- 学校の概要|イエズス会の教育理念を受け継ぐ神奈川男子御三家の一角
- アクセスと立地環境|大船駅から徒歩圏、鎌倉・玉縄の高台に広がる自然豊かなキャンパス
- 教育方針とカリキュラム|初級・中級・上級の3期で育てる完全6年一貫教育
- 学習環境と施設設備|隈研吾氏が設計に関わった校舎と広大な自然環境
- 学習環境と施設設備|隈研吾氏が設計に関わった校舎と広大な自然環境
- 学校生活と行事|栄光祭・歩く大会・山のキャンプで育つ自律と協働
- クラブ活動とグループ活動|全員参加から始まり、自分の興味を形にする放課後
- 進学実績と卒業後の進路|東大・国公立医学部など最難関大へ進む進学校
- 学費や諸経費について|6年間の学校生活に必要な費用を整理
- 入試情報と合格の目安|2月2日一回勝負、思考力と記述力を問う4科入試
- 併願校パターン|開成・麻布・聖光学院・浅野などとの受験日程
- 在校生・保護者の声|自由と規律が共存する栄光らしい学校生活
- この学校に向いている子の特徴|知性だけでなく、自律心と他者へのまなざしを育てたい子へ
- まとめ|「他者とともに、他者のために」を6年間で身につけるという選択
学校の概要|イエズス会の教育理念を受け継ぐ神奈川男子御三家の一角
栄光学園中学校は、神奈川県鎌倉市玉縄にある私立男子校です。高校からの募集を行わない完全中高一貫校で、中学1年から高校3年までの6年間を一つの教育期間として設計しています。
聖光学院中学校、浅野中学校と並んで、受験界ではしばしば「神奈川男子御三家」と呼ばれる最難関校の一つです。ただし、栄光学園を特徴づけているのは大学進学実績だけではありません。カトリックの男子校として、イエズス会の教育精神を土台に、一人ひとりが持つ能力を伸ばし、それを他者や社会のために生かせる人間を育てることを目指しています。
栄光学園中学校の基本情報
| 学校名 | 栄光学園中学校 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県鎌倉市玉縄4-1-1 |
| 設置区分 | 私立 |
| 男女区分 | 男子校 |
| 学校形態 | 完全中高一貫校 |
| 設置法人 | 学校法人 上智学院 |
| 創立 | 1947年 |
| 1学年 | 約180名・4クラス |
| 教育の基盤 | カトリック・イエズス会教育 |
学校全体は中高6学年で約1,080名。1学年約180名という規模を長く維持しています。大規模校へ拡大するのではなく、生徒一人ひとりを把握できる規模そのものを教育上の特徴としている学校です。
1947年、横須賀・田浦から始まった栄光学園
栄光学園は1947年、神奈川県横須賀市田浦にあった旧海軍施設の跡地で「栄光中学校」として創立されました。
設立したのは、カトリック教会の修道会であるイエズス会です。イエズス会は1540年にイグナチオ・ロヨラらによって創立され、世界各地で教育活動を行ってきました。日本でも上智大学、六甲学院、広島学院、上智福岡など、同じ教育精神を共有する学校があります。
栄光学園は創立当初、2クラス72名からスタートしました。1950年には高校が開校し、その後中高一貫の男子校として発展します。
1964年、より広い教育環境を求めて現在の鎌倉市玉縄へ移転しました。現在の広大なキャンパスと自然を生かした学校生活は、この移転によって形づくられたものです。
「栄光」という校名にもイエズス会の精神が表れている
「栄光」という校名は、イエズス会のモットーである「AD MAIOREM DEI GLORIAM(より大いなる神の栄光のために)」に由来します。
ここで大切なのは、自分が優秀であることを誇るための「栄光」ではないことです。
自分に与えられた能力を可能な限り伸ばし、それを自分の名誉や利益だけではなく、よりよい社会や他者のために使う。その考え方が学校名にも込められています。
栄光学園では学力を高めること自体を否定するどころか、高い水準まで能力を伸ばすことを求めます。ただし、「何のためにその力を使うのか」まで含めて考えるところに、学校の教育観があります。
「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS」が示す卒業生像
栄光学園の教育を理解するうえで欠かせない言葉が、「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS」です。
日本語では「他者のために、他者とともに」と表されます。
学校が目指しているのは、能力の高い人が周囲を従わせるようなリーダーではありません。自分とは異なる立場にいる人へ目を向け、周囲と協力しながら、その力を人々のために使える人間です。
この考え方は、倫理の授業や宗教行事だけに表れるものではありません。部活動、グループ活動、学校行事、奉仕活動、国際交流など、6年間のさまざまな場面を通して経験していきます。
難関大学へ進むことは人生の目的そのものではなく、将来社会で何を担うかを考えるための一つの過程として位置づけられています。
学力だけではなく「人間としてどう成長するか」を問う6つの言葉
栄光学園では、イエズス会教育の考え方を示す6つのキーワードを掲げています。
- MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS:他者のために、他者とともに生きる
- AGERE CONTRA:逃げたい気持ちとたたかい、なすべきことに専念する
- MAGIS:自分の能力を可能な限り成長させる
- AGE QUOD AGIS:やるべきことを、やるべきときに、やる
- NOBLESSE OBLIGE:与えられた能力や立場を最大限に生かす
- AD MAIOREM DEI GLORIAM:より大いなる神の栄光のために
これらを見ると、栄光学園が求める生徒像がかなり具体的に見えてきます。
能力を伸ばす。ただし、自分のためだけに使わない。やるべきことから逃げない。与えられた役割に責任を持つ。そして他者と協力する。
大学受験で高い結果を出す知性と、社会の一員として自分をどう使うかを考える姿勢を、別々のものとして扱っていない学校です。
1学年180名という規模にも教育上の意味がある
栄光学園は長年、1学年を約180名に限定しています。
これは単に校舎の収容人数によるものではありません。学校側は、集団教育を行いながらも、その中にいる一人ひとりをかけがえのない存在として見るために、この規模を大切にしています。
各学年は4クラス。中高6学年を合わせても約1,080名です。男子進学校の中には1学年300名を超える学校もあるため、栄光学園は比較的小規模な学校といえます。
6年間同じ学年集団で過ごすため、友人同士の関係はもちろん、教員からも継続して見てもらいやすくなります。一方で、同級生の顔ぶれが大きく変わらない環境でもあるため、この規模感を本人が心地よいと感じるかは学校選びで確認しておきたい点です。
上智大学と同じ法人でも「附属校」ではない
2016年、栄光学園を運営していた学校法人栄光学園は、上智大学などを運営する上智学院、六甲学院、広島学院、泰星学園と法人統合し、現在は学校法人上智学院の設置校となっています。
ただし、栄光学園が上智大学の附属校になったわけではありません。
大学への内部進学を前提として6年間を過ごす学校ではなく、生徒は東京大学をはじめとする国公立大学、医学部、早慶など、それぞれの希望する進路を目指します。
法人統合の意味は、大学附属化ではなく、イエズス会を設立母体とする教育機関の連携を強めたことにあります。国内外のイエズス会教育ネットワークを生かした交流や教育活動にもつながっています。
「神奈川男子御三家」の肩書きだけでは見えない学校
中学受験では、栄光学園は聖光学院・浅野と並ぶ「神奈川男子御三家」として紹介されることが多く、東京大学や医学部への高い進学実績から最難関進学校として見られます。
しかし、入学後の6年間を理解するなら、偏差値や大学合格者数だけでは十分ではありません。
約180名の男子が、鎌倉の広いキャンパスで学び、毎日の授業だけでなく、中間体操、クラブ、栄光祭、歩く大会、山のキャンプ、グループ活動などを経験していきます。そしてその根底には、「自分の能力を何のために使うのか」という問いがあります。
高い学力を身につけることと、人としてどう生きるかを考えることを6年間の中で切り離さない。そこに、他の難関男子校と比べたときの栄光学園らしさがあります。
アクセスと立地環境|大船駅から徒歩圏、鎌倉・玉縄の高台に広がる自然豊かなキャンパス
栄光学園中学校は、神奈川県鎌倉市玉縄4丁目にあります。最寄り駅はJR大船駅で、南改札西口から学校までは徒歩約15分。駅前の市街地を抜け、坂道を上った先に広大なキャンパスが広がっています。
大船駅は東海道線・横須賀線・根岸線・湘南新宿ラインなどが利用でき、横浜方面、湘南方面、東京都内の双方からアクセスしやすい交通拠点です。一方、駅から学校までは毎日の徒歩移動があります。栄光学園を選ぶ際には、電車に乗っている時間だけでなく、大船駅から学校まで歩く15分も含めて6年間の通学を考える必要があります。
大船駅から徒歩約15分、生徒は原則として歩いて通学
学校への基本的なアクセスは、JR大船駅南改札西口、いわゆる大船観音側から徒歩約15分です。
| 所在地 | 神奈川県鎌倉市玉縄4-1-1 |
|---|---|
| 最寄り駅 | JR大船駅 |
| 徒歩 | 南改札西口から約15分 |
| 路線バス | 大船駅西口から「栄光学園前」まで約2分 |
| 通常の通学 | 生徒は原則として徒歩 |
学校の一日の紹介でも、生徒は原則として大船駅から歩いて通学するとされています。
道中には坂道もあります。毎朝駅から歩き、校庭で中間体操をし、放課後には部活動をして再び駅まで歩く。栄光学園では、この日常的に身体を動かす生活そのものが学校生活の一部になっています。
路線バスなら「栄光学園前」まで約2分
徒歩以外では、大船駅西口のバス乗り場から路線バスを利用できます。
大船観音前の3番乗り場から清泉女学院方面へ向かうバスに乗り、「栄光学園前」で下車します。大船駅からバス停までは約2分です。
学校説明会などで訪問する場合や、事情があって徒歩移動が難しい場合には利用しやすいルートです。
ただし、通常の生徒は徒歩通学が基本です。受験前に学校へ行く際にも、一度は大船駅から実際に歩いておくことをおすすめします。15分という数字だけでなく、坂道の程度や朝の人通りまで含めて確認できます。
横浜・湘南・東京方面から集まりやすい大船駅
大船駅は湘南エリアの主要なターミナル駅です。JR東海道線、横須賀線、根岸線などが乗り入れているため、神奈川県内の広い範囲から通学できます。
横浜方面からは東海道線や横須賀線、藤沢・平塚方面からは東海道線を利用できます。根岸線沿線からもアクセスでき、路線によっては東京都内から乗り換えを抑えて通うことも可能です。
そのため、学校自体は鎌倉市の高台にありますが、生徒の生活圏は鎌倉・湘南周辺だけに限られません。
一方で、毎日の通学時間が長くなりすぎれば、家庭学習や部活動にも影響します。栄光学園は学校生活だけでなく家庭での学習も大切にする学校なので、「通えるか」ではなく「6年間無理なく通い続けられるか」で考えたいところです。
入学には通学地域についての条件がある
栄光学園では、入学後に継続して通学できることを重視しており、募集要項で通学区域について条件を定めています。
2027年度入試では、神奈川県全域のほか、東京都の23区や町田市、多摩市、八王子市など指定された地域、静岡県の一部地域などからの通学が認められています。
さらに、指定地域以外でも、徒歩や公共交通機関を利用して自宅から学校までおおむね90分を超えずに通学できる地域であれば対象となります。この計算では、大船駅から学校までを15分として考えます。
下宿や寄留などによって条件を満たすことは認められていません。遠方からの受験を検討する家庭は、出願前に自宅所在地が条件を満たしているか必ず確認しておきましょう。
玉縄の高台に広がる、都市型進学校とは異なる環境
大船駅周辺は商業施設や住宅が集まる市街地ですが、学校へ向かって坂を上っていくと景色は大きく変わります。
栄光学園のキャンパスには広い校庭と緑があり、中高約1,000人が過ごす学校とは思えないほど空間に余裕があります。校舎の周囲にも自然が残り、季節の変化を感じながら6年間を過ごします。
駅前の限られた敷地に校舎を建てる都市型の進学校とは対照的です。
休み時間には外へ出ることができ、2校時と3校時の間には全校生徒が校庭へ集まる「中間体操」があります。昼食を屋外で取る生徒もおり、広いキャンパスが単なる景観ではなく日常生活に使われています。
キャンパスの広さが、栄光独自の学校生活を支えている
栄光学園の立地を考えるとき、「自然が多くて環境がよい」というだけでは十分ではありません。
