【2026年版】早稲田大学高等学院中学部の評判は?早大進学を前提に「学びの自由」を追求する男子附属校を徹底解説!

中学受験
  1. 学校の概要|早稲田大学と同じ法人が運営する男子附属校
    1. 早稲田大学が設置する唯一の中学校
    2. 1学年約120名、4クラスの比較的コンパクトな中学部
    3. 高等学院の歴史は1920年、中学部は2010年に始まった
    4. 「附属校」であることが、教育のつくりそのものを変えている
    5. 早稲田大学の「学問の独立」を、中等教育から受け継ぐ
    6. 早稲田中との違いは、「18歳で大学を選ぶか」「大学まで見据えて12歳から学ぶか」
  2. アクセスと立地環境|上石神井の広いキャンパスで過ごす6年間
    1. 最寄りは西武新宿線「上石神井駅」、北口から徒歩7分
    2. 中央線・西武池袋線方面からはバスという選択肢もある
    3. 早稲田中とはまったく違う、上石神井のキャンパス
    4. グラウンドが複数ある、運動部にも使いやすい校地
    5. 住宅地に囲まれ、学校の中で一日を過ごす感覚が強い
    6. 通学時間だけでなく、「6年間をどこで過ごすか」で比較したい
  3. 教育方針とカリキュラム|大学受験に縛られない「学びの自由」
    1. 中学・高校・大学を一続きの教育として考える
    2. 週6日・35時間。主要5教科を中心に、幅広く学ぶ
    3. 数学は「答えを出す」より、「なぜそうなるか」を考える
    4. 英語は週5時間だけではない。国際理解・選択英語まで含めて学ぶ
    5. 中3では、ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語への入口をつくる
    6. 「早稲田学」と国際理解で、教科の外にも問いを広げる
    7. 高校では第二外国語、自由選択科目、卒業論文へと学びが深くなる
  4. 学習環境と施設設備|高校と共有する充実したキャンパス環境
    1. 中学専用校舎を持ちながら、高等学院の施設も使う
    2. 約12万冊の図書室は、中高6年間の調べる学びを支える
    3. CALL教室とコンピュータ教室をそれぞれ3室設置
    4. 理科は中学専用2室、高校にはさらに6室の実験室
    5. 人工芝の複数グラウンドと二つの体育館
    6. 生協食堂と売店があり、昼食の選択肢を持てる
    7. 1,500席の講堂と保健・相談体制まで、学校生活を校内で支える
  5. 学校生活と行事|宿泊研修と学院文化の中で育つ自主性
    1. 4月のオリエンテーション合宿から、約120人の学年づくりが始まる
    2. 早慶戦応援や大学キャンパスツアーで、「早稲田」を中学生のうちから知る
    3. 中1は奈良、中2は長野、中3は長崎・佐賀へ
    4. 宿泊研修は「行って終わり」ではなく、事前学習から発表まで続く
    5. 夏には希望制のオーストラリア研修もある
    6. 2月には音楽祭とスピーチコンテスト。高校では学院祭へつながる
  6. クラブ活動|中学から高校へ広がる放課後の選択肢
    1. 中学部には10のクラブ。規模より「何をするか」が見えやすい
    2. 運動部は週3日前後。広いグラウンドと体育館を使う
    3. 初心者から始められるクラブも多い
    4. 理科・コンピュータ研究では、大学受験とは別の「研究」ができる
    5. 鉄道・語学・吹奏楽では、高校生とのつながりも見える
    6. 高校進学後は、クラブの世界が一気に広がる
    7. 学習発表会は、文化系クラブにとって外へ開く舞台になる
  7. 進学実績と卒業後の進路|早稲田大学への一貫進学と学部選択
    1. 中学部から高等学院へ。基準を満たせば全員が内部進学できる
    2. 高等学院卒業後は、全員が早稲田大学へ進学できる制度
    3. 2026年は政経110名、法76名、理工3学部145名が進学
    4. 「早稲田大学に入れる」と「希望学部に入れる」は同じではない
    5. 成績だけではなく、志望理由や適性を見る「総合選抜」もある
    6. 大学の学部を知る機会は、高校の途中から用意されている
    7. 早稲田中との違いは、「大学を選ぶ」のではなく「早稲田の中で何を学ぶか」を選ぶこと
  8. 学費や諸経費について|中高6年間とその先を見据えた費用
    1. 2026年度の入学金は26万円、初年度の固定費は約142万円
    2. 中2・中3では授業料が段階的に上がる
    3. 学習用PC、宿泊研修、副教材などは別に必要
    4. 寄付金は1口10万円、2口以上が案内されるが任意
    5. 中学3年間で終わらず、高等学院、さらに早稲田大学へ続く
    6. 東京都在住なら、中学・高校それぞれに授業料支援制度がある
  9. 入試情報と合格の目安|2月1日の4科入試とグループ面接
    1. 2027年度入試は2月1日の1回のみ、男子120名を募集
    2. 国語・算数100点、社会・理科80点の360点満点
    3. 筆記の後には、約15分のグループ面接がある
    4. WEB出願だけでは完了せず、小学校の報告書も提出する
    5. 2026年度は371名が受験し、124名が合格。実質倍率は2.99倍
    6. 四谷大塚80%偏差値は65、50%ラインは61
    7. 2月1日に受験できるのは一校。「どの早稲田を選ぶか」がそのまま入試戦略になる
  10. 併願校パターン|2月1日に「早大学院」を選ぶ受験設計
    1. 学院中を受けるなら、2月1日は朝から午後まで空けておく
    2. 1月校は「練習」ではなく、実際に進学できる学校を一つ確保したい
    3. 2月2日は、合格可能性を少し高めた学校を置きやすい
    4. 2月3日の早稲田中第2回を組み合わせることもできる
    5. 学院中第一志望の代表的な受験パターン
    6. 早稲田中・早実との比較では、2月1日の一校を先に決める
    7. 「安全校」は偏差値だけで決めず、2月3日までに一つの合格を持つ設計へ
  11. 在校生・保護者の声|自由さと自律を求める男子校の日常
    1. よく聞かれるのは「自由」と「自主性」
    2. 大学受験がないからこそ、学習の自己管理が必要になる
    3. 約120人の中学部は、学年全体の顔が見えやすい
    4. 先生は「教えて管理する人」より、学びを支える存在に近い
    5. 施設への評価は高い一方、中学部のクラブ数は多くない
    6. 早大への進学が決まっていても、学部選択には競争がある
  12. この学校に向いている子の特徴|早大進学を前提に学びを広げたい子へ
    1. 早稲田大学への進学を、12歳の段階でかなり具体的に考えている子
    2. 大学受験がなくても、自分から勉強できる子
    3. 一つの正解を早く覚えるより、考える過程を楽しめる子
    4. 英語だけでなく、言語や文化そのものに興味がある子
    5. 少人数の中学から、大規模な高校へ変わる環境を楽しめる子
    6. 広いキャンパスで、勉強以外にも自分の時間を使いたい子
    7. 早稲田中との違いを考えるなら、「進路の自由」より「学びの自由」を選ぶ子
  13. まとめ|大学受験の先回りではなく、大学まで続く学びを選ぶ6年間
    1. 学院中を理解する鍵は、「早稲田大学まで続く」という前提にある
    2. 第二外国語や卒業論文まで続く「学びの自由」
    3. 中学約120名から、高校約500名へ。6年間で学校生活も変化する
    4. 上石神井のキャンパスも、学院らしさの一部
    5. 早稲田中とは、「自由」の意味が違う
    6. 早稲田大学に入りたい子より、「早稲田で何を学ぶか」を考えたい子へ

学校の概要|早稲田大学と同じ法人が運営する男子附属校

早稲田大学が設置する唯一の中学校

早稲田大学高等学院中学部は、東京都練馬区上石神井にある私立男子校です。2010年に開設され、中学部から早稲田大学高等学院、さらに早稲田大学へとつながる一貫教育を行っています。

早稲田大学には複数の附属校・系属校がありますが、中学段階で早稲田大学と同じ学校法人が直接設置する学校は高等学院中学部のみです。早稲田大学高等学院と早稲田大学本庄高等学院は「附属校」、早稲田実業学校や早稲田中学校などは別法人が運営する「系属校」に位置づけられています。

学校名早稲田大学高等学院 中学部
所在地東京都練馬区上石神井3-31-1
設置区分私立
男女区分男子校
開設2010年
中高一貫の形態中高一貫教育(高等学院は高校からの募集も実施)
早稲田大学との関係附属校

中学部から入学した生徒は、修了後に高等学院へ進学することを基本として6年間を過ごします。一方、高等学院では高校入試による募集も行われ、中学部出身者と高校からの入学者は高1から同じクラスで学びます。この点は、高校募集を行わない早稲田中学校とは異なります。

1学年約120名、4クラスの比較的コンパクトな中学部

2026年4月時点の中学部在籍者は367名です。中1が122名、中2が120名、中3が125名で、各学年4クラス。1クラスはおおむね30名前後となります。

学年生徒数クラス数
中学1年122名4クラス
中学2年120名4クラス
中学3年125名4クラス
合計367名12クラス

同じ早稲田系の男子校でも、早稲田中学校は1学年300名を超える規模です。それに対して学院中は約120名。中学校の3年間だけを見ると、かなりコンパクトな集団で生活することになります。

クラス替えは毎年行われるため、3年間を同じ30人だけで過ごすわけではありません。学年約120名という規模なら、クラスを越えた友人関係もつくりやすく、クラブや行事を通じて学年全体の顔が見えやすい環境です。

ただし、高校へ進むと状況は大きく変わります。2026年4月時点の高等学院は各学年12クラス、約460〜500名規模。高校入試を経て入学する生徒が加わり、中学部出身者と混合クラスになります。中学では約120名、高校では約500名という集団の変化も、学院の6年間を特徴づけています。

高等学院の歴史は1920年、中学部は2010年に始まった

中学部そのものは2010年開設と比較的新しい学校ですが、その母体となる高等学院には100年以上の歴史があります。

早稲田大学の前身である東京専門学校は1882年に大隈重信によって創設され、1902年に早稲田大学と改称しました。1920年、大学令による大学への移行とともに旧制早稲田大学早稲田高等学院が設置されます。

戦後の1949年には新制の早稲田大学附属早稲田高等学院が開校し、翌1950年に現在の「早稲田大学高等学院」という名称になりました。1956年には現在の練馬区上石神井へ移転しています。

その高等学院に中学部が加わったのが2010年です。したがって、学院中は「創立100年を超える中学校」ではありません。長い歴史を持つ高等学院の教育を、中学校段階まで拡張した学校と考える方が実態に近いでしょう。

中学部の開設によって、早稲田大学につながる教育を12歳から始めるルートが生まれました。高等学院、そして大学各学部までを視野に入れた9年間の入口が、中学部という位置づけです。

「附属校」であることが、教育のつくりそのものを変えている

早稲田大学の附属校と系属校では、大学との関係が異なります。附属校は早稲田大学と経営母体が同一で、高等学院の卒業生には原則として早稲田大学への推薦枠が100%用意されています。

