- 学校の概要|武蔵野東から吉祥寺学園へ、変わるものと受け継ぐもの
- アクセスと立地環境|東小金井駅から徒歩圏、3年間の通学を考える
- 教育方針とカリキュラム|「他者理解」と高校受験を軸にした3年間
- 学習環境と施設設備|少人数指導・ICT・完全給食を支える学校環境
- 学校生活と行事|一般クラスとASDクラスがともに経験する学校生活
- クラブ活動|陸上・ダンスから文化部まで、放課後に打ち込む3年間
- 進学実績と卒業後の進路|全員が高校受験、3年間の先にどんな進路があるか
- 学費や諸経費について|高校受験までの3年間にかかる費用
- 入試情報と合格の目安|複数の入試方式と特待制度をどう見るか
- 併願校パターン|中央線沿線を中心に考える2月の受験日程
- 在校生・保護者の声|学習支援への評価と学校運営をめぐる受け止め
- この学校に向いている子の特徴|3年間で学力と他者理解の両方を育てたい子へ
- まとめ|高校受験を前提とする私立中で過ごす3年間とは
学校の概要|武蔵野東から吉祥寺学園へ、変わるものと受け継ぐもの
吉祥寺学園中等部は、東京都小金井市緑町にある私立の共学校です。2026年4月、長く使われてきた「武蔵野東中学校」から現在の校名へ変更され、設置する学校法人も「学校法人吉祥寺学園」となりました。
校名は変わりましたが、学校が長年取り組んできたインクルーシブ教育と、一般クラスの生徒が15歳で高校受験に挑む教育の仕組みは引き継がれています。中高一貫校が多い私立中学校の中で、高校受験を3年間の大きな節目として位置づけている学校です。
吉祥寺学園中等部の基本情報
| 学校名 | 吉祥寺学園中等部 |
|---|---|
| 旧校名 | 武蔵野東中学校 |
| 所在地 | 東京都小金井市緑町2-6-4 |
| 設置区分 | 私立 |
| 男女区分 | 共学 |
| 設置者 | 学校法人吉祥寺学園 |
| 高校との接続 | 併設の普通高校を持たず、一般クラスの生徒は高校受験を行う |
| 教育上の特色 | インクルーシブ教育、少人数・習熟度別学習、高校受験指導、探究科・生命科 |
2026年4月、「武蔵野東中学校」から校名変更
2026年4月、武蔵野東中学校は「吉祥寺学園中等部」へ校名を変更しました。幼稚園、小学校、高等専修学校についても同時に名称が改められ、学園全体が「吉祥寺学園」の名称で再編されています。
学校にとってはかなり大きな転換です。一方、中等部の教育を見れば、校名とともにすべてを一から作り直した学校ではありません。インクルーシブ教育、少人数教育、高校受験を見据えた学習、探究活動といった従来からの教育は現在も続いています。
長く親しまれてきた「武蔵野東」という名称がなくなることについては、在校生家庭などから戸惑いや反発の声も生じました。学校法人をめぐる動きも含め、現在は学園が大きく変化している時期にあります。この点については、学校生活そのものへの評価とは分けたうえで、§11で改めて扱います。
私立中では珍しい「高校受験をする3年間」
吉祥寺学園中等部を他の私立中学校と比べたとき、最も分かりやすい違いは併設の普通高校を持たないことです。
一般クラスの生徒は中学卒業後、そのまま内部進学するのではなく、それぞれが志望する高校を受験します。私立中学校へ進学すると、多くの場合は高校受験をせず6年間を過ごしますが、ここでは中学受験を終えた約3年後にもう一度受験がやってきます。
そのため、学校のカリキュラムも高校受験を前提として組まれています。中学1・2年では英語と数学、中学3年では主要5教科で少人数の習熟度別授業を行い、中学3年になると放課後の「特別進学学習」なども加わります。
高校受験がないことを私立中学の利点と考える家庭には、かなり性格の異なる学校です。反対に、15歳でもう一度自分の進路を選びたい、中学3年間で力をつけてより高い高校を目指したいという家庭には、明確な意味を持つ仕組みです。
一般クラスとASDクラスが同じ学校で生活する
もう一つ、この学校を理解するうえで外せないのがインクルーシブ教育です。吉祥寺学園では、一般クラスの生徒と、自閉スペクトラム症(ASD)の生徒が学ぶクラスが同じ学校の中に置かれています。
ただし、同じ教室で同じ授業を受け続けるという意味ではありません。一般クラスとASDクラスは別クラス・別課程で、入試も異なります。一般クラスでは高校受験に向けた学習を進め、ASDクラスでは社会的自立を見据えた教育を行います。
その一方で、学校行事や日々の活動には一緒に取り組む場面があります。異なる課程で学ぶ生徒が、学校生活の一部を共有するわけです。
短時間の交流行事を年に一度行うのではなく、同じ学校に在籍し、相手の得意なことや苦手なことを日常の中で知っていく。この経験を通じて、自分と異なる人を特別な存在として遠くから見るのではなく、「同じ学校で生活する一人」として理解していくことが、この学校の共生教育の土台になっています。
「他者を理解すること」と「自分を持つこと」
吉祥寺学園中等部の教育には、自分とは異なる人の個性や考え方を理解しながら、自分自身の考えも持つという発想があります。
これはインクルーシブ教育だけに表れるものではありません。探究科では自分で問いを立て、仲間と考えます。生命科では人間の生き方や社会について考えます。生徒会や学校行事でも、異なる個性を持つ生徒が役割を担って活動します。
学校が掲げる「Unity in Diversity――多様性の中の調和」も、全員を同じ型へ揃えるのではなく、それぞれの違いを残したまま協働するという考え方です。
300人弱の学校で、1クラスは30人程度
中等部全体の生徒数は300人弱で、一般クラスのホームルームは1クラス30人程度です。学校全体では生徒約7人に対して教員1人という指導体制が組まれています。
さらに、教科によってホームルームを分けた習熟度別授業を行います。中学1・2年の英語・数学、中学3年の主要5教科では、生徒の理解度に応じてグループを編成し、定期試験ごとに組み替えます。
高校受験を行う学校だからといって、3年間ずっと受験問題だけを解くわけではありません。探究科や生命科、行事、クラブ活動などを経験しながら、その一方で15歳の進路選択に向けた学力も積み上げていく。この二つを同じ3年間に入れているところに、吉祥寺学園中等部の学校としての輪郭があります。
校名変更後の学校をどう見るか
2026年に校名が変わったことで、吉祥寺学園中等部は現在、従来の教育を受け継ぎながら新しい学校像を示そうとしている時期にあります。
学校選びでは、校名変更そのものを過度に肯定的にも否定的にも捉える必要はありません。見るべきなのは、インクルーシブ教育、高校受験指導、少人数教育といった実際の教育が今後どのように続いていくのかです。
とくにこの学校は、高校受験を前提とすることも、ASDクラスとの交流が日常にあることも、一般的な私立中学校とはかなり違います。その違いを面白いと感じるかどうかが、吉祥寺学園中等部を検討する最初の分かれ目になります。
アクセスと立地環境|東小金井駅から徒歩圏、3年間の通学を考える
吉祥寺学園中等部の所在地は、東京都小金井市緑町2-6-4です。校名に「吉祥寺」とありますが、校舎があるのは吉祥寺駅周辺ではありません。最寄り駅はJR中央線「東小金井駅」で、北口から徒歩約7分です。
駅からバスへの乗り換えを必要とせず、徒歩で通えるのは毎日の通学では分かりやすい条件です。とくに吉祥寺学園中等部は高校を併設していないため、ここへ通う期間は基本的に中学3年間。高校受験の勉強が本格化する中学3年でも、駅から学校までの移動を比較的シンプルにできます。
最寄り駅はJR中央線「東小金井駅」
| 学校所在地 | 東京都小金井市緑町2-6-4 |
|---|---|
| 最寄り駅 | JR中央線 東小金井駅 |
| 利用出口 | 北口 |
| 駅から学校まで | 徒歩約7分 |
| スクールバス | なし |
東小金井駅はJR中央線上にあるため、武蔵境、三鷹、吉祥寺方面からも、国分寺、立川方面からも通学経路を組めます。中央線沿線に住む家庭にとっては、路線を大きく乗り継がずに通えるケースも多いでしょう。
「吉祥寺学園」だが、学校があるのは小金井市
2026年の校名変更後、初めて学校を知った家庭が少し注意したいのが所在地です。「吉祥寺学園中等部」という名称から、武蔵野市吉祥寺周辺の学校を想像するかもしれませんが、中等部の校舎は従来の武蔵野東中学校と同じ小金井市緑町にあります。
学校法人は幼稚部や初等部など複数の教育施設を運営しており、それぞれ所在地が同じではありません。中学受験で学校説明会や入試へ向かう場合には、「吉祥寺」という名称だけで判断せず、東小金井駅を目指すことになります。
駅から約7分、毎日歩くには現実的な距離
東小金井駅北口から学校までは徒歩約7分。中学生が毎日通学する距離として考えると、駅を降りてから長時間歩く学校ではありません。
中学3年間では、登校日だけでもかなりの回数になります。夏の暑さ、冬の寒さ、雨の日、部活動後の帰宅などを考えると、駅からの数分の差は積み重なります。とくに中学3年では通常授業に加えて放課後の特別進学学習も行われるため、遅い時間に学校を出た後、短時間で駅へ戻れることには意味があります。
中央線沿線から検討しやすい立地
JR中央線は東京都心から多摩地域まで東西に延びているため、吉祥寺学園中等部の通学圏も小金井市内に限られません。
東側では武蔵境、三鷹、吉祥寺、中野方面、西側では武蔵小金井、国分寺、立川方面から通学を考えられます。西武線や京王線方面から中央線へ乗り継ぐ経路を選ぶ家庭も考えられるでしょう。
もっとも、中学3年になると高校受験対策で帰宅時間が遅くなる日もあります。受験校として検討する際は、休日昼間の所要時間だけではなく、平日の朝8時前後に自宅を出た場合と、夕方に学校を出た場合の両方を確認しておくと現実的です。
住宅地の中にある落ち着いた学校環境
校舎は東小金井駅北側の住宅地にあります。巨大な繁華街を通り抜けて登校する立地ではなく、駅から学校へ歩いて向かう形です。
一方、駅前には日常的に利用できる店舗もあり、鉄道駅から完全に離れた郊外型キャンパスとも異なります。「駅には近いが、学校そのものは住宅地の中にある」という立地です。
中学生は高校生以上に、毎日の通学経路の分かりやすさが重要です。入学直後から複雑なバス乗り継ぎを覚える必要がなく、中央線の駅から徒歩で校門まで向かえる点は、学校生活を想像しやすいでしょう。
高校受験をする学校だから、通学時間の意味も少し違う
一般的な私立中高一貫校なら、同じ通学を6年間続けます。吉祥寺学園中等部の場合は3年間で一区切りとなり、その後は本人が合格した高校へ通学先が変わります。
これは学校選びでも少し特殊なところです。「6年間この距離を通えるか」ではなく、中学3年間、高校受験のための学習や部活動と両立しながら通えるかを考えることになります。
東小金井駅から学校までの徒歩7分だけなら短くても、自宅から東小金井駅まで1時間以上かかれば毎日の負担は小さくありません。逆に中央線沿線であれば、学校での放課後学習まで含めても生活リズムを組みやすい家庭があります。学校見学では校舎だけを見るのではなく、できれば実際の通学時間帯に一度歩いてみると、3年間の生活がかなり具体的に見えてきます。
教育方針とカリキュラム|「他者理解」と高校受験を軸にした3年間
吉祥寺学園中等部の教育には、少し珍しい二つの軸があります。一つは、一般クラスとASDクラスの生徒が学校生活の一部を共有するインクルーシブ教育。もう一つは、併設の普通高校を持たず、一般クラスの生徒全員が3年後の高校受験に向かうことです。
そのため、「受験勉強に集中する私立中」と「人間教育を重視する学校」のどちらか一方ではありません。英語・数学を中心とした習熟度別授業、早めの授業進度、3年次の高校入試対策を組む一方、探究科、生命科、教科横断型のコラボ授業などにも時間を使います。15歳で次の進路を自分で選べる学力をつけることと、異なる他者と生きる力を育てることを、同じ3年間の中に置いています。
