日本国憲法が保障する各種権利を確認しよう!〜中学受験社会公民分野問題演習-その3〜

中学受験社会

問題

・「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」に関連して, 次の各問いに答えなさい。

問1 天皇が行うこととして相応しくないものを次のア〜オから2つ選び, 記号で答えなさい。

  • ア. 国の予算を決めること。
  • イ. 憲法の改正や法律, 政令, 条約を公布すること。
  • ウ. 栄典を授与すること。
  • エ. 国会議員の総選挙の施行を国民に知らせること。
  • オ. 外国と交渉し, 条約を結ぶこと。

問2 平等権について述べた次の文を読んで, 後の各問いに答えなさい。

今日の日本社会においては, A在日韓国・朝鮮人への差別, B女性への差別, C障害者への差別, アイヌの人々への差別, 部落差別などが残っているとされ, 解決しなければならない国民的な課題となっている。

  • (1)下線部Aについて, 外国人に対して, 日本国憲法が認めている基本的人権を保障する制度を整備することが議論されていますが, 近年, 日本に定住している外国人(外国籍で日本に永住している人)の政治への参加が問題になっています。これについて説明した次の文が正しければ◯を, 正しくなければ×を書きなさい。

    日本国籍を持たないため国政選挙(衆議院議員や参議院議員の選挙)での選挙権はないが, 地域の住民として税金を納めているため, 全国各地で地方選挙(都道府県知事や市町村長, 地方議会議員の選挙)での選挙権が認められるようになった。

  • (2)下線部Bについて, 募集・採用・昇進など, 職場における男女の平等が規定されている, 1985年に制定された法律の名前を, 漢字9字で答えなさい。
  • (3)下線部Cについて, 近年, 公共施設などでは障害者や高齢者が不自由なく利用できるように, 様々な障壁を取り除こうという工夫がなされています。このような考え方や取り組み, 工夫がなされた状態を何といいますか。片仮名6字で答えなさい。

問3 自由権について述べた次の①〜③は, ア身体の自由/イ精神の自由/ウ経済活動の自由, のどれに関連しますか。関連するものを1つずつ選び, それぞれ記号で答えなさい。

  • ①職業選択の自由
  • ②現行犯を除き, 裁判官の発する令状がなければ逮捕されない。
  • ③民主政治を運営するために最も大切な自由である表現の自由。

問4 社会権について, 次の各問いに答えなさい。

  • (1)1919年に社会権を規定したドイツの憲法を何といいますか。
  • (2)次の文は, 生存権について定めた日本国憲法の条文です。文中の空欄(☆)に当てはまる語句を漢字3字で答えなさい。
    • 第25条第1項 すべて国民は, 健康で(☆)な最低限度の生活を営む権利を有する。
  • (3)次の文は労働基本権について説明したものです。これを読んで, 後の各問いに答えなさい。

    労働者を守るために, 日本国憲法では, 勤労条件の基準を法律で定める(第27条第2項)ことを規定しているだけではなく, 「勤労者の団結する権利及び(X)その他の(Y)をする権利は, これを保障する」(第28条)として, 労働三権を保障している。

    • ⅰ文中の空欄(X)と(Y)に当てはまる語句を, それぞれ漢字で答えなさい。
    • ⅱ文中の下線部について, 日本国憲法のこの規定に基づいて定められている法律の名前を, 漢字5字で答えなさい。
    • ⅲ労働者の権利を守るために法律で定められていることとして正しくないものを次のア〜エから1つ選び, 記号で答えなさい。
      • ア. 使用者は, 国が地域別や産業別に定めた最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならない。
      • イ. 使用者は労働条件をより良くするために, 労働組合を作らなければならない。
      • ウ. 使用者は基本的には1日に8時間, 1週間に40時間を超えて労働者を働かせてはならない。
      • エ. 使用者が労働者を辞めさせるときは, 少なくとも30日前に予告しなければならない。

問5 憲法には明記されていない新しい人権の1つで, 他人には知られたくない個人的なことや生活を守る権利を何といいますか。

問6 日本国憲法第12・13・22・29条には「公共の福祉」による基本的人権の制限が明記されていますが, その制限の例として正しいものを次のア〜ウから1つ選び, 記号で答えなさい。

  • ア. 子供の通学に便利な場所に引越を考えているが, 父親の仕事の都合から引越を会社(勤め先)に反対されている。
  • イ. 国道が広げられることになり, 現在住んでいる家の立ち退きを要求されている。
  • ウ. 大きなショッピングセンターの建設に対し, 売り上げが減るという不安から, 近くの商店街が建設反対運動を行なっている。

問7 日本国憲法で定められている義務教育の規定はどのような形で具体化されていますか。その説明として正しいものを次のア〜エから1つ選び, 記号で答えなさい。

  • ア. 小学校の6年間は, 全ての児童から自宅から最も近い所にある小学校に通学しなければならない。
  • イ. 小学校では午前・午後に渡って授業を行うので, 全ての小学校で給食を無償で支給しなければならない。
  • ウ. 小学校・中学校の計9年間は, 教科書を無償で配布しなければならない。
  • エ. 小学校・中学校での学習の成果を確認するため, 全ての生徒は高等学校(高校)を受験しなければならない。

問8 日本国憲法の改正には慎重な手続きが定められていますが, 憲法改正の手続きについてまとめた次の図中の空欄(A)~(D)に当てはまる語句を, 後のア〜キから1つずつ選び, それぞれ記号で答えなさい。