この仕組みは、単に「大学受験をしなくてよい」という話ではありません。高校生活を大学入試の出題範囲から逆算する必要がないため、大学での専門教育を見据えた教養、第二外国語、探究、卒業論文などに時間を使えることが、附属校としての教育につながっています。

中学部の教育目的にも、「高等学院、大学各学部へつながる前期中等教育」という考えが明記されています。中学、高校、大学を別々の学校として区切るのではなく、長い学びの途中として中学校の3年間を位置づけています。

早稲田中学校の場合、早大推薦と他大学受験の二つの進路を残すため、進学校としてのカリキュラムを維持しています。学院中では出発点が違い、早稲田大学へ進むことを基本線として、その9年間を何に使うかが教育設計の中心になります。

早稲田大学の「学問の独立」を、中等教育から受け継ぐ

高等学院中学部の教育は、早稲田大学の建学の精神に基づいています。大学が掲げる中心的な考え方は、「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」です。

その中でも学院の学校文化を理解するうえで分かりやすいのが「学問の独立」です。決められた答えを覚えることにとどまらず、自由に問い、自分で調べ、考え、議論する。その姿勢を大学に入ってから突然求めるのではなく、中学・高校から育てていきます。

中学部の教育目的には、「健やかな心身、高い知性、豊かな感性」を育み、社会に有為な人材を育成することが掲げられています。大学への内部進学そのものを教育の最終目的にしているわけではありません。

早稲田大学までの進路がつながっているからこそ、入試で点を取るための学習だけに中高生活を寄せる必要がなくなる。その時間をどう使うのかという問いが、学院の「学びの自由」につながっていきます。

早稲田中との違いは、「18歳で大学を選ぶか」「大学まで見据えて12歳から学ぶか」

都内の早稲田系3校を比較するうえで、早稲田中学校と高等学院中学部の違いはかなり明確です。

早稲田中学校は別法人が運営する系属校で、卒業生のおよそ半数が早稲田大学へ推薦進学し、残る生徒の多くが他大学を受験します。中学入学後も、18歳で早稲田大学と他大学の双方を選べる学校です。

一方、高等学院中学部は早稲田大学が直接設置する附属校です。中学部から高等学院へ進み、その先の早稲田大学までを一つの教育課程として考えます。

そのため、両校は同じ男子校で、同じ「早稲田」を名乗っていても、学校選びの意味が違います。

早稲田大学を有力な選択肢として残しながら、18歳でもう一度進路を選びたいなら早稲田中。早稲田大学までの道を早い段階で定め、その分、中高で大学受験とは違う学びを広げたいなら学院中。この違いを押さえておくと、次に見るカリキュラムや学校生活の特徴も理解しやすくなります。

アクセスと立地環境|上石神井の広いキャンパスで過ごす6年間

最寄りは西武新宿線「上石神井駅」、北口から徒歩7分

早稲田大学高等学院中学部の所在地は、東京都練馬区上石神井3-31-1。最寄り駅は西武新宿線の上石神井駅で、北口から徒歩7分です。

交通手段駅・停留所学校まで
西武新宿線上石神井駅北口から徒歩7分
西武池袋線大泉学園駅バス約20分、「早稲田高等学院」下車
西武池袋線石神井公園駅バス約20分、「早稲田高等学院」下車
JR中央線西荻窪駅バス約20分、「早稲田高等学院」下車
JR中央線吉祥寺駅バス約25分、「早稲田高等学院」下車

上石神井駅からは住宅地を歩いて学校へ向かいます。早稲田中学校の「駅徒歩1分」と比べれば歩く時間はありますが、7分程度なら中高6年間の通学でも現実的な距離です。

西武新宿線は高田馬場駅でJR山手線や東京メトロ東西線と接続します。高田馬場駅から上石神井駅までは、急行・準急を利用した場合で約12分。都心側から通う場合には、高田馬場を一つの乗り換え拠点として考えやすい学校です。

中央線・西武池袋線方面からはバスという選択肢もある

学院中の特徴は、西武新宿線だけでなく、周囲の複数路線からバスでアクセスできることです。

西武池袋線では大泉学園駅や石神井公園駅、JR中央線では西荻窪駅や吉祥寺駅から「早稲田高等学院」停留所までバスが運行されています。

特に吉祥寺・西荻窪方面の家庭にとっては、いったん都心へ出て西武新宿線へ乗り換えるより、南側から直接バスで向かう方が便利な場合があります。大泉学園や石神井公園方面からも同様で、西武新宿線・西武池袋線・中央線の三方向から通学経路を組み立てられる立地です。

ただし、バスは道路状況の影響を受けます。西武線の踏切付近などで渋滞し、所要時間が長くなる場合もあるため、日常的にバス通学を考える家庭は、学校説明会の日だけでなく平日の朝にも一度経路を確認しておくと安心です。

早稲田中とはまったく違う、上石神井のキャンパス

前に紹介した早稲田中学校は、新宿区馬場下町にあり、早稲田大学のキャンパスや学生街に囲まれています。

一方、高等学院中学部があるのは練馬区上石神井です。大学街の中に校舎を構えるのではなく、中学部と高等学院がまとまった一つの大きなキャンパスを形成しています。

校内には中学部校舎、高校校舎、講堂、第一・第二体育館、食堂などがあり、その間にセンターグラウンド、北グラウンド、西グラウンド、テニスコートなどが配置されています。校舎の間には欅並木もあり、都心のビル型キャンパスとは景色がかなり異なります。

同じ「早稲田」という名前でも、早稲田中では大学のある街を日常的に歩き、学院中では高校生とともに広い上石神井キャンパスで生活する。この立地の違いは、6年間の学校生活の印象にもかなり影響します。

グラウンドが複数ある、運動部にも使いやすい校地

キャンパス内には、センターグラウンド、北グラウンド、西グラウンドのほか、硬式・軟式テニスコート、弓道場、アーチェリー練習場、ゴルフ練習場などがあります。

北グラウンドをはじめとするグラウンドは人工芝化され、体育の授業や放課後のクラブ活動に使用されています。第二体育館にはメインアリーナ、武道場、フィットネスルームもあります。

中学部の生徒だけでこれらを独占するわけではなく、高校生と共有する施設が多くあります。その代わり、中学校単独の校地として考えるとかなり多様な設備を使える環境です。

学院中を見学するときには、中学部校舎だけで判断せず、高校校舎やグラウンドまで含めて歩いてみるとよいでしょう。中学3年間だけでなく、その後の高等学院での3年間も同じ場所で続いていくからです。

住宅地に囲まれ、学校の中で一日を過ごす感覚が強い

上石神井駅周辺には商店や飲食店がありますが、学校の周囲は住宅地が中心です。早稲田駅周辺のように大学生向けの店が密集する学生街ではありません。

そのため、登校して校門を入ると、授業、昼食、クラブ活動まで学校の敷地内で一日を過ごす感覚が強くなります。図書室や食堂、体育施設など、高校と共有する設備が多いこともこの環境に合っています。

一方で、放課後に駅前へ出れば西武新宿線があり、吉祥寺方面にもバスでアクセスできます。郊外の全寮制学校のように街から離れているわけではなく、住宅地の中にまとまった学校空間を確保した東京のキャンパスと考えると分かりやすいでしょう。

通学時間だけでなく、「6年間をどこで過ごすか」で比較したい

早稲田系3校を比べる場合、アクセスは単純な駅徒歩分数だけでは決めにくい項目です。

早稲田中学校は東西線早稲田駅から徒歩1分で、大学街そのものが学校周辺の環境になります。早稲田大学高等学院中学部は上石神井駅から徒歩7分ですが、その先には中高が一体となったまとまりのあるキャンパスがあります。

どちらが便利かは自宅の場所によって変わります。そして通学時間が同程度なら、次に見たいのは毎日到着する先がどんな場所なのかです。

大学や街との距離の近さを面白いと感じるのか、広いグラウンドや高校施設まで含めた一つのキャンパスで過ごしたいのか。学院中を検討するときは、電車に乗っている時間と駅からの徒歩時間だけでなく、校門の内側で6年間過ごす環境まで含めて比較すると、この学校の立地の特徴が見えやすくなります。

教育方針とカリキュラム|大学受験に縛られない「学びの自由」

中学・高校・大学を一続きの教育として考える

早稲田大学高等学院中学部のカリキュラムは、早稲田大学まで続く一貫教育を前提に組まれています。

中学部の教育目的には、初等教育で身につけた基礎の上に、高等学院、さらに早稲田大学各学部へつながる前期中等教育を行うことが明確に掲げられています。

この「つながる」という考え方は重要です。中学校で高校受験の準備を完成させ、高校では大学受験のための学習を完成させるという区切り方ではありません。中学で身につけた知識や考え方を高校で深め、その先の大学で専門的な研究へ発展させるという流れで6年間が設計されています。

そのため、授業でも「入試に出るから覚える」という理由だけではなく、なぜそうなるのか、自分ならどう考えるのか、実験や資料から何が分かるのかといった部分に時間を使います。

大学受験がないことを学習量の少なさに結びつけると、学院中の教育は見誤ります。むしろ受験問題に合わせる必要がないからこそ、教科そのものを深く学べるという発想に近い学校です。

週6日・35時間。主要5教科を中心に、幅広く学ぶ

中学部は3学期制・週6日制です。月曜日から金曜日までは50分授業を基本に6時限、土曜日は4時限まで授業があり、各学年とも週35時間の教育課程が組まれています。

教科中1中2中3
国語6時間5時間5時間
社会4時間4時間4時間
数学5時間5時間5時間
理科4時間4時間4時間
英語5時間5時間5時間
音楽1時間1時間1時間
美術1時間1時間1時間
保健体育3時間3時間3時間
技術・家庭2時間2時間1時間
総合的な学習の時間2時間2時間2時間
選択教科英語1時間英語1時間・諸外国語1時間
合計35時間35時間35時間

国語・数学・英語だけに授業時間を集中させるのではなく、社会、理科、音楽、美術、技術・家庭まで3年間を通して学びます。

高校、大学へ進むにつれて専門性は高くなりますが、中学校ではその前提となる幅広い教養をつくる。大学附属校だから早い段階から専門分野だけに寄せるのではなく、まず多くの分野に触れさせる構成です。

数学は「答えを出す」より、「なぜそうなるか」を考える

学院中の教科教育を象徴する一つが数学です。

小学校の算数では具体的な数量を扱い、問題に対する答えを求めることが中心になります。それに対して中学校の数学では、抽象的な数や概念を扱いながら、「なぜその結論になるのか」を考えることを重視します。

与えられた公式を覚えて使うだけでなく、仮定からどのように結論を導くのかを考え、他の生徒の発想にも触れながら自分の論理を組み立てていきます。

理科も同様で、実験や観察を重視します。実験結果を先に教えて確認するだけではなく、生徒自身が実験・観察に関わり、得られた結果から考える経験を積みます。

社会では、中1・中2で地理と歴史をそれぞれ学び、中3では公民を扱います。宿泊研修や校外学習、フィールドワークも教科学習と結びついており、教室で覚えた知識を実際の社会や土地に接続します。

