- 学校の概要|100年前から続く「自由と責任」の教育
- アクセスと立地環境|吉祥寺と井の頭公園を日常にする6年間
- 教育方針とカリキュラム|「やわらかな鍛錬主義」と探究する授業
- 学習環境と施設設備|私服・ICT・自然が共存するキャンパス
- 学校生活と行事|生徒自身がつくる行事と校内自治
- クラブ活動|学年を越えて動く中学・中高合同の活動
- 進学実績と卒業後の進路|大学名だけでは測れない多様な進路選択
- 学費や諸経費について|初年度に必要な費用を整理
- 入試情報と合格の目安|2科+面接で見る明星学園らしい入試
- 併願校パターン|中央線・井の頭線エリアを軸に考える受験日程
- 在校生・保護者の声|自由さの中で求められる自主性
- この学校に向いている子の特徴|「自分で決める」を楽しめるか
- まとめ|自由を与えられるのではなく、自由を使える人へ
学校の概要|100年前から続く「自由と責任」の教育
明星学園中学校は、東京都三鷹市井の頭にある私立・男女共学の中学校です。小学校・中学校・高等学校を設置する学校法人明星学園の中等教育を担い、中学校卒業後は原則として明星学園高等学校へ内部進学できます。
なお、府中市にある明星大学系列の「明星中学校」とは別の学校です。こちらは「明星学園(みょうじょうがくえん)」。学校法人も異なります。同じ「明星」の文字が入るため、中学受験では最初に整理しておきたいところです。
| 学校名 | 明星学園中学校 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都三鷹市井の頭5-7-7 |
| 設置区分 | 私立・男女共学 |
| 設置校 | 明星学園小学校・中学校・高等学校 |
| 学園創立 | 1924年 |
| 教育理念 | 「個性尊重」「自主自立」「自由平等」 |
| 高校への進学 | 原則として明星学園高等学校へ内部進学可能 |
1924年、画一的な教育への疑問から始まった学校
明星学園が誕生したのは1924年。赤井米吉、照井猪一郎ら4人の創立同人が、21人の児童とともに小学校を開設したことから歴史が始まりました。
当時は、教師から同じ内容を一斉に教え、同じ基準に子どもを合わせていく教育が一般的でした。それに対して明星学園が掲げたのが、「個性尊重」「自主自立」「自由平等」という三つの理念です。子どもをまず一人の人間として見て、その子自身の疑問や発見から学びを組み立てようとしました。
1928年には旧制の中学部と女学部を開設。戦後の学制改革を経て男女共学の中学校・高等学校となり、現在の小・中・高へ続く教育体制がつくられました。創立から100年を超えていますが、「自分の頭で考える」「一人ひとりを同じ型にはめない」という考え方は、現在の探究授業や学校行事にもかなり直接的に残っています。
明星学園の「自由」は、好き勝手にすることではない
明星学園を知ると、「自由な学校」という印象を持つ人は多いでしょう。制服を設けず、生徒自身が考えて動く場面が多いことも、その印象につながっています。
ただし、明星学園が考える自由は、規則が少ないから何をしてもよい、という意味ではありません。教育理念の「自主自立」では、自由を自分自身を確立していくためのものと位置づけています。また「自由平等」では、自分の自由と同じように他者の自由も尊重することを求めます。
自分で決められる範囲が広ければ、その分だけ「なぜそうするのか」を自分で考えなければなりません。明星学園の自由教育には、こうした少し厳しい側面もあります。
中学校が掲げる「やわらかな、鍛錬主義」
明星学園中学校は、自校を「やわらかな、鍛錬主義の学校」と表現しています。一見すると、「自由」と「鍛錬」は反対方向の言葉にも見えます。
ここでいう鍛錬は、生徒を一つの型にはめ込むことではありません。学校が教育方針として示しているのは、「自由と責任」「個性と共同性」「集団の中の自立」です。自分の意見を持つ。同時に、自分とは違う考えを持つ相手とも生活する。うまくいかないことがあれば考え直し、もう一度やってみる。その過程まで含めて自主性を育てようとしています。
そのため、明星学園の学校生活では「先生から言われたことをきちんとこなす」だけでは済まない場面が少なくありません。授業でも行事でも、自分はどう考えるのかを問われます。
制服がないことも、生徒主体の行事も、探究学習も、それぞれ独立した「自由な学校らしい特色」ではありません。100年前から続く「自分で考え、他者と関わりながら、自分の行動を決める」という教育の考え方が、学校生活のさまざまな場所に形を変えて現れています。
アクセスと立地環境|吉祥寺と井の頭公園を日常にする6年間
明星学園中学校の井の頭キャンパスは、東京都三鷹市井の頭5丁目にあります。最寄りは京王井の頭線の井の頭公園駅から徒歩約10分。JR中央線・総武線と京王井の頭線が乗り入れる吉祥寺駅からも徒歩約15分で通えます。
吉祥寺駅を使えるため、中央線沿線からの通学はもちろん、井の頭線を経由して渋谷方面から通うこともできます。一方で、学校は吉祥寺駅前の繁華街にあるわけではありません。駅周辺のにぎわいを抜け、井の頭公園や住宅街の方向へ進んだ先にキャンパスがあります。
| 交通手段 | 学校までの目安 |
|---|---|
| 京王井の頭線「井の頭公園駅」 | 徒歩約10分 |
| JR・京王井の頭線「吉祥寺駅」 | 徒歩約15分 |
| 吉祥寺駅公園口から小田急バス | 「明星学園前」行きで約10分、終点下車 |
| JR「三鷹駅」南口からバス | 「三鷹の森ジブリ美術館経由 明星学園」行きで約10分、終点下車 |
| 深大寺・調布・武蔵境方面からバス | 「明星学園入口」下車、徒歩約10分 |
徒歩とバスを使い分けられる
吉祥寺駅から学校までは約15分あるため、「駅近」の学校ではありません。ただ、この距離にはバスという選択肢があります。吉祥寺駅公園口の丸井前から「明星学園前」行きに乗れば、学校前まで約10分。おおむね15〜30分間隔で運行されています。
三鷹駅からも、三鷹の森ジブリ美術館を経由する学校前行きのバスが利用できます。普段は井の頭公園駅から歩き、雨の強い日や荷物の多い日はバスを使う、といった通い方も考えられます。中高6年間、年間200日前後通学することを考えると、交通手段を複数持てるのは地味ながら実用的です。
井の頭公園が通学路になる
明星学園の周辺環境を語るうえで、井の頭恩賜公園は外せません。吉祥寺駅方面から学校へ向かう場合には、井の頭公園周辺を通って登下校することになります。学校の周囲には玉川上水も流れ、駅前から少し離れると住宅街と武蔵野の緑が広がります。
春には桜、新緑の時期には木々の緑、秋には紅葉と、同じ通学路でも季節によって景色が変わります。もちろん通学は毎日のことですから、半年もすれば本人にとっては「いつもの道」になるでしょう。それでも、電車を降りてすぐ校門という学校とは、6年間の日常の景色がかなり違います。
吉祥寺という街との距離も近い
吉祥寺駅には商業施設や書店、飲食店が集まり、その一方で井の頭公園や井の頭自然文化園、三鷹の森ジブリ美術館など文化・自然に触れられる場所もあります。明星学園は、そうした吉祥寺の中心部から歩いて行ける距離にありながら、校舎そのものは落ち着いた住宅地側に位置しています。
学校周辺の自然や文化は、教室の外にある学びの環境でもあります。明星学園が長くこの地域で教育を続けてきたこともあり、井の頭という土地は学校紹介の背景ではなく、学校文化の一部になっています。
中学校と高校ではキャンパスが変わる
6年間の通学を考える場合には、もう一つ知っておきたい点があります。中学校は井の頭5丁目の「井の頭キャンパス」、高等学校は三鷹市牟礼4丁目の「牟礼キャンパス」にあり、中学と高校で校地が分かれています。
高校の牟礼キャンパスも吉祥寺駅から徒歩約15分で、井の頭公園駅からは徒歩約12分。大きく通学圏が変わるわけではありませんが、中学3年間を過ごした校舎から別のキャンパスへ移ることになります。同じ学園でそのまま高校へ進みながら、生活の舞台が一度切り替わる6年間です。
