昭和文学の背景
大国意識が高まり、軈て破壊的な長期の戦争へと突入し、敗戦と廃墟から生まれ変わって行く激動の時代である。敗戦は、破壊と窮乏と同時に思想や表現の自由を与えた。
①思想の弾圧
国家統制が激しくなり、自由思想・左翼思想の弾圧と国民思想の統一が行われた。
②太平洋戦争の勃発
大戦は国土を完全に荒廃させ、全ての文化活動を中断させた。
③敗戦による人間解放
第二次大戦の敗北は、帝国日本の滅亡と民主国家の誕生を齎し、表現の自由を与えた。
昭和文学の特色
- 初期にはプロレタリア文学や新感覚派の活躍が目立った。
- 戦争拡大に伴い、言論や自由が弾圧され、文学も沈黙を強いられ、或いは転向を余儀なくされた。
- 戦後、左翼作家が民主主義作家として復活した。
- 思想性が強く、政治と文学、戦争の責任、平和の問題など、社会問題を取り上げた。
- 昭和30年代以降は安定した状況の下多くの作家が活動。