高校・大学まで続く学校だからこそ、中学段階で完成した知識を急いで作るというより、後からさらに深く学べる考え方の土台を作ることに重点があります。

英語は週5時間だけではない。国際理解・選択英語まで含めて学ぶ

通常の英語は中1から中3まで週5時間ですが、学院中の外国語教育はそれだけではありません。

総合的な学習の時間では、3年間を通して週1時間、国際理解をテーマに英語を用いた学習を行います。CALLを利用した授業やネイティブスピーカーとの学習を通じ、英語を実際に聞き、話す時間を設けています。

さらに中2・中3では選択教科として英語が週1時間加わります。そのため、英語に関連する授業は中1で週6時間、中2・中3では週7時間になります。

授業では読む・書くだけでなく、スピーチ、プレゼンテーション、ディスカッションなど、自分の考えを英語で伝える活動も行います。多読も取り入れ、授業の外でも自分で英語を学べる力を育てていきます。

大学入試の長文を解くためだけの英語ではなく、その先の大学や社会で他者とやり取りするための言語として扱っている点に、附属校らしい方向性が見えます。

中3では、ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語への入口をつくる

学院の外国語教育で特徴的なのが、第二外国語です。

高等学院では、全員がドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語の4言語から一つを選び、高校3年間学びます。英語以外の外国語を一部の希望者が取るのではなく、全員が第二外国語を履修する仕組みです。

中学部では、その準備として中3に「諸外国語」の授業が週1時間設けられています。それぞれの言語をいきなり文法から習うのではなく、ドイツ、フランス、ロシア、中国の文化、歴史、社会、言語などに触れ、高校で何を選ぶか考える材料にします。

高等学院に進学すると、選んだ第二外国語を3年間継続して学びます。大学進学後、同じ言語を履修した場合には、学部によってはより上位のクラスから学習を続けることもできます。

中3で世界の言語や文化に触れ、高校で3年間学び、その先の大学教育につながる。ここにも、中学・高校・大学を別々に考えない学院の教育設計が表れています。

「早稲田学」と国際理解で、教科の外にも問いを広げる

総合的な学習の時間には、国際理解に加えて、学院中独自の「早稲田学」があります。

早稲田大学の歴史、建学の精神、大隈重信をはじめとする人物、大学を取り巻く社会や文化などを題材にしながら、自分たちがこれから学ぶ「早稲田」という場所について考えます。

これは校歌や学校の歴史を覚えるだけの時間ではありません。大学各学部へつながる附属校の生徒として、早稲田がどのような思想から生まれ、どのような学問を積み重ねてきたのかを知る入口になります。

一方、国際理解では英語を使った調査、発表、コミュニケーションなどを行います。中3になると第二外国語への準備も加わり、視野は早稲田から世界へと広がっていきます。

教科の枠を越えたテーマについて、自分で興味を持ち、調べ、まとめ、発表することが求められます。高校ではさらに自由選択科目や卒業論文へ発展していくため、中学部の総合学習はその準備段階でもあります。

高校では第二外国語、自由選択科目、卒業論文へと学びが深くなる

学院中のカリキュラムは、中学校だけを切り取るより、高等学院まで見た方が意図が分かります。

高校では第二外国語が3年間必修となり、高2以降は文系・理系の学習を深めます。それと同時に、通常の高校課程には収まりにくい自由選択科目も数多く開講されています。

たとえば数学では線形代数や解析数論、理科ではプログラミング、生命・医科学、数理物理、化学、社会系では法学や現代史など、大学で扱う学問への入口となる科目があります。英語や第二外国語、芸術にも専門的な選択科目が用意されています。

さらに高等学院では卒業論文に取り組みます。自分でテーマを設定し、資料を調べ、考察し、まとまった論文として仕上げる経験は、大学でのゼミや研究にもつながります。

早稲田中学校では、高校段階になると早大推薦と他大学受験の双方に対応する教科学習が重要になります。それに対して学院では、大学受験対策に充てるはずだった時間を、第二外国語、専門的な選択科目、研究や論文へ振り向けることができます。

「大学受験がないから勉強しなくてよい」のではなく、「大学受験がないから、入試とは別の勉強ができる」。早稲田大学高等学院中学部のカリキュラムを見ると、この違いが最もはっきり表れています。

学習環境と施設設備|高校と共有する充実したキャンパス環境

中学専用校舎を持ちながら、高等学院の施設も使う

早稲田大学高等学院中学部の校舎は、高等学院と同じ上石神井キャンパスの中にあります。中学生の生活拠点となるのは70号館・71号館で、そこから体育施設、食堂、講堂など、高校と共用する施設へ移動します。

建物・施設主な設備
70号館中学普通教室、中学理科実験室、被服室、多目的教室、中学教員室、保健室など
71号館図書室、CALL教室、コンピュータ教室、マルチメディア多目的教室、小講堂、技術室
72・72-2号館高校普通教室、ゼミ室、ラウンジ、生協売店など
74-10号館高校理科実験室、美術室、食堂、家庭科調理室、文化系クラブの部室など
第二体育館メインアリーナ、武道場、フィットネスルーム、体育系クラブの部室
講堂1,500席の大講堂、音楽教室

中学生だけを別の小さなキャンパスに置くのではなく、高校まで含めた大きな教育環境の中に中学部が組み込まれている構成です。

中1の段階では中学部校舎を中心に生活しますが、6年間の後半には高校側の施設を使う機会が増えていきます。中学入学時から、その先の高等学院生活まで同じ場所で見渡せるキャンパスです。

約12万冊の図書室は、中高6年間の調べる学びを支える

71号館には、約12万冊の蔵書を持つ図書室があります。雑誌・新聞約70誌に加え、DVD・CDなどの視聴覚資料も約3,500点を所蔵しています。

中学校の図書室として考えると、かなり規模のある蔵書です。学院では高校に進むと卒業論文に取り組むため、本や資料を探し、自分で情報を集める力は中学のうちから少しずつ必要になります。

図書室にはグループ学習に利用できる場所もあり、一人で読むだけでなく、複数人で資料を持ち寄って学習することもできます。

大学附属校の学習では、「この範囲を覚えれば入試に出る」という線引きが弱くなります。興味を持ったことを自分で調べ、その先まで読んでみる。その際に使える資料が校内にまとまっていることは、学院の探究的な学びと相性のよい環境です。

CALL教室とコンピュータ教室をそれぞれ3室設置

情報・語学教育のための設備もまとまっています。71号館にはCALL教室3室とコンピュータ教室3室があり、マルチメディア多目的教室も設けられています。

CALL教室は、コンピュータやAV機器を使って外国語を学ぶための教室です。§3で紹介した国際理解や英語教育と結びつき、音声を聞いたり、自分の発音を確認したりしながら学習できます。

コンピュータ教室も3室あり、各室50台規模の設備が整えられています。高校へ進めば、調査、プレゼンテーション、論文作成など、コンピュータを使う場面はさらに増えていきます。

また、ホームルーム教室にもマルチメディア対応のAV機器が設置され、特別な情報の授業だけでなく、日常の教科学習でも映像やデジタル資料を使える環境になっています。

理科は中学専用2室、高校にはさらに6室の実験室

中学部には、物理・地学系と化学・生物系の2つの理科実験室があります。

理科では実験や観察を重視しており、教科書で結果を確認するだけでなく、自分たちで現象を観察し、そこから考える授業につなげています。

さらに高等学院には、化学、生物、物理、地学を扱う計6室の理科実験室があります。中学校では幅広く理科を学び、高校では分野ごとにより専門的な実験へ進むという流れが、施設にも表れています。

中学と高校で設備が完全に切り離されているのではなく、成長に応じて使う場所も専門化していく構成です。大学で理工系や生命科学系の学部へ進む生徒にとっては、その前段階から実験に触れる時間を十分に持つことができます。

人工芝の複数グラウンドと二つの体育館

学院のキャンパスを歩いて印象に残るのが、運動施設の多さです。センターグラウンド、北グラウンド、西グラウンドがあり、2015年までにすべて人工芝化されています。

そのほかにも硬式・軟式テニスコート、弓道場、アーチェリー練習場、ゴルフ練習場などが配置されています。

屋内には第一体育館と第二体育館があり、2014年に完成した第二体育館には、メインアリーナ、武道場、フィットネスルーム、体育系クラブの部室があります。

  • センターグラウンド
  • 北グラウンド
  • 西グラウンド
  • 硬式・軟式テニスコート
  • 第一体育館
  • 第二体育館・メインアリーナ
  • 武道場
  • フィットネスルーム
  • 弓道場
  • アーチェリー練習場
  • ゴルフ練習場

中学部のクラブ数だけを見ると、高校ほど種類は多くありません。しかし高等学院へ進学すると活動の選択肢は大きく広がります。6年間同じキャンパスを使う学校なので、体育施設も中学3年間だけでなく高校まで含めて見ると、その意味が分かりやすくなります。

なお、校内にプールはありません。水泳施設の有無を学校選びで重視する家庭は確認しておきたい点です。

生協食堂と売店があり、昼食の選択肢を持てる

74-10号館には生協食堂があります。また72号館には生協売店があり、軽食、飲料、弁当などを購入できます。

そのため、毎日必ず家庭から弁当を持参しなければ昼食が確保できない学校ではありません。食堂で食事を取ったり、売店で弁当や軽食を買ったりすることができます。

生協売店では文具などの学校用品も扱っており、PCの修理窓口も置かれています。昼食だけでなく、日々の学校生活を支える購買機能を持っています。

中高を合わせると1,800名を超える生徒が在籍する大きな学校です。食堂や売店を高校生と共有することも、中学部だけで独立した学校とは少し違う日常になります。中学生のころから年上の学院生が同じキャンパスで生活しているため、3年後の自分の姿を身近に見ることができます。

1,500席の講堂と保健・相談体制まで、学校生活を校内で支える

2014年に完成した講堂には、1,500席の大講堂があります。卒業式をはじめ、さまざまな学校行事や教育活動に使用されます。同じ講堂棟には音楽教室も設けられています。

中学部校舎の70号館には保健室があり、健康管理やけが・体調不良への対応に加えて、スクールカウンセリングにもつながっています。思春期の3年間を過ごす学校では、学習環境と同じくらい、困ったときに相談できる場所があることも重要です。

学院中の施設は、最新の建物だけを前面に出すタイプではありません。図書室、実験室、CALL教室、コンピュータ教室、食堂、講堂、複数のグラウンドや体育館が、一つのキャンパスの中でそれぞれ役割を持っています。

早稲田中学校が都心の限られた敷地を立体的に使うキャンパスだとすれば、学院中は上石神井の校地に中学・高校の学習施設と運動施設を広く配置したキャンパスです。同じ男子の早稲田系でも、毎日過ごす空間はかなり違います。

学校生活と行事|宿泊研修と学院文化の中で育つ自主性

4月のオリエンテーション合宿から、約120人の学年づくりが始まる

早稲田大学高等学院中学部では、中1の4月にオリエンテーション合宿を行います。入学して間もない時期に宿泊をともにし、新しい友人や先生との関係をつくりながら、中学校生活のスタートを切ります。

