤村女子の学費とはかなり変わっているため、受験を検討する際には過去の学校情報ではなく、2027年度の吉祥寺湧水として公表された新しい料金体系を基準に家計計画を立てることが重要です。

入試情報と合格の目安|2027年度から男女募集、表現創造入試にも注目

吉祥寺湧水中学校の2027年度入試は、前身の藤村女子中学校から入試制度そのものが大きく変更されます。

共学化初年度となる2027年度は、男女合わせて130名を募集。一般的な4科入試・2科入試に加えて、アート・エッセイ・デジタル・ダンスから自分の得意分野を選ぶ「表現創造入試」を大規模に導入します。

特に注目したいのは、130名のうち50名を表現創造入試で募集することです。

「特色入試も少し実施する」という程度ではなく、学校として学力試験と同じくらい、その子が何に夢中になり、どのように考え、表現するのかを入学時から重視していることが分かります。

2027年度は男女130名を募集

入試方式募集人数主な日程
4科入試70名2月1日午前・2月4日午前
2科入試10名2月2日午前
表現創造入試50名2月1日午後・2月4日午後
帰国生入試若干名2026年12月頃予定

4科入試70名のうち、第1回が60名、第2回が10名。表現創造入試50名のうち、第1回が30名、第2回が20名となっています。

帰国生入試の合格者数によって、2月の4科・2科・表現創造入試の合格者数を調整する場合があります。

2027年度入試の日程一覧

試験日時間帯入試方式募集人数試験内容
2月1日(月)午前4科入試 第1回60名国語・算数・理科・社会
2月1日(月)午後表現創造入試 第1回30名作品・実演+対話
2月2日(火)午前2科入試10名国語・算数
2月4日(木)午前4科入試 第2回10名国語・算数・理科・社会
2月4日(木)午後表現創造入試 第2回20名作品・実演+対話

2月1日から4日まで複数の受験機会があり、特に2月1日・4日は午前に4科、午後に表現創造入試を設定しています。

すべての入試が併願可能なので、吉祥寺湧水を第一志望とする受験生だけでなく、他校との組み合わせにも利用しやすい日程です。

4科入試は国算各100点、理社も各100点

4科入試は、中学受験では一般的な国語・算数・理科・社会で行われます。

科目試験時間配点
国語50分100点
算数50分100点
理科40分100点
社会40分100点
合計400点

注目したいのは、理科・社会もそれぞれ100点で、4教科がすべて同じ配点になっていることです。

国語・算数だけを極端に重視する入試ではないため、理科・社会を得意とする受験生も力を生かしやすい構成です。

2月1日の第1回は募集60名と最も募集枠が大きいため、4科で受験勉強を進めている受験生が吉祥寺湧水を第一志望にする場合には、まず第1回4科入試を軸に考えるのが基本となるでしょう。

2科入試は2月2日午前の1回だけ

国語・算数に絞って受験したい場合には、2月2日午前の2科入試があります。

国語50分・100点
算数50分・100点
合計200点
募集人数10名

ただし、4科第1回の60名に対して、2科入試の募集は10名です。

そのため、「2科だから4科より入りやすい」とは限りません。2科受験に絞って準備している受験生や、2月1日に別の第一志望校を受験する家庭にとって利用しやすい方式と考えた方がよいでしょう。

最大の特徴は「表現創造入試」

2027年度入試で最も吉祥寺湧水らしいのが、表現創造入試です。

次の4分野から、自分の得意な表現方法を選択します。

  • アート
  • エッセイ
  • デジタル
  • ダンス

一般的な筆記試験では測りにくい、表現力、創造力、考える力、活動への熱量などを見る入試です。

募集人数も第1回30名、第2回20名の計50名あり、2027年度の全募集人数130名のうち約4割を占めます。

吉祥寺湧水にとって表現創造入試は「少数の特色枠」ではなく、学校のアドミッションポリシーを象徴する主要な入試方式といえるでしょう。

表現創造入試は「作品・実演+対話」

表現創造入試では、4教科の筆記試験を行いません。

基本的な選考は、

作品・実演 + 対話(15〜20分)

です。

そのため、作品の完成度だけで合否が決まる入試ではありません。

例えば、

  • なぜこの作品を作ったのか
  • どこを工夫したのか
  • 途中で何に困ったのか
  • そのときどう考えたのか
  • 自分の作品を通して何を伝えたいのか

などについて、自分の言葉で説明する力も重要になります。

「すごい作品を持っている子を選ぶ」というより、「その子がどのように考え、試し、表現してきたのかを見る」入試と捉えるとよいでしょう。

アート入試は「絵が上手な子だけ」の入試ではない

アート方式では、吉祥寺湧水が教育でも大切にしている「表現すること」を入試でも評価します。

吉祥寺湧水のアート教育そのものが、写実的に絵を上手に描くことだけを目的にしていません。

そのため受験準備でも、単純な絵画技術だけではなく、

  • 自分は何を表現したいのか
  • なぜその方法を選んだのか
  • 作品にどのような意図を込めたのか

を説明できることが重要になると考えられます。

2027年度の具体的な試験課題については、2026年9月に学校から公開予定です。

エッセイは「自分の言葉」で考える子に向く

文章を書くことが好きな受験生にはエッセイ方式があります。

一般的な国語の記述問題のように「文章中から答えを探す」のではなく、一つのテーマについて自分が何を感じ、どのように考えるのかを文章で表現するタイプの入試となります。

吉祥寺湧水は日常の教育でも、周囲と同じ答えを出すことより、

「私は少し違うと思う。それはなぜだろう」

という違和感を大切にしています。

文章を書くことが得意なだけでなく、日常の出来事について自分なりに考える習慣がある子には、相性のよい方式になりそうです。

プログラミングや制作が好きなら「デジタル」

デジタル方式も、学校の「ふじらぼテックスクール」と直結した入試です。

プログラミング、ゲーム制作、3D制作、デジタルアートなどに興味を持つ受験生にとって、一般的な国算理社では表しにくい力を評価してもらえる入口となります。

大切なのは、完成した作品だけではなく、

  • 何を作ろうとしたのか
  • 誰に使ってほしいのか
  • どこで失敗したのか
  • どう修正したのか

といった制作過程です。

中学入学後もAI、Roblox、Unity、Blenderなどを使った制作へ発展するため、小学生の段階からデジタル制作に夢中になっている子には非常に特徴的な入試方式です。

ダンスも正式な入試科目に

身体表現を得意とする受験生はダンス方式を選択できます。

ダンスは2027年度からの湧水アカデミー Passでも明示されている活動の一つです。

中学受験では学力試験や作文、英語などを特色入試にする学校は増えていますが、ダンスを主要な入試方式の一つとして明確に位置づける学校は多くありません

小学生のころからダンスや身体表現に取り組んできた子にとって、これまで積み重ねてきた経験そのものを中学入試で評価してもらえる可能性があります。

第1回と第2回で違う表現分野を選ぶこともできる

表現創造入試は2回受験できます。

さらに特徴的なのが、2回で同じ分野を選ぶ必要がないことです。

例えば、

  • 2月1日午後:エッセイ
  • 2月4日午後:デジタル

という受験も可能です。

「文章も好きだがデジタル制作にも取り組んでいる」というように、複数の強みを持つ子は、それぞれ異なる形で挑戦できます。

もちろん、同じ方式で再挑戦することもできます。

「制作日記」も重要になりそう

学校は、表現創造入試について「制作日記」の様式を2026年9月に公開する予定です。

これは、完成作品だけを見るのではなく、制作までの過程を評価するという学校の考え方とも一致しています。

作品制作では、

  • 最初に何を考えたのか
  • 途中でどのように変更したのか
  • 何を失敗したのか
  • 誰からどのような意見をもらったのか
  • それによって何を改善したのか

といったプロセスそのものが大切です。

表現創造入試を考えている受験生は、9月の正式課題発表後に急いで作品を作るのではなく、普段から自分の制作過程を言葉にする習慣をつけておくとよいでしょう。

帰国生入試は2026年12月頃を予定

帰国生については、2026年12月頃に帰国生入試を実施する予定です。

募集人数は若干名です。

ただし、2026年8月8日時点では、学校公式サイト上で帰国生入試の詳細な出願資格・試験科目はまだ公開されていません。

学校は2026年8月中に帰国生入試募集要項を公開予定としているため、帰国生として受験を考える場合には、今後発表される正式要項を確認しましょう。

出願は1月10日からWEBで受付

4科・2科・表現創造入試は、すべてWEB出願です。

出願開始は2027年1月10日9時です。

入試出願締切
2月1日 4科第1回1月31日 23:59
2月1日 表現創造第1回1月31日 23:59
2月2日 2科2月1日 23:59
2月4日 4科第2回2月3日 23:59
2月4日 表現創造第2回2月3日 23:59

