- 学校の概要|仏教精神を受け継ぎながら共学へ歩んだ100年
- アクセスと立地環境|中央線と西武線の間に広がる武蔵野キャンパス
- 教育方針とカリキュラム|仏教教育とPBLをつなぐ「自分の軸」を育てる学び
- 学習環境と施設設備|大学とともに学ぶ緑豊かなキャンパス
- 学校生活と行事|朝拝から欅紫祭まで、日常の中に学校文化がある
- クラブ活動|LEGOからスポーツまで、興味を深める放課後
- 学費や諸経費について|初年度は約112万円、制服・端末なども見込んで考える
- 入試情報と合格の目安|複数回入試と特色ある試験方式をどう見るか
- 併願校パターン|中央線・西武線沿線を中心に組み立てる受験日程
- 在校生・保護者の声|広いキャンパスと先生との距離感はどう語られているか
- この学校に向いている子の特徴|問いを持ち、自分なりの判断軸を育てたい子へ
- まとめ|伝統的な「こころの教育」と現代的な探究を6年間でどう結ぶか
学校の概要|仏教精神を受け継ぎながら共学へ歩んだ100年
武蔵野大学中学校は、東京都西東京市新町にある私立の共学校です。武蔵野大学高等学校と中高一貫教育を行っており、高校からの募集も実施しています。同じキャンパスには武蔵野大学もあり、学校法人武蔵野大学が運営する総合学園の中等教育部門にあたります。
学校の原点は、1924年に仏教学者の高楠順次郎博士が設立した武蔵野女子学院です。女子教育から始まった学校ですが、現在は男女がともに学ぶ共学校となりました。一方で、創立以来の仏教精神は学校生活の中に残されており、そこへPBLや言語活動、ICTを使った学習などを組み合わせているのが現在の武蔵野大学中学校です。
武蔵野大学中学校の基本情報
| 学校名 | 武蔵野大学中学校 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都西東京市新町1-1-20 |
| 設置区分 | 私立 |
| 男女区分 | 共学 |
| 中高一貫 | 中高一貫教育を実施(高校募集あり) |
| 設置者 | 学校法人武蔵野大学 |
| 学校の源流 | 1924年創立の武蔵野女子学院 |
| 建学の精神 | 仏教精神を根幹とする人格教育 |
1924年に始まった武蔵野女子学院
武蔵野大学の歴史は、1924年、高楠順次郎博士が東京・築地に武蔵野女子学院を創立したことから始まります。当時、高楠博士が掲げたのは、仏教をよりどころとした人格教育でした。その後、中学校、高等学校、大学、大学院などへと教育の場を広げ、学校法人として2024年に創立100周年を迎えています。
100年という数字だけを見れば伝統校ですが、現在の学校像は昔の女子校をそのまま受け継いだものではありません。男女共学の学校となり、教育内容にも探究学習やICT、グローバル教育などが組み込まれています。それでも、人間としてどう生きるかを考える教育は残されています。この「変える部分」と「残す部分」の組み合わせが、武蔵野大学中学校を見るうえで一つの手がかりになります。
仏教の六つの徳目を「六つの学習者像」へ
学校が掲げる教育の根には、仏教の六波羅蜜に由来する布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧という六つの徳目があります。ただし、中学生に古い仏教用語を覚えさせること自体が目的ではありません。
現在はこれを、生徒が日常生活の中で考えやすい「六つの学習者像」として表しています。
- 思いやりのある人
- 我慢強い人
- 集中力のある人
- 規範意識の高い人
- 努力する人
- 知を求める人
知識量や試験の点数とは少し違う、人としての姿勢まで学校教育の対象にしているわけです。毎日の朝拝や宗教の授業も、この考え方とつながっています。
「こころの教育」と現代的な学びが同じ学校にある
武蔵野大学中学校を少し面白くしているのは、仏教精神を掲げる一方で、教育内容はかなり現代的であることです。学校では、他者と協力すること、課題を論理的に考えること、自分から動いて社会に関わることを教育上の柱としており、PBLや言語活動などもそのために位置づけられています。
つまり、仏教教育とPBLは学校の中で別々に存在しているわけではありません。「自分はどう考えるのか」という判断の軸を持ち、そのうえで現実の問題に向き合う。古くから続く人格教育を、現代の学校教育の中でどう形にするかという試みとして見ると、両者の関係が分かりやすくなります。
大学系列校でありながら、中高独自の学校づくりを進める
校名に「武蔵野大学」とある通り、系列には武蔵野大学があります。ただし、中学校・高等学校は大学進学だけを目的にした附属校というより、6年間の学校生活そのものに独自の教育プログラムを持つ学校です。
中学校では「グローバル&サイエンス」を掲げ、探究、言語活動、メタ認知などを取り入れています。系列大学への進路を持ちながら、国公立大学や私立大学などを目指す生徒もいるため、進路の選択肢をどのように設計しているかも、武蔵野大学中学校を考えるうえで重要な要素です。
アクセスと立地環境|中央線と西武線の間に広がる武蔵野キャンパス
武蔵野大学中学校は、東京都西東京市新町1丁目にあります。JR中央線と西武新宿線のほぼ中間に位置しており、特定の一駅から徒歩で通うというより、中央線・西武線の複数駅からバスを使って通学する生徒が多い立地です。
吉祥寺、三鷹、武蔵境、田無、ひばりヶ丘、東伏見と、利用できる駅の選択肢はかなり多めです。自宅の最寄り路線によって通学経路を組み替えられるため、西東京市や武蔵野市だけでなく、中央線・西武線沿線の広い地域から通学を考えられます。
主要駅からのアクセス
| 駅 | 路線 | 学校までの主なアクセス |
|---|---|---|
| 吉祥寺駅 | JR中央線・京王井の頭線 | 北口1番乗り場からバス約15分、「武蔵野大学」下車すぐ |
| 三鷹駅 | JR中央線 | 北口3番乗り場からバス約10分、「武蔵野大学」下車すぐ |
| 武蔵境駅 | JR中央線・西武多摩川線 | 北口3番乗り場からバス約7分、「武蔵野大学」下車すぐ |
| 田無駅 | 西武新宿線 | 徒歩約15分。または北口からバス約5分、最寄り停留所から徒歩約5分 |
| ひばりヶ丘駅 | 西武池袋線 | 南口からバス約20分、最寄り停留所から徒歩約5分 |
| 東伏見駅 | 西武新宿線 | 南口から西東京市「はなバス」を利用し、「武蔵野大学」下車 |
中央線側は武蔵境駅が使いやすい
中央線から向かう場合、吉祥寺・三鷹・武蔵境の3駅からバスを利用できます。なかでも武蔵境駅からは乗車時間が約7分と短く、学校の目の前にある「武蔵野大学」停留所まで移動できます。
吉祥寺駅からも直接アクセスできるため、京王井の頭線方面から通う場合にも経路を組みやすくなっています。中央線は東西に長く延びているので、東京都心側からだけでなく、多摩地域から通学する場合にも選択肢になります。
西武新宿線なら田無駅から徒歩通学もできる
西武新宿線では田無駅が最寄り駅の一つです。田無駅から学校までは徒歩約15分で、バスを使わずに通うこともできます。朝夕の道路状況に左右されず、自分のペースで歩けるのは徒歩通学ならではです。
一方、雨の日や荷物の多い日はバスを利用する方法もあります。毎日の通学では「晴れの日は歩く、天候が悪ければバス」といった使い分けができるのも、この立地ならではでしょう。
西武池袋線からも通学ルートがある
西武池袋線のひばりヶ丘駅からもバスでアクセスできます。中央線と西武新宿線だけでなく、西武池袋線側にも通学経路が開かれているため、西東京市北部や練馬区方面から受験を考える家庭にも選択肢があります。
また、西武新宿線の東伏見駅からは西東京市のコミュニティバス「はなバス」を利用できます。鉄道路線だけを見ると駅からやや離れた学校ですが、周辺の複数駅からバス路線が集まることで通学圏を広げています。
大学と同じ武蔵野キャンパスで過ごす
校地は武蔵野大学の武蔵野キャンパスと同じ西東京市新町にあります。駅前の限られた敷地に校舎が集まるタイプではなく、緑のあるまとまったキャンパスの中で中学校・高等学校生活を送ります。
中高6年間では、教室にいる時間だけでなく、登下校、昼休み、部活動、行事まで含めて学校で過ごす時間はかなり長くなります。都心の駅近校とは違い、武蔵野大学中学校では複数駅からバスで通い、広いキャンパスに入って一日を過ごすという生活になります。学校説明会や文化祭を訪れる際には、校内を見るだけでなく、自宅から実際にどの駅を使い、朝の時間帯にどの程度かかるのかまで確かめておくと、入学後の生活を想像しやすくなります。
教育方針とカリキュラム|仏教教育とPBLをつなぐ「自分の軸」を育てる学び
