【2026年版】早稲田中学校の評判は?早大推薦と難関大受験、二つの進路を持つ男子進学校を徹底解説!

中学受験
  1. 学校の概要|「系属校」と「進学校」、二つの顔を持つ男子校
    1. 早稲田大学のすぐ隣で学ぶ、完全中高一貫の男子校
    2. 1895年創立。「早稲田」の名を大学より先に名乗った学校
    3. 高等学院とは違う「系属校」という立場
    4. 1993年から高校募集をやめ、6年間で生徒を育てる
    5. 教育の中心にある「誠・個性・有為の人材」
    6. 「早稲田に入る学校」ではなく、「進路を選べる早稲田系」
  2. アクセスと立地環境|早稲田大学の街で過ごす6年間
    1. 東京メトロ東西線「早稲田駅」から徒歩1分
    2. 高田馬場からは東西線または都営バスを利用できる
    3. 学校の周囲には「早稲田」の大学街が広がる
    4. 穴八幡宮や戸山公園も近い、都心らしい立地
    5. 6年間の通学を考えると、駅からの距離は小さくない
  3. 教育方針とカリキュラム|「去華就実」の精神と大学受験まで見据えた学び
    1. 6年間を「基礎・実力養成・応用完成」の3段階で組み立てる
    2. 中学では全員が同じ教科を学び、主要5教科に十分な時間を使う
    3. 数学は中3で高校1年の内容をほぼ終える
    4. 英語は少人数の英会話も組み込み、中3で週7時間へ
    5. 教室を出て学ぶ、鎌倉研修と秩父での地学実習
    6. 高2から文系・理系へ。早大推薦にも他大学受験にも対応する
  4. 学習環境と施設設備|都心の校地に整う新校舎と学びの空間
    1. 2023年完成の3号館・興風館で、校内環境が大きく更新
    2. 物理・化学・生物・地学まで、実験のための場所をきちんと確保
    3. 約6万冊の図書館と学習室。授業外にも机に向かえる
    4. アリーナから人工芝、プール、弓道場まである運動施設
    5. 食堂も売店もある。昼食は弁当だけに限定されない
    6. 保健室・相談室まで含め、約1,800人の中高生を支える
  5. 学校生活と行事|興風祭を中心に育つ男子校らしい自治と一体感
    1. 朝8時10分のSHRから始まり、放課後はクラブや委員会へ
    2. 5月の体育大会は、生徒が企画・運営する最初の大行事
    3. 約2万人が訪れる「興風祭」。一年かけてつくる文化祭
    4. 中1は林間学校と鎌倉研修。入学後すぐに校外へ出る
    5. 中2・中3になると、希望制の行事と教科学習がさらに広がる
    6. 歩く、観る、聴く。6年間には文化体験も組み込まれる
  6. クラブ活動|勉強だけでは終わらない放課後の時間
    1. 運動部・学芸部・同好会を合わせて約40の活動
    2. 中学生と高校生が一緒に活動するクラブが多い
    3. 活動は週4日以内。最終下校は18時
    4. 人工芝、プール、武道場など新しい施設を日常的に使える
    5. 興風祭は、学芸部にとって一年の集大成
    6. 「大学受験かクラブか」の二者択一にしない6年間
  7. 進学実績と卒業後の進路|早大推薦か難関大受験か、二つの進路が本気で選べる
    1. 2026年卒業生316名のうち、155名が早稲田大学へ推薦進学
    2. 推薦枠は13学部合計167名。学部ごとに定員が決まっている
    3. 早大推薦を選ばない半数は、東大・東京科学大・一橋大などへ
    4. 医学部という選択肢があることも、早稲田中の性格をよく表している
    5. 高1から外部模試を実施し、早大推薦も他大学も「自分で選ぶ」
    6. 「早稲田系3校」の中でも、進路の自由度が早稲田中を特徴づける
  8. 学費や諸経費について|6年間の学校生活にかかる費用を整理
    1. 2026年度は入学金30万円、年間の学費・諸経費は81万9,000円
    2. 学費は年3回に分けて納入する
    3. 端末約10万円、林間学校約2万5,000円も初年度に加わる
    4. 中学3年間で終わらず、高校進学時にも入学金がある
    5. 早稲田大学へ推薦進学する場合は、その先に大学4年間の学費が続く
    6. 任意の寄付金と、公的な学費支援制度も確認しておきたい
  9. 入試情報と合格の目安|2月1日・3日の2回入試と高水準の4科勝負
    1. 2027年度も2月1日・2月3日の2回入試
    2. 国語・算数60点、理科・社会40点の200点満点
    3. 2026年度は第1回3.1倍、第2回4.0倍
    4. 2026年度の合格最低点は約7割。算数で差がついた
    5. 四谷大塚80%偏差値は第1回66、第2回68
    6. 2回とも出願できるが、第1回合格後は第2回を受験しない
  10. 併願校パターン|難関男子校受験の中で早稲田中をどう組み込むか
    1. 2月1日に早稲田中を受けるかどうかで、併願全体が大きく変わる
    2. 早稲田中第一志望なら「2月1日→2月2日→2月3日」の設計が基本
    3. 開成などを第一志望にするなら、早稲田中第2回が有力な2月3日校になる
    4. 海城とは2月1日も2月3日も重なる
    5. 早大学院・早実も2月1日。男子には「どの早稲田を選ぶか」という問題がある
    6. 「安全校」は学校名ではなく、本人の成績から決める
  11. 在校生・保護者の声|自由さと真面目さが同居する男子校の日常
    1. 「自由だが、放任ではない」という声が多い
    2. 先生との距離は比較的近く、個性の強い先生もいる
    3. 授業の進度は速い。「入れば勉強は楽」という学校ではない
    4. 男子だけの環境を「気楽」と感じる生徒も多い
    5. 保護者が学校生活に入り込みすぎない距離感
    6. 新しい施設と駅徒歩1分は好評。ただし都心校らしい狭さもある
  12. この学校に向いている子の特徴|12歳で大学進学先を一つに決めたくない家庭にも
    1. 早稲田大学を有力な進路にしつつ、他大学受験の可能性も残したい子
    2. 速い授業進度についていくことを、負担より面白さと感じられる子
    3. 細かく管理されるより、自分で考えて動きたい子
    4. 男子校で、好きなことに遠慮なく没頭したい子
    5. 勉強だけでなく、クラブや行事にもきちんと時間を使いたい子
    6. 大人数の中で、自分なりの居場所を見つけられる子
    7. 「早稲田」という名前より、進路を選べる環境そのものに惹かれる家庭へ
  13. まとめ|早稲田への道を持ちながら、その先を自分で選べる6年間
    1. 早稲田中学校を理解する鍵は「二つの進路」にある
    2. 進学校としての学習量は、入学後もしっかり続く
    3. 男子校の6年間には、勉強以外の時間もかなりある
    4. 早稲田駅徒歩1分、新しい施設も日常を支える
    5. 早大学院・早実とは、同じ「早稲田」でも学校選びの意味が違う
    6. 「早稲田に行ける」より、「早稲田も選べる」と考えたい学校

学校の概要|「系属校」と「進学校」、二つの顔を持つ男子校

早稲田大学のすぐ隣で学ぶ、完全中高一貫の男子校

早稲田中学校は、東京都新宿区馬場下町にある私立男子校です。早稲田大学の早稲田キャンパスに近い場所に校舎を構え、中学校から高等学校までの6年間を同じ学校で過ごします。

1993年に高校からの募集を停止しており、現在は高校募集のない完全中高一貫校です。2026年4月時点で中学校は各学年7クラス、定員は3学年合計900名。高校を合わせると定員1,800名という、男子の中高一貫校としては比較的大きな学校です。

学校名早稲田中学校・早稲田高等学校
所在地東京都新宿区馬場下町62
設置区分私立
男女区分男子校
中高一貫の形態完全中高一貫校(高校募集なし)
中学校の規模各学年7クラス、定員900名
早稲田大学との関係系属校

1895年創立。「早稲田」の名を大学より先に名乗った学校

学校の歴史は1895年に始まります。大隈重信の教育理念を背景に、坪内逍遙、市島謙吉、金子馬治らによって創立が決定され、翌1896年に「早稲田尋常中学校」として開校しました。

当時、現在の早稲田大学はまだ「東京専門学校」という名称でした。つまり、学校名に「早稲田」を冠したのは、現在の早稲田大学よりも早稲田中学校の方が先です。

創立には坪内逍遙が深く関わっています。『小説神髄』やシェイクスピア全作品の翻訳で知られる文学者ですが、この学校では創立者の一人として教育の基礎づくりにも携わりました。現在まで受け継がれる「誠」という考え方も、坪内逍遙が校訓として掲げたものです。

1948年に早稲田高等学校が設置され、1979年には早稲田大学の系属校となりました。130年を超える歴史の中で、大学との関係を深めながらも、中高独自の教育を続けてきた学校です。

高等学院とは違う「系属校」という立場

早稲田という名前が付いているため、早稲田大学高等学院中学部と同じような大学附属校と思われることがありますが、両校の位置づけは異なります。

早稲田大学高等学院は早稲田大学と同じ学校法人が運営する附属校です。一方、早稲田中学校・高等学校は早稲田大学とは別法人が運営する系属校にあたります。

この違いは、卒業後の進路にもそのまま表れています。早稲田中学校・高等学校には早稲田大学への推薦制度がありますが、推薦枠は高校卒業生のおよそ半数です。全員が早稲田大学への進学を前提とする学校ではありません。

早稲田大学へ推薦で進む生徒がいる一方で、東京大学をはじめとする国公立大学や、慶應義塾大学、医学部などを一般受験する生徒もいます。これが、都内の早稲田系3校を比較するときに、早稲田中学校を理解する最初の鍵になります。

1993年から高校募集をやめ、6年間で生徒を育てる

現在の教育体制を形づくった一つの節目が、1993年の高校募集停止です。それ以降、中学校から入学した生徒を6年間かけて育てる完全一貫教育を行っています。

中学と高校で生徒集団が大きく入れ替わらないため、高校入試のために学習をいったん区切る必要がありません。中学段階で基礎を固め、その先に高校課程、さらに大学進学を見据えた学習を組み立てることができます。