広い敷地があるからこそ、毎日の中間体操、体育祭、運動部の活動、山のキャンプへつながる身体教育など、学校独自の文化を維持できます。
陸上競技部が利用する300mトラックやフィールド、各運動部の活動場所も校内に確保されています。課外活動や生徒の自主的なグループ活動に使える余地があることも、キャンパスの広さと無関係ではありません。
難関大学への進学を目指す学校でありながら、6年間を教室と自習室だけで過ごすのではない。頭を使う時間と身体を動かす時間の両方が日常の中にあることが、栄光学園の環境面での大きな特徴です。
受験前には、大船駅から実際に歩いてみたい
栄光学園を検討するなら、学校説明会やキャンパス開放の際に、できれば本人と一緒に大船駅から歩いてみるとよいでしょう。
学校側もキャンパス開放の際には、天候に問題がなければできるだけ徒歩での来校を案内しています。
駅から15分という数字だけを見るのと、実際に坂を上ってキャンパスへ入るのでは印象が違います。そこからさらに6年間、雨の日も暑い日も同じ道を通うことになります。
一方、坂を上った先に広い校庭と緑の多いキャンパスが現れる感覚も、実際に訪れなければ分かりません。
大船駅から歩くことまで含めて「ここへ毎日通いたい」と本人が感じるか。栄光学園の場合、通学路とキャンパスを自分の目で見ることが、学校との相性を確かめる最初の一歩になります。
教育方針とカリキュラム|初級・中級・上級の3期で育てる完全6年一貫教育
栄光学園中学校の学習指導は、高校受験を挟まない6年間を「初級」「中級」「上級」の3段階に分けて考えるところから始まります。
中学のうちから高校内容を急いで先取りし、大学受験の演習時間をできるだけ長く確保することだけを目的としたカリキュラムではありません。中学1・2年では学習習慣を整え、中学3年・高校1年では自分で問いを見つけて学ぶ経験を増やし、高校2・3年で興味や進路に応じて高度な学習へ進みます。
東京大学をはじめとする難関大学へ毎年多くの生徒を送り出す学校ですが、授業で一貫して重視されているのは、覚えた知識を使って、自分の頭で考えることです。
中高6年間を「初級・中級・上級」の3段階で考える
栄光学園では、中学1年から高校3年までを次の3段階に分けて学習・生活指導を行います。
| 段階 | 学年 | 学習面で重視すること |
|---|---|---|
| 初級 | 中学1・2年 | 授業の受け方や家庭学習の進め方を学び、自律的な学習習慣をつくる |
| 中級 | 中学3年・高校1年 | 多様な学習体験から自分で問題を見つけ、深めていく |
| 上級 | 高校2・3年 | 興味・適性・進路を確かめながら、より高度な学力を身につける |
初級段階で最も大切なのは、受験勉強で身につけたやり方をそのまま続けることではなく、学校の授業を中心とした学習リズムへ切り替えることです。
授業を受け、家庭で復習し、分からないところがあればもう一度考える。こうした基本的な学習習慣を中学1・2年で整えます。
中級になると、教えてもらった内容を理解するだけでなく、そこから自分で疑問を持ち、調べ、考えることが求められます。そして上級では、文系・理系や大学で学びたい分野まで意識しながら、学習内容を深めていきます。
習熟度別クラスをつくらず、同じ教室で学び合う
栄光学園は1学年約180名、4クラス編成です。1クラスはおよそ45名で、習熟度別のクラス編成は行っていません。
中学入試を突破した生徒の中でも、得意科目や理解の速さには当然差があります。それでも学力別に集団を分けるのではなく、同じ教室の中で互いの考え方に触れながら学ぶことを大切にしています。
クラス替えは毎年行われるため、6年間ずっと同じ友人だけで過ごすわけではありません。学年約180名という規模の中で、毎年少しずつ人間関係を広げていくことになります。
授業でも、正解だけを先生から受け取るのではなく、生徒の発想や異なる解き方を共有する場面があります。
「できる生徒をさらに先へ進ませる」だけでなく、「異なる考え方を持つ生徒同士が学び合う」ことも、栄光学園の授業観の一つです。
数学は「数学α・数学β」で積み上げ、中2には思考そのものを鍛える時間も
数学では、単に高校範囲へ早く進むことより、考える過程を重視します。
高校1年までは、主に数や式を扱う「数学α」と、図形を扱う「数学β」を並行して学習します。代数と幾何を分けながら、それぞれを6年間の流れの中で積み上げていきます。
特に特徴的なのが、中学2年で週1時間行われる「思考すること」に重点を置いた授業です。パズルやゲームなども題材にしながら、今持っている知識を使って試行錯誤します。
すぐに公式を当てはめるのではなく、条件を整理し、いろいろな方法を試し、なぜそうなるのかを考える経験を重ねます。
一方で、思考力だけを強調して計算練習を軽視するわけではありません。中学1・2年ではオリジナル教材を用いた計算トレーニングを家庭学習として行い、必要に応じて補習も実施します。
高校2年からは文系・理系に分かれ、理系では微分積分などへ進みます。高校3年では問題演習が中心になりますが、単に解答方法を覚えるのではなく、問題の背景や分野同士のつながりまで考えます。
中学英語は週7時間、「知る」と「使う」を分けずに学ぶ
英語は中学校の各学年で週7時間と、十分な授業時間を確保しています。
授業は大きく、文法・語法・読解を中心に学ぶ「英語1」と、リスニング・スピーキング・ライティングなどの活動を通して学んだ内容を使う「英語2」に分かれます。
さらに中学校では、発展的な内容や発表・表現活動を扱う「英語3」も設けられています。
| 授業 | 主な内容 |
|---|---|
| 英語1 | 文法・語法・読解を中心とした英語の土台づくり |
| 英語2 | リスニング・スピーキング・ライティングを通した定着と運用 |
| 英語3 | 発展学習、発表・表現活動など |
英語を「大学入試で読むための科目」と「会話のための英語」に切り離すのではなく、文法や語彙を学び、それを実際に使うところまで往復する構成です。
ペア・グループ活動や発表も取り入れ、自分の考えを伝えることと、相手の意見を聞くことの両方を重視します。
中学入学時点で英語が得意である必要はありません。初級段階では、語彙・文法の基礎とコミュニケーション力を並行して身につけていきます。
理科・社会は、教室の外まで学びの場になる
理科では、中学1・2年で物理・化学・生物・地学の4分野を週4時間かけてバランスよく学びます。
栄光学園では実験や観察を重視しており、広い校地そのものが教材になることもあります。生物を実際に観察したり、材料に触れて性質を確かめたり、実験結果から考察したりしながら、知識と実体験を結びつけます。
特徴的なのは、「教科書通りの結果になったか」だけを重視しないことです。予想と違う結果が出たときにも、その事実からなぜそうなったのかを考えます。
中学1・2年の理科では定期試験を年3回に絞り、その代わりに実験、作業課題、レポートなど日常の取り組みも評価します。
社会では、中学1年で地理、中学2年で歴史、中学3年で公民と歴史を学びます。中学2年には鎌倉の神社仏閣などを班別で巡る校外授業があり、中学3年には京都への旅行で古地図などの一次資料を活用する機会もあります。
知識を覚えることと、実際の場所や資料から考えることを両立させるのが、栄光学園の理科・社会に共通する姿勢です。
全学年必修の「倫理」と高1ゼミが、教科学習の外側まで広げる
栄光学園独自の科目として、開校以来すべての学年で「倫理」を必修としています。
中学1年では週2時間、その他の学年では週1時間です。
名称だけを見ると高校の公民科「倫理」や宗教の授業を想像しますが、内容は少し異なります。聖書やキリスト教的な人間観を土台にしながら、日々の経験を振り返り、他者との関係の中で「自分は何をすべきなのか」を考えていきます。
カトリック校ではありますが、信仰を強制する授業ではありません。ミサへの参加も原則として本人の自由です。
さらに高校1年には、週1時間の「高一ゼミ」があります。少人数の講座を選択し、通常の教科学習とは異なるテーマについて学びます。
2026年度には手話、スペイン語をはじめ、教科の枠に収まりにくい多様な講座が設けられています。成績評価を目的とせず、自分から課題を見つけ、教員や仲間とともに学ぶ経験を重視します。
大学入試に直接出題される内容だけに時間を使うのではなく、自分が知らなかった世界へ触れる余白を6年間の中に残していることも、栄光学園のカリキュラムの特徴です。
高2から文理に分かれても、「大学受験のためだけ」にはしない
高校2年になると文系・理系に分かれ、大学で学びたい分野や進路を意識した授業へ移ります。高校3年では選択授業や問題演習も増え、難関大学の入試に対応できる学力を仕上げていきます。
ただし、「東大クラス」「医学部クラス」のように志望大学だけで生徒を細かく分けることを教育の中心には置いていません。
初級で学習習慣を身につけ、中級で自分から問いを持ち、上級で興味や適性を確かめながら高度な学習へ進む。6年間を通じた流れそのものを大切にしています。
栄光学園の高い大学進学実績は、入学直後から大学入試問題だけを追い続けた結果というより、国語で文章を深く読み、数学で考え抜き、理科で実験し、社会で現地を歩き、倫理で自分自身について考えるという積み重ねの先にあります。
「何を覚えれば合格できるか」だけでなく、「なぜそうなるのか」「自分はどう考えるのか」を6年間問い続ける。それが、栄光学園の学習環境を理解するうえで最も重要なポイントです。
学習環境と施設設備|隈研吾氏が設計に関わった校舎と広大な自然環境
栄光学園中学校の施設を語るうえで、まず目を引くのが約113,000㎡という広大な校地です。東京ドーム約2.4個分に相当する敷地に、校舎、図書館、聖堂、体育館、陸上トラック、サッカーコート、野球場、テニスコートなどがゆったりと配置されています。
2017年には創立70周年事業として現在の本校舎が完成しました。設計監修に携わったのは、栄光学園の卒業生でもある建築家・隈研吾氏。単に新しく美しい校舎をつくるのではなく、豊かな自然の中で生徒が教室と屋外を行き来し、人と関わりながら学べることを重視した建築です。
約113,000㎡、首都圏でも屈指の広さを持つキャンパス
栄光学園の校地面積は約113,000㎡。中高約1,000人が学ぶ学校としては、非常にゆとりのある環境です。
敷地内には、南棟・北棟・西棟からなる校舎のほか、聖堂棟、第一体育館、第二体育館、大講堂などがあります。屋外にも西校庭・中校庭・東校庭があり、その先には本格的な運動施設が広がります。
- トラック・フィールド
- サッカーコート・サブサッカーコート
- 野球場
- テニスコート7面
- 複数の校庭
この広さは、単に「自然豊かな学校」という印象をつくるためのものではありません。中間体操、体育祭、部活動、昼休み、グループ活動など、日常の学校生活そのものに使われています。
難関進学校でありながら、授業が終わるまで一日中校舎の中で過ごすのではなく、教室の外へ出て身体を動かせる余白が日常にあることが、栄光学園の大きな特徴です。
2017年完成、隈研吾氏が設計監修した2階建ての校舎
現在の本校舎は2017年、創立70周年を記念して完成しました。設計監修を担当したのが、栄光学園21期の卒業生でもある建築家・隈研吾氏です。
建物はRC造と木造を組み合わせたハイブリッド構造で、高層化するのではなく2階建てに抑えられています。
特に2階部分には木材が多く使われ、一般的な鉄筋コンクリートの学校とは異なる温かみがあります。教室の天井高も確保され、自然光が入りやすい開放的なつくりです。
この校舎で重視されたのは、建築そのものを目立たせることではなく、栄光学園が以前から持っていた広い敷地と自然を教育に生かすことでした。
低層にすることで、教室から屋外へ出やすくなっています。休み時間に外へ出たり、授業で自然を観察したり、生徒同士が中庭などで集まったりすることができます。
「校舎の中で学ぶ」と「キャンパス全体で学ぶ」を分けない設計になっている点に、栄光学園らしさがあります。
物理・化学・生物・地学、それぞれに専用の学習環境
栄光学園では理科教育で実験や観察を重視しているため、理科系の施設も細かく分けられています。
| 分野 | 主な施設 |
|---|---|
| 物理 | 物理教室・物理実験室 |
| 化学 | 化学教室・化学実験室 |
| 生物 | 生物教室・生物実験室 |
| 地学 | 地学教室 |
通常教室で説明を聞くだけでなく、専用教室へ移動して実験・観察を行える環境です。
さらに、第1・第2英語科教室、第1・第2社会科教室、倫理科教室も設けられています。倫理を独立した専用教室まで持つ点は、全学年で倫理を学ぶ栄光学園ならではです。
そのほか、パソコン教室、技術教室、美術教室、音楽室、多目的室なども整っています。