2月2日・4日の入試は直前まで出願できるため、それまでの入試結果を見て追加出願することも可能です。

受験料は初回2万5,000円、2回目以降5,000円

検定料は、初回が25,000円です。

2回目以降は、1回につき5,000円となります。

1回受験25,000円
2回受験30,000円
3回受験35,000円

同時出願でも後から追加出願しても合計金額は変わりません。また、決済方法に応じて発生する手数料は学校が負担します。

第一志望の場合には、4科・2科・表現創造を組み合わせながら複数回受験しやすい料金体系です。

すべての入試方式で特待生を選抜

§8でも紹介した通り、吉祥寺湧水には特待生制度があります。

対象となるのは、

  • 4科入試
  • 2科入試
  • 表現創造入試
  • 帰国生入試

すべてです。

入試成績上位5%程度を目安に特待生を認定し、特待生になった場合には初年度納入金124万円を全額免除します。

特に注目したいのは、表現創造入試も対象であることです。

つまり、4教科の得点が非常に高い子だけではなく、アート・文章・デジタル・ダンスなどに突出した力を持つ子にも特待生になるチャンスがあります。

特待は中3まで継続可能

特待生は入学後の学びの状況を毎年確認し、条件を満たせば中学3年まで継続できます。

継続された場合、

  • 授業料
  • 施設維持費
  • 教育充実費
  • 教材・活動費

が免除されます。

吉祥寺湧水高等学校への内部進学が前提となるため、特待を目指す場合は中高6年間を同校で過ごす意思も重要になります。

入学金を2月10日まで延納できる

吉祥寺湧水では、併願受験をしやすくするための入学金延納制度も用意されています。

2月1日・2日の入試に合格した場合、通常の入学手続期限は2月3日23時ですが、希望すれば入学金28万円の納入を2月10日15時まで延ばすことができます。

さらに、いったん手続きを済ませた場合でも、2月10日15時までに辞退すれば、学校が負担した決済手数料を除いて入学金が返還されます。

2月3日以降にも第一志望校の受験を残している家庭にとって、利用しやすい制度です。

2027年度は試験会場にも注意

2027年度受験では、試験会場にも注意が必要です。

吉祥寺校舎は改修工事中のため、学校は2027年度入試では吉祥寺校舎を試験会場として使用しないとしています。

具体的な試験会場は2026年9月に学校公式サイトで公表予定です。

普段の学校所在地だけを見て「吉祥寺駅へ行けばよい」と思い込まず、出願後に必ず正式な試験会場を確認しましょう。

偏差値は「40前後」が現在の一つの目安

共学化初年度となる2027年度について、首都圏模試系の最新データでは、吉祥寺湧水の80%合格偏差値は男子・女子ともおおむね39〜40前後が一つの目安として示されています。

旧・藤村女子の近年の偏差値帯も30台後半〜40台前半が中心でした。

ただし、2027年度は、

  • 女子校から共学校へ変更
  • 男子募集を初めて開始
  • 中学募集人数を男女130名へ拡大
  • 4科70名・2科10名へ再編
  • 表現創造入試を50名募集
  • 学校名・校舎・教育内容を全面刷新

という大きな変化があります。

そのため、過去の藤村女子の偏差値をそのまま2027年度の難易度と考えることはできません

男子は特に過去データが存在しない

女子については藤村女子時代の入試実績がありますが、男子は2027年度が初募集です。

したがって男子については、

  • 何人が出願するのか
  • どの学力層が集まるのか
  • 男女比がどうなるのか
  • 併願校としてどの学校から受験生が流れてくるのか

について、過去実績から判断することができません。

現時点の模試偏差値は参考になりますが、2027年度は実際の志願者動向によって難易度が動きやすい学校と考えておいた方がよいでしょう。

「偏差値40だから簡単」とは考えない方がよい

偏差値40前後という数字だけを見ると、「それほど難しくない」と感じる家庭もあるかもしれません。

しかし、吉祥寺湧水は2027年に大規模な学校改革を行うため、説明会や新しい教育内容への注目がそのまま志願者増につながる可能性があります。

特に、

  • 吉祥寺駅徒歩圏という立地
  • 共学化
  • 新校舎
  • AI・デジタル教育
  • アート教育
  • 表現創造入試
  • 月額制の学内予備校・放課後制度

などは、これまで藤村女子を検討していなかった家庭にも届きやすい要素です。

第一期生を確実に目指すのであれば、現在の模試偏差値より少し余裕を持った学力をつけておきたいところです。

4科・2科はまず基礎問題を落とさない力を

4科・2科入試は2027年度から新しい形になるため、現時点では同じ形式での合格最低点や過去問データがありません。

そのため、「何点取れば合格」という確実な基準を示すことはできません。

受験準備ではまず、

  • 国語の文章を正確に読み取る
  • 算数の基本〜標準問題を確実に得点する
  • 理科・社会の基本知識を定着させる
  • 途中式や記述を丁寧に書く
  • 制限時間内に最後まで解く

といった中学受験の基礎〜標準レベルを安定させることが重要です。

共学化初年度は倍率も読みにくいため、ぎりぎりの合格点を狙うより、模試で安定して合格圏へ入る状態を目指した方が安心でしょう。

表現創造入試は偏差値だけでは判定できない

さらに注意したいのが、表現創造入試です。

アート・エッセイ・デジタル・ダンスでは、通常の国算偏差値だけでは合格可能性を判断できません。

例えば模試偏差値がそれほど高くなくても、何年間もデジタル制作を続けてきた子や、自分の考えを文章や作品で非常に深く表現できる子にはチャンスがあります。

反対に、学力偏差値が高くても、用意した作品について自分の言葉で説明できなければ、表現創造入試で必ず有利になるとは限りません。

「偏差値とは別の軸で自分を評価してもらう入試」と考えるとよいでしょう。

表現創造入試志望者は9月の課題公開が重要

2026年8月8日時点では、表現創造入試の大枠は発表されていますが、具体的な試験テーマ・制作日記の様式はまだ公開されていません。

学校は2026年9月に公表する予定です。

また、2026年11月には試験当日の諸注意も公開予定です。

表現創造入試を考えている家庭は、一般入試以上に今後の追加情報が重要になります。

学校説明会や体験イベントにも参加し、「学校が作品の何を評価しようとしているのか」を理解しておくとよいでしょう。

第一志望なら複数方式を組み合わせる方法も

吉祥寺湧水は、すべての入試で複数回出願が可能です。

例えば、4科で受験勉強をしていてデジタル制作も好きな子なら、

  • 2月1日午前:4科入試
  • 2月1日午後:表現創造・デジタル
  • 2月4日午前:4科入試

という受験も考えられます。

国語・算数中心で学習してきた子なら、2月2日の2科入試を組み合わせることもできます。

吉祥寺湧水を第一志望とする場合には、単純に同じ試験を繰り返すだけでなく、「学力」と「自分の得意な表現」の両方から合格を目指せることが大きな特徴です。

2027年度入試で最も重要なのは「第一期生であること」

吉祥寺湧水の2027年度入試では、過去の倍率や合格最低点だけから受験戦略を立てることができません。

学校名も教育内容も入試方式も大きく変わり、男子も初めて受験します。

そのため、2026年秋以降は、

  • 模試の志望者数
  • 学校説明会の参加状況
  • 各入試回の予想偏差値
  • 9月発表の表現創造入試課題
  • 試験会場
  • 帰国生入試の詳細

などを継続的に確認することが重要です。

現段階では首都圏模試で偏差値40前後が一つの学力目安ですが、第一志望であればその数字だけを安心材料にせず、4科・2科では基礎〜標準問題を確実に得点する力を身につけ、表現創造入試では自分の制作や考えを言葉で説明できる準備を進めたいところです。

学力だけでも、個性だけでもない。どの入口からなら自分の力を最も自然に表現できるのかを選べることが、2027年度吉祥寺湧水中学校入試の最大の特徴といえるでしょう。

併願校パターン|共学化後の難易度と入試日程から考える受験プラン

吉祥寺湧水中学校の2027年度入試は、2月1日午前・午後、2月2日午前、2月4日午前・午後に受験機会があります。

さらに、4科入試・2科入試・表現創造入試という性格の異なる入試を組み合わせられるため、第一志望として複数回受験することも、他校の午前・午後入試と組み合わせることもできます。

併願を考える際には、単純な偏差値だけでなく、吉祥寺からの通いやすさ、共学・別学、探究やアートへの考え方、本人が実際に進学したいと思えるかまで確認しておくことが重要です。