一方で、6年間ずっと同じクラスというわけではありません。各学年には7クラスがあり、クラス替えを通じて人間関係も広がっていきます。約300人規模の男子が同じ学年にいるため、6年間同じ学校に通いながらも、出会う友人や集団は少しずつ変わります。

教育の中心にある「誠・個性・有為の人材」

早稲田中学校・高等学校が掲げる教育目標は、「誠」「個性」「有為の人材」の三つです。

「誠」は、言葉と行動を一致させ、物事に真剣に向き合う姿勢を意味します。これは人間関係における誠実さにとどまらず、学問で真理を追究するときにも妥協しない態度として位置づけられています。

「個性」については、その根幹を「独立・自主・剛健」に置いています。全員を同じ型にはめるのではなく、自分で考えて動ける人間を育てようという考えです。

そして「有為の人材」は、自分の能力を自分だけのために使うのではなく、他者や社会のために生かせる人物を意味します。創立以来の人間教育を、現在の言葉に置き換えるなら、学力だけを伸ばして終わるのではなく、自分の頭で考え、自分の進路を選び、その力を社会で使える人を育てるという方向性でしょう。

「早稲田に入る学校」ではなく、「進路を選べる早稲田系」

早稲田中学校を特徴づけているのは、早稲田大学との結びつきの強さそのものよりも、その結びつきを持ちながら進路が一つに固定されていないことです。

中学受験の段階では早稲田大学に魅力を感じていても、6年間で興味のある学問や将来像が変わることは珍しくありません。医学を学びたくなるかもしれませんし、国立大学の特定の研究分野に進みたくなるかもしれません。そのとき、一般受験を選ぶことが学校文化の中で特別な進路にならないのが早稲田中学校です。

反対に、高校3年間の学習を積み重ねたうえで早稲田大学への推薦を選ぶ道もあります。「早稲田大学への道があるから受験勉強をしなくてよい学校」でも、「全員が大学受験に向かう進学校」でもありません。

この中間にある独特の位置こそ、早稲田大学高等学院中学部や早稲田実業学校中等部と比較したときに見えてくる、早稲田中学校らしさです。12歳の時点で大学までの行き先を決め切るのではなく、6年間学んだ先で早稲田大学と他大学の双方を現実的な選択肢として持てる。学校の概要を理解するうえで、まず押さえておきたい性格です。

アクセスと立地環境|早稲田大学の街で過ごす6年間

東京メトロ東西線「早稲田駅」から徒歩1分

早稲田中学校・高等学校の所在地は、東京都新宿区馬場下町62。最寄り駅は東京メトロ東西線の早稲田駅で、3b出口・2番出口から徒歩1分です。

交通手段最寄り駅・停留所学校まで
東京メトロ東西線早稲田駅3b・2番出口から徒歩1分
東京メトロ副都心線西早稲田駅1・2番出口から徒歩約15分
東京さくらトラム(都電荒川線)早稲田停留場徒歩約10分
都営バス馬場下町停留所徒歩1分

なかでも東西線を利用する場合は、駅を出てから校門までの移動がかなり短くなります。中高6年間、週6日通学することを考えると、「駅から1分」は学校説明会の日よりも、むしろ入学後の日常で効いてくる数字です。雨の日や荷物の多い日、部活動を終えて帰宅するときにも、駅まで長く歩く必要がありません。

高田馬場からは東西線または都営バスを利用できる

JR山手線や西武新宿線方面から通う場合には、高田馬場を経由するルートが使いやすくなります。高田馬場駅から東京メトロ東西線に乗れば、早稲田駅までは1駅です。

もう一つの選択肢が都営バスです。高田馬場方面から「学02」系統を利用し、馬場下町停留所で下車すると学校まで徒歩1分。鉄道だけに限らず、通学経路を組み立てられます。

副都心線の西早稲田駅からも徒歩約15分で、東京さくらトラムの早稲田停留場からは徒歩約10分です。住んでいる地域によっては東西線だけを前提にせず、複数の経路を比較してみるとよいでしょう。

学校の周囲には「早稲田」の大学街が広がる

校舎がある馬場下町は、早稲田大学のキャンパスが集まる地域です。学校の北側には早稲田大学早稲田キャンパス、西側には戸山キャンパスがあり、大隈講堂も徒歩圏にあります。

大学の校舎、図書館、学生向けの書店や飲食店などが集まり、平日は多くの大学生が行き交います。中高の校舎だけが独立して存在しているというより、街そのものに大学が組み込まれているような環境です。

早稲田中学校は早稲田大学の系属校ですが、大学と同じ敷地内に置かれた附属中学校ではありません。それでも、中学1年生のころから毎日「早稲田」という大学街を通って登校することになります。学校と大学との制度上の関係とは別に、大学の存在を身近に感じやすい立地です。

穴八幡宮や戸山公園も近い、都心らしい立地

学校の正門近くには穴八幡宮があり、少し歩けば戸山公園があります。高層ビルばかりの都心というより、大学、寺社、住宅地、公園が入り交じった早稲田らしい街並みです。

一方で、学校周辺は学生街でもあります。朝夕は通勤・通学する人が多く、大学の授業期間には学生の往来も増えます。郊外型の学校のように広大な敷地の周囲を住宅地や緑が囲んでいる環境とはかなり違います。

駅から学校までが近いため、日々の通学で周辺を長時間歩く場面は多くありませんが、学校を訪れる際には校門だけを見るのではなく、早稲田駅から大学周辺まで少し歩いてみると、この学校で過ごす6年間の景色がつかみやすくなります。

6年間の通学を考えると、駅からの距離は小さくない

中学受験では、学校までの所要時間を「自宅から学校まで○分」と一つの数字で見がちです。しかし実際の通学では、電車を降りてから校門までの徒歩時間、乗り換え回数、朝の混雑なども毎日積み重なります。

早稲田中学校の場合、東西線を利用できる地域なら、最後の徒歩がほぼ発生しないことが一つの特徴です。朝は8時台の登校となり、放課後にはクラブ活動や学習を終えて帰宅します。6年間では通学する日は千日を大きく超えるため、この距離の短さは生活時間にも関わってきます。

ただし、便利かどうかは自宅の最寄り路線によって変わります。東西線へ出やすい家庭と、乗り換えを何度も必要とする家庭とでは通学負担が異なるため、受験を検討する段階で実際の登校時間帯に一度ルートを確認しておくとよいでしょう。

教育方針とカリキュラム|「去華就実」の精神と大学受験まで見据えた学び

6年間を「基礎・実力養成・応用完成」の3段階で組み立てる

早稲田中学校・高等学校では、中高6年間を2年ずつの3段階に分けて学習を進めます。

学年位置づけ学習の方向
中1・中2基礎を固める時期生活習慣と学習習慣を整え、各教科の基礎を身につける
中3・高1実力養成期中高の枠を越えて学習内容を進め、より高度な教科学習へ移る
高2・高3応用力完成期文系・理系に分かれ、志望大学・学部を見据えて学習を深める

高校入試がないため、中3の学習を「高校受験の完成」に合わせる必要はありません。中学校で基礎を固めた生徒が、そのまま高校課程へ滑らかに進めるのが完全中高一貫校の強みです。

一方で、大学附属校だから教科学習を早めに終えて自由な学びに移る、という構成とも少し違います。早稲田大学への推薦進学と他大学受験の双方がある学校だけに、6年間を通じて教科の学力をしっかり伸ばしていくことがカリキュラムの中心に置かれています。

中学では全員が同じ教科を学び、主要5教科に十分な時間を使う

中学校段階では、コース分けを行わず全員が共通の教育課程で学びます。2026年度の週当たり授業時数を見ると、中1は33時間、中2・中3は34時間。国語・数学・英語・理科・社会に多くの時間が割かれています。

教科中1中2中3
国語4時間5時間5時間
社会4時間5時間5時間
数学5時間5時間5時間
理科5時間5時間5時間
英語5時間6時間7時間
その他の教科10時間8時間7時間
合計33時間34時間34時間

特に英語は学年が上がるにつれて時間数が増え、中3では週7時間になります。国語では中2から古典を含む学習に入り、数学でも中高一貫の利点を使って高校内容へ進んでいきます。

「早大推薦を目指す生徒」と「他大学を受験する生徒」を中学段階から分けるわけではありません。まず共通の土台を厚く作り、高校に入ってから進路に応じて枝分かれしていく構成です。

数学は中3で高校1年の内容をほぼ終える

数学は、中高一貫校らしい進度が分かりやすく表れる教科です。中3で高校1年相当の内容をほぼ終え、高2までに教科書範囲を修了する流れになっています。

ただ早く進むことだけが目的ではありません。高2までに基本的な学習内容を終えることで、高3ではそれまでに学んだ内容をさらに深め、大学入試や大学入学後の学習につながる応用力を養う時間を確保します。

早稲田大学への推薦を考えている生徒も数学を含む共通のカリキュラムで学びます。大学受験をする生徒だけが高度な教科学習をするのではなく、早大へ進む生徒にも大学で学ぶための基礎学力を求める点は、早稲田中学校の教育を理解するうえで重要です。

英語は少人数の英会話も組み込み、中3で週7時間へ

英語では、中2・中3で週1時間、ネイティブスピーカーによる少人数の英会話授業が行われます。高校進学後も高1・高2で同様の授業が続きます。

中1の週5時間から中2は6時間、中3では7時間へと授業時数そのものも増えていきます。文法や読解を中心とした大学進学に必要な英語力を伸ばしながら、少人数の授業では実際に英語を使う経験も積むという構成です。

また、高校ではオーストラリアのメルボルン・グラマー・スクールとの交換留学も用意されています。全員を海外へ送り出すタイプのグローバル教育ではなく、日常の教科学習を軸としながら、希望する生徒が海外で学ぶ機会も持てる形です。

教室を出て学ぶ、鎌倉研修と秩父での地学実習

主要教科の授業時数が多い一方で、授業は教室の中だけで完結しません。社会と理科では、実際の場所へ出て観察・調査する体験学習が組み込まれています。

社会では、中1で鎌倉研修を実施します。学年をテーマごとの約60グループに分け、生徒自身が現地を歩きながら歴史や文化を学びます。

理科では、中3で埼玉県の秩父盆地をフィールドとした地学実習があります。地層や化石を実際に観察・調査し、教科書や写真で覚えた知識を現地の地形と結びつけます。

入試問題を解けるようにすることだけを考えれば、こうした活動にはかなりの時間がかかります。それでも実施するのは、「知識を覚えること」と「自分で確かめること」を別物にしないためでしょう。進学実績が目立つ学校ですが、6年間すべてを受験演習に振り向けているわけではありません。

