2023年度早稲田佐賀中学校 新思考入試・総合Ⅰは、試験時間50分・100点満点で実施されました。通常の算数入試とは異なり、計算力だけでなく、論理的思考力・図形の動きを捉える力・理由を説明する力・理科的な資料読解力を総合的に問う内容でした。
全体の難易度は標準〜やや難です。ただし、単純な難問が多いというよりも、初見の設定を読み取り、条件を整理し、自分の言葉で考え方を説明する力が求められる入試です。特に大問4では、燃焼・結合エネルギー・熱量計算といった理科的内容が扱われ、総合型入試らしい出題となっています。
2023年度 早稲田佐賀中・新思考入試 総合Ⅰの総評|総合型・適性検査型に近い出題
この年度の総合Ⅰは、2022年度と比べても「新思考入試」らしさがより強く出たセットでした。算数の知識だけでなく、国語的な読解力、理科的な資料理解、そして自分の考えを筋道立てて示す力が求められます。
- 大問1は、魔法陣・筆算推理・順位推理・天秤を扱う論理問題
- 大問2は、正三角形・扇形・正方形を転がす図形の軌跡問題
- 大問3は、3の倍数・9の倍数の判定法を説明する数の性質の問題
- 大問4は、燃焼・結合エネルギー・熱量を扱う理科融合問題
知識を知っているだけではなく、「なぜそうなるのか」を説明する力が重視されている点が大きな特徴です。公式暗記型の学習だけでは対応しにくく、日頃から理由を考えながら問題を解く習慣が必要になります。
出題形式・試験時間・大問構成
- 試験時間:50分
- 満点:100点
- 大問数:4題
| 大問 | 主な分野 | 内容 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 論理・推理 | 魔法陣、筆算推理、順位推理、天秤による偽物コイン判定 | 標準〜やや難 |
| 2 | 図形・軌跡 | 正三角形・扇形・正方形を転がしたときの点の軌跡と面積 | やや難 |
| 3 | 整数・説明 | 3の倍数・9の倍数の判定法、45の倍数の探索 | 標準〜やや難 |
| 4 | 理科融合・資料読解 | 燃焼、結合エネルギー、反応熱、水の温度変化 | やや難 |
大問別の分析と解く順番の提案
大問1|論理・推理を幅広く問う小問集合
大問1は、魔法陣、筆算推理、順位推理、天秤を使った偽物コインの判定など、論理的思考力を問う問題が並びました。計算量はそれほど多くありませんが、条件を一つずつ整理していく力が必要です。
魔法陣では、たて・よこ・ななめの和が等しいという条件を利用し、空欄を順番に埋めていきます。筆算推理では、同じ記号には同じ数字が入り、違う記号には違う数字が入るという条件を守りながら、繰り上がり・繰り下がりに注意して考える必要があります。
順位推理や偽物コインの問題では、「必ず正しいこと」「矛盾すること」「本物と確定できるもの」を整理する力が重要です。大問1は、短時間で処理できる問題も多いため、ここでリズムよく得点したいところです。
大問2|図形を転がす軌跡問題はイメージ力が必要
大問2は、正三角形、扇形、正方形を直線上で滑らないように回転させたとき、点が動く線の長さや囲まれる部分の面積を求める問題です。通常の面積計算とは異なり、図形が回転する様子を段階的にイメージする力が問われます。
正三角形では、点Aが描く軌跡が半径12cm・中心角120度の弧2つ分になることを見抜く必要があります。扇形では、弧の部分だけでなく、直線的に移動して見える部分も、結果的に四分円の弧の長さと同じになる点がポイントです。
正方形の問題では、点Aが動く線と直線で囲まれる面積を求めます。ここでは、直角二等辺三角形・半径12cmの四分円・対角線を半径とする四分円に分けて考える必要があり、図形の分解力が大きく問われます。
大問3|倍数判定法を「説明」させる数の性質の問題
大問3は、3の倍数判定法と9の倍数判定法を題材にした問題です。単に「各位の和が3の倍数なら、その数は3の倍数」と知っているだけでは不十分で、なぜその判定法が成り立つのかを説明する力が必要でした。
3桁の整数を各桁ごとに分解し、10や100を「3の倍数+1」と表すことで、元の数と各位の和の関係を説明させる構成です。これは中学以降の数学で学ぶ合同式につながる内容ですが、小学生にも理解できる形で誘導されています。
最後の45の倍数の問題では、45=5×9であることを利用し、5の倍数の条件と9の倍数の条件を組み合わせます。知識をそのまま使うだけでなく、複数の条件を合わせて考える力が問われました。
大問4|燃焼・結合エネルギーを扱う理科融合問題
大問4は、燃焼による熱、原子の結合、結合エネルギー、反応熱、水の温度変化を扱う理科融合型の問題です。算数というより、理科の文章題を読み、必要な数値を式に落とし込む総合問題と言えます。