高校受験から逆算して、3年間を少し早めに進む
一般クラスでは、高校入試に対応できる時間を中学3年後半に確保するため、主要5教科をやや早めの進度で学びます。
1・2年次では基礎を固めながら中学校課程を先へ進み、3年次になると入試問題演習や弱点補強の比重を高めます。とくに英語・数学は早い段階から習熟度別授業を行い、3年次には主要5教科を総合した習熟度別グループで受験に向けた演習へ進みます。
| 学年 | 学習の主な位置づけ |
|---|---|
| 中学1年 | 基礎学力と自主学習の習慣をつくり、英語・数学では習熟度別授業を開始 |
| 中学2年 | 高校受験の土台となる中学校課程を進め、英語・数学の理解を深める |
| 中学3年 | 主要5教科の習熟度別授業、入試問題演習、放課後の特別進学学習などで志望校対策を進める |
中高一貫校のように高校内容を先取りして大学受験へ向かうのではなく、まず15歳の高校入試を一つの到達点として設計されているところが、この学校のカリキュラムの基本です。
英語・数学は3つの習熟度別グループ
1・2年次の英語と数学では、理解度や学習状況に応じた3つの習熟度別グループで授業を行います。上位には、それぞれの教科に高い関心や力を持つ生徒を対象とした特別コースも設けられています。
英語では「Experts in English」、数学では「Experts in Mathematics」があり、一般グループもAdvancedとIntermediateに分かれます。グループは固定されたものではなく、定期試験ごとに編成を見直します。
入学時の学力差をそのまま3年間固定するのではなく、理解が進めば上のグループへ移ることもある仕組みです。反対に、難しい内容を急いで進めるより基礎を固めたほうがよい時期には、自分に合った速度で学び直すことができます。
英語は週1回、外国人講師と1対1で話す
英語では、Reading・Listening・Speaking・Writingの4技能を扱います。文法を学んだ後に、スラッシュリーディングやシャドーリーディングなどを取り入れ、読むことから話す・書くことへつなげていきます。
常勤のALTによる指導に加えて、週1時間、外国人講師との1対1オンライン英会話があります。クラス全員の前で発言する授業とは違い、一人の講師と一人の生徒が継続して英語を使う時間です。
英検受検も奨励されており、学校内で少なくとも年1回受検する機会があります。2024年3月卒業生では、中学3年修了時に英検準2級以上を取得していた生徒が85%、2級以上が25%でした。高校入試では英語資格を利用できる学校もあるため、3年間の英語学習がそのまま進路選択にもつながります。
一律の「宿題」ではなく、自分で学習を組み立てる
吉祥寺学園中等部では、毎日全員に同じ量を課す「宿題」を学習管理の中心には置いていません。各教科から示される課題や授業進度をもとに、必要な予習・復習を生徒自身が考えて進めます。
そこで使うのが「自主学習プランノート」です。週の始めに家庭学習の予定を立て、毎日の実行状況を記録します。予定通りに終わらなければ翌日や週末へ回し、理解度によって計画そのものを変更します。
プランノートは毎朝提出し、担任から助言を受けます。つまり、「自分でやりなさい」と放任する仕組みではありません。自分で計画する部分を残しながら、教員がその過程を見ています。
高校受験では、塾や学校から与えられた課題をこなすだけではなく、苦手科目にどれだけ時間を割くか、どの過去問をいつ解くかを自分で判断する場面が増えます。その力を中学1年から少しずつ練習していくわけです。
教科の境界を越える「コラボ授業」
受験を意識した教科学習と並行して行われるのが、複数教科を組み合わせた「コラボ授業」です。2019年から取り入れられており、あるテーマについて複数の教科担当者がそれぞれの専門性を持ち寄って授業を組み立てます。
学校で学ぶ知識は、時間割では国語、社会、理科、数学と分かれています。しかし現実の問題は「これは社会科だけの問題」ときれいに分かれているわけではありません。
一つの題材を異なる教科から見ることで、「理科で知ったことが社会の問題につながる」「国語で身につけた表現力が別の教科でも必要になる」といった、知識同士のつながりを経験します。高校入試のための知識量を増やすこととは別に、習ったことを組み合わせて使う練習です。
「探究科」では、自分で問いをつくる
「探究科」では、生徒自身がテーマを設定し、そこから生まれた疑問について調査・考察を進めます。
最初に考えた仮説がそのまま答えになるとは限りません。調べている途中で認識が変わったり、新しい疑問が生まれたりすることもあります。そこで考え直し、自分なりの結論まで持っていく過程を重視します。
研究内容は文章にまとめるほか、プレゼンテーションとして人に伝える機会もあります。過去には全国規模の学芸・サイエンス分野のコンクールで評価された研究も生まれていますが、賞を取ること自体よりも、「自分で問いを持ち、調べた結果から考えを修正する」という学び方が中心です。
「生命科」では、簡単に正解の出ないことを話し合う
吉祥寺学園中等部には「生命科」という独自教科があります。自分自身、友人、社会、生命について考え、テーマによっては小グループで意見を出し合います。
扱われる題材には、いじめ、環境、SDGs、国際理解などがあります。数学の問題のように一つの答えが用意されているわけではありません。他者の意見を聞きながら、自分の考えを言葉にしていく授業です。
ここにはインクルーシブ教育を続けてきた学校らしさも表れています。学校生活では、一般クラスとASDクラスの生徒が行事や活動をともにする場面があります。生命科で「違い」について考えることと、実際に異なる特性を持つ人と同じ学校で生活することが、完全に別の話になっていません。
3年次には教科学習が一気に「高校入試仕様」になる
3年生になると、進路指導はかなり具体的になります。主要5教科の習熟度別授業に加えて、週3回、放課後2時間の「特別進学学習」が全員参加で行われます。
10人前後の少人数グループで、英語・数学・国語を軸に、弱点補強、過去問題の分析、志望校ごとの対策へ進みます。さらに週1時間の「論文」では、課題作文や小論文、面接で必要になる自己表現も扱います。
中学2年の夏、中学3年進級時、3年夏には講習も組まれます。高校受験を学校教育の外側に置くのではなく、通常授業から放課後学習、講習、面談までを一続きにしているのが特徴です。
「受験のための3年間」だけではないところに、この学校らしさがある
高校を併設しない以上、吉祥寺学園中等部で高校受験は避けて通れません。ただし、3年間のすべてを受験対策だけで埋めているわけでもありません。
習熟度別授業で学力を伸ばしながら、探究科では自分の問いを追い、生命科では他者の考えに耳を傾け、コラボ授業では教科を越えて知識をつなげる。そして、自主学習プランノートでは自分の勉強を自分で管理する練習をします。
15歳で志望校に合格することは重要ですが、その先でも自分で学び続けられること。高校受験という明確な目標がある学校だからこそ、点数を取る技術だけではなく、自分で考え、計画し、他者と関わる力まで3年間でどう育てるかが、吉祥寺学園中等部のカリキュラムを見るポイントです。
学習環境と施設設備|少人数指導・ICT・完全給食を支える学校環境
吉祥寺学園中等部の施設は、大規模な中高一貫校のように多くの専用棟を備えるタイプではありません。その一方、生徒数300人弱の中等部として、普通教室、特別教室、体育施設、自習環境などをまとめ、教員と生徒の距離を取りやすい学校規模になっています。
また、1人1台の端末や電子黒板を使った授業、放課後の学習、高校受験を見据えた少人数指導、毎日の完全給食など、施設を単独で見るよりも「3年間の学校生活をどう支えるか」という視点で見ると特徴が分かりやすい学校です。
1人1台の端末を、授業の中で日常的に使う
生徒は1人1台の個人用端末を使用し、校内の無線LAN環境や電子黒板と組み合わせながら授業を進めます。
ICTは、単に教科書をデジタル化するためだけのものではありません。調べた情報を整理する、資料を作成する、クラス内で意見を共有する、発表するなど、探究科やコラボ授業ともつながっています。
吉祥寺学園中等部では、正解を覚える学習だけでなく、自分の考えを他者へ伝える活動も多いため、端末は情報を受け取る道具と、考えたことを表現する道具の両方として使われます。
電子黒板を使い、生徒の考えを教室で共有する
各教室では電子黒板などのICT機器を活用し、教員が教材を提示するだけでなく、生徒が作成した内容をクラス全体で共有する授業も行われます。
たとえば、一人ひとりが考えた答えや調査内容をその場で比較すると、同じ問いでも考え方が異なることが分かります。これは、学校が大切にする「他者理解」とも相性のよい授業方法です。
自分の答えが合っているかだけを見るのではなく、「別の人はなぜそのように考えたのか」を知る。ICTを使いながらも、最終的には人と人との対話へつなげる授業が意識されています。
少人数・習熟度別授業に合わせて学習集団を組み替える
通常のホームルームは30人程度ですが、英語・数学をはじめとする習熟度別授業では、生徒をより小さな学習集団に分けます。
とくに中学3年では主要5教科を習熟度別に学び、放課後の特別進学学習では10人前後のグループで高校入試対策に取り組みます。
つまり、この学校では一つの教室で一斉授業を続けるだけではなく、目的に応じて集団の大きさを変えます。クラスで学ぶ時間と、少人数で理解度に合わせて学ぶ時間を組み合わせることで、高校受験までの3年間を支えています。
自習できる場所が、放課後の学習を支える
校内には生徒が自習できるスペースがあります。吉祥寺学園中等部の場合、こうした場所は一般的な「放課後の自習室」以上の意味を持ちます。
中学3年になると、高校受験に向けて授業後にも学習する機会が増えます。分からない部分を学校にいる間に確認し、自習や特別進学学習を終えてから帰宅するという生活も可能です。
私立中学校に進学しながら3年後には高校受験を迎える学校だからこそ、授業時間外にどこで勉強できるか、質問できる教員が近くにいるかは、施設を見る際の重要なポイントになります。
体育館と屋外プールを備える
体育の授業やクラブ活動に使われる体育館があり、校内には屋外プールも設けられています。
プールは温水施設ではないため、年間を通して利用する設備ではありません。季節に応じた体育活動の一つとして使われます。
陸上競技部やダンス部をはじめ、運動系のクラブに継続して取り組む生徒も多く、高校受験を目指す学校でありながら、放課後の活動をすべて受験勉強に置き換えるわけではありません。学習と運動の両方を3年間の学校生活に組み込んでいます。
毎日の昼食は「完全給食」
家庭にとって日常的な違いになりやすいのが、全員を対象とした完全給食です。生徒は学校で用意された昼食を教室などで食べるため、基本的に毎朝弁当を用意する必要はありません。
中学校では弁当持参や食堂利用を基本とする私立校も多いため、毎日給食が用意されることは吉祥寺学園中等部の生活面で分かりやすい特徴です。
給食には栄養面だけでなく、同じ食事をクラスで囲む時間としての役割もあります。一般クラスとASDクラスを含め、食事や学校行事など日常生活を通じて社会性を育てるという学園の考え方ともつながっています。
放課後には補食も認められている
中学生は成長期にあり、授業後にクラブ活動や特別進学学習へ参加すると、昼食から帰宅までかなり時間が空きます。
吉祥寺学園中等部では、帰りのホームルームの時間などに、家庭から持参した補食を食べることが認められています。校内の自動販売機も利用できます。
これは小さな制度に見えますが、中学3年で放課後2時間の特別進学学習を行う学校では現実的な意味があります。受験期になっても学校に長く残ることを前提に、食事面でも学校生活を支える仕組みが用意されています。