校内だけで完結せず、理科では広い校地そのものを観察の場として使うこともあります。専門教室での学習と、実際の自然に触れる学習の両方を行えるのが、このキャンパスの強みです。
図書館・自習室・ラーニングスペースで放課後まで学べる
校内には図書館があり、閲覧室だけでなく、ゆったり本を読めるブラウジングルームも設けられています。卒業生の著書を集めたコーナーがあるのも、長い歴史を持つ学校らしいところです。
さらに、独立した自習室やラーニングスペースもあります。
放課後には、部活動へ向かう生徒だけでなく、自習室や図書館に残って勉強する生徒もいます。家庭学習を重視する学校ですが、学校内にも集中して勉強できる場所が用意されています。
また、生徒一人ひとりがICTを使えるよう端末環境も整備されており、調べ学習や資料作成などに活用されています。ただし、栄光学園では端末そのものを教育の中心に置くのではなく、紙、実験、議論、図書館、実地調査などと組み合わせながら必要な場面で使います。
「最新機器があるか」より、「自分で調べ、考え、深めるためにどの場所を使うか」を生徒自身が選びやすい環境です。
2つの体育館と本格的な屋外施設が身体教育を支える
体育施設もかなり充実しています。
第一体育館にはアリーナと卓球場、第二体育館にはアリーナ、武道場、トレーニングルームがあります。
屋外にはトラック・フィールド、野球場、サッカーコート、テニスコート7面があり、複数の運動部が同時に活動できるだけのスペースがあります。
栄光学園では、2校時と3校時の間に全校で身体を動かす「中間体操」が長く続けられています。さらに体育祭、歩く大会、キャンプなど、身体を使う学校行事も多くあります。
そのため、運動施設は部活動に所属する生徒だけのものではありません。
勉強で高い水準を求める一方、10代のうちに身体を動かし、自然の中で生活し、仲間と協力することも教育の一部と考える。広いキャンパスと体育施設は、栄光学園の全人教育を実際に成立させるための設備といえます。
聖堂・講堂・校外の栄光ヒュッテまで、教室以外にも学びの場がある
カトリック校である栄光学園には、学校生活の精神的な中心となる聖堂があります。聖堂棟には聖堂ホールもあり、校内には大講堂・小講堂も設けられています。
ミサへの参加を一律に強制する学校ではありませんが、聖堂という静かな空間がキャンパスの中に存在すること自体が、栄光学園の教育環境を象徴しています。
また、生徒との個別面談などに利用できる複数の面談室があり、専門のカウンセラーも週2回程度来校します。生徒だけでなく保護者も相談できます。
校外施設としては、丹沢に「栄光ヒュッテ」と呼ばれる山小屋があります。1957年に設けられ、山の活動など栄光学園独自の野外教育を支えてきた施設です。
教室、校庭、聖堂、山の施設まで、学びの場所を一つに限定しないことが栄光学園の特徴です。
食堂はない。弁当を持ち、外で食べることも日常の一部
栄光学園には一般的なカフェテリア形式の食堂はありません。昼食は家庭から弁当を持参することが原則です。
学校では、毎日のように家庭から弁当を持ってくることにも教育的な意味があると考えています。
ただし、校内ではパン、弁当、飲み物を購入できます。弁当を事前に注文するサービスもあるため、毎日必ず家庭で準備しなければならないわけではありません。
天候がよければ、広いキャンパスの屋外で友人と昼食を取ることもできます。
教室で弁当を食べ、休み時間には外へ出る。放課後には部活動へ行く生徒もいれば、図書館や自習室で勉強する生徒もいる。栄光学園の施設は、豪華さを見せるためというより、約180人の男子が6年間、自分で居場所と過ごし方を選べる余白をつくるためにあると考えると分かりやすいでしょう。
学校見学では建築としての美しさだけでなく、教室から外までの距離、校庭の広さ、図書館や聖堂、生徒がどこで昼休みを過ごしているかにも目を向けると、栄光学園での一日を具体的に想像できます。
学習環境と施設設備|隈研吾氏が設計に関わった校舎と広大な自然環境
栄光学園中学校の施設を語るうえで、まず目を引くのが約113,000㎡という広大な校地です。東京ドーム約2.4個分に相当する敷地に、校舎、図書館、聖堂、体育館、陸上トラック、サッカーコート、野球場、テニスコートなどがゆったりと配置されています。
2017年には創立70周年事業として現在の本校舎が完成しました。設計監修に携わったのは、栄光学園の卒業生でもある建築家・隈研吾氏。単に新しく美しい校舎をつくるのではなく、豊かな自然の中で生徒が教室と屋外を行き来し、人と関わりながら学べることを重視した建築です。
約113,000㎡、首都圏でも屈指の広さを持つキャンパス
栄光学園の校地面積は約113,000㎡。中高約1,000人が学ぶ学校としては、非常にゆとりのある環境です。
敷地内には、南棟・北棟・西棟からなる校舎のほか、聖堂棟、第一体育館、第二体育館、大講堂などがあります。屋外にも西校庭・中校庭・東校庭があり、その先には本格的な運動施設が広がります。
- トラック・フィールド
- サッカーコート・サブサッカーコート
- 野球場
- テニスコート7面
- 複数の校庭
この広さは、単に「自然豊かな学校」という印象をつくるためのものではありません。中間体操、体育祭、部活動、昼休み、グループ活動など、日常の学校生活そのものに使われています。
難関進学校でありながら、授業が終わるまで一日中校舎の中で過ごすのではなく、教室の外へ出て身体を動かせる余白が日常にあることが、栄光学園の大きな特徴です。
2017年完成、隈研吾氏が設計監修した2階建ての校舎
現在の本校舎は2017年、創立70周年を記念して完成しました。設計監修を担当したのが、栄光学園21期の卒業生でもある建築家・隈研吾氏です。
建物はRC造と木造を組み合わせたハイブリッド構造で、高層化するのではなく2階建てに抑えられています。
特に2階部分には木材が多く使われ、一般的な鉄筋コンクリートの学校とは異なる温かみがあります。教室の天井高も確保され、自然光が入りやすい開放的なつくりです。
この校舎で重視されたのは、建築そのものを目立たせることではなく、栄光学園が以前から持っていた広い敷地と自然を教育に生かすことでした。
低層にすることで、教室から屋外へ出やすくなっています。休み時間に外へ出たり、授業で自然を観察したり、生徒同士が中庭などで集まったりすることができます。
「校舎の中で学ぶ」と「キャンパス全体で学ぶ」を分けない設計になっている点に、栄光学園らしさがあります。
物理・化学・生物・地学、それぞれに専用の学習環境
栄光学園では理科教育で実験や観察を重視しているため、理科系の施設も細かく分けられています。
| 分野 | 主な施設 |
|---|---|
| 物理 | 物理教室・物理実験室 |
| 化学 | 化学教室・化学実験室 |
| 生物 | 生物教室・生物実験室 |
| 地学 | 地学教室 |
通常教室で説明を聞くだけでなく、専用教室へ移動して実験・観察を行える環境です。
さらに、第1・第2英語科教室、第1・第2社会科教室、倫理科教室も設けられています。倫理を独立した専用教室まで持つ点は、全学年で倫理を学ぶ栄光学園ならではです。
そのほか、パソコン教室、技術教室、美術教室、音楽室、多目的室なども整っています。
校内だけで完結せず、理科では広い校地そのものを観察の場として使うこともあります。専門教室での学習と、実際の自然に触れる学習の両方を行えるのが、このキャンパスの強みです。
図書館・自習室・ラーニングスペースで放課後まで学べる
校内には図書館があり、閲覧室だけでなく、ゆったり本を読めるブラウジングルームも設けられています。卒業生の著書を集めたコーナーがあるのも、長い歴史を持つ学校らしいところです。
さらに、独立した自習室やラーニングスペースもあります。
放課後には、部活動へ向かう生徒だけでなく、自習室や図書館に残って勉強する生徒もいます。家庭学習を重視する学校ですが、学校内にも集中して勉強できる場所が用意されています。
また、生徒一人ひとりがICTを使えるよう端末環境も整備されており、調べ学習や資料作成などに活用されています。ただし、栄光学園では端末そのものを教育の中心に置くのではなく、紙、実験、議論、図書館、実地調査などと組み合わせながら必要な場面で使います。
「最新機器があるか」より、「自分で調べ、考え、深めるためにどの場所を使うか」を生徒自身が選びやすい環境です。
2つの体育館と本格的な屋外施設が身体教育を支える
体育施設もかなり充実しています。
第一体育館にはアリーナと卓球場、第二体育館にはアリーナ、武道場、トレーニングルームがあります。
屋外にはトラック・フィールド、野球場、サッカーコート、テニスコート7面があり、複数の運動部が同時に活動できるだけのスペースがあります。
栄光学園では、2校時と3校時の間に全校で身体を動かす「中間体操」が長く続けられています。さらに体育祭、歩く大会、キャンプなど、身体を使う学校行事も多くあります。
そのため、運動施設は部活動に所属する生徒だけのものではありません。
勉強で高い水準を求める一方、10代のうちに身体を動かし、自然の中で生活し、仲間と協力することも教育の一部と考える。広いキャンパスと体育施設は、栄光学園の全人教育を実際に成立させるための設備といえます。
聖堂・講堂・校外の栄光ヒュッテまで、教室以外にも学びの場がある
カトリック校である栄光学園には、学校生活の精神的な中心となる聖堂があります。聖堂棟には聖堂ホールもあり、校内には大講堂・小講堂も設けられています。
ミサへの参加を一律に強制する学校ではありませんが、聖堂という静かな空間がキャンパスの中に存在すること自体が、栄光学園の教育環境を象徴しています。
また、生徒との個別面談などに利用できる複数の面談室があり、専門のカウンセラーも週2回程度来校します。生徒だけでなく保護者も相談できます。
校外施設としては、丹沢に「栄光ヒュッテ」と呼ばれる山小屋があります。1957年に設けられ、山の活動など栄光学園独自の野外教育を支えてきた施設です。
教室、校庭、聖堂、山の施設まで、学びの場所を一つに限定しないことが栄光学園の特徴です。
食堂はない。弁当を持ち、外で食べることも日常の一部
栄光学園には一般的なカフェテリア形式の食堂はありません。昼食は家庭から弁当を持参することが原則です。
学校では、毎日のように家庭から弁当を持ってくることにも教育的な意味があると考えています。
ただし、校内ではパン、弁当、飲み物を購入できます。弁当を事前に注文するサービスもあるため、毎日必ず家庭で準備しなければならないわけではありません。
天候がよければ、広いキャンパスの屋外で友人と昼食を取ることもできます。
教室で弁当を食べ、休み時間には外へ出る。放課後には部活動へ行く生徒もいれば、図書館や自習室で勉強する生徒もいる。栄光学園の施設は、豪華さを見せるためというより、約180人の男子が6年間、自分で居場所と過ごし方を選べる余白をつくるためにあると考えると分かりやすいでしょう。
学校見学では建築としての美しさだけでなく、教室から外までの距離、校庭の広さ、図書館や聖堂、生徒がどこで昼休みを過ごしているかにも目を向けると、栄光学園での一日を具体的に想像できます。
学校生活と行事|栄光祭・歩く大会・山のキャンプで育つ自律と協働
栄光学園中学校の学校生活は、難関進学校という言葉から想像する「授業と受験勉強が中心の毎日」とは少し違います。もちろん学習には高い水準が求められますが、その一方で、栄光祭、体育祭、歩く大会、キャンプ、国際交流など、教室の外で人と関わり、身体を動かす経験が年間を通して組み込まれています。
特徴的なのは、行事を単なる気分転換として扱っていないことです。自分で役割を引き受け、仲間と協力し、最後までやり切る経験そのものを教育と考えています。イエズス会教育が掲げる「他者とともに、他者のために」という考え方が、学校生活の中で具体的な形になる場面でもあります。
授業の合間には全校で「中間体操」
栄光学園の日常を象徴する習慣の一つが「中間体操」です。
雨天時などを除き、2校時と3校時の間になると全校生徒が校庭へ出て身体を動かします。春夏秋冬の空気に触れながら、授業の途中でいったん机を離れる時間です。
栄光学園の授業は、「瞑目」に始まり「瞑目」に終わります。授業の前後には静かに気持ちを整え、その一方で中間体操では外へ出て身体を動かす。集中する時間と身体を解放する時間が一日の中にはっきり置かれています。
約113,000㎡の広いキャンパスがあるからこそ続けられる学校文化でもあります。
難関大学を目指す学校だからこそ、勉強時間を増やすことだけを考えるのではなく、心身の切り替えまで含めて一日の生活をつくるという考え方が表れています。
5月の栄光祭は、生徒自身が学校をつくる大きな舞台
栄光学園を代表する行事の一つが、毎年5月に行われる「栄光祭」です。