高2から文系・理系へ。早大推薦にも他大学受験にも対応する

高校では、高2から文系・理系に分かれます。高2までに高校で学ぶ基礎的な教科・科目をおおむね修了し、高3ではそれまでの内容をさらに深めていきます。

高3のカリキュラムは、特定の大学だけに合わせたものではありません。学校として本人が希望する大学・学部への進学に対応できることを前提に組まれています。東京大学などの国公立大学を目指す生徒、医学部を志望する生徒、早稲田大学への推薦を希望する生徒が、同じ学校の中にいるためです。

長期休暇には補習・講習も行われ、さまざまな講座を選んで受講できます。一方、音楽では1人1台の電子ピアノを使った実技、家庭科では裁縫や調理実習、栄養学、情報では文書作成・表計算・プレゼンテーションや情報リテラシーを学ぶなど、実技科目も削っていません。

早稲田大学高等学院中学部との違いが見えやすいのも、この高校段階です。早稲田大学への進学を基本線とする高等学院に対して、早稲田中学校では「どの大学へ進むか」を高校生になってから選択できるだけの教科学力を6年間で作る。約半数が早大推薦を利用する学校でありながら、進学校としてのカリキュラムを維持している理由がここにあります。

学習環境と施設設備|都心の校地に整う新校舎と学びの空間

2023年完成の3号館・興風館で、校内環境が大きく更新

早稲田中学校・高等学校の校地は約14,000㎡。新宿区の大学街という立地を考えると、郊外型の学校のように広大な敷地を取ることはできません。その代わり、複数の校舎を立体的につなぎ、授業、実験、運動、自習、食事までを校内に収めています。

現在の施設を見るうえで中心になるのが、創立125周年記念事業として建設され、2023年に完成した新3号館と興風館です。

3号館には理科実験室、情報教室、学習室、多目的教室、売店などを配置。興風館には図書館、食堂、プール、アリーナ、柔道場・剣道場、誠ホール、屋上運動場などが集まっています。

二つの建物の間には6層吹き抜けの「興風プラザ」が設けられ、既存校舎とも廊下で接続されています。中学棟、高校棟、理科施設、運動施設を別々の建物として切り離すのではなく、生徒が行き来する中心部をつくった設計です。

3号館・興風館は2026年、文教施設協会による令和7年度優良学校施設表彰で「特色ある施設」の部門賞を受賞しています。

物理・化学・生物・地学まで、実験のための場所をきちんと確保

施設構成を見ると、早稲田中学校が理科を「教室で説明を聞くだけの科目」として扱っていないことが分かります。

校内には6室の理科実験室があり、3号館には物理、化学、生物、地学それぞれの実験室が設けられています。§3で紹介した中3の秩父での地学実習と同じく、観察や実験を通じて確かめることが理科学習に組み込まれています。

このほか、情報教室2室、多目的教室6室、音楽教室2室、美術教室2室、技術教室、家庭科教室、書道教室などを備えています。第2音楽室では生徒が鍵盤を使って実技を学ぶなど、主要5教科以外にも専用の学習空間が用意されています。

大学受験実績の目立つ学校ではありますが、校舎のつくりを見ると、机に向かう教科学習だけに施設を集中させているわけではありません。

約6万冊の図書館と学習室。授業外にも机に向かえる

興風館には、約6万冊の蔵書を備えた図書館があります。閲覧スペースは約100人を収容でき、読書だけでなく、調べ学習や個人での学習にも利用できます。

3号館には学習室も設けられています。早稲田中学校では中学から授業時間数が多く、高校に入れば早大推薦を目指す生徒と他大学受験を考える生徒が同じ学校で学びます。授業が終わった後に校内で勉強できる場所があることは、高校学年になるほど使い方が広がっていきます。

また、情報教室だけにコンピューターを集める形ではなく、生徒には1人1台端末を用意する仕組みがあります。端末購入費は入学時に別途必要となりますが、情報の授業で基本操作や情報リテラシーを学び、その技能を他教科の授業や委員会活動などでも使用していきます。

中学入学後は、紙の教科書、ノート、図書館、実験室、デジタル端末を内容に応じて使い分けることになります。

アリーナから人工芝、プール、弓道場まである運動施設

都心校で気になるのが運動環境です。早稲田中学校では、興風館を中心に複数の体育施設を組み合わせています。

  • アリーナ
  • 誠ホール
  • プール
  • 柔道場
  • 剣道場
  • 屋上運動場
  • トレーニングギャラリー
  • 人工芝グラウンド
  • 弓道場
  • バッティングゲージ

校庭は人工芝で、体育の授業のほか、サッカー、野球、テニスなどのクラブ活動や体育大会にも使われます。興風館には屋内のアリーナや武道場、プールがあり、さらに屋上にも運動スペースがあります。

土地を横に広げにくい都心では、体育施設を建物の中や屋上にも配置する必要があります。早稲田中学校の新しい校舎は、その制約を前提に運動場所を確保した構成になっています。

約9割の中学生がクラブに所属する学校ですから、これらの施設はパンフレットを飾るためというより、放課後にかなり日常的に使われる場所です。

食堂も売店もある。昼食は弁当だけに限定されない

昼食については、校内に食堂があります。家庭から弁当を持参する生徒だけでなく、食堂を利用するという選択肢もあります。

さらに3号館には売店があり、食品のほか学校生活で必要になる品を購入できます。飲料の自動販売機も設置されています。

中学に入ると、朝から授業を受け、放課後にはクラブ活動をして夕方まで学校にいる日も増えてきます。毎日必ず家庭で弁当を準備しなければ昼食を確保できない学校ではない、というのは保護者にとっても確認しておきたいところです。

一方で、大学の学生食堂を日常的に利用するという意味ではありません。早稲田大学に近い学校ですが、中高生の生活は基本的に自校の施設の中で完結します。

保健室・相談室まで含め、約1,800人の中高生を支える

校内には保健室と相談室があり、体調不良やけがへの対応に加えて、生徒や保護者が学校カウンセラーへ相談できる環境も用意されています。

現在の早稲田中学校・高等学校は、中高合わせて定員1,800名、各学年7クラスという比較的大きな学校です。人数が多い学校では、教室や体育館の大きさだけでなく、生徒が一人で勉強できる場所、友人と過ごせる場所、困ったときに相談できる場所が校内にどう配置されているかも重要になります。

2000年完成の中学棟、高校棟、管理棟に、2023年完成の3号館・興風館が加わった現在のキャンパスには、普通教室42室、小教室8室、各種特別教室、学習室、図書館、食堂、生徒談話室、生徒会室、部室などがそろっています。

古くから続く学校ですが、施設まで昔のままというわけではありません。130年近い歴史を持つ学校の中に、2020年代に整備された学習・運動空間が組み込まれている。この新旧の重なりも、現在の早稲田中学校の校内を歩くと見えてくる部分です。

学校生活と行事|興風祭を中心に育つ男子校らしい自治と一体感

朝8時10分のSHRから始まり、放課後はクラブや委員会へ

早稲田中学校の朝は、8時10分のSHRから始まります。校門は7時に開き、朝練のあるクラブは7時10分から活動できます。学年によってはSHR前に朝読書を行うこともあります。

通常日は午前4時間、午後2時間の50分授業で、授業終了は15時。掃除や終礼を終えると、クラブ活動や委員会、面談などの時間になります。クラブ活動は原則として15時30分から17時30分までで、最終下校は18時です。

時間学校生活
7:00開門
8:10〜8:20SHR
8:40〜12:301〜4時限
12:30〜13:10昼休み
13:10〜15:005〜6時限
15:30〜17:30クラブ活動など
18:00最終下校

土曜日にも午前4時間の授業があります。授業後は13時10分からクラブ活動が可能で、平日とは少し違ったリズムになります。

なお、中1の1学期は新しい環境に慣れることを優先し、クラブ活動を16時30分までとしています。入学直後から上級生とまったく同じ生活をさせるのではなく、学校生活に慣れるための期間が設けられています。

5月の体育大会は、生徒が企画・運営する最初の大行事

新年度最初の大きな行事が、毎年5月に行われる体育大会です。中学校と高等学校に分かれて実施され、クラス対抗競技、リレー、クラブ対抗リレーなどが行われます。

特徴は、体育大会実行委員会を中心に生徒自身が企画・運営することです。先生が準備した競技に生徒が参加するだけの行事ではありません。

4月にクラス替えをしたばかりの生徒にとって、体育大会は新しいクラスで協力する最初の機会になります。中1にとっては入学してまだ1か月ほど。授業中とは違う友人の一面を知り、クラスの人間関係をつくっていく時期でもあります。

体育大会は一般公開されていません。受験生が学校を見る機会というより、在校生のための学校行事として位置づけられています。

約2万人が訪れる「興風祭」。一年かけてつくる文化祭

学校生活を象徴する行事が、秋に2日間開催される興風祭です。2026年度は10月3日・4日に開催されます。

運営の中心となるのは、高2を指導学年とする学芸大会実行委員会です。展示、演劇、映画、模擬店、校庭ステージでのパフォーマンスなど、クラブ単位の発表だけでなく、有志で企画を立ち上げる生徒もいます。

文化系クラブにとっては、1年間の活動成果を発表する大切な舞台です。物理、化学、地理歴史、鉄道研究などのクラブでは、普段積み重ねてきた研究や制作物を一般の来場者に見せる機会になります。

例年の来場者は約2万人。校地の広さだけを考えれば、決して大規模なイベント向けの学校ではありません。それでも多くの来場者を迎える2日間になっており、校内の教室、ホール、グラウンドなどが普段とはまったく異なる使われ方をします。

早稲田中学校を受験候補にしている家庭にとって、興風祭は校舎を見るだけでなく、生徒が何に夢中になっているのかを直接見られる機会です。難関大学への進学実績だけでは見えにくい学校の雰囲気は、こうした行事の方がよく伝わることがあります。