教育方針とカリキュラム|「やわらかな鍛錬主義」と探究する授業
明星学園中学校の授業は、「自由な校風」という言葉から想像するより、かなり粘り強く考えることを求めます。学校が掲げるのは「やわらかな、鍛錬主義」。自分の考えを持ち、他者の意見を聞き、そこからもう一度考え直す。この往復を授業の中で繰り返します。
教育方針として示されているのは、「自由と責任」「個性と共同性」「集団の中の自立」。教科教育でも、教師が答えを先に示して覚えさせるのではなく、生徒自身が仮説を持ち、対話しながら理解を深めることを重視しています。
教科の中にもある「探究する授業」
明星学園では、探究は総合学習の時間だけに閉じていません。国語、数学、理科、社会などでも、生徒自身の「なぜ」を授業の出発点にします。
たとえば国語では、一つの文章について教師の解釈を覚えるのではなく、本文中の表現を根拠にしながら読みを組み立てます。クラスメイトの発言も材料にし、「なぜそう読めるのか」を対話しながら考えていきます。
数学でも、速く正解へたどり着くことだけを目的にはしていません。算数から数学へ移る中1では、具体的で想像しやすい題材から抽象的な数学へ進み、生徒が自分なりの考えを出し合います。中3には通常の「数学A」に加えて週1時間の「数学B」があり、数の法則、身の回りの現象、実験や工作などを入口に、場合によっては高校内容まで発展させます。
中1から中3までつながる総合探究
総合探究は、3年間で少しずつ「自分で研究する」段階へ進む構成です。いきなり自由研究を任せるのではなく、調べ方、問い方、対話の仕方から順番に経験していきます。
| 学年 | 授業 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 中1 | 図書館と情報 | 図書館やインターネットを使った情報収集、情報を整理して発信・表現する方法を学ぶ |
| 中1 | 哲学対話 | 一つの正解がない問いについて、相手の話を聞きながら自分の考えを深める |
| 中2 | 探究実践 | 身近なテーマをグループで研究し、調査方法や研究の進め方、プレゼンテーションを学ぶ |
| 中3 | 卒業研究 | 自分でテーマを設定し、文献調査やフィールドワークを行い、論文と発表にまとめる |
中1の哲学対話では、「普通とは何か」「なぜ宿題があるのか」といった身近な問いも題材になります。重要なのは、立派な答えを出すことより、他人の意見を聞いた結果、自分の考えがどう変わったのかを経験することです。
中2では個人の思索からグループでの研究へ進み、中3になるとテーマ選びから本人が担います。卒業研究では文献を読むだけでなく、必要に応じて大学や研究機関を訪問したり、専門分野を持つ人から助言を受けたりする機会も設けられています。最後は論文を書き、全員がプレゼンテーションを行います。
英語は「気づく」ことから始める
英語は中1から通常の英語が週4時間、さらに「総合英語」が週1時間あります。総合英語は日本人教員とネイティブ教員によるティームティーチングです。
通常の授業でも、文法事項を最初から日本語で説明して覚えさせるのではなく、教師が英語を話し聞かせ、生徒が繰り返し耳にする中で意味や表現の規則に気づくところから始めます。その後、「話す・聞く・読む・書く」へ広げていく構成です。
明星学園の英語科では独自教材も長く使われており、「わかる」で終わらず、実際に使えるところまで進めることを重視しています。
美術・音楽・木工工芸にも週2時間ずつ
明星学園のカリキュラムを見ると、芸術・実技教科の時間数にも学校の考え方が表れています。中1から中3まで、音楽、美術、木工工芸をそれぞれ週2時間確保しています。
木工工芸では、木材や糸といった素材を実際に扱います。中2では木を削って器を作ったり、糸を染めて織物を制作したりし、中3では家具やクッション、マフラーなどの卒業制作へ進みます。知識を言葉だけで理解するのではなく、「手を動かして初めて分かること」も中学校教育の一部として扱っています。
受験科目になりやすい国語・数学・英語へ時間を集中させるタイプの学校とは、時間の使い方がかなり違います。3年間を通して、自分がまだ知らない分野に触れ、得意不得意を含めて自分自身を知っていくことを重視した構成です。
週6日制で、土曜日にも授業がある
授業は50分。月・火・木・金曜日は6時間、水曜日は5時間、土曜日は午前4時間です。登校は8時30分で、1時間目は8時45分から始まります。
総合探究、芸術、実技まで時間を確保しているため、明星学園のカリキュラムは「自由だから授業がゆったりしている」という構造ではありません。主要教科と探究・実技の双方に時間を割くため、土曜日にも授業があります。
国際交流も「英語力」より人との出会いから
希望者には、長期休暇を利用した海外短期留学も用意されています。オーストラリアでの交流プログラムのほか、タイ・ホアヒンの姉妹校との短期留学などが行われています。
タイでは、双方にとって母語ではない英語を使いながら交流します。うまく話せるかどうかだけではなく、「どうすれば相手に伝わるか」を試行錯誤すること自体を国際交流の一部として捉えています。
校内でも、高校が中心となって行うインターナショナル・ウィークに中学生が参加し、海外から来た生徒と授業やクラブ、日本文化体験などを通じて交流します。
こうして見ると、明星学園の探究教育は特別な一教科ではありません。国語で文章を読み、数学で仮説を出し、英語で意味を推測し、木工で素材に触れ、卒業研究で一つの問いを追う。教科は違っても、「まず自分で考えてみる」という姿勢が繰り返し求められる3年間です。
学習環境と施設設備|私服・ICT・自然が共存するキャンパス
明星学園中学校の校舎には、最新設備を前面に押し出すタイプの学校とは少し違った雰囲気があります。ホームルーム教室が入る中学校校舎は1964年築。木工室には無垢材が並び、図書室には木製の書架が置かれ、校内には生徒が制作した作品も自然に溶け込んでいます。
一方、すべてのホームルーム教室で電子黒板を使えるほか、パソコンを備えた視聴覚室もあります。古いものを一律に新しくするのではなく、授業に必要な設備を加えながら使い続けている校舎です。
ホームルーム教室から木工室まで、教科によって場所を移る
国語・数学・英語・社会などは、主にホームルーム教室で学びます。各教室には生徒一人ひとりのロッカーと洗面台があり、電子黒板も設置されています。
午後になると、美術、木工・工芸、音楽、理科、体育などではそれぞれの特別教室へ移動します。明星学園では音楽・美術・木工工芸を中学3年間にわたって週2時間ずつ学ぶため、これらの教室は「年に何度か使う特別な場所」ではありません。日常の授業のかなりの部分を支える空間です。
木を削り、糸を染めるための教室がある
明星学園らしさが見えやすいのが、木工室と工芸室です。
木工室には、大きな作品をグループで制作できるスペースがあり、外のプラタナス広場に面したウッドデッキでも作業できます。工芸室には大小の織機や染色設備が用意され、糸を染め、織り、作品へ仕上げていきます。
美術室には写真集、イラスト集、画集などの資料が置かれ、壁には先輩たちの作品も並びます。音楽室には合唱用のひな壇とキーボードを使うスペースがあり、パート練習用の電子ピアノも備えています。
明星学園では「考える」ことを頭の中だけの作業として扱いません。木の硬さに手こずったり、思った色に糸が染まらなかったり、描いたものを何度も直したりする時間も授業です。設備を見ると、芸術・ものづくりに週6時間を割くカリキュラムが、実際の学校生活として見えてきます。
約3万冊の図書室は、読書室であり探究の仕事場
図書室には約3万冊の図書があり、雑誌や新聞、インターネット検索用端末も用意されています。司書が常駐しているため、本を借りる場所としてはもちろん、調べものや資料探しについて相談することもできます。