文化部やグループ活動の展示、ステージ企画、クラスや有志による企画などが行われ、多くの来場者を迎えます。受験生にとっても、学校説明会とは違う角度から栄光学園の生徒を見ることができる機会です。
栄光祭では、生徒が用意されたプログラムに参加するだけではありません。企画、準備、広報、展示、当日の運営まで、多くの仕事を生徒自身が担います。
学年が上がれば後輩をまとめる立場にもなります。自分の興味を形にして、それを初めて会う来場者へ説明することもあります。
勉強とは違う場面で、企画する力、伝える力、人を動かす力、最後まで責任を持つ力を試される行事です。
9月の体育祭と年2回のスポーツ大会で、本気で身体を動かす
9月には体育祭が行われます。
広大なグラウンドを使い、学年やクラス単位でさまざまな競技に取り組みます。男子校らしい熱量が出やすい行事で、競技する側だけでなく、運営や応援にも生徒が関わります。
さらに7月と12月にはスポーツ大会も設定されています。
日頃から中間体操を行い、体育祭、スポーツ大会、部活動、歩く大会まで年間を通して身体を動かす機会があります。
栄光学園では、「頭を鍛えること」と「身体を鍛えること」を別の教育として扱っていません。長時間考え続ける集中力や、苦しい場面でも続ける力をつけるためにも、身体を使う経験を重視しています。
10月の「歩く大会」は、栄光を象徴する伝統行事
秋になると、栄光学園を代表する伝統行事である「歩く大会」が行われます。
普段の授業とはまったく異なり、長い距離を自分の足で歩き続ける一日です。速さを競うだけの競技ではなく、自分の身体と相談しながら、友人と声を掛け合い、最後まで歩き通します。
勉強であれば分からない問題を飛ばすこともできますが、歩く大会ではゴールまで自分の足を動かし続けなければなりません。
途中で苦しくなれば、励ましてくれる友人もいます。反対に、自分に余裕があるときには周囲の生徒へ声をかける側になります。
ここにも、栄光学園が大切にする「自分だけで完結しない」という教育があります。
毎年学校全体で経験するからこそ、卒業後も栄光学園での思い出として語られやすい行事の一つです。
中学1年のキャンプで、入学後の仲間との関係をつくる
中学1年では、宿泊を伴う1泊2日のキャンプがあります。
入学してまだそれほど時間がたっていない時期から、学校の教室とは違う環境で同級生と共同生活を経験します。
食事、移動、準備、片付けなど、普段は家庭や学校の大人が支えてくれることにも、自分たちで関わります。勉強ができるだけではうまく進みません。時間を守ること、仲間の様子を見ること、自分の役割を果たすことが必要になります。
栄光学園には、丹沢に学校の山小屋「栄光ヒュッテ」もあり、長い歴史の中で野外活動が学校文化の一部として受け継がれてきました。有志によるキャンプなどでも利用されています。
広いキャンパスだけでなく、山や自然の中へ実際に入る経験を持つことも、栄光学園が重視する身体教育・全人教育につながっています。
中3・高2では宿泊行事を通して、学校の外へ視野を広げる
中学1年のキャンプ以外にも、学年が上がるにつれて宿泊行事があります。
| 学年 | 主な宿泊行事 |
|---|---|
| 中学1年 | キャンプ・1泊2日 |
| 中学3年 | 学年行事・2泊3日 |
| 高校2年 | 修学旅行・3泊4日 |
こうした旅行は、観光地を巡ることだけが目的ではありません。現地の歴史や文化、そこで暮らす人々について事前に学び、実際に訪れた経験を通して考えを深めます。
栄光学園では社会科でも校外学習や実地調査を重視しています。学校行事についても「行って楽しかった」で終わらせず、自分が見聞きしたことを考える材料にする姿勢があります。
6年間を通して、鎌倉のキャンパスから少しずつ外へ出て、自分とは異なる地域や価値観に触れていきます。
フィリピンの姉妹校とは、ホームステイを伴う相互交流
栄光学園では、イエズス会の国際的な教育ネットワークを生かした交流も行っています。
中心となるのが、フィリピン・セブのSacred Heart School – Ateneo de Cebuとの交流です。両校はともにイエズス会の教育精神を共有しています。
交流は一方的な海外研修ではなく、派遣と受け入れを行う相互交流です。
高校1・2年生から選ばれた生徒がフィリピンを訪れ、現地家庭に約2週間ホームステイしながら学校へ通います。授業への参加、日本紹介のプレゼンテーション、地域での体験などを行います。
反対に、フィリピンの生徒が栄光生の家庭にホームステイし、日本の授業や学校生活に参加する機会もあります。
外国へ行って英語を使うだけではなく、異なる生活環境の中へ入って相手を理解し、自分たちの文化についても考え直すことが目的です。
カトリック校ならではの暦も、年間生活の中にある
栄光学園の年間予定には、カトリック校ならではの日も組み込まれています。
6月21日は、イエズス会の聖人である聖アロイジオ・ゴンザガ修道士の記念日にあたり、栄光学園の創立記念日です。
11月1日の「諸聖人の祝日」、11月2日の「死者の日」、12月25日のクリスマスなども学校の年間暦に含まれています。
年度末には黙想会も行われます。
ただし、宗教行事への参加を通して特定の信仰を強制する学校ではありません。イエズス会の伝統の中で、一度立ち止まり、自分自身や他者との関係について考える時間として位置づけられています。
行事の多さではなく、「自分で動く時間」が多い学校
栄光学園の学校生活を見ると、年間行事の種類そのものが極端に多いわけではありません。
しかし、栄光祭、体育祭、歩く大会、キャンプ、国際交流など、一つひとつの行事で生徒本人が動く割合が大きくなっています。
自分で考えて企画する。長い距離を自分の足で歩く。仲間と共同生活をする。海外の家庭に入り、知らない環境で生活する。
そこでは、定期試験の順位とは違う能力が必要になります。
学力の高い男子が、教室の外で思い通りにならない経験をし、他者と関わりながら自分の役割を学ぶ。栄光学園が学校行事を大切にする理由は、ここにあります。
大学受験だけを考えれば、こうした活動に使う時間をすべて問題演習へ回すこともできます。しかし栄光学園はそうしません。6年間で育てたいのは受験生ではなく、その先の社会で自分の能力をどう使うかを考えられる人間だからです。
クラブ活動とグループ活動|全員参加から始まり、自分の興味を形にする放課後
栄光学園中学校の放課後を特徴づけているのが、一般的な「クラブ活動」と、生徒が自分たちでつくる「グループ活動」の二つです。
中学ではまずクラブ活動を通して、学年を越えた集団の中で役割を持つことを経験します。その一方、「既存のクラブにはないことをやってみたい」と思えば、有志を集めて新しい活動を始めることもできます。
学校から用意された選択肢の中だけで6年間を過ごすのではなく、自分の興味に合わせて放課後の居場所そのものをつくれるところに、栄光学園らしい自由と自治があります。
中学ではクラブ活動を学校生活の一部として経験する
栄光学園では、中学生にとってクラブ活動は学校生活の大切な一部です。
入学後は授業だけでなく、放課後の活動にも参加し、同級生だけではない人間関係をつくっていきます。中学校段階では一定期間クラブ活動への参加を基本とし、まずは学校の中に自分の居場所を持つことを大切にしています。
栄光学園は高校募集を行わない完全中高一貫校なので、先輩も全員が同じ中学入試を経て入学しています。中学1年生から見れば、高校生は数年後の自分を身近に見せてくれる存在です。
練習方法を教えてもらい、大会や発表の準備を一緒にし、自分が上級生になれば今度は後輩へ伝える。こうした縦の関係を6年間の中で経験できます。
運動部では広いキャンパスをそのまま活動場所にできる
運動系には、野球、サッカー、バスケットボール、陸上競技、ソフトテニス、卓球、体操など、男子校らしい幅広い活動があります。
栄光学園には約113,000㎡の校地があり、野球場、サッカーコート、陸上トラック、テニスコート、体育館などが整っています。複数の運動部が同じ時間帯に活動できるだけの空間があることは、大きな特徴です。
特に栄光学園では、授業の合間に中間体操を行い、歩く大会や体育祭などでも身体を動かします。そのため、運動部だけが特別に身体を鍛えるというより、学校全体として身体教育を大切にする文化があります。
勉強に高い水準を求めながら、放課後にはグラウンドへ出て汗を流す。「学力の高い学校だから部活動は控えめ」というタイプではないことは、栄光学園を理解するうえで重要です。
文化部では、研究・音楽・思考系まで興味を深く掘り下げる
文化系では、ブラスバンド、物理研究、囲碁将棋など、自分の興味を掘り下げられる活動があります。
特に理科系の活動では、授業で使用する実験設備や学校の広い自然環境を生かしながら、通常授業より踏み込んだテーマへ進むことができます。
囲碁や将棋のように一つの局面をじっくり考える活動、音楽のように仲間と一つの演奏をつくる活動など、運動部とは違う形で集中力や協働性を身につけます。
文化部にとって大きな発表機会になるのが、毎年5月の栄光祭です。日頃の研究成果や作品、演奏などを来場者へ見せ、自分たちで説明する側になります。
自分が面白いと思ったことを調べるだけで終わらず、「他人へ伝わる形にする」ところまで経験できるのが、文化部活動の面白さです。
既存の部にないなら、自分たちで「グループ」をつくれる
栄光学園の課外活動で特に特徴的なのが「グループ活動」です。
一般的な学校では、「学校に何部があるか」が放課後の選択肢をほぼ決めます。しかし栄光学園では、既存のクラブにないテーマでも、興味を持つ生徒が集まり、自分たちで活動を始めることができます。
活動内容は年度によって変わり、スポーツ、文化、研究、創作など、その時代の生徒の興味によって新しいグループが生まれます。
ここで重要なのは、「好きなことを自由にしてよい」だけではないことです。
仲間を集め、活動内容を考え、必要であれば学校側と相談し、自分たちで継続していく。つまり、興味を持つことから実際の活動へ移すところまで生徒自身が担います。
「やりたいものがないから諦める」のではなく、「ないならつくってみる」という発想を許容する環境が、栄光学園の生徒自治を象徴しています。
栄光祭はクラブ・グループ活動の大きな発表の場
クラブやグループの活動を学校外へ見せる大きな舞台が、春に行われる栄光祭です。
文化系の団体は展示や研究発表、演奏などを行い、生徒自身が来場者へ説明します。日頃は仲間内で続けている活動も、栄光祭では小学生や保護者、卒業生など幅広い人に見てもらうことになります。
運営面でも、生徒は単なる参加者ではありません。企画や準備、当日の案内などさまざまな仕事を担います。
自分たちで決めたテーマを形にし、来場者の反応を受け取ることは、教室の授業とは違う学びです。
受験生にとっても、栄光祭はクラブ活動の実態を見るのに適しています。「何部があるか」という一覧だけでなく、生徒がどの程度主体的に話し、活動を見せているかまで確認すると、入学後の放課後を想像しやすくなります。
勉強と課外活動を自分で両立させることまで含めて栄光の教育
栄光学園では、課外活動が充実している一方、学習面でも高い水準が求められます。
部活動があるから宿題をしなくてもよいわけではありません。放課後に活動し、帰宅後には授業の復習や家庭学習を進める必要があります。
学校側が細かな時間割をすべて決めて管理するより、生徒自身が「今日は何を優先するのか」を考える場面が増えていきます。
その意味では、クラブ活動も自律を学ぶための機会です。好きなことに夢中になる一方で、やるべき勉強も放置しない。イエズス会教育の言葉でいう「AGE QUOD AGIS(やるべきことを、やるべきときに、やる)」が、日常生活の中で試されます。
大学受験だけを考えれば、放課後をすべて勉強へ使う方が効率的に見えるかもしれません。しかし栄光学園は、6年間をそのようには設計していません。
仲間と何かに打ち込み、ときには自分たちで活動そのものを立ち上げ、それでも学習との両立を考える。クラブ活動とグループ活動は、栄光学園が育てようとする「自分で考えて動ける人間」を、放課後から支えている教育の一部です。
進学実績と卒業後の進路|東大・国公立医学部など最難関大へ進む進学校
栄光学園中学校・高等学校は、1学年約180名という比較的小さな学校規模でありながら、東京大学をはじめとする最難関国公立大学へ毎年多くの合格者を送り出しています。
2026年春は東京大学47名、そのうち現役40名が合格しました。さらに一橋大学9名、東京科学大学11名、京都大学6名、横浜国立大学18名など、国公立大学への進学実績が目立ちます。
ただし、栄光学園の進路教育を「東大へ何人入ったか」だけで見るのは十分ではありません。大学受験を最終目的に置くのではなく、6年間を通して自分が何を学び、将来その力を何に使うのかを考えたうえで進路を選ぶことを重視しています。