武蔵野大学中学校が中学校段階の学びのテーマとして掲げているのが、「グローバル&サイエンス」です。ただし、これは英語と理科の授業時間を増やす、という意味ではありません。異なる背景を持つ人と協力する力、自分で課題を見つけて筋道を立てて考える力、試行錯誤しながら解決策を探す力まで含めた教育として組み立てられています。
そのため、一般教科の授業とは別に、言語活動、PBL、ICTを使った学習、メタ認知などが用意されています。そして、これらの学びの根底にあるのが、創立以来続く仏教精神に基づく「こころの教育」です。知識や技術を身につけることと、「自分はどう考え、どう行動する人間でありたいのか」を考えることを切り離していません。
「グローバル&サイエンス」は英語と理科だけの話ではない
グローバルの側では、英語力そのものに加えて、広い視野を持ち、他者と関わりながら世界に参加できる人を育てることを目指します。サイエンスの側では、身の回りの問題を見つけ、仮説を立て、試し、結果を検討してもう一度考えるという過程を重視します。
学校が教育の目的として示しているのも、次の三つです。
- 多様な在り方を受け入れ、他者と協力すること
- 課題を解決するための論理的思考力を身につけること
- 自ら動き、社会や世界に貢献すること
「知っているか」を確認する学習から一歩進み、知識を使って何を考え、どのように動くのかまでを中学校教育の対象にしています。
まず「考えるための道具」を学ぶ言語活動
PBLでいきなり「自由に考えてください」と言われても、中学1年生には案外難しいものです。そこで武蔵野大学中学校では、教科を横断する「言語活動」を設けています。
ここで扱うのは、文章の読み書きだけではありません。例えば、次のようなアカデミックスキルを学びます。
- マインドマップ
- ノートテイキング
- Tチャート
- ブレインストーミング
- 情報を整理して比較する方法
- プレゼンテーション
学校独自の教材も使いながら、「情報を集める→整理する→考える→相手に伝える」という一連の方法を身につけていきます。国語の作文だけに使う技術ではなく、理科の考察、社会の調査、探究発表など、その後のさまざまな授業で使える学習の基礎体力に近いものです。
「WHY=なぜ」から始めるPBL
武蔵野大学中学校の教育を象徴するもう一つの柱が、PBL(課題解決型学習)です。大切にしているのは「WHY=なぜ」という問い。正解を先に教わるのではなく、自分で疑問を持ち、課題を発見し、解決策を考えて試します。
特徴的なのは、最初からうまくいくことを求めていない点です。試した結果を振り返り、フィードバックを受け、修正してもう一度試す。こうしたトライアル&エラーの循環そのものを学習として扱います。
中学1年では「自分を深掘りする」ことから始まり、「Who am I?」をテーマに一冊の本を制作し、その内容をプレゼンテーションします。社会問題を論じる前に、まず「自分はどんな人間なのか」を言葉にしてみるわけです。
年度末には、各学年が1年間の探究成果を発表する「Mu-1グランプリ」も行われます。調べて終わるのではなく、人に伝えるところまで含めて一つの探究活動になっています。
英語は4技能を意識し、実際に使う時間をつくる
英語教育では、ネイティブ教員と日本人教員による授業を組み込み、読む・書く・聞く・話すの4技能を扱います。英語を試験科目として学ぶ時間と、コミュニケーションのために実際に使う時間の双方を設ける考え方です。
iPad上の英語学習アプリも活用します。中学校で英語を初めて本格的に学ぶ生徒にとっては、学校の授業時間だけですべてを定着させるのは容易ではありません。授業外でも音声を聞いたり、自分の進度に応じて学習したりできる環境を用意し、日々の反復につなげています。
1人1台のiPadを「学習するための道具」として使う
生徒は1人1台のiPadを使用します。教材を見るための端末にとどまらず、調査、資料作成、発表、学習アプリなど、授業や探究活動のさまざまな場面で使います。
一方で、端末を持たせれば自動的に主体的な学習者になるわけではありません。放課後や長期休暇中の教科講習などと組み合わせながら、ICTを自分で学習を進めるための道具として位置づけています。
「メタ認知」で自分の学び方まで振り返る
この学校のカリキュラムで少し珍しいのが、メタ認知を明確に教育へ取り入れていることです。メタ認知とは、簡単にいえば「自分が今どう考え、どう学んでいるのかを、一段外から眺めること」です。
生徒は「MUSASHINO LOGBOOK(ムサログ)」を使い、1週間ごとに予定を立て、実践した内容を振り返ります。予定を立てたものの実行できなかったなら、単に「もっと頑張る」で終わらせず、なぜできなかったのかを考え、次週の行動を調整します。
さらに、学校生活や探究活動を通した成長を「六つの学習者像」と結びつけて振り返ります。試験の点数には表れにくい、思いやり、集中力、規範意識、努力する姿勢なども含め、自分がどのように変化しているのかを見ていく仕組みです。
週1時間の「宗教」がPBLと別世界になっていない
武蔵野大学中学校では、毎週1時間の宗教の授業があります。ただし、仏教の教義を暗記する時間ではありません。脳死や臓器移植といった生命倫理、戦争、冤罪などを題材に、「生と死」「善と悪」「人間はどう生きるべきか」といった問いを考えます。
ここを見ると、仏教教育とPBLがなぜ同じ学校に置かれているのかが分かります。PBLが「社会の問題をどう解決するか」を考える学習だとすれば、宗教の授業では、その前提となる「何をよいことと考えるのか」「自分は何を大切にして判断するのか」を考えます。
毎朝の朝拝で静かに自分を見つめる時間があり、言語活動で考える技術を学び、PBLで問いを立て、メタ認知で自分の行動を振り返る。武蔵野大学中学校のカリキュラムは、こうした一見異なる教育をつなぎながら、生徒自身の判断軸を6年間かけて育てようとしています。
学習環境と施設設備|大学とともに学ぶ緑豊かなキャンパス
武蔵野大学中学校の校舎は、武蔵野大学の武蔵野キャンパスに隣接する広い敷地の中にあります。銀杏やケヤキなど多くの樹木に囲まれ、校舎、体育施設、グラウンド、講堂、食堂などがまとまって配置されています。
施設の規模そのものに加えて、中高生が日常的に使う場所が多いことも特徴です。授業では理科室やPC教室、放課後には学習スペースや体育施設、昼休みには食堂や売店と、学校生活のさまざまな場面に対応する環境が用意されています。
図書館機能と自習環境を備えた「MUseion」
学習環境を見るうえで中心になるのが、2025年に利用が始まった「MUseion(ミュージオン)」です。図書館機能を備えた4階建ての学びの施設で、読書や資料調査に加え、自習や探究活動にも使われています。
定期試験前には、放課後にMUseionで勉強する中高生の姿も見られます。「図書館は本を借りるところ」と限定せず、授業後に残って学習する場所として機能している点は、中高6年間の生活を考えると重要です。
図書委員の生徒が大学構内の書店へ出向き、図書館に置く本を選ぶ「選書ツアー」も行われています。選んだ本は紹介POPとともにMUseionで展示・貸し出されるため、生徒自身が図書環境づくりに関わる機会もあります。
6室の理科室で実験まで行える
校舎には中高合わせて6室の理科室があります。理科を「教室で説明を聞く科目」にせず、実験や観察を行うための設備を確保しています。
化学室には、実験中に発生する気体などを安全に排気するためのドラフト設備も設置されています。中学校が掲げる「グローバル&サイエンス」のうち、サイエンス教育を実際の実験環境から支える施設です。
そのほか、調理室、被服室、技術室、美術室、書道室、音楽室なども備えています。中学校では主要教科だけでなく、実技教科にもかなりの授業時間を使います。専用教室の数は、学校生活の幅を考えるうえで案外見落とせない部分です。
人工芝グラウンドと冷暖房を備えた体育館
屋外には、2019年に完成した人工芝グラウンドがあります。体育の授業、クラブ活動、体育祭などで使用される学校生活の中心的なスペースです。
第一体育館のメインアリーナはバスケットボールコート2面分の広さがあり、地下には武道場を備えたサブアリーナもあります。体育館には冷暖房が設置されているため、年間を通して体育の授業や部活動に使われます。
さらに、校舎と第一体育館の間にはスポーツパークが整備され、その地下には約400台を収容できる駐輪場があります。自転車通学をする生徒にとっても、毎日の学校生活に直結する設備です。
600席の「雪頂講堂」
校内には約600席の雪頂講堂があります。創立60周年を記念して建てられた施設で、舞台正面にはパイプオルガンが設置されています。
武蔵野大学中学校では、日々の授業とは別に、仏教行事や学校行事を通じて全校で集まる時間があります。講堂はそうした学校文化を支える場所でもあり、一般的な教室や体育館とは少し違った役割を持っています。
各教室には電子黒板、PC教室には約80台の端末