また、吉祥寺湧水は2027年度が共学化初年度です。現在の予想偏差値は40前後ですが、志願者動向によって難易度が変化する可能性があります。そのため、ここでの「チャレンジ・標準・安全」はあくまで現時点での目安として考えてください。

吉祥寺湧水を基準にした主な併願候補

位置づけ学校名2027年度の主な入試日特徴
チャレンジ校文化学園大学杉並中学校2月1日午前・午後、2月2日午前・午後、2月3日午前、2月4日午前英語・グローバル教育に強い共学校。中央線沿線から通いやすく、入試回数も豊富
明星Institution中等教育部2月1日午後、2月2日午前・午後、2月3日午前・午後、2月5日午後探究・国際教育を重視する共学校。複数回入試と特待入試がある
聖徳学園中学校2月1日午前・午後、2月2日午前・午後、2月3日午前、2月11日午前武蔵境駅徒歩3分。STEAM・ICT・プログラミングなど吉祥寺湧水と比較しやすい
標準校吉祥寺湧水中学校2月1日午前・午後、2月2日午前、2月4日午前・午後4科・2科・表現創造入試を実施。2027年度から男女130名募集
明星学園中学校2月1日午前・午後、2月2日午後、2月4日午後井の頭エリアの共学校。個性や表現を重視する校風で比較対象になりやすい
安全校候補東京立正中学校2月1日午前・午後、2月2日午前・午後、2月4日午前・午後、2月14日基礎型2科に加え自己プレゼンテーション入試もあり、吉祥寺湧水の表現創造入試との相性がよい
佼成学園女子中学校
※女子のみ
2027年度一般入試の正式日程は今後発表予定。直近2026年度は2月1日〜5日に複数回実施英語・グローバル教育が充実。女子受験生の安全校候補として検討しやすい

安全校は「偏差値が低いから」という理由だけで決めるものではありません。実際に合格した場合には進学する可能性があるため、学校説明会や文化祭にも足を運び、本人が6年間通ってもよいと思える学校を選びましょう。

チャレンジ校①|文化学園大学杉並中学校

吉祥寺湧水より少し上の学力帯を目指す場合、比較しやすい学校の一つが文化学園大学杉並中学校です。

2027年度は次のように多くの入試機会があります。

  • 2月1日午前:第1回 2科・4科
  • 2月1日午後:第2回 2科、英語特別入試
  • 2月2日午前:第3回 2科・4科
  • 2月2日午後:第4回 2科、英語特別入試
  • 2月3日午前:第5回 2科・4科
  • 2月4日午前:第6回 2科

文化学園大学杉並も共学校で、英語・グローバル教育に力を入れています。

中央線を利用しやすい立地でもあるため、「共学」「英語教育」「中央線沿線」を条件に学校を探している家庭には比較しやすい組み合わせです。

チャレンジ校②|明星Institution中等教育部

明星Institution中等教育部も、探究や国際教育を重視する家庭には検討したい学校です。

2027年度一般入試は、

  • 2月1日午後
  • 2月2日午前・午後
  • 2月3日午前・午後
  • 2月5日午後

と複数回設定されています。

2月2日午前には4科の特待生入試もあり、学力に余裕がある受験生が奨学生合格を目指すこともできます。

吉祥寺湧水よりもやや高い学力帯からのチャレンジになりやすい一方、「知識だけではなく、自分で考えて行動する教育」という点では比較しやすい学校です。

チャレンジ〜標準候補|聖徳学園中学校

地理的に特に比較しやすいのが、武蔵境にある聖徳学園中学校です。

JR中央線「武蔵境駅」から徒歩約3分で、吉祥寺からも短時間で移動できます。

2027年度には、

  • 2月1日午前:プライマリー入試・適性検査型
  • 2月1日午後:特別奨学生入試など
  • 2月2日午前
  • 2月2日午後:プログラミング入試など
  • 2月3日午前
  • 2月11日午前

と、多様な入試を実施します。

特にプログラミング入試がある点は、吉祥寺湧水のデジタル方式による表現創造入試を検討する家庭にとって興味深いところです。

AI・デジタル・STEAM系の教育に魅力を感じている場合には、両校を見比べておくとよいでしょう。

標準候補|明星学園中学校

吉祥寺湧水と同じ吉祥寺・井の頭エリアで比較しやすいのが明星学園中学校です。

2027年度入試は、

入試日程試験内容
A入試2月1日午前国語・算数+面接
B入試2月1日午後国語・算数+面接
C入試2月2日午後国語・算数+面接
D入試2月4日午後国語・算数+面接

明星学園も、画一的な価値観より一人ひとりの個性や考えを重視する学校です。

吉祥寺湧水の「who I am」や表現創造入試に魅力を感じる家庭は、明星学園の教育方針にも共通点を感じる可能性があります。

学校の雰囲気はかなり異なるため、偏差値だけではなく実際に両校を訪れて比較したい組み合わせです。

安全校候補|東京立正中学校

吉祥寺湧水がチャレンジ〜標準圏にある受験生の場合には、東京立正中学校も安全校候補の一つとして考えられます。

2027年度は、

  • 2月1日午前:2科・適性検査型
  • 2月1日午後:自己プレゼンテーション
  • 2月2日午前:選択2科
  • 2月2日午後:奨学生
  • 2月4日午前:奨学生
  • 2月4日午後:自己プレゼンテーション
  • 2月14日:複数方式

と多数の受験機会があります。

特に自己プレゼンテーション入試は、300字の作文と自己PRプレゼンテーション、面接で評価されます。

吉祥寺湧水の表現創造入試に向けて、「自分の好きなことを人前で説明する」準備を進めている受験生にとって、相性のよい併願候補です。

女子なら佼成学園女子も候補

女子受験生の場合には、佼成学園女子中学校も安全校候補として検討できます。

同校は英語・グローバル教育に長年力を入れており、吉祥寺湧水で英語教育や海外経験に魅力を感じている家庭とも比較しやすい学校です。

直近の2026年度入試では、2月1日から5日まで毎日一般入試を実施し、午後には特待入試なども設定していました。

ただし、2027年度の一般入試については2026年8月8日時点で正式な募集要項がまだ公開されていません。帰国生入試はすでに2027年度要項が公表されていますが、一般入試の日程は今後の発表を確認しましょう。

パターン1|吉祥寺湧水を第一志望にする

吉祥寺湧水への志望度が高い場合には、学校が用意する複数の入口を最大限活用できます。

日程午前午後
2月1日吉祥寺湧水 4科第1回吉祥寺湧水 表現創造第1回
2月2日吉祥寺湧水 2科明星学園Cなど、合否状況に応じて選択
2月3日安全校・休養など必要に応じて他校
2月4日吉祥寺湧水 4科第2回吉祥寺湧水 表現創造第2回

例えば、4科受験の準備をしながらデジタル制作が得意な子であれば、2月1日午前に4科、午後にデジタル方式の表現創造入試を受験できます。

異なる評価軸で複数回挑戦できるため、吉祥寺湧水を第一志望にする受験生には非常に相性のよい入試制度です。

ただし、午前・午後連続受験は負担も大きい

2月1日に午前4科・午後表現創造の両方を受験すれば、合格機会を増やすことはできます。

しかし、小学6年生が午前中に4教科の試験を受け、その後さらに15〜20分の対話を伴う表現創造入試へ臨むのは、決して軽い負担ではありません。

特に表現創造入試では、疲れていても自分の作品や考えを言葉で説明する必要があります。

本人の体力・集中力によっては、最も得意な方式に絞る方が結果につながる場合もあります。

パターン2|上位校に挑戦し、吉祥寺湧水を併願する

模試で吉祥寺湧水の合格圏を安定して上回っている場合には、午前に上位校へ挑戦して、午後に吉祥寺湧水の表現創造入試を受験する方法があります。

日程午前午後
2月1日文化学園大学杉並 第1回など吉祥寺湧水 表現創造第1回
2月2日聖徳学園・明星Institutionなど上位校の午後入試
2月3日チャレンジ校必要に応じて安全校
2月4日吉祥寺湧水 4科第2回吉祥寺湧水 表現創造第2回または他校

このパターンでは、吉祥寺湧水を単なる「偏差値上の安全校」ではなく、合格したら本当に進学したい学校かを事前に確認しておくことが重要です。

パターン3|吉祥寺湧水がチャレンジ圏の場合

模試で吉祥寺湧水がチャレンジ圏にある場合には、2月1日から吉祥寺湧水だけを繰り返し受験するのではなく、早い段階で一つ合格を確保することも考えたいところです。

日程午前午後
2月1日吉祥寺湧水 4科第1回東京立正 自己プレゼンテーションなど
2月2日吉祥寺湧水 2科または安全校安全校
2月3日合格状況に応じて受験休養も含めて調整
2月4日吉祥寺湧水 4科第2回吉祥寺湧水 表現創造第2回