中1は林間学校と鎌倉研修。入学後すぐに校外へ出る

中学校3年間には、学年ごとに異なる校外活動が組み込まれています。

中1では、3泊4日の林間学校を実施します。ハイキングで山の環境や植生を観察するほか、飯盒炊爨にも取り組みます。入学して数か月の時期に寝食をともにするため、自然体験であると同時に、新しい友人関係をつくる行事でもあります。

さらに中1には鎌倉研修があります。社会科の学習の一環として行われるもので、生徒はテーマごとのグループに分かれ、歴史や文化について現地で学びます。

遠足として名所を巡るだけではなく、授業で学んだ内容を実際の土地に結びつけることが目的です。早稲田中学校では、こうした校外活動も教科学習の延長に置かれています。

中2・中3になると、希望制の行事と教科学習がさらに広がる

中2以上になると、希望者が参加するサマーキャンプがあります。自然の中で、生徒が希望する野外活動を教員と一緒に組み立てる生徒主体の行事です。

中2の12月には、希望者を対象としたスキー学校も実施されます。経験者だけを対象とするものではなく、それぞれの技能に応じてスキーに取り組みます。

中3では理科の授業と結びついた地学実習があります。埼玉県の秩父盆地を訪れ、地層や岩石、化石などを現地で観察します。教室で学んだ地学を、実際の地形の中で確かめるフィールドワークです。

学年主な行事参加
中1林間学校全員
中1鎌倉研修全員
中2以上サマーキャンプ希望者
中2スキー学校希望者
中3地学実習全員

全員参加の行事ばかりを増やすのではなく、必修の学年行事と希望制の活動が混在しているのも早稲田中学校の特徴です。

歩く、観る、聴く。6年間には文化体験も組み込まれる

早稲田中学校・高等学校には、一般的な体育祭、文化祭、宿泊行事だけでは説明しきれない学年独自の活動もあります。

その一つが、50年以上続いてきた利根川歩行などの歩行行事です。長い距離を仲間と歩くという、かなり素朴な行事ですが、便利な都心の学校生活とは対照的な時間を過ごします。

高校になると、学年によって歌舞伎、オペラ、ミュージカル、能・狂言などを鑑賞する機会も設けられています。高2では京都・奈良を中心とした3泊4日の関西研修も行われます。

早稲田大学への推薦制度がありながら、他大学受験にも強い学校というと、学校生活まで勉強中心なのではないかと思われるかもしれません。しかし実際の6年間には、自然の中で過ごす宿泊行事、フィールドワーク、文化鑑賞、生徒が運営する体育大会や興風祭が散りばめられています。

教室ではしっかり勉強する一方、行事では生徒に任せる部分が大きい。早稲田中学校の「自主性」という言葉は、こうした学校生活の中で具体的な形になります。

クラブ活動|勉強だけでは終わらない放課後の時間

運動部・学芸部・同好会を合わせて約40の活動

早稲田中学校・高等学校には、運動部17、学芸部13、同好会8があり、合わせて約40のクラブ・同好会が活動しています。

サッカーや野球、バスケットボールといった一般的な運動部から、フェンシング、弓道、ワンダーフォーゲル、サイクリングまで選択肢は幅広く、文化系にも物理研究、化学研究、地学、鉄道研究、クイズ研究、PCプログラミングなどがあります。

区分主なクラブ・同好会
運動部陸上競技、サッカー、硬式庭球、ソフトテニス、硬式野球、軟式野球、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、フェンシング、剣道、卓球、柔道、弓道、水泳、ワンダーフォーゲル、サイクリング
学芸部物理研究、化学研究、地学、吹奏楽、歴史研究、鉄道研究、将棋、軽音楽、クイズ研究、生物園芸、PCプログラミング、弦楽、数学研究など
同好会スキー、美術、釣り研究、模型、囲碁、マジック、折紙、英会話など

難関大学への進学実績から学習中心の学校という印象を持つ家庭もあるかもしれませんが、放課後にはかなり多様な活動があります。中学受験まで続けてきたスポーツをそのまま続けることも、中学入学を機に研究系のクラブへ入ることもできます。

中学生と高校生が一緒に活動するクラブが多い

早稲田中学校のクラブ活動では、多くのクラブで中学生と高校生が一体となって活動します。完全中高一貫校であることが、放課後の人間関係にも表れています。

中1から見れば、高校生は最大5学年上の先輩です。競技や演奏、研究の技術を教えてもらうだけでなく、クラブの運営方法や後輩との接し方まで、日常の活動を通じて覚えていきます。そして学年が上がれば、今度は自分たちが後輩を指導する側に回ります。

学校側も、上級生がクラブを運営し、下級生の面倒を見ることを、リーダーシップを育てる機会として位置づけています。同学年だけで完結しない人間関係をつくれることは、中高一貫校のクラブ活動ならではの部分です。

6年間という時間も効いてきます。中学から始めた競技や研究を高校卒業まで続ければ、活動期間はかなり長くなります。「初心者として入った中1」が数年後にはクラブを引っ張る立場になる。その変化を同じ組織の中で経験できます。

活動は週4日以内。最終下校は18時

クラブ活動は、平日は15時30分から17時30分まで、土曜日は授業終了後の13時10分から行われます。活動日はどのクラブも週4日以内と定められています。

最終下校は18時です。強豪校の運動部のように毎日夜遅くまで活動する仕組みではなく、授業、家庭学習、クラブ活動を一週間の中で組み合わせることになります。

一部のクラブでは、週1日程度、校外の施設を利用して活動することもあります。都心の限られた校地ですべてを完結させるのではなく、競技によって外部施設も使います。

中1については少し扱いが異なり、1学期の活動終了時刻は16時30分です。入学直後は通学や授業を含めて生活そのものが大きく変わるため、まず学校生活に慣れ、2学期から上級生と同じ時間帯で活動します。

人工芝、プール、武道場など新しい施設を日常的に使える

運動部の活動場所としては、校庭の人工芝グラウンドに加え、興風館にアリーナ、プール、柔道場、剣道場、屋上運動場、トレーニングスペースなどが整っています。弓道場やバッティングゲージもあります。

サッカーや野球のように広い屋外空間を必要とする競技だけでなく、水泳、剣道、柔道、弓道、フェンシングなど、それぞれ必要な設備が異なる競技を校内で続けられます。

文化系では、理科実験室、情報教室、音楽教室など、授業で使う専門施設が活動にもつながります。物理研究、化学研究、地学と理科系だけで複数のクラブが独立しているのも、この学校らしいところです。

「理科部」という一つの大きな括りではなく、物理、化学、地学などに分かれているため、興味のある分野を掘り下げやすくなっています。大学受験とは別のところで、好きなことを何年も追い続ける生徒がいる環境です。

興風祭は、学芸部にとって一年の集大成

学芸部の活動が最も外から見えやすくなるのが、秋の興風祭です。各クラブが日頃の活動や研究成果を展示・発表し、この日のために長い時間をかけて準備します。

鉄道研究や物理研究、化学研究、地学、歴史研究など、普段は教室や実験室の中で進められている活動も、興風祭では来場者に向けて説明する側になります。

好きなテーマを調べるだけなら、一人でもできます。しかし文化祭で展示するとなれば、「何を見せるのか」「どう説明すれば伝わるのか」「部員同士でどう分担するのか」まで考えなければなりません。研究そのものに加えて、成果を他者に伝えるところまでが活動になります。

受験生にとっても、興風祭はクラブを選ぶための参考になります。名前だけでは活動内容が想像しにくい研究系クラブほど、実際の展示を見て部員に話を聞くと、学校で過ごす放課後の姿が見えやすくなります。

「大学受験かクラブか」の二者択一にしない6年間

早稲田中学校では、高校になると早稲田大学への推薦を考える生徒と、国公立大学や医学部などへの一般受験を目指す生徒が同じ学校で学びます。それでも、クラブ活動は中高6年間の学校教育の一部として位置づけられています。

学校が教育目標の中で重視する「自主性・創造性」は、授業だけで身につけるものではありません。自分たちで活動を進め、上級生から仕事を引き継ぎ、やがて後輩をまとめる経験にも表れます。

もちろん、高校生になれば勉強との時間配分は自分で考えなければなりません。週4日以内、18時完全下校という枠があるとはいえ、難関大学を一般受験するなら家庭学習も必要です。

それでも、中学入学時から大学入試だけを見て6年間を過ごす学校ではありません。勉強する時間と、仲間とスポーツをする時間、実験や模型、音楽、鉄道、クイズなどに没頭する時間が同じ学校生活の中にある。早稲田中学校の進学校としての強さを見るときには、この放課後の厚みも一緒に見ておきたいところです。

進学実績と卒業後の進路|早大推薦か難関大受験か、二つの進路が本気で選べる

2026年卒業生316名のうち、155名が早稲田大学へ推薦進学

早稲田中学校・高等学校の進路を理解するうえで、まず押さえておきたい数字があります。2026年3月の卒業生316名のうち、155名が早稲田大学へ推薦で進学しました。卒業生の約49%、ほぼ2人に1人です。

一方、早稲田大学への推薦を利用せず、大学受験に進んだ現役生は159名。このほか2名が指定校推薦で慶應義塾大学へ進学しています。

2026年卒業生の進路人数
卒業生316名
早稲田大学への推薦進学155名
指定校推薦進学2名
現役で大学受験159名
現役大学進学者269名

現役で大学へ進学したのは269名で、卒業生全体の約85%です。残る生徒には、第一志望を目指してもう一年受験勉強を続けるケースなどが含まれます。

数字の面白いところは、「早稲田大学へ進む生徒」と「大学受験をする生徒」がほぼ半々に分かれていることです。早大推薦が一部の例外的な進路なのでも、一般受験が一部の生徒だけの選択なのでもありません。二つの進路が同じ学年の中に普通に存在しています。

推薦枠は13学部合計167名。学部ごとに定員が決まっている

早稲田大学への推薦は、「早稲田大学ならどの学部でも自由に進める」という仕組みではありません。大学の各学部から推薦定員が設定され、その枠の中で学校の推薦基準に基づいて候補者が決まります。

2026年の推薦定員は13学部合計167名で、実際に推薦で進学したのは155名でした。

早稲田大学の学部推薦定員2026年進学者
政治経済学部20名20名
法学部13名13名
文化構想学部11名11名
文学部9名6名
教育学部20名20名
商学部15名15名
基幹理工学部15名15名
創造理工学部14名14名
先進理工学部16名16名
社会科学部15名15名
人間科学部9名7名
スポーツ科学部6名3名
国際教養学部4名0名
合計167名155名