学院中は1学年約120名・4クラスという比較的コンパクトな学校です。小学校までの人間関係が大きく変わる4月に、教室だけでなく宿泊行事を通して学年全体で関わる機会があるため、クラスを越えて顔を知るきっかけにもなります。

5月には生徒総会と体育祭が行われます。中学に入って早い段階から、授業だけでなく、生徒組織や学年・クラスで協力する活動が始まります。

年間を通じて定期試験や面談も組み込まれているため、「附属校だから試験に追われない」という生活ではありません。普段の授業と学校行事、クラブ活動を並行して進めるのが学院中の日常です。

早慶戦応援や大学キャンパスツアーで、「早稲田」を中学生のうちから知る

学院中ならではの行事として、6月には東京六大学野球の早慶戦応援があります。早稲田大学の学生と同じ「早稲田」の一員として大学スポーツに触れる機会です。

大学とのつながりは、応援行事だけではありません。2学期には早稲田大学のキャンパスツアーも組み込まれています。学年に応じて早稲田キャンパス、戸山キャンパス、所沢キャンパス、西早稲田キャンパスなどを訪れ、将来自分たちが学ぶ可能性のある場所を実際に見ます。

中学生にとって大学進学はまだ数年先ですが、学院中では高校卒業後の進路が早稲田大学につながっています。大学名だけを知っている状態から、キャンパスや学部、そこで行われている学問を具体的に知る段階へ少しずつ進んでいきます。

§3で紹介した「早稲田学」と同じく、自分が属する大学まで含めて学校を理解する機会が中学校生活の中に置かれている点は、大学附属校らしいところです。

中1は奈良、中2は長野、中3は長崎・佐賀へ

学院中の学校生活で大きな位置を占めるのが、10月の宿泊研修です。3年間とも行き先とテーマが異なり、学年が上がるにつれて活動内容も変化します。

学年研修先期間主な内容
中1奈良2泊3日寺社見学、歴史・文化学習、グループ別自主研修
中2長野2泊3日ホームステイ、トレッキング、稲刈りなどの農村体験
中3長崎・佐賀3泊4日平和学習、自主研修、大隈重信生家・大隈記念館見学

中1の奈良研修では、法隆寺、薬師寺、唐招提寺、東大寺、興福寺などを訪れます。観光名所を順番に回るだけでなく、グループごとの自主研修も行われます。

中2の長野研修では、農家などでのホームステイを経験し、トレッキングや稲刈りなどに取り組みます。東京の学校生活とはかなり違う環境に身を置き、地域の暮らしや仕事に触れる3日間です。

中3では長崎・佐賀へ向かいます。長崎では被爆体験の講話や原爆史跡、資料館などを通して平和について学び、複数の自主研修を行います。佐賀では、早稲田大学の創設者である大隈重信の生家と大隈記念館を訪れます。

歴史、地域社会、平和、そして早稲田の成り立ちまで、3年間でテーマが少しずつ広がっていく構成です。

宿泊研修は「行って終わり」ではなく、事前学習から発表まで続く

学院中の宿泊研修は、旅行の日程だけで完結しません。総合的な学習の時間を使って事前学習を行い、生徒自身がグループで研修テーマを決め、調査や現地での行動計画を進めます。

実際の研修では、事前に調べたことを現地で確かめます。そして帰校後には、得られた情報や発見を整理して発表につなげます。

その成果を示す機会の一つが、11月の学習発表会です。プレゼンテーションやポスターセッションなどを通じて、宿泊研修や通常授業で取り組んできた内容を他者に伝えます。

学習発表会では、授業だけでなくクラブ活動や有志団体による発表も行われます。2026年度は11月14日に一般公開される予定で、受験生にとっても学院中の学習の様子を直接見る機会になります。

調べる→現地で確かめる→考え直す→他者に伝えるという一連の過程を経験するため、宿泊研修そのものが探究学習の一部になっています。

夏には希望制のオーストラリア研修もある

中2・中3の希望者を対象として、夏休みにはオーストラリア研修が実施されます。

日常の英語授業や国際理解で学んできたことを、英語が実際に使われている環境で試す機会です。海外へ行くこと自体を目的にするのではなく、現地での生活や交流を通して、言語や文化の違いに触れます。

学院中では、中3になると高校で履修する第二外国語への準備も始まります。高校では英語に加えてドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語のいずれかを3年間学ぶため、中学段階から「外国語=英語だけ」という学び方ではなくなっていきます。

全員参加の宿泊研修と、希望者がさらに外へ出ていく海外研修を分けて用意している点も特徴です。すべての生徒に同じ経験を課すのではなく、興味があれば自分から一歩先へ進める余地があります。

2月には音楽祭とスピーチコンテスト。高校では学院祭へつながる

3学期には音楽祭とスピーチコンテストが行われます。学院中の年間行事は体育祭や宿泊研修だけではなく、音楽や言葉による表現にも発表の場が設けられています。

年間を通して見ると、4月のオリエンテーション合宿、5月の体育祭、6月の早慶戦応援、夏のオーストラリア研修、秋の宿泊研修と大学キャンパスツアー、11月の学習発表会、2月の音楽祭・スピーチコンテストと、性格の異なる行事が続きます。

そして高等学院へ進むと、10月には高校の学院祭や体育祭、11月には学芸発表会など、さらに生徒主体の活動が広がります。中学部の約120名という集団から、高校では約500名規模の学年へ入り、学校行事の規模も変化します。

学院中の3年間は、高校生活から切り離された「小さな附属中学校」ではありません。中学生のうちは少人数の中で宿泊研修や発表を重ね、高校ではより大きな学院文化の中へ入っていく。6年間の前半と後半で学校生活のスケールが変わることも、早稲田大学高等学院中学部ならではの面白さです。

クラブ活動|中学から高校へ広がる放課後の選択肢

中学部には10のクラブ。規模より「何をするか」が見えやすい

早稲田大学高等学院中学部には、現在10のクラブがあります。運動系では野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、剣道。文化系では語学、理科、吹奏楽、鉄道研究、コンピュータ研究が活動しています。

分野クラブ
運動系野球部、サッカー部、バレーボール部、バスケットボール部、剣道部
文化系語学部、理科部、吹奏楽部、鉄道研究部、コンピュータ研究部

早稲田中学校のように約40のクラブ・同好会から選ぶ学校と比べると、中学部だけの選択肢は多くありません。1学年約120名という学校規模を考えれば、むしろ一つひとつのクラブに一定数の生徒が集まりやすい構成です。

たとえばサッカー部は3学年で約60名、バスケットボール部も約60名。野球部も50名前後が活動しています。一方、語学部のように少人数で活動するクラブもあり、規模はかなり異なります。

そして学院中のクラブ活動を見るときには、中学3年間だけで判断しない方がよいでしょう。高等学院へ進学すると活動の選択肢が一気に増え、6年間の後半には中学にはなかった競技や文化活動にも挑戦できます。

運動部は週3日前後。広いグラウンドと体育館を使う

中学部の運動部は、週3日程度を基本に活動するクラブが多くあります。

サッカー部は月・水・木曜日を基本とし、土曜日との調整を含め週3日程度。野球部は月・金・土曜日、バレーボール部は火・水・土曜日、バスケットボール部は火・金・土曜日、剣道部は火・木・土曜日に活動しています。

活動場所には、§4で紹介した上石神井キャンパスの施設が使われます。サッカー部や野球部は北グラウンド、センターグラウンド、西グラウンドなど、バスケットボール部は第二体育館、剣道部は武道場を使用します。

サッカー部は練馬区大会での優勝や東京都大会への進出実績があり、剣道部も東京都大会や大学附属校による大会に出場しています。

ただし、学院中の運動部は「毎日長時間練習すること」を前提にしているわけではありません。授業は平日6時間、土曜日にも4時間あり、その上で週3日前後のクラブ活動を組み合わせます。

限られた活動日の中で集中して練習する形なので、クラブ以外の時間も持ちやすくなっています。大学受験がないから毎日部活動、という単純な学校生活でもありません。

初心者から始められるクラブも多い

中学入学を機に、新しいスポーツを始めることもできます。

バレーボール部では初心者から始める生徒も多く、基本的なパスやサーブから練習します。バスケットボール部にも中学から競技を始める生徒がいて、先輩や指導者から学びながら活動しています。

剣道部も経験者だけを集めるクラブではなく、初心者から経験者までが同じ武道場で稽古します。野球部やサッカー部についても、競技経験の有無だけで入部が決まるわけではありません。

中学受験をしていると、小学校高学年の数年間は習い事やスポーツを減らして勉強に時間を使った家庭も多いでしょう。入学後にもう一度以前の競技へ戻ることも、初めての種目に挑戦することもできます。

1学年約120名という規模なので、巨大な部員数の中から選抜されなければ活動できないというクラブばかりではありません。競技力を伸ばすことと、学校生活の一部としてスポーツを続けることの両方が存在しています。

理科・コンピュータ研究では、大学受験とは別の「研究」ができる

文化系の中でも学院の教育とつながりが深いのが、理科部とコンピュータ研究部です。

理科部は月・水・土曜日に中学理科室で活動します。電子工作、生物の飼育、植物栽培、化石採集、海や川での生物採集など、扱うテーマは一つに限定されていません。

学習発表会や研究発表に向けて、生徒自身がテーマを定めて研究を進める時期もあります。過去には離島での環境研究や科学コンテストへの参加も行われています。

コンピュータ研究部では、サーバー構築、ロボット制御、3DCAD、3Dプリンタ、ゲーム開発などに取り組んでいます。チームごとにテーマを分け、制作したものや研究成果を学習発表会で発表します。

学校の授業で「理科が得意」「情報が好き」という段階から、自分で作る、試す、失敗する、発表するという活動へ進める場所です。

大学受験用の問題演習とはまったく別の方向に時間を使えることは、早大附属校である学院の学校生活ともよく合っています。

鉄道・語学・吹奏楽では、高校生とのつながりも見える

中高が同じキャンパスにあるため、クラブによっては高等学院の生徒と一緒に活動する機会があります。

鉄道研究部では、Nゲージのジオラマ制作などを行い、学習発表会で成果を展示します。高校の鉄道研究部と合同で活動する機会もあり、高校生から模型制作について助言を受けたり、一緒に車両基地を見学したりしています。

吹奏楽部も、高校生と合同で演奏する機会があります。中学生だけでアンサンブルコンテストなどに出場する一方、中高合同でコンクールや演奏会に参加することもあり、学年の枠を越えた活動になっています。

語学部では、高等学院に来る留学生へのインタビュー、海外提携校の生徒との交流、異文化についての調査などを行います。中学部のスピーチコンテストにも関わり、英語を「試験科目」ではなく他者とやり取りするために使います。

教科の授業だけでなく、クラブでも高校生や海外から来た生徒と接点を持てることは、中学と高校が同じ場所にある学院ならではの環境です。

高校進学後は、クラブの世界が一気に広がる

学院中のクラブ活動で最も特徴的なのは、高等学院へ進んだ後に選択肢が大幅に増えることです。

高校には、サッカーや野球、バスケットボールに加えて、ラグビー、ボート、グランドホッケー、競走、弓道、米式蹴球、フェンシング、ゴルフ、洋弓、ワンダーフォーゲルなど、多くの体育系クラブがあります。