2026年春は東京大学47名、そのうち現役40名
2026年春の東京大学合格者は47名でした。現役合格者は40名です。
| 東京大学 | 合格者数 | うち現役 |
|---|---|---|
| 文科一類 | 5名 | 4名 |
| 文科二類 | 4名 | 3名 |
| 文科三類 | 1名 | 0名 |
| 理科一類 | 29名 | 26名 |
| 理科二類 | 5名 | 5名 |
| 理科三類 | 2名 | 1名 |
| 学校推薦型選抜 | 1名 | 1名 |
| 合計 | 47名 | 40名 |
2026年3月の卒業生は179名ですから、卒業生数そのものが300人、400人規模の学校とは単純に合格者数だけを比較できません。
約180名の学年から40名が現役で東京大学に合格していることを考えると、学年全体に占める割合の高さも栄光学園の特徴です。
特に2026年は理科一類29名が目立ち、数学・理科を得意とする生徒が多い学校の一面も表れています。
東大だけでなく、一橋・東京科学・京大にも安定した実績
国公立大学では、東京大学以外にも難関大学への合格者が継続して出ています。
| 大学 | 2026年合格 | うち現役 |
|---|---|---|
| 東京大学 | 47名 | 40名 |
| 東京科学大学 | 11名 | 7名 |
| 一橋大学 | 9名 | 6名 |
| 京都大学 | 6名 | 5名 |
| 横浜国立大学 | 18名 | 13名 |
| 北海道大学 | 5名 | 2名 |
| 東北大学 | 5名 | 4名 |
| 横浜市立大学 | 4名 | 4名 |
| 大阪大学 | 1名 | 1名 |
東京科学大学は医学科1名、理工学系10名の合計11名です。このほかにも国公立大学の医学系学部へ複数の合格者が出ています。
地理的には東京大学や一橋大学、東京科学大学、横浜国立大学など首都圏の大学が中心になりますが、京都大学や北海道大学、東北大学などへ進む生徒もいます。
「学校全体で一つの大学を目指す」というより、それぞれの関心分野に応じて最難関レベルの大学へ進んでいることが分かります。
東大合格者は2024年47名、2025年55名、2026年47名
大学合格実績は一年度だけを見ると、学年による変動があります。そこで直近3年間の東京大学合格者数を見ると、栄光学園が継続的に高い水準を維持していることが分かります。
| 年度 | 東京大学合格者 | うち現役 |
|---|---|---|
| 2026年 | 47名 | 40名 |
| 2025年 | 55名 | 43名 |
| 2024年 | 47名 | 37名 |
年度によって40名台から50名台の変動はありますが、1学年約180名という規模の学校から毎年これだけの合格者を出しています。
また、現役合格者も2024年37名、2025年43名、2026年40名と高い水準です。
中学入学時点で高い学力を持つ生徒が集まることはもちろんですが、6年間の授業で考える力を積み重ね、高校後半で大学入試問題へ対応できるところまで引き上げていることが進学実績に表れています。
早稲田100名、慶應81名と私立最難関にも多数合格
私立大学では、2026年春に早稲田大学100名、慶應義塾大学81名が合格しています。
| 大学 | 2026年合格 | うち現役 |
|---|---|---|
| 早稲田大学 | 100名 | 73名 |
| 慶應義塾大学 | 81名 | 60名 |
| 上智大学 | 20名 | 9名 |
| 東京理科大学 | 76名 | 49名 |
| 明治大学 | 57名 | 18名 |
| 中央大学 | 16名 | 4名 |
| 立教大学 | 4名 | 1名 |
早稲田大学では政治経済、法、基幹理工、創造理工、先進理工など幅広い学部に合格しています。
慶應義塾大学では理工学部36名が最も多く、経済学部14名、商学部13名、医学部6名などとなっています。
なお、これらは延べ合格者数です。一人の生徒が複数の大学・学部へ合格している場合もあるため、合格者数をそのまま進学者数として見ることはできません。
医学部を目指す生徒にも、最難関まで挑戦できる環境
医学部医学科への進学を希望する生徒もいます。
2026年は東京大学理科三類に2名、東京科学大学医学部に1名が合格しました。そのほかの国公立大学医学系にも14名の合格者が出ています。
私立大学でも、慶應義塾大学医学部6名をはじめ、その他の私立大学医学系へ23名が合格しています。
栄光学園には医学部だけを対象にした学校全体のコースを設けるというより、高校2・3年で本人の志望に応じて必要な科目を選択し、授業や演習を深めていく仕組みがあります。
医師になること自体を特別視するというより、将来どのような仕事を通して社会へ関わりたいのかを考えた上で、それぞれの進路を選びます。
上智学院の学校でも、上智大学への内部進学を前提にはしない
栄光学園を調べる際に誤解しやすいのが、上智大学との関係です。
栄光学園は現在、上智大学と同じ学校法人上智学院に属しています。しかし、大学附属校として上智大学への内部進学を中心に据える学校ではありません。
2026年春の上智大学合格者は20名ですが、生徒は一般の大学受験を経て、それぞれが希望する大学を選びます。
したがって、早稲田大学系属校や立教大学系列校のように「中学へ入れば系列大学への進学ルートが大きな魅力になる」という学校とは性格が異なります。
上智学院として共有しているのは、大学への推薦ルートというより、イエズス会の教育理念と国内外の教育ネットワークです。
現役だけにこだわらず、自分が進みたい大学を選ぶ
栄光学園では、高校卒業時に必ず現役でどこかの大学へ進学することだけを目標にはしていません。
第一志望が明確であれば、結果によってはもう一年受験勉強を続ける卒業生もいます。もちろん現役進学を軽視しているわけではありませんが、「入れる大学へ進学すること」より「自分が納得できる進路を選ぶこと」を重視する傾向があります。
これは、6年間の教育で自分の興味や適性を考え続ける学校だからこその進路観ともいえます。
大学名だけを決め、その合格に必要な科目だけを勉強するのではなく、何を学びたいのか、その先で何をしたいのかを考える。進路指導でも、本人が自分で決めることを大切にしています。
高い進学実績は「大学受験だけをした6年間」の結果ではない
栄光学園の進学実績を見ると、東京大学47名、早稲田大学100名、慶應義塾大学81名といった数字が目立ちます。
しかし、6年間の学校生活を見れば、大学入試に直接必要なことだけをしている学校ではありません。
毎日の中間体操があり、栄光祭を生徒がつくり、長い距離を歩く大会があり、キャンプへ行き、クラブやグループ活動に取り組み、全学年で倫理を学びます。高校1年では入試科目とは直接結びつかないテーマを高一ゼミで学ぶ時間もあります。
それでも最終的には、国内最難関大学へ挑戦できる学力を身につけています。
大学受験のために6年間を狭くするのではなく、6年間で知性そのものを鍛えた結果として大学受験にも対応する。この順序が、栄光学園の進学実績を見るうえで重要です。
そして、その先にあるのは「どの大学へ入ったか」だけではありません。自分に与えられた能力を伸ばし、その力を他者や社会のためにどう使うのか。栄光学園にとって大学進学は、その問いに答えていく人生の一つの通過点として位置づけられています。
学費や諸経費について|6年間の学校生活に必要な費用を整理
栄光学園中学校の学費は、授業料だけでなく、入学時の入学金・施設設備金、毎月の栄光会費・傷害扶助費、さらに制服や教材などを含めて考える必要があります。
2026年度入学生の場合、学校へ納める基本的な費用は初年度121万5,600円です。制服や教材なども含めると、学校では初年度におよそ136万円が必要になると案内しています。
入学時には入学金30万円と施設設備金30万円
2026年度入試の合格者は、まず入学手続きとして入学金300,000円を納めます。
その後、2月25日までに施設設備金300,000円を納入します。施設設備金は入学金と同時に支払うことも可能です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 300,000円 |
| 施設設備金 | 300,000円 |
| 入学時合計 | 600,000円 |
入学金の納入期限は合格発表翌日の正午までと比較的短いため、併願校がある場合には合格発表日だけでなく、各校の入学手続き期限も事前に確認しておく必要があります。
毎月の納入金は5万1,300円
4月以降は、授業料を中心とした費用を毎月納入します。
| 項目 | 月額 | 年額換算 |
|---|---|---|
| 授業料 | 49,000円 | 588,000円 |
| 栄光会費 | 2,000円 | 24,000円 |
| 傷害扶助費 | 300円 | 3,600円 |
| 合計 | 51,300円 | 615,600円 |
授業料だけを見ると年額588,000円ですが、実際に毎月学校へ納める基本額は51,300円です。
栄光会は保護者・卒業生などによって学校教育を支える組織で、その会費も毎月の納入金に含まれています。
初年度の基本納付金は121万5,600円
入学時に必要な60万円と、毎月の納入金12か月分を合計すると、初年度の基本的な学校納付金は次のようになります。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 300,000円 |
| 施設設備金 | 300,000円 |
| 授業料・栄光会費・傷害扶助費 | 615,600円 |
| 初年度基本額 | 1,215,600円 |
したがって、学校へ納める基本額だけなら約121万6,000円です。
ただし、これですべての費用が終わるわけではありません。制服、教材、体育用品などの購入が別に必要になります。
制服・教材などを含めると、初年度は約136万円が目安
学校では、初年度納入金121万5,600円に加え、教材費や制服代などの諸費用が必要となり、初年度全体ではおよそ136万円を一つの目安としています。
つまり、授業料だけを見て年間60万円弱と考えるのではなく、入学年度には次のような費用をまとめて準備しておく必要があります。
- 入学金
- 施設設備金
- 毎月の授業料等
- 制服・指定用品
- 教科書・副教材
- 体育用品など
また、毎日の昼食は弁当持参が基本ですが、校内でパンや弁当、飲み物を購入することもできます。大船駅までの交通費も家庭によって大きく異なるため、通学定期代も6年間の教育費として考えておきたいところです。
中学校3年間の基本納付金は約245万円
2026年度の金額が3年間変わらないと仮定して単純計算すると、中学校3年間で学校へ納める基本額は次のようになります。
| 内容 | 3年間の概算 |
|---|---|
| 入学金・施設設備金 | 600,000円 |
| 年間納入金615,600円 × 3年 | 1,846,800円 |
| 中学校3年間の基本額 | 2,446,800円 |
中学校3年間だけで見ると、基本的な学校納付金は約245万円となります。
ここには制服・教材・交通費などは含めていません。また、学費は将来的に改定される可能性があるため、現在の金額をそのまま6年間固定して考えることはできません。
栄光学園は完全中高一貫校なので、実際には高校卒業までの6年間を前提として家計を考える必要があります。
任意の寄付金は1口5万円・2口以上
入学後、第1学年の家庭には教育環境を支えるための寄付も案内されています。
金額は1口50,000円で2口以上ですが、あくまで任意です。
したがって、2口の場合は100,000円となりますが、入学の条件として必ず納めなければならない費用ではありません。
学校紹介などで学費を比較する際には、必須の校納金と任意の寄付を分けて見ることが大切です。
入学辞退の場合は、期限内なら入学金のうち20万円が返還される
栄光学園では、併願受験を考慮した返金制度も設けられています。
2026年度入試では、合格後に入学金300,000円を納めた後でも、2月5日午後4時までに入学辞退を申し出た場合、入学金のうち200,000円が返還されます。
全額返還ではありませんが、2月4日以降に他校の合否が出る家庭にとっては重要な制度です。
特に栄光学園は2月2日入試なので、2月1日の学校や2月3日以降の学校と併願するケースが多くなります。受験校を決める際には、各校の試験日だけでなく、「いつまでに、いくら納め、辞退時にいくら戻るのか」まで一覧にしておくとよいでしょう。
経済的事情に対応する給付型奨学金制度もある
栄光学園には、経済的な事情などによって学費の負担が難しくなった生徒を対象とする、学校独自の給付型奨学金制度があります。