普通教室には電子黒板が設置され、授業で利用されています。生徒自身も1人1台の端末を使用するため、教員が黒板に板書し、生徒がノートへ写すだけで授業が完結するわけではありません。
さらに、校内には2つのPC教室があり、合わせて約80台のパソコンを備えています。情報・技術などの授業で利用するほか、放課後にも使用できます。
1人1台端末が普及した現在でも、画面の大きいPCやキーボードを使った作業が適している場面はあります。用途によって個人端末とPC教室を使い分けられる環境になっています。
昼食は食堂、売店という選択肢もある
校内には食堂があり、栄養バランスを考えた食事が提供されています。毎日弁当を持参する以外にも、学校内で昼食を取れる選択肢があります。
また、2022年には校内コンビニエンスストア「MUマート」が開店しました。おにぎり、パン、飲み物、スイーツなどの軽食のほか、学用品や制服のオプション品なども購入できます。
中高6年間では、「消しゴムを忘れた」「部活動前に少し食べたい」といった、ごく普通の日が何度もあります。売店が便利なのは、こういう何でもない場面です。
質問しやすさを意識した中学職員室
中学職員室にはフリーアドレス方式が採用されています。生徒が質問や相談のために訪れやすい、開かれた職員室として設計されています。
施設というと、グラウンドの広さや新しい建物に目が向きがちですが、中学生にとっては先生に質問しやすい場所があることも学習環境の一部です。特に入学したばかりの中学1年生にとって、「分からないことを誰に聞けばよいのか」が見えやすいことは、学校に慣れていくうえでも意味があります。
広いだけではなく、学校生活の用途が分かれている
武蔵野大学中学校の施設は、緑の多い広いキャンパスという印象だけでは捉えきれません。授業を受ける教室、実験をする理科室、本を読み自習するMUseion、体を動かすグラウンドと体育館、全校で集まる講堂、食事をする食堂まで、それぞれの場所に役割があります。
中学生が朝から夕方まで学校で過ごすことを考えると、施設の多さよりも「一日の中でどのように使えるのか」のほうが重要です。武蔵野大学中学校では、授業、探究、自習、昼食、部活動までを一つのキャンパスの中で行える環境が整えられています。
学校生活と行事|朝拝から欅紫祭まで、日常の中に学校文化がある
武蔵野大学中学校の学校生活には、体育祭や文化祭のような一般的な学校行事と、仏教校として受け継いできた宗教行事の両方があります。年に数回の大きな行事だけが学校文化をつくるのではなく、毎朝の朝拝も含め、日常の中に学校の考え方が組み込まれているのが特徴です。
一方で、文化祭や体育祭では、生徒が仲間と相談しながら企画や準備を進めます。静かに自分を見つめる時間と、大勢で一つのものをつくる時間。この振れ幅も、武蔵野大学中学校で過ごす6年間を考えるうえで見ておきたいところです。
一日は「朝拝」から始まる
武蔵野大学中学校では、毎朝「朝拝」を行います。手を合わせ、黙念してから学校生活を始める時間です。
仏教校というと、宗教行事のある特別な日を思い浮かべるかもしれません。しかし、この学校では宗教教育が日常生活の側に置かれています。朝の短い時間に一度気持ちを静め、それから授業へ入る。この積み重ねが、創立以来掲げてきた「こころの教育」を学校生活の習慣にしています。
中学生にとって毎朝同じ時間を持つことは、生活の切り替えという意味もあります。登校して友人と話していた状態から、授業を受ける状態へ。その境目に朝拝が置かれています。
春にはクラスと学年が動く体育祭
体育祭は、クラスや学年の仲間と協力して取り組む大きな行事の一つです。競技そのものに加え、練習、役割分担、応援などを通して、普段の教室とは違った関係が生まれます。
中学1年生にとっては、入学して間もない時期に同級生と関係をつくる機会にもなります。中高一貫校では、学年が上がるにつれて「参加する側」から、周囲を見ながら動く側へと立場が変わっていきます。6年間同じ学校にいるからこそ、同じ行事でも経験の仕方は毎年少しずつ違います。
秋の「欅紫祭」は学校全体が動く文化祭
文化祭は「欅紫祭(けやきさい)」の名称で行われます。日頃の学習やクラブ活動の成果を発表したり、クラスや団体で企画を考えたりする、年間行事の中でも規模の大きなイベントです。
文化祭のおもしろさは、完成した展示や発表だけにはありません。何をするかを決め、準備し、意見が合わなければ話し合い、当日に間に合わせる。その過程には、PBLで重視している「自分たちで課題を見つけて動く」という学びと重なる部分があります。
受験を考えている小学生にとっても、欅紫祭は普段の説明会とは違う学校の表情を見られる機会です。生徒同士の話し方、上級生と下級生の関係、先生がどの程度生徒に任せているかなどは、パンフレットの数字からは分かりません。
声を合わせる合唱の行事
合唱に取り組む行事も学校生活の一部です。合唱は一人だけ上手に歌えば成立するものではなく、音程、声量、タイミングを周囲と合わせなければなりません。
文化祭や体育祭ほど派手ではありませんが、学級という単位で一つのものを仕上げる経験として性格の異なる行事です。運動が得意な生徒、企画を考えるのが好きな生徒、音楽が好きな生徒と、学校行事の中で活躍できる場面が一つに偏らないことも中学校生活では大切です。
報恩講や彼岸会に触れる6年間
学校では、報恩講や彼岸会など、仏教校としての行事も行われます。こうした行事では、普段の教科学習とは違い、命や他者との関係、自分自身の生き方について考える時間を持ちます。
仏教行事があるからといって、学校生活全体が宗教一色になるわけではありません。体育祭があり、文化祭があり、クラブ活動があり、その一方で年の節目には静かに自分を振り返る時間がある。武蔵野大学中学校の場合、この両方が同じ年間予定の中に入っています。
芸術に触れる時間も学校行事に組み込まれる
芸術鑑賞など、普段の授業とは異なる文化に触れる機会も設けられています。学校教育というと、どうしても定期試験や大学受験に直接つながる科目へ目が向きますが、中高6年間は10代の感性が大きく変化する時期でもあります。
音楽や演劇などを実際に見聞きする経験は、試験の点数にはすぐ表れません。それでも、自分がこれまで知らなかった表現に触れる時間を学校行事として持つことには、教室の授業とは別の意味があります。
探究の成果を人前で発表する「Mu-1グランプリ」
PBLは授業の中だけで完結せず、年間を通して取り組んだ成果を発表する機会があります。その一つが「Mu-1グランプリ」です。
自分たちが考えたことを発表するとなると、「調べた内容が正しいか」だけでは足りません。何を一番伝えたいのか、どの順番なら理解してもらえるのか、質問されたらどう答えるのかまで考える必要があります。
§3で紹介した言語活動やPBLが、こうした発表の場につながっています。授業で覚えた知識とは別に、「自分の考えを人前に出す」経験を繰り返せるのが、探究活動を行事として発表する意味です。
高校では海外へ学びを広げる機会もある
中学校で育てた英語力や探究する姿勢は、高校段階になると海外での学びにもつながります。希望者を対象とした海外研修や、コースによっては長期留学を経験できる仕組みも用意されています。
中学受験では入学後3年間だけを見てしまいがちですが、中高一貫校を選ぶのであれば、高校まで視野を広げておきたいところです。中学校のPBLや英語学習で身につけたものを、高校で実際に国外へ出て試す。その先まで含めて6年間の学校生活が組み立てられています。
「静」と「動」の両方がある学校生活
武蔵野大学中学校の年間行事を眺めると、体育祭や欅紫祭のように仲間と動く行事と、朝拝や仏教行事のように静かに考える時間が並んでいます。
これは学校が掲げる教育ともよく重なります。他者と協力して物事を進めることを学ぶ一方で、その前に「自分は何を大切にするのか」を考える。行事は授業の息抜きとして置かれているのではなく、教室で学んでいることを別の形で経験する時間にもなっています。
クラブ活動|LEGOからスポーツまで、興味を深める放課後
武蔵野大学中学校・高等学校には、体育部12、文化部13の計25クラブがあります。中学生が参加できるクラブも多く、スポーツ系から音楽、美術、科学、プログラミングまで選択肢はかなり幅広く用意されています。
クラブ活動への参加は任意です。放課後を部活動に使うか、学習や自分の活動に充てるかは生徒自身が選べます。また、中高で一緒に活動するクラブがある一方、中学生と高校生で練習日を分けるクラブもあり、「中高合同」と一括りにはできません。種目によって活動の仕方が異なる学校です。
中学生が選べるクラブはスポーツから文化系まで幅広い
中学生が活動している主なクラブには、次のようなものがあります。
| 分野 | 主なクラブ |
|---|---|