文化系も、英語・フランス語、理科の生物・物理・化学・地学、美術、グリークラブ、写真、演劇、映画研究、雄弁、鉄道研究、将棋、囲碁、室内合奏などへ広がります。さらにクラブとは別に、テーマを決めて活動するプロジェクトもあります。

つまり、中学で入ったクラブをそのまま高校でも続けることだけが進路ではありません。中学ではサッカー部に所属し、高校ではアメリカンフットボールやボートに挑戦する、といった選択もできます。

早稲田中学校が「中学から高校まで同じクラブを6年間続けやすい学校」だとすれば、学院は中学で放課後の活動を始め、高校進学時にもう一度選択肢が大きく広がる学校です。

約120名の中学部から、約500名規模の高校学年へ。クラブ活動も、その集団の変化とともにスケールが変わっていきます。

学習発表会は、文化系クラブにとって外へ開く舞台になる

文化系クラブの活動が受験生にも見えやすくなるのが、秋の学習発表会です。

通常授業の学習成果に加え、クラブや有志団体も発表を行います。理科部の研究、コンピュータ研究部の制作物、鉄道研究部のジオラマなど、普段は教室や部室で行われている活動を来場者に見せる機会になります。

成果を作るだけでなく、「どうすれば他の人に伝わるか」を考えなければならないため、授業で行うプレゼンテーションや探究学習ともつながっています。

学院中を受験候補にしている家庭にとっても、クラブ名の一覧を見るより、実際の作品や研究を見て生徒と話す方が活動の内容はつかみやすいでしょう。

中学部のクラブ数だけなら、他の大規模私立中学校より少なく見えます。しかし、3年間の活動、高校との交流、高等学院進学後に広がる多数のクラブまで含めて考えると、放課後の選択肢はかなり長い時間軸で用意されています。

進学実績と卒業後の進路|早稲田大学への一貫進学と学部選択

中学部から高等学院へ。基準を満たせば全員が内部進学できる

早稲田大学高等学院中学部では、中学卒業時に一般の高校受験を行うことを前提としていません。所定の基準を満たした生徒は全員、早稲田大学高等学院へ内部進学できます。

高等学院に進むと、高校入試で入学した生徒と合流します。中学部では1学年約120名ですが、高校では1学年約500名規模となり、内部進学生と高校入学生が混ざったクラスで3年間を過ごします。

したがって、中学入試で学院中へ入ることは、単に「高校受験をしなくてよい」という意味にとどまりません。12歳から高等学院、さらに早稲田大学まで続く教育の入口に入ることになります。

もちろん、内部進学だから中学の成績を気にしなくてよいわけではありません。高等学院の授業に対応できる基礎学力が求められ、基準に達していない場合には長期休暇中の特別講習などによる学習支援も行われます。

高等学院卒業後は、全員が早稲田大学へ進学できる制度

高等学院まで進むと、卒業後は全員が早稲田大学へ進学できる推薦制度が用意されています。

ここが、早稲田中学校との最も大きな違いです。早稲田中学校では高校卒業生のおよそ半数が早大推薦を利用し、残る生徒の多くが他大学を一般受験します。それに対して高等学院では、早稲田大学への進学そのものが教育課程の基本線になっています。

2026年3月には、高等学院から472名が早稲田大学へ進学しました。これは大学入試による「合格者数」ではなく、実際に各学部へ進んだ人数です。

大学受験のために高3の時間を大量の過去問演習へ振り向ける必要がないため、第二外国語、自由選択科目、卒業論文、高大接続授業などに時間を使うことができます。学院の進路制度と教育内容は、別々のものではなく一つにつながっています。

2026年は政経110名、法76名、理工3学部145名が進学

早稲田大学へ進めるといっても、大学には多くの学部があります。学院生は高校生活の中で学びたい分野を考え、最終的に進学する学部・学科を選びます。

2026年3月卒業生の学部別進学者数は次の通りです。

学部2026年進学者数
政治経済学部110名
法学部76名
文化構想学部27名
文学部14名
教育学部14名
商学部50名
基幹理工学部59名
創造理工学部47名
先進理工学部39名
社会科学部25名
人間科学部2名
スポーツ科学部1名
国際教養学部8名
合計472名

政治経済学部だけで110名、法学部に76名、商学部に50名が進んでいます。さらに基幹・創造・先進の理工3学部を合わせると145名となり、文系・理系のどちらにもまとまった進学者がいます。

「学院に入れば文系」という学校ではありません。中学段階では文理を分けず幅広く学び、高校で各分野への興味を深めたうえで、大学の学部選択につなげます。

「早稲田大学に入れる」と「希望学部に入れる」は同じではない

進路制度で注意したいのは、早稲田大学への進学資格と、希望する学部への進学が別の問題だということです。

各学部・学科には学院からの推薦枠が設定されています。本人の希望を基本として進学先を決めますが、ある学部・学科に希望者が集中して推薦枠を上回った場合には、高校3年間の成績などをもとに進学者が決定されます。

たとえば、人気のある学部を希望すれば全員がその学部へ進めるわけではありません。そのため、高校生活では「大学入試がないから成績は関係ない」ということにはなりません。

むしろ学院では、大学に入れるかどうかを競う代わりに、自分が希望する学部へ進むための学習を3年間積み重ねることになります。

中学受験で学院中へ入った時点では、大学の学部まで決める必要はありません。中学・高校で幅広い教科を学び、早稲田大学のさまざまな学問に触れながら、6年後に自分の専門分野を選びます。

成績だけではなく、志望理由や適性を見る「総合選抜」もある

学部決定には、3年間の成績を中心とした選考に加えて「総合選抜」という仕組みがあります。

総合選抜では、成績だけでは捉えきれない学校内外での活動、学部・学科を志望する理由、その分野への適性なども評価します。各学部の推薦枠のうち1〜5割程度が総合選抜に充てられ、割合は学部によって異なります。

希望する生徒は面接を受け、合格すればその学部への推薦を受けることができます。

これは学院の教育方針とよくつながった制度です。授業の点数だけを上げることだけでなく、クラブ、研究、課外活動、自由選択科目、卒業論文などを通して「自分は何に興味があり、大学で何を学びたいのか」を形にしていくことにも意味があります。

大学附属校というと、内部進学は機械的に成績順で決まるように思われるかもしれません。しかし学院では、成績による選考と、本人の活動・意欲・適性を見る仕組みを組み合わせています。

大学の学部を知る機会は、高校の途中から用意されている

学院生が6年後に学部を選ぶためには、そもそも「大学では何を学べるのか」を知らなければなりません。そのため高等学院では、早稲田大学との高大接続プログラムが数多く行われています。

高校2年では、早稲田大学各キャンパスでモデル講義を受講します。大学教員による授業を受け、興味のある学部でどのような研究が行われているかを知ります。

各学部による進学説明会もあり、理工3学部では西早稲田キャンパスの研究室を体験する機会も設けられています。さらに大学教員による学院での授業、大学の正規授業の履修、学部生・大学院生との交流なども行われます。

「偏差値が高い学部だから」「有名な学部だから」という理由だけで進学先を決めるのではなく、実際の学問に触れてから選べるようにする仕組みです。

中学部で大学キャンパスを訪れ、高校ではモデル講義や学部説明会へ進み、高3で学部を決める。9年間の中で大学との距離が段階的に近づいていきます。

早稲田中との違いは、「大学を選ぶ」のではなく「早稲田の中で何を学ぶか」を選ぶこと

早稲田中学校と高等学院中学部を比較すると、進路制度の違いが学校生活全体を分けています。

早稲田中学校では、高校生になると「早稲田大学への推薦を利用するか、他大学を受験するか」が大きな進路選択になります。東京大学や医学部などを目指す生徒も多く、高3まで大学受験に対応した学習が続きます。

高等学院では、基本的な問いが違います。「どの大学へ行くか」より、「早稲田大学のどの学部で何を学ぶか」を考える6年間です。

そのため、高校生活では大学受験対策の代わりに、第二外国語、自由選択科目、卒業論文、高大接続プログラムなどへ時間を使います。一方、希望学部を選ぶためには高校での成績や日々の活動も重要で、内部進学だから何もしなくてよいわけではありません。

12歳の時点で早稲田大学への進学をかなり明確に考えているなら、この仕組みは大きな意味を持ちます。反対に、東京大学、医学部、海外大学などを含めて18歳で大学そのものを改めて選びたいなら、早稲田中学校とは学校選びの意味が変わります。

同じ「早稲田系」の男子校でも、早稲田中は大学進学先の選択肢を残す学校、学院中は早稲田大学までの進路をつなぎ、その中で学問の選択肢を広げる学校です。この違いは、3校を比較するうえで最も重要なポイントの一つです。

学費や諸経費について|中高6年間とその先を見据えた費用

2026年度の入学金は26万円、初年度の固定費は約142万円

早稲田大学高等学院中学部の2026年度学費は、入学金が260,000円です。これに授業料、教育環境整備費、実験実習料、生徒会費、日本スポーツ振興センター共済掛金が加わります。

中1では入学手続時に844,500円、秋学期に577,000円を納入するため、入学金を含む1年間の固定的な納入額は1,421,500円となります。

項目入学手続時秋学期中1年間
入学金260,000円260,000円
授業料427,500円427,500円855,000円
教育環境整備費142,500円142,500円285,000円
実験実習料7,000円7,000円14,000円
生徒会費7,000円7,000円
日本スポーツ振興センター共済掛金500円500円
合計844,500円577,000円1,421,500円

授業料だけを見ると年間855,000円ですが、実際には教育環境整備費が年間285,000円あるため、学校納入金全体で考える必要があります。

中2・中3では授業料が段階的に上がる

学院中では、学年が上がるにつれて授業料も変わります。2026年度の金額を基準にすると、中2は年間1,221,500円、中3は年間1,266,500円です。

学年春学期・入学手続時秋学期年間合計
中1844,500円577,000円1,421,500円
中2614,500円607,000円1,221,500円
中3637,000円629,500円1,266,500円

2026年度と同じ金額が3年間続くと仮定した場合、入学金を含む中学3年間の学校納入金は約391万円です。

ただし、授業料や諸会費は今後変更される可能性があります。2027年度入学生であれば、実際には各年度に設定された金額を納めることになります。

学習用PC、宿泊研修、副教材などは別に必要

学校へ納める学費だけで、中学校生活にかかる費用がすべて含まれるわけではありません。

学院中では学習用PCを使用しており、購入費は約16万円程度が一つの目安です。このほかにも、運動着、副教材、校外活動、宿泊研修などの費用が別途必要になります。

  • 学習用PC
  • 運動着などの学校用品
  • 副教材
  • 奈良・長野・長崎・佐賀などへの宿泊研修
  • 校外活動
  • クラブ活動で使用する個人用品
  • 通学定期券

中1では、固定的な学校納入金約142万円にPC代約16万円を加えただけでも約158万円になります。さらに教材や宿泊研修などが加わるため、初年度については学校納入金だけよりも余裕を持って予算を考えておきたいところです。

