三権分立
- モンテスキュー「法の精神」
- 立法(国会)/行政(内閣)/司法(裁判所)
→三権に分けることで、人権を守り、権力の均衡と抑制を図る(チェックアンドバランス)
立法権と国会
国会
- 国会が国権の最高機関(第41条)
〔国会の地位〕
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
- 法の支配→自然法思想に基づく支配
- 法治主義→法律(国会)による支配
→国会で作られれば良いので、人権侵害無制限可能
国会の働き
国会の仕事
*衆議院、参議院の両方を通過することで成立するが、条件を満たすと衆議院の優越あり
- 唯一の立法機関(第41条)
- 予算の議決(第60条)
- 弾劾裁判所の設置(第64条)
〔弾劾裁判所〕
第六十四条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
- 国政調査権(第62条)
〔議院の国政調査権〕
第六十二条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
- 憲法改正の発議(第96条)
- 条約の承認(第61条)
- 内閣総理大臣の指名(第67条)
- 内閣不信任案の決議、内閣信任案の否決(第69条)
〔不信任決議と解散又は総辞職〕
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
国会の種類
- 通常国会(第52条)
〔常会〕
第五十二条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。
- 特別国会(第54条)
〔総選挙、特別会及び緊急集会〕
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
- 臨時国会(第53条)
〔臨時会〕
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
- 参議院の緊急集会(第54条)
衆議院と参議院
両院の性格
- 両院の定数・任期
- 二院制→慎重な審議ができる
- 国会議員には不逮捕特権、発言の無責任(第50、51条)
〔議員の不逮捕特権〕
第五十条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
〔議員の発言表決の無答責〕
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
衆議院の優越→衆議院の方が任期が短く、解散の可能性もあるため
- 法律案の決議(第59条)
〔法律の成立〕
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
- 予算の議決(第60条)
〔衆議院の予算先議権及び予算の議決〕
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
- 条約の承認(第61条)
〔条約締結の承認〕
第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。
- 内閣総理大臣の指名(第67条)
〔内閣総理大臣の指名〕
第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
行政権と内閣
内閣制度
- 内閣総理大臣→国会議員の中から選ばれる
- 国務大臣
- 内閣総理大臣が自由に任免できる
- 過半数は国会議員で構成しなければならない
〔内閣総理大臣の指名〕
第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
〔国務大臣の任免〕
第六十八条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
- 議院内閣制→内閣は国会に対して連帯して責任を負う
- 文民統制→内閣総理大臣と国務大臣は文民(≠軍人)でなければならない
第六十六条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
- 各省庁→実務を担うが、近年官僚の権限が肥大化しているという批判あり()
内閣の働き
- 法律に従って行動
- 条約の締結
- 予算の作成
- 国事行為の助言と承認
〔内閣の職務権限〕
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
衆議院の解散
- ・内閣不信任案の可決、信任案の否決
→10日以内に総辞職か解散
→解散した場合は、40日以内に総選挙
→総選挙から30日以内に特別国会を実施
司法権と裁判所
日本の裁判制度
- 三審制
司法権の独立
- 裁判所は良心に従い行動する
- 憲法と法律にのみ拘束される
- 裁判官を辞めなければならない時
- 1. 定年
- 2. 心身の故障
- 3. 弾劾裁判による罷免
- 4. 国民審査(最高裁判所裁判官のみ)
〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
〔最高裁判所の規則制定権〕
第七十七条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
〔裁判官の身分の保障〕
第七十八条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
〔最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査〕
第七十九条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
- 裁判院制度→2004年成立
違憲立法審査権/法令審査権
- 各裁判所が有する
- 憲法の番人
- 法律だけでなく、条例や政令も対象になる
〔最高裁判所の法令審査権〕
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
憲法改正
- 憲法を改正するには?
→衆議院、参議院で各総議員の2/3以上の発議
→国民投票に付して過半数の賛成
〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。