| 体育系 | 男子バスケットボール部、女子バスケットボール部、女子バレーボール部、バドミントン部、卓球部、剣道部、競技ドッジボール部、ダンス部など |
| 文化系 | LEGO部、科学部、ブラスバンド部、合唱部、美術部、書道部、写真部、漫画アニメーション研究部、家庭科部、茶道部、華道部、箏曲部など |
高校段階になると活動の選択肢がさらに広がり、男子バレーボール部や軽音楽部など、高校生を対象とするクラブもあります。中高6年間を通じて同じ活動を続ける道もあれば、高校進学後に新しい分野へ移ることもできます。
LEGO部は「レゴで遊ぶ」からかなり先まで行く
武蔵野大学中学校のクラブ活動を語るうえで存在感があるのがLEGO部です。レゴブロックの制作だけではなく、LEGO TechnicやSPIKEを用いて、ロボット製作やプログラミングにも取り組んでいます。
活動の舞台は校内だけではありません。世界規模のロボット競技・探究大会であるFIRST LEGO League(FLL)にも参加しており、2026年には学校のチーム「MUL-TROVE」が国内大会で優勝し、アメリカ・ヒューストンで行われる世界大会への出場権を獲得しました。
FLLではロボットを速く正確に動かせばよいわけではなく、プログラミング、ロボット設計、社会課題についての探究、プレゼンテーション、チームワークまで評価されます。授業で行うPBLと、放課後のクラブ活動がかなり近いところで接続している例です。
地域の小学生を対象としたプログラミング教室を開くこともあり、自分たちが身につけた知識を外へ伝える活動にも取り組んでいます。
科学部では実際に手を動かして試す
科学部では、モデルロケットの打ち上げ、ガラスの製作、身近な廃棄物からアルコールを生成してエネルギー問題を考える実験など、テーマを変えながら活動しています。
授業の理科では学習指導要領に沿って内容を積み上げますが、クラブなら「これを試してみたい」という興味から先へ進めます。§4で紹介した複数の理科室を、こうした放課後の活動にも生かせるのが、理科好きの生徒には面白いところでしょう。
競技ドッジボール部は2025年度に正式な部へ
スポーツ系では、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、卓球、剣道、ダンスなどに加え、競技ドッジボール部があります。競技ドッジボールは2025年度に正式な部へ昇格しました。
小学校の休み時間で経験するドッジボールとは違い、競技として戦術や連係を考えて取り組みます。男女が一緒に活動し、性別にかかわらずプレーできることも特徴です。
中学入学時に「部活動で何か新しいものを始めたい」と考えている子にとっては、小学生時代の経験者だけが集まりやすい競技とは少し違った入り口になります。
剣道・バドミントンなどは中高で活動の形が異なる
中高が同じ敷地にある学校では、「すべてのクラブが中高合同なのか」は気になるところです。武蔵野大学中学校では、クラブによって運営方法が異なります。
例えばバドミントン部では、中学生と高校生の練習日程を分けて活動する機会が多くなっています。一方、種目によっては中学生と高校生が関わりながら活動する場面もあります。
中学1年生が高校3年生と常に同じ練習をするわけではなく、発達段階や競技レベルに応じた活動と、中高一貫校らしい縦のつながりが併存しています。志望するクラブが決まっている場合は、活動日数や中高合同の程度まで見学時に確かめておきたいところです。
文化部は伝統文化から漫画・アニメまで
文化系を見ると、学校の幅がよく分かります。茶道、華道、箏曲、書道といった日本の伝統文化に触れるクラブがある一方、漫画アニメーション研究部、写真部、LEGO部などもあります。
箏曲部では、畳敷きの「紅雲台」で箏や三味線の練習を行います。美術部では水彩、油彩、デッサンなどの平面作品に加え、彫刻、陶芸、ガラス細工などの立体制作にも取り組みます。
ブラスバンド部は定期演奏会、夏のコンクール、文化祭、アンサンブルコンテストなどを年間の活動目標としています。合唱部では合唱曲やポップスに加え、ミュージカルにも取り組みます。
運動が得意でなくても、放課後に自分の居場所をつくりやすい構成です。中学受験では進学実績や授業に目が向きますが、6年間の放課後を何に使えるかも、学校との相性を左右します。
施設の広さがクラブ活動にも生きる
運動部は、人工芝グラウンドや冷暖房を備えた体育館、武道場などを利用します。文化部についても、理科室、音楽室、美術室、書道室、和室など、それぞれの活動に対応した場所があります。
武蔵野大学中学校の場合、広いキャンパスは景観のためだけにあるわけではありません。昼間は授業で使っていた施設が、放課後になるとクラブ活動の場所へ切り替わります。校内で過ごせる場所の多さは、部活動を続ける生徒にとって日々の学校生活そのものに関わってきます。
部活動は「全員参加」ではない
クラブ活動は全員参加ではなく任意です。部活動にしっかり取り組みたい生徒もいれば、放課後の学習、学校外で続けている活動、習い事などを優先する生徒もいます。
中高一貫校では6年間同じクラブを続けることもできますが、「せっかく入学したのだから何かの部に入らなければならない」という仕組みではありません。LEGOや科学、音楽、スポーツなどに打ち込む道と、自分で放課後の時間を組み立てる道。その両方が用意されています。
学費や諸経費について|初年度は約112万円、制服・端末なども見込んで考える
武蔵野大学中学校では、入学金のほか、授業料、施設設備資金、教育充実費、実験実習料などが必要です。2026年度入試の案内では、入学金は25万円、授業料は年額54万6,000円となっています。
学費だけを見ると授業料が中心に見えますが、私立中学校では施設費や各種会費、教材、制服、情報端末なども加わります。武蔵野大学中学校の場合も、入学初年度は学校へ納める費用に加えて、入学準備用品まで含めて考えておく必要があります。
入学初年度に必要となる主な学費
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 入学金 | 250,000円 | 入学手続時 |
| 施設設備資金 | 50,000円 | 4月納入 |
| 授業料 | 546,000円 | 年額 |
| 教育充実費 | 132,000円 | 年額 |
| 実験実習料 | 12,000円 | 年額 |
| 保健料 | 6,000円 | 年額 |
| 後援会費 | 12,000円 | 年額 |
| 後援会入会金 | 1,000円 | 入学年度のみ |
| 紫紅会費 | 8,000円 | 4月納入 |
| 学年費(預り金) | 約100,000円 | 年度により変動 |
学年費を約10万円として計算すると、入学初年度に学校へ納める金額はおおむね111万7,000円となります。ただし、学年費は教材や行事などの内容によって変動するため、毎年まったく同じ金額になるわけではありません。
授業料などは年4回に分けて納入する
授業料、教育充実費、実験実習料、保健料、後援会費については、学校指定月に分けて納入する形になっています。年間分を一度に支払うのではなく、4月、7月、10月、12月の4回に分けて納めます。
入学時には入学金25万円が必要になり、4月には施設設備資金や学年費なども重なるため、初年度は年間総額だけでなく、どの時期にいくら必要になるかまで見ておくと家計の見通しを立てやすくなります。
制服は約16万円、指定端末は約12万円
学校へ納める学費とは別に、入学準備用品も必要です。目安となる金額は次の通りです。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 副教材など | 約18,000円 |
| 制服(夏・冬)など | 約160,000円 |
| 学校指定の情報端末機器など | 約120,000円 |
制服は購入する品目や数量によって金額が変わります。情報端末についても、授業やPBL、課題提出などで日常的に使用する学校指定端末を準備します。
これらを学費等に加えると、入学初年度はおおむね140万円前後を一つの目安として考えることができます。さらに、行事や研修、受講する講習などによって追加費用が生じる場合があります。
2年目以降は入学金と入学準備用品がなくなる
2年目以降は、25万円の入学金や後援会入会金といった入学年度だけの費用は原則として発生しません。また、制服や学校指定端末も毎年一式を購入するものではありません。
一方、授業料、教育充実費、施設設備資金、実験実習料、各種会費、学年費などは引き続き必要です。中学校3年間だけを考える場合でも、初年度の金額を3倍するのではなく、初年度特有の費用と毎年続く費用を分けて考えると実際の負担をつかみやすくなります。
特待生は入学金が免除・減額される