中1の総合探究「図書館と情報」では、情報を探し、整理し、発信する方法そのものを学びます。その後、中2の探究実践、中3の卒業研究へ進むことを考えると、図書室は明星学園の探究教育を支える場所の一つです。
昼休みに静かに本を読む生徒もいます。グラウンドへ出る生徒がいれば、図書室で過ごす生徒もいる。同じ休み時間でも、自分に合った居場所を選べます。
電子黒板とパソコンも、調べて表現するための道具
すべてのホームルーム教室で電子黒板を利用できます。また、視聴覚室には1クラス分のパソコンが用意されており、中1の「図書館と情報」などで文書作成やプレゼンテーションの基礎を学びます。図書室にもインターネット検索用端末があります。
明星学園のICT環境は、端末の新しさそのものを学校の看板にするというより、調査したことを整理し、人に伝えるための道具として授業の中に置かれています。
体育館・グラウンドは昼休みにも使われる
体育館は体育の授業、入学式・卒業式などの式典、放課後のクラブ活動に使われます。昼休みには曜日ごとに利用できる学年が決められ、生徒が体を動かせる時間にもなっています。
グラウンドも授業だけの場所ではありません。昼休みには生徒が外へ出て遊び、放課後には野球部、サッカー部、陸上競技部などが練習します。
約200席を設けられる「いちょうのホール」では、学年単位の特別授業、合唱、演劇公演、説明会などを実施します。大規模な講堂というより、授業と学校行事の間をつなぐような空間です。
昼食は弁当が基本。校内売店という選択肢もある
中学校には、生徒が日常的に利用する食堂はありません。昼食は家庭からの弁当持参が原則です。
ただし、昼休みには校内の売店が営業します。朝に注文しておけば、高校の食堂で作られた日替わり弁当や唐揚げ弁当を受け取ることができ、おにぎりやサンドイッチなどの軽食も購入できます。「毎日必ず家庭で弁当を用意しなければならない」という仕組みではありません。
制服を設けないことも、生活環境の一部
明星学園では制服を設けず、生徒は私服で学校生活を送ります。毎朝何を着るかという小さな選択まで含めて、生徒自身に任せる文化が長く続いてきました。
自由な服装は見た目にも分かりやすい学校の特徴ですが、明星学園ではそれを「個性的な格好をすること」そのものとは考えていません。何を選ぶかは本人次第です。目立つ服を着てもよいし、ごく普通の服で過ごしてもよい。自分の選択と同じように、他人の選択にも必要以上に干渉しないという考え方です。
相談の窓口は保健室と日常の教員関係
保健室には休養用のベッドルームのほか、静かに過ごしたり面談に使ったりできる和室があります。
スクールカウンセラーを校内に常駐させる形ではなく、個別の相談については養護教諭が窓口となり、学年主任と情報を共有しながら対応します。必要な場合には外部の専門家へつなぐ仕組みです。
学校は、特定の専門職だけに生徒対応を委ねるのではなく、普段接している教員それぞれが生徒を見るという考え方を取っています。専門のスクールカウンセラーが校内にいることを重視する家庭であれば、学校見学の際に相談体制について聞いておくとよいでしょう。
学校生活と行事|生徒自身がつくる行事と校内自治
明星学園中学校の行事を見ると、「生徒主体」という言葉がかなり文字どおりに使われていることが分かります。先生が用意したプログラムに参加するだけではなく、自治会や実行委員が企画を考え、役割を分担し、当日の運営まで担う行事が複数あります。
もちろん、中学生ですから何もかも生徒任せというわけではありません。ただ、学校側が先回りして完成形を与えるより、話し合って決め、時には意見がぶつかり、それでも形にしていく過程を教育の一部として扱っています。
入学直後から、上級生が新入生を迎える
明星学園らしい学校生活は入学式から始まります。新入生は実行委員を務める上級生に先導されて入場し、在校生の挨拶や合唱、和太鼓の演奏で迎えられます。
その後の生徒自治会オリエンテーションでも、学校生活の説明を担当するのは上級生の自治会役員です。クラブ紹介では実演やコントを交えながら、それぞれの活動を新入生に伝えます。
中学校から入学する生徒にとっては、明星学園小学校から進学してきた生徒と一緒になる時期でもあります。春には学年交流会があり、学年ごとに行き先やレクリエーションを考えて一日を過ごします。
3学年を縦につなぐ「タテワリ交流会」
明星学園では、同学年だけで関係が完結しないようにタテワリ交流会も行われます。
7年生・8年生・9年生の同じクラス番号を一つのチームにし、自治会のクラス代表が企画・運営します。カードゲーム、ドッジボール、椅子取りゲームなど、内容も代表生徒たちが考えます。
こうした縦割りの関係は、後の運動会にもつながります。入学したばかりの7年生が上級生に教えてもらう側だったものが、2年後には自分たちが下級生を動かす側になる。3年間の中で役割が入れ替わっていきます。
運動会は「本番」より準備期間に学校らしさが出る
中学校の運動会は、生徒による実行委員会を中心に運営されます。7・8・9年生を縦割りにした赤・黄・白・青の4チームで競い、競技のほか、色別の応援合戦も行われます。
中心となる9年生には、団長、副団長、応援団長、応援副団長などの役割があります。これらは最初から先生が指名するのではなく、立候補者が演説し、生徒の投票によって選ばれます。
本番で走ったり応援したりする時間は一日ですが、その前には実行委員会、選挙、練習、下級生への指示、意見調整があります。うまくまとまらないクラスをどう動かすか、やりたいことと時間の制約をどう折り合わせるか。明星学園がいう「自由と責任」は、こうした場面の方がむしろ分かりやすく表れます。
7年生は山へ、8年生は農村へ、9年生は沖縄へ
各学年には、校外で数日間を過ごす行事があります。年度によって行き先や内容に調整はありますが、自然、地域の暮らし、歴史と平和を、学年ごとに異なる角度から学びます。
| 学年 | 主な校外行事 | 内容 |
|---|---|---|
| 7年生 | 宿泊行事 | 自然の中で仲間と協力して過ごし、登山などに挑戦する |
| 8年生 | 民泊行事 | 農村地域の家庭に滞在し、農作業や地域の暮らしを経験する |
| 9年生 | 沖縄修学旅行 | 歴史、平和、自然、琉球文化を学び、地域での民家泊も経験する |
7年生の宿泊行事は、本格的な登山になることも
7年生の宿泊行事は、単なる親睦旅行とは少し趣が違います。八ヶ岳では山小屋に宿泊し、登山に挑戦した年もあります。
山では、自分だけ先に進めばよいというわけにはいきません。疲れている仲間を待つ、自分の荷物を管理する、天候や体調に合わせる。教室では見えにくかった友人の一面や、自分自身の限界にも出会います。
自由な学校だからこそ、共同生活では自分の都合だけでは動けない。その感覚を早い段階で経験します。
8年生は、農村の暮らしの中へ入る
8年生の民泊行事では、農村地域の家庭に分かれて滞在します。田植えなどの農作業、畑仕事、薪割り、郷土料理づくりなどを体験しながら、数日間その家の生活に入ります。
観光地を巡ってホテルへ戻る旅行とは違い、普段とは異なる仕事や生活時間、人間関係の中に入ることになります。学校の先生でも家族でもない大人と生活することも、この行事の一部です。
都会で暮らしているだけでは見えにくい「食べ物ができるまで」や、地域で人が支え合う生活を、自分の身体を使って経験します。
9年生の沖縄修学旅行は、平和学習だけでは終わらない
9年生は4泊5日の沖縄修学旅行へ向かいます。
首里城やひめゆりの塔などを訪れ、琉球の歴史や沖縄戦について学ぶ一方、自然体験や琉球文化にも触れます。民家泊を行い、地域の家庭と生活を共にする時間もあります。
教科書の中の沖縄戦を学ぶだけなら東京でもできます。現地を歩き、基地や戦跡を目にし、そこで暮らしている人の話を聞くことで、それまで持っていた見方が少し揺さぶられる。明星学園の修学旅行は、その揺さぶりまで含めて学びとして組み立てられています。
「この人に会いたい」で、学校の外の大人と話す
校外へ出る行事とは逆に、社会で活動する人を学校へ招く「この人に会いたい」という特別授業も続けられています。