推薦希望者は高3の11月中旬に申請し、校内選考を経て12月下旬に内定します。推薦枠があるからといって、入学時点で希望学部まで決まるわけではありません。高校生活を通じて学びたい分野を考え、最終的に進路を選択します。

また、167名分の枠が毎年すべて埋まるわけでもありません。2026年は政治経済、法、教育、商、三つの理工学部、社会科学などでは定員まで推薦進学者が出た一方、文学、人間科学、スポーツ科学、国際教養では空きがありました。「早大への推薦枠が何人あるか」と「実際に何人がその学部へ進むか」は分けて見る必要があります。

早大推薦を選ばない半数は、東大・東京科学大・一橋大などへ

もう一つの進路が一般受験です。2026年は159名の現役生が大学受験を選びました。

国公立大学では、2026年春に東京大学へ現役29名、東京科学大学へ12名、一橋大学へ2名、京都大学へ1名が合格しています。既卒生を加えると、東京大学37名、東京科学大学14名、京都大学3名、一橋大学3名でした。

大学2026年現役合格2026年合格合計
東京大学29名37名
東京科学大学12名14名
一橋大学2名3名
京都大学1名3名
北海道大学3名6名
東北大学3名4名
千葉大学7名8名

私立大学では、慶應義塾大学に現役49名、東京理科大学に47名、上智大学に15名などの合格が出ています。私立大学の合格者数には一人の生徒が複数の大学・学部に合格する場合があるため、合格者数と実際の進学者数は同じではありません。

早稲田大学についても、推薦だけが入口ではありません。推薦を利用せず一般選抜などを経て早稲田大学へ進む生徒もいます。大学名だけを見れば同じ「早稲田大学進学」でも、高校からの推薦と大学入試を経た進学という二つのルートがあります。

医学部という選択肢があることも、早稲田中の性格をよく表している

早稲田大学には医学部がありません。そのため、医師を目指す場合には必然的に他大学受験へ進むことになります。

2026年春の医学部では、国公立・私立を合わせて現役合格47、現役進学20という実績が出ています。既卒生を含めると合格72、進学31でした。

東京大学理科三類、東京科学大学医学部、千葉大学医学部をはじめ、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、順天堂大学医学部、日本医科大学などにも合格者がいます。

これは「医学部に強い」という数字だけで見るより、学校の進路制度を考える材料になります。中学入学時には早稲田大学への進学を考えていた生徒が、高校生になって医学を志すこともあるでしょう。早稲田中学校では、その場合に一般受験へ方向を変えても、学校のカリキュラムそのものが大学受験に対応しています。

12歳から18歳までの6年間には、得意科目も興味のある学問も変わります。医学部という早稲田大学には存在しない進路へ毎年一定数が進んでいることは、この学校が大学附属的な性格だけでは説明できないことをよく示しています。

高1から外部模試を実施し、早大推薦も他大学も「自分で選ぶ」

進路指導も、全員を早稲田大学へ向かわせる形にはなっていません。

高校1・2年では年間2回、中高一貫校向けの難関模試を実施。高3では年間3回の外部模試を受験し、他大学受験を考える生徒は客観的な成績データを使いながら志望校を検討します。高2の冬にはTOEFL ITPも実施されます。

一方、高1・高2には早稲田大学各学部の説明を聞く機会があり、模擬講義などを通じて大学で扱う学問を知ります。大学名から学部を決めるのではなく、「何を学びたいか」を考えてから推薦を選べるようにするためです。

卒業生や各分野で活動する社会人を招いたキャリア教育も行われています。高2から文系・理系に分かれ、その先で早大推薦、国公立大学、私立大学、医学部など、それぞれの方向へ進んでいきます。

早大推薦を選んだ生徒と東大を受験する生徒が別々のコースに完全に分離される学校ではありません。同じ学年、同じ学校生活の中に異なる進路を考える生徒がいることが、早稲田中学校の進路環境をつくっています。

「早稲田系3校」の中でも、進路の自由度が早稲田中を特徴づける

都内にある早稲田系の中学校を比較すると、§7は学校の違いが最もはっきり表れる部分です。

早稲田大学高等学院中学部は、原則として高等学院を経て早稲田大学へ進むことを前提にした附属校です。早稲田実業学校中等部も、卒業生のほぼ全員が早稲田大学へ推薦進学する学校です。

それに対して早稲田中学校では、2026年卒業生316名のうち早大推薦は155名、現役受験者は159名。数字がほぼ真っ二つに分かれています。

つまり、早稲田中学校を選ぶ意味は「早稲田大学に進みやすい」ことだけではありません。早稲田大学という有力な進路を持ちながら、高校生になった自分が別の大学・学部を目指す余地も大きく残されていることにあります。

早稲田大学へ進むことを12歳の時点でほぼ決めたいのか。それとも早稲田大学を有力な選択肢にしながら、18歳でもう一度進路を選びたいのか。同じ「早稲田系」という言葉の中にあるこの違いは、3校を比較するときにかなり重要です。

学費や諸経費について|6年間の学校生活にかかる費用を整理

2026年度は入学金30万円、年間の学費・諸経費は81万9,000円

早稲田中学校に入学する際には、まず入学金300,000円が必要です。これとは別に、入学後の授業料、設備費、維持費、教材費、PTA会費、生徒会費を合わせた2026年度の年間納入額は819,000円となっています。

項目2026年度年額
入学金300,000円
授業料466,800円
設備費151,200円
維持費108,000円
教材費等75,000円
PTA会費10,800円
生徒会費7,200円
年間学費・諸経費819,000円

入学金と年間の学費・諸経費を合わせると、まず1,119,000円です。ただし、これだけで初年度に必要な費用がすべて終わるわけではありません。後述する1人1台端末や林間学校などの費用も考えておく必要があります。

学費は年3回に分けて納入する

年間819,000円を一度に納める仕組みではなく、学費・諸経費は3期に分けて納入します。

項目1期
2月中旬
2期
8月下旬
3期
12月下旬
年間計
授業料194,500円155,600円116,700円466,800円
設備費63,000円50,400円37,800円151,200円
維持費45,000円36,000円27,000円108,000円
教材費等55,000円15,000円5,000円75,000円
PTA会費10,800円10,800円
生徒会費7,200円7,200円
合計375,500円257,000円186,500円819,000円

合格後の第一次入学手続では入学金300,000円を納入し、第二次入学手続の際に1期分375,500円を納めます。そのため、入学手続の段階では合計675,500円を準備することになります。

入学金については、納入後に入学を辞退しても返還されません。学費については所定の条件で返還対象となる場合があるため、併願校との手続日程も合わせて確認しておきたいところです。

端末約10万円、林間学校約2万5,000円も初年度に加わる

授業料などとは別に、入学時には「1人1台端末」の費用として約100,000円が必要です。早稲田中学校では情報の授業だけでなく、他教科や委員会活動でも端末を活用するため、学校生活の基本的な学習用具の一つと考えてよいでしょう。

さらに中1では林間学校が行われ、その参加費などとして約25,000円が別途必要になります。

したがって、2026年度の金額を基準にすると、入学金300,000円、年間学費等819,000円、端末約100,000円、林間学校等約25,000円を合わせ、初年度は少なくとも約1,244,000円を一つの目安として考えられます。

ここには制服や靴、鞄、体育用品などの指定品、クラブ活動によって必要になる個人用品、交通費などは含まれていません。家庭ごとに異なる費用については、少し余裕を持って見積もっておく方が現実的です。

中学3年間で終わらず、高校進学時にも入学金がある

早稲田中学校は高校募集を行わない完全中高一貫校ですが、中学校から高等学校へ進学する際には、改めて高校の入学金が必要です。参考として2026年度の高校入学金は200,000円です。

つまり、「同じ学校だから高校進学時には入学時費用が発生しない」というわけではありません。

また、中学校の学費だけを3倍して6年間の費用を計算することも適切ではありません。高校では学費体系が変わる可能性があり、研修、教材、模試、進路関連の費用なども学年によって異なります。

早稲田中学校を選ぶ場合は、中学3年間の教育費ではなく、中高6年間を一つの期間として家計を考える必要があります。完全一貫校では、高校受験のために塾へ通う費用が必ず必要になるわけではない一方、高校まで私立校の学費が続くことになります。

早稲田大学へ推薦進学する場合は、その先に大学4年間の学費が続く

早稲田中学校では卒業生の約半数が早稲田大学へ推薦進学します。したがって、早稲田大学への進学を有力な選択肢として中学受験を考える家庭では、中高6年間だけでなく、その先の大学4年間まで含めた教育費も視野に入れておくとよいでしょう。

早稲田大学の学費は学部によって異なります。文系学部と理工系学部では必要な費用にも差があるため、中学入学時点で大学までの総額を一つに決めることはできません。

また、早稲田中学校の場合、約半数は他大学を受験します。国公立大学へ進む場合と私立医学部へ進む場合とでは、その後の教育費は大きく異なります。

この点でも、早稲田大学への進学がほぼ前提となる早稲田大学高等学院中学部や早稲田実業学校中等部とは少し事情が違います。進路の自由度が高い分、大学段階の教育費も進路によって幅が出やすい学校です。

任意の寄付金と、公的な学費支援制度も確認しておきたい

学校では寄付金として1口100,000円、2口以上を案内していますが、こちらは任意です。入学金や授業料などの必須費用とは分けて考える必要があります。

また、居住地や家庭の条件によって利用できる公的な学費支援制度があります。2026年度には、東京都在住の私立中学生を対象とした授業料軽減助成制度があり、所得制限を設けずに支援が行われています。高校進学後にも国や東京都による授業料支援、奨学給付金などがあります。

こうした制度は年度によって支給額や申請方法が変わるため、入学後は学校からの案内や居住する自治体の制度を確認することになります。

早稲田中学校の費用を見るときは、授業料466,800円だけを見るのではなく、設備費や維持費、教材費、端末、行事費まで含めて考えることが大切です。2026年度なら、まず初年度約124万円を基準にし、そこへ制服・指定品・通学・クラブなど家庭ごとの費用を加えると、入学後の家計をより具体的に描きやすくなります。