中学入試では、試験成績上位者を対象とした特待生制度があります。A特待では入学金25万円が全額免除、B特待では半額の12万5,000円が免除されます。
特待合格は通常の合格とは別に成績上位者へ与えられるもので、対象となる入試方式にも条件があります。特待を目指す場合には、単に合格最低点を超えることではなく、受験者の中で上位の得点を取ることが必要になります。
研修や講習によって追加費用が生じることもある
学校生活では、通常の学費とは別に、旅費や講習の受講料などを徴収する場合があります。とくに中高6年間で海外研修や留学などを選択する場合は、通常の年間学費とは別の費用として考える必要があります。
すべての生徒が同じ海外プログラムへ参加するわけではないため、こうした費用を一律に「6年間の学費」として加えるのも適切ではありません。家庭で学校選びをする際には、通常の必須費用と、本人の希望によって発生する研修・講習費を分けて考えると分かりやすくなります。
中高6年間で考えるときは「毎年続く費用」を見る
中学受験の学費比較では初年度納入金がよく使われますが、実際には入学してから高校卒業まで6年間あります。武蔵野大学中学校の場合、入学金や制服代のような一度きりの費用より、授業料や教育充実費など毎年続く費用のほうが6年間では大きな割合を占めます。
さらに、武蔵野大学への内部進学を選ぶ場合には、高校卒業後も大学4年間の教育費が続きます。反対に、他大学を受験する場合には受験料や入学手続費用などが別に必要になります。
学校選びでは「初年度はいくらか」だけで終わらせず、中学3年間、高校までの6年間、その先の大学までをいくつかの段階に分けて考えておくと、教育内容と費用の両方を落ち着いて比較できます。
入試情報と合格の目安|複数回入試と特色ある試験方式をどう見るか
武蔵野大学中学校の一般入試は、2月1日午前・午後、2月2日午前・午後、2月3日午後と複数の日程が組まれています。国語・算数を中心とした一般的な2科・4科入試に加え、英語を利用する方式、算数に重点を置く入試、ウェルビーイング入試、適性検査型入試まで用意されているのが特徴です。
「何度も受験できる」というだけではなく、受験生の得意分野によって試験方式を選べます。4科型で準備してきた子、算数を武器にしたい子、英語学習を続けてきた子、公立中高一貫校との併願を考える子で、受験戦略はかなり変わってきます。
2026年度の主な入試日程
| 入試 | 日程 | 募集人数 | 試験科目 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 2月1日午前 | 男女70名 | 2科(国語・算数)または4科(国語・算数・理科・社会) |
| 第2回 | 2月1日午後 | 男女45名 | 2科(国語・算数)または英語+基礎学力 |
| 第3回 | 2月2日午前 | 男女30名 | 2科(国語・算数)または4科(国語・算数・理科・社会) |
| 第4回 | 2月2日午後 | 男女15名 | 算数①・算数② |
| ウェルビーイング入試 | 2月3日午後 | 男女10名 | 算数+国語・理科・社会から1科選択 |
| 適性検査型入試 | 2月1日午前 | 男女10名 | 適性検査Ⅰ・Ⅱ型、またはⅠ・Ⅱ・Ⅲ型 |
このほか、海外帰国生入試も実施されています。一般的な私立中学受験の2科・4科型から、公立中高一貫校型まで入口が広く設定されており、受験生の学習歴を一つの形式に揃えていません。
第1回・第3回は2科と4科から選択
2月1日午前の第1回と2月2日午前の第3回では、2科または4科を選択します。
| 方式 | 科目・配点 |
|---|---|
| 2科 | 国語45分・100点、算数45分・100点 |
| 4科 | 国語45分・100点、算数45分・100点、理科・社会を合わせて45分・各50点 |
4科でも国語・算数の比重が高く、理科・社会は各50点です。したがって、4科受験であっても算数と国語を安定させることがまず重要になります。
第1回は募集人数70名と、教科型入試の中では最も大きな募集枠です。第一志望として考える場合には、まず2月1日午前を軸に受験計画を組む形が基本になります。
2月1日午後は英語を生かした受験もできる
第2回入試では、国語・算数の2科型に加えて、英語と基礎学力による受験を選択できます。
英語は45分・100点で、リスニングを含みます。基礎学力は30分・50点です。さらに、英検取得者には英語試験の成績保証制度があります。
| 英検取得級 | 英語試験の成績保証 |
|---|---|
| 2級以上 | 90% |
| 準2級プラス | 85% |
| 準2級 | 80% |
例えば英検2級以上を取得している場合、英語試験では90%の得点が保証されます。当日の得点が保証点を上回れば、実際の試験得点が採用されます。
小学校段階から英語を継続してきた受験生にとっては、その積み重ねを中学入試で生かせる方式です。一方、一般的な中学受験の算数・国語を中心に準備してきた場合には、通常の2科方式を選べます。
第4回は「算数1科」だが、試験は2本立て
2月2日午後の第4回は、算数1科入試です。ただし、45分の算数を1回受ける方式ではなく、「算数①」「算数②」をそれぞれ45分、各100点で受験します。
算数が得意な受験生には使いやすい日程ですが、試験時間は合計90分あります。単純な計算力だけではなく、長い時間を通して問題を考え続ける力も必要です。
募集人数は15名と、第1回や第2回より小さくなっています。公開模試の偏差値でも第4回は他の日程より高めに出る傾向があるため、「算数だけだから受けやすい」とは考えないほうがよいでしょう。
ウェルビーイング入試は算数+得意な1科
2月3日午後にはウェルビーイング入試が行われます。算数は必須で、もう1科を国語・理科・社会から選択します。
- 国語・理科・社会の選択科目:45分・100点
- 算数:45分・100点
4科すべてを均等に仕上げる方式ではなく、算数ともう一つの得意科目で勝負できます。理科が得意な子なら「算数+理科」、社会が強い子なら「算数+社会」という組み方が可能です。
この入試では成績上位者を対象にS・A・Bの特待制度も設けられています。S特待では年額24万円が給付され、A特待では入学金25万円が免除、B特待では入学金の半額にあたる12万5,000円が免除されます。
公立中高一貫校との併願には適性検査型入試
2月1日午前には、教科型入試とは別に適性検査型入試も実施されます。Ⅰ・Ⅱ型とⅠ・Ⅱ・Ⅲ型があり、公立中高一貫校を目指して適性検査対策をしてきた受験生が、その学習を生かして受験できます。
Ⅰ・Ⅱ型は各45分・100点で、都立三鷹中等教育学校の適性検査を意識した問題構成です。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型を選択する場合には、さらに45分・100点のⅢ型が加わります。
私立中学校向けの4科入試と公立中高一貫校の適性検査では、準備する問題の性格がかなり違います。武蔵野大学中学校では両方の入口があるため、都立中高一貫校を第一志望にしている家庭にとっても受験日程へ組み込みやすくなっています。
偏差値の目安は45~50程度
偏差値は模試会社や入試方式によって異なりますが、首都圏の公開模試では、武蔵野大学中学校は男女ともおおむね45~50程度が一つの目安になっています。
| 主な入試方式 | 偏差値の目安 |
|---|---|
| 第1回・2科 | 46 |
| 第1回・4科 | 45 |
| 第2回 | 49 |
| 第3回・2科 | 48 |
| 第3回・4科 | 47 |
| 第4回・算数 | 50 |
| ウェルビーイング入試 | 50 |
| 適性検査型 | 46 |
同じ学校でも、午後入試や募集人数の少ない回は偏差値が上がります。「武蔵野大学中学校の偏差値はいくつ」と一つの数字だけで見るより、どの回を受けるのかまでセットで考える必要があります。
複数回出願では受験料の仕組みも確認したい
教科型入試の受験料は3万円です。複数回の教科型入試を同時に出願する場合も、受験料は1回分となっています。
そのため、第1回だけを受験する場合と、第1回・第2回・第3回などをまとめて出願する場合で、受験料が単純に回数分増える仕組みではありません。第一志望度が高い場合には、複数回受験も現実的な選択になります。
適性検査型入試は受験料1万5,000円、海外帰国生入試は2万円と、教科型入試とは別に設定されています。
特待合格を狙うなら「合格点」より一段上が必要
教科型入試では、当日の成績上位者を対象とした特待生制度があります。A特待は入学金25万円の全額免除、B特待は半額の12万5,000円免除です。第1回では4科受験者が特待判定の対象になります。
したがって、特待を目標にする場合には「合格最低点を超える」という対策とは考え方が変わります。苦手科目で大きく崩れないことに加え、得意科目で上位層との差をつけられる状態まで仕上げる必要があります。
