耽美派(明治末〜大正)
人生の意義は美の享受と創造にあると主張する文学運動。最も鋭く自然主義と対立した。
永井荷風
米仏留学後、「あめりか物語」を発表。『三田文学』に拠り、耽美派の代表的作家となった。
谷崎潤一郎
反自然主義の作家として、官能的・感覚的な「刺青」「痴人の愛」「細雪」「春琴抄」などを発表。
白樺派(大正期)
人道主義・理想主義とも呼ばれる。人生における善を追求した。雑誌『白樺』に拠った。
武者小路実篤
白樺派の中心として「幸福者」「お目出たき人」「友情」などを発表した。
志賀直哉
人間の生命や運命を凝視した短編の私小説を発表し、小説の神様と言われた。「和解」「暗夜行路」「小僧の神様」など。
有島武郎
キリスト教・社会主義の影響の下「生まれ出づる悩み」「或る女」「一房の葡萄」などを発表した。
鷗外・漱石/余裕派・高踏派(明治〜大正)
自然主義に対して超然と主知的・倫理的立場で処し、鷗外は耽美派に、漱石は白樺派・新現実派に影響を与えた。
森鷗外
雑誌『スバル』を発刊、「青年」「雁」などを発表。後、歴史小説に転じ、「山椒太夫」「阿部一族」「高瀬舟」などを発表した。
夏目漱石
明治期に「吾輩は猫である」で世に出た。ユーモア小説「坊っちゃん」、文芸観・人生観を示した「草枕」の後、本格的な創作活動に入り、「三四郎」「それから」「門」の三部作を発表。更に、「彼岸過迄」「行人」「こころ」の後期三部作から未完の「明暗」に至る。座右の銘は”則天去私”。
新現実主義(大正期)
現実を理知によって明らかにしようとした。『新思潮派』。
芥川龍之介
説話を取材して、人間のエゴイズムを突いた「羅生門」や「鼻」「地獄変」などを発表。
菊池寛
戯曲「父帰る」や小説「恩讐の彼方に」が代表作。
山本有三
劇作家から後、小説に転じた。「路傍の石」など。