2021年度第1回 立教新座中学校中学入試【算数】問題総評と対策

中学受験算数

1. 2021年度第1回 立教新座中学校・算数入試の総評|難易度は標準〜やや難

2021年度第1回立教新座中学校中学入試・算数は, 試験時間50分・100点満点・大問5題構成でした。
全体の印象としては, 「標準〜やや難」レベルで, 典型題を確実に押さえたうえで, 文章設定の読み取り図形・立体のイメージ力を問う問題で差がつく構成と言えます。

  • 大問1 … 計算, 植木算, 比, 速さといった基礎〜標準レベルの小問集合
  • 大問2 … 平面図形と線分比。中学以降の図形(相似)にもつながる内容
  • 大問3 … 立体図形と体積・表面積・切断。イメージ力と整理力が必要
  • 大問4 … 整数・条件整理・場合の数。桁ごとの条件処理を素早くできるかが鍵
  • 大問5 … 「時間床」というオリジナル設定の速さの文章題。読解力と思考力を試す最難問

標準的な受験生であれば, 大問1と4を中心に, 大問2の基本, 大問3・5の前半で得点を確保することが合格ライン到達のポイントになります。

2. 出題形式・試験時間・配点の概要

  • 試験時間:50分
  • 満点:100点
  • 大問数:5題構成
大問分野内容概要難易度(目安)
1計算・数・割合・速さ分数計算, 植木算, 比, 日数計算などの小問集合易〜標準
2平面図形・線分比直角三角形内の平行線・中点・線分比の関係標準〜やや難
3立体図形直方体のくり抜き, 表面積, 切断, 体積標準〜やや難
4整数・場合の数条件付き3桁の3の倍数の個数, 場合の数・並べ方標準〜やや難
5速さ・文章題「時間床」設定の速さ・比・時間計算やや難

配点は公表されていませんが, 各大問ほぼ均等とみなして考えてよい構成です。
実戦上は, 大問1で確実に得点し, 大問4を軸に得点を積み上げる戦略が有効です。

3. 大問別の構成と難易度・目標得点

大問主なテーマ難易度(目安)合格を目指す層の目標
1分数計算・植木算・比・日数計算易〜標準小問ほぼ完答(8〜9割)
2線分比・平行線, 相似の素地標準〜やや難基本部は取りたい(5〜7割)
3立体の体積・表面積・切断標準〜やや難(1)(2)中心に確保(5〜6割)
4整数条件・場合の数標準〜やや難(1)(2)完答+(3)一部
5速さと比, 独自設定の文章題やや難上位層の差がつく(半分程度)

4. 大問別の詳しい分析とおすすめの解く順番

大問1: 計算・植木算・比・日数計算

分数計算, 植木算, 比の3種類のお菓子, 日数と比の文章題など, 基礎〜標準レベルの典型問題をまとめたセットです。

  • 計算問題では, 分数の四則や小数0.375の分数化など, 教科書レベルの基本を確実に。
  • 植木算は, 本数=(長さ)÷(間隔)+1という公式を理解しているかどうかで差がつきます。
  • 比と日数の問題は, 比をそろえる → 1次方程式という流れをつかめていれば得点しやすい内容です。

解く順番上は, 真っ先に取り組むべき大問です。
ここで失点を最小限(1問落とす程度)に抑えられるかどうかが, 合否に直結します。

大問2: 平面図形・線分比

直角三角形の中点や平行線を利用した問題で, 小学校内容の範囲で, 将来の相似に近い感覚を問う構成です。

  • 長さが具体的に与えられていないため, 線分比を文字や比で整理する力が必要です。
  • 中点, 平行線, 三角形の相似の素地を利用して, 線分の比を段階的につなげる力が問われます。
  • 図がやや複雑なので, 答案用紙とは別に自分で図を描き直して整理できるかがカギです。

標準レベルの受験生は, (1)の比だけでも確実に取りたいところです。
上位層は(2)(3)までしっかり攻めておきたい大問です。

大問3: 立体図形・くり抜き・切断

直方体から小さな直方体をくり抜いた立体について, 体積・表面積・平面切断・複雑な切断と体積を扱う問題です。

  • (1)は, 「元の直方体−くり抜いた直方体」という基本構成で, 確実に得点したいところです。
  • (2)では, 左右の真ん中で切断するという状況をイメージし, 立体全体と断面の関係を整理できるかどうかがポイントです。
  • (3)は, 切断面がやや抽象的で, 平均の高さといった考え方を利用するなど, 思考力が試されます。