過去問では「どの入試方式を受けるか」を先に決める
武蔵野大学中学校は入試方式が多いため、過去問対策を始める前に受験する回を整理しておくことが大切です。
第1回・第3回を中心に受けるなら国語・算数を軸に4科を整える。第4回を使うなら算数を重点的に仕上げる。英語入試なら資格とリスニングを生かす。適性検査型なら公立中高一貫校対策との共通部分を利用する。それぞれ準備の方向が異なります。
入試方式の多さは、一見すると複雑です。しかし見方を変えれば、自分がこれまで身につけてきた力を、どの入口から評価してもらうかを選べる学校でもあります。偏差値だけで受験回を決めず、本人の得意科目と2月1日からの併願日程を合わせて組み立てることが重要です。
併願校パターン|中央線・西武線沿線を中心に組み立てる受験日程
武蔵野大学中学校の併願を考えるときは、偏差値だけで学校を並べるより、中央線・西武線沿線で実際に移動できるか、そして午前・午後入試をどう組み合わせるかを見るほうが実践的です。
武蔵野大学中学校は複数回の入試を実施しているため、第一志望なら本校を複数回受験する組み方ができます。一方、併願校として考える場合には、明治学院、東京電機大学、明星Institution、文化学園大学杉並など、東京都西部から通いやすく複数回入試を行う共学校が候補になります。
併願校は「難易度」と「通学方向」の両方で考える
武蔵野大学中学校の合格可能性を基準にすると、併願校は大きく次のように整理できます。
| 位置づけ | 学校例 | 考え方 |
|---|---|---|
| チャレンジ校 | 明治学院中学校、東京電機大学中学校の一部日程など | 武蔵野大学中学校より高めの合格ラインを目標にする |
| 標準校 | 武蔵野大学中学校、東京電機大学中学校、明星Institution中等教育部など | 模試成績や過去問との相性を見ながら本命候補として組み込む |
| 安全校候補 | 文化学園大学杉並中学校など | 合格可能性に余裕を持たせ、早い段階で一つ合格を確保することを考える |
もちろん、「安全校」と呼ばれる学校でも合格が保証されるわけではありません。模試の偏差値、過去問の得点、問題形式との相性によって位置づけは変わります。とくに午後入試は募集人数が少なく、午前入試より合格ラインが上がる学校もあるため、同じ学校でも受験回ごとに難易度を見ておく必要があります。
明治学院中学校|2月1日午後を使えるチャレンジ校
明治学院中学校は東京都東村山市にある共学校で、西武線方面から通いやすい学校です。大学系列校という点でも武蔵野大学中学校と共通しますが、キリスト教教育を柱としており、学校文化はかなり異なります。
2027年度入試は、次の日程で予定されています。
| 回 | 試験日 | 科目 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月1日午後 | 国語・算数 |
| 第2回 | 2月2日午前 | 国語・算数・社会・理科 |
| 第3回 | 2月4日午前 | 国語・算数・社会・理科 |
2月1日午後に入試があるため、午前に別の学校を受験した後で組み込めるのがポイントです。ただし、2月1日午後は受験生が集まりやすい時間帯でもあります。明治学院をチャレンジ校として入れるなら、「午後だから受けやすい」と考えるのではなく、過去問で合格ラインに届いているかを見ておきたいところです。
東京電機大学中学校|中央線でつながる理系色のある共学校
東京電機大学中学校は小金井市にあり、JR中央線の東小金井駅から通学できます。武蔵野大学中学校が武蔵境・三鷹方面から通いやすいことを考えると、地理的にも併願しやすい学校の一つです。
2027年度は、2月1日午前・午後、2月2日午前、2月4日午後に入試が予定されています。
| 回 | 試験日 | 主な方式 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月1日午前 | 2科・4科 |
| 第2回 | 2月1日午後 | 国語または算数の1科 |
| 第3回 | 2月2日午前 | 2科・4科 |
| 第4回 | 2月4日午後 | 得意2科 |
入試回によって難易度にも差があります。とくに募集人数の少ない回や午後入試では、武蔵野大学中学校より高い偏差値が示されることもあります。そのため、東京電機大学中学校を一律に「同程度の学校」と考えるより、受験回ごとにチャレンジ・標準の位置づけを変えるほうが現実的です。
理数教育や大学とのつながりを重視する家庭なら、武蔵野大学中学校との比較もしやすいでしょう。
明星Institution中等教育部|府中方面で複数回受験できる
府中市にある明星Institution中等教育部も、西東京エリアから検討しやすい共学校です。2027年度は2月1日から5日まで複数の日程が設定されています。
| 回 | 試験日 | 科目 |
|---|---|---|
| 第1回 | 2月1日午後 | 2科 |
| 第2回 | 2月2日午前 | 4科 |
| 第3回 | 2月2日午後 | 2科 |
| 第4回 | 2月3日午前 | 4科 |
| 第5回 | 2月3日午後 | 2科 |
| 第6回 | 2月5日午後 | 2科 |
受験機会が多いため、2月前半の日程を調整しやすい学校です。武蔵野大学中学校と両方を志望する場合、「どちらを先に受けるか」というより、第一志望校の受験日を確保したうえで空いている午前・午後へ組み込む考え方ができます。
文化学園大学杉並中学校|中央線沿線で合格を確保する候補
文化学園大学杉並中学校は杉並区にある共学校で、JR中央線の阿佐ケ谷駅などから通学できます。武蔵野大学中学校より都心側に位置するため、中央線沿線の家庭なら併願しやすい学校です。
2027年度一般入試は、2月1日から4日にかけて複数回実施されます。
| 回 | 試験日 |
|---|---|
| 第1回 | 2月1日午前 |
| 第2回 | 2月1日午後 |
| 第3回 | 2月2日午前 |
| 第4回 | 2月2日午後 |
| 第5回 | 2月3日午前 |
| 第6回 | 2月4日午前 |
2科・4科入試のほか、適性検査型や英語を使った入試もあります。一般的な4科受験をしている生徒だけでなく、英語や適性検査の準備をしてきた受験生にも入口があります。
模試の合格可能性に十分な余裕がある場合には、安全校候補として検討できます。ただし、グローバル教育やダブルディプロマなど武蔵野大学中学校とは異なる教育上の特徴があるため、「入りやすいから」だけで選ぶより、入学することになった場合にも通いたいと思えるかを見ておきたい学校です。
第一志望なら武蔵野大学中学校を複数回受ける
武蔵野大学中学校を第一志望にする場合、最も分かりやすいのは本校の複数回入試を受験計画の中心に置くことです。
入試は一回ごとに受験者層や募集人数が変わるため、「一度不合格だったら次も難しい」とは限りません。問題形式への慣れもありますし、複数回受験によって合格の機会そのものを増やせます。
ただし、2月1日から武蔵野大学中学校だけを連続して受験するか、別の学校を間に入れるかは、本人の成績によって変わります。合格可能性が十分高ければチャレンジ校を組み込み、まだ不安があるなら早めに安全校の合格を確保する。この判断が重要です。
代表的な受験プラン
例えば、武蔵野大学中学校を標準校から第一志望として考える場合、次のような組み方が考えられます。
| タイプ | 2月1日 | 2月2日 | 2月3日以降 |
|---|---|---|---|
| 第一志望型 | 武蔵野大学中を受験 | 武蔵野大学中を再受験 | 本校の後半日程または安全校 |
| チャレンジ併用型 | 武蔵野大学中+明治学院など | 東京電機大学中または武蔵野大学中 | 結果を見て後半日程へ |
| 合格確保型 | 武蔵野大学中+安全校候補 | 武蔵野大学中を再受験 | 合格状況に応じてチャレンジまたは終了 |
午前と午後を毎日埋めればよいわけではありません。2月1日の朝から入試を受け、移動して午後入試を受け、それを翌日も繰り返すと、小学生にはかなりの負担になります。受験できる学校数ではなく、本人が力を出せる学校数で考えるほうがよいでしょう。
1月校を使って「本番経験」をしておく方法もある
東京の入試が始まる前に、埼玉や千葉の学校を受験しておく家庭もあります。合格を一つ持った状態で2月1日を迎えられれば心理的にはかなり違いますし、実際の入試会場で時間配分や休み時間の過ごし方を経験できます。
ただし、通学する可能性がほとんどない学校を「練習」という理由だけで数多く受ける必要はありません。1月校についても、万一2月の結果が思わしくなかった場合に進学先として検討できるか、という視点は持っておきたいところです。