カウンセラーへ相談できる環境もある
校内にはカウンセリングを受けられる環境があり、生徒だけでなく保護者からの相談にも対応しています。
中学生の3年間は、友人関係や思春期特有の悩みに加え、吉祥寺学園中等部では中学3年で高校受験という進路選択を迎えます。学力だけでは解決できない不安が生じる時期でもあります。
担任や教科担当だけで抱えるのではなく、必要に応じて専門的な立場へ相談できる窓口があることは、3年間の生活を考えるうえで確認しておきたい点です。
校門管理など安全面にも配慮
学校は住宅地の中にあり、校門は登下校時など必要な時間を除いて管理されています。外部から自由に人が出入りする環境ではなく、生徒が日中を過ごす場所として安全管理が行われています。
最寄りの東小金井駅から徒歩約7分で、駅から学校まで長いバス移動もありません。校内の安全対策だけでなく、毎日の登下校まで含めて比較的把握しやすい立地です。
華やかな施設より、3年間の使い方を見る
吉祥寺学園中等部の施設を見る際には、巨大な図書館や大学並みの設備があるかという比較だけでは、この学校の特徴を捉えにくいでしょう。
1人1台端末を使った授業、少人数・習熟度別指導、自習環境、完全給食、補食、体育施設、カウンセリング。それぞれは独立した設備や制度ですが、組み合わせて見ると、朝から放課後まで中学生が学校の中で学び、活動できる環境がつくられています。
高校受験を迎える中学3年では、学校にいる時間も学習量も増えていきます。施設の豪華さよりも、「授業を受ける」「質問する」「自習する」「食べる」「運動する」という一日の流れが校内で無理なくつながっているか。その視点で見学すると、吉祥寺学園中等部の学習環境を判断しやすくなります。
学校生活と行事|一般クラスとASDクラスがともに経験する学校生活
吉祥寺学園中等部の学校生活を考えるうえで重要なのは、授業や高校受験対策だけではありません。一般クラスとASDクラスの生徒が同じ学校で生活し、行事やさまざまな活動をともに経験することが、この学校の日常を形づくっています。
また、高校を併設しないため、中学校で過ごす期間は3年間です。その短い時間の中に、体育行事、学園祭、合唱、宿泊行事、探究活動、クラブ活動、そして高校受験が入ります。中学3年間そのものを一つのまとまった成長期間として過ごすという感覚が比較的強い学校です。
8時30分から始まる一日
登校時刻は8時30分。授業は45分を基本として編成され、曜日によっては7時限まで授業があります。
授業後はクラブ活動、自習、補習などへ進みます。中学3年になると、高校受験に向けた特別進学学習が放課後に加わるため、学校で過ごす時間はさらに長くなります。
| 登校 | 8時30分 |
|---|---|
| 授業 | 45分授業を基本に、6〜7時限 |
| 放課後 | クラブ活動、自習、補習、特別進学学習など |
| 最終下校 | 17時45分を基本とし、冬期は17時30分 |
毎日の完全給食に加え、放課後まで学校に残る場合には補食を取ることもできます。授業が終わったらすぐに帰宅する生活だけではなく、夕方まで学校で活動することを前提にした一日の組み立てになっています。
行事は「参加する」だけでなく、生徒がつくる
吉祥寺学園中等部では、生徒会活動や学校行事で、生徒自身が企画や運営に関わることを大切にしています。
生徒会は、役職だけを並べる従来型の組織というより、目的ごとの「プロジェクト」を軸に活動します。自分が興味を持つ仕事に関わり、仲間と相談しながら企画を実行していく形です。
学校行事でも、教員がすべてを準備して生徒が当日に参加するだけではありません。どのような企画にするのか、どうすれば学年やクラスを越えて楽しめるのかを考え、生徒が役割を担います。
探究科で問いを立て、生命科で他者の考えに触れるだけでなく、実際の学校生活で「人と一緒に何かをつくる」経験につなげているところに、この学校の教育方針が表れています。
スポーツ大会では、学年を越えて競い合う
身体を動かす大きな行事の一つがスポーツ大会です。競技に取り組むだけでなく、応援や運営を含めて生徒が関わります。
普段の学校生活ではホームルームや学年単位で活動することが多い中学生にとって、行事は他学年の生徒と関わる機会でもあります。
運動が得意な生徒だけが主役になるのではなく、競技、応援、準備、進行などさまざまな役割があります。自分の得意なところで集団に関わる経験を重ねることができます。
球技大会にも生徒主体の色が出る
球技大会も、生徒同士の関係が見えやすい学校行事です。クラスやチームで協力しながら競技に取り組みます。
吉祥寺学園中等部が掲げる「他者理解」は、授業の中だけで学ぶものではありません。誰がどの役割を担うのか、得意不得意の異なる仲間とどう協力するのかといった経験そのものが、人との関わり方を考える機会になります。
勝敗を競う行事でありながら、その過程でクラスの中にどのような関係をつくるかという点にも、この学校らしさがあります。
学園祭は、生徒の個性が学校全体へ広がる場
学園祭では、日頃の学習やクラブ活動の成果を発表するとともに、生徒が企画した展示や発表などが行われます。
普段の授業では見えにくい、生徒一人ひとりの興味や得意分野が表に出る機会です。美術や科学、音楽など文化系の活動だけでなく、企画を考えること、装飾を作ること、人前で説明することなど、さまざまな参加の仕方があります。
受験生にとっても、学校説明会とは違った角度から吉祥寺学園中等部を見ることができます。実際の生徒同士の距離感や、教員が行事へどの程度関わっているかなど、普段の学校文化を感じやすい機会です。
合唱では、クラス全体で一つのものをつくる
合唱に取り組む行事では、個人の歌唱力だけではなく、クラス全体で一つの表現をつくることが求められます。
音程を取ることが得意な生徒もいれば、人前で歌うことが苦手な生徒もいます。そうした違いを抱えたまま練習を重ね、一つの発表へ向かいます。
吉祥寺学園中等部では、日常的に「異なる人とどう一緒に過ごすか」を考える場面があります。合唱のように、全員が同じ目標へ向かいながら、それぞれの役割を果たす行事は、その考え方を実際に経験する時間でもあります。
一般クラスとASDクラスが、ともに参加する行事がある
学校行事を見る際に、吉祥寺学園中等部で特に確認しておきたいのが、一般クラスとASDクラスの生徒が一緒に活動する場面です。
両者は普段の授業では別の教育課程で学びますが、学校生活のすべてを分けているわけではありません。行事などでは同じ学校の生徒として関わり、一緒に活動します。
ここで大切なのは、「交流のための特別な一日」だけが用意されているのではないことです。同じ校舎に通い、日常的に顔を合わせ、年間行事の中でもともに活動する。その積み重ねによって、自分とは異なる特性を持つ人の存在が特別なものではなくなっていきます。
インクルーシブ教育を学校選びの理由として考える家庭であれば、理念だけでなく、説明会や学園祭などで生徒同士が実際にどのように関わっているかまで見ておきたいところです。
中学1年では、早い段階から人間関係をつくる
入学後には、学年や仲間との関係をつくるための宿泊・校外活動が用意されています。
中学受験を終えて集まる生徒は、それまで通っていた小学校も生活圏もさまざまです。4月から新しい人間関係を一からつくることになります。
教室で自己紹介をするだけでなく、寝食や活動をともにすることで、クラスメートの性格や意外な一面を知る機会になります。3年間しかない中学校だからこそ、入学後の早い時期に学年としての関係を築いていくことには意味があります。
中学3年の京都・奈良では、受験前に学校生活の節目をつくる
中学3年では、京都・奈良方面への修学旅行が行われます。
吉祥寺学園中等部の3年生にとって、この学年は高校受験の年でもあります。授業では志望校対策が本格化し、放課後には特別進学学習も始まります。
その一方で、学校生活が受験だけで終わらないよう、仲間とまとまった時間を過ごす行事もあります。高校へ進めば、生徒たちはそれぞれ別の学校へ進学します。中高一貫校の修学旅行とは少し違い、3年間をともに過ごしてきた仲間との一つの節目という意味も持っています。
海外語学研修は、英語を教室の外で使う機会
希望者を対象とした海外語学研修も用意されています。海外で実際に生活しながら、授業で学んできた英語を使います。
普段は週1回のオンライン英会話などを通じて外国人講師と話しますが、海外研修では買い物や移動、現地でのコミュニケーションまで英語が生活の道具になります。
全員参加ではないため、参加するかどうかは家庭ごとに判断することになります。費用や実施時期も含め、希望する場合には早めに確認しておきたい行事です。
中学3年になると、行事と高校受験を両立する生活になる
吉祥寺学園中等部で特徴的なのは、学校行事を楽しみながら、中学3年では全員が高校受験へ向かうことです。
一般的な中高一貫校なら、中学3年は高校課程へ進む途中の一年になります。しかしこの学校では、修学旅行やクラブ活動、学校行事を経験しながら、同時に志望校選び、模擬試験、過去問演習、面接対策などが進んでいきます。
高校受験があるから中学校生活を受験一色にするのではなく、行事を削らず、最後まで中学生としての経験を重ねる。そのうえで15歳の進路選択へ向かうのが、この学校の3年間です。
一般クラスとASDクラスの生徒が同じ学校で過ごし、生徒自身が行事をつくり、最後にはそれぞれ異なる高校へ進んでいく。吉祥寺学園中等部の学校生活は、「みんな同じ」であることよりも、違う生徒同士が一つの時間を共有することに重きを置いています。
クラブ活動|陸上・ダンスから文化部まで、放課後に打ち込む3年間
吉祥寺学園中等部では、高校受験を見据えた学習に力を入れる一方、クラブ活動も中学校生活の大切な時間として位置づけています。運動部・文化部・同好会があり、多くの生徒がいずれかの活動に参加しています。
高校を併設していないため、中学校でのクラブ活動は3年間で一区切りです。中学3年になると高校受験対策との両立が必要になりますが、早い段階から活動を縮小するのではなく、勉強だけでは得にくい役割、仲間との協働、目標へ向かう経験も学校生活の中に残されています。
運動部と文化部、それぞれに選択肢がある
クラブ活動には、陸上競技、ダンス、サッカー、卓球などの運動系と、美術、吹奏楽などの文化系があります。科学研究や英語に関わる同好会もあり、競技成績を追う活動から自分の興味を深める活動まで幅があります。
| 分野 | 主なクラブ・同好会 |
|---|---|
| 運動系 | 陸上競技部、ダンス部、サッカー部、卓球部、新体操同好会など |
| 文化系 | 吹奏楽部、美術部など |
| 研究・語学系 | 科学研究同好会、ESSなど |
クラブの数だけを見れば大規模校ほど多くありませんが、生徒数300人弱の学校として、それぞれの活動で学年を越えた関係をつくりやすい規模です。
陸上競技部は長く大会出場を重ねてきた
運動部の中でも、学校を代表する活動の一つが陸上競技部です。長年にわたって関東大会への出場を重ね、種目によっては全国規模の大会へ進む選手も育ってきました。
陸上競技は個人種目の印象が強い競技ですが、日々の練習では仲間と同じ時間を過ごし、それぞれが自己記録の更新を目指します。短距離、長距離、跳躍など、得意とする種目が異なる生徒が一つの部で活動するところにも特徴があります。
高校受験を控える3年生にとっては学習との時間配分も必要です。その中で、目標から逆算して練習し、自分の状態を見ながら改善する経験は、学校が重視する自主的な学習姿勢とも共通します。
ダンス部は「自分だけ上手ければよい」活動ではない
ダンス部も大会への出場経験を重ねてきたクラブです。作品を一つに仕上げるためには、振付を覚えるだけでなく、動きのタイミングや表現を仲間と合わせる必要があります。