これは入試成績による特待生制度とは異なり、入学後に経済的な支援を必要とする家庭を対象とした制度です。
そのため、「入試で上位なら授業料免除」といった形ではありません。家庭の事情が変化した際にも学びを続けられるよう、一定の支援体制が用意されています。
栄光学園の学費を考えるときは、初年度約121万6,000円の基本納付金に、制服・教材・通学費などを加え、初年度全体で約136万円を一つの目安にすると分かりやすいでしょう。
そして、中学だけでなく高校まで続く完全一貫校です。入学できるかどうかだけでなく、6年間の教育費を無理なく負担できるかまで含めて準備しておくことが、学校選びでは大切です。
入試情報と合格の目安|2月2日一回勝負、思考力と記述力を問う4科入試
栄光学園中学校の入試は、男子180名を募集する2月2日の1回のみです。午後入試や第2回入試はなく、国語・算数・理科・社会の4教科で合否が決まります。
神奈川県の男子最難関校では、聖光学院が複数回入試を行い、浅野は2月3日に入試を実施します。一方、栄光学園には再挑戦の機会がありません。第一志望でも併願でも、2月2日の一度だけで結果を出す必要があることが受験戦略上の大きな特徴です。
国語・社会・理科・算数の4科、240点満点で判定
栄光学園の入試は4教科で行われます。現在案内されている試験時程は次の通りです。
| 教科 | 試験時間 | 配点 | 試験時程 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 50分 | 70点 | 8:30~9:20 |
| 社会 | 40分 | 50点 | 9:40~10:20 |
| 理科 | 40分 | 50点 | 10:40~11:20 |
| 算数 | 60分 | 70点 | 11:40~12:40 |
| 合計 | 190分 | 240点 | ― |
国語と算数が各70点、理科と社会が各50点です。特徴的なのは、算数だけ60分が与えられていることです。
面接はなく、合否は4教科合計240点で判定されます。特定の1科目が低かったことだけを理由とする足切りは設けられていません。
つまり、苦手科目があっても他教科で補う余地はあります。ただし、最難関校の入試ですから、一科目を完全に捨てるような戦略は現実的ではありません。4科を高い水準でそろえる必要があります。
2026年度は654名が受験、258名合格で実質倍率2.53倍
2026年度入試では、募集180名に対して689名が出願し、654名が実際に受験しました。合格者は258名で、実質倍率は2.53倍でした。
| 募集人数 | 180名 |
|---|---|
| 出願者数 | 689名 |
| 受験者数 | 654名 |
| 合格者数 | 258名 |
| 実質倍率 | 2.53倍 |
| 合格最高点 | 192点/240点 |
| 合格最低点 | 148点/240点 |
| 合格者平均点 | 161.4点/240点 |
2026年度の合格最低点148点は、得点率にすると約61.7%です。合格者平均161.4点は約67.3%でした。
「最難関校だから8割、9割取らなければならない」という入試ではありません。問題そのものが難しく、受験者全体でも簡単には高得点にならないため、難しい問題の中で6割台後半をどう積み上げるかがポイントになります。
合格最低点は年によって動くため、「6割あればよい」とは考えない
直近5年間の入試結果を見ると、実質倍率は2倍台で推移しています。一方、合格最低点は問題の難易度によって毎年変化します。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 | 合格最低点 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 654名 | 258名 | 2.53倍 | 148点 |
| 2025年度 | 661名 | 244名 | 2.71倍 | 141点 |
| 2024年度 | 662名 | 259名 | 2.56倍 | 149点 |
| 2023年度 | 760名 | 259名 | 2.93倍 | 138点 |
| 2022年度 | 685名 | 255名 | 2.69倍 | 146点 |
最低点は138~149点の範囲で動いています。得点率にすると、およそ57.5~62.1%です。
ただし、過去の最低点を見て「6割取れば合格できる」と決めるのは危険です。年度によって問題難度が違い、同じ150点でも意味は変わります。
第一志望として仕上げるなら、過去問では最低点ぎりぎりではなく、150点台後半から160点前後を安定して狙える状態を一つの目標にするとよいでしょう。
2026年度は算数で受験者平均と合格者平均に大きな差
2026年度の科目別平均点を見ると、どの教科でも合格者平均は受験者平均を上回っていますが、特に算数の差が目立ちます。
| 教科 | 配点 | 受験者平均 | 合格者平均 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 国語 | 70点 | 41.0点 | 45.3点 | 4.3点 |
| 社会 | 50点 | 34.5点 | 36.9点 | 2.4点 |
| 理科 | 50点 | 33.3点 | 37.3点 | 4.0点 |
| 算数 | 70点 | 33.6点 | 42.0点 | 8.4点 |
算数では、受験者平均が33.6点だったのに対し、合格者平均は42.0点。8.4点の差がつきました。
ただし、「算数だけで勝負する学校」と考えるのも違います。2025年度には社会の平均点が大きく下がるなど、年度によって難しくなる科目は変わります。
栄光学園の入試では、どの教科が難化しても慌てず、その年の受験生が取れる問題を確実に取る力が重要です。
問われるのは、知識量より「知っていることを使って考える力」
栄光学園は、入試問題について「小学校で学習する内容・分野」を基本としながら、単なる知識量や正確さだけを確認することが目的ではないとしています。
小学校で学んだことや日常の体験を材料にして、そこから応用・発展的に考えられるかを見る問題が含まれます。
この考え方は、4科すべてに共通しています。
- 長い条件を整理して、自分で法則や関係を見つける
- 初めて見る資料や実験結果を読み取る
- 理由や根拠を、自分の言葉で説明する
- 与えられた知識を別の場面へ応用する
- 一つの方法でうまくいかなければ、別の方法を試す
そのため、問題集の解法パターンを大量に暗記するだけでは対応しにくい入試です。
途中の考え方や記述を求める問題では、解答用紙に書かれた内容に応じて評価されます。答えが完全に合わなかったとしても、考え方を正しく示せていれば評価の対象になるため、途中式や理由を書く習慣も重要です。
偏差値は四谷大塚で80%ライン66、50%ライン63
2027年入試向けの四谷大塚データでは、栄光学園のAライン80偏差値は66、Cライン50偏差値は63です。
| 模試 | 栄光学園の目安 |
|---|---|
| 四谷大塚・Aライン80 | 66 |
| 四谷大塚・Cライン50 | 63 |
| ONETES(旧・首都圏模試)80%予想 | 75前後 |
模試によって母集団が異なるため、偏差値の数字を横並びに比較することはできません。四谷大塚の66と他模試の75は、学校の難易度が異なることを意味するものではありません。
重要なのは、自分が継続して受けている同じ模試の中で推移を見ることです。
栄光学園は2月2日の男子校では聖光学院と並ぶ最難関クラスであり、模試で合格可能性80%が出ていたとしても安全校にはなりません。問題との相性も大きいため、秋以降は偏差値と過去問の両方を見る必要があります。
過去問では「点数」だけでなく、何に時間を使ったかを見る
栄光学園対策では、過去問を解いた後に合格最低点と比較するだけでは不十分です。
特に算数は60分あるため、一つの問題に時間を使いすぎると、後半で取れる問題へ手が回らなくなります。理科・社会も40分で資料を読み、考え、記述する必要があります。
過去問を解いた後は、次の点まで確認したいところです。
- 取るべき基本問題を落としていないか
- 難しい一問に時間を使いすぎていないか
- 条件や資料を最後まで正確に読めているか
- 途中式や理由を採点者に伝わる形で書けているか
- 時間があれば解けた問題と、考え方自体が分からなかった問題を区別できているか
栄光学園の入試は、見たことのある典型問題を高速で処理するだけの試験ではありません。初めて見る設定に出会ったときに、持っている知識を使って考え続ける必要があります。
過去問を暗記するのではなく、栄光の問題を通して「どう考えるか」を練習する。これが対策の中心になります。
2月2日の一回しかないからこそ、併願まで含めて準備する
栄光学園には第2回入試がありません。
2月2日に力を出し切れなかったとしても、「次の回で取り返す」ということはできません。そのため、第一志望の場合には学力だけでなく、2月1日からの受験日程も重要になります。
前日に開成・麻布・駒場東邦などを受験し、その翌日に栄光学園へ向かう受験生もいます。一方、栄光学園を最優先するなら、2月1日にどの学校を受験するか、午後入試まで入れるかは慎重に判断したいところです。
2月2日の試験は12時40分まで続きます。朝から4科を受け、最後に60分の算数があります。学力だけでなく、その時間まで集中力を維持することも必要です。
偏差値を栄光学園のラインまで上げること、独特の問題に対応できる思考力を身につけること、そして2月2日に最もよい状態で大船へ向かうこと。この三つまで含めて、栄光学園の入試対策と考えるとよいでしょう。
併願校パターン|開成・麻布・聖光学院・浅野などとの受験日程
栄光学園中学校の入試は2月2日の1回のみです。そのため、併願を考えるときは「栄光と同じ日にどこを受けるか」ではなく、2月1日にどの学校を置き、3日以降をどう組むかが中心になります。
栄光学園を第一志望とする場合には、2月1日に開成・麻布・駒場東邦などへ挑戦する組み方もありますが、翌日の栄光まで2日連続で最難関入試になります。一方、栄光で確実に力を出すことを優先し、1日は学力的に余裕を持った学校へ出願する方法もあります。
以下の「チャレンジ」「同等帯」「合格確保候補」はあくまで一つの目安です。実際には模試の偏差値だけでなく、過去問の得点、問題との相性、通学時間、進学意思まで含めて判断する必要があります。
まず押さえたい、2月1日から5日までの基本日程
2027年度の主な男子難関校の日程を並べると、栄光学園が2月2日に置かれていることの意味が分かりやすくなります。
| 日程 | 主な学校 | 栄光志望者から見た役割 |
|---|---|---|
| 2月1日 | 開成、麻布、駒場東邦、慶應義塾普通部、サレジオ学院A、逗子開成①、鎌倉学園①など | 挑戦校・同等帯・合格確保校を置く日 |
| 2月2日 | 栄光学園、聖光学院①、慶應湘南藤沢など | 栄光の本番 |
| 2月3日 | 浅野、早稲田②、慶應義塾中等部、逗子開成②など | 栄光翌日の併願候補 |
| 2月4日 | 聖光学院②、サレジオ学院B、鎌倉学園③、芝②など | 上位校への再挑戦または合格確保 |
| 2月5日 | 逗子開成③、本郷③など | 後半戦の選択肢 |
栄光学園の合格発表は試験翌日の2月3日です。そのため、3日の受験校については、栄光の結果が出る前提で動くのではなく、あらかじめ受験するかどうかの基準を決めておく必要があります。
2月1日は開成・麻布・駒場東邦との組み合わせが王道
栄光学園の受験生が2月1日に選ぶ学校として代表的なのが、開成・麻布・駒場東邦です。
2027年入試向けの四谷大塚Aライン80偏差値では、開成72、栄光学園66、駒場東邦66、麻布65となっています。
| 学校 | 入試日 | 位置づけの目安 |
|---|---|---|
| 開成 | 2月1日 | 明確なチャレンジ校 |
| 駒場東邦 | 2月1日 | 栄光と同等帯 |
| 麻布 | 2月1日 | 栄光と同等帯 |
| 栄光学園 | 2月2日 | 本命 |
学力帯だけを見れば自然な組み合わせですが、問題の性格はかなり異なります。開成は高い処理力と総合力、麻布は記述や独特の思考、駒場東邦も思考型の問題が多く、栄光学園にも独自の記述・思考問題があります。
2日連続で違うタイプの最難関入試を受けるため、単純に偏差値が近いからという理由だけでは決めない方がよいでしょう。
栄光と聖光学院第1回は同じ2月2日、両方は受けられない
神奈川男子御三家として並べられることの多い栄光学園・聖光学院・浅野ですが、受験日程には大きな違いがあります。
2027年度の栄光学園と聖光学院第1回は、どちらも2月2日です。そのため、両校の第1回を同じ年に受験することはできません。