特に東京立正は2月14日にも入試があるため、後半まで受験機会を確保できます。

ただし、「後半でも受験できるから大丈夫」と考えず、できれば2月1日・2日の段階で一つ合格を得られるプランを作ると精神的にも安心です。

表現創造入試なら「学校の教育内容」で併願校を選ぶ

吉祥寺湧水の表現創造入試を選ぶ受験生は、一般的な偏差値表だけでは併願校を決めにくくなります。

例えばデジタル制作が好きなら聖徳学園、文章・自己表現を得意とするなら東京立正、個性を重視した教育に魅力を感じるなら明星学園というように、本人の得意分野から併願校を探す方法もあります。

得意分野比較しやすい学校
デジタル・プログラミング聖徳学園
英語・国際教育文化学園大学杉並、佼成学園女子(女子)
文章・プレゼンテーション東京立正
自由な表現・個性重視明星学園
探究・国際・プロジェクト型学習明星Institution中等教育部

これは吉祥寺湧水の学校選びでも非常に重要です。

「偏差値が同じ学校」ではなく、「本人がやりたいことを同じように大切にしてくれる学校」を併願校として持っておけば、どの学校へ進学することになっても納得しやすくなります。

女子美術大学付属は女子のアート志向なら別枠で注目

女子受験生で、吉祥寺湧水の中でも特にアート教育・ART予備校・表現創造入試に魅力を感じている場合には、女子美術大学付属中学校も比較しておきたい学校です。

女子美術大学付属は美術教育を中心に据えた女子校で、入試難易度は吉祥寺湧水よりかなり高くなるため、基本的にはチャレンジ校となります。

ただし、2026年8月8日時点では2027年度中学募集要項の詳細はまだ公表されていません。そのため、正式な入試日程が発表された段階で併願可能性を確認しましょう。

「アートも学びたいが一般大学への進路も幅広く残したい」のか、「中学から美術を教育の中心に置きたい」のかによって、吉祥寺湧水と女子美付属では学校選びの意味が大きく異なります。

中央線沿線は併願校を作りやすい

吉祥寺湧水の大きなメリットは、吉祥寺駅からJR中央線を利用できることです。

西側には武蔵境・国分寺・府中方面、東側には荻窪・中野・新宿方面の学校があり、複数の受験校を比較できます。

特に、

  • 文化学園大学杉並
  • 聖徳学園
  • 明星学園

などは吉祥寺との地理的な相性がよく、中高6年間の通学を考えても比較しやすい学校です。

午後受験では移動時間を必ず実際に確認する

吉祥寺湧水は表現創造入試を午後に実施するため、午前校との併願が可能です。

ただし、受験プランを作るときには、電車の所要時間だけで判断しないようにしましょう。

  • 午前校の試験終了時刻
  • 校門から駅までの時間
  • 乗り換え時間
  • 昼食を取る場所と時間
  • 午後校の集合時刻
  • 試験会場までの徒歩時間

まで含める必要があります。

特に2027年度の吉祥寺湧水は、§9で紹介した通り、校舎改修のため入学試験を吉祥寺校舎では実施しません

試験会場は2026年9月に発表予定なので、午後併願を組む場合は「吉祥寺駅までの移動時間」ではなく、正式な2027年度試験会場までの移動時間で判断する必要があります。

共学化初年度は「安全校」の判定を慎重に

2027年度の吉祥寺湧水で最も難しいのが、偏差値による安全度の判断です。

現時点では首都圏模試で40前後が一つの目安になっていますが、これは旧・藤村女子の実績と2027年度の予想をもとにした数字です。

2027年度は男子募集、新校舎、表現創造入試、デジタル・アート教育などによって、これまでとは異なる受験生が集まる可能性があります。

そのため、吉祥寺湧水を「現在の偏差値なら確実な安全校」と位置づけるのは避け、2026年秋以降の模試で志望者動向を確認しながら受験校の位置づけを修正することが重要です。

吉祥寺湧水第一志望なら「学力+表現」の2本立てが強い

吉祥寺湧水の受験戦略で最大の特徴は、一般的な学校のように「同じ国算を何回も受験する」だけではないことです。

本人が4科受験の勉強を進めながら、アート・文章・デジタル・ダンスのいずれかにも強みを持っているのであれば、

「4科学力入試 + 表現創造入試」

という2本立てで合格を目指せます。

一方、表現創造入試だけに頼る場合も、作品の完成度だけではなく対話まで含めた対策が必要です。

チャレンジ校・標準校・安全校をバランスよく配置しながら、本人の学力と「好き」の両方を受験戦略に組み込めることが、2027年度吉祥寺湧水中学校の併願プラン最大の特徴といえるでしょう。

在校生・保護者の声|少人数の安心感と新しい学校への期待

吉祥寺湧水中学校の「評判」を調べるときには、まず大切な前提があります。

吉祥寺湧水中学校としての在校生・保護者は、2026年8月時点ではまだ存在しません。

学校が「吉祥寺湧水中学校・高等学校」へ校名変更し、男女共学としてスタートするのは2027年4月です。したがって、現在インターネット上で確認できる在校生・保護者の口コミは、基本的に前身の藤村女子中学校・高等学校についてのものです。

しかも2027年には、

  • 男女共学化
  • 校名変更
  • 新校舎への移行
  • 制服廃止
  • 「湧水メソッド」の本格導入
  • 新しい放課後制度
  • 入試制度の全面刷新

などが同時に行われます。

そのため、旧・藤村女子の口コミは「この学校がこれまでどのような雰囲気だったのか」を知る参考にはなりますが、そのまま2027年度以降の吉祥寺湧水の評判と考えることはできません。

旧・藤村女子では「先生との距離が近い」という声

旧・藤村女子の在校生口コミで比較的よく見られるのが、先生と生徒との距離の近さです。

2021年入学の在校生からは、クラスの仲がよく、先生とも気軽に話せる雰囲気だったという声が寄せられています。

特に少人数の学校だったことから、

  • 先生が生徒の名前や性格を把握しやすい
  • 家庭事情なども含めて相談しやすい
  • 分からない問題を質問しやすい
  • 生徒同士も顔を覚えやすい

といった点に安心感を感じていた生徒がいたことが分かります。

「大規模校の中で目立たず過ごす」というより、先生や友人との距離が比較的近い学校だったことは、藤村女子時代の一つの特徴でした。

少人数だからこその「仲間意識」を評価する声

在校生からは、クラスの人数が少ないため仲間意識が強いという声もあります。

入学直後にはなじめていなかった生徒も、時間がたつにつれて勉強を教え合ったり、友人関係が広がったりしたという口コミが見られます。

もちろん、どの学校でも人間関係は学年やクラスによって変わります。実際の口コミでも、陰口や友人同士のトラブルがまったくないわけではないという指摘があります。

そのため、

「少人数だから必ず人間関係がうまくいく」

と考えるのは適切ではありません。

一方で、人間関係が固定されやすいという少人数校の弱点を補うため、吉祥寺湧水では2027年度から異学年25〜30人程度で構成する「ハウスTIME」を導入します。

クラスだけに居場所を限定せず、異学年や複数の教員とのつながりを持たせる仕組みに変える点は、新校で注目したい部分です。

保護者からも「生徒が明るく挨拶する」という評価

2022年入学の生徒を持つ保護者からは、生徒が明るく元気で、校内ですれ違う際に挨拶をしてくれるという評価が寄せられています。

学校見学では授業内容や進学実績に目が向きがちですが、実際に6年間通う学校を選ぶ際には、

  • 廊下ですれ違う生徒の表情
  • 来校者への挨拶
  • 先生と生徒の会話
  • 休み時間の雰囲気

なども大切な判断材料です。

藤村女子では、こうした生徒の明るさや親しみやすさを評価する声が複数見られます。

「イベントを楽しむ学校」という保護者の声も

旧・藤村女子については、学校行事を楽しむ生徒が多いという保護者の評価もあります。

特に文化祭では、生徒がクラスTシャツを着たり、企画や舞台発表に取り組んだりするなど、普段とは違った学校の活気を感じられたという声があります。

これは吉祥寺湧水の新しい教育にもつながっています。

2027年度以降の文化祭では、単にクラス展示を行うだけでなく、

  • デジタル作品を発表する
  • アート作品を展示・販売する
  • 研究成果を発表する
  • 音楽やダンスを披露する
  • 来場者の反応を分析して改善する