個人の技術が高くても、全体の動きがそろわなければ作品として成立しません。互いの違いを見ながら一つの表現をつくる活動は、吉祥寺学園中等部が学校生活全体で大切にしている「他者と協働すること」とも重なります。
大会だけでなく学校行事で成果を披露する場面もあり、日々の練習が校内の活動へつながっていきます。
体操競技の村上茉愛選手も卒業生の一人
旧・武蔵野東中学校時代の卒業生には、体操競技で世界大会やオリンピックに出場した村上茉愛選手がいます。
もちろん、在校生全員が競技スポーツの高いレベルを目指す学校という意味ではありません。ただ、学校生活と競技を両立しながら、自分の得意分野を伸ばしていった卒業生がいることは、この学校のスポーツ活動の一つの歴史です。
サッカーや卓球など、身近な競技にも取り組める
運動系では、サッカー部や卓球部なども活動しています。陸上競技部やダンス部の大会実績が目立ちますが、すべての生徒が全国大会や関東大会を目標にクラブを選ぶわけではありません。
「小学校から続けてきた競技を中学校でも続けたい」「中学校に入ってから新しいスポーツを始めたい」という生徒にも選択肢があります。
私立中学校を選ぶ際には、強豪クラブがあるかだけでなく、本人が実際に参加したい部で、学習と両立できる活動量かを確認することが大切です。
美術部では、作品を完成させる時間を持てる
美術部では、絵画や造形など、生徒それぞれの興味に応じた制作に取り組みます。学校外の展覧会などへ作品を出品し、評価された例もあります。
普段の授業では時間の制約がありますが、クラブ活動では一つの作品に継続して向き合えます。考えたことを言葉ではなく、形や色によって表現できることも文化部ならではです。
学園祭などで作品を人に見てもらう機会もあり、個人で進める制作と学校全体へ向けた発表の両方を経験できます。
吹奏楽部は、学年を越えて一つの音楽をつくる
吹奏楽部では、それぞれ異なる楽器を担当する生徒が、一つの曲を完成させます。
中学校から初めて楽器に触れる生徒にとっては、先輩から教わることも多くなります。高校の併設がない学校では、中学3年生が最上級生です。そのため、入学から短い期間で先輩となり、やがて後輩を支える立場へ移っていきます。
演奏技術だけでなく、練習を進めることや後輩へ伝えることまで含めて、3年間の中で役割が変化していきます。
科学研究では「好きなことを調べる」が授業の外へ続く
科学研究系の活動では、理科への興味を授業時間外まで広げることができます。
吉祥寺学園中等部には、自分で疑問を立てて調べる「探究科」があります。科学研究の活動も、先生から与えられた実験をこなすだけではなく、自分が不思議に思ったことを確かめる場になり得ます。
理科が得意だから参加するだけでなく、「生き物をもっと調べたい」「実験をしてみたい」といった興味を持つ生徒にとって、教科書の範囲を越えて試せる時間です。
ESSでは、英語を「教科」以外でも使える
英語に関心のある生徒には、ESSなど語学に関わる活動があります。
通常授業では文法や読解、高校入試に必要な力を学び、オンライン英会話では外国人講師と話します。一方、クラブや同好会では、試験範囲から離れて英語に触れることができます。
高校受験では英検などの資格が評価される学校もありますが、資格取得だけを目的にするのではなく、英語そのものを使うことを楽しみたい生徒にとって、授業とは違う入口になります。
中学3年では、クラブと高校受験の切り替えも必要になる
吉祥寺学園中等部のクラブ活動を考える際、一般的な中高一貫校と最も違うのは中学3年の過ごし方です。
全員が高校受験をするため、3年生になると模擬試験、学校説明会、過去問演習、放課後の特別進学学習などが増えていきます。クラブ活動だけに時間を使い続けることはできません。
一方で、最初から高校受験だけを理由にクラブへ参加しない必要もありません。中学1・2年で活動に打ち込み、3年で進路とのバランスを考えながら一区切りをつける。3年間のどこで力を入れ、どこで受験へ切り替えるかを自分で考えることになります。
高校へ進めば別々になるからこそ、3年間の仲間が残る
吉祥寺学園中等部では、卒業後に全員が同じ高校へ上がるわけではありません。中学3年の春には、それぞれ異なる高校へ進んでいきます。
その意味で、クラブ活動の仲間と過ごせる時間も中学校の3年間に限られます。後輩を教えること、大会へ向かって練習すること、学園祭で発表すること。そこで生まれた関係は、高校受験の合否とは別に中学校生活として残ります。
学習面では高校受験という明確なゴールを持ちながら、放課後には自分の好きなことへ取り組む。吉祥寺学園中等部のクラブ活動は、受験準備だけでは終わらない3年間をつくる一つの場になっています。
進学実績と卒業後の進路|全員が高校受験、3年間の先にどんな進路があるか
吉祥寺学園中等部の進路を考えるとき、一般的な私立中高一貫校とは出発点が異なります。併設の普通高校を持たないため、一般クラスの生徒は中学3年で高校受験に臨み、それぞれが選んだ高校へ進学します。
つまり、中学入試に合格した時点で6年間の進路が決まる学校ではありません。12歳で私立中学校を選び、15歳でもう一度、自分の学力や興味に合わせて高校を選ぶという3年間になります。
高校受験は「一部の生徒の選択」ではなく、学校生活の前提
吉祥寺学園中等部では、高校受験を希望する生徒だけに特別な対策を行うわけではありません。一般クラスでは全員が高校受験へ向かうため、日々の授業から進路指導、放課後学習までがその前提で組み立てられています。
中学1・2年では英語・数学を中心に習熟度別授業を行い、中学3年になると主要5教科へ広げます。さらに放課後には、週3回・各2時間の「特別進学学習」が入り、10人前後のグループで高校入試に向けた演習を進めます。
一般的な中高一貫校では、中学3年から高校内容を先取りする時期に入ることがあります。一方、吉祥寺学園中等部では、まず高校入試で必要となる中学校範囲を固め、志望校の出題に対応できるところまで完成度を上げることが優先されます。
進路は都立・国立・私立へ広がる
卒業後の進路は一つの系統に限定されていません。都立高校を目指す生徒もいれば、早慶やGMARCHなど大学附属・系列の私立高校を受験する生徒、進学校型の私立高校を選ぶ生徒もいます。
2024年3月の卒業生は62名で、主な進路には都立国分寺高校、都立国際高校をはじめ、早慶附属校、GMARCH附属校、桐朋高校などが含まれています。
| 進路の分野 | 主な高校 |
|---|---|
| 都立高校 | 東京都立国分寺高等学校、東京都立国際高等学校など |
| 早慶附属・系列 | 慶應義塾志木高等学校、慶應義塾女子高等学校、慶應義塾高等学校、早稲田大学本庄高等学院、早稲田実業学校高等部、早稲田大学高等学院、早稲田高等学校など |
| GMARCH附属・系列 | 立教新座高等学校、青山学院高等部、明治大学付属中野高等学校、明治大学付属八王子高等学校、中央大学附属高等学校など |
| その他の私立進学校 | 國學院大學久我山高等学校、桐朋高等学校など |
難関校の名前だけを見ると目を引きますが、吉祥寺学園中等部の進路指導を見る際には、合格実績の上位だけで学校全体を判断しないことも大切です。卒業時には生徒一人ひとりが異なる高校へ進むため、本人の学力や希望に応じてどこまで選択肢を広げられるかを見る必要があります。
早慶附属高校を目指す道もある
高校受験で特徴的なのが、早慶附属校への進路です。慶應義塾志木、慶應義塾女子、慶應義塾、早稲田大学本庄高等学院、早稲田実業、早稲田大学高等学院、早稲田などへの進路実績があります。
大学附属校を目指す場合、中学受験で届かなかった学校群へ高校受験で改めて挑戦するという選択もできます。ただし、早慶附属高校の入試は中学入試とは別物です。英語・数学・国語を中心に、中学校3年間で高校受験用の学力をつくり直す必要があります。
その意味で、「中学受験が終わったら受験勉強から離れたい」という家庭より、中学3年間でもう一段学力を伸ばし、高校受験で新しい選択肢を狙いたい家庭のほうが、この学校の進路設計を理解しやすいでしょう。
GMARCH附属高校という選択肢もある
立教新座、青山学院高等部、明治大学付属中野、明治大学付属八王子、中央大学附属など、GMARCH系列の高校への進路も見られます。
大学附属高校へ進学すれば、その後の大学受験をどう考えるかも変わります。つまり吉祥寺学園中等部では、中学受験の段階では大学系列校を選ばず、15歳で改めて附属高校を選択することもできます。
12歳ではまだ将来の大学や学部まで決められないという家庭にとって、高校受験を残すことは負担だけではありません。本人の成長を3年間見たうえで、大学附属校へ進むのか、大学受験型の高校へ進むのかを選べるという側面もあります。
都立高校を目指せることも、この学校ならでは
私立中学校へ進学すると、その後は私立高校へ内部進学する家庭が多くなります。しかし吉祥寺学園中等部では、都立高校も自然な進路の一つです。
国分寺高校や国際高校などへの進路実績があり、都立高校を第一志望として高校受験を組み立てることもできます。
都立高校では内申点を含む中学校での成績も重要になります。そのため、入試当日の学力だけを伸ばせばよいわけではなく、定期試験、提出物、日々の授業への取り組みも3年間を通じて意味を持ちます。
中学1年から自主学習プランノートを使って学習計画を立てることも、最終的にはこうした高校受験へつながっていきます。
中学3年の「特別進学学習」が受験指導の中心になる
高校受験が本格化する中学3年では、通常授業に加えて「特別進学学習」が行われます。
週3回、放課後に各2時間を使い、10人前後の少人数グループで英語・数学・国語を中心に学習します。単に問題集を進めるだけではなく、生徒の理解度や志望校に応じて弱点補強や入試演習へ進みます。
さらに長期休業中の講習や面談も組み合わされます。学校の通常授業と高校受験対策を完全に別のものとして扱わず、校内でつなげていることが特徴です。
ただし、「学校の指導があるから全員が塾を必要としない」と一律に考える必要はありません。志望校、現在の学力、特定教科の苦手分野などによって、家庭で必要となる学習は変わります。学校説明会では、卒業生が実際にどのような学習方法で受験したのかまで確認すると、入学後を想像しやすくなります。
高校選びそのものも3年間の教育になる
中高一貫校では、中学校卒業時に進学先を一から選び直す機会は通常ありません。吉祥寺学園中等部では、中学3年になると全員が「次の学校をどこにするか」を考えます。
大学附属高校へ進みたいのか、都立進学校で大学受験を目指したいのか、専門性のある高校へ進みたいのか。学校説明会へ足を運び、自分の成績と照らし合わせ、家族や教員と相談しながら志望校を絞ります。
これは受験の負担である一方、15歳で自分の進路を考える経験でもあります。周囲と同じ高校へそのまま進むのではなく、自分で学校を選び、試験を受け、合格した学校へ進む。この過程そのものが吉祥寺学園中等部の3年間には組み込まれています。
卒業の日には、仲間がそれぞれ別の方向へ進む
吉祥寺学園中等部の卒業は、中高一貫校の中学卒業とは意味が少し違います。
3年間を同じ教室で過ごした生徒たちは、卒業後にはそれぞれ異なる高校へ進みます。都立、私立、大学附属、進学校など、選択した道は一人ひとり違います。
だからこそ、中学校3年間には明確な終わりがあります。クラブ活動や行事も、高校へ持ち越すのではなく中学3年で一区切りを迎えます。そして、その先の環境は高校受験によって自分で選び直します。
「私立中学校に入りながら、高校受験をなくさない」ことをどう考えるか。これが吉祥寺学園中等部の進路を検討するうえで最も重要な問いです。受験のない6年間を求める家庭には合いにくい一方、中学3年間で力をつけ、15歳で改めて進路を選びたい家庭には、他の私立中学校とは異なる選択肢になります。
学費や諸経費について|高校受験までの3年間にかかる費用