  • 国会の発議; 国会に改正の原案が出されると両院で検討し, 各議院の(A)議員の(B)の賛成で, 国民に発議する。↓
  • 国民投票; 国民は国会からの提案に対して賛成か反対かの投票をする。↓
  • 公布; 有効投票の(C)の賛成で改正が決まり, (D)が国民の名でこれを公布する。
    • ア. 過半数
    • イ. 3分の2以上
    • ウ. 総
    • エ. 出席
    • オ. 天皇
    • カ. 内閣総理大臣
    • キ. 4分の3以上

模範解答

  • 問1 ア・オ
    • Tips
      • 日本国憲法下では、天皇は十歳の政治に全く関わらず、いくつかの形式的・儀礼的な仕事だけを行いますが、これを国事行為と呼びます。国事行為は、憲法第7条で次のように規定されています。①憲法改正・法律・政令・条約の公布、②国会の招集、③衆議院の解散、④国会議員の総選挙の公示、⑤国務大臣などの任免の認証(公に証明すること)、⑥恩赦(刑罰を軽くしたり無くしたりすること)の認証、⑦栄典(文化勲章など)の授与、⑧外交文書の認証、⑨外国の大使・公使の接受(受け入れること)、⑩儀式を行うこと。また、憲法第6条には次の2つが天皇の国事行為として規定されています。①内閣総理大臣の任命、②最高裁判所長官の任命。
  • 問2
    • (1)×
    • (2)男女雇用機会均等法
    • (3)バリアフリー
    • Tips
      • 日本に定住している外国人の選挙権は、国政選挙・地方選挙ともに現在は認められていませんが、国際化の進んだ近年、地方選挙の選挙権を認めようという動きが出ています。
      • 男女雇用機会均等法は、企業に対して、募集・採用・昇進などの面で男女に平等な機会を与えるように規定した法律です。1999年には、「男女共同参画社会基本法」も制定され、性別に関わらず個性と能力を発揮することができる社会の実現を目指しています。
      • バリアフリーの例として、バスの乗降口の床を低くしたりリフトを設置したりすること、また、階段にスロープを設置することなどが挙げられます。
  • 問3
    • ①ウ ②ア ③イ
    • Tips
      • 各種条文はこちら。
  • 問4
    • (1)ワイマール憲法
    • (2)文化的
    • (3)
      • i X団体交渉 Y団体行動
      • ii 労働基準法
      • iii イ
    • Tips
      • ワイマール憲法は、1919年に制定されたドイツの憲法です。生存権や労働者の団結権などの社会権を世界で初めて保障し、当時最も民主的な憲法と呼ばれました。(実際はヒトラーが政権を握ったため事実上の廃止となった)
      • 生存権を規定した条文はこちら。
      • 労働三権とは、団結権(労働者が労働組合を作る権利)、団体交渉権(労働者が使用者と対等に話し合う権利)、団体行動権(争議権、労働者がストライキをする権利)です。
      • 日本国憲法の第27条第2項には「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」とあります。この規定に従って1947年に制定されたのが、労働基準法です。この法律は労働条件の最低基準を定めています。この法律と、労働組合法(1945年)、労働関係調整法(1946年)をまとめて労働三法と呼びます。
      • (iii)はイが誤りで、労働組合は、使用者ではなく、労働者が自らの労働条件を改善したり社会的地位を確立したりするために組織する団体です。
  • 問5 プライバシー
    • Tips
      • 「プライバシーの権利」以外にも、新しい人権として、人間らしい生活ができる環境の中で生活を送る権利である環境権(この中に日照権や眺望権が含まれます)や、政治について正しく判断できるように国や地方公共団体に情報公開を請求する権利である「知る権利」などが挙げられます。
  • 問6 イ
    • Tips
      • 日本国憲法は「公共の福祉」のために基本的人権が制限されることを認めています。とはいえ、国民の自由や権利は不当に制限されてはいけません。「公共の福祉」を守るために自由や権利を制限するのは、より多くの国民の自由や権利を守るためです。
  • 問7 ウ
    • Tips
      • 日本国憲法は、子供に小学校・中学校の普通教育を受けさせることを保護者の義務とし、この義務教育は無償であると定めています。従って、国公立の小学校・中学校では授業料はかかりません。また、授業で使用する教材も無償で配布されますか、給食や修学旅行などの費用は基本的に保護者の負担となります。
  • 問8 Aウ Bイ Cア Dオ
    • Tips
      • 憲法改正の手続きの1つである国民投票について、その実施方法を定めた国民投票法が2007年に公布されました。そこでは満18歳以上(但し、2018年6月20日までは満20歳以上)の国民が投票権を持つと定められています。投票方法は、憲法改正案に賛成するときは投票用紙の賛成の文字を○で囲み、反対するときは反対の文字を○で囲みます。投票の結果、有効投票数の過半数の賛成があれば、憲法が改正されることになります。
  • 問9 非核三原則
    • Tips
      • 非核三原則は、1967年、当時の内閣総理大臣佐藤栄作によって国会で表明されました。そして、それ以後、歴代の内閣は非核三原則を国是(国の方針)として堅持してきました。しかしながら、非核三原則は法制化されていないため、強制力がありません。そのため、アメリカ軍による日本への核兵器の持ち込み疑惑がしばしば取り沙汰されています。
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