研究者、表現者、社会活動に携わる人、卒業生などを招き、講演やワークショップを行います。テーマも一つの分野に限定されず、平和、社会、人権、科学、芸術など、通常の教科の境界を越える内容が扱われます。
先生と保護者以外の大人と出会い、「こんな生き方もあるのか」と知ることは、中学生にとって案外大きな出来事です。卒業研究のテーマや、その後の進路につながることもあります。
卒業研究発表会は、3年間の学びを人前に出す日
9年生の1月には卒業研究発表会があります。1年間かけて取り組んだ研究について、生徒全員が一人ずつプレゼンテーションを行います。
テーマを決め、資料を探し、必要なら外部の人に会いに行き、論文を書き、最後は自分の言葉で発表する。明星学園の探究教育が最も見えやすい行事です。
最後は合唱と作品に囲まれて卒業する
年度末には合唱コンクールがあり、大きなホールでクラスごとに合唱を披露します。パートリーダー、指揮、ピアノ伴奏なども生徒が担い、音楽の授業で積み重ねてきたものをクラス単位で一つの演奏にします。
卒業式の体育館には、9年生が美術・木工・工芸で制作した卒業作品が展示されます。卒業証書は一人ずつ校長から手渡され、在校生と卒業生による合唱も行われます。
入学式では上級生に迎えられた生徒が、3年後には自分たちの作品と言葉を残して卒業していく。明星学園の行事には、行事そのものを楽しむことと同じくらい、「自分たちの学校を自分たちで受け渡していく」感覚があります。
クラブ活動|学年を越えて動く中学・中高合同の活動
明星学園中学校のクラブ活動には、運動部から芸術・ものづくり、ディベート、鉄道研究まで幅があります。中学校だけで活動するクラブに加えて、和太鼓部、アンサンブル部、弓道部、陸上競技部、卓球部、鉄道研究部は中高合同。中学1年生の段階から高校生と同じ場で活動できるのも、この学校のクラブ生活の一つの形です。
全員加入ではありません。通学時間や習い事、校外活動との兼ね合いを考えて、クラブに所属しない選択もできます。一方で、大会を目指して練習するクラブもあれば、週に数回、自分の好きなことに取り組むクラブもあり、活動の温度は一様ではありません。
| 分野 | 主なクラブ |
|---|---|
| スポーツ・武道 | 弓道部、陸上競技部、野球部、バドミントン部、卓球部、バスケットボール部、サッカー部、山歩き部 |
| 音楽・舞台 | 和太鼓部、アンサンブル部、演劇部 |
| 美術・ものづくり | 美術部、木工部、漫画研究部、書道部 |
| 研究・言語 | ディベート部、鉄道研究部 |
高校生と一緒に舞台へ立つ和太鼓部
明星学園のクラブの中でも学校外で姿を見る機会が多いのが、中高合同の和太鼓部です。学校行事で演奏するほか、地域の祭り、小中学校への出前公演、東京都の大会、定期演奏会などにも参加しています。
高校の和太鼓部は全国大会への出場経験を重ねており、中学生もその高校生と一緒に練習します。経験者だけを集めるわけではなく、初心者も基礎から参加できます。
太鼓は一人で上手に叩けば完成する音楽ではありません。音の強さや間、身体の動きを周囲と合わせる必要があります。部内でも話し合いながら演奏を作ることが重視されており、生徒自治を掲げる明星学園らしさが、ここでは音になって表れます。
アンサンブル部では、中1からオーケストラへ
アンサンブル部も中高合同です。弦楽器を含む編成で、クラシックのほか、映画音楽、ミュージカル、ポップスなど幅広い曲を演奏します。
多くの部員が中学1年生で初めて楽器を手にすることを前提としており、経験がなくても参加できます。最初は音を出すところから始めた中学生が、高校生と同じ合奏の中へ少しずつ入っていきます。
中高6年間続ければ、先輩についていく側から、後輩へ演奏を伝える側へ回ることになります。中高合同クラブには、大会実績とは別に、この時間の長さがあります。
弓道と陸上は、高い目標にも挑める
弓道部も中高合同で、ほとんどの生徒が中学校に入ってから初めて弓を持ちます。初心者から始めながら、東京都大会で活躍する生徒も出ています。
弓道は、相手と直接競り合うより、自分の姿勢や動作を一つずつ整えていく競技です。自由な校風の中に、一定の型を何度も繰り返す武道が存在するのは少し面白い組み合わせです。
陸上競技部も中高合同で活動し、東京都大会での優勝や全国大会入賞の実績があります。ただし、競技成績だけを部の目的にはしておらず、生徒それぞれが自分の目標を設定して取り組むことを重視しています。
サッカー部は地域の中学校ともチームを組む
サッカー部では、土日を中心に外部指導員の指導を受けながら、三鷹市立第三中学校との合同練習や合同チームでの大会参加も行っています。
私立中高一貫校のクラブ活動は校内の人間関係だけで完結しがちですが、ここでは地域の公立中学校の生徒とも一緒にボールを追います。同じ年代でも学校が違えば、普段の生活や考え方は少し違う。クラブが学校の外へ人間関係を広げる場にもなっています。
木工部は、授業の続きを自分のペースで
明星学園には木工部があります。木工工芸を正規授業として3年間学ぶ学校なので、「授業で触れて面白かったから、放課後もやってみたい」という流れが自然に生まれます。
桜や檜などを使い、スプーンやバターナイフといった小物から、椅子、ベンチ、テーブルまで制作します。決められた同じ作品を全員で作るというより、自分が作りたいものを考えて手を動かすクラブです。
ディベート部では「正解のない問い」を競技にする
授業とのつながりが見えやすいもう一つのクラブがディベート部です。一つの社会的テーマについて肯定・否定の立場に分かれ、資料を集め、論点を組み立て、相手の主張を聞きながら反論します。
全国中学・高校ディベート選手権「ディベート甲子園」へ出場し、全国ベスト8に入った実績もあります。模擬国連などにも参加しています。
明星学園の授業では、自分の意見を言うことと同時に、異なる考えを聞いて自分の考えを組み直すことを重視します。ディベートはそれをかなり高速で繰り返す「ことばのスポーツ」です。
毎日活動することだけがクラブではない
明星学園には、比較的自分のペースで参加しやすいクラブもあります。美術部では自由に作品を制作し、他クラブとの兼部をする生徒もいます。漫画研究部は週1回を基本に活動し、イラストや漫画を制作して部誌にまとめます。
山歩き部は、普段から毎日校内で練習するタイプのクラブではありません。予定を合わせて東京近郊の山へ出かけ、夏休みには北アルプスを歩くこともあります。演劇部では、生徒自身が企画や演出を考え、オリジナル脚本を作ることもあります。
「大会で勝ちたい」「高校生と一緒に本格的に続けたい」「放課後に好きな絵を描きたい」「たまに山へ行きたい」。同じクラブ活動でも求めるものは生徒によって違います。明星学園では、その違いを一つの活動スタイルに揃えるより、自分の興味と生活に合う場所を選ぶという考え方がクラブにも表れています。
進学実績と卒業後の進路|大学名だけでは測れない多様な進路選択
明星学園中学校の生徒は、原則として明星学園高等学校へ内部進学できます。中学から高校へ上がる段階で改めて入学試験を受ける仕組みではなく、3年間の学校生活を継続して高校教育へつなげていきます。
ただし、内部進学が無条件に保証されているわけではありません。欠席日数や学校生活の状況などによっては、本人・家庭と相談しながら別の進路を検討する場合があります。
明星学園は大学附属型の中高一貫校ではありません。高校卒業時には、それぞれが自分の学びたい分野を考え、一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜などを使って進路を選びます。
高校では2年生から6つのコースへ分かれる
高校1年生では共通の必修科目を学び、高校2年生から文系・理系・美術・音楽・体育・家政の6コースに分かれます。さらに多くの選択授業があり、大学受験科目だけで時間割を組むというより、本人の関心や将来像に合わせて学ぶ分野を絞っていく仕組みです。