入試情報と合格の目安|2月1日・3日の2回入試と高水準の4科勝負

2027年度も2月1日・2月3日の2回入試

早稲田中学校の2027年度入試は、第1回が2月1日、第2回が2月3日に行われます。募集人数は第1回200名、第2回100名で、合計300名です。

項目第1回第2回
試験日2027年2月1日(月)2027年2月3日(水)
募集人数男子200名男子100名
合格発表2月2日(火)10:002月4日(木)10:00
試験科目国語・算数・社会・理科国語・算数・社会・理科
面接なしなし

出願資格は、2027年3月に小学校またはこれと同等の学校を卒業見込みの男子です。出願はインターネットのみで、調査書の提出は必要ありません。

入試方式はかなり明快で、英語資格を使った加点や英語入試、面接を組み合わせる方式ではありません。帰国生向けの別枠入試も設けられておらず、4教科の当日の得点で合否を競う入試です。

早稲田大学との系属関係は入学後の進路には大きな意味を持ちますが、中学入試そのものは伝統的な4科型。受験準備も、国語・算数・理科・社会を高い水準まで仕上げることが基本になります。

国語・算数60点、理科・社会40点の200点満点

第1回・第2回とも試験科目と配点は共通です。国語・算数はそれぞれ50分60点、社会・理科はそれぞれ30分40点で、合計200点満点となります。

科目試験時間配点
国語50分60点
算数50分60点
社会30分40点
理科30分40点
合計160分200点

国語・算数だけで全体の60%を占めますが、理科・社会も合わせて80点あります。難関男子校入試では算数の出来が大きく合否を動かす年度がある一方、早稲田中は4科合計で判定されるため、理社を大きく落として算数だけで押し切る受験は安定しません。

試験は国語8時50分開始、算数10時、社会11時10分、理科12時開始で、12時30分に全科目が終了します。面接はありません。

学校では過去3年分の入試問題を公開しています。難易度だけを見るのではなく、50分・30分という実際の制限時間で解き、答案を最後までまとめられるかを確認しておきたい入試です。

2026年度は第1回3.1倍、第2回4.0倍

直近の2026年度入試では、第1回に855名が出願し749名が受験、242名が合格しました。第2回は1,436名が出願し、1,003名が受験、249名が合格しています。

2026年度第1回第2回
募集人数200名100名
出願者数855名1,436名
受験者数749名1,003名
合格者数242名249名
実質倍率約3.1倍約4.0倍
入学者数215名109名
合格最低点135点/200点138点/200点

第2回は募集100名に対して1,000名を超える受験者が集まっています。学校側は辞退者を見込んで募集人数を上回る合格者を出すため、単純に「100名しか合格できない」という意味ではありませんが、それでも第1回より競争が厳しくなっています。

2月3日は、2月1日に開成、麻布、駒場東邦、武蔵などを受験した難関男子校志望者が次の受験校として早稲田中を選ぶケースもあります。第2回の偏差値が第1回より高くなる背景には、募集人数の少なさに加えて、この受験者層の違いがあります。

2026年度の合格最低点は約7割。算数で差がついた

2026年度の合格最低点は、第1回が135点、第2回が138点でした。200点満点なので、それぞれ67.5%、69%にあたります。

受験者平均と合格者平均を比べると、科目による違いも見えてきます。

2026年度受験者平均合格者平均
第1回 国語32.5点37.8点
第1回 算数39.8点49.3点
第1回 社会24.7点27.7点
第1回 理科26.0点30.4点
第2回 国語37.6点42.4点
第2回 算数39.2点50.3点
第2回 社会24.0点27.4点
第2回 理科21.6点27.6点

この年は、とくに算数で受験者平均と合格者平均の差が大きく、第1回で9.5点、第2回では11.1点開きました。60点満点の試験で10点前後の差ですから、算数の完成度が合否にかなり影響した年度だったことが分かります。

ただし、「最低でも毎年7割必要」と固定して考えるのは適切ではありません。合格最低点は2022〜2026年度の5年間だけを見てもかなり動いています。

年度第1回最低点第2回最低点
2022年度109点133点
2023年度123点114点
2024年度129点123点
2025年度128点123点
2026年度135点138点

問題の難易度によって最低点は動くため、過去問演習では「○点なら絶対安全」と見るより、各年度の合格最低点や受験者平均との距離を確認する方が有効です。

四谷大塚80%偏差値は第1回66、第2回68

四谷大塚の合不合判定テストを基準とした合格可能性80%偏差値は、第1回が66、第2回が68です。合格可能性50%のCラインは、第1回62、第2回65となっています。

入試80%偏差値50%偏差値
第1回(2月1日)6662
第2回(2月3日)6865

同じ学校でも、第2回の方が明確に高いラインになっています。「2月1日にだめでも2月3日にもう一度受ければよい」と考えるより、第2回はさらに厳しい集団の中でもう一度競う試験と見た方が実態に近いでしょう。

一方、偏差値は模試会社ごとに母集団も尺度も異なります。四谷大塚の66と別の模試の66は同じ意味ではありません。志望校判定を見る際には、受験している模試の中で早稲田中がどの位置にあるのかを追うことが基本です。

また、難関校では偏差値が十分でも過去問との相性によって得点が安定しないことがあります。早稲田中の場合も、秋以降は模試の偏差値だけでなく、200点満点の過去問でどこまで得点できているかを併せて見ていく必要があります。

2回とも出願できるが、第1回合格後は第2回を受験しない

2027年度の出願期間は、第1回・第2回とも2026年12月20日10時から2027年1月23日23時59分までです。検定料は1回27,000円で、両方に出願する場合は54,000円となります。

第1回と第2回の両方に出願することは可能ですが、第1回に合格した受験生は第2回を受験できません。両方に出願し、第1回合格後に入学手続を完了した場合には、第2回分の検定料が返還されます。

合格発表は第1回が2月2日、第2回が2月4日。第一次入学手続は両入試とも2月5日15時までとなっています。したがって、第1回を受験した後にも2月2日以降の受験を続けながら、最終的な進学先を考えられる日程です。

早稲田中学校は2月1日だけを見ても難関校ですが、2月3日にはさらに高い競争になります。第一志望なら第1回から受験するのが基本となり、第2回をどう位置づけるかは2月1日・2日の併願校と一緒に設計する必要があります。

そして、この日程は都内の早稲田系3校を比較するときにも重要です。早稲田大学高等学院中学部や早稲田実業学校中等部も2月1日に入試を行うため、早稲田系を志望する男子にとって2月1日にどの「早稲田」を選ぶのかは、教育内容や大学進学制度と同じくらい大きな判断になります。

併願校パターン|難関男子校受験の中で早稲田中をどう組み込むか

2月1日に早稲田中を受けるかどうかで、併願全体が大きく変わる

早稲田中学校の併願を考えるとき、最初の分岐は2月1日の第1回を受験するかです。

2027年度の四谷大塚・合不合判定テストの80%偏差値では、早稲田中第1回は66、第2回は68。2月1日の男子難関校には、開成、麻布、駒場東邦、武蔵、海城、早稲田大学高等学院中学部、早稲田実業学校中等部などが並びます。

これらは同じ日の午前入試なので、当然ながら一人で複数校を受験することはできません。早稲田中を第一志望とするなら第1回から受験するのが基本ですが、開成などを第一志望とする場合には、2月1日をそちらに使い、2月3日の早稲田中第2回を併願校として組み込む形が考えられます。

位置づけの例学校例考え方
チャレンジ校開成、渋谷教育学園渋谷など模試成績や過去問状況によって、早稲田中より一段高い目標として検討
早稲田中と近い難関校駒場東邦、武蔵、海城、麻布など偏差値だけでは上下を決めにくく、校風・問題との相性・進路制度で選ぶ
合格可能性を高める併願候補城北、世田谷学園、巣鴨、成城など本人の成績に応じて、早稲田中より合格可能性の高い学校を配置

ここでいう「チャレンジ」「合格可能性を高める」という区分は、学校そのものの固定的な序列ではありません。模試の偏差値、過去問との相性、得意科目によって同じ学校でも位置づけは変わります。

早稲田中第一志望なら「2月1日→2月2日→2月3日」の設計が基本

早稲田中を第一志望とする場合には、2月1日の第1回と2月3日の第2回を両方受験できるようにし、その間の2月2日に別の学校を組み込む形が考えやすくなります。

日程受験例役割
2月1日午前早稲田中 第1回第一志望
2月2日午前城北 4教科選抜第2回など合格可能性を考えた併願
2月3日早稲田中 第2回第一志望への再挑戦
2月4日世田谷学園 第3次など2月3日までの結果に応じて受験

2027年度の城北中学校は入試制度が変わり、2月1日午前の4教科選抜第1回、同日午後の算数選抜、2月2日の4教科選抜第2回という構成になりました。従来あった2月4日の一般入試はなくなっています。

世田谷学園は2027年度も2月1日午前・午後、2月2日、2月4日に入試を実施します。早稲田中第2回が終わった翌日の2月4日にも受験機会を確保できるため、日程上は組み込みやすい学校です。

ただし、「早稲田中に2回挑戦できるから、2月2日はどこでもよい」というわけではありません。第2回は第1回より偏差値も倍率も高くなるため、2月2日までに一校の合格を得られる設計にしておくと、3日の早稲田中へ精神的にも落ち着いて向かいやすくなります。

開成などを第一志望にするなら、早稲田中第2回が有力な2月3日校になる

もう一つ多いのが、2月1日に別の難関男子校を受験し、2月3日に早稲田中を受けるパターンです。

たとえば開成を第一志望とする場合、2月1日は開成、2月2日に別の学校を挟み、2月3日に早稲田中第2回という日程を組めます。

日程受験例考え方
2月1日開成など第一志望校へ挑戦
2月2日城北第2回など合格を確保する機会
2月3日早稲田中 第2回難関校としての併願
2月4日以降世田谷学園第3次などそれまでの結果を見て判断

早稲田中第2回の2027年度80%偏差値は68で、第1回の66より高くなっています。2026年度も実質倍率は第1回約3.1倍に対して第2回約4.0倍でした。

したがって、早稲田中を「2月1日の第一志望に届かなかった場合の安全校」と考えるのは危険です。2月3日には、2月1日に開成などを受験した層も入ってくるため、第2回そのものがかなり厳しい難関入試です。