といった形で、一人ひとりの「好き」や探究を外へ届ける場へ発展させる方針です。

藤村女子時代からあった「行事を楽しむ文化」が、新しい教育方針の中でどう変化していくのかは注目したいところです。

部活動を目的に入学した家庭も多かった

旧・藤村女子では、特に運動部の強さが学校選びの理由になっていました。

過去の保護者口コミには、バスケットボール部の顧問や外部コーチ、競技実績などを見て藤村女子を選んだという例もあります。

在校生からも、新体操、バレーボール、競泳、ソフトボールなど、運動部に本格的に取り組む生徒が多かったという声が寄せられています。

そのため藤村女子時代には、

「学校生活の中心は部活動」

という生徒も少なくありませんでした。

一方、吉祥寺湧水では§6で紹介したように、従来の部活動制度から「湧水放課後 Pass」「湧水アカデミー Pass」へ大きく再編されます。

スポーツだけでなく、アート・デジタル・サイエンス・ゲーム・クッキング・ミュージカルなどへ選択肢を広げるため、2027年度以降は「部活動が強い女子校」という従来のイメージからかなり変化する可能性があります。

学習面では「サポートはあるが、本人次第」という声

学習環境については、肯定的な口コミが多い一方、興味深い指摘もあります。

保護者からは、放課後や長期休暇に講習・学習支援がある一方、希望制のものもあり、本人が利用するかどうかで差が出るという声があります。

旧・藤村女子には学習センターや補習制度があり、先生やチューターへ質問できる環境が整えられていました。

ただし、学校側が環境を用意しても、本人が利用しなければ成果にはつながりません。

これは吉祥寺湧水でも同様でしょう。

2027年度からは、

  • ふじらぼ学内予備校
  • AIオンデマンド学習
  • 大学生スクールサポーター
  • 学習サポート担当

など支援策はさらに充実します。

しかし、「学校に入れば自動的に成績が上がる」という仕組みではありません。本人が自分から使えるようになることも重要です。

吉祥寺駅に近い立地は保護者からも高評価

口コミで非常に評価が高いのがアクセスです。

旧・藤村女子の口コミでは、吉祥寺駅から近いことを志望理由に挙げる家庭もあります。

生徒本人の通学だけでなく、保護者にとっても、

  • 学校説明会
  • 保護者会
  • 文化祭
  • 個人面談
  • 部活動の大会・発表

などで学校へ行きやすい点が評価されています。

2027年度からの吉祥寺湧水でも、吉祥寺駅から徒歩約7分という立地は変わらず、大きなメリットとなります。

一方で、過去には学習環境や進学実績への厳しい評価も

口コミは好意的なものだけではありません。

過去には、

  • 大学進学実績をもっと伸ばしてほしい
  • 学習センターを十分利用できなかった
  • 部活動によって活動量や雰囲気に差がある
  • 校舎が古い
  • 学校生活の満足度は本人次第

といった意見も見られます。

これらの口コミには数年以上前のものも含まれ、すでに制度が廃止・変更されている内容もあります。

ただ、過去の評価をすべて「昔の話だから関係ない」と切り捨てるのではなく、学校が今回の改革で何を変えようとしているのかを見る材料として捉えることはできます。

校舎の古さは2027年から大きく変わる

旧・藤村女子の口コミには、「校舎は古め」という意見も複数あります。

これは長年同じ吉祥寺キャンパスを使用してきた学校なので、当然ともいえる部分でした。

しかし2027年度以降は状況が大きく変わります。

§4で紹介したように、新校舎は「FINDER BASE」をコンセプトとして段階的に整備され、

  • FINDER PARK
  • FINDER ATELIER
  • FINDER STUDIO
  • FINDER STADIUM
  • みなもルーム

など、従来とは異なる学習空間を導入します。

したがって、口コミサイトに残っている「古い校舎」という評価は、2027年度入学生の学校選びではほぼそのまま当てはまらない情報になります。

校則についても旧校の口コミは参考程度に

校則については、藤村女子時代でも変化がありました。

2022年入学の保護者による口コミでは、以前は朝にスマートフォンを回収していたものの、その後は放課後の校内利用を認めるようになるなど、生徒と学校が話し合いながらルールを変更してきたとされています。

こうした姿勢は、2027年度以降の吉祥寺湧水とも比較的相性がよいでしょう。

新校では指定制服そのものがなくなり、デジタル機器を積極的に教育へ利用します。

そのため、昔の藤村女子について書かれた、

  • 制服の着こなし
  • スマートフォン回収
  • 寄り道禁止

などの口コミを見ても、2027年度以降の学校生活には当てはまらない可能性が高いと考えておきましょう。

口コミサイトの総合評価は高めだが、件数は少ない

外部口コミサイト「みんなの中学校情報」では、藤村女子中学校は2026年8月時点で9件の口コミ、総合評価4.03/5となっています。

特に評価が高い項目として、

  • 治安・アクセス
  • 部活動
  • 施設
  • 校則

などが挙げられています。

一方で、口コミ数はわずか9件です。

数百人規模の回答を集めた調査ではないため、4.03という数字だけをもって「評判のよい学校」と断定するのは適切ではありません。

特に藤村女子は中学校の生徒数そのものが多くなかったため、一つ一つの口コミの影響が大きいことにも注意しましょう。

吉祥寺湧水では「相談先を複数持てる」仕組みへ

旧・藤村女子の口コミで評価されていた「先生との距離の近さ」を、新しい吉祥寺湧水では個人の先生の力量だけに頼らず、学校の仕組みとして再設計しようとしています。

2027年度からは、

  • ハウス担当
  • 学習サポート
  • 生活サポート
  • 挑戦サポート

という4つのサポートラインを設けます。

「担任と相性が合わなかったら相談できる人がいない」という状態を避け、悩みの種類に応じて複数の大人につながれる環境を作ります。

さらに、MyMeの「聞いてほしい」機能、みなもルーム、デジタル保健室なども組み合わせます。

保護者からの相談には48時間以内に初期連絡

保護者サポートについても、新しい学校では具体的な仕組みが公表されています。

保護者が専用フォームから相談すると、DE&I担当が内容を確認し、適切な担当者を決定したうえで、原則48時間以内に初期連絡を行います。

その後、必要に応じて面談やカウンセリングなどへつなげます。

保護者にとっては、

「担任へ直接相談してよいのか分からない」「忙しそうで声をかけにくい」

という状況を避けやすくなります。

この制度が実際にどこまで機能するかは開校後の評価を待つ必要がありますが、相談への対応方法をあらかじめ明文化している点は安心材料の一つです。

学校側も「大人も一緒に学ぶ」姿勢を強く打ち出す

吉祥寺湧水の学校長メッセージでは、

「先生も、生徒も、保護者も、共に学びに関わる仲間」

という考え方が示されています。

生徒だけに「変化しなさい」「自分で考えなさい」と求めるのではなく、教員や保護者を含む大人側も、子どもの変化や問いに向き合うことを重視しています。

また、2025年には教職員倫理憲章やハラスメント防止に関する具体的な行動指針も公表され、生徒の人格・尊厳・人権を尊重することを学校運営の基本方針として明文化しています。

教育理念だけでなく、教職員と生徒との適切な距離や相談体制までルールとして示している点は、新しい学校づくりにおいて注目したい部分です。

新しい学校への期待が大きい一方、「完成された学校ではない」

吉祥寺湧水については、アート、AI、英語、DE&I、新校舎、放課後制度など魅力的な計画が多く発表されています。

しかし、在校生・保護者の評判を考える際には、これらはまだ開校後6年間の実績によって評価された制度ではないという点を忘れてはいけません。

例えば、

  • 男女比は実際にどうなるのか
  • 共学化後のクラスの雰囲気はどうなるのか
  • ハウスTIMEはどの程度機能するのか
  • 学内予備校で学力がどこまで伸びるのか
  • 月額制の放課後制度はどの程度利用されるのか
  • 新しい文化祭・体育祭がどのような雰囲気になるのか
  • 大学進学実績がどう変化するのか

は、2027年度以降でなければ分かりません。

その意味では、吉祥寺湧水を選ぶことは、完成された学校を評価して選ぶというより、「学校が目指している方向に共感して第一期生として参加する」という意味合いが強くなります。