特に学院中では3年間とも宿泊研修があり、中2・中3には希望制の海外研修もあります。希望制プログラムに参加するかどうかによって、家庭ごとの年間支出には差が出ます。

寄付金は1口10万円、2口以上が案内されるが任意

入学者には教育振興資金として、1口100,000円、2口以上の協力が案内されています。

ただし、教育振興資金への寄付は入学条件ではありません。入学金や授業料などの必須費用とは分けて考える必要があります。

学費を比較するとき、とくに注意したいのがこの区別です。学校によっては寄付金、海外研修、クラブ費用などを含めた金額が紹介されることがありますが、学院中の場合も、全員が必ず納める学費と、任意の寄付・希望制活動を分けて家計を考える方が実態をつかみやすくなります。

中学3年間で終わらず、高等学院、さらに早稲田大学へ続く

学院中の教育費を考える際には、中学校3年間だけで区切らないことも重要です。中学部の生徒は所定の基準を満たせば高等学院へ内部進学し、その後は早稲田大学への進学を基本として学びます。

高等学院でも授業料、教育環境整備費、実験実習料、生徒会費などが必要です。参考として2025年度の高等学院では、高1の授業料が年間684,000円、高2が732,000円、高3が768,000円。これに年間228,000円の教育環境整備費などが加わります。

そして高校卒業後は、原則として早稲田大学へ進みます。大学の学費は学部によって異なり、文系学部と理工系学部でも金額に差があります。たとえば2026年度の政治経済学部では、入学金を含む初年度納入額が約129万円です。

学院中を選ぶということは、12歳から18歳までの私立中高6年間に加え、その先に早稲田大学での4年間が続く可能性が非常に高いということでもあります。家計を考える際には、中学3年ではなく、少なくとも中高6年間、できれば大学卒業までの10年間を一つの期間として見ておくとよいでしょう。

東京都在住なら、中学・高校それぞれに授業料支援制度がある

東京都在住の家庭には、私立中学校に通う生徒を対象とした授業料軽減制度があります。2026年度は所得制限なしで、実際に負担した授業料の範囲内において年額最大120,000円が助成されます。

高校進学後にも、国の就学支援金と東京都の授業料軽減助成金があります。2026年度は所得制限を設けず、一定の上限まで授業料を支援する仕組みとなっています。

また、中学部には、在学中に主たる家計支持者の死亡などによって家計が急変した場合を対象とする緊急奨学金制度があります。

こうした支援制度は居住地や年度によって条件・金額が変わるため、実際の負担額は家庭ごとに異なります。

学院中は、早稲田大学までの進路が見えやすい学校です。それは教育面では大きな特徴ですが、費用面でも先の見通しを立てやすいということでもあります。中学入学時に「初年度はいくらか」だけを見るのではなく、高等学院、そして早稲田大学まで進む場合にどの程度の教育費が続くのかを早い段階で考えておくことが、附属校を選ぶ際には大切です。

入試情報と合格の目安|2月1日の4科入試とグループ面接

2027年度入試は2月1日の1回のみ、男子120名を募集

早稲田大学高等学院中学部の2027年度入試は、2月1日に1回のみ実施されます。募集人数は男子120名です。

項目2027年度入試
募集人数男子120名
試験日2027年2月1日(月)
筆記試験国語・算数・社会・理科
面接本人のみのグループ面接
合格発表2027年2月3日(水)9:00
入学手続2027年2月4日(木)13:00〜15:00

早稲田中学校のように2月1日と3日の2回受験できる学校ではありません。学院中を受験するなら、2月1日の午前から午後までをこの学校の入試に使うことになります。

また、推薦入試や帰国生専用入試はありません。帰国経験のある受験生も、他の受験生と同じ一般入試を受験します。

早稲田大学まで続く進路を持つ学校ですが、中学入試そのものは一度きりです。2月1日にどの学校を受験するかという判断が、そのまま学院中を受けるかどうかの判断になります。

国語・算数100点、社会・理科80点の360点満点

筆記試験は4教科で、国語と算数がそれぞれ100点、社会と理科がそれぞれ80点。合計360点満点です。

科目試験時間配点
国語50分100点
算数50分100点
社会40分80点
理科40分80点
合計180分360点

国語・算数で200点、理科・社会で160点という配点なので、4教科すべての比重が比較的大きい入試です。算数だけで大きく稼ぎ、理社を軽く扱う受験より、4科を高い水準でそろえる方が安定します。

学院中では過去の一般入試問題も公開されています。難関校では模試偏差値が同程度でも、学校ごとに問題の分量や記述量、時間配分が異なります。過去問に取り組む際には、正解できるかだけでなく、国算50分、理社40分という時間の中で答案を完成できるかまで確認したいところです。

筆記の後には、約15分のグループ面接がある

学院中の入試で、早稲田中学校との違いが分かりやすいのが面接試験です。

午前中に4教科の筆記試験を受けた後、午後から受験生本人によるグループ面接が行われます。面接時間は約15分で、終了した受験生から帰宅します。保護者面接はありません。

服装については、小学校の制服でも私服でも構いません。服装そのものを競う試験ではありませんので、受験生本人が落ち着いて受け答えできる格好を選べばよいでしょう。

面接では、暗記した模範回答を一言一句再現することより、自分の考えを聞かれたときに相手の話を聞き、内容に応じて答えられることが大切です。学院中が求める「知的好奇心」「豊かな発想」「自己を律する心」ともつながる部分です。

筆記試験だけを行う難関男子校も多い中、学院中では4科の学力とあわせて、本人が他者の前でどのように考えを表現するかを見る機会が設けられています。

WEB出願だけでは完了せず、小学校の報告書も提出する

出願は、WEB上で志願者情報を登録するだけでは完了しません。

2027年度は、2026年12月20日からWEB出願を開始し、2027年1月17日から19日までに必要書類を郵送します。WEB出願と郵送出願の両方を終えて、正式な出願となります。

郵送書類には、小学校が作成する報告書も含まれます。受験生や保護者が自分で成績を書き写すのではなく、学校所定の書式を小学校へ渡して作成を依頼します。

手続2027年度
WEB出願開始2026年12月20日(日)
郵送出願期間2027年1月17日(日)〜19日(火)
郵送方法日本国内から簡易書留郵便、締切日消印有効

調査書を必要としない早稲田中学校とは、この点でも入試の仕組みが異なります。6年生になったら、家庭での受験準備だけでなく、小学校へ報告書作成を依頼する時期も確認しておく必要があります。

2026年度は371名が受験し、124名が合格。実質倍率は2.99倍

直近の2026年度入試では、募集120名に対して402名が出願し、371名が実際に受験しました。合格者は124名で、実質倍率は2.99倍でした。

年度志願者受験者合格者実質倍率
2026年度402名371名124名2.99倍
2025年度392名366名126名2.90倍
2024年度416名380名129名2.95倍
2023年度465名433名131名3.31倍
2022年度470名438名133名3.29倍

ここ数年を見ると、実質倍率はおおむね3倍前後で推移しています。2022・2023年度には3.3倍前後まで上がり、その後は3倍弱となっていますが、募集120名という規模に対して毎年300名台後半から400名を超える受験生が集まる難関入試です。

一方で、倍率だけで難易度を判断するのは適切ではありません。学院中を受験する層そのものの学力水準が高いため、「3人に1人程度が合格する」と数字だけを見るより、模試や過去問で受験者集団の中の自分の位置を確認する必要があります。

四谷大塚80%偏差値は65、50%ラインは61

四谷大塚の合不合判定テストを基準とした合格可能性80%偏差値は、男子65。合格可能性50%のCラインは61です。

模試80%ライン50%ライン
四谷大塚 合不合判定テスト6561

偏差値は模試会社によって母集団や尺度が異なるため、別の模試の数字とそのまま比較することはできません。自分が継続的に受けている模試の判定を追いながら、過去問の得点状況を組み合わせて判断するのが基本です。

また、学院中は筆記試験の合格最低点を毎年の入試データとして公表していません。そのため、「過去問で毎回○点なら安全」という一本の数字を置くより、模試判定、4科の得点バランス、時間内の完成度を総合して見る必要があります。

特に算数・国語が100点ずつ、理社も80点ずつあるため、不得意科目を一つ大きく残したまま本番を迎えるのは避けたいところです。

2月1日に受験できるのは一校。「どの早稲田を選ぶか」がそのまま入試戦略になる

学院中の入試日が2月1日であることは、都内の早稲田系3校を比較するときにも重要です。

早稲田中学校第1回も2月1日、早稲田実業学校中等部も2月1日に主要入試を実施します。男子受験生にとって、この3校は「全部受けて合格したところから選ぶ」という関係ではありません。

早稲田中なら、早大推薦を持ちながら他大学受験も本格的に選べます。学院中なら、早稲田大学への進学を基本線として第二外国語や卒業論文などに時間を使います。早実なら、共学という学校生活も含めて早大への一貫教育を選ぶことになります。

その違いを理解したうえで、2月1日にどの学校へ答案を持っていくのかを決めなければなりません。

学院中は入試が1回しかないため、「第1回で失敗しても第2回がある」という受け方もできません。早大附属という進路制度、男子校での6年間、上石神井のキャンパス、学院独自の教育まで含めて第一志望として選ぶ意味が比較的大きい学校です。

併願校パターン|2月1日に「早大学院」を選ぶ受験設計

学院中を受けるなら、2月1日は朝から午後まで空けておく

早稲田大学高等学院中学部を第一志望とする場合、併願計画の出発点は明確です。2027年度入試は2月1日の1回のみ。午前中に国語・算数・社会・理科の4教科を受け、その後に本人のみのグループ面接があります。

ここで注意したいのが午後入試です。東京都内では2月1日午後にも多くの学校が入試を実施しますが、学院中では午後に面接が続くため、2月1日午後の別校受験を前提にした日程は組みにくいと考えておく必要があります。

つまり、2月1日は一日を学院中に使い、1月中に一校以上の合格を確保し、2月2日以降に次の受験機会を配置するのが基本形になります。

時期役割候補の例
1月東京入試前の合格確保・実戦経験栄東、市川など
2月1日第一志望早稲田大学高等学院中学部
2月2日実力相応校または合格可能性を高める学校攻玉社第2回、本郷第2回など
2月3日難関校への再挑戦早稲田中第2回など
2月4日以降それまでの結果に応じた受験芝第2回、世田谷学園後半回、本郷後半回など

学院中は第2回入試がありません。2月1日に不合格だった場合に、同じ学校へもう一度挑戦することはできないため、2月2日以降の学校まであらかじめ設計しておくことが重要です。

1月校は「練習」ではなく、実際に進学できる学校を一つ確保したい

学院中の試験日は東京・神奈川の中学入試が本格的に始まる2月1日です。その前に、埼玉や千葉の1月入試を利用できます。

代表的な候補には、栄東中学校や市川中学校などがあります。学院中を狙える学力層では、これらも決して簡単な入試ではありませんが、本番形式の4科試験を経験し、実際の合格を得てから2月を迎える意味は小さくありません。

特に学院中は面接まで含む一日がかりの入試です。初めての本番を2月1日にするより、1月に入試会場の緊張感、朝の移動、休憩時間、4科を通して集中する感覚を経験しておく方が本番をイメージしやすくなります。