「安全校」は偏差値だけで決めない
併願計画で最も危ないのは、模試の偏差値表だけを見て「ここなら絶対に受かる」と考えることです。中学入試では学校ごとに問題の癖があり、算数の難易度、記述量、試験時間などによって相性がかなり変わります。
武蔵野大学中学校を中心に受験する場合も、チャレンジ校、標準校、安全校のそれぞれについて過去問を解き、実際の得点を確認しておく必要があります。
そしてもう一つ大切なのは、どの学校に合格しても通う可能性があるということです。最寄り駅、校風、教育内容、大学進学の仕組みまで見たうえで、「ここなら6年間通ってもよい」と思える学校だけで併願日程をつくる。それが、2月の数日間を単なる合格集めにしないための基本です。
在校生・保護者の声|広いキャンパスと先生との距離感はどう語られているか
学校の雰囲気は、カリキュラム表や大学合格実績だけでは分かりません。武蔵野大学中学校の生徒の声を見ていくと、繰り返し出てくるのは、緑の多いキャンパス、先生に話しかけやすい雰囲気、友人と過ごす学校生活です。
一方で、仏教教育、PBL、毎朝の朝拝など、この学校には一般的な共学校とは少し違う日常もあります。そうした特色を本人がどう受け止めるかまで含めて、学校との相性を考えたいところです。
「自然が多く、校庭が広い」という学校生活
在校生からは、校内に自然が多く、広い校庭でのびのび過ごせるという声があります。§4で紹介したように、武蔵野大学中学校は大学を含む武蔵野キャンパスの一角にあり、人工芝グラウンド、体育館、MUseion、食堂など複数の施設を使いながら学校生活を送ります。
これは、駅前のコンパクトな校舎とはかなり違う学校体験です。休み時間や放課後まで含め、広い敷地の中で一日を過ごすことになります。
もっとも、広いキャンパスが本人に合うかは好みによります。駅から数分で校門に着く学校を好む子もいれば、多少通学に時間を使っても、緑や空間のある学校で過ごしたい子もいます。説明会では校舎だけでなく、グラウンドや生徒の移動する範囲まで歩いてみると印象がつかみやすいでしょう。
先生には比較的声をかけやすい
在校生の声では、授業について「丁寧で分かりやすい」、先生についても気軽に声をかけられるという感想が見られます。
校内のつくりにも、その考え方が表れています。中学職員室にはフリーアドレス方式が採用され、生徒が質問や相談で訪れやすい環境が設けられています。分からない問題を聞く、学校生活について相談する、ちょっとしたことを先生に話す。中学生にとっては、こうした日常の距離感が案外重要です。
もちろん、先生との相性には個人差があります。「先生が優しい」という一人の感想を学校全体の評価に置き換えることはできません。ただ、生徒が教員へアクセスしやすいよう学校側が環境を整えていることは、学校生活を見る一つの材料になります。
友人関係は共学の中でつくられていく
現在の武蔵野大学中学校は男女共学校です。在校生からは、入学後に友人が増え、毎日の学校生活を楽しく過ごしているという声もあります。
この学校はもともと武蔵野女子学院から始まった学校ですが、現在の中学生にとっては共学が日常です。授業、PBL、体育祭、欅紫祭、クラブ活動など、男女が同じ学校生活を共有します。
PBLではグループで課題に取り組み、学校行事でも複数の生徒と役割を分担します。気の合う友人と過ごすだけではなく、考え方の違う相手と話し合わなければならない場面もあります。「他者と協力する」という教育目標は、こうした日常の人間関係の中でも試されることになります。
制服や食堂など、毎日の小さな満足もある
学校選びでは教育理念や進学実績が中心になりますが、実際に入学した中学生が毎日接するのはもっと身近なものです。在校生からは制服への好意的な感想もあります。
また、校内には食堂やMUマートがあり、昼食や軽食を校内で調達できます。MUseionで自習し、クラブ活動へ向かうという過ごし方もできます。
こうした設備一つひとつが進学先を決める理由になるわけではありません。ただ、中高6年間では制服を着る日も、昼食を取る日も、放課後を校内で過ごす日も何百回とあります。学校生活の満足度は、案外こうした小さな日常の積み重ねで決まります。
仏教教育は入学前に本人との相性を確かめたい
武蔵野大学中学校を検討するとき、避けて通れないのが仏教教育です。毎朝の朝拝があり、宗教の授業があり、報恩講や彼岸会などの行事があります。
ただし、学校生活で扱われるのは仏教用語を覚えることだけではありません。宗教の授業では、生命、善悪、戦争などについて考え、自分の判断軸を持つことが求められます。
こうした時間を「普段の勉強とは違うことを考えられて面白そう」と感じる子もいれば、宗教教育そのものに馴染みを感じない子もいるでしょう。これは良し悪しというより相性です。
学校説明会や文化祭に本人も参加し、朝拝や宗教教育についてどのように説明されるのかを聞いておくことをおすすめします。保護者が教育理念に共感していても、実際に6年間通うのは本人です。
PBLは「発表が好きな子」だけのものではない
PBLやプレゼンテーションが多い学校と聞くと、「人前で話すのが得意な子向けなのでは」と考える家庭もあるかもしれません。
しかし、武蔵野大学中学校では、いきなり発表だけを求めるのではなく、言語活動を通して情報の整理方法、考え方、伝え方を学びます。そのうえで探究やプレゼンテーションへ進みます。
入学時点では人前で話すことが苦手でも構いません。むしろ、「考えていることはあるけれど、まだうまく言葉にできない」という子が、6年間の中で少しずつ表現する経験を積む学校として見ることもできます。
一方、決められた答えを覚える勉強だけを好み、グループワークや発表を強く負担に感じる場合には、学校生活の中でPBLの比重をどう感じるかを確かめておいたほうがよいでしょう。
口コミより、実際の生徒の様子を見て判断したい
在校生や保護者の感想は学校選びの参考になりますが、一人の経験がそのまま全生徒に当てはまるわけではありません。同じ学校でも、クラス、担任、所属するクラブ、本人の性格によって学校生活の印象は変わります。
武蔵野大学中学校の場合は、欅紫祭など生徒が活動している日に訪れると、学校の空気をつかみやすくなります。先生が説明している姿より、廊下で友人と話している生徒、文化祭の準備をする生徒、下級生に教えている上級生を見るほうが、その学校の日常が見えることがあります。
広いキャンパスで過ごすこと、先生へ質問すること、PBLで仲間と考えること、朝拝で一日を始めること。こうした日常を本人が自然に受け入れられそうか。武蔵野大学中学校の「評判」を考えるなら、最後はそこを見るのが一番確かです。
この学校に向いている子の特徴|問いを持ち、自分なりの判断軸を育てたい子へ
武蔵野大学中学校との相性を考えるなら、偏差値や大学合格実績だけでなく、学校が6年間でどのような生徒を育てようとしているかを見る必要があります。
この学校では、朝拝や宗教の授業で自分自身を見つめる一方、PBLでは仲間と課題を発見し、調べ、考え、発表します。さらに、言語活動やメタ認知を通して「どう考えたのか」「次はどう行動するのか」まで振り返ります。こうした学び方を面白いと思えるかどうかが、学校との相性を考える一つの基準になります。
「なぜだろう」と考えることが好きな子
武蔵野大学中学校のPBLでは、「WHY=なぜ」から問いを立てることを重視しています。先生から正解を教わり、それを覚えて再現する学習だけではありません。
身近な出来事に疑問を持つ、気になったことを調べる、試してみてうまくいかなければ方法を変える。こうした過程そのものを楽しめる子には、PBLを中心とした学びが合いやすいでしょう。
反対に、「何をすれば正解なのかを最初にはっきり示してほしい」というタイプの子は、答えが一つに定まらない探究活動に最初は戸惑う可能性があります。ただし、中学1年から言語活動などを通して考え方そのものを学んでいくため、入学時点ですでに探究が得意である必要はありません。
自分の考えを少しずつ言葉にしていきたい子
言語活動、PBL、Mu-1グランプリなど、武蔵野大学中学校では自分の考えをまとめて他者へ伝える機会があります。
そのため、人前で話すことが好きな子には活躍する場面があります。しかし、この学校に向いているのは、最初からプレゼンテーションが上手な子だけではありません。
「考えていることはあるけれど、うまく説明できない」「発表は苦手だけれど、自分の意見を持てるようになりたい」という子にも意味のある環境です。マインドマップや情報整理、プレゼンテーションの方法から段階的に学ぶため、6年間かけて表現力を育てていくことができます。
勉強のやり方そのものを身につけたい子
武蔵野大学中学校では、MUSASHINO LOGBOOKを使った振り返りなど、メタ認知を意識した教育を行っています。