吉祥寺学園中等部の学費を見るときは、授業料だけでなく、入学時の施設維持費、完全給食の給食費、修学学習費の積立、講習費などまで含めて考える必要があります。
2026年度入学生の場合、入学手続時に必要な費用は40万円。その後の授業料・教材費・給食費などが年額75万5,680円で、さらに1年次には修学学習費の積立などとして12万2,000円が必要です。したがって、制服などを除いた初年度の学校納付金は約127万8,000円が一つの目安になります。
2026年度入学生の入学手続時納付金
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 100,000円 |
| 施設維持費 | 300,000円 |
| 合計 | 400,000円 |
入学手続時には、入学金10万円と施設維持費30万円の合計40万円を納入します。
旧校名時代の学費をもとに考えると数字が異なるため、吉祥寺学園中等部への校名変更後の費用として見る場合には、この金額を基準にしたほうが分かりやすいでしょう。
授業料・給食費などは年間75万5,680円
入学後の基本的な学納金は、前期と後期の2回に分けて納入します。
| 項目 | 前期 | 後期 | 年額 |
|---|---|---|---|
| 授業料 | 269,940円 | 269,940円 | 539,880円 |
| 教材費 | 18,000円 | 18,000円 | 36,000円 |
| 行事運営・厚生費 | 3,000円 | 3,000円 | 6,000円 |
| 給食費 | 79,000円 | 94,800円 | 173,800円 |
| 合計 | 369,940円 | 385,740円 | 755,680円 |
授業料は年額53万9,880円です。これに教材費、行事運営・厚生費、給食費を加えると、年間の基本納付額は75万5,680円となります。
納付は4月と9月の2期に分かれているため、年間分を一度に支払う方式ではありません。
完全給食の費用も学納金に含まれる
年間17万3,800円の給食費が設定されています。吉祥寺学園中等部では全員が完全給食となるため、昼食代も学校生活に必要な費用の一部として最初から見込むことになります。
月ごとの家計という視点では小さくない金額ですが、毎日の弁当を家庭で用意する必要がない点も含めて考えたいところです。
私立中学校の学費を比較するときは、授業料だけを並べると実際の負担が見えにくくなります。給食費が別に必要な学校、食堂や弁当購入を利用する学校など条件が異なるため、年間に実際に支払う費用全体で比較する必要があります。
1年次は修学学習費の積立などで12万2,000円
基本的な学納金とは別に、学年ごとの費用が設定されています。2026年度の場合、1年次は年額12万2,000円です。
ここには修学学習費の積立などが含まれます。積立金は、その学年ですぐにすべて使用するのではなく、2年次・3年次の宿泊学習や卒業に向けた費用にも充てられます。
したがって、1年次に必要となる学校納付金を単純に合計すると、次のようになります。
| 初年度の主な費用 | 金額 |
|---|---|
| 入学手続時納付金 | 400,000円 |
| 授業料・教材費・給食費など | 755,680円 |
| 1年次その他費用 | 122,000円 |
| 合計 | 1,277,680円 |
制服、体育用品、個人副教材などを除いて約127万8,000円と考えておくと、初年度の規模をつかみやすくなります。
2年次・3年次は講習や高校受験関連の費用が加わる
吉祥寺学園中等部は、高校受験を学校教育の中で支えるため、学年が上がると講習や進学学習に関する費用も加わります。
| 学年 | その他の費用の年額 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1年次 | 122,000円 | 修学学習費積立など |
| 2年次 | 471,000円 | 施設維持費、修学学習費積立、夏期講習、春期講習など |
| 3年次 | 362,000円 | 施設維持費、夏期講習、進学学習など |
注目したいのは2年次と3年次です。高校を内部進学する学校ではないため、学年が上がるにつれて高校受験に直接関わる学習が増えます。
2年次には夏期・春期講習、3年次には夏期講習や進学学習などが組まれており、その費用も学校側へ納めます。したがって、「授業料は年間約54万円だから、それだけを3年間用意すればよい」という計算にはなりません。
修学学習費には宿泊行事や卒業関連費用も含まれる
修学学習費の積立には、宿泊を伴う学習や卒業に向けた費用が含まれています。
- 京都・奈良方面での学習
- 長崎での修学学習
- 卒業アルバム代
- 卒業準備費
毎年その都度大きな旅行代を徴収するのではなく、複数年にわたって積み立てながら準備する形です。
一方、1・2年次に実施される校外学習など、すべての行事費用がこの積立だけで賄われるわけではありません。年度によって別途必要となる費用もあります。
制服一式は約7万9,000〜8万7,000円
学校納付金とは別に、入学時には制服や指定用品の購入が必要です。
| 購入品 | 2026年度の目安 |
|---|---|
| 制服一式 | 約79,300〜86,500円 |
| 体育館履きなどの標準品 | 約10,000円 |
制服については購入する枚数やサイズなどによって実際の金額が変わります。このほか、各教科で使用するテキスト、模擬試験代などの個人副教材費も別途必要です。
そのため、初年度については学校納付金約127万8,000円に制服・指定用品を加え、さらに副教材などの余裕を持たせて考えておくとよいでしょう。
高校受験にかかる家庭側の費用も忘れずに
吉祥寺学園中等部の場合、学費だけでは3年間の教育費全体を把握できません。中学3年では全員が高校受験をするためです。
高校受験では、模擬試験、各高校の受験料、交通費、学校説明会への参加費用などが発生します。複数の私立高校を併願すれば、受験料や入学手続金の扱いによって家庭の一時的な支出が大きくなることもあります。
学校内では特別進学学習や長期休暇中の講習が行われますが、家庭の判断で外部塾や個別指導、通信教育などを利用する場合には、その費用も加わります。
中高一貫校であれば通常発生しない「3年後の高校受験費用」まで含めて資金計画を立てることが、この学校では重要です。
特待制度は学費負担を大きく変える
吉祥寺学園中等部には、入試成績などに応じた特待(教育奨励生)制度があります。2027年度入試では、3年間にわたって納付金の免除を受けられる特待をはじめ、複数の区分が設けられています。
| 区分 | 主な減免内容 |
|---|---|
| 3年間特待 | 初年度の入学手続金・学納金・諸経費に加え、2年次・3年次の対象納付金を全額免除 |
| A特待 | 入学金免除+年間授業料から100,000円減免 |
| B特待 | 年間授業料から100,000円減免 |
3年間特待は、3年間を通じた免除額が約360万円に及ぶ制度です。学業だけでなく、学芸・体育活動で顕著な実績を持つ生徒も対象となります。
ただし、特待制度は通常の学費とは分けて考える必要があります。最初から特待を前提に教育費を組むのではなく、通常の納付額を基本としたうえで、条件に該当すれば負担が軽減される制度として捉えるほうが安全です。
「私立中3年間+高校受験」という単位で考える
吉祥寺学園中等部の教育費で特徴的なのは、6年間の中高一貫教育に支払うのではなく、高校受験までの3年間に集中的に費用をかけることです。
完全給食、習熟度別授業、放課後の特別進学学習、長期休暇中の講習などが学校生活の中に組み込まれている一方、3年後には必ず新しい高校への進学費用が発生します。
そのため、学費を比較する際には「他の私立中より高いか安いか」だけではなく、中学3年間に何が含まれているのか、さらに高校入学時にどの程度の資金が必要になるのかまで見通しておくことが大切です。
入試情報と合格の目安|複数の入試方式と特待制度をどう見るか
吉祥寺学園中等部の一般クラス入試は、2科・4科だけでなく、適性検査型、英語特別入試、アスリート評価入試、ダンス表現入試など複数の方式から選べることが特徴です。
2027年度入試では、2月1日と2月2日を中心に複数回の試験を設定し、2月10日にも追加の2科入試を実施する予定です。中学受験型の学習をしてきた受験生、公立中高一貫校を目指して適性検査対策をしてきた受験生、英語を得意とする受験生など、それまでの学習を生かせる入口が用意されています。
2027年度は2月1日・2月2日を中心に複数回実施
| 日程 | 時間帯 | 主な入試方式 | 募集人数 |
|---|---|---|---|
| 2月1日 | 午前 | 4科①、2科①、適性検査型① | 約41名 |
| 2月1日 | 午後 | 2科②、適性検査型②、英語特別 | |
| 2月2日 | 午前 | 4科②、2科③、適性検査型③ | 約20名 |
| 2月2日 | 午後 | 2科④、適性検査型④ | |
| 2月10日 | 午前 | 2科⑤ | 若干名 |
2月1日と2月2日は午前・午後の両方に試験が設定されているため、吉祥寺学園中等部を第一志望にして複数回受験することも、他校との併願日程に組み込むこともできます。
2027年度入試は速報段階の内容を含むため、出願期間や受験料などの細かな条件については、正式な募集要項が発表された段階で確認しておきたいところです。
一般的な中学受験なら「2科」または「4科」
中学受験塾で国語・算数、または国語・算数・理科・社会を勉強してきた受験生にとって、最も取り組みやすいのが2科・4科入試です。
2科入試では国語と算数をそれぞれ45分・100点満点で実施します。4科入試では国語・算数に理科・社会を加え、理科と社会を合わせて100点、合計300点を200点満点へ換算して判定します。
| 方式 | 科目 | 時間・配点 |
|---|---|---|
| 2科 | 国語・算数 | 各45分・各100点 |
| 4科 | 国語・算数・理科・社会 | 国語・算数各45分100点、理科・社会合計45分100点 |
4科入試だから単純に科目数が多いというだけではありません。理科・社会まで学習してきた受験生は、その蓄積を合否判定に反映できます。一方、国語・算数に集中して仕上げてきた場合は、2科入試を複数回利用する方法があります。
適性検査型は、公立中高一貫校との併願を想定しやすい
適性検査型入試は、公立中高一貫校の受検準備をしてきた児童が、その学習を生かして受験できる方式です。
2027年度は、大きく二つのタイプが設定されています。
- Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型:都立武蔵・都立大泉などを意識した総合力重視の形式
- Ⅰ・Ⅱ型:都立三鷹・都立立川国際などを意識した表現力・思考力重視の形式
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型では3つの適性検査を各45分で実施します。Ⅰ・Ⅱ型では、Ⅰを「表現力」、Ⅱを「思考力」と位置づけています。
私立中学向けの4科対策を十分にしていなくても、公立中高一貫校向けに文章読解、資料分析、記述、思考問題へ取り組んできた受験生なら、その力をそのまま使いやすい試験です。
英語特別入試では、英語+国語または算数で受験
英語を強みにしてきた受験生には、2月1日午後の英語特別入試があります。
英語は45分で、コミュニケーション試験約10分を含みます。これに国語または算数のどちらか1科目を組み合わせて受験します。
| 科目 | 換算後の配点 |
|---|---|
| 英語 | 120点 |
| 国語または算数 | 80点 |
| 合計 | 200点 |
英語の比重が高いため、小学校時代から英語学習を続けてきた受験生には特徴を生かしやすい方式です。
英検取得者には英語特別入試で「点数保証」がある