図が頭に浮かびにくい受験生にとっては難度が上がるため, 立体は必ず自分で簡単なスケッチを描いて考える癖をつけておきたいところです。

大問4: 整数・条件整理・場合の数

3桁の3の倍数」「各位はすべて異なる」「どこかに4を含む」という条件から始まり, 最小値・0を含むものの個数・全部の個数・上位10個の和を求める問題です。

  • (1)は, 百の位から順に試していく素直な問題で, 落としたくない設問です。
  • (2)(3)は, 各位の和が3の倍数という性質を利用し, 数字の組み合わせから3桁の数を作る流れがポイントです。
  • (4)は, (3)で整理した結果を利用し, 大きい方から順に並べて10個の和をとる作業力が要求されます。

計算自体は重くありませんが, 整理の仕方が甘いと時間を消費してしまうタイプの問題です。
丁寧に表に書き出す, 系統的に並べるといった「作業力」の練習がものを言います。

大問5: 「時間床」を使った速さの文章題

「時間床」という, 感じる時間と実際の時間が異なる床が登場するオリジナル設定の速さの問題です。

  • 設定自体は難しそうに見えますが, 実際には「感じる時間 × 設定 = 実際の時間」という関係を正しく理解できれば, 通常の速さの問題+比の問題に還元できます。
  • (1)(2)では, 普通の床と時間床の区別, 距離の切り分け, 実際の時間の合計から方程式を立てる練習ができます。
  • (3)(4)では, 設定の変更時刻や変更前後の距離, 「感じる時間」と「実際の時間」の切り替えなど, 複数の条件を整理する力が問われます。

文章量が多く, 焦ると条件を読み落としがちな問題です。
線分図や数直線に落とし込む習慣がある受験生ほど有利になる大問でした。

おすすめの解く順番

標準的な受験生なら, 次のような順番がおすすめです。

  • ステップ1: 大問1を最初に解き, 計算・基本問題で確実に得点する。
  • ステップ2: 大問4の(1)(2)(3)まで。整理すれば解ける典型的な整数問題
  • ステップ3: 大問2の(1)と大問3の(1)など, 難度が中くらいの設問で得点を追加
  • ステップ4: 時間があれば大問5, 大問2・3の後半に挑戦。

上位層は, 大問1 → 4 → 5 → 2 → 3 の順で, 計算・整数・速さの得点源を優先し, 図形・立体は後回しにしても良いでしょう。

5. 合格ラインを意識した時間配分と戦略

50分で5題という構成から, 1題あたり約10分が目安ですが, 実際には大問1・4に時間を多く残すのが得策です。

合格ライン(偏差値55前後)を狙う受験生

  • 大問1: 12分前後ほぼ完答を目標。
  • 大問4: 12分前後で(1)(2)(3)まで確実に, 余裕があれば(4)。
  • 大問2・3: 合わせて15分程度で, 基本部分を拾う。
  • 大問5: 残りの時間で(1)(2)を狙い, 難しければ深追いしない

目標得点イメージとしては,

  • 大問1で高得点
  • 大問4で半分以上
  • 大問2・3・5で合わせて2〜3割程度確保

といった形で60点前後を狙いたいところです。

安全圏(偏差値60以上)を狙う受験生

  • 大問1は確実に完答
  • 大問4は, (1)〜(4)をすべて押さえたいところ。
  • 大問2・3は, 図をきちんと描き, 線分比や体積の関係を整理して7〜8割以上を目標に。
  • 大問5は, (1)〜(3)まで確実に取り, 時間があれば(4)にも挑戦。

全体として70〜80点を安定して取れると, 合格可能性はかなり高いと考えられます。

6. 受験生の出来を分けたポイント問題

(1) 大問3の切断問題

立体を3点P, Q, RやS, T, Uで切断する問題は, 平面図の情報を立体にどう反映するかが見えにくく,

  • 図を立体的に描けない
  • 断面の形や面積が想像できない

といった受験生が失点しがちです。
日頃から, 教科書レベルの立体問題で補助線を入れる・展開図を描く・断面を意識する練習をしておくと, こうした問題に強くなります。