中学校で木工、工芸、美術、音楽、卒業研究などに時間を使ってきた生徒が、高校で「これをもっとやりたい」と方向を定められる構成になっています。反対に、中学時代にはまだ進路が決まっていなくても、さまざまな分野に触れた上で高校2年から専門性を高めることができます。
2026年春は早稲田10名、明治20名など
2026年春の大学入試では、国公立大学から私立大学、芸術系大学、海外大学まで幅広い合格先が並んでいます。
| 大学 | 2026年合格者数 |
|---|---|
| 電気通信大学 | 1名 |
| 東京学芸大学 | 1名 |
| 東京藝術大学 | 1名 |
| 東京都立大学 | 1名 |
| 前橋工科大学 | 1名 |
| 早稲田大学 | 10名 |
| 上智大学 | 7名 |
| 明治大学 | 20名 |
| 青山学院大学 | 6名 |
| 立教大学 | 8名 |
| 中央大学 | 6名 |
| 法政大学 | 10名 |
| 学習院大学 | 7名 |
| 成蹊大学 | 13名 |
| 成城大学 | 10名 |
| 日本大学 | 19名 |
ここで挙げているのは大学合格者数で、実際の進学者数とは別です。一人の生徒が複数大学に合格する場合もあるため、数字を見る際には区別しておきたいところです。
美術・音楽系の進路がかなり太い
明星学園の進路を見ると、早慶上理やGMARCHの数字だけを拾うと学校の半分しか見えません。2026年春には武蔵野美術大学16名、多摩美術大学14名、東京造形大学3名が合格。国公立では東京藝術大学にも1名が合格しています。
| 主な芸術系大学 | 2026年合格者数 |
|---|---|
| 東京藝術大学 | 1名 |
| 武蔵野美術大学 | 16名 |
| 多摩美術大学 | 14名 |
| 東京造形大学 | 3名 |
| 東北芸術工科大学 | 4名 |
| 洗足学園音楽大学 | 6名 |
| 国立音楽大学 | 1名 |
| 武蔵野音楽大学 | 1名 |
これは高校に美術コース・音楽コースを設けていることともつながっています。中学校でも美術・音楽・木工工芸を3年間継続して学ぶため、芸術系の進路が一部の課外活動から突然生まれるわけではありません。中学から積み重ねてきた表現活動が、そのまま大学で学ぶ専門分野へ伸びていく生徒がいます。
理系・教育・スポーツ・海外へ進む生徒もいる
理系では東京理科大学、芝浦工業大学、工学院大学、東京都市大学、東京電機大学などへの合格者が出ています。北里大学、東京薬科大学、明治薬科大学など医療・薬学系への進路もあります。
中学校の卒業研究で扱ったテーマが、その後の大学での学びへつながる生徒もいます。数学を掘り下げた経験から大学の数学科へ進むなど、教科の延長線上に進路を見つける例もあります。
海外大学へ進む生徒もいます。全員が同じ種類の大学を目指すというより、中学時代に見つけた関心を高校で深め、その先に大学や専門分野を置くという進路のつくり方です。
指定校推薦という選択肢もある
一般選抜だけでなく、大学からの指定校推薦枠もあります。主な指定校として、立教大学、法政大学、学習院大学、成蹊大学、成城大学、明治学院大学、日本大学、武蔵大学、白百合女子大学、武蔵野美術大学などが挙げられています。
推薦枠があるから中学入学時からその大学への進学が決まるわけではありません。高校での成績や校内基準、希望者間の選考などを経て利用する制度です。ただ、一般選抜一本に絞らず、高校で積み上げた学習や活動を使って進路を決められる選択肢の一つになります。
進路指導の出発点は「どの大学に入るか」より少し手前にある
明星学園が進路指導で重視しているのは、偏差値の高い大学へ進ませることだけではなく、自分の将来について自ら考える力を身につけることです。
大学受験を軽視するわけではありません。難関私大にも一定の合格者を出しています。ただ、同じ学年の中に、数学を学びたい生徒、美術を続けたい生徒、スポーツを専門にしたい生徒、教育や福祉へ進みたい生徒がいることを前提にしています。
中3の卒業研究で「自分は何に興味があるのか」を一度考え、高校では6つのコースと選択授業から自分の時間割をつくり、最後に進路を選ぶ。明星学園の進路教育は、大学合格という出口から逆算するより、自分の興味を少しずつ進路へ変えていくタイプです。
学費や諸経費について|初年度に必要な費用を整理
明星学園中学校の2027年度入学者向け納付金は、入学金25万円を含めて初年度98万7,500円です。これとは別に、授業で使用するiPad本体、3年保証、学習支援ソフト、保守費用などが必要になります。
学費を見るときは、「授業料はいくらか」だけでなく、施設負担金や維持管理費、クラス費まで含めて考えた方が実際の家計に近くなります。明星学園では納付時期を3期に分けています。
| 項目 | 年額・初年度額 |
|---|---|
| 入学金 | 250,000円 |
| 施設負担金 | 100,000円 |
| 授業料 | 492,000円 |
| 維持管理費 | 108,000円 |
| 自治活動費 | 1,000円 |
| クラス費 | 35,000円 |
| PTA会費 | 1,500円 |
| 初年度納付金合計 | 987,500円 |
入学時25万円、その後は3期に分けて納入する
入学手続き時に納めるのは入学金25万円です。その後の学費は、第1期32万7,500円、第2期21万円、第3期20万円に分けて納入します。
| 納付時期 | 金額 |
|---|---|
| 入学手続き時 | 250,000円 |
| 第1期学費 | 327,500円 |
| 第2期学費 | 210,000円 |
| 第3期学費 | 200,000円 |
第1期学費を入学時までに納める場合、入学金と合わせて57万7,500円を最初の段階で用意することになります。
iPad関連費用は納付金とは別
明星学園中学校では、生徒1人につき1台のiPadを授業で使用します。端末本体だけではなく、3年間の保証、学習支援ソフト、保守費用なども含めて別途購入します。
2026年度の費用は9万4,490円でした。端末価格は年度によって変わる可能性があるため、入学時の予算を考える場合には、98万7,500円の納付金とは別に10万円前後を見込んでおくと考えやすいでしょう。
同程度のiPad関連費用を想定すると、初年度に学校へ支払う費用は約108万円になります。これに個人ごとに異なる活動費などが加わります。
制服一式の購入費はかからない
明星学園は制服を設けておらず、日常の服装は自由です。そのため、私立中学校で入学時にまとまった支出になりやすい制服一式の購入費はありません。
もちろん私服そのものは各家庭で用意しますが、「冬服・夏服・指定コートまで学校指定品をそろえる」という支出構造ではありません。明星学園の服装自由は校風の話として語られることが多い一方、入学時費用の内訳にも影響しています。
任意の寄付金は1口5万円
学校では、校舎建築償還資金の一部と施設設備の維持管理を目的として、1口5万円の寄付金を案内しています。
これは必須の納付金ではなく任意で、口数や金額も自由です。したがって、初年度98万7,500円には含まれていません。
兄弟姉妹が学園に通う家庭には減免制度もある
明星学園には、同じ学園に兄弟姉妹が在籍する家庭などを対象とした納付金の減免制度があります。2人目以降について、入学金や授業料の減免が設けられています。
東京都内に居住し私立中学校へ通う家庭については、東京都の私立中学校等授業料軽減助成金制度を利用できる場合もあります。制度内容や助成額は年度によって変わるため、入学年度の条件を見ておきたいところです。
高校進学後は、学費体系も高校のものに変わる
明星学園中学校からは原則として明星学園高等学校へ内部進学します。したがって、学校選びでは中学入学時の約100万円だけを見るのではなく、その後も授業料や施設費などが続くことを前提に考える必要があります。
一方、高校では納付項目や金額、国・東京都による授業料支援制度も中学校とは異なります。中学校の年額をそのまま6年間掛ければよいわけではありません。