旧校の良さをどこまで残せるかにも注目

今回の改革では学校の多くの部分が変わりますが、藤村女子時代に評価されてきたものまで失ってしまっては意味がありません。

特に口コミから見える、

  • 先生との距離の近さ
  • 少人数ならではの安心感
  • 生徒の明るさ
  • 学校行事を楽しむ雰囲気
  • 好きな部活動へ本気で取り組む文化

などを、130名規模の共学校となった後にもどこまで継承できるかは重要です。

新しい学校公式サイトでも、藤村女子が長年大切にしてきた「一人ひとりの個性を見る教育」を継承する方針を示しています。

学校説明会では新制度の説明だけでなく、旧校の何を残し、何を変えるのかにも注目すると、学校の本質が見えやすくなります。

口コミを見るより、2026年は実際に学校へ行くことが重要

吉祥寺湧水ほど大きな改革を行う学校では、インターネット上の口コミだけで学校を判断することは難しくなります。

2026年に検索して出てくる口コミの多くは、制服、旧校舎、女子校時代の部活動、旧カリキュラムについて書かれたものだからです。

受験を考える家庭には、

  • 学校説明会
  • オープンスクール
  • 文化祭
  • 表現創造入試の体験会
  • 新校舎の見学機会

などへ実際に足を運ぶことをおすすめします。

その際には、先生の説明だけでなく、現在の藤村女子の在校生がどのように来校者へ接しているかも見てみましょう。

「この学校の大人と6年間過ごしたいか」「ここにいる生徒の中に自分が入る姿を想像できるか」は、パンフレットだけでは分からない大切な判断材料です。

現時点の評判は「旧校の安心感」と「新校への期待」の二つ

2026年8月時点で吉祥寺湧水の評判をまとめるなら、旧・藤村女子に対する評価と、新しい学校に対する期待を分けて考えるのが適切です。

旧・藤村女子で評価されてきた点吉祥寺湧水で新たに期待される点
先生と生徒の距離が近い4つのサポートライン
少人数で仲間意識が生まれやすいハウスTIMEによる異学年交流
部活動へ本気で取り組める選べる放課後・アカデミー制度
学校行事を楽しむ雰囲気文化祭を探究・表現の場へ発展
吉祥寺駅から通いやすい吉祥寺の街そのものを学びに活用
一人ひとりを見てもらいやすいMyMe・みなもルーム・デジタル保健室

旧・藤村女子には、先生との距離の近さや生徒の明るさ、部活動、吉祥寺という立地を評価する声が見られます。

そこへ2027年度から、アート・デジタル・英語・DE&Iを軸にした新しい教育が加わります。

一方で、吉祥寺湧水としての本当の「在校生・保護者の評判」が分かるのは開校後です。

第一期生として受験する家庭は、過去の口コミ評価だけで学校を決めるのではなく、説明会などで新しい学校づくりの考え方を直接確認し、「まだ完成していない学校を一緒につくっていくこと」に魅力を感じられるかを判断することが重要でしょう。

この学校に向いている子の特徴|「好き」と違和感を自分の学びに変えたい子におすすめ

吉祥寺湧水中学校は、一般的な進学校とはかなり異なる学校づくりを進めています。

国語・数学・英語などの基礎学力を大切にしながらも、それだけで6年間を評価するのではなく、アート、デジタル、英語、探究、部活動、文化祭、社会との出会いなどを通して「自分は何に心が動くのか」を見つけることを重視しています。

そのため、単純に「偏差値が合っているから」という理由だけで選ぶよりも、学校の教育観そのものに共感できるかが非常に重要な学校です。

ここでは、これまで見てきた教育内容や学校生活をもとに、吉祥寺湧水と特に相性がよい子の特徴を整理します。

1.好きなことに夢中になるタイプの子

吉祥寺湧水と最も相性がよいのは、何か一つでも「好き」がある子です。

それは必ずしも、全国大会レベルの特技である必要はありません。

  • ゲームが好き
  • 絵を描くことが好き
  • 動画を作ることが好き
  • 物語を書くことが好き
  • ダンスが好き
  • パソコンを触ることが好き
  • 生き物を調べることが好き
  • 料理が好き
  • 音楽が好き

といった、ごく身近な興味で十分です。

吉祥寺湧水では、その「好き」を学校生活から切り離すのではなく、授業・放課後・文化祭・探究・進路へつなげていくことを大切にしています。

例えばゲームが好きな子なら、単にゲームで遊ぶだけでなく、RobloxやUnityを使って「自分でつくる側」へ進むことができます。

絵が好きな子なら、作品を描いて終わるのではなく、吉祥寺の街で誰かに届けるところまで考えることができます。

好きなことを「勉強とは別の趣味」にせず、学びへ変えてほしい家庭には非常に相性のよい学校です。

2.アートやデジタルに興味がある子

特に相性がよいのが、アート・デジタル分野に興味がある子です。

吉祥寺湧水では、アートもデジタルも一部の選択者だけが学ぶものではありません。

中学1年から全員が、

  • AI
  • プログラミング
  • 3D制作
  • アート表現
  • デジタル・SNSリテラシー

などに触れます。

そのうえで、もっと深めたい生徒には、ふじらぼテックスクール+やArtLab、ふじらぼART予備校など発展的な環境があります。

「絵も好きだけれどパソコンも好き」「プログラミングもデザインもやってみたい」というように、理系・文系・芸術系をまだ一つに絞りたくない子にも向いています。

3.「正解は一つ」と言われることに窮屈さを感じる子

吉祥寺湧水が教育の中で大切にしているのが「違和感」です。

周囲が同じ答えを出しているときに、

「でも、自分は少し違うと思う」

と感じることを否定しません。

むしろ、

  • なぜそう感じたのか
  • 自分は何を大切にしているのか
  • 相手はなぜ違う考えなのか

を考えるところから学びが始まります。

そのため、先生が示した答えを覚えることはできても、「もっと自分で考えてみたい」「別のやり方でもいいのでは」と感じることが多い子には居心地のよい学校になる可能性があります。

4.自分を表現することが好きな子

吉祥寺湧水では、自分で考えるだけでなく、それを外へ表現することを非常に重視します。

表現方法も一つではありません。

  • 文章を書く
  • 絵を描く
  • ゲームをつくる
  • 3D作品を制作する
  • プレゼンテーションする
  • ダンスで表現する
  • 音楽や舞台で伝える