結合を切るにはエネルギーが必要で、結合が作られるときにはエネルギーが放出される、という説明を読み取り、「結合を作るエネルギー − 結合を切るエネルギー = 反応熱」の関係を使って計算します。
後半では、メタンの燃焼や水の温度変化が扱われます。特に、グラフから熱量を読み取り、氷を水にするための熱量を差し引いたうえで、水1kgの温度を1度上げるために必要な熱を求める問題は、資料読解力と比例計算力が必要です。
おすすめの解く順番
この入試では、次の順番で進めると比較的安定します。
- 大問1で論理問題を素早く処理する
- 大問3で整数・倍数判定の説明問題に取り組む
- 大問2で図形の軌跡問題にじっくり取り組む
- 大問4は最後にまとまった時間を使って資料読解する
おすすめは、1 → 3 → 2 → 4の順です。大問4は文章量が多く、理科的な内容も含むため、途中で時間を使いすぎると他の得点源を失いやすくなります。まずは大問1・3で得点を固めるのが現実的です。
時間配分の目安
標準層の受験生
- 大問1:12〜15分
- 大問3:10〜12分
- 大問2:10〜12分
- 大問4:残り時間で取れる設問を狙う
標準層では、大問1と大問3で確実に得点することが大切です。大問2・4は完答にこだわらず、前半の設問や誘導に乗れる部分を拾う意識で取り組むとよいでしょう。
上位層の受験生
- 大問1:10分前後
- 大問3:10分前後
- 大問2:12〜15分
- 大問4:15分以上確保
上位層は、大問2の軌跡問題と大問4の理科融合問題で差をつけたいところです。大問4を最後まで読み切るには、前半をスピーディーに処理する必要があります。
受験生の出来を分けたポイント問題
大問1の筆算推理
記号と数字の対応を考える問題では、繰り上がりや繰り下がりを丁寧に見る必要があります。一の位から順に条件を確定していく力が差になりました。
大問2の正方形の軌跡面積
正方形を転がしたときに点Aが囲む面積は、単純な扇形だけでは処理できません。三角形・半径12cmの扇形・対角線を半径とする扇形に分けられるかがポイントでした。
大問3の倍数判定法の説明
「知っている」だけでなく、なぜ成り立つのかを式と言葉で説明する必要がありました。ここは新思考入試らしい、非常に重要な設問です。
大問4の反応熱と水の温度変化
理科的な文章を読み取り、結合エネルギーや熱量の差を使って計算する問題です。文章中の定義を理解し、式に変換する力が大きく問われました。
2023年度 早稲田佐賀中・新思考入試 総合Ⅰのおすすめ対策
1. 論理パズル・条件整理問題に慣れる
大問1のような問題では、知識よりも条件を一つずつ整理する力が重要です。魔法陣、順位推理、天秤、記号式の筆算など、論理パズル型の問題に触れておくとよいでしょう。
2. 図形の「動き」をイメージする練習をする
大問2では、静止した図形ではなく、図形が回転したときの点の動きを考えます。図形を転がす問題、円の軌跡、点の移動などを、図を描きながら練習しておくことが効果的です。
3. 数の性質は「理由」まで説明できるようにする
3の倍数や9の倍数の判定法は、単に暗記するだけでなく、10や100を「倍数+1」と見る説明まで理解しておくと、新思考入試に対応しやすくなります。
4. 理科的な資料読解・計算問題に触れておく
大問4のような問題では、算数と理科の境界がはっきりしていません。文章を読み、図やグラフを見て、必要な数値を使って計算する力が求められます。理科の計算問題や資料読解問題にも日頃から取り組んでおきましょう。
この入試に向いている受験生のタイプ
- 初めて見る問題にも落ち着いて取り組める子
- 条件を表や図に整理できる子
- なぜそうなるのかを言葉で説明できる子
- 図形の動きを頭の中でイメージできる子
- 算数だけでなく、理科の資料読解にも抵抗がない子
逆に、典型問題の暗記に頼りすぎるタイプや、長い問題文を読む前に式だけ立てようとするタイプは苦戦しやすい入試です。情報を整理しながら考える習慣を身につけることが重要です。
まとめ|2023年度 早稲田佐賀中学校 新思考入試・総合Ⅰで得点するために
2023年度の早稲田佐賀中学校 新思考入試・総合Ⅰは、論理・図形・整数・理科融合をバランスよく問う総合型の入試でした。
- 大問1では、条件整理と論理的推理
- 大問2では、図形の回転と軌跡のイメージ
- 大問3では、倍数判定法を説明する力
- 大問4では、理科的な資料を読み取って計算する力
が問われています。早稲田佐賀の新思考入試を受験する場合は、通常の算数演習に加えて、記述説明・論理パズル・図形の動き・理科融合問題を意識した対策を進めるとよいでしょう。