明星学園の場合、制服購入費はありませんが、iPad、校外行事、クラブ活動、希望制の海外交流など、本人の学校生活によって加わる費用があります。学費表の数字に加えて、「6年間でどんな活動をしたいか」まで含めて見ておくと、入学後の費用を想像しやすくなります。
入試情報と合格の目安|2科+面接で見る明星学園らしい入試
2027年度の明星学園中学校入試は、2月1日午前・午後、2月2日午後、2月4日午後の計4回です。すべての回で国語・算数の2科目と約10分の面接を行います。
募集人数はA入試が約60名と最も多く、B・C入試が各約10名、D入試が若干名。明星学園を第一志望として考えるなら、募集枠の大きい2月1日午前のA入試を軸に受験日程を組むのが基本になります。
| 入試 | 試験日 | 開始時刻 | 募集人数 | 試験科目 |
|---|---|---|---|---|
| A入試 | 2月1日(月) | 8:30 | 約60名 | 国語・算数+面接 |
| B入試 | 2月1日(月) | 15:30 | 約10名 | 国語・算数+面接 |
| C入試 | 2月2日(火) | 15:00 | 約10名 | 国語・算数+面接 |
| D入試 | 2月4日(木) | 15:00 | 若干名 | 国語・算数+面接 |
国語・算数は各50分、200点満点
国語と算数はそれぞれ50分・100点、合計200点です。その後に面接が行われます。
明星学園の入試は、小学校の教科書の範囲を大きく超える特殊な知識や、いわゆる難問だけを並べる試験ではありません。一方、覚えた解法をそのまま当てはめれば終わるとは限らず、身につけた知識を使って考える問題も出題されます。
受験勉強でも「なぜそう考えるのか」を大切にしたいところです。これは入学後の授業とよくつながっています。授業では自分なりの仮説を持ち、考えを説明し、他者の考えからもう一度考え直すことが多いため、入試でも答えにたどり着く過程を軽く扱わない方がよいでしょう。
面接では「何に興味があるか」を自分の言葉で話す
面接は受験生2名・面接官2名で約10分。本人のみが参加します。
質問には、「明星学園を志望した理由」と「自分の得意なこと・興味関心のあること」が含まれます。流暢な受け答えを競う試験ではなく、分からないことを無理に取り繕う必要もありません。
一方で、面接官の話や一緒に受験する相手の発言を聞く姿勢も大切です。明星学園で求められるのは、いつでも大きな声で自己主張することではありません。自分の考えを持つことと、相手の言葉を聞くことの両方です。
面接対策として立派な模範回答を暗記するより、「なぜこの学校へ行きたいのか」「最近何に夢中になっているのか」「自分はどんなことが得意なのか」を小学生本人の言葉で話せるようにしておく方が、明星学園の面接には合っています。
最大3回受験できるが、AとBは同時出願できない
4回の入試がありますが、A・B・C・Dをすべて受験できるわけではありません。2月1日のA入試とB入試は、どちらか一方を選択します。
C・Dとは組み合わせられるため、最大では「A・C・D」または「B・C・D」の3回受験が可能です。
- A・C・D
- B・C・D
- A・C
- A・D
- B・C
- B・D
- C・D
複数回受験による得点加算はありません。ただし、単独受験の検定料が23,000円なのに対し、対象となる2回以上を同時出願する場合は33,000円です。
また、複数回出願していても、A入試またはB入試で合格した場合は、2月2日以降の入試を受験できません。明星学園への進学意思がある家庭に、後半日程まで何度も受験させる仕組みではないということです。
B入試については、公立中高一貫校との併願者を対象とした入学手続きの延納制度もあります。該当する場合は、入試当日に所定の延納届を提出します。
2026年度はC・D入試で実質倍率が上がった
2026年度入試では、2月1日のA入試に男女計86名が実際に受験し、47名が合格しました。実質倍率は約1.8倍です。
午後入試や後半日程では、出願していてもそれ以前の学校に合格して受験しない家庭が出るため、「出願者数」と「実受験者数」には差が出ます。倍率を見るときは、実際に試験を受けた人数で考えた方が実態に近くなります。
| 2026年度入試 | 実受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|
| A入試 | 86名 | 47名 | 約1.8倍 |
| B入試 | 20名 | 15名 | 約1.3倍 |
| C入試 | 46名 | 12名 | 約3.8倍 |
| D入試 | 32名 | 9名 | 約3.6倍 |
C・D入試では、A・B入試より募集枠が小さくなるため、2026年度も実質倍率が上がりました。2027年度はA入試の募集が約60名となる一方、C入試は約10名、D入試は若干名です。「後にも試験があるから、まず別の学校を受けておこう」と単純に考えるより、明星学園の志望順位が高ければA入試をどう使うかが重要になります。
首都圏模試の目安は40台前半から半ば
2027年入試予想では、男女ともおおむね40台前半から半ばが80%合格可能性の一つの目安です。
| 入試 | 80%偏差値の目安 |
|---|---|
| A入試 | 44 |
| B入試 | 43 |
| C入試 | 45 |
| D入試 | 44 |
偏差値は模試会社によって母集団も尺度も異なるため、他社の数字と横に並べて単純比較するものではありません。明星学園の場合は、偏差値だけを見るより、過去問で国語・算数を時間内にどこまで安定して取れるかも確認しておきたいところです。
得点の準備目安としては、国語・算数とも少なくとも50〜55%以上を取れる状態を目指したいところです。年度によって合否ラインは変わるため、まず各科で大きく崩れない状態をつくり、その上で過去問に慣れていくのが基本です。
過去問では「答えが合ったか」の一歩先まで見る
明星学園では、過去の国語・算数の問題を使った受験生向け講座も行われています。解法だけではなく、「どのような考え方を大切にしているのか」「問題のどこに目を向けるのか」といった、入学後の授業につながる考え方も扱います。
過去問演習では、間違えた問題の答えを覚えて終わるのではなく、「どこで考え違いをしたのか」「別の考え方はできなかったか」「自分の考えを説明できるか」まで戻ってみる。明星学園を目指すなら、この復習の仕方そのものが入学後の学びへの準備になります。
併願校パターン|中央線・井の頭線エリアを軸に考える受験日程
明星学園中学校の併願を考えるときは、偏差値が近い学校を機械的に並べるだけでは少し足りません。明星学園を選ぶ家庭は、探究、生徒の自主性、芸術・実技教育、比較的自由な学校文化などに惹かれていることが多いため、「合格可能性」と「6年間を過ごしたい学校か」を別々に確認する必要があります。
一方、受験日程として見ると明星学園は使いやすく、2027年度は2月1日午前のA入試を中心に、2月1日午後B、2月2日午後C、2月4日午後Dがあります。第一志望ならA入試を中心に組み、上位校へ挑戦するなら2月1日午前を他校に使ってB入試から明星学園を受ける方法もあります。
明星学園A入試を一つの基準に考える
明星学園A入試の80%偏差値は44前後が一つの目安です。そこから難易度と日程を考えると、併願候補には次のような学校があります。
| 位置づけ | 学校 | 考え方 |
|---|---|---|
| チャレンジ | 東京電機大学中学校 | 中央線沿線で組みやすく、理数・情報分野への関心が強い家庭では候補にしやすい |
| チャレンジ | 文化学園大学杉並中学校 | 杉並区にあり、国際教育や多様な入試方式も含めて検討できる |
| 標準〜ややチャレンジ | 武蔵野大学中学校 | 西東京市にあり、明星学園と同じ多摩東部から通学を考えやすい |
| 標準〜安全寄り | 新渡戸文化中学校 | 教科型のほか、グループワークや探究型入試があり、学び方との相性も見やすい |