聖光学院を第一志望とするなら2月2日に聖光①を受験し、栄光は受験できません。反対に栄光学園を受験するなら、聖光学院を組み合わせる場合は2月4日の第2回を利用することになります。
| 日程 | 栄光第一志望型 |
|---|---|
| 2月1日 | 麻布・駒場東邦・開成など |
| 2月2日 | 栄光学園 |
| 2月3日 | 浅野など |
| 2月4日 | 聖光学院② |
四谷大塚の2027年入試向けデータでは、聖光学院は最上位帯に位置します。栄光の後に「保険」として受ける学校ではなく、さらに難度の高い学校へ挑戦する日程と考えるべきです。
2月3日は浅野が最も組み合わせやすい神奈川男子校
栄光学園の翌日、2月3日に受験しやすい代表校が浅野中学校です。
浅野は2月3日の1回入試で、2027年入試向けの四谷大塚Aライン80偏差値は64。栄光学園66よりやや低い位置にありますが、神奈川県を代表する難関男子校であり、決して安全校ではありません。
| 日程 | 学校 | 考え方 |
|---|---|---|
| 2月1日 | 麻布・駒場東邦など | 第一志望候補または併願 |
| 2月2日 | 栄光学園 | 本命 |
| 2月3日 | 浅野 | 神奈川難関男子校をもう一校確保 |
栄光と浅野では学校の雰囲気もかなり異なります。栄光はカトリック・イエズス会教育や週5日制、自然豊かなキャンパスが特徴で、浅野は学業・部活動・学校行事の三本柱と週6日制を掲げています。
偏差値だけでなく、栄光が不合格だった場合に本当に浅野へ進学したいと思えるかまで確認しておく必要があります。
2月3日は早稲田②・慶應中等部という選択肢もある
東京都内まで候補を広げるなら、2月3日には早稲田中学校第2回や慶應義塾中等部もあります。
2027年入試向けの四谷大塚データでは、早稲田第2回や慶應中等部は栄光学園と同等以上の難度です。
したがって、「栄光の翌日に少し易しい学校を受ける」という位置づけではありません。2月3日にも最難関校へ挑戦する日程になります。
特に慶應中等部は一次の4科試験だけで終わらず、一次合格者には2月5日に体育・面接を含む二次試験があります。学校の性格も大学附属校であるため、栄光学園とは進路設計が大きく異なります。
大学受験を前提にした栄光学園と、慶應義塾大学への内部進学を軸とする中等部のどちらを選ぶのか。単純な偏差値比較ではなく、6年後・10年後まで含めた進路観で考えたい併願です。
合格確保候補ならサレジオ学院・逗子開成・鎌倉学園
栄光学園を第一志望とする場合、すべての日程を最難関校だけで埋める必要はありません。
神奈川県内で学力的に少し余裕を持たせる候補としては、サレジオ学院、逗子開成、鎌倉学園などがあります。
| 学校 | 2027年度の主な入試日 | 特徴 |
|---|---|---|
| サレジオ学院 | 2月1日・4日 | カトリック男子校で、栄光と教育理念を比較しやすい |
| 逗子開成 | 2月1日・3日・5日 | 完全中高一貫の男子校で複数回受験可能 |
| 鎌倉学園 | 2月1日・2日・4日 | 鎌倉エリアの男子校で、複数の日程を使える |
2027年入試向けの四谷大塚Aライン80偏差値では、サレジオ学院Aが61、逗子開成①が58、鎌倉学園①が52となっています。
ただし、「栄光より偏差値が低い=安全」という意味ではありません。特に後半回は募集人数が少なくなり、上位校の受験生が流れ込むことで難度が上がります。
安全校として考えるなら、模試で80%判定が出るだけでなく、過去問で合格最低点を安定して上回っていることまで確認したいところです。
栄光第一志望なら、2月1日に無理をしすぎない選択もある
栄光学園を最優先する家庭では、2月1日の学校選びに注意が必要です。
開成・麻布・駒場東邦を受験すれば、その翌朝にはまた大船へ向かい、栄光の4科入試を受けることになります。2月1日午後にさらに別の入試を追加すれば、体力面の負担は一層大きくなります。
栄光学園は午前8時台から試験が始まり、最後の算数が終わるのは12時40分です。特に算数は60分あり、最後まで集中力が必要です。
そのため、栄光が明確な第一志望であれば、2月1日午後入試を入れず、早めに帰宅して休むという判断も十分に合理的です。
受験できる学校を最大限詰め込むことと、第一志望の合格可能性を最大化することは同じではありません。
代表的な3つの併願パターン
栄光学園を中心に考えると、併願は大きく次のようなタイプに分けられます。
| 日程 | 最難関挑戦型 | 栄光第一志望型 | 神奈川重視型 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 埼玉校などで合格確保 | 埼玉校などで合格確保 | 必要に応じて受験 |
| 2月1日 | 開成 | サレジオ学院Aなど | 逗子開成①・鎌倉学園①など |
| 2月2日 | 栄光学園 | 栄光学園 | 栄光学園 |
| 2月3日 | 早稲田②・浅野など | 浅野/必要なら受験 | 浅野・逗子開成②など |
| 2月4日 | 聖光学院② | 栄光の結果に応じて判断 | サレジオ学院B・鎌倉学園③など |
最難関挑戦型では、1日から4日まで高難度の試験が続きます。一方、栄光第一志望型では、2月1日に進学してもよい学校の合格を狙い、2日に力を集中させます。
どちらが正しいというものではありません。本人の体力、過去問との相性、栄光への志望度によって最適な形は変わります。
「安全校」ほど、実際に進学する姿を想像して選びたい
栄光学園を目指す受験生は学力帯が高いため、併願表には開成、麻布、聖光学院、浅野など有名難関校が並びやすくなります。
しかし、中学受験では予定通りの結果になるとは限りません。最終的に進学する可能性があるのは、むしろ「合格確保のために受けた学校」ということもあります。
栄光学園を気に入っている家庭なら、カトリック教育、男子校、完全中高一貫、自然豊かな環境、自主性を重んじる校風など、何に魅力を感じているのかを整理しておくとよいでしょう。
その条件に近い学校を安全校に選べば、結果が変わった場合でも納得して6年間を始めやすくなります。
併願校とは「栄光に落ちたときに行く学校」ではなく、「栄光とは別に、ここでも6年間過ごしてよいと思える学校」です。
2月2日の栄光学園は一回勝負です。だからこそ、1日の試験で消耗しすぎず、3日以降の選択肢を準備し、どの結果になっても迷わず動ける状態をつくっておくことが、栄光学園の併願設計では最も大切です。
在校生・保護者の声|自由と規律が共存する栄光らしい学校生活
栄光学園中学校について在校生や卒業生の学校生活を見ていくと、最難関進学校という外からの印象とは少し違った姿が見えてきます。
広いキャンパスでのびのび過ごし、栄光祭やクラブ活動、グループ活動に打ち込む一方、授業や家庭学習には高い水準が求められます。細かな規則で生徒を管理するというより、自由を与えたうえで、その自由に責任を持つことを求める学校と考えると分かりやすいでしょう。
「広くて明るい学校」という在校生の実感
在校生から学校生活について語られるとき、まず印象的なのがキャンパスの広さです。
約113,000㎡の敷地には校舎だけでなく、広い校庭、サッカーコート、野球場、テニスコート、自然の残る場所などがあります。休み時間や昼休みに外へ出ることもでき、都市部の校舎型進学校とは日常の過ごし方がかなり異なります。
在校生からも、栄光学園について「広くて明るい学校」という印象が語られています。
授業中は高い集中力を求められますが、休み時間には外へ出て身体を動かす。中間体操では全校生徒が校庭へ集まる。昼休みには友人と屋外で弁当を食べることもある。こうした環境が、6年間の日常になります。
先生が先回りして全部決める学校ではない
栄光学園は、生徒自身が判断する場面の多い学校です。
クラブ活動やグループ活動、栄光祭などでは、生徒が企画や運営に深く関わります。学校側が細かく指示を出し、生徒がそれに従っていれば行事が完成するという形ではありません。
学習面でも同様です。宿題や補習による支援はありますが、最終的には自分で授業を復習し、家庭学習を組み立てることが求められます。
そのため、保護者から見ると「自由な学校」と感じる部分がある一方、生徒からすると自由には責任が伴います。
先生に言われたことだけをしていればよい環境ではなく、自分で考えて動くことを少しずつ覚えていく学校です。
学力の高い仲間がいることを、刺激に変えられるか
栄光学園には、中学受験で高い学力を身につけてきた男子が約180名集まります。
小学校では常に成績上位だった子でも、入学すれば自分より数学が得意な友人、文章を書くのがうまい友人、理科の知識が豊富な友人などに出会います。
そこで「自分はできなくなった」と受け止めるか、「こんな考え方もあるのか」と刺激を受けるかで、学校生活の感じ方は変わります。
栄光学園では習熟度別クラスをつくらず、異なる得意分野を持つ生徒が同じ教室で学びます。そのため、周囲の優秀さを競争相手としてだけではなく、学びの材料として受け止められる子ほど環境を生かしやすいでしょう。
保護者にとっても、小学校時代の順位や偏差値を基準にして子どもを見続けるより、新しい集団の中で本人がどのように成長しているかを見る姿勢が大切になります。
クラブやグループ活動が「自分の居場所」になる
在校生の学校生活では、授業以外の活動について語られることも少なくありません。
運動部や文化部だけでなく、栄光学園には生徒が自主的につくるグループ活動があります。既存の部活動に自分のやりたいことがなければ、同じ興味を持つ仲間と新しい活動を始めることもできます。
こうした環境では、何か一つに強い興味を持つ生徒が居場所を見つけやすくなります。
物理や将棋に熱中する生徒もいれば、音楽やスポーツに打ち込む生徒もいます。少し変わった関心であっても、それを面白がる仲間を見つけやすいのが男子校の一面でもあります。
在校生からも、部活動にない活動をしたい生徒が集まってグループをつくり、それぞれのテーマで活動していることが栄光学園の魅力として挙げられています。
歩く大会やキャンプは、大変だからこそ記憶に残る
栄光学園には、勉強とは直接関係のないように見える行事もあります。
歩く大会、キャンプ、体育祭などでは、普段の教室では見えない友人の一面に触れます。長い距離を歩けば疲れますし、共同生活では自分の都合だけで行動することもできません。
それでも、苦しいときに友人と声を掛け合ったことや、一緒に最後までやり切ったことは、卒業後まで残りやすい経験です。
学校がこうした行事を続けているのは、知識だけでは身につかない力を育てるためです。
体力、忍耐、役割を引き受ける責任感、周囲を気遣うこと。大学入試では直接点数にならなくても、その後の人生で必要になる力を6年間の中で経験させようとしています。
カトリック校だが、宗教を押しつける雰囲気ではない
栄光学園への受験を考える家庭が気にする点の一つに、カトリック教育があります。
全学年で「倫理」の授業があり、聖堂や宗教行事もあります。しかし、生徒全員にカトリック信仰を求める学校ではありません。
倫理では、聖書やキリスト教的な人間観を題材にしながら、自分はどう生きるのか、他者とどう関わるのかを考えます。
そのため、宗教教育を「教義を覚える時間」と考えるより、普段の勉強とは違う角度から、自分自身や社会について考える時間と捉える方が実態に近いでしょう。
一方、宗教的な背景を持つ学校であること自体に強い抵抗がある場合には、入学前に学校説明会などで実際の雰囲気を確認しておきたいところです。
自由な男子校だからこそ、自律できるかが問われる
栄光学園には、男子校らしい気楽さや自由さがあります。
周囲の目を必要以上に気にせず、好きなことに集中できる。栄光祭では思い切った企画をつくり、グループ活動では興味のあるテーマを追いかける。こうした自由を楽しむ生徒にとっては、居心地のよい学校でしょう。
ただし、自由であることと、何をしてもよいことは違います。
授業、家庭学習、クラブ、行事をどう両立するかは本人に委ねられる部分が大きくなります。提出物を出さなかったり、やるべき勉強を放置したりすれば、その結果も自分で引き受けることになります。
栄光学園の「自由」は、学校から管理されなくても自分で判断できるようになるための自由です。6年間を通して、「誰かに言われたからやる」から「自分で必要だと考えてやる」へ変わっていくことが期待されています。
学校を知るなら、授業説明より栄光祭で生徒を見る
栄光学園を受験校として検討するなら、進学実績や入試偏差値だけで判断せず、実際の生徒を見る機会をつくりたいところです。
特に栄光祭では、展示を説明する生徒、グループ活動に夢中になっている生徒、来場者を案内する生徒、友人同士で企画を動かす姿を見ることができます。
大船駅から15分ほど歩いて坂を上り、広いキャンパスに入り、生徒の様子を見る。そうすると、「東京大学に毎年多く合格する学校」という情報だけでは分からない栄光学園の日常が見えてきます。