など、本人に合った方法を選べます。

2027年度入試でもアート・エッセイ・デジタル・ダンスによる表現創造入試を50名規模で実施することからも、学校が表現力を重視していることが分かります。

「テストではなかなか評価されないけれど、作品づくりやプレゼンでは力を発揮する」という子には特に注目したい学校です。

5.英語を「受験科目」ではなく使える言葉にしたい子

英語を実際に使ってみたい子にも向いています。

中1・中2ではオールイングリッシュのBilingualism Classを行い、短い時間でも教員との1対1英会話を積み重ねます。

さらに英語を使ったプロジェクト学習、海外研修、留学などへ発展します。

そのため、

「英単語や文法だけでなく、外国の人と話せるようになりたい」

という子には魅力的な環境です。

一方、最初から英語が得意である必要はありません。間違えないことより、まず使ってみることを重視するため、英語は好きだがまだ自信がない子にも挑戦しやすいでしょう。

6.いろいろ試してから「自分の好き」を見つけたい子

中学受験の時点で、将来やりたいことが決まっている小学生は少数です。

吉祥寺湧水は、むしろまだ自分の得意分野が分からない子にも向いています。

湧水放課後 Passでは、

  • スポーツ
  • アート
  • デジタル
  • サイエンス
  • クッキング
  • ゲーム

などを学期ごとに試すことができます。

「一度始めたら3年間続けなければならない」と考えるのではなく、やってみて違うと思った経験も、自分を知るための材料と考えます。

好奇心は強いけれど、一つに絞るのはまだ早いという子には非常に合う仕組みです。

7.少人数の人間関係に安心感を感じる子

旧・藤村女子では、少人数ならではの先生と生徒の距離の近さが口コミでも評価されてきました。

吉祥寺湧水では募集人数が130名へ増えますが、クラス以外にも異学年25〜30人程度のハウスTIMEを設けます。

さらに、

  • ハウス担当
  • 学習サポート
  • 生活サポート
  • 挑戦サポート

という複数の大人とのつながりを用意します。

大人数の中で自分からどんどん人間関係を広げるより、少しずつ安心できる相手を増やしたい子にとっては、学校側が居場所を複数用意していることが安心材料になります。

8.自分のペースを知りながら成長したい子

吉祥寺湧水では、自己管理についても「できる子とできない子がいる」で終わらせません。

セルフ・ナビを通して、

  • 予定を立てる
  • 優先順位を決める
  • 忘れ物を減らす
  • 課題を小さく分ける
  • 振り返って次の方法を考える

といった方法を学びます。

またCOCOROラボでは、自分がどのような環境なら力を発揮しやすいかを理解し、3年間をかけて「自分の取扱説明書」を作ります。

先生から細かく管理されるだけではなく、最終的には自分自身で学習や生活を整えられるようになってほしい家庭に向いています。

9.一つのクラスだけに居場所を限定したくない子

中学校生活では、クラスの友人関係が大きな意味を持ちます。

ただ、クラスの人間関係がうまくいかなかっただけで「学校全体に居場所がない」と感じてしまうのは大きな負担です。

吉祥寺湧水では、

  • クラス
  • ハウスTIME
  • 放課後活動
  • みなもルーム
  • 学内予備校

など、複数のコミュニティに所属できるよう設計されています。

「学校の中に一つではなく複数の居場所を持たせたい」と考える家庭には、注目したい仕組みです。

10.学校行事を自分たちでつくりたい子

文化祭や体育祭を、先生が準備したイベントとして楽しむだけではなく、企画する側に回りたい子にも向いています。

文化祭では、自分たちがつくったものを誰かへ届け、反応を見て改善することまで学びにします。

また、やりたい部活動がなければ、部活創設支援制度を利用して新しい活動を立ち上げることもできます。

「こうしたらもっと面白いのでは」「学校にこんな活動を作りたい」と考えることが好きな子にとって、第一期生という立場そのものが大きな魅力になるでしょう。

11.完成された学校より「これからつくる学校」に魅力を感じる子

2027年度入学生は、吉祥寺湧水中学校としての第一期生です。

校舎も2027年の南館完成から2029年の本館完成へと段階的に整備され、共学文化、行事、部活動などもこれから形づくられていきます。

そのため、

「伝統が決まっている学校より、自分たちが最初の文化をつくる方が楽しそう」

と感じる子には非常に面白い環境です。

逆に、何十年も続く伝統行事や確立された生徒文化を求める場合は、入学後にイメージとの違いを感じる可能性があります。

12.大学進学だけでなく「その先」を考えたい子

吉祥寺湧水では、大学合格を重要な目標としながらも、「大学合格はひとつの通過点」と考えています。

中学からキャリア教育を行い、最終的には、

  • 何を学びたいのか
  • なぜその大学へ行くのか
  • どのような仕事や社会課題に興味があるのか
  • どのように生きたいのか

を自分の言葉にしていきます。

「とりあえず偏差値の高い大学を目指す」のではなく、本人が納得できる進路を探してほしいと考える家庭には相性のよい進路教育です。

13.塾・部活・学校をできるだけ一か所にまとめたい家庭

これは本人の性格というより、家庭にとって大きなポイントです。

吉祥寺湧水では、

  • 学校授業
  • 英語・数学の学内予備校
  • AIオンデマンド学習
  • スポーツ・文化活動
  • デジタル教育
  • 美大・藝大向けART予備校

などを学校内でつなげています。

放課後に学校から塾、さらに習い事へと移動する生活ではなく、学校を中心に一日の学びを完結させたい家庭にはメリットがあります。

吉祥寺駅から徒歩約7分というアクセスも含め、中高6年間の生活を組み立てやすい学校です。

反対に、吉祥寺湧水が合わない可能性がある子

一方、どんな子にも合う学校ではありません。

例えば、次のような希望が強い場合には、他校も比較した方がよいでしょう。

  • 長年積み上げた難関大学進学実績を最優先したい
  • 毎日の学習を学校側に細かく管理してほしい
  • 探究や制作より受験勉強中心の6年間を送りたい
  • 伝統行事や完成された学校文化を重視したい
  • 制服のある学校生活に魅力を感じる
  • 一つの競技を全国レベルで続けるための実績・指導体制を最優先したい

特に進学実績については、吉祥寺湧水としての卒業生がまだ一人もいません。

難関大学への合格者数や共学化後の進路実績を確認してから学校を選びたい家庭にとっては、現時点では判断材料が少ない学校です。

「自由な学校」だから楽というわけではない

吉祥寺湧水について、アート、デジタル、自由な服装、選べる放課後などを見ると、

「自由で楽しそうな学校」

という印象を持つかもしれません。

しかし、この学校が目指している自由は、何をしてもよいという意味ではありません。

自分で選べる分、

  • なぜそれを選んだのか
  • どう取り組むのか
  • 失敗した後にどうするのか
  • 相手の考えとどう折り合うのか

を自分で考える必要があります。

つまり、「指示されたことだけをこなせばよい学校」より、むしろ自分で判断する機会は多い学校です。

そこに面白さを感じる子には合いますが、常に具体的な指示を出してもらった方が安心できる子の場合は、学校との相性を慎重に見たいところです。

アートやデジタルが得意でなくても入学できる

もう一つ誤解しやすいのが、

「吉祥寺湧水に入るなら、絵かプログラミングが得意でなければならない」

というイメージです。

これは必ずしも当てはまりません。

4科・2科の一般入試もあり、アートやデジタルは入学してから全員が少しずつ経験します。

むしろ学校が大切にしているのは、最初から何かが上手であることより、

「やったことはないけれど面白そうだから試してみたい」

という姿勢です。

得意分野がまだ見つかっていない子でも、好奇心があり、新しいものに触れることを楽しめるのであれば十分に適性があります。

学校説明会では「子どもの表情」を見たい

吉祥寺湧水は教育内容が非常に個性的なので、パンフレットや偏差値だけで学校を決めるより、実際に本人を学校へ連れて行くことをおすすめします。

説明会や体験イベントでは、保護者が学校長の話を聞くだけでなく、子どもが、

  • アート体験を面白がっているか
  • デジタル制作に興味を示すか
  • 先生と話してみたいと思っているか
  • 新しい校舎にワクワクしているか
  • 「ここならこんなことをやってみたい」と話すか

を見てみましょう。

吉祥寺湧水のような学校では、子ども自身から「ここで何かやってみたい」という言葉が出るかどうかが、非常に重要な相性判断になります。

向いているのは「すでに完成した子」ではなく、これから自分を見つけたい子

吉祥寺湧水に向いている子を一言で表すなら、「これから自分の好きや得意を見つけたい子」です。

すでに英語が得意である必要も、プログラミングができる必要も、絵が上手である必要もありません。

大切なのは、

「ちょっとやってみたい」「これは面白そう」「自分ならこうしたい」

という小さな好奇心です。

アート、デジタル、英語、スポーツ、文化祭、吉祥寺の街、海外体験など、多くの入口に触れながら、その中から自分自身の「水脈」を見つけていく。

偏差値だけでは測れない本人の興味を大切にしながら、学力もしっかり伸ばしてほしい家庭にとって、吉祥寺湧水中学校は2027年度入試で特に注目したい選択肢の一つといえるでしょう。

まとめ|吉祥寺から始まる、アート・デジタル・英語を軸にした新しい共学校

吉祥寺湧水中学校は、現在の藤村女子中学校・高等学校が2027年4月に校名変更・共学化して誕生する、新しい中高一貫校です。

1932年創立の藤村女子が培ってきた「一人ひとりを見る教育」を受け継ぎながら、教育内容、校舎、入試、放課後活動、進路支援まで大規模に再設計します。

学校全体を貫くコンセプトは、「who I am|私に会いにいく6年間」

偏差値や周囲の評価だけを基準に将来を決めるのではなく、中高6年間をかけて、

  • 自分は何が好きなのか
  • 何に違和感を覚えるのか
  • 何をしているときに夢中になれるのか
  • どのような方法なら自分を表現できるのか
  • 将来、何のために学びたいのか

を少しずつ理解していく学校です。

最大の特徴は「湧水メソッド」

吉祥寺湧水を他校と比較したとき、最も特徴的なのが「湧水メソッド」です。

英語、デジタル、アート、DE&I、キャリア教育、体験学習、放課後活動、学習支援を一つにつなぎ、学校生活全体から本人の興味を引き出していきます。

特に、

  • AI・プログラミング・3D制作を6年間学ぶ「ふじらぼテックスクール」
  • 全教科とアートをつなぐ「StArt」
  • 月1回プロの表現に触れる「アートDay」
  • 中1・中2のオールイングリッシュ「Bilingualism Class」
  • 高校卒業時CEFR B2相当を目指す英語教育