英語特別入試では、英検の取得級に応じて英語得点を保証する制度があります。
| 英検取得級 | 英語の保証点 |
|---|---|
| 準1級以上 | 120点・英語試験免除 |
| 2級 | 100点 |
| 準2級 | 80点 |
| 3級 | 75点 |
| 4級 | 70点 |
英語特別入試の英語は120点換算となるため、2級以上を持つ受験生にはかなり大きな意味を持つ制度です。
ただし、英語特別入試では、通常入試で利用できる英検の資格加点とは重複しません。英検を持っているから二重に得点が上乗せされるわけではありません。
英検・漢検・数検は一般入試でも加点対象
2科・4科などの一般入試では、英検、漢検、数検などの取得級に応じた加点制度があります。
| 取得級 | 加点 |
|---|---|
| 2級 | 30点 |
| 準2級 | 20点 |
| 3級 | 15点 |
| 4級 | 10点 |
複数の検定資格を持っている場合も対象になりますが、加点は合計30点が上限です。
中学入試では数点の差が合否を分けることがあります。4級以上の資格をすでに取得している受験生は、出願時に忘れず申請しておきたい制度です。
入試対策講座の「ステップアップテスト」にも加点制度
6年生を対象とした入試対策講座では「ステップアップテスト」が実施され、その成績が一定基準以上の場合には入試で加点されます。
適性検査型と2科型のテストが設定されているため、学校を早い段階から志望している受験生には、自分の現在位置を確かめる機会にもなります。
過去問を解くだけでなく、学校が実施する入試対策講座を利用しながら出題形式に慣れていくことができます。
2026年度の実際の合格最低点を見る
合格の目安を考える際には、偏差値だけでなく、前年に実際にどの程度の得点で合格しているかを見る方法があります。
2026年度入試の主な合格最低点は次の通りでした。
| 入試方式 | 満点 | 合格最低点 | 得点率の目安 |
|---|---|---|---|
| 4科① | 300点 | 145点 | 約48% |
| 2科① | 200点 | 129点 | 約65% |
| 英語特別① | 200点 | 104点 | 52% |
| 適性検査型① | 300点 | 106点 | 約35% |
| 2科② | 200点 | 113点 | 約57% |
| 適性検査型② | 200点 | 133点 | 約67% |
| 4科② | 300点 | 145点 | 約48% |
| 2科③ | 200点 | 125点 | 約63% |
| 適性検査型③ | 200点 | 106点 | 53% |
| 2科④ | 200点 | 131点 | 約66% |
2科入試を見ると、回によって差はありますが、合格最低点はおおむね6割前後から6割台半ばでした。
ただし、最低点はその年の問題難度や受験者層によって変動します。「前年の最低点を取れば合格できる」と考えるのではなく、過去問ではそれより余裕を持った得点を安定させることが目標になります。
2026年度は倍率だけを見ると穏やかな入試だった
2026年度は、複数の入試回で受験者数と合格者数の差が比較的小さくなりました。
たとえば2月1日午前の2科①では14名が受験して13名が合格、4科①では5名が受験して4名が合格しています。2月2日午後の2科④では16名が受験して15名が合格しました。
一方で、2026年4月に吉祥寺学園中等部へ校名変更したばかりであり、2027年度は入試制度にも変更があります。前年の倍率だけを見て「入りやすい」と判断するのは早計です。
受験生としては倍率を予想するより、まず国語・算数で基本問題を落とさず、過去問で6割台を安定して取れる状態を目指すほうが現実的です。
アスリート評価入試とダンス表現入試もある
学力試験以外の経験を評価する入口として、アスリート評価入試とダンス表現入試も設定されています。
アスリート評価入試は、陸上・体操で実績を持つ受験生が対象です。国語基礎・算数基礎の筆記試験に加え、活動実績を示す書類と自己アピール面接によって評価します。
ダンス表現入試では、実技試験と自己アピール面接を行います。合格後にダンス部へ入部する意思があることも条件となっています。
いずれも吉祥寺学園中等部を第一志望とし、合格した場合には入学する意思を持つ受験生を対象とした入試です。希望する場合には、学校説明会で事前相談を行っておく必要があります。
特待制度は2027年度に「3年間特待」を13名設定
吉祥寺学園中等部では、入試成績や学芸・体育活動での実績を評価する特待制度があります。
2027年度は、AO入試からの3名を含め、3年間特待を13名設定しています。
| 特待区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 3年間特待 | 初年度から3年次まで対象となる学校納付金を全額免除 |
| A特待 | 入学金免除+年間授業料から10万円減免 |
| B特待 | 年間授業料から10万円減免 |
3年間特待の場合、3年間の免除総額は約360万円となります。前年には3年間特待6名、A特待・B特待合わせて33名の実績がありました。
さらに、2月1日の入試で合格した後、2月2日により上位の特待を目指して再受験することもできます。すでに入学手続を終えた後に上位特待へ合格した場合には、対象となる納入金が返金されます。
吉祥寺学園中等部を目指すなら、まず算数・国語の基礎を安定させたい
多彩な入試方式がありますが、一般的な中学受験生にとって中心になるのは国語・算数です。
2026年度の結果を見ると、極端な難問をすべて解かなければ合格できない試験ではありません。むしろ、基本から標準レベルの問題を確実に取り、苦手分野で大きく崩れないことが重要になります。
そのうえで、4科を勉強してきた受験生なら理科・社会、英語を続けてきた受験生なら英語特別、公立中高一貫校志望なら適性検査型というように、小学校6年間で積み上げてきたものを生かせる入試方式を選ぶのが吉祥寺学園中等部の受験戦略です。
そして、この学校の場合は合格することだけでなく、入学から3年後には再び高校受験が待っています。中学入試で無理をして背伸びすることよりも、入学後も学習を続けられるか、高校受験という学校の仕組みに本人が納得しているかまで含めて志望校として考えたいところです。
併願校パターン|中央線沿線を中心に考える2月の受験日程
吉祥寺学園中等部の併願を考えるときは、偏差値だけで学校を並べるより、「高校受験をする私立中学校を選ぶのか」「中高一貫校へ進むのか」を最初に整理しておくことが大切です。
吉祥寺学園中等部は、一般クラスの生徒が3年後に全員高校受験へ向かいます。一方、周辺の東京電機大学中学校、明法中学校、聖徳学園中学校、武蔵野大学中学校などは中高一貫教育を基本としています。同じ地域・難易度帯で比較できても、入学後の6年間の設計はかなり異なります。
まず考えたいのは「高校受験を残したいか」
吉祥寺学園中等部を第一志望にする家庭では、「私立中へ進みたいが、大学や高校まで12歳で固定したくない」という考え方が一つの軸になります。
中学3年間で学力を伸ばし、15歳で早慶附属、GMARCH附属、都立進学校などへ改めて挑戦したいのであれば、吉祥寺学園中等部の仕組みには意味があります。
反対に、「中学受験を終えたら高校受験はせず、6年間かけて大学受験へ向かいたい」という家庭なら、同じ中央線沿線でも中高一貫校を中心に併願したほうが学校選びの軸は揃います。
中央線沿線では東京電機大学中学校が比較しやすい
吉祥寺学園中等部と併せて検討しやすい学校の一つが、同じ東小金井エリアにある東京電機大学中学校です。
2027年度の東京電機大学中学校は、2月1日午前・午後、2月2日午前、2月4日午後に入試を実施します。2月1日午前と2月2日午前は2科・4科、2月1日午後は国語または算数の1科、2月4日午後は得意2科で受験できます。
両校は通学圏が重なりやすい一方、教育制度は大きく違います。
| 学校 | 中学卒業後 | 学校選びの主な視点 |
|---|---|---|
| 吉祥寺学園中等部 | 高校受験 | 3年間で学力を伸ばし、15歳で高校を選び直す |
| 東京電機大学中学校 | 併設高校へ進学する中高一貫教育 | 理数・ICT教育を含む6年間の学びを重視する |
「高校受験を残すか、6年間の一貫教育を選ぶか」を比較するうえでも分かりやすい組み合わせです。
明法中学校は2月1日・2日に複数回受験できる
多摩地域から通学する場合には、明法中学校も併願候補になります。2027年度は2月1日午前・午後、2月2日午前・午後、2月5日午前に入試が設定されています。
2月1日・2日の午前は2科または4科、午後は2科の特待生入試となっているため、国語・算数を中心に準備している受験生であれば日程を組み合わせやすくなっています。
吉祥寺学園中等部と同様に少人数教育を検討したい家庭でも比較しやすい学校ですが、明法中学校は高校まで続く中高一貫校です。したがって、入試難易度だけでなく、高校受験の有無を含めて判断する必要があります。
聖徳学園中学校は武蔵境駅から近く、入試方式も多い
JR中央線「武蔵境駅」を利用できる聖徳学園中学校も、吉祥寺学園中等部と通学圏が重なりやすい学校です。
2027年度は2月1日から複数回の入試を行い、国語・算数による一般入試のほか、適性検査型、特別奨学生入試、プログラミング入試などを設定しています。
公立中高一貫校を第一志望として適性検査対策をしてきた受験生なら、吉祥寺学園中等部と聖徳学園中学校の双方で適性検査型を利用するという組み方も考えられます。
吉祥寺学園中等部を第一志望にする場合
吉祥寺学園中等部を第一志望とするなら、複数回入試を利用することが基本的な考え方になります。
2027年度は2月1日午前・午後、2月2日午前・午後に複数の試験方式が設定されているため、初回で結果が出なかった場合にも再挑戦できます。
| 日程 | 受験例 |
|---|---|
| 2月1日午前 | 吉祥寺学園中等部 |
| 2月1日午後 | 吉祥寺学園中等部を再受験、または他校の午後入試 |
| 2月2日午前 | 吉祥寺学園中等部を再受験、または明法中学校など |
| 2月2日午後 | 吉祥寺学園中等部を再受験、または他校の午後入試 |
第一志望校を一度だけ受験して終えるより、複数回受験できる日程を最初から確保しておくほうが安心です。
チャレンジ校を組み合わせる場合
吉祥寺学園中等部を合格可能性の比較的高い学校として置き、その上の難易度帯にも挑戦したい場合には、東京電機大学中学校や武蔵野大学中学校などを含めて考えることができます。
たとえば、次のような組み方です。
| 日程 | 受験例 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 2月1日午前 | 東京電機大学中学校 | チャレンジ |
| 2月1日午後 | 吉祥寺学園中等部 | 合格確保を目指す |
| 2月2日午前 | 吉祥寺学園中等部または東京電機大学中学校 | 前日の結果に応じて選択 |
| 2月4日午後 | 東京電機大学中学校 | 再チャレンジ |
東京電機大学中学校は2月1日午後に1科入試もあるため、午前に吉祥寺学園中等部、午後に東京電機大学中学校という逆の組み方も可能です。
どちらを先に受けるかは、第一志望校、過去問との相性、午後まで集中力が続くかなどを考えて決めます。
まず一校の合格を確保したい場合
2月前半の精神的な負担を軽くするには、吉祥寺学園中等部より合格可能性を高く見込める学校を日程に入れておく方法があります。
候補としては明法中学校や聖徳学園中学校などがありますが、「安全校」は学校名だけで決まるものではありません。模試偏差値、過去問得点、募集回ごとの倍率によって、同じ学校でも合格可能性は変わります。