これは、先生から「勉強しなさい」と言われた量だけをこなすのではなく、自分で予定を立て、実行できたかを確認し、うまくいかなければ原因を考えるという学び方です。
中学生の段階では、学習計画を立てても予定通り進まないことのほうが普通です。大切なのは、失敗しないことではなく、「なぜできなかったのか」を考えて次に生かすこと。高校、大学へ進むにつれて自分で学習を管理する場面は増えるため、中学生のうちからこの習慣を身につけたい子には相性があります。
仏教教育を「考える時間」として受け止められる子
武蔵野大学中学校では、毎朝の朝拝、週1時間の宗教の授業、報恩講や彼岸会などが学校生活に組み込まれています。そのため、仏教教育は学校選びの際に必ず考えておきたい要素です。
宗教の授業では、生命、死、善悪、戦争など、簡単には正解を出せない問題について考えます。知識を覚えるだけではなく、「自分ならどう考えるのか」という問いに向き合う時間です。
日常の勉強とは少し違うこうした時間を、「自分の考えを深められそう」と受け止められる子には馴染みやすいでしょう。一方、朝拝や宗教行事を含む学校文化そのものに抵抗感が強い場合には、入学後の日常とのずれが生じる可能性があります。
理科・ものづくり・プログラミングに興味がある子
「グローバル&サイエンス」を掲げる学校だけあって、科学やものづくりに興味を持つ子が活動を広げられる環境があります。
複数の理科室を使った実験に加え、クラブ活動では科学部やLEGO部があります。とくにLEGO部では、ロボット製作やプログラミングだけでなく、社会課題の探究やプレゼンテーションにも取り組みます。
理科の問題集を解くのが好きというだけでなく、実際に作る、動かす、失敗する、直すという活動が好きな子なら、授業外にも興味を伸ばせるでしょう。
英語を使って世界を広げたい子
英語では4技能を扱い、ネイティブ教員との授業やICT教材も取り入れています。高校になると海外研修や留学へつながる選択肢もあります。
そのため、「中学受験が終わったら英語を一から学びたい」という子はもちろん、小学校時代から英語学習を続けてきた子にも、その経験を先へつなげる場があります。
海外大学への進学例もあるため、将来的に国内大学だけに進路を限定したくない家庭にとっても検討しやすい学校です。ただし、全員が留学や海外大学を目指す学校ではありません。自分の興味に応じて、国内外へ学びを広げられるという位置づけです。
系列大学という選択肢を持ちながら進路を考えたい子
高校卒業後には武蔵野大学への内部進学制度があり、その一方で国公立大学や早慶上理、GMARCHなど他大学を受験する生徒もいます。
中学受験の時点で将来の大学まで決めたくはない。しかし、系列大学という進路があることにも意味を感じる。そうした家庭には検討しやすい仕組みです。
とくに、一定の条件のもとで利用できる併願制度があるため、「系列大学か外部大学か」を早い段階で一方に決め切る必要はありません。中学、高校で興味や学力が変化することを前提に進路を考えられます。
ただし、内部進学にも学部・学科ごとの基準や人数枠があります。大学系列校だから勉強の負担が軽いという学校ではなく、選択肢を残すためにも日々の学習を続ける必要があります。
広いキャンパスで学校生活そのものを楽しみたい子
武蔵野大学中学校には、人工芝グラウンド、体育館、MUseion、食堂、MUマート、各種特別教室などがあります。放課後にはクラブ活動をすることも、自習してから帰宅することもできます。
駅から校舎まで数分という都市型の学校ではありませんが、その分、一度キャンパスへ入れば、授業から昼食、探究、自習、部活動までさまざまな活動を校内で行えます。
学校を「授業を受けて帰る場所」ではなく、友人と過ごし、自分の興味を広げる生活の場として考えたい子には、この環境を生かしやすいでしょう。
武蔵野大学中学校との相性を考えるポイント
- 答えを覚えるだけでなく、自分で問いを立てる学習をしてみたい
- 自分の考えを文章や発表で表現できるようになりたい
- 失敗を振り返り、自分で学習を調整する力を身につけたい
- 朝拝や宗教の授業を、自分自身や社会について考える時間として受け止められる
- 理科、ものづくり、プログラミング、英語など興味のある分野を掘り下げたい
- 武蔵野大学への内部進学と他大学受験の両方を視野に入れたい
- 緑のある広いキャンパスで6年間を過ごしたい
武蔵野大学中学校は、完成された「理想の生徒」を入学時から求めるというより、問いを持つこと、他者と考えること、自分を振り返ることを6年間繰り返していく学校です。
勉強の成績を伸ばすことだけでなく、「自分は何を大切にし、どう考えて行動するのか」まで少しずつ言葉にできるようになりたい子には、この学校の仏教教育とPBLの組み合わせが生きてくるでしょう。
まとめ|伝統的な「こころの教育」と現代的な探究を6年間でどう結ぶか
武蔵野大学中学校を一言で説明するなら、100年以上続く仏教精神と、PBLを中心とした現代的な学びを同じ教育の中に置いている共学校です。
毎朝の朝拝や宗教の授業では、自分自身や他者、生命、善悪について考える時間を持ちます。その一方で、PBLでは「WHY=なぜ」から問いを立て、仲間と調べ、試し、考えたことを発表します。一見すると遠く見える二つの教育ですが、「自分は何を大切にするのか」を考えたうえで、「では社会の中でどう行動するのか」へ進むという点ではつながっています。
「何を学ぶか」と「どう生きるか」を切り離さない
中学校では「グローバル&サイエンス」を掲げ、英語、探究、言語活動、ICT、メタ認知などを組み合わせています。MUSASHINO LOGBOOKを使って自分の学習を振り返る仕組みもあり、試験の点数だけではなく、自分で学び方を調整する力まで育てようとしています。
こうした教育の根には、「六つの学習者像」があります。思いやり、規範意識、忍耐、集中、努力、知を求める姿勢。大学受験に直接出題されるものではありませんが、中高6年間をどう過ごすかという意味では、むしろ長く残る部分かもしれません。
広いキャンパスも学校生活の一部
西東京市の武蔵野キャンパスには、人工芝グラウンド、体育館、理科室、MUseion、食堂、MUマートなどがあります。LEGO部や科学部をはじめ、運動部・文化部の活動もあり、授業が終わればすぐ帰宅するだけの学校生活ではありません。
最寄り駅から徒歩数分という学校ではなく、中央線や西武線の複数駅からバスを利用する生徒も多いため、通学については実際に自宅から足を運んで確かめておきたいところです。その代わり、一度校内に入れば、授業、昼食、自習、探究、クラブ活動までをまとまったキャンパスの中で過ごせます。
大学系列校だが、進路は武蔵野大学だけではない
進路面では、系列の武蔵野大学への内部進学制度を利用できる一方、国公立大学や早慶上理、GMARCH、海外大学などへ進む道もあります。
これは武蔵野大学中学校を考えるうえで重要な点です。「大学まで決まっている附属校」として見るより、系列大学という選択肢を持ちながら、高校までに自分の進路を考えられる学校と捉えるほうが実態に近いでしょう。
内部進学にも基準や人数枠があるため、入学後の学習が不要になるわけではありません。ただ、中学受験の時点で大学まで一つに決め切らず、本人の興味や学力の変化を見ながら進路を選べる仕組みがあります。
向いているのは「完成された子」より、これから自分の軸をつくりたい子
入学時点でプレゼンテーションが得意である必要も、将来の職業が決まっている必要もありません。むしろ、疑問を持つことは好きだけれどうまく説明できない、自分で勉強を管理できるようになりたい、人前で話す経験を積みたいという子に、6年間かけて挑戦する機会があります。
一方で、朝拝や宗教の授業は日常的な学校生活の一部です。また、PBLやグループワークでは、答えが最初から用意されていない課題にも向き合います。決められたことだけを効率よくこなしたい子よりも、自分で考えることや他者との対話に少しでも面白さを感じられる子のほうが、この学校の教育を生かしやすいでしょう。
学校を訪れるなら、校舎より「生徒の一日」を見たい
武蔵野大学中学校には、仏教教育、PBL、大学系列校としての進路、広いキャンパスという複数の特徴があります。しかし、学校選びで最後に確かめたいのは、それらを本人が日常として受け入れられるかどうかです。
朝に手を合わせて一日を始め、授業ではiPadも使い、PBLでは仲間と問いを考え、昼には食堂を利用し、放課後にはMUseionで勉強したりクラブへ向かったりする。そうした一日の流れを想像してみると、この学校との相性は見えやすくなります。
伝統ある学校に通わせたいからでも、新しい教育をしているからでもなく、その二つが同じ場所にあることに面白さを感じる。そんな家庭であれば、説明会や欅紫祭などで一度キャンパスを歩き、生徒たちが実際にどのような6年間を送っているのかを見てみたい学校です。