| 安全校候補 | 自由の森学園中学校 | 1月入試で合格を確保する選択肢。学校文化との相性と通学距離は確認したい |
ここでいう「安全校」は、合格を保証する意味ではありません。同じ偏差値でも問題形式との相性はあり、特に探究型・面接型の入試ではペーパーテスト以外の要素も入ります。本人の模試成績と過去問の得点を見て、位置づけは調整してください。
東京電機大学中学校|中央線沿線で考えやすいチャレンジ校
明星学園から一段上の学校を目指す場合、東京電機大学中学校は日程上組み込みやすい候補です。校舎はJR中央線の東小金井駅が最寄りで、明星学園のある吉祥寺・三鷹エリアと同じ中央線沿線にあります。
2027年度は、2月1日午前に第1回、同日午後に第2回、2月2日午前に第3回、2月4日午後に第4回を実施します。
たとえば2月1日午前に東京電機大学第1回を受験し、午後に明星学園B入試という組み方ができます。午前にチャレンジ校、午後に本命または標準校を置く形です。
ただし、東京電機大学の午後入試も決して「押さえ」と考える難度ではありません。理数教育や大学とのつながりも含めて、進学したい学校として選ぶ必要があります。
文化学園大学杉並・武蔵野大学|2月1日午前の選択肢を広げる
文化学園大学杉並中学校は、2月1日午前・午後から2月4日まで複数回の入試を実施します。
明星学園より難易度はやや高めですが、2月1日午前に文化学園大学杉並へ挑戦し、午後に明星学園B入試を受験する組み方ができます。後半日程にも試験があるため、結果を見ながら受験を組み替えやすい学校です。
武蔵野大学中学校も西東京市にあり、明星学園と通学圏が重なりやすい学校です。2月1日から複数の入試方式があり、大きなチャレンジというより、明星学園と並べて合格可能性を見ながら選ぶ学校になりやすいでしょう。
新渡戸文化中学校|入試そのものに選択肢がある
新渡戸文化中学校は、教科型入試に加え、グループワークや自分の探究を発表する入試も実施しています。
明星学園の哲学対話や卒業研究に惹かれている受験生なら、偏差値とは別に「こういう試験なら自分を出せそう」と感じることもあるでしょう。ただし、教科型入試とは準備方法が違うため、併願だからと直前に加えるより、早めに入試内容を見ておきたい学校です。
1月に一つ合格を持って2月へ入る方法もある
2月1日の朝を迎える前に一校合格しておくと、本人の心理状態はかなり変わります。そうした使い方ができる候補の一つが、埼玉県飯能市の自由の森学園中学校です。
自由の森学園も、生徒一人ひとりの考えや表現を重視する学校です。ただし、明星学園からは距離があり、学校生活の仕組みも同じではありません。「合格しやすそうだから」だけで選ぶのではなく、実際に進学する可能性があるなら通学時間まで含めて検討する必要があります。
明星学園を第一志望にする場合の受験パターン
| タイプ | 1月 | 2月1日午前 | 2月1日午後 | 2月2日 | 2月4日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 明星学園第一志望型 | 1月校を必要に応じて受験 | 明星学園A | 休養または他校 | A不合格なら明星学園C | 必要なら明星学園D |
| チャレンジ併願型 | 安全校を1校 | 東京電機大学第1回 | 明星学園B | B不合格なら明星学園C | 必要なら明星学園D |
| 少し上まで狙う型 | 安全校を1校 | 文化学園大学杉並 | 明星学園B | 明星学園Cまたは他校 | 明星学園Dまたは他校 |
| 探究型を重視する型 | 必要に応じて1月校 | 明星学園A | 結果・体力に応じて調整 | 明星学園Cまたは探究型入試校 | 明星学園Dまたは他校 |
明星学園は、AまたはB入試で合格するとC・D入試を受験できません。第一志望でA入試に合格した場合は、そこで明星学園の受験は終了します。反対にA入試で届かなかった場合には、C・Dと再挑戦する余地があります。
午後入試を連日入れると、受験できる学校数は増えます。しかし、小学生が朝から試験を受け、移動し、午後にもう一度国語と算数を解き、さらに面接まで受ける負担は小さくありません。紙の上ではきれいに埋まる日程でも、本人が疲れて本命で力を出せなければ意味がありません。
明星学園への志望度が高い家庭なら、まずA入試を中心に置き、1月校と2月2日以降をどう備えるかを決める。チャレンジ校が第一志望なら、2月1日午前をその学校に使い、午後のB入試から明星学園へつなぐ。この二つを基本形として考えると、受験日程を整理しやすくなります。
在校生・保護者の声|自由さの中で求められる自主性
明星学園中学校について、生徒や卒業生、保護者の言葉を見ていくと、繰り返し現れるのが「自由」「いろいろな人がいる」「先生との距離が近い」という感覚です。
ただし、その自由さを「学校から細かく管理されないので楽」と受け取ると、少し学校像を取り違えます。自分の意見を言う、やりたいことを自分から始める、必要なら先生に相談する。明星学園では、生徒側から動く余地がかなり残されています。
「変わっている」が、浮く理由になりにくい
卒業生からは、自分の好きなものを深く追いかける生徒が多く、周囲もそれを過度に気にしない雰囲気だったという声があります。
音楽に没頭する生徒がいれば、山へ出かける生徒、数学の続きを自分で調べる生徒、自治活動に力を入れる生徒もいる。「みんな同じように振る舞うこと」が集団になじむ条件になりにくい学校です。
保護者からも、「個性豊かな生徒が多い」「さまざまな価値観を受け入れる雰囲気がある」といった声が見られます。私服で過ごすことも含め、外見や興味関心を一つの型へ揃えない文化は、実際の学校生活にも表れています。
もちろん、多様な生徒がいるから人間関係の問題が一切起こらない、とまでは言えません。大切なのは「問題が起きない学校」ということより、違いをどう扱うかを日常の中で学ぶ学校と見ることでしょう。
先生は「答えをくれる人」より、相談できる大人に近い
授業後や放課後に先生と話したこと、部活動の練習内容について相談しながら考えたこと、自分から一歩踏み出せなかったときに担任から背中を押してもらったことなどが、卒業生の記憶として語られています。
生徒が何かに興味を持ったとき、すぐに「そこまででよい」と区切るより、もう少し進んでみることを認める教師文化があります。
これは、何でも先生が手取り足取り進めてくれるという意味ではありません。生徒が「これをやりたい」「ここが分からない」と持っていけば応えてくれる。その距離感に近いようです。
発言が得意な子だけの学校ではない
明星学園というと、自己主張が強く、どんどん発言できる子ばかりが集まる学校を想像するかもしれません。
しかし、もともと人前で自分の意見を言うことが得意ではなかったものの、中学校でクラス代表などを経験するうちに、少しずつ人前へ出られるようになった卒業生もいます。
哲学対話や通常授業では、自分の意見を口にする機会が繰り返しあります。同時に、相手の発言を否定するのではなく、一度受け止めて考えることも求められます。
最初から活発でなければいけないわけではありません。ただ、3年間ずっと「黙って先生の説明を聞き、正解をノートに写す」だけで過ごすのは難しい学校です。少しずつでも、自分の考えを外へ出していくことになります。
「自由だけれど、楽ではない」という見方
明星学園の自由さについては、自由だからこそ本人が考えて動かなければならない、という受け止め方もあります。
制服はなく、校則による細かな統制も比較的少ない。一方で、宿泊行事、探究実践、卒業研究、生徒主体の運動会など、「誰かが全部決めてくれる」状態では進まない活動が続きます。
学習についても、補習や講座などの支援はあります。一方で、勉強へ積極的に取り組む生徒とそうでない生徒との差を感じるという保護者の声もあります。
細かな宿題や管理によって全員を同じペースに乗せる学校を求める家庭とは、相性が分かれる可能性があります。本人が必要なときに質問する、補習を利用する、自分で学習のペースをつくる。その姿勢は次第に必要になります。