などは、吉祥寺湧水を象徴する教育です。

アートやデジタルを一部の得意な子だけの教育にせず、全員が一度経験してから、自分が深めたいものを選ぶ仕組みになっていることも特徴です。

「好き」を学校の外まで届ける

吉祥寺湧水では、作品や探究を学校内だけで完結させません。

デジタル作品を文化祭で公開したり、アート作品を商品として磨いて吉祥寺の街で販売したりするなど、自分が作ったものを実際に誰かへ届けることを重視します。

そこで得た反応をもとに、

つくる → 届ける → 反応を受ける → 振り返る → 改善する

という経験を繰り返します。

単に「作品が上手にできたか」を評価するのではなく、社会とのつながりの中で学ぶことが、この学校らしいポイントです。

吉祥寺という立地も大きな魅力

学校は吉祥寺駅から徒歩約7分

JR中央線・総武線、京王井の頭線が利用でき、新宿方面、渋谷方面、多摩地域のいずれからも通いやすい立地です。

さらに吉祥寺には、

  • 書店
  • ギャラリー
  • 音楽
  • 漫画・アニメ
  • デザイン
  • 個性的な店舗
  • 多様な文化

が集まっています。

学校も吉祥寺を単なる所在地ではなく、「街そのものが学びのフィールド」と考えています。

アート・デジタル・探究を重視する学校だからこそ、この立地には大きな意味があります。

校舎も教育に合わせて全面刷新

2027年の開校に合わせ、吉祥寺キャンパスも段階的に再整備されます。

新しい学習空間は「FINDER BASE」をコンセプトとし、従来の「先生が黒板の前に立ち、生徒が一方向を向く教室」だけではない環境を目指しています。

アトリエ、スタジオ、プレゼンテーション空間、自由にレイアウトを変えられる共有スペースなどを設け、

  • 考える
  • 話し合う
  • つくる
  • 発表する

という学びに合わせて場所を使い分けます。

一方で、本館完成は2029年予定です。

2027年度第一期生は、新しい学校と新しいキャンパスが段階的に完成していく過程を経験する世代でもあります。

学力面も「好きなことだけ」にはしない

アートやデジタルが目立つ学校ですが、吉祥寺湧水は学力を軽視しているわけではありません。

中学1年から「ふじらぼ学内予備校」を利用でき、英語・数学を中心に、

  • 週2回・90分の対面授業
  • AIオンデマンド学習
  • 大学生スクールサポーターによる学習支援

を組み合わせます。

目指しているのは、

「好きなことをやるか、受験勉強をするか」

という二択をなくすことです。

アート、スポーツ、デジタルなどに本気で取り組みながら、大学進学に必要な基礎学力も学校内で積み上げていく設計になっています。

放課後も「一つの部活」に縛られない

放課後には「湧水放課後 Pass」「湧水アカデミー Pass」を設けます。

まだ好きなことが決まっていない子は、スポーツ、アート、デジタル、サイエンス、クッキング、ゲームなどを試すことができます。

本気で深めたいものが見つかれば、専門コーチの指導を受けるアカデミーへ進めます。

さらに、学校にやりたい活動がなければ、部活創設支援制度を利用して自分たちで立ち上げることもできます。

「入学時に部活動を一つ決め、それを6年間続ける」ことだけを前提にせず、成長に合わせて放課後の過ごし方を変えられる学校です。

多様な「居場所」を用意する学校

吉祥寺湧水では、全員が同じ方法で学校生活を送れることを前提にしていません。

異学年でつながるハウスTIME、自己管理を学ぶセルフ・ナビ、自分自身を理解するCOCOROラボに加えて、

  • 毎日の心身の状態を記録するMyMe
  • 教室でも保健室でもない「みなもルーム」
  • 自宅からも学校とつながれるデジタル保健室
  • 4つのサポートライン

などを用意します。

クラスだけに学校での居場所を限定しないことは、中高6年間を安心して過ごすうえで大きな特徴です。

2027年度入試も学校らしさが表れている

2027年度は男女130名を募集します。

内訳は、

  • 4科入試:70名
  • 2科入試:10名
  • 表現創造入試:50名
  • 帰国生入試:若干名

です。

特に表現創造入試では、

  • アート
  • エッセイ
  • デジタル
  • ダンス

から選択します。

募集130名のうち50名をこの方式で募集することからも、学校が偏差値だけでは測れない力を本気で評価しようとしていることが分かります。

学費は初年度約140万円が目安

2027年度の初年度納入金は124万円です。

これに、

  • MacBookプログラム費:6万7,000円
  • 課外研修積立金:9万5,000円

を加えると、中学1年次の基本的な学校負担は約140万2,000円となります。

決して学費の安い学校ではありませんが、指定制服はなく、放課後活動と学内予備校を月額9,800円で組み合わせられる仕組みがあります。

学校単体の学費だけでなく、塾・部活動・専門教育まで含めた家庭全体の教育費で比較したい学校です。

進学実績は「これから」の学校

学校選びで最も注意したいのは進学実績です。

現在確認できる大学実績は、すべて旧・藤村女子高等学校の生徒によるものです。

2025年度には東京学芸大学、明治大学、中央大学、法政大学などへの合格者を出していますが、2027年度からは、

  • 共学化
  • 募集人数の拡大
  • 学内予備校
  • 新しい英語教育
  • アート・デジタル教育
  • 6年間のキャリア教育

が本格的に始まります。

したがって、吉祥寺湧水としての大学進学実績はまだ存在しません

長年積み上げた難関大学実績を最優先する家庭には判断材料が少ない一方、6年間の教育改革によってどこまで生徒が伸びるのかに期待する学校といえるでしょう。

特に向いているのはこんな子

これまでの特徴をまとめると、吉祥寺湧水は特に次のような子と相性がよい学校です。

  • アートやデジタルに興味がある
  • 一つの正解を覚えるだけでなく、自分で考えたい
  • 好きなことを学校生活の中で深めたい
  • 英語を実際に使えるようになりたい
  • いろいろ試してから自分の得意分野を見つけたい
  • 新しい学校文化を自分たちでつくってみたい
  • 学校内に複数の居場所がある環境を求めている
  • 偏差値だけで将来を決めたくない

逆に、完成された伝統、長年の共学実績、難関大学への豊富な進学実績、明確に決められた学校生活を最優先する場合には、他校も十分に比較した方がよいでしょう。

最大の魅力であり、最大の注意点でもある「第一期生」

吉祥寺湧水の2027年度入学生にとって、最大の特徴は第一期生になることです。

男子生徒を含めた学校文化も、新しい放課後制度も、新校舎での生活も、すべてこれから始まります。

これは、

「自分たちが学校の最初の歴史をつくれる」

という大きな魅力です。

一方で、

  • 男女比
  • 実際の学校の雰囲気
  • 新制度の運用
  • 行事文化
  • 部活動の定着
  • 大学進学実績

については、まだ結果がありません。

「予定されている教育」と「すでに実績として確認できる教育」を分けて考えることが、吉祥寺湧水を選ぶうえでは非常に重要です。

受験前に必ず確認したい3つのポイント

吉祥寺湧水を志望校として検討する場合には、2026年の学校説明会や体験イベントで、少なくとも次の3点を確認しておきましょう。

  1. 2027年4月から確実に始まる制度はどこまでか
    新校舎、放課後活動、学内予備校、アート・デジタル教育などについて、初年度から実施されるものと段階的に導入されるものを確認します。
  2. 本人が「ここで何かやってみたい」と感じるか
    保護者が教育理念に共感するだけでなく、本人がアート、デジタル、英語、学校行事などに興味を示すかを見ることが大切です。
  3. 第一期生になることを家庭として楽しめるか
    完成された学校ではないことを不安と感じるのか、それとも学校と一緒につくっていけることを魅力と感じるのかを話し合っておきましょう。

吉祥寺湧水は「学校を選ぶ」というより「教育観を選ぶ」学校

吉祥寺湧水中学校は、単に「吉祥寺駅から近い偏差値40前後の共学校」として見ると、本当の特徴を捉えにくい学校です。

大切なのは、

「子どもの中にある興味や違和感を学校がどう扱うべきか」

という教育観です。

学校側が決めた一つの成功ルートへ全員を乗せるのではなく、アート、デジタル、英語、スポーツ、探究など多くの入口を用意し、その中から本人が自分の道を探していきます。

そのうえで、学内予備校を使って大学進学に必要な学力も積み上げる。

「好きなことを大切にする」と「学力を伸ばす」を両立しようとしていることが、吉祥寺湧水の学校改革の中心です。

2027年、中学受験の新しい選択肢として注目したい学校

2027年の首都圏中学入試では、吉祥寺湧水はかなり特徴的な存在になりそうです。

90年以上続いた藤村女子の歴史を持ちながら、学校名も、男女構成も、校舎も、教育内容も大きく変わります。

その変化がどのような学校文化や進学実績につながるのかは、現時点ではまだ分かりません。

だからこそ、学校を検討する際には過去の藤村女子の評判や偏差値だけではなく、「2027年から始まる吉祥寺湧水で、子どもにどのような6年間を過ごしてほしいのか」という視点が必要です。

アート、AI・デジタル、英語、吉祥寺の街、多様な放課後活動。そうしたさまざまな経験から、自分でもまだ気づいていない「好き」や可能性を見つけていく。

完成された答えを与えるのではなく、自分自身の答えを探す6年間。

その教育に魅力を感じる家庭にとって、吉祥寺湧水中学校は、2027年度入試でぜひ一度実際に足を運んで確かめておきたい注目校といえるでしょう。

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