ただし、「1月校はどこでもよいから一つ受ける」という選び方は避けたいところです。学院中が不合格だった場合に、その学校へ進学する可能性もあります。通学距離や校風、進路制度まで含めて、合格したら実際に通える学校を選んでおく方が受験全体に余裕が生まれます。

2月2日は、合格可能性を少し高めた学校を置きやすい

学院中の合格発表は2月3日9時です。そのため、2月2日は学院中の結果が分からないまま次の試験を受けることになります。

この日に候補となる男子校には、攻玉社、本郷、桐朋、巣鴨などがあります。また、学力状況によっては栄光学園や聖光学院などを組み合わせる受験生もいます。

2027年度に日程が公表されている攻玉社は、第2回を2月2日に実施します。男子70名募集の4科入試で、学院中の翌日に受験できます。

学院中を第一志望とする場合、2月2日はもう一校難しい学校に挑戦する方法もありますが、1月までに十分な合格を得ていない場合には、学院中より合格可能性を高めた学校を置く方が受験日程全体は安定します。

2月2日の考え方候補例向いているケース
チャレンジを続ける聖光学院、栄光学園など1月までに進学可能な合格を確保している
学院中に近い学力帯で組む本郷、桐朋など難関男子校中心で進学先を考えている
合格可能性を高める攻玉社、巣鴨など2月2日までに一校は合格を確保したい

どの学校が「安全」になるかは本人の成績によって違います。学院中の偏差値65前後に届いているからといって、他の難関男子校が自動的に安全校になるわけではありません。

2月3日の早稲田中第2回を組み合わせることもできる

早稲田系を強く希望する家庭なら、2月1日に学院中、2月3日に早稲田中第2回という組み合わせも考えられます。

2027年度の早稲田中第2回は2月3日、男子100名募集。四谷大塚の80%偏差値は68で、学院中の65より高い水準です。

したがって、学院中が不合格だった場合の「押さえ」として早稲田中を置く考え方はできません。むしろ、学院中とは異なる早稲田系の難関校へもう一度挑戦する日程です。

さらに注意したいのが合格発表時刻です。学院中の合格発表は2月3日9時ですが、早稲田中第2回は8時台から試験が始まります。学院中の結果を確認してから早稲田中を受けるか決めることはできません。

そのため2月3日に早稲田中を入れるのであれば、学院中の合否にかかわらず受験会場へ向かう前提で予定を組みます。

そして、両校に合格した場合には学校選びそのものが必要です。学院中なら早稲田大学への一貫進学、早稲田中なら早大推薦と他大学受験の双方が残ります。同じ男子の「早稲田」でも、6年後の進路設計はかなり違います。

学院中第一志望の代表的な受験パターン

実際の日程を考えると、次のような組み方が一例になります。

日程安定型難関校挑戦型
1月栄東などで合格を確保栄東・市川など
2月1日早大学院中早大学院中
2月2日攻玉社第2回など本郷第2回、栄光学園、聖光学院など
2月3日必要に応じて受験早稲田中第2回など
2月4日以降それまでの結果に応じて受験芝第2回、本郷後半回など

1月校ですでに進学してもよい学校の合格を持っているなら、2月2日・3日も強気に難関校を並べられます。反対に、1月に十分な合格がない場合には、2月2日までに合格可能性の高い学校を一つ入れる方が現実的です。

受験日程は「偏差値の高い学校から順番に並べる」ものではありません。学院中に不合格だった場合、次にどこへ進学したいのかを考えておけば、2月2日以降の学校も選びやすくなります。

早稲田中・早実との比較では、2月1日の一校を先に決める

早稲田系3校を検討する男子受験生にとって、併願上もっとも重要なのは2月1日です。

学院中、早稲田中第1回、早稲田実業学校中等部はいずれも2月1日に入試があります。学院中は午後に面接まであるため、同日に別の早稲田系中学校を受験することはできません。

学校学校の形態進路の特徴学校生活
早稲田大学高等学院中学部男子・附属校早稲田大学への進学を基本とする上石神井のキャンパス、大学受験に縛られない学び
早稲田中学校男子・系属校約半数が早大推薦、約半数が他大学受験完全中高一貫、進学校としての性格が強い
早稲田実業学校中等部共学・系属校早稲田大学への推薦進学が中心共学、初等部から高校までを含む一貫教育

学院中と早稲田中で迷うなら、「どちらが受かりやすいか」よりも、18歳で大学を選び直したいかどうかが大きな分岐になります。早実と迷うなら、男子校か共学かという毎日の学校生活も加わります。

2月1日になってから考えることではありません。学校説明会、文化祭、過去問演習などを通して、合格したら本当にどの学校へ進学したいのかを秋までにかなり絞っておく必要があります。

「安全校」は偏差値だけで決めず、2月3日までに一つの合格を持つ設計へ

学院中の四谷大塚80%偏差値は65ですが、偏差値65の受験生が必ず学院中に合格するわけではありません。入試は一度だけで、4科に加えて面接もあります。

併願校を選ぶ際には、模試の偏差値に加え、過去問との相性を見る必要があります。とくに安全校については、「学院中より偏差値が5低い」といった機械的な基準より、その学校の過去問で合格最低点を安定して超えられているかの方が重要です。

  • 1月校で、実際に進学できる学校の合格を一つ持てるか
  • 学院中の過去問で4科の得点が安定しているか
  • 2月2日にどの程度の難易度の学校を置くか
  • 2月3日の学院中合格発表前にも受験を続けるか
  • 学院中が不合格だった場合、どの学校なら納得して進学できるか

学院中は早稲田大学への進路がほぼ見えている学校だからこそ、併願校には大学附属校だけでなく、大学受験型の進学校も混ざります。学校によって6年後の景色が大きく違うため、「安全だから」という理由だけで選ぶと、合格後に迷うことになります。

1月に合格を確保し、2月1日は学院中に集中する。そのうえで2月2日・3日にも進学したい学校を置いておく。学院中第一志望の併願は、この形を基本に考えると組み立てやすくなります。

在校生・保護者の声|自由さと自律を求める男子校の日常

よく聞かれるのは「自由」と「自主性」

早稲田大学高等学院中学部について、在校生や保護者の声で繰り返し出てくるのが、自由な校風と自主性を重んじる学校という印象です。

細かな規則で生徒の行動を一つずつ管理するというより、一定の枠の中で本人に判断を任せる場面が多くあります。生徒会も「学校生活を自分たちで運営する場」として位置づけられ、学習発表会では文化委員が予算や物品管理、プログラムづくり、当日の運営などを担います。

2025年度の学習発表会でも、中3の文化委員長がパンフレット作成や予算決定の司会などを担当し、責任を持って行事を運営した経験を振り返っています。学院の「自主性」は、理念として掲げられているだけでなく、こうした仕事を実際に生徒へ渡すことで育てるものです。

一方で、先生から細かく指示される方が安心できる生徒にとっては、この自由さが戸惑いになることもあります。「何をしたらよいか待つ」のではなく、自分から動く姿勢を少しずつ身につけていく学校です。

大学受験がないからこそ、学習の自己管理が必要になる

学院中の学校生活について、保護者の評価が分かれやすいのが学習面です。

早稲田大学への進学ルートがあるため、高校・大学受験という外から与えられた目標はありません。そのため、「次の入試に間に合わないから勉強しなさい」と学校が強く引っ張るより、本人が授業を理解し、自分で学習を積み重ねることが求められます。

この環境を、「受験競争に追われず、自分の興味を広げられる」と評価する声があります。一方で、「自主性を重視する分、手厚く管理してもらう学校ではない」と感じる保護者もいます。

実際の授業内容は軽くありません。中学部は週35時間の授業があり、英語や数学をはじめ一定の進度で学びます。高校へ進めば第二外国語、自由選択科目、卒業論文なども加わり、希望学部を考えるうえでは高校での成績も重要になります。

「受験がない」と「勉強しなくてよい」はまったく別の話です。試験という外圧が少ない分、自分で学ぶ理由を持てるかどうかが、学院生活ではかなり大きくなります。

約120人の中学部は、学年全体の顔が見えやすい

学院中は1学年約120名・4クラスです。大規模な私立中学校と比べると、生徒同士の距離が近く、クラスを越えて知り合いになりやすいという声があります。

毎年クラス替えがあり、宿泊研修、体育祭、学習発表会、クラブ、生徒会などで別クラスの生徒とも関わります。3年間を過ごすうちに、同じ学年ならある程度互いの顔が分かる規模です。

男子だけという環境についても、「気を遣わずに過ごせる」「のびのびしている」と感じる家庭があります。学習発表会では、有志団体が自分たちの関心に沿った発表を行うなど、それぞれの興味を前に出しやすい雰囲気もあります。

一方、高等学院へ進むと高校入試組が加わり、1学年は約500名規模になります。中学では顔の見える小さな集団、高校では多くの新しい同級生が入ってくる大きな集団。この変化を楽しめるかどうかも、学院の6年間との相性に関わります。

先生は「教えて管理する人」より、学びを支える存在に近い

先生との関係については、親身に対応してもらえるという声がある一方、進学校のように小テストや補習で常に生徒を追い立てるタイプの指導ではないという印象も見られます。

学院長も、生徒が自由な時間を使い、本を読み、出かけ、留学し、さまざまな経験から自分自身を育てることを重視しています。先生が完成された道を示すというより、生徒が興味を見つけ、その先へ進むことを支える考え方です。

これは探究や研究には相性のよい環境ですが、「毎日宿題の進捗を確認してほしい」「成績が落ちたらすぐ学校から強く働きかけてほしい」と考える家庭には、少し物足りなく感じる可能性があります。

困ったときには教員への相談に加え、保健室やカウンセリングなどの支援もあります。ただし、普段から大人が先回りするというより、本人が必要なときに助けを求めることも自立の一部として考える学校です。

施設への評価は高い一方、中学部のクラブ数は多くない

保護者の声で評価されやすいのが、上石神井キャンパスの環境です。複数のグラウンド、体育館、図書室、理科実験室、CALL教室、コンピュータ教室、食堂など、高等学院の施設も含めて学校生活を送れます。

図書室には約14万冊の蔵書があり、中学生も早稲田大学中央図書館を利用できます。中学段階から大学までつながる学習環境を使える点は、附属校ならではです。

一方、中学部だけを見るとクラブは10程度で、大規模な私立中学校ほど種類はありません。この点を物足りなく感じる声もあります。

ただし、高等学院へ進学するとクラブの選択肢は大幅に増えます。中学時代の活動をそのまま続けることも、高校進学を機に別の競技や文化活動へ移ることもできます。

学院中では、施設は「中学校だけでどれだけあるか」、クラブは「中学3年間で何種類あるか」と切り取るより、高等学院までの6年間で何を使い、何を選べるかという見方が合っています。

早大への進学が決まっていても、学部選択には競争がある

保護者にとって安心材料になりやすいのが、早稲田大学へ一貫して進める制度です。ただし、学校生活の中では「大学受験がないから成績を気にしなくてよい」という雰囲気にはなりません。