(2) 大問4の個数整理・上位10個の和

数字の組を整理せずに場当たり的に探してしまうと, 時間ばかりかかって得点になりにくい問題です。

  • 各位の和が3の倍数に着目する。
  • 数の組を「0を含む組」「含まない組」などに分けて整理する。
  • 大きい数から順に並べるときは, 百の位→十の位→一の位の順に系統立てて並べる。

表作り系統的な並べ方の技術があるかどうかで差がつきました。

(3) 大問5の条件の読み取り

「時間床」の設定は一見難しそうですが,

  • 感じる時間と実際の時間の対応
  • 設定変更の前後で, 距離・時間をきちんと分ける

という基本を押さえて線分図にまとめることで, ほとんどが1次方程式で処理できる問題になっています。
文章題が苦手な受験生ほど, 図を描く前に式を立てようとしてしまう傾向があり, ここで差がついたと考えられます。

7. 今後の立教新座・算数に向けた出題傾向の読み取り

2021年度第1回の算数から読み取れるポイントは, おおよそ次の3点です。

  1. 基礎計算・割合・比・速さなど, 教科書レベルの土台を非常に重視している。
  2. 図形・立体・整数・速さなど, 典型テーマを「少しひねった設定」で出す傾向。
  3. 文章量の多い問題や, オリジナルな設定の問題で, 読解力と整理力を試す。

今後も, 単に公式暗記だけでなく,

  • 条件を正しく読み取る力
  • 図や表で情報を整理する力
  • 1次方程式や比を使って状況を数式化する力

が求められると考えてよいでしょう。

8. 単元別おすすめ対策・過去問の使い方

(1) 計算・割合・速さ

  • 分数の四則, 帯分数, 小数との行き来をスムーズに
  • 食塩水, 代金, 仕事算など, 基本的な文章題を一通りこなす
  • 速さでは, 旅人算・通過算よりも「時間・距離・速さの関係を整理して式にする」練習が重要。

(2) 図形・立体

  • 中点, 平行線, 線分比といった, 中学の相似に続く内容を, 小学生なりにイメージできるように練習
  • 立体は, 必ず自分で立体図や展開図を描きながら考える癖をつける。
  • 表面積や体積の増減, くり抜き, 切断は, 市販の標準問題集で頻出なので, 一冊をしっかりやり込む。

(3) 整数・場合の数

  • 桁数の決まった整数の問題では, 「各位の和」「倍数の判定」を使った整理を習得しておく。
  • 場合の数は, 「表に並べる」「樹形図を描く」「規則性を見つけてまとめる」練習を積む。

(4) 過去問演習のタイミングと使い方

  • 立教新座中学校を第一志望とする場合, 6年生の秋以降に3〜5年分を目標に解いておきたいところです。
  • 1回目は時間を測りつつも, 難しい問題は印をつけていったん飛ばす練習をする。
  • 2回目以降は, 難度の高い大問2〜5を中心に, 「なぜこの解き方になるのか」を説明できるかどうかを意識して復習する。

9. 立教新座の算数が向いている受験生のタイプ

2021年度第1回の問題から見える, 立教新座の算数に向いている受験生像は次の通りです。

  • 計算力が安定していて, 基本問題でほとんどミスをしない子。
  • 図形や立体を自分で描いて整理することを苦にしない子。
  • 文章量の多い問題でも, 落ち着いて条件を読み取り, 図や式に整理できる子。
  • 「初めて見る設定でも, 一度落ち着いて仕組みを理解しよう」とじっくり考える姿勢を持っている子。

逆に, 計算ミスが多かったり, 図を描くのが面倒で頭の中だけで済ませようとしてしまうタイプの子は, 計算の徹底練習と, 図・表で整理する習慣づけから取り組むと良いでしょう。

10. まとめ|立教新座・算数で合格を目指すために

2021年度第1回の立教新座中学校・算数入試は,

  • 大問1で基礎力をチェックし,
  • 大問2・3で図形・立体のイメージ力と整理力を試し,
  • 大問4で整数・場合の数の論理性を,
  • 大問5で文章題の読解力と比の感覚

バランスよく問う構成でした。

立教新座中学校を志望する受験生は,

  • 教科書レベル〜標準問題集で計算・割合・速さ・図形・立体・整数の土台を固めること,
  • 図や表で整理する習慣を日頃から意識すること,
  • 秋以降は過去問を通じて時間配分と解く順番の戦略を身につけること,

を意識して学習を進めると, 合格にぐっと近づくはずです。

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