海城とは2月1日も2月3日も重なる

男子進学校として早稲田中と比較されやすい海城中学校ですが、2027年度は一般入試第1回が2月1日、第2回が2月3日。早稲田中と2回とも同じ日程です。

そのため、「2月1日に早稲田、2月3日に海城」「2月1日に海城、2月3日に早稲田」といった組み合わせは可能ですが、同じ日に両校を受けることはできません。

四谷大塚の2027年度80%偏差値では、2月1日は早稲田66、海城65、2月3日は早稲田68、海城67と近い水準です。偏差値だけで一方を「上」、もう一方を「下」と整理するより、学校選びそのものを比較した方がよい組み合わせです。

早稲田中には卒業生の約半数が早稲田大学へ進む推薦制度があります。一方、海城は基本的に大学受験を前提とする進学校です。同じ難関男子校でも、18歳の時点で持つ進路の選択肢はかなり違います。

早大学院・早実も2月1日。男子には「どの早稲田を選ぶか」という問題がある

早稲田中の併願を考えるとき、一般的な難関男子校比較とは別に考えたいのが、早稲田大学高等学院中学部と早稲田実業学校中等部です。

3校はいずれも2月1日に主要な中学入試を行うため、男子受験生は2月1日にどの「早稲田」を受験するかを決めなければなりません。

学校学校の性格大学進学の基本像
早稲田中学校男子・系属校約半数が早大推薦、約半数が他大学受験
早稲田大学高等学院中学部男子・附属校早稲田大学への進学を基本とする
早稲田実業学校中等部共学・系属校卒業生のほぼ全員が早稲田大学へ推薦進学

偏差値帯が近いからこそ、「合格可能性が少し高い方」という選び方だけでは足りません。早大進学をほぼ前提に6年間を使いたいのか、大学受験という選択肢も残したいのか。男子校を選ぶのか、共学を選ぶのか。この違いを整理したうえで2月1日校を決める必要があります。

早稲田中には2月3日の第2回がありますが、高等学院や早実を2月1日に受験して不合格だったからといって、3日の早稲田中が容易になるわけではありません。学校の教育内容まで含めて、入試前から「合格したらどこへ進むか」を考えておく方がよいでしょう。

「安全校」は学校名ではなく、本人の成績から決める

早稲田中志望者の併願先として、城北、世田谷学園、巣鴨、成城などの男子校は候補になりやすい学校です。しかし、これらを一律に「安全校」と呼ぶことはできません。

早稲田中の80%偏差値付近にいる生徒から見れば合格可能性を高めやすい学校でも、模試成績が早稲田中の合格ラインを下回っている生徒にとっては十分な安全校にならない場合があります。また、複数回入試では後半ほど受験者層や倍率が変わり、同じ学校でも難易度が上がることがあります。

併願校を決める際には、少なくとも次の三つを確認しておきたいところです。

  • 直近の模試で80%・50%ラインに対してどの位置にいるか
  • 過去問を時間内に解いたとき、合格最低点を安定して上回れるか
  • 第一志望に不合格だった場合でも、実際に進学したいと思える学校か

さらに、東京入試が始まる前に1月校で進学可能な学校の合格を確保しておく方法もあります。一度合格を経験してから2月1日を迎えられることには、点数には表れない意味があります。

早稲田中の第2回は2月3日まで残されていますが、そこを最後の一発勝負にしないことが重要です。第一志望への挑戦と、実際に進学したい学校の合格確保を別々に設計する。難関校の併願では、この二つを同時に考える必要があります。

在校生・保護者の声|自由さと真面目さが同居する男子校の日常

「自由だが、放任ではない」という声が多い

早稲田中学校について、在校生や保護者の声で繰り返し出てくるのが「自由」「自主性」という言葉です。細かな規則で生徒の行動を一つひとつ管理するというより、自分で考えて動くことを求める校風として受け止められています。

学校生活でも、生徒会、体育大会、興風祭、クラブ活動など、生徒自身が企画や運営を担う場面が多くあります。校則についても「必要以上に細かくない」と感じる声があり、髪型や日常生活について比較的自由度の高い学校として語られています。

ただし、何をしてもよいという意味ではありません。校内でのスマートフォン使用には明確なルールがあり、生徒間のトラブルなどについては教員が介入することもあります。

学校が掲げる「独立・自主」は、生徒を好きにさせるというより、自分の行動を自分で判断し、その結果にも向き合うことを求める自由に近いものです。中学1年生のうちは先生が生活面を見ながら、学年が上がるにつれて生徒自身に任せる範囲が広がっていきます。

先生との距離は比較的近く、個性の強い先生もいる

先生については、「話しかけやすい」「困ったときに相談できる」「生徒との距離が近い」といった声が見られます。一方で、教科へのこだわりや指導方法がはっきりした先生も多く、全員が同じタイプの教え方をする学校ではありません。

早稲田中学校には、中高6年間を通じて同じ学校で教える教員が多くいます。授業だけでなく、クラブ、行事、進路相談などを通じて長く付き合うため、生徒が自分に合う先生を見つけやすい環境でもあります。

保護者からも、思春期の男子への接し方に慣れているという評価があります。中学生になると、学校であったことを家庭で細かく話さなくなる子も珍しくありません。そうした時期に、家庭とは別のところで相談できる大人がいることには意味があります。

もちろん、先生との相性はあります。「指導が合う先生もいれば、合わない先生もいる」という声もあり、この点は生徒数・教員数の多い学校らしいところです。先生全員が同じ教育方法を共有しているというより、それぞれの専門性や個性が授業にも出やすい学校と考えた方が近いでしょう。

授業の進度は速い。「入れば勉強は楽」という学校ではない

学習面では、授業の内容や進度を評価する声がある一方、「進度が速い」「気を抜くとついていくのが大変」という感想も見られます。

§3で紹介したように、数学では中学校のうちから高校内容へ入り、英語も中3で週7時間。中学受験を終えた後にしばらく勉強から離れても何とかなる、というカリキュラムではありません。

成績が振るわない生徒には補習があり、長期休暇には講習も行われています。さらに希望者向けには通常授業を超えた内容を扱う講座もあります。学校側は学習機会を用意していますが、最終的に授業を理解し、復習するのは本人です。

この点については保護者の評価にも幅があります。「学校の授業や補習で十分」と感じる家庭もあれば、「進度が速いため自分で補う必要がある」と感じる家庭もあります。塾が必要かどうかも一律ではなく、本人の理解度や志望進路によって変わります。

早稲田大学への推薦制度があることを理由に学習負担が軽い学校を想像すると、入学後に印象が違うかもしれません。推薦を希望する場合にも日頃の学習は重要で、他大学受験を考えるならさらに高い学力が必要になります。

男子だけの環境を「気楽」と感じる生徒も多い

男子校については、「気を遣わずに過ごせる」「好きなことに没頭しやすい」といった感想があります。興風祭やクラブ活動を見ると、鉄道、物理、化学、プログラミング、クイズ、折紙など、かなり細かな興味をそのまま活動につなげられる環境があります。

何か一つに詳しいことをからかわれるより、「そこまで好きならやってみよう」となりやすい。こうした雰囲気は、研究系クラブが細かく分かれていることにも表れています。

一方で、男子だけで6年間を過ごすこと自体は、家庭によって評価が分かれるところです。共学での学校生活を希望するなら、同じ早稲田系でも早稲田実業学校中等部とは大きく異なります。

また、約300人の男子が同じ学年にいるため、全員が一つのタイプに染まるわけではありません。運動部で活動する生徒もいれば、実験や模型づくりに熱中する生徒もいます。男子校という共通点はあっても、その中にはかなり多様な居場所があります。

保護者が学校生活に入り込みすぎない距離感

保護者からは、「親の出番がそれほど多くない」「生徒主体」という趣旨の声も見られます。

学校側も、中高生が自立していくことを教育の一つの方向としており、日々の学校生活を保護者が細かく管理する形ではありません。中1から高3までの6年間は、親が先回りして環境を整える時期から、自分のことを自分で考える時期へ移っていく時間でもあります。

これは家庭によって、ありがたく感じる場合と不安に感じる場合があります。学校から頻繁に細かな指示があり、家庭と学校が一緒に生徒を管理する教育を求める家庭には、少し距離を感じる可能性があります。

反対に、学校では先生に任せ、家庭では生活や本人の気持ちを支えるという役割分担を好む家庭には合いやすいでしょう。必要な場面では面談や相談室も利用できるため、「親が関わらない」というより、中学生本人を学校生活の主役に置くと考える方が近い印象です。

新しい施設と駅徒歩1分は好評。ただし都心校らしい狭さもある

学校生活の具体的な評価では、早稲田駅から徒歩1分という通学のしやすさを挙げる声が目立ちます。毎日のことなので、保護者にとっても生徒にとっても分かりやすい利点です。

施設については、2023年に3号館・興風館が完成したことで、図書館、食堂、実験室、プール、アリーナなどの環境が大きく整いました。以前の校舎を知る卒業生や保護者とは、現在の施設に対する印象がかなり異なる部分でもあります。

一方、校地そのものは新宿区の中心部にあり、郊外の学校のような広大なグラウンドを持つわけではありません。運動施設を建物内や屋上にも配置し、一部のクラブでは校外施設を使うことがあります。

広いキャンパスそのものを学校選びで重視する家庭と、駅から近く、必要な設備が集約された都心型のキャンパスを好む家庭では評価が分かれるでしょう。

在校生・保護者の声をまとめると、早稲田中学校の日常には、自由度の高い男子校生活、速い学習進度、生徒に任される行事やクラブ、そして必要なところでは先生が支える距離感が見えてきます。大学進学実績だけを見ていると受験色の強い学校に映りますが、生徒側から語られる学校生活では、友人、先生、クラブ、行事についての話がかなり多い学校です。

この学校に向いている子の特徴|12歳で大学進学先を一つに決めたくない家庭にも

早稲田大学を有力な進路にしつつ、他大学受験の可能性も残したい子

早稲田中学校と相性がよいのは、まず「早稲田大学には魅力を感じているが、中学入学の段階で大学進学先まで決め切りたくない」という家庭です。

高校卒業生のおよそ半数が早稲田大学への推薦を選ぶ一方、もう半数ほどは一般受験へ進みます。東京大学や東京科学大学、一橋大学、医学部などを目指す生徒も同じ学校の中にいるため、高校生になって興味のある学問や将来像が変わった場合にも、他大学受験へ進むことが自然な選択肢として残されています。