学校を「与えられる場所」ではなく、自分で使う場所にする
明星学園の卒業生の学校生活をたどると、思い出が授業、クラブ、自治会、山、井の頭公園、卒業研究など、かなりばらばらです。
これは明星学園を理解するうえで面白いところです。全員が一つの看板行事に熱中し、同じ成功体験を共有する学校というより、生徒によって「明星で何をしたか」が違います。
用意されているものも多い一方、本人が興味を持たなければ通り過ぎることもできます。逆に、「もっと知りたい」と動けば、授業の続きを研究したり、校外の専門家を訪ねたり、自治活動を始めたり、好きな分野を進路へつなげたりできます。
保護者にとっては、そこが安心でもあり、少し心配でもある学校かもしれません。学校がすべてを管理してくれる安心感とは種類が違います。子ども自身が学校をどう使うかによって、3年間の姿がかなり変わる。明星学園の「自主自立」は、理念の言葉というより、日々の学校生活で本人に渡される選択肢の多さに表れています。
この学校に向いている子の特徴|「自分で決める」を楽しめるか
明星学園中学校との相性を考えるとき、「自由な学校が好きか」だけでは十分ではありません。制服がなく、生徒の判断に任される場面が多い一方、授業では自分の考えを求められ、行事では他者と話し合い、卒業研究では自分でテーマを決めて動きます。
明星学園が掲げる「自主自立」は、好きなことだけをしてよいという意味ではありません。選べるからこそ、自分で考え、その選択を引き受ける。そこを面白いと感じられるかが、学校との相性を見る一つの基準になります。
「なぜ?」から寄り道できる子
授業で教わったことに対して、「でも、これはどうなるんだろう」「別の場合は?」と考え始める子には、明星学園の授業は居場所をつくりやすいでしょう。
中1の「哲学対話」では、一つの正解がない問いを他者と考え、中2の「探究実践」ではグループで研究します。そして中3の「卒業研究」では、自分自身でテーマを決め、文献調査や校外での調査を重ねて論文とプレゼンテーションにまとめます。
最初から研究テーマを持っている必要はありません。むしろ、日常の小さな疑問をそのままにせず、調べたり、人に聞いたりしてみたくなる子との相性がよい学校です。
人と違うことを、それほど怖がらない子
明星学園には制服がなく、趣味や服装、得意分野も一つの型へ揃えようとはしません。美術が好きな生徒、数学を掘り下げる生徒、和太鼓に打ち込む生徒、自治活動へ入っていく生徒が同じ学校で過ごします。
ここで大切なのは、「個性的で目立つ子でなければならない」ということではありません。静かな子でも構いません。周囲と少し違う自分の興味を無理に隠さず、同時に、自分とは違う友人の好みや考え方も「そういう人もいる」と受け止められる子です。
明星学園の「自由平等」は、自分らしくいる自由と同じくらい、他人がその人らしくいる自由を認める考え方です。
話すことより「話し合うこと」に抵抗がない子
明星学園では、哲学対話、教科授業、探究、自治活動、運動会など、人と意見を交わす場面が多くあります。
とはいえ、入学時から人前で堂々と発表できる必要はありません。最初は発言が得意でなくても、クラス代表や発表を経験する中で少しずつ人前に出られるようになる生徒もいます。
向いているのは「よくしゃべる子」というより、自分と違う意見を聞いたときに、すぐ正解・不正解で切らずに考えてみられる子です。明星学園では、自分の意見を持つことと同時に、相手の話を聞くことも大切にされています。
机の上だけで学ぶより、手を動かしたい子
中学校では、美術・音楽・木工工芸を3年間継続して学びます。木を削り、糸を染め、織り、絵を描き、合唱する。山を歩き、農村で民泊し、沖縄では現地の人や土地から学びます。
国語・数学・英語の成績だけを学校生活の中心に置くのではなく、身体を動かしたり、ものを作ったり、学校の外へ出たりする経験にも時間を使います。
「工作なら何時間でもできる」「絵を描くのが好き」「知らない場所へ行くと面白いものを探してしまう」という子には、得意な入口から別の学びへ広がる可能性があります。高校には美術・音楽・体育・家政を含む6つのコースがあり、中学で見つけた関心をその先へ伸ばす道もあります。
誰かが決めてくれるより、自分で関わりたい子
運動会では実行委員や9年生が中心になって下級生をまとめ、自治会活動では学校生活について生徒自身が考えます。クラブにも、全国大会を目指す活動から、自分のペースで作品をつくる活動まであります。
こうした学校では、「用意された行事に参加していれば充実した3年間になる」とは限りません。立候補する、友人を誘う、先生に相談する、興味のあるクラブをのぞいてみる。小さくても本人が一歩動くほど、学校の使い方が広がります。
先生に言われる前に何でもできる子である必要はありません。しかし、「せっかくなら自分もやってみよう」と少しずつ前へ出られる子には、学年が上がるほど任されるものが増えていきます。
細かな管理がある方が安心な子は、学校見学で確かめたい
反対に、毎日の学習計画や生活上の細部まで学校側に決めてもらい、宿題・小テスト・順位などによって一定のペースへ乗せてもらうことを強く求める場合は、明星学園との相性を慎重に見た方がよいでしょう。
補習や学習支援はありますが、明星学園の教育そのものは、管理を増やして全員を同じ方向へ動かす発想ではありません。進路も、難関大学合格だけを唯一の尺度とはせず、美術、音楽、理系、教育、福祉など、生徒によってかなり異なります。
また、「自由な校風なら勉強が楽そう」と考えて選ぶ学校でもありません。卒業研究では1年間一つのテーマを追い、授業では自分の考えを説明し、行事では他者と調整することを求められます。受け身でいれば楽な自由ではなく、自分で使う自由です。
学校を訪れる際には、制服がないことや井の頭の環境を見るだけでなく、授業中に生徒がどのように発言し、先生がその意見をどう受け取っているかも見てみるとよいでしょう。そこに心地よさを感じる子なら、明星学園の3年間はかなり多くのものを試せる時間になりそうです。
まとめ|自由を与えられるのではなく、自由を使える人へ
明星学園中学校を一言で「自由な学校」とまとめるのは簡単です。制服はなく、校則による細かな統制も少ない。授業では自分の意見を求められ、行事は生徒自身が動かし、進路も一つの方向へ揃えません。
しかし、ここまで見てきた明星学園の自由は、放任とはかなり違います。中1の哲学対話では相手の話を聞きながら考え、中2ではグループで探究し、中3では自分の問いを卒業研究として形にする。運動会では上級生が下級生をまとめ、宿泊行事では普段とは違う人や土地の中で生活します。
学校が掲げる「やわらかな、鍛錬主義」という少し不思議な言葉は、この学校をよく表しています。自分で決める余地は広い。しかし、自分で考え、他者と折り合いをつけ、うまくいかなければやり直すことまで含めて任されます。
また、学びの範囲が受験教科だけに閉じていないことも明星学園らしいところです。国語・数学・英語の授業と並んで、美術、音楽、木工工芸に継続して取り組み、山や農村、沖縄へ出かける。高校では文系・理系に加えて美術・音楽・体育・家政のコースもあり、卒業後の進路も一般大学から芸術系までかなり幅があります。
そのため、明星学園に向いているのは、最初から何でも自分でできる子とは限りません。「なぜだろう」と考えることが好きな子、人と違う興味を持つことをあまり怖がらない子、誰かの意見を聞いて自分の考えを変えられる子。そして少しずつでも、自分から学校生活に関わってみたい子です。
反対に、学習計画や学校生活を細かく管理してもらうことを重視する家庭では、実際の授業や生徒の様子を見て相性を確かめておきたいでしょう。
井の頭公園のそばにあるキャンパスで、私服の生徒たちが木を削り、議論し、太鼓を叩き、それぞれの問いを研究している。そうした日常に本人が面白さを感じるなら、学校説明会だけでなく、授業公開や卒業研究発表会など、生徒が実際に動いている日に訪れてみると、明星学園という学校がさらによく見えてきます。

