写実主義(明治20年代)
坪内逍遥の主張による「小説は人間・世の中の姿をありのままに描くべきである」という文学運動。
坪内逍遥
明治18年、評論「小説神髄」により、人間の内面を追究する写実主義を提唱し、強い影響を与えた。
二葉亭四迷
明治20年、最初の言文一致体の小説「浮雲」により、近代文学の先駆となった。逍遥の主張を実践した、近代文学の記念すべき一作である。
懐古文学(明治20年代)
坪内逍遥の主張した写実主義を古典的手法によって表現しようという運動。
尾崎紅葉
写実的手法を用い、西鶴の作風を模し「金色夜叉」を発表。露伴と合わせ「紅露」と呼ぶ。
幸田露伴
「五重の塔」を発表。男性的な東洋的理想主義が窺える作品である。
樋口一葉
不遇の中で「たけくらべ」「にごりえ」などを発表。
ロマン主義(明治20〜30年代)
人間を狭い現実から解放して理想の美を求めようとした文学である。
森鷗外
明治23年、留学先のドイツから帰国。小説「舞姫」を発表し、「浮雲」と共に近代文学の先駆となる。また、ロマン主義を紹介・指導した。
北村透谷
雑誌「文学界」の中心人物として活躍、評論「内部生命論」を著してロマン主義を主導した。
国木田独歩
叙情的な「武蔵野」などを発表。後、自然主義に傾く。
自然主義(明治30〜40年代)
人間の真実の姿をありのままに描こうとする主義で、近代文学に、真の近代的基礎を築いた。
島崎藤村
詩人として浪漫的詩集「若菜集」を出したが、後に、小説「破壊」を発表。自然主義の作家として活躍。晩年には大作「夜明け前」を書いた。
田山花袋
小説「蒲団」を発表。大胆な暴露・露骨な描写でセンセーションを起こした。他に「田舎教師」などがある。