これは、早稲田大学への進学を基本線とする早稲田大学高等学院中学部や、卒業生のほぼ全員が早稲田大学へ推薦進学する早稲田実業学校中等部との大きな違いです。

「早稲田に行ける学校」を探しているというより、18歳でもう一度、自分で大学と学部を選べる早稲田系の学校を求めているなら、早稲田中学校は検討しやすいでしょう。

速い授業進度についていくことを、負担より面白さと感じられる子

早稲田中学校は、大学推薦制度のある学校だから学習面が穏やか、というタイプではありません。

数学では中学校のうちから高校内容へ進み、英語は中3で週7時間。国語、理科、社会にも十分な授業時間が取られ、中高6年間を通して大学で学ぶための教科学力を伸ばしていきます。

そのため、授業を聞くだけで学習を終わらせるより、分からなかったところを自分で復習し、必要なら先生に質問する習慣を持てる子の方が馴染みやすくなります。

中学受験で勉強する習慣が身につき、「入試が終わったらしばらく勉強は休みたい」というより、知らないことを学ぶこと自体を楽しめる子には、授業の進度も刺激になるでしょう。

細かく管理されるより、自分で考えて動きたい子

学校が掲げる「独立・自主」は、授業以外の生活にも表れています。体育大会や興風祭、クラブ活動では、生徒自身が企画や運営を担う場面が多くあります。

先生が何から何まで指示し、生徒がその通りに動く学校を求めている場合には、少し雰囲気が違うかもしれません。

逆に、「まず自分でやってみたい」「任された方が動きやすい」という子には合いやすい環境です。中1から突然すべてを任されるわけではありませんが、学年が上がるにつれて自分で判断する範囲が広がっていきます。

これは学習面でも同じです。早大推薦を目指すか、一般受験へ進むかという高校段階の選択まで含めて、本人が自分の進路に当事者として関わることが求められます。

男子校で、好きなことに遠慮なく没頭したい子

中高6年間を男子だけの環境で過ごすことに抵抗がなく、むしろ気楽さを感じる子にも向いています。

クラブにはサッカー、野球、バスケットボールなどの運動部がある一方、物理研究、化学研究、地学、鉄道研究、PCプログラミング、クイズ研究、数学研究、折紙など、興味をかなり細かく掘り下げられる活動もあります。

興風祭では、こうしたクラブが研究成果や制作物を一般の来場者に向けて発表します。好きな分野について何時間でも話せるような生徒が、それを隠さずに過ごせる場所が校内にあります。

一方、学校生活の中で男女が一緒に学ぶ経験を重視する家庭なら、同じ早稲田系でも共学の早稲田実業学校中等部の方が希望に近いでしょう。男子校か共学かは、偏差値や大学進学制度とは別に、6年間の日常を左右する選択です。

勉強だけでなく、クラブや行事にもきちんと時間を使いたい子

東京大学をはじめとする難関大学への合格実績が目立つ学校ですが、学校生活を大学受験だけに寄せているわけではありません。

中学生の多くがクラブに所属し、体育大会や興風祭は生徒主体で運営されます。林間学校、鎌倉研修、地学実習、希望制のサマーキャンプやスキー学校など、教室を離れる活動もあります。

クラブ活動は週4日以内、最終下校は18時。勉強と課外活動のどちらか一方を学校から選ばされるというより、その範囲の中で自分なりの時間配分を考える学校です。

「難関大学には進みたい。でも中高6年間を受験準備だけで終わらせたくない」という子にとって、早稲田中学校の学校生活は理解しやすいでしょう。

大人数の中で、自分なりの居場所を見つけられる子

早稲田中学校は各学年7クラス、約300人規模の男子が学ぶ学校です。少人数校のように、学年全員の顔と名前がすぐ一致する環境ではありません。

その代わり、クラス替え、クラブ、委員会、学校行事などを通じて多くの人と関わります。運動が好きな子も、理科実験に夢中になる子も、音楽や鉄道、プログラミングを好む子もいて、一つの校風に全員を合わせるというより、大きな集団の中に複数の居場所がある学校です。

人間関係も6年間固定されません。クラスが替わり、クラブでは中高の先輩・後輩と関わり、学年が上がれば自分が後輩を支える側になります。

少人数で先生にきめ細かく見てもらうことを最優先する家庭よりも、ある程度大きな集団の中で、自分から友人や先生、好きな活動を見つけていける子の方が、この学校の自由度を生かしやすいでしょう。

「早稲田」という名前より、進路を選べる環境そのものに惹かれる家庭へ

早稲田中学校を考える際には、「早稲田大学に行けるから」という理由だけで決めない方が、この学校の良さを理解しやすくなります。

早稲田大学への推薦を強く希望するのであれば、高等学院中学部や早実中等部という選択肢もあります。早稲田中学校がそれらと違うのは、難関大学受験にも対応する教科学習を続けながら、高校卒業時に早大推薦という進路も選べることです。

その環境を生かせるのは、12歳の時点で答えを一つに決めるより、6年間勉強し、さまざまな経験をしたうえで自分の進路を選びたい子でしょう。

大学附属校の安心感だけでも、受験進学校の緊張感だけでもない。その中間にある選択の幅を積極的に評価できる家庭なら、早稲田中学校は三つの早稲田系中学校の中でもはっきりとした候補になります。

まとめ|早稲田への道を持ちながら、その先を自分で選べる6年間

早稲田中学校を理解する鍵は「二つの進路」にある

早稲田中学校の特徴を一つに絞るなら、早稲田大学への推薦進学と、他大学への一般受験が同じ学校の中で本格的な選択肢として並んでいることです。

卒業生のおよそ半数は早稲田大学へ推薦で進み、残る生徒の多くは東京大学、東京科学大学、一橋大学、医学部などを含む他大学を目指します。早稲田大学との結びつきを持ちながら、大学附属校のように18歳の進路がほぼ一方向に定まる学校ではありません。

中学受験の時点では早稲田大学に魅力を感じていても、6年間の学びの中で興味のある分野が変わることはあります。その変化を進路変更として扱うのではなく、最初から選択肢として持てるところに早稲田中学校の立ち位置があります。

進学校としての学習量は、入学後もしっかり続く

大学推薦制度がある一方、カリキュラムは教科学習を軽くする方向には進んでいません。数学では中学段階から高校内容へ入り、英語も学年が上がるにつれて授業時数が増えます。

高校では文系・理系に分かれ、他大学受験にも対応できる学力を6年間で積み上げます。補習や講習もありますが、授業の進度についていくためには、生徒自身が復習し、分からないところを解決していく姿勢も必要です。

「早稲田大学への推薦があるから、入学後は受験勉強から解放される」という学校像とは異なります。むしろ、推薦を選ぶにしても他大学へ進むにしても、教科をきちんと学ぶことが共通の土台になっています。

男子校の6年間には、勉強以外の時間もかなりある

一方で、学校生活が大学進学だけを中心に組まれているわけでもありません。

興風祭や体育大会は生徒が運営に深く関わり、中学生の多くがクラブ活動に参加します。物理研究、化学研究、鉄道研究、PCプログラミング、クイズ研究など、好きな分野をかなり細かく掘り下げられる活動もあります。

林間学校、鎌倉研修、地学実習、サマーキャンプなど、教室を離れて学ぶ機会もあります。男子約300人が一つの学年で過ごすため、友人関係も活動の選択肢も一つには収まりません。

難関大学へ進む力をつけながら、中高時代にしかできないことにも時間を使う。その両方を6年間の中に置いている学校です。

早稲田駅徒歩1分、新しい施設も日常を支える

学校は東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩1分。毎日の通学を考えると、駅から校門までの短さは小さな条件ではありません。

早稲田大学のキャンパスが集まる街で6年間を過ごしながら、中高生の学校生活自体は自校の校舎の中で完結します。2023年に完成した3号館・興風館には図書館、学習室、理科実験室、食堂、プール、アリーナなどが整い、従来の校舎と組み合わされています。

新宿区という限られた校地ではありますが、運動施設を屋内や屋上にも配置し、学習、クラブ、自習、食事に必要な場所を集約しています。郊外型の広大なキャンパスとは違う、都心の中高一貫校らしいつくりです。

早大学院・早実とは、同じ「早稲田」でも学校選びの意味が違う

都内の早稲田系3校を比較すると、早稲田中学校の性格はさらに分かりやすくなります。

早稲田大学高等学院中学部は、早稲田大学への進学を基本とする附属校。早稲田実業学校中等部も、卒業生のほぼ全員が早稲田大学へ推薦進学する共学校です。

早稲田中学校では、早稲田大学への推薦を選ぶ生徒と、他大学を受験する生徒がほぼ半分ずつ。男子校で、高校募集のない完全中高一貫校という点も含め、3校の中ではもっとも「進学校」としての性格が強い早稲田系中学校と捉えると分かりやすいでしょう。

その違いは単なる内部進学率の差ではありません。どんな授業を受け、どんな高校生活を送り、18歳でどのような選択をするのかという6年間全体の違いにつながっています。

「早稲田に行ける」より、「早稲田も選べる」と考えたい学校

早稲田中学校を検討するなら、早稲田大学への推薦制度だけを理由にするより、進路を自分で選べる環境そのものに目を向けた方が、この学校の姿が見えてきます。

早稲田大学へ進みたい生徒には推薦という道がある。それでも、高校生になって別の大学や医学部に進みたくなれば、一般受験へ向かえるだけの授業と周囲の環境がある。12歳で決めた進路を18歳まで固定しなくてよい学校です。

その一方で、授業の進度は速く、自由な校風の中でも自分で学習を進めることが求められます。男子校での生活、生徒主体の行事、クラブ活動、大人数の学年集団も含めて、本人との相性は実際に学校を訪れて確かめたいところです。

「早稲田大学には惹かれる。でも、6年後の自分の可能性までは決めたくない」。そう考える家庭にとって、早稲田中学校は、都内の早稲田系3校の中でもかなり明確な個性を持った選択肢です。

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