とくに午後入試や募集人数の少ない後半日程は、受験者層が変わることがあります。安全校とは偏差値表で数ポイント低い学校ではなく、過去問で合格最低点を継続して上回れる学校と考えておくほうが現実的です。
適性検査型なら都立中との併願も考えられる
吉祥寺学園中等部には適性検査型入試があるため、都立中高一貫校を第一志望とする受験生にも利用しやすい学校です。
中央線沿線には、東京都立武蔵高等学校附属中学校、東京都立三鷹中等教育学校などがあります。公立中高一貫校対策を中心に進めてきた場合、私立中向けの4科入試へ急に学習を切り替えなくても、適性検査型で私立校の合格を確保する方法があります。
| 時期 | 受験の考え方 |
|---|---|
| 2月1日 | 吉祥寺学園中等部や聖徳学園中学校の適性検査型を受験 |
| 2月2日 | 必要に応じて私立校を再受験 |
| 2月3日 | 都立中高一貫校を受検 |
ただし、ここでは進学後の違いをよく考える必要があります。都立中高一貫校や聖徳学園中学校は基本的に6年間の一貫教育ですが、吉祥寺学園中等部では3年後に高校受験をします。「適性検査型で受けやすい」という理由だけで選ぶのではなく、合格した場合に本当に進学したいかまで確認しておきたいところです。
1月校は「合格する経験」をつくるために使える
東京・神奈川の2月入試を迎える前に、埼玉県や千葉県の1月入試を受験する家庭もあります。
本番の試験会場で問題を解き、合格発表まで経験してから2月へ入ることには意味があります。特に初めての本番では、会場の雰囲気や時間配分だけで普段通りの力を出せないこともあります。
ただし、「練習だからどこでもよい」と考えるのではなく、万一2月校で思うような結果が出なかった場合に進学を検討できる学校を含めるほうが、受験日程としては安定します。
吉祥寺学園中等部の併願では「3年後」まで考えたい
吉祥寺学園中等部の併願校選びが少し難しいのは、偏差値の近い学校を並べるだけでは教育方針が揃わないことです。
東京電機大学中学校、明法中学校、聖徳学園中学校、武蔵野大学中学校などへ進めば、基本的には中高一貫教育の中で6年間を過ごします。吉祥寺学園中等部へ進めば、3年後にもう一度高校を選びます。
したがって併願校を決める際には、次の三つを順番に考えると整理しやすくなります。
- 高校受験を残したいのか、中高一貫教育を選びたいのか
- 本人の現在の学力で、どこをチャレンジ・標準・合格確保候補とするのか
- 2月1日午前から、合格が一つもない状態をできるだけ長引かせない日程になっているか
吉祥寺学園中等部は、入試時点の難易度だけを見ると選択肢に入れやすい家庭もあります。しかし、入学後の3年間は高校受験という明確な目標へ向かいます。併願校を比較するときこそ、「どこに合格しやすいか」だけでなく、「合格した学校でどんな中学生活を送りたいか」まで考えておきたい学校です。
在校生・保護者の声|学習支援への評価と学校運営をめぐる受け止め
吉祥寺学園中等部について在校生や保護者の受け止めを見ると、少人数での学習、高校受験まで学校が関わる進路指導、完全給食、クラブ活動など、日々の学校生活を評価する声があります。
一方、2026年4月の校名変更と、それに前後して生じた学校法人の運営をめぐる動きについては、戸惑いや不安を抱いた家庭もありました。吉祥寺学園中等部を検討する場合には、実際の教育内容への評価と、学校法人の運営に対する受け止めを分けて考えることが大切です。
高校受験まで学校で学べることへの安心感
一般クラスの生徒が全員高校受験をする吉祥寺学園中等部では、3年次の「特別進学学習」が学校生活の大きな特徴になっています。
週3回、放課後に2時間、10人前後の少人数グループで入試対策を進めるため、学校の授業と高校受験勉強が完全に切り離されていません。分からないところを普段から教わっている先生に質問し、そのまま受験勉強へつなげられることを心強く感じる生徒や家庭があります。
高校受験を学校外へ丸ごと委ねるのではなく、通常授業、習熟度別授業、講習、面談、特別進学学習まで学校内でつながっていることは、この学校を選ぶ理由の一つになっています。
「塾なしで大丈夫か」は家庭によって受け止めが変わる
学校内の受験指導が充実しているからといって、すべての生徒が外部塾を利用しないわけではありません。
学校の指導を中心に受験準備を進める生徒もいれば、志望校の難易度や苦手科目に応じて外部の学習サービスを併用する家庭もあります。早慶附属高校や難関都立高校などを目指す場合には、本人の学力や目標によって必要な学習量も変わります。
したがって、「塾が不要な学校」と単純に捉えるよりも、高校受験対策を学校の中でもかなり行える学校と考えるほうが実態を理解しやすいでしょう。
先生との距離が近いと感じやすい学校規模
中等部全体で300人弱という規模のため、生徒にとって先生の顔が見えやすい環境です。習熟度別授業や放課後学習では、さらに人数を絞ったグループで指導を受けます。
高校受験では、単に問題を教えてもらうだけでなく、「どの高校を受けるのか」「現在の成績で何が足りないのか」といった個別の相談が増えていきます。
中学3年になるまで同じ学校の教員が学習状況や学校生活を見ているため、日常の様子を踏まえて進路相談ができることに安心感を持つ家庭もあります。
完全給食は、家庭にとって日々実感しやすい仕組み
保護者にとって毎日の生活に直結するのが完全給食です。昼食を学校で用意するため、基本的に毎朝弁当を作る必要がありません。
一日だけを見れば小さな違いですが、3年間続くことを考えると家庭への影響は大きくなります。中学3年では放課後の特別進学学習もあり、帰宅が遅くなる日には補食も認められています。
学習制度や進学実績ほど目立つ部分ではありませんが、毎日の学校生活を支える仕組みとして評価しやすい点です。
クラブ活動と高校受験を両方経験できる
陸上競技部やダンス部をはじめ、クラブ活動に打ち込む生徒もいます。高校受験を行う学校だからといって、中学1年から受験勉強だけを続ける学校生活ではありません。
大会や発表へ向けて仲間と活動し、中学3年になると徐々に受験とのバランスを考える。その切り替えも含めて3年間を過ごします。
高校へ内部進学しないため、中学校でできた仲間とは卒業後に別々の進路へ進みます。だからこそ、クラブや学校行事で一緒に過ごした3年間に強い思い入れを持つ卒業生もいます。
インクルーシブ教育は、実際に学校を見て確かめたい
吉祥寺学園中等部を他校と比較したとき、保護者の評価が分かれやすいというより、家庭によって受け止め方そのものが大きく異なるのがインクルーシブ教育です。
一般クラスとASDクラスは別の教育課程で学びますが、行事や学校生活の中には同じ学校の生徒として関わる機会があります。自分とは異なる特性を持つ人と日常的に接することを、子どもの成長につながる経験と考える家庭には、この学校ならではの意味があります。
一方で、実際にどの程度一緒に活動するのか、教員がどのように双方の生徒を支えているのかは、学校案内の文章だけでは分かりにくい部分です。学校公開や学園祭などでは、制度の説明だけでなく、生徒同士の自然な関わり方まで見ておきたいところです。
2026年の校名変更には、戸惑いを感じた家庭もある
吉祥寺学園中等部は、2026年4月に「武蔵野東中学校」から現在の名称へ変わりました。
学校名は単なる看板ではありません。長く「武蔵野東」の名称で学校生活を送り、その名前に愛着を持っていた在校生、卒業生、保護者にとって、校名変更は小さな出来事ではありませんでした。
そのため、名称の変更や学園全体の方向性について戸惑いや反発を示す声も生じました。新しい校名になったからといって、すべての関係者が同じように変化を受け止めたわけではないことは理解しておく必要があります。
学校法人の運営をめぐる対立も、入学前に知っておきたい
校名変更に先立つ時期には、学校法人の運営をめぐって一部の卒業生や保護者らとの対立が表面化し、訴訟にも発展しました。
この問題については当事者間で主張が異なり、学校紹介の記事からどちらか一方の主張を事実として評価することは適切ではありません。また、法人運営をめぐる争いと、在校生が毎日受けている授業やクラブ活動をそのまま同一視する必要もありません。
ただし、子どもを3年間預ける家庭にとって、学校法人への信頼や運営の安定性も学校選びの一部です。「教育内容が良ければ運営面は見なくてよい」という話でもありません。
今後も従来の教育が続くかを確認することが大切
吉祥寺学園中等部を検討する家庭が特に見ておきたいのは、旧・武蔵野東中学校時代から続いてきた教育が、校名変更後もどのように運営されているかです。
- 一般クラスとASDクラスによるインクルーシブ教育がどのように続いているか
- 少人数・習熟度別授業の体制が維持されているか
- 中学3年の特別進学学習がどのように行われているか
- 進路指導を担当する教員体制に大きな変化がないか
- 在校生や保護者へ学校運営の方針がどのように説明されているか
校名やパンフレットのデザインではなく、こうした日常の教育が継続しているかを見ることが、現在の吉祥寺学園中等部を判断するうえでは重要です。
口コミだけで判断せず、現在の学校を自分の目で見る
校名変更の直後で、学校運営をめぐるさまざまな意見もある時期だからこそ、口コミだけで吉祥寺学園中等部を判断するのは難しいところです。
長く通っている家庭から見える学校と、受験生が初めて見る新しい吉祥寺学園では、受け止め方が違うこともあります。また、教育への満足度が高い家庭と、運営面に懸念を持つ家庭の双方が存在しても不思議ではありません。
説明会では、高校進学実績や入試制度だけでなく、授業中の生徒の様子、先生との会話、一般クラスとASDクラスの関わり、放課後の雰囲気まで見ておきたいところです。
高校受験を学校全体で支える体制と、長く続いてきたインクルーシブ教育は、この学校を選ぶ明確な理由になり得ます。その一方、学園が大きく変化している時期であることも含めて納得したうえで進学を決める。現在の吉祥寺学園中等部では、その両方を見ることが学校選びには必要です。
この学校に向いている子の特徴|3年間で学力と他者理解の両方を育てたい子へ
吉祥寺学園中等部との相性を考えるうえで、最初に確認したいのは「私立中学校へ進学しても、3年後に高校受験をする」という仕組みを本人と家庭がどう受け止めるかです。
中高一貫校のように6年間を一つの学校で過ごすのではなく、中学3年間で学力をつけ、15歳でもう一度進路を選びます。その一方で、探究科や生命科、インクルーシブ教育、クラブ活動や学校行事にも取り組みます。
受験勉強だけに集中する学校でも、自由な学校生活を中心とする学校でもありません。高校受験へ向かう学習と、人との関わりを通じた成長を同時に求めたい家庭にとって、検討する意味のある学校です。
中学受験を「最後の受験」にしたくない子
吉祥寺学園中等部に最も向いているのは、中学受験を終えた後も学習を続け、3年後にさらに幅広い高校へ挑戦したい子です。
一般クラスでは全員が高校受験をするため、中学3年になると主要5教科の習熟度別授業に加え、週3回・各2時間の特別進学学習が行われます。早慶附属、GMARCH附属、都立進学校などを目指す生徒もおり、高校受験は一部の希望者だけの特別な進路ではありません。
中学受験で第一志望に届かなかったとしても、そこで進路が確定するわけではありません。3年間で力をつけたうえで、15歳の時点で改めて志望校を選ぶことができます。
「中学受験で一度区切りをつけたい」という子よりも、中学校でも勉強を続け、高校受験でもう一度挑戦してみたい子のほうが、この学校の仕組みを前向きに生かしやすいでしょう。
ただし、「リベンジ」だけを目的にしないほうがよい
高校受験でより難しい学校を目指せることは、吉祥寺学園中等部の一つの特徴です。しかし、「中学受験で届かなかった学校の系列高校へ必ず入り直す」という気持ちだけで3年間を考えるのは慎重になりたいところです。