本人がその雰囲気を見て、「こういう先輩たちと6年間過ごしてみたい」と思えるかは重要です。
栄光学園で毎日向き合うのは、大学合格実績の数字ではありません。授業、友人、家庭学習、クラブ、中間体操、栄光祭、歩く大会、そして大船駅からの坂道です。その日常を面白そうだと思えるかどうかが、栄光学園との相性を見る一番確かな材料になるでしょう。
この学校に向いている子の特徴|知性だけでなく、自律心と他者へのまなざしを育てたい子へ
栄光学園中学校は、東京大学をはじめとする最難関大学へ多くの合格者を出す進学校ですが、「勉強が得意な子なら誰にでも向いている学校」というわけではありません。
学校が大切にしているのは、高い知性を身につけることと、その力を他者や社会のためにどう使うかを考えることです。授業では深く考えることを求められ、学校生活ではクラブ、栄光祭、歩く大会、キャンプなどを通じて、自分で判断し行動する場面が多くあります。
そのため栄光学園に向いているのは、難しいことを面白がり、自分で考え、自由の中で責任を引き受けられるようになりたい子です。
答えを教えてもらうより、自分で考えることが好きな子
栄光学園の授業や入試では、「この公式を使えば解ける」といったパターン処理だけではなく、条件を整理し、自分で筋道を立てて考えることが求められます。
数学では思考そのものを鍛える授業があり、理科では実験結果が予想と違った場合にも理由を考えます。社会では一次資料や実際の場所から考え、国語でも文章を深く読み、自分の言葉で表現することを重視します。
つまり、先生から正解を早く教えてもらうことを好む子より、「なぜそうなるのだろう」と立ち止まって考えることを面白いと思える子の方が、栄光の授業を楽しみやすいでしょう。
受験勉強でも、解法を暗記するだけでなく、一問を時間をかけて考える経験を好む子とは相性があります。
周囲に優秀な生徒がいても、それを刺激として受け止められる子
栄光学園には、中学受験で高い学力を身につけた男子が約180名集まります。
小学校では常に上位だった子でも、入学後は自分より数学が得意な友人、文章を書くのがうまい友人、科学に詳しい友人などに出会います。
そこで順位だけを気にして「自分はできなくなった」と感じ続けると、苦しくなるかもしれません。
一方、「こんな考え方ができる友人がいるのか」「自分ももう少しやってみよう」と周囲の力を刺激に変えられる子には、非常に恵まれた環境です。
栄光学園では習熟度別クラスをつくらず、さまざまな得意分野を持つ生徒が同じ教室で学びます。他人の強さを自分の劣等感に変えるより、学ぶ材料として受け止められることが大切です。
細かく管理されなくても、自分でやるべきことを考えられる子
栄光学園には比較的自由な校風があります。
しかし、その自由は「好きなことだけしてよい」という意味ではありません。授業の復習、家庭学習、クラブ活動、行事など、自分で時間を使い分ける必要があります。
学校側がすべてを細かく管理し、「今日はこれを何ページ、次はこれをやりなさい」と指示し続けるタイプではありません。
もちろん中学1年生から完璧な自己管理ができる必要はありません。6年間を通じて少しずつ自律していけばよいのですが、最終的には「誰かに言われたから」ではなく、「自分が必要だと判断したからやる」姿勢が求められます。
忘れ物や失敗も含め、自分の行動の結果を引き受けながら成長できる子には、栄光の自由さが大きな力になります。
勉強だけでなく、身体を動かすことや行事も楽しめる子
栄光学園は最難関進学校ですが、6年間を大学受験だけに使う学校ではありません。
毎日の中間体操、体育祭、歩く大会、キャンプ、クラブ活動など、身体を動かす時間がかなりあります。
歩く大会では長い距離を歩き、キャンプでは仲間と共同生活をします。栄光祭では準備や運営にも関わります。
そのため、「勉強以外の行事はできるだけ少ない方がよい」という子より、授業にも本気で取り組みつつ、友人と身体を動かしたり、行事をつくったりすることも楽しめる子の方が学校生活を満喫しやすいでしょう。
高い学力と、10代らしい身体性や仲間との経験を両方大切にしたい家庭にも向いています。
好きなことを深く追いかけ、自分から活動をつくってみたい子
栄光学園にはクラブ活動だけでなく、生徒が自主的につくるグループ活動があります。
既存の部活動に自分のやりたいことがなければ、同じ興味を持つ仲間を集め、新しい活動を始めることもできます。
これは、「学校から何を与えてもらえるか」を待つだけの姿勢とは少し違います。
物理、音楽、スポーツ、ゲーム、ものづくりなど、何か一つでも夢中になれるものがあり、「ないなら自分たちでやってみよう」と思える子には、栄光の自由な課外活動環境を大きく使えるでしょう。
逆に、常に先生が企画を用意し、参加方法まで細かく決めてくれる環境を好む子には、最初は戸惑う可能性があります。
男子だけの6年間を気楽で面白そうだと思える子
栄光学園は完全な男子校です。
中学1年から高校3年まで、授業も行事も日常生活も男子だけの集団で過ごします。
異性の目を必要以上に意識せず、好きなものに夢中になったり、友人同士で思い切り議論したり、栄光祭で少し変わった企画をつくったりする。そうした男子校特有の空気を心地よいと感じる子には向いています。
一方、中高時代から男女が自然に関わる共学環境を強く希望する子には、当然ながら合いません。
男子校か共学校かは、大学進学実績とは別の問題です。栄光祭などで実際の生徒の様子を見て、「この中に自分がいる姿を自然に想像できるか」を確認しておきたいところです。
「自分のためだけに勉強する」ことに少し物足りなさを感じる子
栄光学園が繰り返し掲げる言葉に、「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS」があります。
自分の能力を伸ばすことは大切ですが、その能力を自分だけの成功や利益のために使うのではなく、他者や社会のためにどう生かすかまで考えるという姿勢です。
そのため、大学名や将来の収入だけを学校生活の目標に置くより、「自分は何のために学ぶのか」「将来どのように社会へ関わりたいのか」と考えることに意味を感じる子の方が、学校の教育理念を理解しやすいでしょう。
全学年で学ぶ倫理や奉仕活動、国際交流なども、こうした考え方につながっています。
学力を身につけるだけでなく、その力をどう使う人間になるのかまで考えてほしいという家庭には、栄光学園の教育方針はかなり明確に合います。
逆に、どんな子には合いにくいのか
栄光学園は非常に魅力のはっきりした学校ですが、それだけに相性もあります。
たとえば、大学受験に直接必要な勉強だけを効率よく進めたい子には、倫理、高一ゼミ、行事、キャンプなどを遠回りに感じる可能性があります。
細かく管理され、毎日の勉強内容まで学校から指示してもらった方が安心できる子も、自由度の高さに戸惑うかもしれません。
また、大船駅から毎日徒歩で通うこと、自然の多いキャンパスで身体を動かす学校生活、男子だけの6年間といった環境そのものが合わない場合もあります。
栄光学園は「偏差値が届いたから選ぶ学校」というより、学び方や学校生活そのものに共感できるかが大切な学校です。
過去問を面白いと思えるか。大船駅から坂を上り、広いキャンパスを見て「ここで過ごしてみたい」と感じるか。栄光祭で生徒の姿を見て「自分も何かやってみたい」と思えるか。
難しいことを考えるのが好きで、自由の中で自分を律し、仲間とともに学びながら、その力を自分以外の誰かのためにも使える人になりたい。そんな男子にとって、栄光学園の6年間は非常に密度の高い時間になるでしょう。
まとめ|「他者とともに、他者のために」を6年間で身につけるという選択
栄光学園中学校は、東京大学をはじめとする最難関大学へ多くの合格者を送り出す男子進学校です。しかし、6年間の教育を見ていくと、大学受験だけを目的にした学校ではないことが分かります。
約113,000㎡の広大なキャンパス、完全中高一貫の6年間、イエズス会の教育理念、毎日の中間体操、栄光祭、歩く大会、キャンプ、クラブやグループ活動。そこで一貫して問われているのは、「自分に与えられた力を、何のために使うのか」ということです。
神奈川男子御三家の一角でも、目指すのは「受験に強い生徒」だけではない
栄光学園は、聖光学院・浅野とともに「神奈川男子御三家」と呼ばれる最難関校の一つです。
2026年春には東京大学47名、一橋大学9名、東京科学大学11名、京都大学6名など、高い大学合格実績を残しました。1学年約180名という学校規模を考えても、非常に高い水準です。
それでも、学校が掲げる教育目標は「東京大学へ何人合格させるか」ではありません。
MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS――「他者のために、他者とともに」という言葉が示すように、自分の能力を伸ばし、それを社会や周囲の人のために使える人間を育てることが根底にあります。
完全6年一貫だから、学力だけでなく人としての成長まで見られる
栄光学園は高校募集を行わない完全中高一貫校です。中学1年から高校3年までを「初級」「中級」「上級」の3段階に分け、6年間を一つの流れとして教育しています。
初級では学習習慣を整え、中級では自分で問いを見つけて考える力を伸ばし、上級では進路を意識しながら高度な学習へ進みます。
数学、英語、理科、社会といった教科学習でも、単に解法や知識を覚えるだけではありません。なぜそうなるのかを考え、自分の言葉で説明し、違う考え方にも触れます。
さらに全学年で倫理を学び、「何を知っているか」と同時に「その知識や能力をどう使う人間になるのか」まで考えるのが栄光学園の6年間です。
隈研吾氏が設計に関わった校舎と広大な自然も、教育の一部
栄光学園の学校生活を特徴づけているのが、鎌倉市玉縄の高台に広がる約113,000㎡のキャンパスです。
2017年に完成した本校舎は、卒業生でもある建築家・隈研吾氏が設計監修に関わりました。低層で木を生かした校舎は、教室と屋外を行き来しやすく、周囲の自然と一体になるようにつくられています。
広いグラウンド、サッカーコート、野球場、テニスコート、体育館、図書館、理科実験室、聖堂などもそろっています。
毎日の中間体操、体育祭、クラブ活動、昼休み、歩く大会などを見ると、広いキャンパスは単なる景観ではありません。頭だけでなく身体も使って6年間を過ごすための教育環境になっています。
栄光祭・歩く大会・キャンプが、「自由」と「責任」を教える
栄光学園では、学校行事も教育の中心にあります。
栄光祭では生徒自身が企画や運営に関わり、歩く大会では長い距離を自分の足で歩きます。キャンプでは仲間との共同生活を経験し、クラブやグループ活動では自分の興味を形にしていきます。
学校から指示されたことだけをこなせばよいわけではありません。自由にできる部分が多いからこそ、自分の役割を引き受け、周囲と協力し、最後までやり切ることが求められます。
栄光学園の自由さは、放任とは違います。「自分で決めたなら、その結果にも責任を持つ」という自律を、6年間かけて身につけていく学校です。
2月2日の一回勝負だからこそ、学校との相性まで見て受験したい
栄光学園の中学入試は、2月2日の4科入試1回のみです。
第2回入試はなく、聖光学院第1回とも同日です。開成・麻布・駒場東邦を2月1日に受験し、翌日に栄光へ向かう受験生もいれば、栄光を第一志望として1日の負担を抑える家庭もあります。
入試問題も、知識量だけで押し切れるものではありません。初めて見る条件や資料から考え、途中の過程を示し、自分の言葉で説明する力が求められます。
過去問を解いて「難しいけれど面白い」と感じられるかどうかは、入学後の授業との相性を見る材料にもなります。
「MEN FOR OTHERS, WITH OTHERS」をどう受け止めるか
栄光学園を学校選びの候補にするとき、東京大学の合格者数や偏差値は分かりやすい指標です。
しかし、本当に見ておきたいのはその先です。
大船駅から坂道を歩いて通うこと。毎日の授業で深く考えること。中間体操で外へ出ること。友人と栄光祭をつくること。歩く大会で苦しい時間を共有すること。自分の興味からグループ活動を始めること。そして倫理の授業で、自分はどのように生きたいのかを考えること。
こうした日常を6年間重ねた先に、大学受験があります。
高い学力を身につけたい。しかし、それだけでなく、自分で考え、自由の中で自律し、その力を誰かのためにも使える人になってほしい。そう考える家庭にとって、栄光学園の教育方針は非常に明確です。
栄光祭や学校説明会で実際にキャンパスを訪れ、生徒の姿を見たときに、本人が「ここで6年間過ごしてみたい」と思えるか。栄光学園を選ぶ最後の基準は、偏差値表の数字よりも、その感覚にあるのかもしれません。