早稲田大学への推薦枠は学院卒業生全体に用意されていますが、各学部・学科には定員があります。希望者が枠を上回れば、高校3年間の成績などが学部決定に関わります。

そのため、高校生になるにつれて「早稲田大学に入れるか」ではなく、「どの学部で何を学びたいか」が現実的な目標になっていきます。日頃から学習している生徒ほど希望を実現しやすいという構造は、大学受験校とは形が違っても存在します。

在校生・保護者の声から見えてくる学院中は、受験競争から解放されたのんびりした学校というより、進路が保証されている分、自分で時間の使い方と学ぶ内容を決めることを求められる学校です。

自由な校風、少人数の中学部、高校から広がる人間関係、大学まで使える学習環境。これらを「自分で動ける余白」と感じる生徒には居心地のよい環境でしょう。反対に、学校から細かく管理されることで力を発揮するタイプなら、入学前にこの距離感を実際の学校見学や学習発表会で確かめておきたいところです。

この学校に向いている子の特徴|早大進学を前提に学びを広げたい子へ

早稲田大学への進学を、12歳の段階でかなり具体的に考えている子

早稲田大学高等学院中学部との相性を考えるうえで、最初の分岐になるのは、大学進学先として早稲田大学をどこまで具体的に考えているかです。

学院中から高等学院へ進み、その後は早稲田大学への推薦進学を基本とするため、中学受験の段階で大学までの進路をかなり長く見通せます。

その代わり、高校生になって東京大学や他の私立大学、医学部などを一般受験することを幅広く残しておきたい家庭とは、学校選びの方向が異なります。

「早稲田大学に入れる可能性が高いから」という理由だけではなく、早稲田大学で学ぶこと自体に魅力を感じ、その前の6年間も大学につながる教育の中で過ごしたいという子に向いています。

大学受験がなくても、自分から勉強できる子

学院中では、高校受験も、その先の一般的な大学受験も教育の中心にはなりません。模試の偏差値や志望大学の過去問を日々の学習目標にする学校とは、勉強する理由そのものが違います。

そのため、「入試があるから勉強する」という動機が強い子よりも、知らないことを知りたい、自分で調べたい、授業で扱った内容をもう少し先まで考えてみたいという子の方が、この環境を使いやすくなります。

実際には週35時間の授業があり、高等学院では第二外国語や自由選択科目、卒業論文へと学習内容が広がります。さらに大学の希望学部を選ぶ際には、高校での成績も重要です。

受験勉強から自由になることと、勉強から自由になることは違います。外から強い目標を与えられなくても、自分なりの関心を持って学習を続けられる子には、学院の「学びの自由」が生きてきます。

一つの正解を早く覚えるより、考える過程を楽しめる子

学院中では、数学で「なぜそうなるのか」を考え、理科では実験・観察を通して現象を確かめ、総合学習では調査した内容を発表します。

宿泊研修でも、目的地へ行って見学するだけではありません。事前にテーマを決め、資料を調べ、現地で確かめ、帰校後には発表へつなげます。

こうした学びでは、短時間で正解を出す能力だけでなく、途中で疑問を持ったり、別の考え方を比べたり、自分の言葉で説明したりすることが必要になります。

中学受験ではどうしても「何分で解けるか」が重要になりますが、入学後は少し違います。答えがすぐ出ない問題について考えることそのものを面白いと思える子には、大学附属校ならではの時間の使い方が合うでしょう。

英語だけでなく、言語や文化そのものに興味がある子

語学への関心が強い子にとっても、学院中から高等学院へ続く教育は特徴があります。

中学では英語に加えて国際理解の授業があり、中3では高校で学ぶ第二外国語への入口として「諸外国語」を履修します。

高等学院へ進むと、ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語から一つを選び、3年間学びます。英語以外の外国語を全員が継続して学ぶ高校は多くありません。

英検や入試の点数を上げることだけに関心があるというより、「英語とは違う言葉では世界がどう見えるのか」「別の国の文化や歴史を知りたい」と感じる子の方が、この仕組みを楽しめます。

希望者には海外研修もあり、大学へ進んだ後にも外国語学習を続けられます。外国語を受験科目ではなく、世界を知る道具として学びたい子には、6年間を通じて選択肢があります。

少人数の中学から、大規模な高校へ変わる環境を楽しめる子

学院中は1学年約120名・4クラスです。同じ学年の顔が見えやすく、宿泊研修、体育祭、クラブ、学習発表会などを通してクラスを越えた関係をつくりやすい規模です。

しかし、高等学院へ進むと高校入試組が加わり、学年は約500名規模になります。中学部出身者だけで6年間の人間関係が固定されるわけではありません。

高校進学時には新しい同級生が多数入り、クラブの種類も増え、授業や選択科目の幅も広がります。中学3年間と高校3年間では、同じ上石神井キャンパスにいながら学校生活のスケールがかなり変わります。

小さな集団の安心感だけを求めるより、中学ではじっくり関係をつくり、高校では新しい人や活動へ世界を広げたい子に向いた6年間です。

広いキャンパスで、勉強以外にも自分の時間を使いたい子

上石神井キャンパスには、複数のグラウンド、体育館、図書室、実験室、CALL教室、食堂などがあり、中学生はその後の高等学院生活まで同じ場所で過ごします。

中学部のクラブは約10と選択肢が限られますが、高校へ進めば体育系・文化系とも活動の幅が大きく広がります。中学とは違うクラブへ入り直すこともできます。

また、大学受験のために高2・高3の時間をほぼ受験勉強へ集中させる学校ではないため、研究、外国語、クラブ、読書、課外活動などに時間を使いやすくなります。

何もせず自由に過ごすための余白というより、「空いた時間に自分は何をやるのか」を考えられる子ほど学院の環境を使い切れます。

早稲田中との違いを考えるなら、「進路の自由」より「学びの自由」を選ぶ子

同じ男子の早稲田系中学校である早稲田中学校と学院中は、相性のよい子のタイプにも違いがあります。

早稲田中学校では、早稲田大学への推薦と他大学受験の双方が本格的な選択肢になります。6年間学んだ後に、大学そのものを改めて選べることが特徴です。

学院中では、大学進学先として早稲田大学を基本線に置きます。その代わり、大学入試から逆算する必要のない時間を使って、第二外国語、探究、卒業論文、クラブ、大学との接続授業などへ学びを広げます。

言い換えるなら、早稲田中は「進路を選べる自由」が大きく、学院中は「進路を早く定めることで得られる学びの自由」が大きい学校です。

「6年後にどの大学へ行くかをもう一度考えたい」のか、「大学は早稲田を軸にして、その6年間を何に使うか考えたい」のか。この違いに対する家庭の考え方が、学院中との相性を判断するうえで最も重要なポイントになります。

まとめ|大学受験の先回りではなく、大学まで続く学びを選ぶ6年間

学院中を理解する鍵は、「早稲田大学まで続く」という前提にある

早稲田大学高等学院中学部は、中学校、高等学院、早稲田大学を別々の段階として切り分けるのではなく、長い一つの教育課程として考える学校です。

中学部から高等学院へ進み、その先では早稲田大学への推薦進学を基本とします。一般的な進学校のように、高校3年間を大学入試から逆算して組み立てる必要はありません。

その違いは、単に「大学受験をしなくてよい」という便利さではなく、大学受験に使うはずだった時間を何に振り向けるかという学校教育そのものに表れています。

第二外国語や卒業論文まで続く「学びの自由」

中学では主要教科をしっかり学びながら、国際理解、早稲田学、宿泊研修、発表活動などを通して、教科の外にも関心を広げます。

高校に進むと、ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語から選ぶ第二外国語、大学で扱う学問にもつながる自由選択科目、そして卒業論文へと学びが深くなります。

入試問題を解くためなら後回しにされやすいテーマにも、時間をかけて取り組める学校です。その代わり、決められた目標がなくても自分で興味を見つけ、学習を続けることが求められます。

大学受験から自由になることで、学ぶ内容まで自由に広げる。学院が掲げる「学びの自由」は、この6年間の組み立てにかなり具体的に表れています。

中学約120名から、高校約500名へ。6年間で学校生活も変化する

中学部は1学年約120名・4クラス。宿泊研修や体育祭、学習発表会、クラブ活動を通して、学年全体の顔が見えやすい規模で3年間を過ごします。

高等学院へ進むと高校入試組が加わり、学年規模は約500名へ広がります。クラブの種類も増え、人間関係も活動の選択肢も大きく変わります。

同じ上石神井キャンパスで過ごしながら、中学と高校で学校生活のスケールが変わるのが学院の6年間です。中学から入った仲間だけで閉じた一貫校ではなく、高校進学時に新しい集団へ入る経験もあります。

上石神井のキャンパスも、学院らしさの一部

学院中は西武新宿線上石神井駅から徒歩7分。中学部校舎、高校校舎、図書室、実験室、食堂、講堂、複数のグラウンドや体育館が一つの校地にまとまっています。

早稲田大学のキャンパスそのものに隣接する学校ではありませんが、中学生のうちから大学キャンパスを訪れ、高校では大学教員の授業や学部説明会などを通じて早稲田大学との距離が少しずつ近づいていきます。

普段は練馬区上石神井の落ち着いた環境で学校生活を送り、その先に大学の各キャンパスがある。中学から大学まで同じ場所で完結するのではなく、成長とともに学ぶ場所も広がっていきます。

早稲田中とは、「自由」の意味が違う

同じ男子の早稲田系中学校でも、早稲田中学校と高等学院中学部では6年間の設計が大きく異なります。

早稲田中学校では、早稲田大学への推薦と他大学受験の二つが本格的な進路になります。高校生になってから東京大学や医学部を含む他大学へ方向を変えることも自然です。

学院中では、早稲田大学への進学を基本線として早い段階で定めます。その代わり、大学入試対策に追われず、第二外国語、探究、研究、クラブ、卒業論文などに時間を使えます。

早稲田中が「進路を選べる自由」を持つ学校だとすれば、学院中は「進路を定めることで得られる学びの自由」を持つ学校です。同じ「早稲田」という名前だけで比べると見えにくい違いですが、6年間の過ごし方にはかなり大きな差があります。

早稲田大学に入りたい子より、「早稲田で何を学ぶか」を考えたい子へ

学院中を選ぶ理由は、「中学受験で大学まで決まるから安心」という一点だけではありません。

早稲田大学への進学が見えているからこそ、中高時代に何を読むか、何を研究するか、どの外国語を学ぶか、どんな活動に時間を使うかが本人に委ねられます。高校では希望学部を選ぶための学習も必要で、自由な環境を生かせるかどうかは生徒自身にかかっています。

12歳の時点で早稲田大学を進路の中心に置くことに納得でき、大学受験のためではない勉強にも面白さを感じるなら、学院中の6年間はかなり独自のものになります。

学校見学では、進学率だけを見るのではなく、上石神井のキャンパスで生徒がどのように時間を使い、どんなことを自分から学んでいるのかを見てみたいところです。そこに惹かれるなら、早稲田大学高等学院中学部を選ぶ意味は、大学への推薦制度よりもう少し深いところにあります。

タイトルとURLをコピーしました