12歳から15歳の間には、本人の得意科目も興味も大きく変わります。中学入学時には早慶附属高校を考えていても、3年後には都立高校や別の私立高校に魅力を感じるかもしれません。
大切なのは、中学受験の結果を取り返すことより、3年間で自分の選択肢を増やし、その時点の自分に合う高校を選べるようになることです。この考え方に納得できる家庭のほうが、学校の進路指導とも相性があります。
少人数の環境で、先生に見てもらいながら伸びたい子
吉祥寺学園中等部は、中等部全体で300人弱という比較的小規模な学校です。通常のホームルームに加え、英語・数学の習熟度別授業、中学3年の主要5教科、10人前後で行う特別進学学習など、学習集団を小さくする場面があります。
大人数の中でも自分で競争して伸びていける子もいますが、先生が現在の理解度を把握し、声をかけてもらえる環境のほうが力を出しやすい子もいます。
「分からないところをそのままにしやすい」「自分一人では学習計画を立てにくい」という子でも、教員とのやり取りを受け入れながら少しずつ自立していけるのであれば、この規模を生かしやすいでしょう。
自分で勉強を管理できるようになりたい子
学校では、自主学習プランノートを使い、家庭学習の予定を立てて振り返ります。
最初から自己管理が完璧な子である必要はありません。むしろ、「計画を立てても崩れてしまう」「好きな科目ばかり勉強してしまう」といった中学生が、教員の助言を受けながら自分の学習方法をつくっていくための仕組みです。
高校受験では、志望校によって必要な勉強が異なります。中学3年になって突然すべてを自己管理するのではなく、中学1年から計画する、実行する、振り返る、修正するという流れを経験していきます。
先生にすべて指示してもらいたい子より、最終的には自分で勉強できるようになりたい子に向いています。
「なぜだろう」と考えることを面白がれる子
高校受験対策とは別に、吉祥寺学園中等部には探究科やコラボ授業があります。
自分でテーマを見つけ、調べ、仮説を立て、考えた結果を文章や発表にまとめます。一つの正解を短時間で答える入試問題とは違い、すぐには答えの出ない問いに向き合う時間です。
理科の実験が好き、本で調べることが好き、ニュースを見て疑問を持つ、自分の好きなことについて詳しく話したくなる。そうした子であれば、通常の教科学習とは別の形で力を発揮できます。
反対に、「試験に出ないことはできるだけやりたくない」という考えが強い場合には、探究活動を負担に感じる可能性があります。
自分と違う人がいることを自然に受け止められる子
吉祥寺学園中等部を選ぶうえで、高校受験と同じくらい重要なのがインクルーシブ教育への相性です。
一般クラスとASDクラスは別課程で学びますが、同じ学校で生活し、行事などでは一緒に活動する機会があります。自分とは得意なことや苦手なこと、物事の感じ方が違う生徒が身近にいる環境です。
学校が求めているのは、相手に一方的に「優しくしてあげる」ことではありません。違いがあることを前提に、相手を知り、自分の考えも持ちながら一緒に活動することです。
「みんな同じでなくてもよい」と考えられる子には、この学校でしか得にくい経験があります。
人との関わり方を3年間で学びたい子
生命科では、いじめ、社会、環境、生命などについて話し合います。学校行事では、生徒自身が企画や運営に関わります。クラブでは学年を越えて活動します。
こうした場面では、自分の意見だけを通すことも、何も言わず周囲に合わせることも望ましいとは限りません。相手の意見を聞いたうえで、自分はどう考えるのかを言葉にする必要があります。
入学時から社交的である必要はありません。人前で話すのが苦手でも、少人数の環境で少しずつ他者との関わり方を身につけたい子であれば、3年間の活動を成長につなげられるでしょう。
勉強もクラブも、中学校生活として経験したい子
高校受験をする学校ですが、クラブ活動や行事を早い段階から削って受験勉強だけに集中するわけではありません。
陸上競技部やダンス部など競技に打ち込む生徒もいれば、吹奏楽、美術、科学研究などに取り組む生徒もいます。学校行事にも生徒自身が関わります。
中学1・2年では好きなことに時間を使い、3年になれば高校受験とのバランスを考える。限られた3年間だからこそ、どの時期に何へ力を入れるかを考える必要があります。
「高校受験をするなら部活動はしなくてよい」と考える家庭より、受験もするが、中学生としての経験も残したいと考える家庭に合いやすいでしょう。
毎日の給食や駅からの近さを生活面でも重視する家庭
学校選びでは教育理念や進学実績に目が向きやすいものですが、3年間では毎日の生活条件も積み重なります。
東小金井駅から徒歩約7分で、スクールバスへの乗り継ぎはありません。昼食は完全給食で、放課後に残る場合には補食も取れます。
中学3年になると特別進学学習で帰宅が遅くなる日もあります。そのとき、駅から近いこと、昼食を毎日学校で取れることは、本人だけでなく家庭の生活にも関わります。
学校へ長く残って学習する生活を考えている家庭ほど、こうした日常面の仕組みも生かしやすくなります。
中高一貫校の「6年間」に魅力を感じる子は慎重に考えたい
反対に、吉祥寺学園中等部との相性を慎重に考えたいのは、高校受験を避けることを中学受験の大きな目的としている家庭です。
せっかく中学受験をしたのだから、6年間同じ学校で友人関係を築き、高校受験を気にせず部活動や大学受験準備に取り組みたい。その希望が強いのであれば、中高一貫校のほうが学校選びの考え方には合っています。
吉祥寺学園中等部では、中学3年になると全員が志望校を考え、模試や過去問、面接対策などへ向かいます。友人たちも卒業後には別々の高校へ進学します。
この仕組みを「もう一度受験しなければならない」と感じるのか、「15歳でもう一度学校を選べる」と感じるのか。その違いは入学後の満足度に大きく関わります。
学校が変化している時期であることも受け止められる家庭
現在の吉祥寺学園中等部は、2026年に旧・武蔵野東中学校から校名を変更したばかりです。学園運営をめぐる変化について、在校生や保護者、卒業生の間にさまざまな受け止めがあることも無視できません。
そのため、「長年変わらない学校文化や運営体制」を第一に求める家庭では、今後の方向性をよく確認する必要があります。
一方、校名変更後も続いているインクルーシブ教育、高校受験指導、習熟度別授業など、実際の教育内容を見たうえで判断したい家庭であれば、現在の学校を自分の目で確かめることができます。
説明会では新しい制度だけを聞くのではなく、旧校時代から何が残り、何が変わったのかを質問してみると、家庭として納得できる学校かどうかを判断しやすくなります。
吉祥寺学園中等部との相性を考えるチェックポイント
- 中学卒業時に高校受験をすることへ本人も納得している
- 3年間で学力を伸ばし、15歳でもう一度進路を選びたい
- 少人数・習熟度別の環境で先生とやり取りしながら学びたい
- 自分で学習計画を立てる力を身につけたい
- 探究活動や、自分で問いを考える授業にも興味がある
- 自分とは異なる特性や考え方を持つ人と過ごすことを前向きに捉えられる
- 高校受験だけでなく、クラブや行事にも取り組みたい
- 校名変更後の学校運営についても確認したうえで進学を判断したい
吉祥寺学園中等部は、「入学後の進路が決まっている安心」を求める学校ではありません。むしろ、12歳では将来を決め切らず、3年間学びながら15歳で次の環境を選び直す学校です。
他者との違いを知り、自分の考えを持ち、学力も伸ばしたうえで、自分自身で次の高校を選ぶ。その3年間に意味を感じられる子と家庭であれば、吉祥寺学園中等部の特徴を生かしやすいでしょう。
まとめ|高校受験を前提とする私立中で過ごす3年間とは
吉祥寺学園中等部は、一般的な私立中高一貫校とは学校選びの前提が異なります。併設の普通高校を持たず、一般クラスの生徒は中学卒業時にそれぞれの志望高校を受験します。
つまり、この学校で過ごす3年間は、中学受験後の「6年間の前半」ではありません。12歳で入学し、15歳で次の進路を自分で選ぶ、一つの独立した教育期間として考えるほうが学校の姿を捉えやすくなります。
高校受験があるからこそ、3年間の密度が高い
中学1・2年では英語・数学を中心とした習熟度別授業を行い、自主学習プランノートを使いながら学習習慣を整えます。中学3年になると主要5教科の習熟度別授業や放課後の特別進学学習が加わり、それぞれの志望校へ向けた準備が本格化します。
卒業後には、都立高校、早慶やGMARCHの附属・系列高校、私立進学校など、それぞれ異なる道へ進みます。中学入試の時点で高校や大学まで決めるのではなく、3年間の成長を経てもう一度学校を選べることが、この仕組みの大きな意味です。
一方、高校受験を避けることを目的に私立中学校を選びたい家庭には、この制度は合いません。吉祥寺学園中等部を選ぶなら、本人自身が「3年後にもう一度受験する」ことを理解しているかが重要です。
学力だけでは説明できない「他者理解」の教育
もう一つの柱が、旧・武蔵野東中学校から受け継がれてきたインクルーシブ教育です。
一般クラスとASDクラスは別の教育課程で学びながら、同じ学校で生活し、行事などではともに活動します。自分とは異なる得意・不得意、感じ方、考え方を持つ人が身近にいる環境そのものが教育の一部です。
探究科や生命科でも、一つの正解を覚えるだけではなく、自分で問いを立てたり、他者の意見を聞いたりしながら考えを深めます。高校受験で求められる学力と、人と関わりながら自分の考えを持つ力を切り離していないところに、この学校らしさがあります。
受験勉強だけで終わらない中学校生活
高校受験という明確な目標がある一方、クラブ活動や学園祭、スポーツ大会、合唱、宿泊行事なども3年間に組み込まれています。
陸上競技やダンスに打ち込む生徒もいれば、吹奏楽、美術、科学研究などで興味を深める生徒もいます。完全給食や放課後の補食、自習環境などもあり、朝から夕方まで学校で過ごす日常を支えています。
高校へ進めば仲間はそれぞれ別の学校へ進むため、中学時代のクラブや行事も3年間で一度完結します。高校受験への準備をしながら、中学生として経験しておきたいことも残す。その時間の使い方まで含めて、この学校の3年間です。
2026年の校名変更後、学校が動いている時期でもある
吉祥寺学園中等部は、2026年4月に武蔵野東中学校から現在の校名へ変更しました。インクルーシブ教育や高校受験を前提とした進路指導など、従来から続く教育がある一方、校名変更や学校法人の運営をめぐって、在校生・保護者・卒業生の間にさまざまな受け止めが生じたことも学校選びでは知っておきたい点です。
この問題だけを理由に学校の日常教育まで否定する必要はありませんが、反対に、進学実績や教育制度だけを見て運営面を考えなくてもよいわけではありません。
現在の吉祥寺学園中等部を検討するなら、説明会などで旧校時代から何を受け継ぎ、これから学校をどの方向へ進めようとしているのかを確認したうえで判断することが大切です。
「私立中に入って、もう一度高校を選ぶ」という選択
吉祥寺学園中等部は、中学受験の先に高校受験を残すという点で、万人に分かりやすい学校ではありません。しかし、この仕組みを別の角度から見れば、12歳でその先の6年間を固定せず、15歳で成長した自分がもう一度進路を選べる学校でもあります。
少人数の環境で基礎から学力を積み上げたい。高校受験では今より高い目標にも挑戦したい。同時に、探究やクラブ活動にも取り組み、自分とは異なる人と過ごす経験も大切にしたい。そうした3年間を求める家庭にとって、吉祥寺学園中等部は他の中高一貫校とは異なる選択肢になります。
この学校を選ぶ際に見るべきなのは、「入りやすい私立中か」ではなく、「15歳のとき、どのような自分になって次の学校を選びたいか」です。高校受験、インクルーシブ教育、少人数での学校生活、そして現在の学校運営の方向性まで実際に確かめ、その3年間を本人が送りたいと思えるかどうか。それが最後の判断基準になるでしょう。
